JP6059878B2 - ゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明はゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法に関する。
ゴルファーにとってボールの飛距離を延ばすとともにボールを狙った方向・角度に飛ばすことは永遠のテーマである。そのためには、自身のスイングに合ったゴルフクラブを使用することが重要である。
ゴルファーに合ったゴルフクラブを選定することは一般にフィッティングと称されている。このフィッティングを効果的に行うためには、ゴルフクラブの全重量、クラブヘッドの重量、ゴルフクラブの長さなど種々のファクターを考慮する必要があるが、とりわけ、ゴルフクラブのシャフトの物性がフィッティングの良否に大きく影響する。
例えば、シャフトの物性の一つとしてフレックスがある。このフレックスは、シャフトの硬さ(剛性)を表しており、順式フレックスは、図21に示されるように、シャフト20のチップ端20aから129mmの点を荷重点Wとし、この荷重点Wからシャフト20のバット端側に824mmの点を支点Aとし、この支点Aからバット端側に140mmの位置を作用点Bとして、前記荷重点Wに2.7kgfの荷重Wtを掛けたときの前記チップ端20aの変位量である。この変位量F1(この値を順式フレックスという)に対して、或る値f1〜或る値f2までのものをXシャフトとするなどの定義によりフレックスが定められている。
一般に、フレックスは、ヘッド速度の大小に応じて適合する硬さが推奨されており、ヘッド速度が比較的遅いゴルファーには撓みやすいシャフトが勧められ、一方、ヘッド速度が比較的速いゴルファーには硬いシャフトが勧められる。しかし、このフレックスは、統一された規格がなく、メーカー毎に異なる基準で定められている。そして、適合するフレックスの値の選定は、フィッティングを行う者(フィッター)の経験と勘に頼ることが多く、選定結果は客観的ではなく個人差がある。
また、他のシャフトの物性として調子がある。この調子は、図22に示されるように、シャフト20のチップ端20aから12mmの位置を作用点Cとし、この作用点Cからシャフト20のバット端側に140mmの点を支点Dとし、この支点Dからバット端側に776mmの点を荷重点Wとして、当該荷重点Wに1.3kgfの荷重Wtを掛けたときのバット端20bの変位量F2(この値を逆式フレックスという)を求め、このF2と前述したF1(順式フレックス)の値から次の式(1)にしたがいTを計算し、このTの値の大小で先調子なのか、又は手元調子なのかを決めている。
T=F2/(F1+F2)×100 ・・・・・・(1)
この調子を用いたゴルフクラブの選定についても、前述したフレックスを用いる場合と同じく、フィッティングを行う者の経験と勘に頼らざるを得ず、選定結果は客観的ではなく個人差がある。
そこで、フィッティングに際し、ゴルファーに実際にスイングをしてもらい、そのスイングの計測結果からフィッティングを行うことが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1には、ゴルフスイングにおいて用いるゴルフクラブのゴルフクラブモデルを生成するモデル生成ステップと、ゴルフクラブモデルを用いてゴルフスイングを再現するために、ゴルフクラブモデルに所定の境界条件を与えてゴルフクラブモデルのスイング挙動を演算し、ゴルフスイングにおけるゴルフクラブモデルの所望の動的特性値を算出する特性値算出ステップと、この特性値算出ステップを、生成されるゴルフクラブモデルの種類を変えながら繰り返し行うことで複数のゴルフクラブモデルそれぞれについて動的特性値を求める繰り返しステップと、この繰り返しステップで求められた複数の動的特性値のうち、動的特性値の最大値及び最小値を抽出し、当該最大値と最小値との差に基づいて、ゴルフスイングの特徴を分類して評価するスイング評価ステップとを有する、ゴルフスイングの評価方法が開示されている。
また、特許文献2は、クラウン部に、ゴルフクラブシャフトが装着されるホーゼル部が設けられたゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブのスイング評価方法であって、前記ゴルフクラブヘッドを水平面に設置した状態において、ゴルフクラブシャフトの軸線を含むとともに、水平面に対して直交する平面と、ゴルフクラブヘッドのクラウン部とが交わる交線上における少なくとも10mm離れた2点について、ゴルフクラブのスイング時の速度をそれぞれ計測し、前記各点の速度に基づいてスイングを評価するスイングの評価方法が開示されている。
特開2006−230466号公報 特開2009−18043号公報
しかし、特許文献1〜2記載の方法では、用いる装置が大型であり、設置場所が限られる。また、大規模な演算装置が必要であり、コストが高くつくという問題がある。
そこで、本出願人は、3軸回りの加速度及び角速度を計測可能なセンサがグリップに取り付けられたゴルフクラブで実際にボールを打撃してもらい、得られた計測結果からゴルファーのスイングを分析する方法を提案している(特願2011−196727号。以下、「先願発明」ともいう)。この方法により適切にスイングを分析することで、ゴルファーにマッチしたゴルフクラブを選定することができる。
先願発明では、ゴルファーのスイングを分類するために、センサを用いて計測したシャフト軸回りの角速度の時系列波形からインパクト時間を抽出している。具体的には、インパクトの瞬間を含むゴルフスイングの角速度の時系列波形において、シャフト軸(z軸)回りの角速度が最大となる時間が仮インパクト時間として決定される。そして、より精度良くインパクト時間を抽出するために、仮インパクト時間の周辺(仮インパクト時間から所定時間前の時刻から、仮インパクトから所定時間後の時刻までの時間幅)において、x軸回りの角速度ωxが最小となる時間及びz軸回りの加速度が最小となる時間のうち早い方の時間をインパクト時間としている。
ところで、フィッティングを希望するゴルファーがボールを試打するに際し、ボールとクラブフェースが当たった場所(打点)によっては、図23に示されるように、インパクト時ではなくインパクト後にシャフト軸回りの角速度ωzが最大となることがある。図23及び後出する図24は、シャフト軸回りの角速度ωzの時系列波形の一部(インパクト周辺)を示しており、同図において、横軸はデータ取得開始からのデータ番号、縦軸は角速度(deg/s)を表している。図示された例におけるデータのサンプリング周波数は、1000Hzであるので、データひとつ分(1点)が1msecになる。図23の例では、A点が本来抽出すべきインパクト時間であるが、角速度ωzが最大であるB点をインパクト時間であると誤認識する惧れがある。
また、計測に用いるジャイロセンサの測定可能範囲を上回る角速度でスイングした場合などでは、図24に示されるように、センサにレンジオーバーが発生することがある。この場合も、本来抽出すべきインパクト時間はC点であるが、角速度ωzがレンジの最大となったD点をインパクト時間であると誤認識する惧れがある。
そして、正しいインパクト時間が決定されないと、当該インパクト時間を用いて分析されたゴルファーのスイングに基づくフィッティングの精度に影響が出ることも考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、インパクト時間決定の精度を向上させることができる、ゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法を提供することを目的としている。
(1)本発明のゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法(以下、単に「抽出方法」ともいう)は、3軸回りの角速度を計測可能なセンサがグリップに取り付けられたゴルフクラブでゴルフボールを打撃して得られる前記センサからの計測値に基づいてスイングにおけるインパクト時間を抽出する方法であって、
計測したデータの所定の時間幅においてz軸であるシャフト軸回りの角速度ωzがレンジオーバーしているか否かを判定する判定工程と、
判定工程においてレンジオーバーしていると判定された場合に第1の仮インパクト時間を設定し、レンジオーバーしていないと判定された場合に第2の仮インパクト時間を設定する設定工程と、
設定された第1又は第2の仮インパクト時間を基準として、x軸回りの角速度ωx、y軸回りの角速度ωy及びz軸回りの角速度ωzのそれぞれの時系列波形からインパクト時間の3つの候補を取得する候補取得工程と、
3つのインパクト時間の候補から、所定の判断基準にしたがいインパクト時間を決定する決定工程と
を含むことを特徴としている。
本発明の抽出方法では、仮インパクト時間を設定し、この仮インパクトを基準として3つの軸回りの角速度それぞれの時系列波形からインパクト時間の3つの候補を取得し、これら3つの候補から所定の判断基準にしたがってインパクト時間を決定するので、従来におけるレンジオーバーなどの影響を排除して精度よくインパクト時間を決定することができる。これにより、このインパクト時間を用いたスイングの分析を正しく行うことができる。
(2)前記(1)の抽出方法において、前記第1の仮インパクト時間を、角速度ωzの時系列波形においてレンジオーバーが発生した時点の時間とすることができる。
(3)前記(1)又は(2)の抽出方法において、前記第2の仮インパクト時間を、角速度ωzの時系列波形において最大値が現れる時間から第1の所定時間前までに最小値が現れた場合に、当該最小値が表れた時間から第2の所定時間前までに最大値が現れたときの時間とすることができる。
(4)前記(1)の抽出方法において、角速度ωzの時系列波形において最大値が現れる時間から第1の所定時間前までに最小値が現れない場合に、当該最大値を第2の仮インパクト時間とすることができる。
(5)前記(3)又は(4)の抽出方法において、前記第1の所定時間を10〜30msecとし、第2の所定時間を20〜40msecとすることができる。
(6)前記(2)の抽出方法において、角速度ωxの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第1の仮インパクト時間前後の第1の所定時間幅において最初の極大値が現れる時間から第3の所定時間前までに最小値が現れる時間とし、
角速度ωyの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第1の仮インパクト時間前後の第2の所定時間幅において最初に変極点が現れる時間とし、
角速度ωzの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第1の仮インパクトから第4の所定時間前までに最初に変極点が現れる時間と
することができる。
なお、「極大値」とは、サンプリングしたデータの或る点の、例えば3点前から連続的に増加し、当該或る点を境に2点後まで連続的に減少する場合における「或る点」をいうものとする。
(7)前記(6)の抽出方法において、前記第3の所定時間を1.5〜4.5msecとし、第4の所定時間を30〜50msecとすることができる。
(8)前記(3)又は(4)の抽出方法において、角速度ωxの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第2の仮インパクト時間前後の第1の所定時間幅において最初の極大値が現れる時間から第3の所定時間前までに最小値が現れる時間とし、
角速度ωyの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第2の仮インパクト時間前後の第2の所定時間幅において最初に変極点が現れる時間とし、
角速度ωzの時系列波形から取得されるインパクト時間の候補は、第2の仮インパクト前後の第3の所定時間幅において最初に変極点が現れる時間と
することができる。
(9)前記(6)〜(8)の抽出方法において、前記第1の所定時間幅を、第1又は第2の仮インパクト時間より50msec前から、第1又は第2の仮インパクト時間より20msec後までの時間幅とし、
前記第2の所定時間幅を、第1又は第2の仮インパクト時間より30msec前から、第1又は第2の仮インパクト時間より50msec後までの時間幅とすることができる。
(10)前記(8)又は(9)の抽出方法において、前記第3の所定時間幅を、第2の仮インパクト時間より40msec前から、第2の仮インパクト時間より15msec後までの時間幅とすることができる。
本発明の抽出方法によれば、インパクト時間決定の精度を向上させることができる。
本発明におけるスイング特徴量を計測する方法を説明する図である。 センサが取り付けられたゴルフクラブの一部拡大斜視図である。 (a)は図2に示されるセンサの平面図であり、(b)は同センサの側面図である。 本発明の抽出方法の一実施の形態のフローチャートである。 レンジオーバーしているz軸回りの角速度の時系列波形の例を示す図である。 x軸回りの角速度の時系列波形の例を示す図である。 y軸回りの角速度の時系列波形の例を示す図である。 変極点の求め方を示す図である。 レンジオーバーしていないz軸回りの角速度の時系列波形の例を示す図である。 スイング中のシャフトの撓みの挙動を説明する図である。 適用例に係るフィッティング方法において曲げ剛性が測定されるシャフトの4つの位置を説明する図である。 曲げ剛性の測定方法を説明する図である。 スイングにおけるアドレス及びテイクバックを示す図である。 スイングにおけるトップ及びダウンスイングを示す図である。 スイングにおけるダウンスイング及びインパクトを示す図である。 スイングにおけるフォロースルー及びフィニッシュを示す図である。 スイングにおけるコック方向の角速度の時間経過にしたがう変化を示す図である。 振り易さの評価基準を説明する図である。 「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 順式フレックスの測定方法を説明する図である。 逆式フレックスの測定方法を説明する図である。 シャフト軸回りの角速度の時系列波形の一例である。 シャフト軸回りの角速度の時系列波形の他の例である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の抽出方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の抽出方法は、フィッティングを行うためにゴルファーのスイングの特徴を分析する際に用いられるインパクト時間を精度良く抽出する方法である。ゴルファーに特有のスイングの特徴は後述するように定量的に把握することができ、本明細書では、かかる特徴を「スイング特徴量」と称する。
〔角速度の取得〕
スイング特徴量は、図1に示されるように、ゴルフクラブのフィッティングを希望するゴルファーに実際にスイングをしてもらい、そのスイングから計測することができる。ゴルフクラブ1のグリップエンドには、図2〜3に示されるように、3軸回りの角速度を計測することができるセンサ2がアダプター3を介して取り付けられている。センサ2は、平面視正方形状の箱体からなるケーシング2aを備えており、このケーシング2aは、両面テープ、接着剤、ねじ止めなどによりグリップエンドに固定することができる。図1に示される例では、ゴルファーGは右利きであり、所定位置にセットされたボールBを打撃するためのスイングを開始する直前のアドレス状態である。
センサ2は無線式であり、測定されたデータは、無線により、データ解析装置としてのコンピュータ10に内蔵された無線受信装置(図示せず)に送信される。無線通信として、例えばBluetooth(ブルートゥース(Bluetoothは登録商標である。))の規格及び技術を用いることができる。
センサ2は、3軸方向(x軸方向、y軸方向、及びz軸方向)回りの角速度を計測することができる角速度センサ(図示せず)を内蔵している。センサ2は、更に、A/D変換器、CPU、無線インターフェース、無線アンテナ及び電源を備えている。電源としては、例えばボタン型のリチウムイオン電池などを用いることができる。電池は充電可能なものであってもよい。そして、センサ2は、電池を充電するための充電回路を備えていてもよい。使用可能なセンサ2の例としては、ワイヤレステクノロジー社製のWAA−010(商品名)をあげることができる。
なお、センサ2からの信号を受信する前記無線受信装置は、無線アンテナ、無線インターフェース、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
データ解析装置としてのコンピュータ10は、キーボード4及びマウス5からなる入力部6と、表示部7とを備えている。また、図示していないが、コンピュータ10は、ハードディスク、メモリ、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
センサ2は、x軸、y軸及びz軸の各軸回りの角速度を検知する。これらの角速度はアナログ信号として得られ、このアナログ信号は、センサ2に内蔵されているA/D変換器によってデジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力はCPUに伝達されて1次フィルタリングなどの演算処理が実行される。こうしてセンサ2内で処理されたデータは、無線インターフェースを介して、無線アンテナからコンピュータ10に内蔵された無線受信装置に送信される。
センサ2から送信されたデータは、無線受信装置側の無線アンテナを介して、無線インターフェースによって受信される。受信されたデータは、コンピュータ10のCPUで演算処理される。
コンピュータ10に送られたデータは、ハードディスクなどのメモリ資源に記録される。ハードディスクには、データ処理などに必要なプログラム及びデータなどが記憶されている。このプログラムは、CPUに、必要なデータ処理を実行させる。CPUは、各種の演算処理を実行可能であり、演算結果は、表示部7又は図示しない印刷装置などによって出力される。
センサ2のグリップエンドへの取付に際しては、計測軸とゴルフクラブ1との関係が考慮される。本実施の形態では、センサ2のz軸がゴルフクラブ1のシャフト軸に一致している。センサ2のx軸は、ゴルフクラブ1のヘッド1aのトウーヒール方向に沿うように配向される。また、センサ2のy軸は、ヘッド1aのフェース面の法線方向に沿うように配向される。このようにセンサ2を取り付けることで、演算を簡略化することができる。
本実施の形態では、局座標系が考慮され、この局座標系のx軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系である。本実施の形態では、z軸が前記ゴルフクラブ1のシャフト軸とされ、x軸は、ヘッド1aのトウーヒール方向に沿うように配向される。また、y軸は、ヘッド1aのフェース面の法線方向に沿うように配向される。
すなわち、局座標系のz軸は、センサ2のz軸に一致しており、局座標系のy軸は、センサ2のy軸に一致している。また、局座標系のx軸は、センサ2のx軸に一致している。
センサ2によって、時系列的に連続した複数のデータを得ることができる。単位時間当たりのデータ数は、サンプリング周波数に依存する。
〔インパクト時間の抽出〕
図4は、本発明の一実施の形態に係るインパクト時間の抽出方法のフローチャートである。
まずステップS1において、シャフト軸(z軸)回りの角速度ωzの時系列波形において最大値を抽出する。
ついでステップS2において、ステップS1において抽出された最大値が所定時間(例えば、3msec以上)連続しているか否かが判断される。最大値が所定時間連続することは、図5に示されるように、手首の回転速度が速いなどの理由によりセンサがレンジオーバーしているものと考えることができる。なお、図5に示される例では、横軸を時間としているが、図26〜27に示される例のように時系列波形の横軸がデータ取得開始からのデータ番号である場合、所定周波数のサンプリングにより取得されるデータが何点連続するかでレンジオーバーしているか否かを判断することもできる。
ステップS2において、抽出された最大値が所定時間連続していると判断されると、ステップS3に進み、当該ステップS3において第1の仮インパクト時間が決定される。レンジオーバーしている場合は最大値が連続して続くことから、最初に最大値が現れるタイミング(時間)を第1の仮インパクト時間Eとする。
ついで、ステップS4において、ステップS3で決定された第1の仮インパクト時間Eを用いて、x軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間a1を抽出する。このインパクト時間a1の抽出は、次のようにして行う。
図6は、x軸回りの角速度ωxの時系列波形の一例の一部(インパクト周辺)を示している。ステップS3において、第1の仮インパクト時間Eが決定されると、x軸回りの角速度ωxの時系列波形において当該第1の仮インパクト時間Eに対応する時間を基準として、インパクト時間a1が抽出される。具体的に、まず第1の仮インパクト時間E前後の所定の時間幅(第1の所定時間幅)において最初の極大値が現れる時間を求める。所定の時間幅(第1の所定時間幅)としては、例えば、第1の仮インパクト時間Eより50msec前から、第1の仮インパクト時間Eより20msec後までの時間幅とすることができる。図6では、t1が最初の極大値が現れる時間を示している。
ついで、最初の極大値が現れる時間t1から、所定の時間(第3の所定時間)前までに最小値が現れる時間をインパクト時間a1とする。所定の時間(第3の所定時間)としては、例えば、3msecとすることができる。
ついで、同じくステップS4において、ステップS3で決定された第1の仮インパクト時間Eを用いて、y軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間b1を抽出する。このインパクト時間b1の抽出は、次のようにして行う。
図7は、y軸回りの角速度ωyの時系列波形の一例の一部(インパクト周辺)を示している。ステップS3において、第1の仮インパクト時間Eが決定されると、y軸回りの角速度ωyの時系列波形において当該第1の仮インパクト時間Eに対応する時間を基準として、インパクト時間b1が抽出される。具体的に、第1の仮インパクト時間E前後の所定の時間幅(第2の所定時間幅)において最初に変極点が現れる時間をインパクト時間b1とする。所定の時間幅(第2の所定時間幅)としては、例えば、第1の仮インパクト時間Eより30msec前から、第1の仮インパクト時間Eより50msec後までの時間幅とすることができる。
変極点は、例えば次のようにして求めることができる。図8は、変極点の求め方を示す図である。連続する3点で、真ん中の点を中心として、この中心点と前後の点とのなす角度θを求める。図8における3つの連続する点、(i−2)、(i−1)、(i)は、ほぼ直線上にあることから、点(i−2)と点(i−1)を結ぶ線分と、点(i−1)と点(i)とを結ぶ線分とのなす角度θ≒πである。そして、真ん中に来る点を1点ずつずらして角度θを算出し続ける。変極点以外の点では、θ≒πとなるが、変極点にきたときの角度θは小さくなる。θが最小になったときの点を「変極点」とする。図8の例では、点(i)が変極点である。
ついで、同じくステップS4において、ステップS3で決定された第1の仮インパクト時間Eを用いて、z軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間c1を抽出する。このインパクト時間c1の抽出は、次のようにして行う。
この抽出の前提となっているz軸回りの角速度ωzは、図5に示されるように、レンジオーバーしている。この場合、最大値が最初に現れる時間、すなわちレンジオーバーが発生した時点の時間を第1の仮インパクト時間Eとしているが、この第1の仮インパクト時間Eから所定の時間(第4の所定時間)前までに最初に変極点が現れる時間をインパクトc1とする。所定の時間(第4の所定時間)としては、例えば、40msecとすることができる。なお、変極点は、ステップS5で説明した方法を用いて取得することができる。
一方、ステップS2において、最大値が所定時間連続していないと判断された場合は、ステップS5に進み、第2の仮インパクト時間Eが決定される。この第2の仮インパクト時間Eは、次のようにして決定される。図9は、レンジオーバーしていないz軸回りの角速度の時系列波形の例を示す図であり、同図において、m1が最大値である。この最大値m1が現れる時間t3から、所定時間(第1の所定時間)前までに最小値が現れた場合、この最小値が現れた時間をt4とし、ついでこのt4から所定時間(第2の所定時間)前までに最大値が現れたとき、この最大値が現れた時間を第2の仮インパクト時間Eとする。所定時間(第1の所定時間)としては、例えば20msecとし、所定時間(第2の所定時間)としては、例えば30msecとすることができる。
ついで、ステップS6において、ステップS5で決定された第2の仮インパクト時間Eを用いて、x軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間a2を抽出する。このインパクト時間a2の抽出は、前述したインパクト時間a1と同様にして行うことができる。
ついで、同じくステップS6において、ステップS5で決定された第2の仮インパクト時間Eを用いて、y軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間b2を抽出する。このインパクト時間b2の抽出は、前述したインパクト時間b1と同様にして行うことができる。
ついで、同じくステップS6において、ステップS5で決定された第2の仮インパクト時間Eを用いて、z軸回りの時系列波形からインパクト時間の候補の1つであるインパクト時間c2を抽出する。このインパクト時間c2の抽出は、前後の所定の時間幅(第3の所定時間幅)において最初に変極点が現れる時間とする。所定の時間幅(第3の所定時間幅)としては、例えば、第2の仮インパクト時間Eより40msec前から、第2の仮インパクト時間Eより15msec後までの時間幅とすることができる。
ついで、ステップS7において、ステップS4又はステップS6によって抽出されたインパクト時間の候補a1、b1及びc1、又は、インパクト時間の候補a2、b2及びc2の各組について、抽出に失敗しているインパクト時間のリジェクトを行う。センサにより計測された各軸の時系列波形には、レンジオーバーしているものが含まれていることがあり、かかるレンジオーバーなどにより、1つの時系列波形において抽出ミスが発生した場合、その抽出ミスがインパクト時間の真値に影響を及ぼす可能性がある。そこで、本実施の形態では、このような影響を回避するために、抽出されたインパクト時間の候補の中から抽出に失敗していると考えられるものをリジェクトしている。
具体的に、a1、b1及びc1(a2、b2及びc2についても同様である)の3つの点の中で、最も速く発生している点、及び最も遅く発生している点を決定する。ついで、最も速く(遅く)発生している点が、他の2点に比べて、例えば5msec以上離れていれば、その点はインパクト時間の抽出に失敗していると判断し、リジェクトする。
ついで、ステップS8において、ステップS7で抽出に失敗していないとされた点の中で、最も早いタイミングで発生している点をインパクト時間とする。
〔本発明の抽出方法の適用例〕
本発明の抽出方法は、前述したように、フィッティングにおいてインパクト時間を決定する際に適用することができる。本発明の抽出方法は、センサで計測したシャフト軸回りの角速度からインパクト時間を抽出する方法であれば、特に制限されることなく適用が可能であるが、例えば、ゴルファーのスイング全体に着目する以下のフィッティング方法に好適に用いることができる。
このスイング全体に着目するフィッティング方法は、ゴルフクラブのシャフトの曲げが、トップからインパクトに向けてスイングが進行するにしたがい当該シャフトの手元側から先端側に伝わることに着目している。そして、或るゴルファーのトップからインパクトまでの時間に伴うスイング特徴(スイング特徴の内容については後述する)と、当該ゴルファーにマッチしたシャフトのインチ毎の硬さとの間には相関関係があるという仮定のもと、鋭意研究・検討を重ねた結果、完成されたものである。
すなわち、ボールを打撃するときのゴルファーのスイングは、アドレス→トップ→インパクトと推移するが、その際、ゴルフクラブのシャフトは、当該ゴルフクラブの先端に比較的重量が大きいヘッドが存在するため、その慣性により曲げが生じる。この曲げは、スイングの全過程において、シャフトの同一箇所に生じるのではなく、図10に示されるように、トップからインパクトに向けてシャフトの手元側から先端側に伝わる。換言すれば、トップからインパクトに向けてスイングが進行するにしたがい、シャフトにおける曲げの位置が当該シャフトの手元側から先端側に移動する。
具体的に、アドレスからテイクバックを行い、トップに至った時点(図10において(1)で示される時点)では、シャフトの手元付近に曲げが生じる。ついで、切り返しを行い、ダウンスイング初期(図10において(2)で示される時点)に至ると、曲げはシャフトの先端側にやや移動する。さらに、ゴルファーの腕が水平になる時点(図10において(3)で示される時点)では、曲げはシャフト中央よりも先端側に移動する。そして、インパクト直前(図10において(4)で示される時点)では、曲げはシャフトの先端付近まで移動する。
このようにスイング時におけるシャフトの曲げが、トップからインパクトに向けてシャフトの手元側から先端側に伝わることに鑑み、前記時間帯(1)〜(4)におけるゴルファーのスイング特徴に着目することで、シャフトのインチ毎に最適な曲げ剛性を選定することができる。
具体的に、図11に示されるように、シャフト20を4つの領域に分割して、各領域中の1点の曲げ剛性を定義した。本適用例では、シャフト20のチップ端20aから36インチの箇所を測定点(1)とし、26インチの箇所を測定点(2)とし、16インチの箇所を測定点(3)とし、6インチの箇所を測定点(4)としている。そして、シャフト20の4つの測定点における曲げ剛性を計測し、数値化している。なお、本明細書において、「インチ毎の」とは、1インチの、2インチの、・・・という意味ではなく、「シャフトの一端から所定インチの距離にある複数の箇所について、各箇所の」という意味であり、本適用例における「所定インチ」とは、前述したようにシャフト20のチップ端20aから36インチ、26インチ、16インチ、6インチである。
シャフトのインチ毎の曲げ剛性(EI値:N・m)は、例えばインテスコ社製の2020型計測機(最大荷重500kgf)を用いて図12に示されるようにして測定することができる。
具体的に、2つの支持点11、12においてシャフト20を下方から支えつつ、測定点Pに上方から荷重Fを加えたときのたわみ量αを測定する。測定点Pは、本適用例の場合、シャフト20のチップ端20aから36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4箇所である。支持点11と支持点12との間の距離(スパン)は200mmである。また、測定点Pは、支持点11と支持点12の中間点である。上方から荷重Fを加える圧子13の先端は、シャフト20を傷付けないように丸められている。圧子13の先端の断面形状は、シャフト軸方向に平行な断面において、10mmの曲率半径を有している。シャフト軸方向に対して垂直な方向の断面において、圧子13の先端の断面形状は直線であり、その長さは45mmである。
支持体14は、支持点11においてシャフト20を下方から支持する。支持体14の先端は、凸状の丸みを有している。支持体14の先端の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において15mmの曲率半径を有する。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体14の先端の断面形状は直線であり、その長さは50mmである。支持体15の形状は支持体14と同一である。支持体15は、支持点12においてシャフト20を下方から支持する。支持体15の先端は、凸状の丸みを有している。支持体15の先端の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において15mmの曲率半径を有する。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体15の先端の断面形状は直線であり、その長さは50mmである。
前述した支持体14及び支持体15を固定した状態で、圧子13を5mm/minの速度で下方へ移動させる。そして、荷重Fが20kgに達した時点で圧子13の移動を終了させる。圧子13の移動を終了させた瞬間におけるシャフト20のたわみ量α(mm)を測定し、以下の式(2)にしたがって曲げ剛性EI(N・m)を計算する。
曲げ剛性EI(N・m)=32.7/α ・・・・・・(2)
そして、測定されたシャフトのインチ毎の曲げ剛性を指標としてフィッティングが行われる。インチ毎のシャフトの硬さ(曲げ剛性)は、トップからインパクトまでの時間に伴うスイング特徴と相関関係があり、個々のゴルファーにおける前記スイング特徴が分かれば、その特徴に合ったインチ毎のシャフトの硬さを決めることができる。スイング中のシャフトの曲げないし変形(たわみ量)は、前述したように、トップからダウンスイングにかけてシャフトの手元側から先端側に曲げが伝わっていく。本適用例では、この曲げの伝わりに着目し、トップ付近のシャフトの撓み量がトップ付近のグリップの挙動(角速度)の速い遅いに関係があることから、この速度が速いゴルファーには硬めのシャフトを提供し、遅いゴルファーには軟らかめのシャフトを提供する。
本適用例では、前述した方法によりインチ毎に測定されたシャフトの曲げ剛性に応じて複数段階のランク値のうちいずれかの値を付与している。具体的に、曲げ剛性に応じて10段階のIFCのうちいずれかの値を付与している。このIFCは、International Flex Cord(インターナショナル・フレックス・コード)の略であり、シャフトの硬さを表すものとして本出願人により提案されている指標である。
以下の表1〜4は、それぞれ測定点(1)〜(4)におけるシャフトのEI値からIFCへの変換表である。シャフトの硬さを10段階に分ける方法として、市販されている全てのシャフトを対象にして10段階に分ける方法や、使用頻度などを考慮して、フィッターがユーザーに提供しようとして用意したシャフトの範囲内で10段階に分ける方法など、いくつかの方法が考えられるが、本適用例では、後者の方法によりフィッティングを行っている。
<スイング特徴量>
図13〜16は、ゴルファーによるアドレスからフィニッシュまでのスイングを説明する図である。スイングには、インパクト後のフォールスルーが含まれるが、本適用例では、アドレスからインパクトまでのスイングの特徴に着目している。
図13〜16は、ゴルファーを正面から見た図である。スイングの始まりはアドレスであり、スイングの終わりはフィニッシュと呼ばれている。スイングは、(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、(S5)、(S6)、(S7)、(S8)の順で進行する。図13の(S1)がアドレスであり、(S2)がテイクバックである。図14の(S3)がトップ(トップオブスイング)である。通常、トップでは、スイング中におけるヘッドの移動速度が最小である。図14の(S4)はダウンスイングである。図15の(S5)もダウンスイングであるが、図14の(S4)よりもダウンスイングが進行した状態である。図15の(S6)はインパクトであり、ゴルフクラブ1のヘッド1aとボールBとが衝突した瞬間である。図16の(S7)はフォロースルーであり、(S8)はフィニッシュである。フィニッシュで、スイングが終了する。
本適用例では、前述したスイングにおける種々の段階のうちトップ付近からインパクトに至るダウンスイング中のコック方向の角速度ωyに着目し、時間経過にしたがって当該角速度ωyを細分化して定量化する。なお、本明細書において「トップ付近」とは、トップ直前の所定時間及びトップ直後の所定時間を含む時間帯を意味しており、具体的には、例えばトップ−50msから、トップ+50msまでの100msの時間帯を意味している。
図17は、或るスイングにおけるアドレスからインパクトまでの時間(s)とコック方向の角速度ωy(deg/s)との関係を示している。本適用例では、図17に示されるように、スイングの時間経過にしたがって4つのスイング特徴(1)〜(4)を設定し、各スイング特徴を定量化している。
スイング特徴量(1)は、トップ付近のコック方向の角速度ωyの傾きであり、例えばトップから50ms前の角速度ωyと、トップから50ms後の角速度ωyとの和で表すことができる。このスイング特徴量(1)は、前述したシャフトのチップ端から36インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(2)は、トップから、角速度ωyが最大となる時点までの当該角速度ωyの平均値である。トップからインパクトまでの角速度ωyにおける最大値を求め、トップから、この最大値となる時点までの角速度ωyの累積値を、トップから、前記最大値となる時点までの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(2)は、前述したシャフトのチップ端から26インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(3)は、角速度ωyが最大となる時点からインパクトまでの当該角速度ωyの平均値であり、前記最大値となる時点からインパクトまでの角速度ωyの累積値を、前記最大値となる時点からインパクトまでの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(3)は、前述したシャフトのチップ端から16インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(4)は、トップからインパクトまでの角速度ωyの平均値であり、トップからインパクトまでの角速度ωyの累積値を、トップからインパクトまでの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(4)は、前述したシャフトのチップ端から6インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
以上のスイング特徴量(1)〜(4)は、フィッティングを希望するゴルファーに所定数のボール、例えば5球のボールを試打してもらい、各打球時に算出したスイング特徴量の平均を当該ゴルファーのスイング特徴量と設定することができる。
<インチ毎のシャフト剛性の算出>
ついで、算出されたスイング特徴量(1)〜(4)に基づいて、当該ゴルファーに適したインチ毎のシャフト剛性を計算する。この計算に先立って、予め各スイング特徴量について、スイング特徴量と好ましいシャフトの曲げ剛性(EI値)との関係を表す近似式を求めておく。この近似式は、複数のテスターに試打をしてもらうことでデータを収集し、このデータに基づいて作成する。近似式の信頼性を高める観点からは、テスターの数は多い方が好ましい。本適用例では、テスターを、ハンディが20以下の中級者又は上級者とした。各テスターに対し、予め用意した複数のゴルフクラブ(ドライバー)の中から普段使用しているゴルフクラブの重量、長さ及びフレックス(又は調子)を基準にして数本のゴルフクラブを選定し、この数本のゴルフクラブについてそれぞれ数球、例えば6球試打(ミスショットを除く)してもらい、後述する基準にしたがって打ち易いゴルフクラブを選定してもらった。
打ち易いゴルフクラブは、「飛距離」、「方向性」及び「振り易さ」の3つの項目について、例えば以下の表5に示される評価基準にしたがい点数化し、得点合計が1.5点以上のクラブを打ち易いクラブと判断する。選定した数本のゴルフクラブは、シャフト部分が黒塗りであり、テスターに対してランダムに提供された。これにより、テスターはどのクラブで打っているのかを判断することができないようにした。試打は、3球×クラブ本数を2セット行い、振り易さのアンケートは、或るクラブについて3球試打したら、その都度点数を確認してもらった。
図19は、前記のようにして予め作成された「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図20は、「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。なお、図20において、「ωy4」は、コック方向の角速度のスイング特徴量(4)のことである。
本適用例では、EI値算出の精度を向上させるために、1つの近似式だけではなく3つの近似式を予め用意している。スイング特徴量(4)と「6インチ」の測定点におけるEI値との関係を1つの近似式で表すことも可能であるが、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが極端に小さいゴルファーやヘッド速度がかなり小さいゴルファーなど平均的なスイングから外れたゴルファーに対しては、1つの近似式では信頼性の高いEI値を算出することができない場合がある。そこで、平均的なゴルファーに対応する通常の近似式とともに、本適用例では、例外(1)近似式と、例外(2)近似式とを用意している。
まず、ステップS11において、例外処理(1)が実行される。具体的に、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxがωx<−300であり、且つ、トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が0.55以下であるか否かが判断され、Yesの場合は、図19において一点鎖線で示される例外(1)近似式を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS11においてNoの場合は、ステップS12に進んで例外処理(2)が実行される。この例外処理(2)では、以下の5つの条件(a)〜(e)のうち少なくとも1つが満たされているか否かが判断される。
(a)トップからインパクトまでのz軸方向の角速度ωzの累積値が極端に大きく、ωz>270である。
(b)ヘッド速度が41.0m/s未満である。
(c)トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが、ωx>0である。
(d)トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が2.0以上である。
(e)トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が1.5以上であり、且つ、スイング特徴量(4)が800よりも大きい。
ステップS12においてYesの場合は、図19において破線で示される例外(2)近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS12においてNoの場合は、図19において実線で示される通常近似式を用いてEI値が算出される。
通常近似式、例外(1)近似式及び例外(2)近似式は、いずれも最小二乗法による回帰直線を表す一次式とすることができる。各式の傾きと切片を次の表6に示す。
スイング特徴量(3)、スイング特徴量(2)及びスイング特徴量(1)についても、同様にして作成されたインチ毎の測定点におけるスイング特徴量と曲げ剛性(EI値)との関係を示す近似式を用いて曲げ剛性(EI値)を算出することができる。
<インチ毎のIFCの算出>
前述した方法によりインチ毎に算出されたシャフトのEI値について、例えば前記表1〜4に示される変換表を用いて、10段階のIFCのうちいずれかの値を算出する。本適用例では、前述したように、使用頻度などを考慮して、フィッターがユーザーに提供しようとして用意したシャフトの範囲内で10段階に分ける方法を採用している。
<シャフトの選定>
以上のようにして、フィッティングを行うゴルファーについて、インチ毎のIFCが算出される。算出されるIFCの例として、36インチ:5、26インチ:4、16インチ:4、6インチ:2をあげることができる。
そして、この計算結果と最もマッチするシャフトをデータベースから選定する。データベースには、予め複数種類のシャフトについて計測されたインチ毎のIFC、重量などのデータが記憶されている。このデータベースを用いて、以下の式(3)に示される「一致度」をデータベースに記憶されている全てのクラブについて計算し、その値が最も小さいクラブをゴルファーに提案する。なお、本明細書における「一致度」は、一致している度合いを意味するのではなく、式(3)から明らかなように、その値が小さいほど計算結果に近い曲げ剛性を有するシャフトであるということを意味する指標である。一致度が0とは、計算結果と同じインチ毎の曲げ剛性を有するシャフトであるということである。
また、一致度が同程度に小さいシャフトが複数本存在する場合は、ユーザーに複数本提案してもよいし、ユーザーの要望を考慮して1本に絞り込んでもよい。絞込みの基準としては、振り易さを重視して、シャフト手元側の「36インチ」又は「26インチ」におけるIFCの一致度を優先させる方法や、パフォーマンス(飛距離、方向性)を重視して、シャフト先端側の「16インチ」又は「6インチ」におけるIFの一致度を優先させる方法がある。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 ゴルフクラブ
2 センサ
2a ケーシング
10 コンピュータ(データ解析装置)
20 シャフト
20a チップ端
20b バット端
G ゴルファー
B ボール

Claims (5)

  1. 3軸回りの角速度を計測可能なセンサがグリップに取り付けられたゴルフクラブでゴルフボールを打撃して得られる前記センサからの計測値に基づいてスイングにおけるインパクト時刻を抽出する方法であって、
    計測したデータの所定の時間幅においてz軸であるシャフト軸回りの角速度ωzがレンジオーバーしているか否かを判定する判定工程と、
    判定工程においてレンジオーバーしていると判定された場合に第1の仮インパクト時刻を設定し、レンジオーバーしていないと判定された場合に第2の仮インパクト時刻を設定する設定工程と、
    設定された第1又は第2の仮インパクト時刻を基準として、x軸回りの角速度ωx、y軸回りの角速度ωy及びz軸回りの角速度ωzのそれぞれの時系列波形からインパクト時刻の3つの候補を取得する候補取得工程と、
    3つのインパクト時刻の候補から、所定の判断基準にしたがいインパクト時刻を決定する決定工程と
    を含み、
    前記x軸はゴルフクラブのヘッドのトウ‐ヒール方向に沿う軸であり、y軸は前記ヘッドのフェース面の法線方向に沿う軸であり、
    前記第1の仮インパクト時刻は、角速度ωzの時系列波形においてレンジオーバーが発生した時点の時刻であり、
    前記第2の仮インパクト時刻は、角速度ωzの時系列波形において最大値が現れる時刻から第1の所定時間前までに最小値が現れた場合において当該最小値が表れた時刻から第2の所定時間前までに最大値が現れたときの時刻であるか、または、角速度ωzの時系列波形において最大値が現れる時刻から第1の所定時間前までに最小値が現れない場合における当該最大値が現れる時刻であり、
    (A)前記候補取得工程において第1の仮インパクト時刻を基準とする場合、
    角速度ωxの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第1の仮インパクト時刻前後の第1の所定時間幅において最初の極大値が現れる時刻から第3の所定時間前までに最小値が現れる時刻とし、
    角速度ωyの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第1の仮インパクト時刻前後の第2の所定時間幅において最初に変極点が現れる時刻とし、
    角速度ωzの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第1の仮インパクト時刻から第4の所定時間前までに最初に変極点が現れる時刻とし、
    (B)前記候補取得工程において第2の仮インパクト時刻を基準とする場合、
    角速度ωxの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第2の仮インパクト時刻前の所定時間幅において最初の最小値が現れる時刻とし、
    角速度ωyの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第2の仮インパクト時刻前後の第2の所定時間幅において最初に変極点が現れる時刻とし、
    角速度ωzの時系列波形から取得されるインパクト時刻の候補は、第2の仮インパクト時刻前後の第3の所定時間幅において最初に変極点が現れる時刻と
    することを特徴とする、ゴルフスイングにおけるインパクト時刻の抽出方法。
  2. 前記第1の所定時間は10〜30msecであり、第2の所定時間は20〜40msecである、請求項に記載のゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法。
  3. 前記第3の所定時間は20〜40msecであり、第4の所定時間は30〜50msecである、請求項に記載のゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法。
  4. 前記第1の所定時間幅は、第1の仮インパクト時間より50msec前から、第1の仮インパクト時間より20msec後までの時間幅であり、
    前記第2の所定時間幅は、第1又は第2の仮インパクト時間より30msec前から、第1又は第2の仮インパクト時間より50msec後までの時間幅である、請求項に記載のゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法。
  5. 前記第3の所定時間幅は、第2の仮インパクト時間より40msec前から、第2の仮インパクト時間より15msec後までの時間幅である、請求項に記載のゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法。
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