JP5729503B2 - 情報処理装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
これまでのプリントサービスは、組織(企業や学校など)単位で設置されるオンプレミス型が一般的であった。オンプレミス型のプリントサービス(サーバ)は、その組織で閉じたシステムであるので、ユーザアカウントとしてその組織固有のユーザID(ユーザ識別情報:例えば社員番号)をそのまま用いることができる。そのため、組織固有のユーザIDを用いて、セキュリティプリントやプリントジョブの集計管理を容易に実現できた。
一方、近年、Google社が構想しているGoogle Cloud Print(商標)のように、インターネット上で提供されるクラウドプリントサービスが提案されている。ユーザはPC等からクラウドプリントサービスに当該サービスのユーザIDでログインし、ログイン後にクラウドプリントサービスに印刷データを送る。そして、クラウドプリントサービスから画像形成装置に対してインターネット等を経由してその印刷データを提供することで、印刷を実現する。
クラウドプリントサービスは、オンプレミス型とは異なり、複数の組織や個人で共用されるものであり、個々の組織とはまったく独立にユーザIDを割り当てる。クラウドプリントサービスのユーザIDとして組織内のユーザIDと同じIDが取得できるとは限らない等の理由から、クラウドプリントサービスにてユーザ識別に用いられるユーザIDは、個別の組織内で付与された組織固有のユーザIDとは一般に一致しない。クラウドプリントサービスは、印刷データに関して当該サービスにおけるユーザIDは把握しているが、組織固有のユーザIDまでは把握しない。したがって、クラウドプリントサービスから印刷データを画像形成装置に提供して印刷する場合、その印刷データには組織固有のユーザIDが含まれていないので、画像形成装置がその印刷データに対して組織固有のユーザIDに基づくセキュリティプリントや集計管理を適用することはできない。
特許文献1は、ネットワークオペレーティングシステムごとのユーザIDが対応づけられていないことや、セントロニクスケーブル等のケーブル経由ではそもそもユーザID自体が取得できないこと等に鑑み、それらいかなる状況でも印刷か均等の集計等を一元管理するための仕組みを提案している。この仕組みでは、ユーザがプリンタドライバ画面から「ユーザ名」「グループ名」「パスワード」を設定し、アプリケーションから印刷を開始の指示を出す。すると、プリンタにデータが転送され、プリンタ内の管理システム制御部がヘッダー部を解析することにより、ユーザ名、グループ名を認識し、パスワードを確認する。登録されている使用可能なユーザ名リストとデータのユーザ名を比較する。使用可能なユーザ名リストに転送されたデータのユーザ名が存在するか否かを判断し、存在した場合は、プリンタで通常の印刷を行い、存在しない場合は、印刷処理を行わない。
特開平10−207661号公報
クラウドプリントサービス等のプリントサービスシステムのユーザ管理では、当該システムにおけるユーザ識別情報を管理するのみである。したがって、このプリントサービスシステムから所定の組織内部の画像形成装置に対して印刷データにユーザ識別情報として送ることができるものがあるとすれば、それはプリントサービスシステムでのユーザ識別情報であって、組織内部のユーザ識別情報ではない。
本発明は、第1の認証を行う情報システムに接続された画像形成装置が第2の認証を行うプリントサービスシステムから印刷データを取得して印刷する場合において、その印刷に関する処理を第1の認証におけるユーザ識別情報を用いて管理できるようにすることを目的とする。
請求項1に係る発明は、画像形成装置が接続された第1の認証を行う第1のシステムでのユーザの識別情報である第1情報を含んだ設定情報と出力先として前記画像形成装置とが設定された第2の認証を行う第2のシステム内の論理プリンタにより生成された前記第1情報を含む印刷データを取得する印刷データ取得手段と、前記取得した前記第1情報を含む印刷データを、接続された前記画像形成装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の送信手段は、前記取得した印刷データを、接続された前記画像形成装置に対応した形式に変換し、この変換された印刷データを前記画像形成装置に送信することを特徴とする情報処理装置である。
請求項に係る発明は、請求項1ないし2に記載の情報処理装置は、さらに、第1の認証を行う第1のシステムに接続された前記画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段と、第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段と、取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の情報処理装置はさらに、前記ユーザが前記画像形成装置を使用しなくなったことを検知すると、前記設定手段で設定した論理プリンタの削除を前記第2のシステムに対し指示する削除指示手段を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、請求項3記載の情報処理装置はさらに、取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより文書リストを取得する文書リスト取得手段と、取得した前記文書リストを前記画像形成装置に送信する文書リスト送信手段と、前記画像形成装置から選択された文書の印刷指示を受け付ける印刷指示受付手段と、前記受け付けた印刷指示対象の文書を前記第2のシステムから取得する文書取得手段と、取得した文書を印刷対象とする印刷指示を前記論理プリンタに対して送信する印刷指示送信手段と、を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
請求項に係る発明は、第1の認証を行う第1のシステムに接続された画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段と、第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段と、取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段と、前記第2のシステムの論理プリンタで生成された印刷対象の印刷データを受け取り、受け取った前記印刷データを接続された前記画像形成装置に送信する送信手段と、を備える情報処理システムである。
請求項に係る発明は、コンピュータを、画像形成装置が接続された第1の認証を行う第1のシステムでのユーザの識別情報である第1情報を含んだ設定情報と出力先として前記画像形成装置とが設定された第2の認証を行う第2のシステム内の論理プリンタにより生成された前記第1情報を含む印刷データを取得する印刷データ取得手段、前記取得した前記第1情報を含む印刷データを、接続された前記画像形成装置に送信する送信手段、として機能させるためのプログラムである。
請求項に係る発明は、請求項に記載のプログラムであって、前記コンピュータを、さらに、第1の認証を行う第1のシステムに接続された前記画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段、第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段、取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段、として機能させるためのプログラムである。
本発明によれば、第1の認証を行う第1のシステムに接続された画像形成装置が第2の認証を行う第2のシステムから印刷データを取得して印刷する場合において、その印刷に関する処理を第1の認証におけるユーザ識別情報(第1情報)を用いて管理できる。
実施形態のシステム構成の一例を示す図である。 実施形態の画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。 実施形態における印刷処理の流れの一部を示す図である。 実施形態における印刷処理の流れの一部を示す図である。 実施形態における印刷処理の流れの一部を示す図である。 変形例のシステム構成及び印刷処理の流れを示す図である。 変形例における仲介装置の機能構成の一例を示す図である。
図1を参照して、この実施形態のシステムの構成の一例を説明する。例示するシステムは、ある会社の社内ネットワーク100と、クラウドプリントサービス200と、クラウドレポジトリサービス300とを含んでおり、これらはインターネット400に接続されている。
社内ネットワーク100は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)として構成されている。社内ネットワーク100には、PC(パーソナルコンピュータ)、画像形成装置110、集計装置150その他のサーバが接続されている。
ここで例示する会社は複数のユーザを含んだ「組織」の一例であり、社内ネットワーク100に接続されたPC、画像形成装置110、集計装置150等が、その「組織」の内部の情報システムを構成している。
画像形成装置110は、入力される印刷データを用紙に印刷する装置である。画像形成装置110は、印刷機能以外の機能を備えていてもよい。例えば、画像形成装置110は、印刷機能の他にスキャン機能、複写機能、ファックス送信機能、電子メール送信機能を備える、いわゆるデジタル複合機であってもよい。図には画像形成装置110を1つしか示していないが、社内ネットワーク100には複数の画像形成装置110が接続されていてもよい。画像形成装置110は、自身のUI(ユーザインタフェース)部112(図2参照)で受け付けたユーザからの指示に応じて複写、スキャン、印刷等の処理を実行する機能を持つ他に、社内ネットワーク100内のコンピュータからの指示に応じて印刷等の処理を実行する機能を持つ。また、画像形成装置110は、インターネット400上のクラウドプリントサービス200から印刷データを取得して印刷出力する機能を備える。
さて、会社に所属する各ユーザ(この場合は個人)は、それぞれその会社内で固有の(すなわち会社内で一意な)ユーザID(以下「社内ID」と呼ぶ)を割り当てられている。例えば社員番号等がその一例である。画像形成装置110は、社内IDを用いてユーザ認証を行うための機能を備えている。そして、当該装置を使用しようとするユーザに認証情報の提示(例えばUI部112からの社内ID及びパスワードの入力、あるいはICカード認証)を求め、この提示に応じてユーザ認証を行うことで、ユーザの社内IDを特定し、特定した社内IDを、実行した処理の履歴(ログ)情報等に含めて、自装置内或いは社内ネットワーク100内の集計装置150等に記録する。記録された履歴情報は、社内での画像形成装置110の利用状況の管理又は課金管理等のために、集計装置150により集計される場合もある。集計は、例えば、個々の履歴情報に記録された社内IDに基づいて、ユーザごと、或いはユーザが属する部門(会社内の部や課など)ごとに行われる。
クラウドプリントサービス200は、インターネット等のネットワーク上で、ユーザに対してプリントサービスを提供するシステムである。クラウドプリントサービス200は、一般的には複数のコンピュータからなるシステムであるが、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。例えばGoogle Cloud Printがクラウドプリントサービス200の一例である。
クラウドプリントサービス200は、例えば、ユーザから印刷対象として指定された文書データ(例えばワードプロセッサや表計算のソフトウエアで作成されている)を、画像形成装置110で取扱可能なページ記述言語(例えばPDF(Portable Document Format)、PostScript(登録商標))のデータ形式に変換する機能、受け付けた印刷指示に対応する印刷ジョブを生成しその実行状態等を管理する機能(例えばキュー管理)等を、ユーザに対して提供する。クラウドプリントサービス200は、プリントサービスのための諸機能を実現する論理プリンタ(プリンタオブジェクトとも呼ばれる)210を生成し、管理する。論理プリンタ210には、その論理プリンタを利用する1以上のユーザが登録される。クラウドプリントサービス200内には、一般に複数の論理プリンタ210が保持されており、それら各論理プリンタ210は、それぞれ、自身に登録された1以上のユーザにより利用される。
また、論理プリンタ210には、その論理プリンタのキューに保持された印刷ジョブを出力する、物理的な画像形成装置110が1以上登録されてもよい。この場合、論理プリンタ210は、登録された画像形成装置110についての管理情報を保持する。管理情報には、例えば、画像形成装置110の識別情報(例えばプリンタ名)、画像形成装置110が有する能力(機能)を示す能力情報等が含まれる。能力情報には、例えば、両面印刷が可能か否か、フルカラー印刷が可能か否か、保持している用紙サイズ、などの情報が含まれる。また、画像形成装置110が、後処理装置を備えている場合、その後処理装置が有する能力(例えばステープル留め、パンチ穴開け、折り機能等)についての情報も含まれる。
ユーザは、クラウドプリントサービス200に自分のアカウントを登録(作成)する。アカウント作成の際に、ユーザは、クラウドプリントサービス200において一意なユーザID(以下「クラウド用ID」と呼ぶ)を登録する。クラウドプリントサービス200は公衆用サービスであり、そのユーザID管理は、1企業の社内ネットワーク100でのユーザ管理からは独立しているので、クラウド用IDと社内IDは一般に同一ではない。例えば、当該会社内のユーザが社内IDと同じ文字列からなるユーザIDをクラウドプリントサービス200に登録しようとしても、既に他人に割当済みなどの理由で登録できない場合があり得る。
クラウドプリントサービス200は、ユーザからの指示に応じて論理プリンタ210を作成する。クラウドプリントサービス200は、個々の論理プリンタ210ごとに、当該論理プリンタ210を利用可能なユーザとして登録された各ユーザのクラウド用IDを記憶する。また、既存の論理プリンタ210に対して、ユーザ登録の権利を持つユーザからの指示に応じて、既存の論理プリンタ210に対して、その論理プリンタ210を使用可能とするユーザを登録してもよい。
ユーザは、インターネット400上(社内ネットワーク100の外)のPCや携帯端末、或いは社内ネットワーク100内のPCや画像形成装置110から、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用いて、インターネット400経由でクラウドプリントサービス200に対して自分のクラウド用IDでログインし、そのクラウド用IDに対応づけられた論理プリンタ210(複数存在する場合もある)の中から選んだ論理プリンタ210に対して印刷指示を行う。印刷指示には、印刷対象の文書データ、又はその文書データを特定する情報(例えばインターネット400上での当該文書データの格納場所の情報(例えばURL:Uniform Resource Locator))等のように、印刷対象を指定する情報が含まれる。ここで、例えば、文書データは、後述するクラウドレポジトリサービス300に存在する場合もある。論理プリンタ210は、その印刷指示に応じて印刷ジョブを生成し、管理する。印刷ジョブは、論理プリンタ210内で印刷指示を管理するための単位であり、一意なジョブIDを付与される。論理プリンタ210は、ジョブIDに対応づけて、印刷対象の文書データの情報、その文書データを変換して得たページ記述言語データ、印刷指示を行ったユーザのクラウド用ID、印刷ジョブの実行状態(例えば、未実行、実行中、実行完了、エラー、等の状態)等の情報を管理する。
論理プリンタ210は、保持する印刷ジョブをユーザの指示する出力先の物理的な装置としてのプリンタ(以下「物理プリンタ」と呼ぶ)に対して送信して印刷させたり(プッシュ方式)、物理プリンタからの取得要求に応じてその印刷ジョブをそのプリンタに提供したり(プル方式)する。例えば、社内ネットワーク100内の画像形成装置110は一般的にファイアウォール内にあるので、論理プリンタ210の印刷ジョブを画像形成装置110にて印刷する場合には、画像形成装置110からHTTP等のプロトコルでクラウドプリントサービス200にアクセスして印刷ジョブを取得するという、プル方式での印刷が行われる。
クラウドレポジトリサービス300は、インターネット400上で、ユーザに対してレポジトリサービスを提供するシステムである。レポジトリサービスは、データやプログラム等を保管するサービスであり、オンラインストレージサービスとも呼ばれる。クラウドレポジトリサービス300は、一般的には複数のコンピュータからなるシステムであるが、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。クラウドレポジトリサービス300の例としては、例えばGoogle Docs(商標)、Dropbox(商標)、Evernote(商標)等がある。
クラウドレポジトリサービス300は、例えばユーザ毎に、当該ユーザからアップロードされた文書データやプログラム等の各種ファイルを保存し、保存したファイルを当該ユーザに対して提供する。ユーザは、クラウドレポジトリサービス300に対してユーザ登録を行うことで当該サービス300において一意なユーザIDを取得し、このユーザIDを用いて当該サービス300にログインし、ファイルのアップロードやダウンロードを行う。クラウドレポジトリサービス300におけるユーザIDは、原理的には社内IDやクラウドプリントサービス200におけるユーザID(クラウド用ID)とは無関係なものである。ただし、Google Cloud PrintとGoogle Docsのように互いに連携しているサービス同士の間では、共通のユーザIDが用いられる。以下では、説明を簡潔にするために、クラウドレポジトリサービス300は、ユーザIDとして、クラウドプリントサービス200と共通のクラウド用IDを用いるものとする。
さて、従来技術の欄で説明した通り、クラウドプリントサービス200に登録された印刷ジョブには、印刷を指示したユーザのクラウド用IDはリンクされているものの、社内IDはリンクされていないのが通常である。その一方、クラウドプリントサービス200を利用して社内ネットワーク100内の画像形成装置110で印刷を行うケースは今後増大してくるものと考えられる。このため、クラウドプリントサービス200経由の印刷に関してユーザの社内IDで記録や集計を行えるようにすることは重要である。
このために、本実施形態では、一例として、社内ネットワーク100内の画像形成装置110からクラウドプリントサービス200経由で印刷を行う場合に、画像形成装置110が印刷指示者の社内IDをクラウドプリントサービス200に渡し、クラウドプリントサービス200から画像形成装置110に印刷データを送る際に、その社内IDが併せて伝達されるようにする。
ただし、クラウドプリントサービス200は、クラウド用IDを用いてユーザ識別を行っており、社内IDはユーザIDとしては認識しないので、画像形成装置110は社内IDをユーザIDとしてクラウドプリントサービス200に渡しても意味がない。そこで、本実施形態では、論理プリンタ210に設定された印刷のための設定情報(例えばその印刷の際に用いる両面印刷、丁合等の機能を表す情報)を、印刷データに対応づけて出力先物理プリンタへ送るという、クラウドプリントサービス200自体がそもそも持っている機能を利用して、社内IDの伝達が行われるようにする。
例えばGoogle Cloud Print は、印刷設定情報(プリントチケット又はジョブチケットと呼ばれる)を論理プリンタ210に対応づけて保持しておき、その論理プリンタ210からその物理プリンタへ印刷データを提供する際に、その印刷設定情報も併せて提供するように構成されている。そして、その設定情報の中にはユーザ側が独自定義可能な要素(独自定義要素と呼ぶ)を組み込むことができる。すなわち、社内IDを含んだ独自定義要素を含んだ設定情報を論理プリンタ210に設定しておくことで、その社内IDを印刷データと共に画像形成装置110に伝達することが可能になる。
ここでは、Google Cloud Printを例に取ったが、論理プリンタが物理プリンタへと送る印刷データにプリントチケットに類するものを対応づけるということは印刷システム全般で広く行われていることであり、他のクラウド型その他の公衆型プリントサービスでも採用される可能性は高い。
ここで、クラウドプリントサービス200内の論理プリンタ210にユーザの社内IDを表す独自定義要素を含んだ印刷設定情報(プリントチケット)を設定する一つの方法として、そのようなプリントチケットを対応づけた論理プリンタ作成指示をクラウドプリントサービス200に送るという方法がある。例えばMicrosoft(登録商標)社の「.NET Framework(商標)」の印刷制御技術を用いる場合、印刷設定情報はPrintTicketクラスのインスタンスとして構成される。論理プリンタ作成指示を受けたクラウドプリントサービス200は、そのプリントチケットが設定された論理プリンタ210を新規に作成する。本実施形態では、一例としてこの方法を用いる。その指示に応じて作成された論理プリンタ210に対して文書データの印刷指示を行うと、論理プリンタ210はその文書データをページ記述言語の印刷データへと変換し、その印刷データをそのプリントチケット(その社内IDを含んでいる)と共に画像形成装置110に送る。
また、別の方法として、プリントチケットではなく論理プリンタ210に対応づけられた物理プリンタの能力情報(両面印刷の可否、カラー印刷の可否等を表す)を表す設定情報の中に社内IDを含む要素が組み込まれた、論理プリンタ210を作成する方法もある。この方法では、画像形成装置110が、自分の能力情報を表す設定情報の中に社内IDを表す要素を組み込み、その設定情報を対応づけた論理プリンタ作成指示をクラウドプリントサービス200に送る。この指示に応じ、クラウドプリントサービス200は、その設定情報が設定された論理プリンタ210を生成する。「.NET Framework(商標)」の印刷制御技術を用いる場合、この設定情報は、PrintCapabilityクラスのインスタンスとして構成される。この方法では、論理プリンタ210を利用して印刷を行おうとするクライアント装置(例えば画像形成装置110)は、まずその論理プリンタ210から、使用しようとする物理プリンタの能力を表す設定情報(例えばPrintCapability)を受け取り、その設定情報に含まれる各種機能の選択肢に対してユーザからの選択を受け付ける。その選択の結果が、その印刷のための印刷設定情報となる。ここで、クライアント装置に提供される設定情報の中に社内IDを表す要素が埋め込まれていれば、それが印刷設定情報に引き継がれる。この印刷設定情報がクライアント装置からクラウドプリントサービス200に送られて論理プリンタ210に設定される。そして、その論理プリンタ210が物理プリンタ(例えば画像形成装置110自身)に対して送る印刷データに対してその印刷設定情報(社内IDを含む)が対応づけられる。
いずれの方法も、論理プリンタ210が画像形成装置110等の物理プリンタに印刷データを送る際に、自分に設定されている設定情報をその印刷データに対応づけて送るという、クラウドプリントサービス200が本来持っている機能を用いている。したがって、この仕組みを実現するのに既存のクラウドプリントサービス200に機能追加等の変更を加える必要はなく、そのような論理プリンタ210の作成をクラウドプリントサービス200に対して指示する機能を、画像形成装置110に追加すればよい。以下、このような機能を備えた本実施形態の画像形成装置110の例を、図2を参照して説明する。
UI部112は、ユーザからのローカルでの操作(すなわち手などによる直接の操作)を受け付けるための仕組みである。例えばUI部112は、タッチパネルや機械的なボタンなどの入力用及び表示用のハードウエアを備えており、それらハードウエアを介してユーザとの間で情報のやりとりを行う。
認証処理部114は、画像形成装置110をローカルで操作するユーザを認証するための処理を行う。このユーザ認証は、クラウド用IDではなく、社内IDを用いて行われる。認証処理部114に対する認証情報の入力方式には、従来知られている方式を用いればよい。例えば、UI部112に対して社内IDとパスワードと入力する方式、又は画像形成装置110に付属するICカードリーダによりユーザのICカード型身分証(社内IDの情報を記憶している)と通信して認証する方式等の様々な方式がある。認証処理部114によりユーザ認証が成功すると、画像形成装置110を操作しているユーザの社内IDが特定される。なお、認証処理部114がユーザ認証を実行する代わりに、認証処理部114から社内ネットワーク100内の認証サーバにユーザ認証を依頼するようにしてもよい。
論理プリンタ設定部126は、ユーザ認証が成功したユーザのために、当該ユーザの社内IDを含んだ設定情報が設定された論理プリンタ210をクラウドプリントサービス200内に設ける(例えば新規に作成する)ための処理を実行する。ここで、そのユーザの社内IDは、前述したユーザ認証の成功によって、画像形成部120にとって既知の情報となっている。そこで、1つの例では、論理プリンタ設定部126は、その社内IDを要素として含んだ設定情報(例えばプリントチケット)を作成し、その設定情報を設定内容として持つ論理プリンタ210を作成する作成指示をクラウドプリントサービス200に送る。クラウドプリントサービス200は、この作成指示に応じて論理プリンタ210を作成するが、その論理プリンタ210には、社内IDの情報を含んだその設定情報が設定されることとなる。
ここで、論理プリンタ210を作成するためには、論理プリンタ設定部126がクラウドプリントサービス200にログインする必要がある。このログインは、論理プリンタ設定部126がそのユーザのクラウド用IDを用いてそのユーザの代理として行ってもよいし、画像形成装置110のクラウド用ID(或いはこの装置110が保持するシステム管理者のクラウド用ID)を用いて行ってもよい。ここで、前者(ユーザの代理としてログイン)の場合、作成される論理プリンタ210は当然そのユーザにより使用できる。一方、後者(画像形成装置110のIDでログイン)の場合、作成される論理プリンタ210は、画像形成装置110の所有物であり、そのままでは、ユーザ認証を行ったユーザはその論理プリンタ210を使用する権利を持たない。そこで、この場合には、論理プリンタ設定部126は、作成した論理プリンタ210に対して、その論理プリンタ210を使用できるアクセス権者として、そのユーザのクラウド用IDを登録する。このようにして作成された論理プリンタ210は、当該ユーザ固有のものとなる(他のユーザは当該論理プリンタ210の使用者として登録されていないので)。
このようにしてユーザのための論理プリンタ210を作成したり、作成された論理プリンタ210をそのユーザが使用して印刷したりするためには、そのユーザのクラウド用IDをクラウドプリントサービス200に提示する必要がある。ユーザのクラウド用IDを取得するには、いくつかの方法がある。
1つの例では、クラウド用IDは、ユーザ認証のための社内ID等の認証情報の入力と共にユーザが画像形成部120に入力すればよい。例えば、画像形成装置110(ひいては社内ネットワーク100)へのログインのための認証情報(すなわち社内ID及びパスワード)をユーザに入力させるためのUI部112のUI画面にクラウド用IDを入力する欄を設け、ユーザにクラウド用IDも併せて入力させる方法がある。このとき、クラウドプリントサービス200のユーザ認証のためのパスワード等の本人証明用情報も併せて入力させるようにしてもよい。
また、別の例では、ICカード型身分証にクラウド用ID(及びこれに対応するクラウドプリントサービス200用の本人証明用情報)を持たせておき、画像形成装置110のICカードリーダ経由で身分証内の社内IDを用いたユーザ認証を行う際に、クラウド用ID等を身分証から取得するようにしてもよい。更に別の例では、社内ネットワーク100内に設けたディレクトリサービスに、社内IDに対応するクラウド用ID(及び場合によってはこれに対応するクラウドプリントサービス200用の本人証明用情報)を登録しておき、このディレクトリサービスからクラウド用IDを得るようにしてもよい。この場合、例えば、論理プリンタ設定部126が、認証処理部114から取得したユーザの社内IDに対応するクラウド用ID等をそのディレクトリサービスから取得する。
論理プリンタ設定部126は、このようにして得たクラウド用IDを用いて当該ユーザの代理として論理プリンタ210を作成する方式、又は自らのIDで作成した論理プリンタ210に対して使用者としてそのユーザのクラウド用IDを設定する方式、等を用いることで、当該ユーザの社内IDを含んだ設定情報が設定された論理プリンタ210を作成する。ここで、前者の場合には、論理プリンタ210の作成の時点で既にそのユーザはクラウドプリントサービス200にログインしているので、その後、印刷指示部128からその論理プリンタ210に対してそのユーザの名前(すなわちクラウド用ID)で印刷指示を行うことができる。一方、後者の場合は、印刷指示部128からその論理プリンタ210に対して印刷指示を行うに先立って、画像形成装置110がそのユーザのクラウド用ID等をクラウドプリントサービス200に送ってログインし、その後印刷指示を行うようにしてもよい。
なお、論理プリンタ設定部126は、論理プリンタ210の作成指示の際に、その論理プリンタ210に対応する物理プリンタとして、当該画像形成装置110自身をその論理プリンタ210に対して登録する。この登録の際に、画像形成装置110の能力情報を論理プリンタ210に設定してもよい。この登録により、クラウドプリントサービス200から画像形成装置110に対して、一意な物理プリンタID(すなわち物理プリンタを一意に識別するID)が付与される。画像形成装置110は、この物理プリンタIDをクラウドプリントサービス200に提示することで、自分が論理プリンタ210に登録済みの物理プリンタであることを証明し、その論理プリンタ210に保持された印刷ジョブを取得する。
論理プリンタ設定部126からクラウドプリントサービス200に対してプリントチケットを含んだ論理プリンタ作成指示を送る方式の場合、クラウドプリントサービス200における論理プリンタ210の作成と同時に、印刷設定(論理プリンタ210に対するプリントチケットの対応づけ)が完了した状態となる。論理プリンタ210に対して印刷指示が入力された場合、その印刷対象の印刷データを、そのプリントチケットと対応づけて画像形成装置110に送ればよい。すなわちこの場合は、後述する画像形成装置110の印刷指示部128による印刷設定は、行わなくてもよい。
また、論理プリンタ設定部126からクラウドプリントサービス200に対して、プリントチケットではなく、画像形成装置110の能力情報を含んだ論理プリンタ作成指示を送る方式の場合、この指示に応じて作成された論理プリンタ210にその能力情報が設定情報として設定されることになる。この設定情報は、後述するように印刷指示部128での印刷設定操作のために画像形成装置110に提供され、印刷指示部128はその設定情報に基づいてユーザからの印刷設定を受け付けてプリントチケットを作成する。そのプリントチケットがクラウドプリントサービス200に送られて論理プリンタ210に対応づけられる。そして、その論理プリンタ210から画像形成装置110に印刷データが提供される際、そのプリントチケットも併せて提供される。
さて、論理プリンタ設定部126は、ユーザのために作成した論理プリンタ210を、ユーザがその論理プリンタの利用を終えた時点で削除してもよい。「利用を終えた時点」には様々な考え方がある。1つの例では、論理プリンタ210の作成後に、その論理プリンタ210から印刷ジョブの取得を正常に完了した時点をその時点としてもよい。また、取得した印刷ジョブの印刷が完了した時点をその時点としてもよい。これらの例では、1つの文書を印刷すると論理プリンタ210が削除されることになるので、複数の文書を印刷する場合には、1文書の印刷毎に論理プリンタ210を作成することとなる。
別の例では、画像形成装置110の認証処理部114によるユーザ認証が解除された時点を、ユーザが画像形成装置110を使用しなくなった時点、ひいては論理プリンタ210の利用を終えた時点と捉える。ユーザ認証の解除は、例えば、ユーザが明示的な認証解除(ログアウト)操作を行った場合や、ユーザの指示に応じた印刷ジョブが完了した後にあらかじめ定められた時間にわたって画像形成装置110に対してユーザの操作が行われなかった場合(タイムアウト)に、行われる。
なお、論理プリンタ210の作成及び削除を1文書ごとに行うか、あるいは認証解除まで待って論理プリンタ210の削除を行うかを、画像形成装置110の設定や、個々のユーザの指示に応じて選択可能としてもよい、
印刷指示部128は、論理プリンタ設定部126により作成された論理プリンタ210を用いた印刷の指示を行う手段である。ここで、画像形成装置110にセットされた文書の複写や、社内ネットワーク100内の文書サーバにある文書データ等の印刷では、社内ネットワーク100の外部にあるクラウドプリントサービス200を用いる理由は基本的にはない。クラウドプリントサービス200を利用する場合として主に想定されるのは、社内ネットワーク100の外にあるデータ記憶装置(図1にはその代表としてクラウドレポジトリサービス300を例示している)内の文書データを印刷する場合である。この場合、印刷指示部128は、ユーザのIDでクラウドレポジトリサービス300にログイン(この例では、前述の通りクラウドプリントサービス200と同じクラウド用IDでログイン可能)し、そのユーザがクラウドレポジトリサービス300に登録している文書データのリストを取得する。そして、取得したリストをUI部112のUI画面に表示し、ユーザにそのリスト中から1以上の印刷対象の文書データを選択させる。そして印刷指示部128は、選択された印刷対象の各文書データを特定する情報を含み、印刷先として先ほど作成した論理プリンタ210を指定した印刷指示を作成し、この印刷指示をクラウドレポジトリサービス300に送る。この印刷指示には、論理プリンタ210を特定する情報として、クラウドプリントサービス200を特定する情報(ドメイン名等)とそのサービス200中での論理プリンタ210のIDが含まれる。このうちクラウドプリントサービス200を特定する情報は(クラウドプリントサービス200にアクセスする必要上)画像形成装置110内にあらかじめ登録されている。一方、論理プリンタ210のIDは、論理プリンタ設定部126が論理プリンタ210の作成を指示した際に、その指示に応じてその論理プリンタ210を作成したクラウドプリントサービス200から、その指示に対する応答として論理プリンタ設定部126に提供される。
また、印刷指示部128は、ユーザから印刷対象文書の選択を受け付ける際に、論理プリンタ210に設定された、今回使用する物理プリンタ(すなわち当該画像形成装置110)の設定情報(能力情報)を取得し、その設定情報から印刷対象の文書の印刷の際の印刷設定の入力を受け付ける画面を生成してUI部112に表示し、印刷設定の入力を受け付けてもよい。プリントチケット(印刷設定情報)ではなく物理プリンタの能力情報をパラメータとして論理プリンタ210の作成を指示した場合には、文書の印刷を指示する際にこのような印刷設定を行う。前述の通り、論理プリンタ210の設定情報(能力情報)には、画像形成装置110が持つ両面/片面、カラー/白黒、使用できる用紙サイズ、ステープル留めの有無等といった各機能の選択肢の情報が含まれており、また社内IDの情報も含まれている。論理プリンタ210は、印刷指示部128に対してその設定情報を提供し、印刷指示部128はその設定情報に基づき、それら各機能の選択肢を選択させる入力部や、印刷部数等の数値を入力させる入力部を含んだUI画面をUI部112に表示させ、ユーザに選択肢の選択や数値入力を行わせる。このような選択及び数値入力の結果が、今回の印刷のための印刷設定となる。印刷指示部128は、その印刷設定の内容を表すプリントチケットを作成する。論理プリンタ210から取得した論理プリンタ210の設定情報の中に社内IDを表す要素が含まれているので、それを元に作成したプリントチケットの中にもその社内IDの要素を残すようにすることができる。作成されたプリントチケットは、クラウドレポジトリサービス300への印刷指示に含めて、クラウドレポジトリサービス300経由でクラウドプリントサービス200内の論理プリンタ210に設定されるようにしてもよいし、直接その論理プリンタ210に設定してもよい。
上述した、社内IDを含めたプリントチケットにより論理プリンタ210の作成と印刷設定を同時に行ってしまう例では、ここで説明したような印刷指示部128での印刷設定の入力(及びそれに応じたプリントチケットの論理プリンタ210への伝達)は不要である。ただし、論理プリンタ210作成時の印刷設定と異なる設定を行いたい場合などには、印刷指示部128にて印刷設定を行うようにしてもよい。
印刷指示を受けたクラウドレポジトリサービス300は、その印刷指示に含まれる情報を用いて、クラウドプリントサービス200のその論理プリンタ210に対して、選択された文書データを印刷対象と指定した印刷指示を行う。
この印刷指示を受けた論理プリンタ210は、それら選択された各文書データを画像形成装置110が取扱可能なページ記述言語の印刷データ(例えばPDF形式のデータ)に変換し、その印刷データと、論理プリンタ210に対して設定されたプリントチケットと、を含んだ印刷ジョブの情報を画像形成装置110に提供する。このプリントチケットには、論理プリンタ210に設定された設定情報に含まれるユーザの社内IDが含まれる。なお、論理プリンタ210から画像形成装置110に対して提供される印刷ジョブの情報には、印刷データ及び/又はプリントチケットの実体データの代わりに、それら実体データの取得のためのURL等の情報を含むものであってもよい。このような印刷ジョブの情報は、画像形成装置110のジョブ受信部118で受信され、ジョブ管理部116に渡される。
ジョブ管理部116は、画像形成装置110に対するUI部112からのローカルの処理指示、またはネットワークを介するリモートの装置からの処理指示に応じてジョブを生成し、そのジョブの実行を管理する。
ユーザ認証を受けたユーザは、UI部112から複写やスキャン等の各種処理を指示可能となる。この処理指示に応じて、ジョブ管理部116がその処理を管理するためのジョブを生成し、キュー管理などのジョブ管理を行う。そして、画像形成装置110の各機構を制御してそのジョブを実行させる。例えば複写指示を受けた場合は、画像形成装置110内のスキャナが起動して原稿を読み取り、読取結果の画像を画像形成部120が用紙上に印刷する。
また、ジョブ管理部116は、社内ネットワーク100を介して他の装置(インターネット400上のクラウドプリントサービス200も含む)からジョブ受信部118にて印刷データを受信し、その印刷データに対応するジョブを生成して管理する。そして、そのジョブの実行順序が来ると、画像形成部120に、そのジョブの印刷データを用紙に印刷させる。
また、ジョブ管理部116は、ジョブ受信部118がクラウドプリントサービス200から取得した印刷指示に対応する印刷データとプリントチケットを受け取り、その印刷データについてのジョブを生成し、そのジョブを画像形成部120に実行させる(すなわち印刷を実行させる)。ここで設定抽出部117は、プリントチケットに含まれる社内IDの値を抽出する。抽出された社内IDは、履歴記録等に用いられる。また、設定抽出部117がプリントチケットから印刷設定の情報を抽出し、ジョブ管理部116が画像形成装置110を制御してその印刷設定に従った動作を行わせるようにしてもよい。
履歴記録処理部122は、ジョブ管理部116の管理に応じて実行された各ジョブについての処理履歴(ログ)情報を、履歴記憶部124に記録する。記録されるログ情報には、当該ジョブの実行を指示したユーザの社内IDの情報が含まれる。また、ログ情報には、当該ジョブの実行日時、印刷処理の場合の印刷設定情報(両面印刷か否か、カラー印刷か白黒印刷か等)、印刷枚数等といった、画像形成装置の処理履歴管理分野で一般的に記録されている各種項目の情報が含まれる。履歴記憶部124に記憶された各ジョブのログ情報は、例えば、社内の各部門や各ユーザの画像形成装置110の使用量や課金額の集計のために用いられる。この集計は、例えば、社内ネットワーク100内の集計装置150により行われる。集計では、履歴記憶部124に記憶されたログ情報ごとに、ログ情報に含まれる社内IDにより当該ログ情報に係るジョブを実行したユーザ及び必要に応じてそのユーザの所属部門を特定し、特定したユーザ及び部門の使用量(課金額)集計値に対してそのジョブにおける印刷枚数などの使用量(又はその使用料に応じた課金額)を加算する。
このように、履歴記憶部124は、ジョブの指示元のユーザを特定するIDとして、当該ジョブの社内IDが記録される。これにより、社内の組織情報を参照して、ユーザごと、部門ごとの使用量(課金)集計等が実現される。
ここで、ローカルの処理指示や、社内ネットワーク100内の他の装置からの処理指示の場合、その処理指示の情報の中に、指示元のユーザの社内IDが含まれているので、履歴記録処理部122はその社内IDをログ情報に組み込んで記録すればよい。
一方、クラウドプリントサービス200の論理プリンタ210から画像形成装置110に送られてくる印刷データについては、付随するプリントチケットから設定抽出部117が抽出した社内IDをログ情報に組み込めばよい。
なお、図2の例では画像形成装置110内に履歴記憶部124が設けられていたが、この代わりに、社内ネットワーク100内の別の装置(例えば集計装置150)に履歴記憶部124を設け、履歴記録処理部122がその装置にログ情報を書き込むようにしてもよい。
以上、本実施形態の画像形成装置110の構成及び機能について説明した。次に、この画像形成装置110からクラウドプリントサービス200を利用した印刷処理の流れの例を説明する。
まず、図3に示すように、クラウドプリントサービス200を用いてクラウドレポジトリサービス300内の文書データの印刷を行おうとするユーザ500は、社内ネットワーク100内の最寄りの画像形成装置110まで行き、(1)画像形成装置110に対してユーザ認証動作を行う。このユーザ認証動作の際に、ユーザ500は(手入力又はICカード型社員証の提示等により)、画像形成装置110の認証処理部114に対して社内ID(図示例ではユーザ名「hajime」)とクラウド用ID(図示例ではアカウント名「cloud-hajime」)を入力する。なお、前述の通り、画像形成装置110に対するユーザ認証は社内IDベースで行われる。ここではユーザ500がクラウド用IDも併せて入力するとしたが、クラウド用IDは社内のディレクトリサーバから取得してもよい。
ユーザ認証が成功した場合、図3の例では(2)論理プリンタ設定部126が、これから作成しようとする論理プリンタ210の設定情報を、プリントチケット(PrintTicket)550として作成している。この例のプリントチケット550は、XML(eXtensible Markup Language)で記述されるものであり、例えばMicrosoft(登録商標)社の「.NET Framework(商標)」の印刷制御技術において用いられるPrintTicketクラスのインスタンスとして作成されている。PrintTicketクラスは、対象となる印刷ジョブに対して適用する印刷設定(そのジョブにおいて使用するデバイスの構成空間)を規定するものであるが、ここではそれをこれから作成しようとする論理プリンタ210の設定に流用している。例えば図示のプリントチケット550の上から2,3行目の記述では、画像形成装置110が持つ"psk:DocumentCollate"(印刷出力の丁合)という名前の機能に関して、"psk:Collated"(丁合を行う)という選択肢が選択されていることを示している。すなわち、このプリントチケット550が適用される印刷ジョブでは、画像形成装置110に対して、印刷結果の用紙に対して丁合が行われる。画像形成装置110は、ユーザ認証後に印刷設定の入力画面を表示し、ユーザから印刷設定の入力を受け付け、その印刷設定をこのような形でプリントチケット550に組み込む。
また、図3に例示するプリントチケット550の記述の上から5〜9行目は、ユーザの社内IDを記述する要素である。この例では、ユーザ情報を表す"fx:UserInfo"という名前の要素の中に、社内ID属性を表す"fx:UserID"という名前の要素が設けられ、この社内ID属性の要素の中に、その社内IDの値である"hajime"という文字列を含んだ要素が含まれている。これら5〜9行目の要素については、クラウドプリントサービス200はその内容を理解したり、その内容に従った制御を実行したりする必要はなく、社内ネットワーク100側で独自に定義した要素であってよい。
クラウドプリントサービス200は、作成した論理プリンタ210にそのプリントチケット550を設定しておき、後でその論理プリンタ210に対して印刷指示が到来した場合、印刷指示に応じて作成した印刷データに対してそのプリントチケット550を対応づけて画像形成装置110に提供すればよい。
プリントチケット550が生成されると、図4に示すように、(3)画像形成装置110の論理プリンタ設定部126は、論理プリンタを新規に作成する指示と共にそのプリントチケット550をクラウドプリントサービス200に送る。この指示を受け取ったクラウドプリントサービス200は、論理プリンタ210を新規に作成し、作成した論理プリンタ210に対してそのプリントチケット550を設定する(例えば論理プリンタ210のIDに対応づけてプリントチケット550を保存)。このプリントチケット550には、上記(1)でユーザ認証したユーザの社内ID"hajime"が含まれている。また、論理プリンタ設定部126は、その論理プリンタ210に対して、上記(1)のユーザ認証の際に取得した当該ユーザのクラウド用ID"cloud-hajime"を、当該論理プリンタ210の使用権限を有する者(例えば共有者)として設定する。
次に、(4)印刷指示部128が、クラウド用ID"cloud-hajime"を用いてクラウドレポジトリサービス300にログインし、そのサービス300に保存されている文書データのうち"cloud-hajime"が印刷権を持つものの検索を指示する。これに応じ、クラウドレポジトリサービス300は、検索を実行し、検索結果の文書データのリストを印刷指示部128に提供する。このリストは、例えば、文書の選択及び印刷指示を行うためのウェブページとして提供される。印刷指示部128は、そのリストをUI部112の画面に表示し、ユーザから、そのリスト中で印刷対象とする1以上の文書の選択を受け付ける。
印刷対象の1以上の文書データをユーザが選択し終え、UI部112に対して印刷実行の指示を入力すると、(5)印刷指示部128は、選択された1以上の文書データを示す情報と、印刷処理を行うクラウドプリントサービス200内の論理プリンタ210(上記(3)で作成されたもの)を特定する情報と、を含んだ印刷指示をクラウドレポジトリサービス300に送る。
(6)その印刷指示に応じ、クラウドレポジトリサービス300は、選択された各文書データ(又はそれを特定するURL等の情報)を含んだ印刷指示を、指定された論理プリンタ210に対して送る。
この印刷指示を受け取った論理プリンタ210は、図5に示すように、(7)印刷指示の対象の文書データを画像形成装置110で印刷出力可能なPDF等のデータ形式の印刷データ(図中では「プリント可能文書」と表記)に変換する。そして、この印刷データと、当該論理プリンタ210に設定されたプリントチケットとを合わせた出力可能文書データを生成する。
(8)生成された出力可能文書データが、論理プリンタ210から画像形成装置110に提供される。ここで、画像形成装置110が社内ネットワーク100のファイアウォール内にあり、論理プリンタ210からそのファイアウォールを越えて出力可能文書データを画像形成装置110に送信することができない場合には、次のようにすればよい。例えば1つの例では、論理プリンタ210は、出力可能文書データが準備できた旨を表すメッセージを、ファイアウォールを通過可能なプロトコルを用いて出力先の画像形成装置110に送り、そのメッセージを受けた画像形成装置110がHTTP等のファイアウォールを通過可能なプロトコルを用いて論理プリンタ210に出力可能文書データを要求し、その要求に対する返信として出力可能文書データを取得する。ここで、論理プリンタ210が作成される際に、画像形成装置110のアドレスが論理プリンタ210に登録されているので、論理プリンタ210はそのアドレスを用いて画像形成装置110にメッセージを送ればよい。また、別の例として、画像形成装置110がHTTP等のプロトコルを用いて定期的に論理プリンタ210にアクセス(ポーリング)し、自装置宛の出力可能文書データがあればそれを取得するようにしてもよい。
(9)図5の例では、画像形成装置110が論理プリンタ210から出力可能文書データの取得を正常に完了した時点(その直後)に、クラウドプリントサービス200に対してその論理プリンタ210の削除を指示する。論理プリンタ210の削除のタイミングはこの例に限らず、上述のように、ユーザ認証が解除された時点で削除するようにしてもよい。いずれにしても、印刷を指示したユーザがその論理プリンタ210の利用を終えた時点で論理プリンタ210が削除されることになる。
仮に作成した論理プリンタ210を削除しないと、その論理プリンタ210が何らかの手段により他のユーザにより利用される可能性があり、その場合、本当は他のユーザの利用であるにもかかわらず、履歴記憶部124には論理プリンタ210の設定に含まれる社内IDのユーザによる利用として記録されてしまう。これに対し、上記(9)のようにユーザが利用を終えた論理プリンタ210を直ちに削除することとすれば、そのような他人による利用による弊害が回避される。
(10)出力可能文書データを取得した画像形成装置110は、そのデータに従って用紙に対する印刷を行う。そして、その印刷処理の履歴情報を履歴記憶部124に記録する。ここで、その履歴情報における、印刷を指示したユーザを表すユーザID項目としては、その出力可能文書データ内のプリントチケットに含まれる社内IDの値を記録する。これにより、その印刷処理はその社内IDのユーザによるものとして記録され、集計装置150でもその社内IDに従って集計が行われることになる。
以上説明したように、本実施形態では、論理プリンタ210に設定されたプリントチケット550等の設定情報を画像形成装置110に対して印刷データと共に提供するというクラウドプリントサービス200の仕組みを利用して、クラウドプリントサービス200が本来管理していないユーザの社内IDを、印刷データと対応づけて画像形成装置110に提供する。
また、本実施形態では、ユーザの社内IDを含んだ論理プリンタ210の利用が終了した時点でその論理プリンタ210を削除するので、その論理プリンタ210がそのユーザ以外の者に利用されてしまうリスクが極めて低い。
また、本実施形態では、ユーザが印刷を行うそのときの画像形成装置110の機能を反映した印刷設定の情報をプリントチケット550に含めて論理プリンタ210に設定するので、その論理プリンタ210はその最新時点での画像形成装置110の機能を反映したものとして機能する。
なお、以上に説明した図3〜図5の例では、印刷指示部128はクラウドレポジトリサービス300上の文書のみのリストを画像形成装置110のUI部112からユーザに提示し、印刷対象の文書の選択を受け付けたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、印刷指示部128は、クラウドレポジトリサービス300及び社内ネットワーク100上の文書サーバからそれぞれ当該ユーザが印刷権を持つ文書のリストを取得し、それら社外及び社内に保存された文書をまとめたリストをUI部112に表示し、そのリストから印刷対象の選択を受け付けるようにしてもよい。この場合、クラウドレポジトリサービス300上の文書が印刷対象として選択された場合は、上述のようにしてクラウドプリントサービス200を用いて印刷処理が行われ、社内サーバ上の文書が選択された場合は従来の方法で画像形成装置110がそのサーバから文書を取得して印刷する。
また、図3〜図5の例では、ユーザが画像形成装置110に対してユーザ認証を行うと、論理プリンタ設定部126が自動的にクラウドプリントサービス200にそのユーザ用の論理プリンタ210を作成したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、ユーザ認証が成功しても直ちには論理プリンタ210の作成は行わず、UI部112の機能メニューにてクラウドプリントサービス200が選択された場合に初めて論理プリンタ210の作成を行うようにしてもよい。この例では、クラウドプリントサービス200以外のメニュー項目、例えば複写、或いは社内ネットワーク100の文書サーバ上の文書の印刷、等が選択された場合には、論理プリンタ210の作成は行わない。また、この例では、ユーザ認証の時点ではクラウド用IDの入力は求めず、クラウドプリントサービス200が選択されたときにクラウド用IDの入力を求めるようにしてもよい。
次に、図6及び図7を参照して上記実施形態の変形例を説明する。この変形例のシステムは、仲介装置600を備えている。仲介装置600は、上記実施形態では画像形成装置110が内蔵していたクラウドプリントサービス200やクラウドレポジトリサービス300とのやりとりのための機能(例えば論理プリンタ設定部126や印刷指示部128)を、画像形成装置110の外部のシステムとして実現したものである。画像形成装置110は、クラウドプリントサービス200を用いた印刷を行う場合、仲介装置600にそのための処理を依頼する。
仲介装置600は、インターネット400上のサービス(単体のサーバ、又は複数のコンピュータからなるクラウドシステムにより構成される)として実現してもよいし、社内ネットワーク100上のサーバとして実現してもよい。また、以下に説明する仲介装置600の機能を果たすコンピュータを、画像形成装置110の筐体内に内蔵してもよい。
仲介装置600は、図7に示すように、クライアントIF(インタフェース)部602、レポジトリIF部604、及びプリントIF部610を含んでいる。クライアントIF部602は、クラウドプリントサービス200経由の印刷を実現するために必要なクライアント装置(すなわちこの場合は画像形成装置110)との間での通信や処理を行う機能モジュールである。クライアントIF部602は、例えばウェブサービスの形で、画像形成装置110からクラウド利用の印刷のためのインタフェースを提供する。レポジトリIF部604は、クラウドレポジトリサービス300との通信及び処理を行う機能モジュールである。プリントIF部610は、クラウドプリントサービス200との通信及び処理を行う機能モジュールである。プリントIF部610は、論理プリンタ設定部612及び印刷指示処理部614を備え、これらは上記実施形態の画像形成装置110の論理プリンタ設定部126及び印刷指示部128と同様の機能を備える。
再び図6の説明に戻る。(1)ユーザ500が画像形成装置110のところまで来てユーザ認証を成功させ、当該装置110のUI画面からクラウドプリントサービス200を利用した印刷の実行を選択すると、(2)画像形成装置110は、仲介装置600に対して印刷のための文書リストの取得依頼を送信する。この文書リスト取得依頼は、クラウドプリントサービス200を利用した印刷セッションの開始を指示するものであり、その取得依頼の情報にはユーザ認証により確認されたそのユーザの社内IDと当該ユーザのクラウド用IDの情報が含まれる。(3)仲介装置600のクライアントIF部602がその取得依頼を受け取ると、レポジトリIF部604が、あらかじめ設定されているクラウドレポジトリサービス300に対し、当該ユーザのクラウド用IDを用いてログインし、そのサービス300が保存している文書のうちそのユーザが印刷権を持つ文書のリストを取得する。(4)取得された文書リストは、クライアントIF部602から画像形成装置110に提供される。(5)画像形成装置110は、その文書リストをUI画面に表示し、ユーザから印刷対象の1以上の文書の選択を受け付ける。(6)選択を受けた画像形成装置110は、選択された1以上の文書を対象とした印刷指示を仲介装置600に送る。(7)その印刷指示を受け取った仲介装置600では、レポジトリIF部604が、選択された文書の実体データをクラウドレポジトリサービス300から取得する。
(8)また仲介装置600内の論理プリンタ設定部612が、上記(2)のステップで取得した当該ユーザの社内ID(「ユーザ名」)を表す要素を含んだプリントチケット550を作成する。ここで、上記(5)の印刷文書の選択の際などに、ユーザ500から印刷設定の入力を受け付け、上記(6)の印刷依頼と共にその印刷設定を仲介装置600に送り、論理プリンタ設定部612がその印刷設定の情報をプリントチケット550に組み込んでもよい。
(9)そして、そのプリントチケットを関連づけた論理プリンタの作成指示をクラウドプリントサービス200に送る。これにより、クラウドプリントサービス200内にそのユーザの今回の印刷のための論理プリンタ210が作成される。この論理プリンタ210には、そのプリントチケットが設定される。また、論理プリンタ設定部612は、作成された論理プリンタ210を使用するユーザとして、そのユーザのクラウド用IDをその論理プリンタ210に設定する。(10)論理プリンタ210が作成されると、仲介装置600の印刷指示処理部614は、その論理プリンタ210に対して、上記(7)で取得した各文書データを印刷対象として含んだ印刷指示を送信する。
(11)その印刷指示を受け取った論理プリンタ210は、それら印刷対象の文書ごとに、当該文書データを画像形成装置110で取扱可能な印刷データに変換し、その印刷データに対し、その論理プリンタ210に設定されているプリントチケットを付加することで出力可能文書を生成する。
(12)印刷対象の出力可能文書が生成されると、仲介装置600の印刷指示処理部614は、その出力可能文書を取得する(あるいはクラウドプリントサービス200が、生成した出力可能文書を仲介装置600に転送する)。この取得(又は転送)は、印刷対象として選択された文書の数だけ繰り返される。(13)すべての文書についての出力可能文書の取得が完了すると、仲介装置600の論理プリンタ設定部612は、上記(9)で作成した論理プリンタ210の削除をクラウドプリントサービス200に指示する。
(14)仲介装置600のクライアントIF部602は、上記(12)で出力可能文書を取得する都度、その出力可能文書を画像形成装置110に提供する。仲介装置600が社内ネットワーク100の外にある場合、この提供は、例えば社内ネットワーク100のファイアウォールを通過するプロトコルで出力可能文書の準備完了の旨のメッセージを画像形成装置110に送り、それに応じて画像形成装置110がHTTP等と用いて仲介装置600にその出力可能文書を要求して取得する等の方法で行えばよい。(15)出力可能文書を取得すると、画像形成装置110はそれを印刷する。そして、その出力可能文書内のプリントチケットから社内IDを抽出し、その印刷の履歴情報にその社内IDを含めて記録する。
以上の例では、仲介装置600はクラウドプリントサービス200から取得した出力可能文書をそのまま画像形成装置110に提供した。この仕組みが成り立つには、画像形成装置110が、出力可能文書に含まれるプリントチケット等の印刷スキーマに対応している必要がある。画像形成装置110が旧式である等によりその印刷スキーマに対応していない場合も想定するならば、仲介装置600が、その出力可能文書(特にその中のプリントチケット)を、社内ネットワーク100内の画像形成装置110が対応している形式に変換し、画像形成装置110に提供するようにしてもよい。
以上、仲介装置600を有するシステムの例を説明した。以上の例では、ユーザが選択したすべての文書についての出力可能文書の取得が完了すると、仲介装置600が論理プリンタ210を削除したが、これは一例に過ぎない。例えば、ユーザがいったん1以上の文書を選択して印刷指示を行った後、続けて別の文書を選んで次の印刷指示を行う場合もあり、このような場合に印刷指示に係る文書取得完了の都度論理プリンタ210を削除していたのでは、次の印刷指示の際に論理プリンタ210を再度作成することになる。このような煩雑さを避けるために、上記実施形態の場合と同様、ユーザが画像形成装置110を使用しなくなったことを明示的な認証解除やタイムアウト等により検知し、その検知に応じて仲介装置600が論理プリンタ210を削除するようにしてもよい。
この変形例では、以上のような仲介装置600を設けることで、既存の画像形成装置110に特段の変更を加えることなく(変更があるとすれば、操作メニューのうちの「クラウド利用の印刷」の項目に仲介装置600のURLと対応づけて記憶させる程度のこと)、クラウドプリントサービス200を利用した印刷について、社内IDを含んだ履歴情報を記録されるようになる。
また、仲介装置600は、上記(6)で画像形成装置110から印刷依頼を受けた文書の数を把握しているので、クラウドプリントサービス200からその数の出力可能文書の取得(或いは印刷出力)が完了したことを把握することができ、その完了の時点でクラウドプリントサービス200に論理プリンタ210の削除を指示することができる。
なお、クラウド利用の印刷のための管理を画像形成装置110が行う上述の実施形態では、クラウドレポジトリサービス300への印刷指示がUI部112のウェブブラウザからHTTPリクエストとして送出されるような態様もあり得る。この態様では、ウェブブラウザは、単にHTTPリクエストを送出しているだけであり、そのリクエストの中にいくつの文書を印刷対象として指定されているかまでは解析しないので、画像形成装置110は、仲介装置600のように選択された数の文書のデータをクラウドプリントサービス200から取得したかどうかを判定できない。したがって、このような場合に、複数の文書を一度に選択した印刷指示に対応するには、ユーザが画像形成装置110を使用しなくなったことを検知して論理プリンタ210を削除する方式を用いればよい。また、この代わりに、仲介装置600の機能を画像形成装置110に内蔵することで対応してもよい。
以上に説明した実施形態及び変形例は、クラウドプリントサービス200とクラウドレポジトリサービス300のユーザIDが同じである場合の例であったが、そうでない場合にも実施形態及び変形例の仕組みは適用可能である。この場合、例えば、クラウドレポジトリサービス300用のユーザIDをユーザに入力させてもよいし、ICカードから読み取ってもよいし、社内ネットワーク100内のディレクトリサービスから、認証した社内IDに対応するクラウドレポジトリサービス300用のユーザIDを検索してもよい。
また、以上では、ユーザがクラウド利用の印刷を行う際に、そのユーザのための論理プリンタ210を「作成」し、用が済むとその論理プリンタ210を「削除」したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、社内ネットワーク100の管理者や画像形成装置110のクラウド用IDで、クラウドプリントサービス200内に、その画像形成装置110に対応づけた論理プリンタ210を作成しておき、各ユーザがクラウド利用の印刷を行おうとする都度、その論理プリンタ210をそれら各ユーザのためのものとして使い回すようにしてもよい。この場合、論理プリンタ設定部126又は612は、画像形成装置110のユーザ認証を受けたユーザの社内IDを要素として含んだ設定情報(例えばプリントチケット)をクラウドプリントサービス200に送ることで、その画像形成装置110に対応づけられた論理プリンタ210の設定情報を更新する。この更新処理により、論理プリンタ210は、そのユーザの社内IDを含んだ設定情報を持つものとなる。この論理プリンタ210を用いれば、画像処理装置110に対してそのユーザの社内IDを含んだプリントチケットが印刷データと共に伝達されることになる。また、この例では、そのユーザがその論理プリンタ210の利用を終えると(例えば画像形成装置110が出力可能文書を取得完了した場合、或いは画像形成装置110における当該ユーザの認証が解除された場合等)、その論理プリンタ210の設定情報から少なくともその社内IDが削除されるよう、設定情報の更新処理を行う。また、この更新の際に、論理プリンタ210の使用権利者(共有者)の設定からそのユーザのクラウド用IDを削除するようにしてもよい。このような処理により、そのユーザの利用後に仮にその論理プリンタ210が他者により利用されたとしても、その他者の利用による処理の履歴がそのユーザの名前で記録されることはない。
以上に例示した画像形成装置110の情報処理機能部分(図2の例では画像形成部120以外の機能モジュール群を実行する部分)及び仲介装置600は、例えば、汎用のコンピュータに当該装置の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
100 社内ネットワーク、110 画像形成装置、112 UI部、114 認証処理部、116 ジョブ管理部、117 設定抽出部、118 ジョブ受信部、120 画像形成部、122 履歴記録処理部、124 履歴記憶部、126 論理プリンタ設定部、128 印刷指示部、150 集計装置、200 クラウドプリントサービス、210 論理プリンタ、300 クラウドレポジトリサービス、400 インターネット。

Claims (8)

  1. 画像形成装置が接続された第1の認証を行う第1のシステムでのユーザの識別情報である第1情報を含んだ設定情報と出力先として前記画像形成装置とが設定された第2の認証を行う第2のシステム内の論理プリンタにより生成された前記第1情報を含む印刷データを取得する印刷データ取得手段と、
    前記取得した前記第1情報を含む印刷データを、接続された前記画像形成装置に送信する送信手段と、
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  2. 請求項1記載の送信手段は、
    前記取得した印刷データを、接続された前記画像形成装置に対応した形式に変換し、この変換された印刷データを前記画像形成装置に送信する
    ことを特徴とする情報処理装置。
  3. 請求項1ないし2に記載の情報処理装置は、さらに、
    第1の認証を行う第1のシステムに接続された前記画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段と、
    第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段と、
    取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段と、
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  4. 請求項3記載の情報処理装置はさらに、
    前記ユーザが前記画像形成装置を使用しなくなったことを検知すると、前記設定手段で設定した論理プリンタの削除を前記第2のシステムに対し指示する削除指示手段
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  5. 請求項3記載の情報処理装置はさらに、
    取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより文書リストを取得する文書リスト取得手段と、
    取得した前記文書リストを前記画像形成装置に送信する文書リスト送信手段と、
    前記画像形成装置から選択された文書の印刷指示を受け付ける印刷指示受付手段と、
    前記受け付けた印刷指示対象の文書を前記第2のシステムから取得する文書取得手段と、
    取得した文書を印刷対象とする印刷指示を前記論理プリンタに対して送信する印刷指示送信手段と、
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  6. 第1の認証を行う第1のシステムに接続された画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段と、
    第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段と、
    取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段と、
    前記第2のシステムの論理プリンタで生成された印刷対象の印刷データを受け取り、受け取った前記印刷データを接続された前記画像形成装置に送信する送信手段と、
    を備える情報処理システム。
  7. コンピュータを、
    画像形成装置が接続された第1の認証を行う第1のシステムでのユーザの識別情報である第1情報を含んだ設定情報と出力先として前記画像形成装置とが設定された第2の認証を行う第2のシステム内の論理プリンタにより生成された前記第1情報を含む印刷データを取得する印刷データ取得手段、
    前記取得した前記第1情報を含む印刷データを、接続された前記画像形成装置に送信する送信手段、
    として機能させるためのプログラム。
  8. 請求項に記載のプログラムであって、
    前記コンピュータを、さらに、
    第1の認証を行う第1のシステムに接続された前記画像形成装置に対してユーザ認証のためにユーザが入力した、前記第1のシステムでの前記ユーザの識別情報である第1情報を取得する第1情報取得手段、
    第2の認証を行う第2のシステムでのユーザの識別情報である第2情報を取得する第2情報取得手段、
    取得した前記第2情報を用いて前記第2のシステムにアクセスすることにより前記第2のシステム内の論理プリンタに対し前記取得した第1情報を含んだ設定情報を設定させると共に、前記論理プリンタに対して、前記論理プリンタの使用者の識別情報として、前記取得した第2情報を設定する設定手段、
    として機能させるためのプログラム。
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