図1を参照して、この実施形態のシステムの構成の一例を説明する。例示するシステムは、ある会社の社内ネットワーク100に接続された画像形成装置110及び社内認証システム160と、クラウドプリントサービス200と、携帯端末300とを含んでいる。社内ネットワーク100は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)やイントラネットとして構成されている。社内ネットワーク100、クラウドプリントサービス200、及び携帯端末300は、インターネット400に接続可能となっている。
ここで例示する会社は複数のユーザを含んだ「組織」の一例であり、社内ネットワーク100に接続され画像形成装置110や社内認証システム160等の情報処理装置群が、その「組織」の内部の情報システムを構成しているとする。例えば、この組織内部の情報システムには、図示した画像形成装置110、社内認証システム160の他に、複数の画像形成装置110を含んだ社内ネットワーク100全体での各ユーザ、各部門の印刷課金の集計を行う集計装置等が含まれていてもよい。
画像形成装置110は、入力される印刷データを用紙に印刷する装置である。画像形成装置110は、印刷機能以外の機能を備えていてもよい。例えば、画像形成装置110は、印刷機能の他にスキャン機能、複写機能、ファックス送信機能、電子メール送信機能を備える、いわゆるデジタル複合機であってもよい。図には画像形成装置110を1つしか示していないが、社内ネットワーク100には複数の画像形成装置110が接続されていてもよい。画像形成装置110は、自身のUI(ユーザインタフェース)部で受け付けたユーザからの指示に応じて複写、スキャン、印刷等の処理を実行する機能を持つ他に、社内ネットワーク100内のコンピュータからの指示に応じて印刷等の処理を実行する機能を持つ。また、画像形成装置110は、インターネット400上のクラウドプリントサービス200から印刷データを取得して印刷出力する機能を備える。
さて、会社に所属する各ユーザ(この場合は個人)は、それぞれその会社内で固有の(すなわち会社内で一意な)ユーザID(以下「社内ID」と呼ぶ)を割り当てられている。例えば社員番号等がその一例である。社内ネットワーク100上の各情報処理装置(例えば画像形成装置110,集計装置等)は、この社内IDを用いてユーザを認証し、管理する。例えば、画像形成装置110は、社内IDを用いてユーザ認証を行うための機能を備えている。この例では、画像形成装置110は、後述する社内認証システム160に対して社内ID等の認証のための情報を送り、ユーザ認証を依頼する。ただし、これは一例に過ぎず、画像形成装置110自身が、(例えば社内認証システム160が管理する認証情報を参照して)ユーザ認証を行ってもよい。ユーザ認証のために、画像形成装置110は、当該装置を使用しようとするユーザに認証情報の提示(例えばUI部からの社内ID及びパスワードの入力、あるいは接触式又は非接触式で内蔵データを読み取り可能な身分証(ID)カードを用いた認証)を求め、これに応じて提示された情報を社内認証システム160に送ってユーザ認証を依頼する。ユーザ認証が成功すると、ユーザの社内IDが特定される。画像形成装置110は、特定された社内IDを、実行した処理の履歴(ログ)情報等に含めて、自装置内或いは社内ネットワーク100内の集計装置(図示省略)等に記録する。記録された履歴情報は、社内での画像形成装置110の利用状況の管理又は課金管理等のために、集計装置により集計される場合もある。集計は、例えば、個々の履歴情報に記録された社内IDに基づいて、ユーザごと、或いはユーザが属する部門(会社内の部や課など)ごとに行われる。
社内認証システム160は、社内ネットワーク100に接続しようとするユーザを認証するシステムである。このユーザ認証は、社内IDを用いて行われる。例えば社員が画像形成装置110に対して身分証カードを読み取らせると、画像形成装置110はその身分証カードに基づくユーザ認証を社内認証システム160に依頼する。そして、その結果社内認証システム160から得た認証結果に基づき、画像形成装置110は、そのユーザからの利用を認めるか否かを判定し、利用を禁止したり、利用を認める場合でもそのユーザの権限に応じた制限(例えば許可される範囲の操作のみを受け入れる)を行う。
ここで、一時的に社内に訪問しているゲストに一時的な社内ID(ゲストID)を付与する場合もある。この場合、ゲストは、そのゲストIDを用いることで(すなわち例えばゲスト用の身分証カードを画像形成装置110等に読み取らせることで)、社内認証システム160の認証を受け、画像形成装置110その他の社内ネットワーク100上の装置をゲストの権限内で利用することができる。
社内認証システム160は、各ユーザ(社員、ゲスト)の認証情報や利用権限の情報を管理しており(あるいはそれら情報にアクセス可能であり)、それらの情報を用いて認証やユーザの利用権限情報の提供を行う。
社内認証システム160が管理するユーザ情報のテーブル(表)の一例を図2に示す。図2に示したテーブルの1行が1人のユーザについてのレコードである。1人のユーザのレコードには、そのユーザの「名称」(名前)、「社内ID」、社内ネットワーク100内の画像形成装置110群に対する「利用権限」、「印刷可能枚数」、「クラウド用ID」、及び「クラウド登録属性」の各項目が含まれる。ここで「利用権限」は、例えばカラー印刷が可能か否(白黒印刷のみ可能)か等、画像形成装置110が有する(例えば高コストな)機能が利用可能かどうかを規定する情報である。図では、利用権限として、カラー印刷可能かそれとも白黒印刷のみ可能かという、1つの観点についての2段階の権限種別を例示したが、これは一例に過ぎない。利用権限としては、このほかにも例えば、いくつかの機能のそれぞれについてユーザがその機能をどのレベルまで利用できるかどうかを示す情報を用いてもよい。「印刷可能枚数」は、そのユーザがある定められた期間(例えば1ヶ月)の終わりまでに印刷可能な枚数を示す。この値は、ユーザが印刷出力をする毎に更新(すなわち印刷した枚数だけ減算)される。「クラウド用ID」は、この例では、クラウドプリントサービス200がユーザに対して付与した電子メールアドレスである(ただしこれは一例に過ぎない)。図示例のクラウド用IDに含まれる”cloudprint.com”という文字列は、クラウドプリントサービス200のドメイン名である。「クラウド登録属性」は、クラウドプリントサービス200に対するユーザの利用登録の仕方であり、ここでは「永続的」、「一時的」、「ゲスト」の3種の値をとり得る。「一時的」は、クラウドプリントサービス200の論理プリンタ210に対してなされたユーザの利用登録を、ルールに従って抹消するタイプの登録の仕方である。「一時的」なユーザの場合、例えば画像形成装置110から論理プリンタ210にそのユーザの利用登録がなされた後、その画像形成装置110に対してそのユーザが操作を行わない状態が一定期間以上続いた場合、その利用登録は論理プリンタ210から削除される。これに対して「永続的」は、ユーザの利用登録が論理プリンタ210に永続的に残る(言い換えれば、明示的な登録抹消の指示がない限り、その利用登録は論理プリンタ210から削除されない)ことを意味する。「一時的」及び「永続的」は、社内認証システム160内に恒久的な登録情報を有するユーザ(すなわちその組織(会社)の社員)が選択できるクラウド登録属性である。一方「ゲスト」は、その組織に対する一時的な訪問者に対して割り当てられるクラウド登録属性である。「ゲスト」は、社内認証システム160内に自分の登録情報を持たない。仮に実用上の理由等から「ゲスト」についての登録情報を社内認証システム160に作成したとしても、それは比較的短期間で削除する。
社内認証システム160は、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバやActive Directory(登録商標)等のディレクトリサービスであってもよい。
図1の説明に戻り、クラウドプリントサービス200は、インターネット等のネットワーク上で、ユーザに対してプリントサービスを提供するシステムである。クラウドプリントサービス200は、一般的には複数のコンピュータからなるシステムであるが、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。例えばGoogle Cloud Print(GCP)がクラウドプリントサービス200の一例である。
クラウドプリントサービス200は、例えば、ユーザから印刷対象として指定された文書データ(例えばワードプロセッサや表計算のソフトウエアで作成されている)を、画像形成装置110で取扱可能なデータ形式(例えばPDF(Portable Document Format)、PostScript(登録商標)等のページ記述言語)に変換する機能、受けた印刷指示に対応する印刷ジョブを生成しその実行状態等を管理する機能(例えばキュー管理)等を、ユーザに対して提供する。クラウドプリントサービス200は、プリントサービスのための諸機能を実現する論理プリンタ(プリンタオブジェクトとも呼ばれる)210を生成し、管理する。論理プリンタ210には、その論理プリンタを利用する1以上のユーザが登録される。クラウドプリントサービス200内には、一般に複数の論理プリンタ210が保持されており、それら各論理プリンタ210は、それぞれ、自身に登録された1以上のユーザにより利用される。
また、論理プリンタ210には、その論理プリンタのキューに保持された印刷ジョブを出力する、物理的な画像形成装置110が1以上登録される。GCPの場合、画像形成装置110をGCP(クラウドプリントサービス200)に登録すると、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210がクラウドプリントサービス200内に生成される。論理プリンタ210は、登録された画像形成装置110についての各種の管理情報を保持する。管理情報には、例えば、画像形成装置110の識別情報(例えばプリンタ名)、管理者のクラウドプリントサービス200におけるアカウント情報(後述するクラウド用ID)、画像形成装置110が有する能力(機能)を示す能力情報等が含まれる。能力情報には、例えば、両面印刷が可能か否か、フルカラー印刷が可能か否かなどの情報が含まれる。また、画像形成装置110が、後処理装置を備えている場合、その後処理装置が有する能力(例えばステープル留め、パンチ穴開け、折り機能等)についての情報も含まれる。
ユーザは、クラウドプリントサービス200に自分のアカウントを登録(作成)する。アカウント作成の際に、ユーザは、クラウドプリントサービス200において一意なユーザID(以下「クラウド用ID」と呼ぶ)を登録する。クラウドプリントサービス200は公衆用サービスであり、そのユーザID管理は、一企業の社内ネットワーク100でのユーザ管理からは独立しているので、クラウド用IDと社内IDは一般に同一ではない。例えば、当該会社内のユーザが社内IDと同じ文字列からなるユーザIDをクラウドプリントサービス200に登録しようとしても、既に他人に割当済みなどの理由で登録できない場合があり得る。このように、社内ネットワーク100とクラウドプリントサービス200(又はそのサービス200を含んだより大きなクラウドサービスシステム)は、互いの異なったユーザIDを用いてユーザの認証及び管理を行っている。
クラウドプリントサービス200は、ユーザからの指示に応じて、当該ユーザ用の論理プリンタ210を作成する。また、既存の論理プリンタ210に対して共有ユーザの登録の権利を持つユーザからの指示に応じて、既存の論理プリンタ210を利用可能な共有ユーザを登録する。GCPの場合、前述のように画像形成装置110の登録の際に、その画像形成装置110を管理する論理プリンタ210が作成され、その登録を指示したユーザがその論理プリンタ210及びその画像形成装置110の管理者としてGCPに登録され、その管理者がその画像形成装置110及び論理プリンタ210に対する共有ユーザを登録する権限を持つ。クラウドプリントサービス200は、個々の論理プリンタ210ごとに、当該論理プリンタ210を共有する各ユーザのクラウド用IDを記憶する。
図3に論理プリンタ210が保持するユーザ情報の例を示す。この例では、論理プリンタ210が持つユーザ情報には、その論理プリンタ210の管理者又は共有者として登録されたユーザ毎に、そのユーザの「名称」(名前)、「クラウド用ID」、及び論理プリンタ210に対する「ユーザ権限」の情報が含まれる。「ユーザ権限」の中には、例えばその論理プリンタ210の「管理者」の権限がある。管理者権限を持つユーザは、他のユーザを共有者として論理プリンタ210に登録することができる。この例では、論理プリンタ210の管理者として、その論理プリンタ210に対応する画像形成装置110(を制御する制御部)自身が登録されている。この特徴については、後で詳しく説明する。また、「印刷可能」との権限は、通常の共有者に付与される権限であり、その論理プリンタ210を用いて印刷が可能であることを示す。「ゲスト」権限は、一時的な共有者に付与される権限であり、通常の共有者と同等以下のあらかじめ定められた操作のみが認められる。例えば、ゲストには、カラー印刷を認めない等である。なお、通常の共有者及びゲストには、他のユーザを共有者として登録する権限はない。クラウドプリントサービス200は、論理プリンタ210毎に、このようなユーザ情報を有している。
ユーザは、PCや携帯端末300から、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用いて、インターネット400経由でクラウドプリントサービス200に対して自分のクラウド用IDでログインし、そのクラウド用IDに対応づけられた論理プリンタ210の中から選んだ論理プリンタ210に対して印刷指示を行う。印刷指示には、印刷対象の文書データ、又はその文書データを特定する情報(例えばインターネット400上での当該文書データの格納場所の情報(例えばURL:Uniform Resource Locator))等のように、印刷対象を指定する情報が含まれる。論理プリンタ210は、その印刷指示に応じて印刷ジョブを生成し、管理する。印刷ジョブは、論理プリンタ210内で印刷指示を管理するための単位であり、一意なジョブIDを付与される。論理プリンタ210は、ジョブIDに対応づけて、印刷対象の文書データの情報、その文書データを変換して得たページ記述言語データ、印刷指示を行ったユーザのクラウド用ID、印刷ジョブの実行状態(例えば、未実行(実行待ち)、実行中、実行完了、エラー、等の状態)等の情報を管理する。
論理プリンタ210は、保持する印刷ジョブをユーザの指示する画像形成装置110に対して送信して印刷させるプッシュ方式、又は画像形成装置110からの取得要求に応じてその印刷ジョブを画像形成装置110に提供するプル方式、のいずれかで印刷ジョブを画像形成装置110に提供する。例えば、画像形成装置110がファイアウォール内にある場合、画像形成装置110からHTTP等のプロトコルでクラウドプリントサービス200にアクセスして印刷ジョブを取得するという、プル方式での印刷が行われる。
携帯端末300は、ノートPC又はタブレット端末、スマートフォン、携帯電話機等のような携帯型の情報端末であり、インターネット400に接続する機能を備える。ユーザは、携帯端末300からクラウドプリントサービス200にログインし、そのサービス200に対して各種の指示を行う。また、携帯端末300は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(商標)等の近距離無線通信規格、あるいはIrDA(赤外線通信)等の無線以外の近距離通信規格を用いて画像形成装置110と通信する機能を有していてもよい。これら無線等による近距離通信機能は、ユーザが持つクラウド用ID等の情報を携帯端末300から画像形成装置110に伝達するためなどに用いてもよい。
次に、図4を参照して、社内ネットワーク100内の画像形成装置110の構成の一例を説明する。
UI部112は、ユーザからのローカルでの操作(すなわち手などによる直接の操作)を受け付けるための仕組みである。例えばUI部112は、タッチパネルや機械的なボタンなどの入力用及び表示用のハードウエアを備えており、それらハードウエアを介してユーザとの間で情報のやりとりを行う。
認証処理部114は、画像形成装置110をローカルで利用するユーザを認証するための処理を行う。このユーザ認証は、クラウド用IDではなく、社内IDを用いて行われる。認証処理部114に対する認証情報の入力方式には、従来知られている方式を用いればよい。例えば、UI部112に対して社内IDとパスワードと入力する方式、又は画像形成装置110に付属するNFCリーダ等の読み取り装置によりユーザの身分証カード(社内IDの情報を記憶している)と通信して認証する方式等の様々な方式がある。認証処理部114は、入力された情報を社内認証システム160に渡して認証を依頼するか、又は、入力された情報と社内認証システム160が保持するユーザの認証情報とを照合する等の方法で、そのユーザが画像形成装置110を利用可能な正当なユーザであるかどうかの認証を行う。認証処理部114によりユーザ認証が成功すると、画像形成装置110を操作しているユーザの社内IDが特定される。
ジョブ管理部116は、画像形成装置110に対するUI部112からのローカルの処理指示、またはネットワークを介するリモートの装置からの処理指示に応じてジョブを生成し、そのジョブの実行を管理する。
ユーザ認証を受けたユーザは、UI部112から複写やスキャン等の各種処理を指示可能となる。この処理指示に応じて、ジョブ管理部116がその処理を管理するためのジョブを生成し、キュー管理などのジョブ管理を行う。そして、画像形成装置110の各機構を制御してそのジョブを実行させる。例えば複写指示を受けた場合は、画像形成装置110内のスキャナが起動して原稿を読み取り、読取結果の画像を画像形成部120が用紙上に印刷する。
また、ジョブ管理部116は、社内ネットワーク100を介して他の装置(インターネット400上のクラウドプリントサービス200も含む)からジョブ受信部118にて印刷データを受信することもでき、その場合受信した印刷データに対応するジョブを生成して管理する。そして、そのジョブの実行順序が来ると、画像形成部120に、そのジョブの印刷データを用紙に印刷させる。
ユーザ登録処理部124は、ユーザがこの画像形成装置110をクラウドプリントサービス200経由で利用できるようにするためのユーザ利用登録の処理を、クラウドプリントサービス200に対して行う。クラウドプリントサービス200にはこの画像形成装置110に対応付けられた論理プリンタ210が設けられており、この論理プリンタ210には、その論理プリンタ210を利用可能なユーザが登録されている。ユーザ登録処理部124は、希望するユーザを、その論理プリンタ210を利用可能なユーザとして、クラウドプリントサービス200に登録するのである。クラウドプリントサービス200がGCPである場合、この利用登録は、論理プリンタ210(又はこれに対応する画像形成装置110)に対する共有者の登録に該当する。
画像形成装置110が無関係な者にクラウドプリントサービス200経由で利用されないよう、そのようなユーザの利用登録を行う権限を持つ者は、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210の管理者(またはその管理者からその権限を付与された者)に限定されている。GCPの場合は、管理者、すなわち画像形成装置110をGCPに登録したユーザ、に限定されている。
本実施形態では、画像形成装置110に対応する論理プリンタ210の管理者として、その画像形成装置110自身をクラウドプリントサービス200に登録する。すなわち、その画像形成装置110のアカウント(クラウド用ID等を含む)をクラウドプリントサービス200に作成しておき、画像形成装置110に対応する論理プリンタ210をクラウドプリントサービス200に作成する際などに、その論理プリンタ210の管理者としてその画像形成装置110自身のアカウントを登録する。例えば、GCP経由での利用が想定される画像形成装置110をオフィス等に設置する場合、(オフィスのシステム管理者等の人間ではなく)その画像形成装置110専用のアカウントをGCPに作成し、設置作業を行う者は、そのアカウントを用いてその画像形成装置110をGCPに登録する。これにより、GCP内に生成されるその画像形成装置110に対応する論理プリンタ210には、管理者としてその画像形成装置110自身のアカウントが設定される。
ユーザ登録処理部124は、この画像形成装置110自身のアカウントを用いることで、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210の管理者の権限で、その論理プリンタ210(ひいてはその画像形成装置110)に対してそのユーザを、利用可能な者(GCPの場合は共有者)として登録する。
この利用登録のために必要な画像形成装置110自身のアカウントの情報(例えばクラウド用IDとパスワードや証明書等の認証情報)は、自アカウント記憶部125に記憶されている。
また、画像形成装置110には、自アカウント記憶部125の他にも、論理プリンタ210に対するユーザ利用登録を可能にするのに必要な手段を有していてもよい。例えば、GCPの場合、画像形成装置110に対するユーザ利用登録の要求を受けると、その画像形成装置110の管理者に対してその要求を受け入れるかどうかを電子メールで問い合わせるので、そのような電子メールに対応できる機能をユーザ登録処理部124に設けておく。すなわち、その画像形成装置110のアカウントに登録された電子メールアドレス宛にGCPから送られた電子メールを受信する機能、受信した電子メールに含まれる登録確認処理用のWebページに(必要ならGCPにログインの上)アクセスし、そのWebページを用いてその利用登録の要求を受け入れるか否かの回答を行う機能などをユーザ登録処理部124に持たせる。この回答機能は、例えば、ユーザ登録処理部124自身が行ったユーザ利用登録の要求についてはその要求を受け入れ、他の者が行った要求については受け入れないというものでよい。
ユーザ登録処理部124は、UI部112を介して、ユーザからクラウドプリントサービス200経由で画像形成装置110を利用する旨の要求を受けると、そのユーザのクラウド用IDをそのユーザに要求する。そして、自アカウント記憶部125に記憶されたアカウント情報を用いてクラウドプリントサービス200にログインし、そのユーザのクラウド用IDを、論理プリンタ210を利用可能な者のIDとしてクラウドプリントサービス200に登録する。
またユーザ登録処理部124は、上述のように論理プリンタ210に対して登録したユーザのクラウド用IDと社内IDとの対応付けの情報を、ユーザ管理テーブル122や社内認証システム160に登録する。ここでユーザ管理テーブル122は、画像形成装置110を利用するユーザについての管理情報を保持するテーブルである。
図5にユーザ管理テーブル122のデータ内容の一例を示す。図5に示したテーブルの1行が1人のユーザについてのレコードである。1人のユーザのレコードには、「ユーザ属性」、そのユーザの「社内ID」、画像形成装置110に対する「利用権限」、「印刷可能枚数」、「クラウド用ID」、及び「クラウドステータス」の各項目が含まれる。このうち「ユーザ属性」は、画像形成装置110の利用態様に関するユーザの属性であり、例えばユーザのクラウド登録属性(図2参照)、そのときユーザが画像形成装置110で実行している(あるいは実行を指示した)ジョブの種類、ユーザの種別、ユーザのクラウドステータス(後述)等の項目の1以上の組合せで表現される。ここでジョブの種類には、クラウドプリントサービス200からのジョブ、社内ネットワーク100内のローカルジョブ(社内ネットワーク100上のクライアントからの印刷ジョブ、画像形成装置110のUI部112を介して指示された複写やスキャン等)等がある。ユーザの種別には、例えば社員とゲストがある。「利用権限」は、例えばカラー印刷が可能か否か等、画像形成装置110の各種機能が利用可能かどうかを規定する情報である。「印刷可能枚数」は、そのユーザがある定められた期間の終わりまでにあと何枚印刷可能か示す数値である。この値は、ユーザが印刷出力をする毎に更新される。「クラウドステータス」は、クラウドプリントサービス200に対するそのユーザの関与状態を示す情報である。クラウドステータスには、例えば「未登録」(ユーザのクラウド用IDが社内認証システム160に登録されていない状態)、「登録済」(ユーザのクラウド用IDが社内認証システム160に登録済みであるが、現時点ではその画像形成装置110に対応する論理プリンタ210を利用登録がなされていない状態)、「登録中」(ユーザのクラウド用IDが社内認証システム160に登録する処理を開始したが、まだ登録が完了していない状態)、「共有中」(ユーザが画像形成装置110に対応する論理プリンタ210の共有している(すなわち利用登録済みである)状態)、「印刷待ち」(論理プリンタ210が持つその画像形成装置110宛のジョブが印刷開始を待っている状態)等がある。
ユーザが画像形成装置110に対して身分証カードの提示等により認証を行うと、画像形成装置110は、社内認証システム160からそのユーザのユーザ情報を取得し、その情報からいくつかの必要項目(社内ID、利用権限、印刷可能枚数、クラウド用ID等)を、ユーザ管理テーブル122内に生成したそのユーザのエントリにコピーする。またユーザ属性やクラウドステータス等の項目の値を設定する。その後、処理の進捗に伴い、印刷可能枚数やクラウドステータス等の可変の項目の値を更新する。
なお、ゲスト(組織に対する一時的な訪問者)にゲスト用の身分証カードを貸与する管理方式の場合、そのカードにはゲスト用のあらかじめ定められた社内IDが記憶されている。また、社内認証システム160には、そのゲスト用の社内IDに対応付けて、ゲスト用の管理情報のテンプレート(例えばゲスト用の限定された利用権限や印刷可能枚数が設定されている)が記憶されている。画像形成装置110は、ゲスト用の身分証カードでユーザ認証が成功すると、そのゲスト用の社内IDに対応するその管理情報テンプレートを社内認証システム160から取得し、そのテンプレートに従ってユーザ管理テーブル122にそのゲストの管理情報レコードを作成する。
図4の説明に戻り、履歴記録処理部126は、ジョブ管理部116の管理に応じて実行された各ジョブについての処理履歴(ログ)情報を、履歴記憶部128に記録する。記録されるログ情報には、当該ジョブの実行を指示したユーザの社内IDの情報が含まれる。また、ログ情報には、当該ジョブの実行日時、印刷処理の場合の印刷設定情報(両面印刷か否か、カラー印刷か白黒印刷か等)、印刷枚数等といった、画像形成装置の処理履歴管理分野で一般的に記録されている各種項目の情報が含まれる。履歴記憶部128に記憶された各ジョブのログ情報は、例えば、社内の各部門や各ユーザの画像形成装置110の使用量や課金額の集計のために用いられる。この集計は、社内ネットワーク100内の集計装置(図示省略)により行われる。集計では、履歴記憶部128に記憶されたログ情報ごとに、ログ情報に含まれる社内IDにより当該ログ情報に係るジョブを実行したユーザ及び必要に応じてそのユーザの所属部門を特定し、特定したユーザ及び部門の使用量(課金額)集計値に対してそのジョブにおける印刷枚数などの使用量(又はその使用量に応じた課金額)を加算する。
このように、履歴記憶部128は、ジョブの指示元のユーザを特定するIDとして、当該ジョブの社内IDが記録される。これにより、社内の組織情報を参照して、ユーザごと、部門ごとの使用量(課金)集計等が実現される。
ここで、ローカルの処理指示や、社内ネットワーク100内の他の装置からの処理指示の場合、その処理指示の情報の中に、指示元のユーザの社内IDが含まれているので、履歴記録処理部126はその社内IDをログ情報に組み込んで記録すればよい。
これに対し、クラウドプリントサービス200の論理プリンタ210から画像形成装置110に提供される印刷データには、印刷データの印刷を指示したユーザのクラウド用IDは含まれるが、社内IDは含まれない。クラウドプリントサービス200は社内IDを知らないからである。クラウドプリントサービス200が、自身のユーザ管理のためのユーザID(クラウド用ID)以外に、個々の企業内システムのような他のシステムのユーザIDを管理するようにクラウドプリントサービス200を改変することは、完全に不可能とはいえないかも知れないが、一般的には期待できない。
そこで、履歴記録処理部126は、ジョブ(印刷データ等)に含まれるユーザIDがクラウド用IDである場合、ユーザ管理テーブル122を参照して、そのクラウド用IDを社内IDに変換する。例えば、履歴記録処理部126は、ジョブに含まれるユーザIDが社内IDでない場合、そのIDをユーザ管理テーブル122に登録されたクラウド用ID・社内IDのペア群と比較し、そのIDがいずれかのペアのクラウド用IDに一致した場合、そのクラウド用IDをそのペアの社内IDに変換する。そして、変換結果の社内IDをログ情報に組み込んで履歴記憶部128に記録する。
なお、図4の例では画像形成装置110内に履歴記憶部128が設けられていたが、この代わりに、社内ネットワーク100内の別の装置(例えば集計装置)に履歴記憶部128を設け、履歴記録処理部126がその装置にログ情報を書き込むようにしてもよい。
次に、図6及び図7を参照して、クラウドプリントサービス200経由で画像形成装置110を利用すること希望するユーザに対して画像形成装置110(特にユーザ登録処理部124)が行う処理の例を説明する。以下では、画像形成装置110に対するユーザ認証として、ユーザが携帯する身分証カードを用いた認証を行う場合を例に取るが、この処理は、別方式のユーザ認証(例えば社内IDとパスワードの手入力によるもの)を用いる場合にも適用可能である。
まずユーザは画像形成装置110を利用したい場合、自分の身分証カードを、画像形成装置110が有するNFCリーダ等の読み取り装置に読み取らせる。画像形成装置110は、ユーザから読み取り装置に対して身分証カードが提示されるのを待ち(S10)、提示されるとそのカードの情報(すなわちそのユーザの社内ID)を読み取って(必要に応じ社内認証システム160と情報をやりとりしつつ)ユーザ認証を実行する(S12)。このユーザ認証が失敗した場合、画像形成装置110はUI部112の画面にエラーメッセージを表示する等のエラー処理を行う(図示省略)。ユーザ認証が成功すると、画像形成装置110は、社内認証システム160からそのユーザのユーザ情報(図2参照)を取得し、取得した情報をもとにユーザ管理テーブル122にそのユーザの管理情報レコード(図5参照)を作成する(S14)。なお、身分証カードが提示された時点で、そのユーザのレコードがユーザ管理テーブル122内に既に存在する(すなわち前回の情報がまだ消去されていない)場合には、S14の処理は不要である。
ユーザに認証が成功すると、画像形成装置110は、UI部112の画面に操作メニューを表示し、ユーザから操作の選択を受け付ける。ここでは、クラウドプリントサービス200を用いた印刷が選択されたかどうかを判定する(S16)。クラウド利用以外の操作が選択された場合は、画像形成装置110は、従来通りその選択された操作に対応する処理を実行する。
S16の判定結果がYes(クラウドプリントサービス200を利用する)の場合、画像形成装置110は、ユーザ管理テーブル122内の当該ユーザのレコードにそのユーザのクラウド用IDが含まれているか否かを判定する(S18)。ユーザがその画像形成装置110を初めてクラウドプリントサービス200経由で利用しようとする場合には、社内認証システム160にもユーザ管理テーブル122にもそのユーザのクラウド用IDは登録されていないので、S18の判定結果はNoとなる。この場合、ユーザ登録処理部124は、UI部112の画面に対し、ユーザのクラウド用IDの入力を促すメッセージを表示するなどして、ユーザからクラウド用IDの入力を受け付ける(S20)。この入力は、例えばUI部112のキーボードからクラウド用IDを手入力したり、ユーザの携帯端末300からNFC等の近接通信技術で画像形成装置110にクラウド用IDを転送したりするなどの方法で行う。またこのとき、ユーザが社員である場合には、クラウド登録属性(図2参照)を「永続的」及び「一時的」のいずれにするかの指定を受け付ける。「永続的」を選択すれば、論理プリンタ210への利用登録が自動的に削除されることはないので、例えば後の任意のタイミングでクラウドプリントサービス200を介して画像形成装置110を利用することが可能になる。ただし、GCPの場合、利用登録(共有者としての登録)された論理プリンタ210は他のユーザと共有しているため、利用登録を「永続的」なものとしておくと、自分がその論理プリンタ210に送った印刷ジョブの履歴(例えばジョブ名や日付その他の属性情報)が他の共有者に知られてしまう可能性がある。利用登録を「一時的」とすれば、例えば一定期間が経過すると利用登録が削除されるので、ユーザはその画像形成装置110を再度クラウドプリントサービス200経由で利用したい場合、改めて利用登録を行う必要があり、そのために画像形成装置110のところまで行って認証を行い、クラウド利用を指示する必要がある。しかし、その代わりに、利用登録から例えば一定時間が経過するとその登録が削除されるので、論理プリンタ210の利用履歴が他の共有者に見られる可能性が低くなる。このS20の後、処理はS24に進む。
逆に、前回以前の利用の際にユーザが既にクラウド用IDを社内認証システム160に登録済みである場合には、S18の判定結果はYesとなる。S18の判定結果がYesの場合、ユーザ登録処理部124は、そのクラウド用IDが、画像形成装置110に対応する論理プリンタ210に利用登録済み(GCPの場合、そのIDが共有者として登録済み)であるかどうかを判定する(S22)。この判定では、ユーザ管理テーブル122の「クラウドステータス」の値が「共有中」(あるいは「利用登録済み」)である場合には利用登録済みと判定し(判定結果Yes)、それ以外の場合には利用登録がなされていないと判定する。
ここで、ユーザ管理テーブル122の「クラウドステータス」の値は、S14で社内認証システム160から取得したユーザ情報内のクラウド登録属性が「永続的」であれば「共有中」に設定されている。過去にそのユーザが論理プリンタ210に登録された際に、「永続的」な登録属性が選択されていた場合、その利用登録(共有状態)は解除されずに残っているからである。なお、社内認証システム160から取得したユーザ情報内のクラウド登録属性が「一時的」であれば、ユーザ管理テーブル122の「クラウドステータス」は「登録済み」である。「登録済み」なのは、「一時的」という値をとり得るのは社員であるため、過去の利用の時点で入力されたクラウド用IDが社内認証システム160に登録済みであり、また「一時的」な利用登録であるため、論理プリンタ210への利用登録はその過去の利用が終わった時点で解除されている(したがって「共有中」ではない)からである。また、社内認証システム160から取得したユーザ情報内のクラウド登録属性が「ゲスト」であればユーザ管理テーブル122の「クラウドステータス」は「未登録」である。社内認証システム160は、個人情報保護等の理由から、ゲストについてはクラウド用ID等のユーザ情報を恒久的に保持することはせず、また論理プリンタ210への利用登録も、利用が終わる都度削除するからである。
S22の判定結果がYes(ユーザは論理プリンタ210に利用登録済み)である場合には、論理プリンタ210への利用登録の処理(S24〜S32)は不要であり、処理は図7のS34に進む。S22の判定結果がNoの場合、ユーザのクラウド用IDは既に社内認証システム160に登録済みなのでS20の処理(ユーザからのクラウド用IDの入手)は不要であるが、そのクラウド用IDがその画像形成装置110に対応する論理プリンタ210に登録(利用登録)されていないので、処理はS24に進む。
S24では、ユーザ登録処理部124は、自アカウント記憶部125に記憶された画像形成装置110のアカウント情報を用いてクラウドプリントサービス200にログインする。ログインの後、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210に対して、管理者権限により、そのユーザのクラウド用IDを、利用可能なユーザ(共有者)として登録する(S26)。そして、ユーザ管理テーブル122内のそのユーザのレコードに、S20で取得したクラウド用IDを登録する(S28)(S18でユーザにクラウド用IDがあると判定している場合にはこのステップは不要)。
次に、図7の処理に移行し、ユーザ登録処理部124は、そのユーザの種別がゲストであるかどうかを判定する(S30)。ゲストか否かは、ユーザ認証(S12)の際に判明した社内IDから判別可能である。ユーザがゲストでない場合は、そのユーザは社員であるということなので、社内認証システム160の当該ユーザのレコードに、S20で取得したそのユーザのクラウド用IDを登録する(S32)。またこのとき、S20で取得したクラウド登録属性(「永続的」又は「一時的」)を社内認証システム160に登録する。
その後画像形成装置110のユーザ登録処理部124は、そのユーザから明示的にログアウトの指示が入力されるか、又はそのユーザがその画像形成装置110を操作しない状態があらかじめ定められた時間以上続く(タイムアウト)のを待つ(S34、S36)。S34でログアウトの指示があるか、又はS36でタイムアウトすると、画像形成装置110は、ユーザ管理テーブル122からそのユーザの管理情報レコードを削除する(S38)。これにより、ユーザのクラウド用ID等の情報(これは個人情報に該当する場合がある)が画像形成装置110内から無くなる。またユーザ登録処理部124は、そのユーザのクラウド登録属性が「一時的」又は「ゲスト」に該当するかどうかを判定する(S40)。S40の判定結果がYesの場合、ユーザ登録処理部124は、自アカウント記憶部125に記憶されたアカウント情報を用いてクラウドプリントサービス200にログインし、画像形成装置110に対応する論理プリンタ210から、そのユーザの利用登録(GCPの場合は共有者としての登録)を削除する(S42)。そのユーザのクラウド登録属性が「永続的」である場合は、S40の判定結果がNoとなり、この場合はS42はスキップする。以上で、論理プリンタ210へのユーザ登録の処理が終了する。
図7の例では、ゲストでないユーザ(すなわち社員)のクラウド用IDを必ず社内認証システム160に登録したが(S30,S32)、これは一例に過ぎない。この代わりに、例えば画像形成装置110がユーザからクラウド用IDの入力を受ける(S20)際に、そのクラウド用IDを社内認証システム160に登録してよいかをユーザに尋ね、ユーザがその登録を拒否した場合には、そのクラウド用IDを社内認証システム160に登録しないようにしてもよい。なお、クラウド用IDを社内認証システム160に登録しない場合には、図7の手順のS42で画像形成装置110のユーザ管理テーブル122からそのユーザの管理情報(社内IDとクラウド用IDを含む)が削除されてしまうと、クラウドプリントサービス200に送ったジョブを画像形成装置110から印刷出力することができなくなる。また、社内認証システム160に対してクラウド用IDを登録しない場合、他の画像形成装置110でクラウドプリントサービス200経由の印刷を行う際に自分のクラウド用IDを入力(S20)する必要がある(登録しておけばその手間が省ける)。
また図7の例では、ユーザがゲストである場合にはそのユーザのクラウド用IDを社内認証システム160に登録しないので、ゲストの個人情報であるクラウド用IDが、訪問先のシステムに過ぎない社内認証システム160に残ることがない。ただし、ゲストが希望すれば、ゲストのクラウド用IDを社内認証システム160に登録するようにしてもよい。
また図7の例では、社員のクラウド登録属性を「永続的」とするか「一時的」とするかはS20で社員が選択していたが、社員の通常の居所と画像形成装置110の設置場所との関係から自動判定してもよい。この例では、社内認証システム160その他のデータベースに各社員の通常の居所(すなわち普段勤務しているオフィスや工場の場所)の情報を登録しておき、画像形成装置110(又はその画像形成装置110がアクセス可能なデータベース)にその画像形成装置110の設置場所の情報を登録しておく。そして、画像形成装置110は、S12で認証したユーザの社内IDからそのユーザの通常の居所の情報を取得し、その居所が、画像形成装置110自身の設置場所と一致すると見なすあらかじめ定めた条件(例えば同じ部屋の中、同じ建物の中、あるいは両者の距離があらかじめ定めた以内等)を満たす場合、そのユーザのクラウド登録属性を「永続的」と判定する。逆に、ユーザの通常の居所が画像形成装置110の設置場所と一致すると見なす条件を満たさない場合、画像形成装置110は、そのユーザのクラウド登録属性を「一時的」と判定する。この例では、ユーザの通常の居所と一致する場所に設置された画像形成装置110は、ユーザが普段利用する画像形成装置であるとみなし、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210へのそのユーザの利用登録を「永続的」なものとし、ユーザの通常の居所と一致しない場所に設置された画像形成装置110は、ユーザがたまたま出先で利用したものにすぎないとみなし、その画像形成装置110に対応する論理プリンタ210へのそのユーザの利用登録を「一時的」なものとするのである。なお、そのように判定した社員のクラウド登録属性の値をUI部112の画面に表示し、それを見たユーザがその値を変更できるようにしてもよい。
次に、図8を参照して、画像形成装置110がクラウドプリントサービス200から到来したジョブを実行する際の処理手順の例を説明する。
ユーザが自分のコンピュータ(例えば携帯端末300)からクラウドプリントサービス200に自分のアカウント(クラウド用ID)でログインし、自分が利用可能なユーザとして登録済みの論理プリンタ210に対して文書データの印刷を指示したとする。この指示に応じてクラウドプリントサービス200はその文書データを、出力先の画像形成装置110に対応する印刷データに変換し、その印刷データを画像形成装置110に提供する。提供される印刷データ(ジョブ)には、印刷を指示したユーザのクラウド用IDの情報が含まれる。
画像形成装置110は、クラウドプリントサービス200からジョブ(印刷データ)が到来するのを待ち(S50)、ジョブを受け取ると、そのジョブに含まれるクラウド用IDを含んだユーザ情報を検索する(S52)。この検索は、まず画像形成装置110内のユーザ管理テーブル122を対象として行い、ユーザ管理テーブル122から検索できない場合には、更に社内認証システム160内のデータベースに対して行う。
次に画像形成装置110は、S52の検索の結果に従い、そのジョブの印刷出力を許可するかどうかを判定する(S54)。例えば、そのクラウド用IDに対応するユーザ情報(社内IDを含む)がユーザ管理テーブル122からも社内認証システム160からも検索できなかった場合には、そのクラウド用IDが組織にまったく無関係の第三者である可能性があるため、印刷出力を許可しないと判定する。また、クラウド用IDに対応するユーザ情報が検索できた場合、そのユーザ情報からそのクラウド用IDに対応する社内IDが分かる(ゲストの場合も、ゲスト用の社内IDが割り当てられている)。この場合、画像形成装置110は、更にそのユーザ情報に含まれる利用権限や印刷可能枚数等の情報と、そのジョブの印刷属性(カラーか白黒かなど)や出力枚数(ページ数と部数から計算できる)等を比較することで、そのユーザの権限からそのジョブの出力の可否を判定する。
S54で印刷を許可しないと判定した場合、画像形成装置110は、クラウドプリントサービス200に対して、権限を越えるために印刷できない旨を示すエラーコードを返すなどのエラー処理を行う(S60)。
S54で印刷を許可すると判定した場合、画像形成装置110は、そのジョブを実行(すなわち印刷出力)し(S56)、そのジョブの実行結果を示す履歴情報(クラウド用IDから特定した社内IDを含む)を、自装置内、又は社内ネットワーク100上のログ管理装置に記録する(S58)。
また、画像形成装置110は、クラウドプリントサービス200からのジョブに含まれるクラウド用IDから特定した社内IDを用いてセキュリティプリントを実現してもよい。セキュリティプリント方式では、画像形成装置110は、受信した印刷データを即座に印刷することはせず、内蔵する記憶装置にいったん保存しておく。このとき、保存する印刷データには、クラウド用IDから特定した社内IDを対応づけておく。そして、後で印刷指示元のユーザが画像形成装置110のところまでやってきて認証処理部114にて社内IDを用いてユーザ認証を行うと、ジョブ管理部116は、その社内IDに対応づけて記憶装置に保存されている印刷データ(ジョブ)を印刷する。
以上に説明したように、本実施形態では、ユーザは、画像形成装置110をクラウドプリントサービス200経由で利用したい場合、その画像形成装置110(に対応する論理プリンタ210)についてのクラウドプリントサービス200上での管理者を調べて連絡を取らなくても、その画像形成装置110まで出向いて自分のクラウド用IDを入力するという直感的に分かりやすい方法でその目的を実現できる。また、本実施形態では、画像形成装置110が論理プリンタ210へのユーザの利用登録や、ユーザの社内IDとクラウド用IDの対応付け情報を記録するので、人間のシステム管理者の負担が軽減される。
以上に例示した画像形成装置110の情報処理部(図4の例では画像形成部120以外の機能モジュール群)は、例えば、汎用のコンピュータに当該装置の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。