JP6059611B2 - 熱間鍛造プロセス評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料を変形抵抗が十分に低くなる高温まで熱して塑性加工を行う熱間プレス加工技術、そのなかでも熱間鍛造技術を対象として、金型表面温度を精度良く測定することで、プレス加工プロセスが適切に行われているかを評価する評価システム、およびこの評価システムにより評価して製造された製造物に関する。
金属材料の加工において、材料を塑性変形させて加工する加工方法を一般にプレス加工あるいは塑性加工と呼ぶ。プレス加工において、特に高温の加工、例えば、鉄系材料の加工であれば800℃以上の温度で加工する方法を熱間加工と呼ぶ。プレス加工は、板材を加工するものと、バルク材料を加工するものと、大きく2つに分けることができ、後者を鍛造と呼ぶ。鍛造は、金属に大変形を加えるために、大きな成形荷重を必要とする。また、歪量が大きいことから、室温で加工する冷間加工では亀裂を生じるなどの問題が起こりやすい。そこで、大型製品の鍛造加工は熱間で行われることが多い。
熱間鍛造には、金型の温度を200〜300℃程度に加熱し、材料温度を800〜1200℃程度に加熱して鍛造する通常の熱間鍛造と、金型ごと炉内に入れて材料と同じ温度に加熱する恒温鍛造がある。恒温鍛造は、一般に超塑性成形など長時間の加工時間を必要とする特殊な加工に適用される。本発明が対象とするのは、金型温度が200〜300℃程度に保持された通常の熱間鍛造である。
熱間鍛造を行う目的は、成形荷重を下げることだけではない。金属材料は、もともとは鋳造により作られるが、鋳造では内部に引け巣が生じたり、結晶粒が粗大であるなど、そのままの材料は強度的な信頼性が不足する。これを、熱間鍛造で大変形を加え熱処理することで、内部の引け巣をなくすことができる。また、結晶粒に大歪を加えて熱処理を行うと結晶粒が微細化する。このことを再結晶による結晶粒の微細化と呼ぶ。小さな結晶粒径は亀裂の進展を防止し材料の靭性向上につながる。
再結晶による微細化は、大変形を加えたことにより結晶内に大量に導入された転移の弾性エネルギーを駆動力とし、転移を吸収するように新たな粒界が生じることにより行われる。粒界もエネルギーを持ち結晶粒径が小さい状態は、エネルギー的には準安定な状態であり、高温で保持すると徐々に結晶粒径は成長する。再結晶後の粒径には鍛造により導入される歪、歪速度、温度が影響する。そのため、望ましい結晶粒径の材料を得るためには、鍛造加工で加える歪量や歪速度とともに温度を厳密に管理することが重要である。
特に、ジェットエンジンのタービンディスクに用いられるNi基耐熱合金では、低サイクル疲労に耐えるために平均粒径が10μm程度の材料組織を求められる。10μmというのは、一般に流通する金属材料と比較して10分の1程度の結晶粒径であり極めて小さい。また、高い粒界エネルギーを持ち不安定な状態であるため、材料温度が適切な温度を上回ると容易に結晶粒が成長してしまう。そのため、10℃程度の幅での材料温度の制御が求められる。
タービンディスクの熱間鍛造においては、精密に温度管理された炉中で1000℃前後に材料を加熱し、金型上に輸送し鍛造を行うが、高温のため材料温度が時々刻々と変化し、本来は金型内で材料温度を計れることが望ましい。特に、鍛造時間を通して一貫して測定を行うには、金型内で温度測定を行うことが必要である。
例えば、先行技術文献として、特許文献1〜3などがある。特許文献1に示されるのは、ホットスタンプと呼ばれる金属薄板の熱間加工で用いる材料温度の測定方法に関するものである。この技術は、材料に接触し熱電対を取り付ける箇所を極薄板とすることで、熱容量を小さくし材料温度への熱電対の測定温度の追従性を高めたものである。
また、特許文献2に示されているのは、波長の異なる2種類の赤外線の強度分布から算出される測定温度分布の差分値に基づいて金型表面の被膜の膜厚を測定し、それに基づき放射率分布を補正し、金型の表面温度を精度よく測定する表面温度検査装置である。
また、特許文献3は、鋳型または金型に埋没された2点の計温データを用いて非定常電熱逆問題解析を行うことにより、金型の稼動面の温度を演算する温度測定方法を用いるものである。それを用いて、稼動面の温度より稼動面のかじりを判断する。あるいは、鍛造物の凝固点と金型表面の温度の差が一定値(潤滑剤の電熱抵抗による温度低下量)より小さくなった場合に焼きつきが生じたと判断する方法である。
特開2011―83812号公報 特開2008―215957号公報 特開2007―167871号公報
ところで、前記特許文献1〜3を含む従来技術に関して、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
前記特許文献1に示される方法は、金型にかかる圧力が比較的小さい板材の加工に適した方法であるが、鍛造加工では金型に材料の降伏応力を越える圧力がかかっており、極薄板で形成された温度測定装置では破損をまぬがれない。
また、前記特許文献2に示される方法では、材料のない状態での金型表面の温度は測定できるが、加工中の金型表面の温度は測定できない。
また、前記特許文献3に示される方法では、鍛造中の金型表面の温度を測定することが可能である。例えば、熱間鍛造で金型と材料の接触している時間は0.1秒程度から10秒程度と短く、金型中の熱の流れは非定常である。一般に、熱間鍛造時の金型温度の測定のように非定常な熱伝導の現象を逆解析で扱うには、初期条件としての温度分布と、境界条件としての温度履歴が必要であり、境界条件の座標は既知である必要がある。
しかし、熱間鍛造金型は1つの金型で一般に数千〜数万回の加工を行い、その過程で金型表面が摩耗する。金型摩耗により熱電対の深さが変化した場合には、その深さを求め摩耗後の熱電対深さで金型表面温度の逆解析を行わなければ、逆解析で精度よく金型表面温度を算出することはできない。
そこで、金型摩耗による熱電対の深さの変化を測定し、逆解析の入力条件での熱電対深さを変更し、より高精度で金型表面の温度を算出する手法が求められている。
また、ミクロ組織の観察による結晶粒径の測定は、生産管理に適用するには、高コストであり、精度の高い温度測定で、結晶粒成長のリスクの高いワークをスクリーニングする技術も求められている。
そこで、本発明では上記のような課題を解決し、その代表的な目的は、熱間鍛造プロセスの評価において、金型摩耗を考慮して高精度に金型表面の温度を測定する技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、代表的な熱間鍛造プロセス評価システムは、温度測定器による温度履歴を用いて金型の表面の温度を逆解析により算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価するシステムである。このシステムは、前記金型の表面より異なる深さで前記金型に接合された複数の前記温度測定器と、前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比と、この昇温速度比に対する前記金型の摩耗量との関係を示した昇温速度比・摩耗量関係情報と、前記昇温速度比・摩耗量関係情報を用いて、前記複数の温度測定器による温度履歴に基づいた前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比より前記金型の摩耗量を算出し、この算出した摩耗量で前記複数の温度測定器の深さを補正した後に逆解析により前記金型の表面の温度を算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価する演算部と、を有する。
また、前記熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された製造物にも適用するものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、代表的な効果は、熱間鍛造プロセスの評価において、金型摩耗を考慮して高精度に金型表面の温度を測定することができる。
本発明の一実施の形態における熱間鍛造プロセス評価システムの概要構成の一例を示す図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、上型の熱電対ユニットが装着されている箇所の一例を示す拡大図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、熱電対ユニットの一例を示す斜視図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、熱電対ユニットの摩耗量の一例を説明する断面図である。 本発明の一実施の形態におけるシミュレーションにおいて、有限要素法解析の条件の一例を説明する図である。 図5の条件において、解析結果の一例を表示する図である。 図5の条件において、摩耗量を考慮せずに金型表面温度を逆解析した結果の一例を示す図である。 図6の結果において、最初の0.1秒の温度履歴の一例を示す図である。 図8の結果において、摩耗量と昇温速度比との関係の一例を説明する図である。 図9の結果により、金型摩耗量評価アルゴリズムに用いる関係式の一例を説明する図である。 図5の条件において、摩耗量を考慮して距離を補正した場合と、摩耗量を考慮せずに距離を補正していない場合の金型表面温度の逆解析結果の一例を示す図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、表示部に表示される温度履歴表示画面の一例を示す図である。 図12の温度履歴表示画面から遷移する熱流量表示画面の一例を示す図である。 図12のグラフ表示部に表示する昇温速度比表示画面の一例を示す図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、表示部に表示される過去の実績データとの比較表示画面の一例を示す図である。 図1の熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された熱間鍛造品の一例を示す図である。
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
[実施の形態の概要]
まず、実施の形態の概要について説明する。本実施の形態の概要では、一例として、括弧内に実施の形態の対応する構成要素の符号等を付して説明する。
本実施の形態の代表的な熱間鍛造プロセス評価システムは、温度測定器による温度履歴を用いて金型(金型4(下型2、上型3))の表面の温度を逆解析により算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価するシステムである。このシステムは、前記金型の表面より異なる深さで前記金型に接合された複数の前記温度測定器(熱電対26(熱電対A28、熱電対B29))と、前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比と、この昇温速度比に対する前記金型の摩耗量との関係を示した昇温速度比・摩耗量関係情報(昇温速度比・摩耗量関係式14)と、前記昇温速度比・摩耗量関係情報を用いて、前記複数の温度測定器による温度履歴に基づいた前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比より前記金型の摩耗量を算出し、この算出した摩耗量で前記複数の温度測定器の深さを補正した後に逆解析により前記金型の表面の温度を算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価する演算部(演算部16)と、を有する。
以下、上述した実施の形態の概要に基づいた一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、一実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[一実施の形態]
本実施の形態における熱間鍛造プロセス評価システム、およびこの熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された製造物について、図1〜図16を用いて説明する。本実施の形態では、例えば、ジェットエンジンのタービンディスクの熱間鍛造プロセスを例に説明するが、これに限定されるものではない。
<熱間鍛造プロセス評価システムの構成および動作>
まず、図1を用いて、本実施の形態における熱間鍛造プロセス評価システムの構成および動作について説明する。図1は、この熱間鍛造プロセス評価システムの概要構成の一例を示す図である。
本実施の形態における熱間鍛造プロセス評価システムは、材料1を加工する下型2と上型3とからなる金型4と、金型4の温度を測定する熱電対ユニット5と、熱電対ユニット5からの信号を受信する受信機6と、受信機6からの信号を受信して処理する熱電対信号処理装置7と、熱電対信号処理装置7に接続された操作部18などから構成される。
材料1は、プレス(図示せず)のボルスター(図示せず)に取り付けられた下型2と、スライド(図示せず)に取り付けられた上型3とで加工する。この下型2と上型3とを合わせて金型4と呼ぶ。金型4の材料1に接触する面には、金型4の温度を測定する温度測定器である熱電対ユニット5が複数組み込まれている。図1では、それぞれ、下型2に3個、上型3に3個の熱電対ユニット5が組み込まれた例を示し、1個の熱電対ユニット5は2組の熱電対26より構成されている。詳細は後述するが、熱電対ユニット5は、金型4の表面から異なる2種類の深さで熱電対が接合されている。この金型4の温度を測定する温度測定器は、熱電対に限定されるものではなく、温度が測定できるものであればよい。
受信機6は、入力側が金型4に組み込まれた熱電対ユニット5に接続され、出力側が熱電対信号処理装置7に接続されている。この受信機6では、熱電対ユニット5から発せられる電圧信号を受信し、この電圧を温度に換算し、この温度のデータを熱電対信号処理装置7に送信する。
熱電対信号処理装置7は、熱電対温度履歴データベース9、金型表面温度履歴データベース11、金型表面温度計算アルゴリズム12、金型摩耗量評価アルゴリズム13、昇温速度比・摩耗量関係式14、熱間鍛造プロセス良否判定基準15、熱電対深さデータ17などを保存する。また、熱電対信号処理装置7は、これらの保存したデータ、アルゴリズムなどを用いて、各種演算処理を実行する演算部16を有している。
熱電対温度履歴データベース9は、受信機6から受信した温度のデータを熱電対温度履歴データ8として保存するデータベースである。金型表面温度履歴データベース11は、 金型表面温度履歴データ10を保存するデータベースである。金型表面温度計算アルゴリズム12は、金型4の表面温度を計算するアルゴリズムである。金型摩耗量評価アルゴリズム13は、金型4の摩耗量を評価するアルゴリズムである。
昇温速度比・摩耗量関係式14は、熱電対の相互間における昇温速度比と金型4の摩耗量との関係を示した式である。この昇温速度比と摩耗量との関係を示した情報は、式に限らず、表などでもよい。熱間鍛造プロセス良否判定基準15は、熱間鍛造プロセスの良否を判定する基準となるデータである。熱電対深さデータ17は、金型4の表面からの熱電対の深さを示すデータである。
操作部18は、表示部19、キーボード20、マウス21などから構成されている。操作部18は、熱電対信号処理装置7に接続されており、ユーザはキーボード20とマウス21の操作により熱電対信号処理装置7と通信し、表示部19に金型表面温度履歴データ10や熱電対温度履歴データ8や熱電対深さデータ17などを表示することが可能である。また、表示部19には、金型表面温度履歴データベース11の複数の金型表面温度履歴データ10を統計的に処理した結果を表示することも可能である。
この熱間鍛造プロセス評価システムにおける動作は、以下の通りである。熱間鍛造プロセスの過程において、金型4の表面から異なる2種類の深さで熱電対が接合されている熱電対ユニット5から、金型4の表面温度を測定するための電圧信号が発せられる。この熱電対ユニット5から発せられた電圧信号は受信機6に送られ、受信機6で電圧を温度に換算し、この温度のデータは熱電対信号処理装置7に送られる。
熱電対信号処理装置7は、受信機6から受けた温度のデータを熱電対温度履歴データ8として熱電対温度履歴データベース9に保存する。また、この熱電対信号処理装置7には、予め、金型表面温度計算アルゴリズム12、金型摩耗量評価アルゴリズム13、昇温速度比・摩耗量関係式14、熱間鍛造プロセス良否判定基準15が保存されている。さらに、熱電対深さデータ17の初期値も予め保存されている。この熱電対深さデータ17の初期値とは、金型4が摩耗する前の金型4の表面からの熱電対の深さを示すデータである。
熱電対信号処理装置7では、演算部16において、金型表面温度計算アルゴリズム12に従い、熱電対深さデータ17の初期値を用いて、熱電対温度履歴データベース9に保存した熱電対温度履歴データ8を処理し、金型表面温度履歴データ10を算出する。この算出した金型表面温度履歴データ10は、金型表面温度履歴データベース11に保存する。
また、演算部16は、熱電対温度履歴データ8と昇温速度比・摩耗量関係式14を用いて、金型摩耗量評価アルゴリズム13に従って金型4の摩耗量を求め、この金型4の摩耗量により熱電対深さデータ17を変更する。
この変更した熱電対深さデータ17を用いて、金型4の摩耗量を考慮した金型表面温度履歴データ10を算出する。すなわち、金型4の摩耗後の熱電対深さデータ17で金型4の表面の温度を逆解析により算出する。この算出した金型4の摩耗量を考慮した金型表面温度履歴データ10は、金型表面温度履歴データベース11に保存する。
そして、演算部16は、金型表面温度履歴データベース11に保存した、金型4の摩耗量を考慮した金型表面温度履歴データ10を用いて、熱間鍛造プロセス良否判定基準15に従い、熱間鍛造プロセスの良否を判断する。
以上の処理により、昇温速度比・摩耗量関係式14を用いて、熱電対ユニット5による温度履歴に基づいた複数の熱電対の相互間における昇温速度比より金型4の摩耗量を算出し、この算出した摩耗量で複数の熱電対の深さを補正した後に逆解析により金型4の表面の温度を算出し、この算出した金型4の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価することができる。
さらに、この熱間鍛造のプロセスの評価を熱間鍛造の生産管理に適用した場合には、この評価結果を用いて製造後の熱間鍛造品の検査数を変えることができる。例えば、平均との乖離が大きいときは品質検査に回す数を増やし、平均に近いロットでは検査にまわす数を減らすなどの生産体制を構築することが可能となる。
<熱電対ユニットの構造>
図2〜図3を用いて、前述した熱電対ユニット5の構造について説明する。
図2は、上型3の熱電対ユニット5が装着されている箇所の一例を示す拡大図である(上側の図の○部分を下側の図に拡大して示す)。なお、図示しないが、下型2の熱電対ユニット5が装着されている箇所の拡大図も、上下が反転することを除けば同様である。
図2において、上型3には、熱電対ユニット装着部22と、熱電対導入部23と、逃げ加工部24の加工が施されている。熱電対ユニット装着部22は、熱電対ユニット5を装着する部分であり、熱電対ヘッド25と同一形状を除去加工したものである。熱電対導入部23は、熱電対26を導入する部分であり、熱電対ユニット装着部22よりも細い径としている。これは、鍛造により熱電対ヘッド25にかかる圧力を受ける面を形成するためである。また逃げ加工部24は、細径の深い穴を掘るのが困難なため、大径の穴加工を行っているものである。
図3は、熱電対ユニット5の一例を示す斜視図である。熱電対ユニット5は、熱電対ヘッド25と、2組の熱電対26(熱電対A28、熱電対B29)より構成されている。熱電対ヘッド25は円柱形状からなり、その中央部に形成された溝部に2組の熱電対26が接合されている。熱電対ヘッド25の材質は、上型3および下型2と同じ材質である。これは、熱電対ヘッド25の表面から熱電対ユニット5までの熱伝導の状態を、上型3および下型2と同じにするためである。
熱電対26(熱電対A28、熱電対B29)は、本来2本の異なる材質の線より構成されるが、図3では1組の熱電対を1本の線で簡略化して表している。熱電対26は、接合部で熱電対ヘッド25と接合されている。この接合方法は、抵抗溶接や超音波接合など熱による溶融部が少ない方法が望ましい。
図3において、熱電対ヘッド25の下面が図2に示す上型3の下表面と同一面となる。熱電対ヘッド25の表面から熱電対26との接合部である溶接部27までの距離が、距離Aと距離Bである。図1の熱電対深さデータ17には、距離Aと距離Bが記録されている。ここでは、距離Aの熱電対26を熱電対A28とし、距離Bの熱電対26を熱電対B29とする。熱電対深さデータの逆解析を行うために、距離Aと距離Bは異なる数字とし、摩耗しない状態では距離Bは距離Aの2倍とする。ただし、ここでは距離Bは距離Aの2倍としているが、2倍でなくとも逆解析は可能である。また、距離A、距離Bを大きくとると逆解析の精度が落ちるため、0.1〜10mm程度の距離が望ましい。
熱電対26(熱電対A28、熱電対B29)は、熱電対導入部23と逃げ加工部24を通して金型4の外まで伸ばし、受信機6に接続されている。受信機6と熱電対26の間には、安価な補償導線を用いてもよい。受信機6で電圧を温度に換算し、熱電対温度履歴データ8として変換される。
距離Aと距離Bの2つの熱電対の熱電対温度履歴データ8を、金型表面温度計算アルゴリズム12を用いて、金型4の表面温度を算出する。金型表面温度計算アルゴリズム12の一例は式(1)に示す。
金型4の表面温度の算出には、式(1)に示す一次元非定常熱伝導の逆問題を解いた、いわゆる庄司の式を用いる。庄司の式では、同時刻の熱電対の温度データだけでなく、前後の時刻の温度データも用いて表面温度を算出する。
そのため、アナログの連続したデータである熱電対26の発する信号を受信機6で温度に変換した後、Δtごとに離散化し熱電対温度履歴データ8に記録する。例えば、1ミリ秒ごとのインクリメントデータとなっている。式(1)において、Ts(i)は、熱電対ヘッド25の表面のiインクリメントにおける温度を示す。S(i)は、距離Aの熱電対A28のiインクリメントにおける温度を示す。S(i+1)、S(i―1)はそれぞれ、Δtだけ後と前の距離Aの熱電対A28の温度である。T(i)は、距離Bの熱電対B29の温度である。T(i+1)、T(i―1)も、距離Aの熱電対A28と同様に、距離Bの熱電対B29の1インクリメント後と1インクリメント前の温度である。KからKまでの係数は、式(2)〜式(7)の各式により算出することができる。
ここで、xが距離Aと同値であり、xは距離Bと同値である。κは温度伝導率であり、α、αは式(8)のαを用いて、β、βは式(9)のβを用いて計算される。Bはベルヌーイ数である。
<熱電対ユニットの摩耗量とこれを考慮した検討結果>
図4〜図11を用いて、前述した熱電対ユニット5の摩耗量とこれを考慮した検討結果について説明する。
図4は、熱電対ユニット5の摩耗量の一例を説明する断面図である。図4において、左側の図の熱電対ユニットが摩耗する前のものであり、右側の図の熱電対ユニットが摩耗量30だけ摩耗した後のものである。摩耗量30により、熱電対A28と熱電対B29の距離Aと距離Bはそれぞれ、距離A’と距離B’に変化する。
前述した式(1)の係数K〜Kの算出には距離Aと距離Bの値を用いるため、金型4の摩耗により距離Aと距離Bが変化した場合に熱電対深さデータ17を実態に合わせて変更し、係数K〜Kを算出し直すことが、正確な金型4の表面温度の算出には必要である。
しかし、金型4に熱電対ユニット5を装着した状態で熱電対の距離Aと距離Bを再度測定することは困難である。また、材料の温度ばらつきも熱電対の温度履歴には影響するため、1つの熱電対の温度履歴から熱電対深さを算出することも原理的に不可能である。
そこで、本発明者らは、代表的な耐熱Ni基合金であるNCF718と、代表的な熱間鍛造金型材料であるSKD61(ともにJIS規格名)で、熱間鍛造を模した有限要素法による熱伝導解析を行い、金型表面温度履歴と異なる深さにおける温度履歴を求め、摩耗量30の変化を見出せる特徴量がないかを詳細に検討した。この検討結果を導くためのシミュレーションについて、図5〜図11を用いて説明する。
図5は、有限要素法解析の条件の一例を説明する図である。右側は材種がSKD61の金型で、左側は材種がNCF718の材料である。金型の初期温度は300℃であり、材料の初期温度は1000℃である。一次元の解析で金型と材料の長さはそれぞれ100mmである。接触面と反対の面は本解析中に温度変化することはない。大型鍛造品の熱間鍛造を模擬するために、本解析では加工中として10秒間、金型と材料を接触させ、所定の熱伝達係数で熱伝導解析を行った。続けて、金型と材料を離して10秒間の熱伝導解析を行った。
図6は、解析結果の一例を表示する図である。図6では、横軸に時間、縦軸に温度をとり、金型表面からの熱電対の深さが異なる場合の変化を、時間と温度との関係で表している。この解析では、熱電対A28の距離Aは0.5mmで、熱電対B29の距離Bは1.0mmである。それに対して、金型表面が0.2mm摩耗した場合の距離Aは0.3mmであり、距離Bは0.8mmである。図6に示すように、摩耗により、熱電対A28と熱電対B29それぞれの温度履歴は上昇しているのが分かる。温度が最も高い点は、鍛造終了時温度である。
図7は、摩耗量を考慮せずに金型表面温度を逆解析した結果の一例を示す図である。図7では、摩耗により、熱電対A28の深さが0.3mmに、熱電対B29の深さが0.8になったにも関わらず、熱電対深さデータ17を変更せず、0.5mmと1.0mmとして、金型表面温度を逆解析した結果を示している。実線が有限要素法解析で求まった金型表面の正しい温度履歴であり、破線が金型表面の0.2mmの摩耗を考慮せずに逆解析により求まった金型表面の温度履歴である。両者には10℃以上の乖離があり、Ni基合金の鍛造のように精度の高い温度管理が求められる熱間鍛造では、摩耗を考慮しないことは不十分な測定精度であることが分かる。
前述した図6を詳細に検討すると、金型表面からの熱電対の深さの違いによる温度履歴の違いは、鍛造開始時に大きく、次第に緩和されていくことが見て取れる。図8は、最初の0.1秒の温度履歴の一例を示す図である。一番上の線が金型表面温度であり、2番目が深さ0.1mmでの温度履歴である。0.1mmごとに深さ1.0mmまでの温度履歴を示している。
このうち、熱電対温度が350℃〜400℃の範囲の昇温速度について、熱電対A28と熱電対B29についての比を取ると摩耗の影響が見てとれることを本発明者らは見出した。
図9は、摩耗量と昇温速度比との関係の一例を説明する図である。図9では、摩耗量30と、そのとき(摩耗後)の熱電対A28と熱電対B29の深さと、それぞれの昇温(350℃→400℃)速度と、その比(熱電対Aの昇温速度/熱電対Bの昇温速度)を示している。図9において、摩耗量の変化に対する昇温速度比は、0mmのときは2.7、0.1mmのときは3.1、0.2mmのときは3.6、0.3mmのときは4.6、0.4mmのときは6.6となった。すなわち、図9により、昇温速度比は、摩耗により大きく変化することが分かる。
図10は、図1の金型摩耗量評価アルゴリズム13に用いる関係式の一例を説明する図である。図10では、図9の摩耗量と昇温速度比との関係を示している。図10に示すように、摩耗量と昇温速度比との関係の昇温速度比・摩耗量関係式14は、三次関数(y=ax−bx+cx+d)でよく近似することができる。よって、予め求めた図10の関係を内挿補間式あるいは近似多項式として熱電対信号処理装置7に保存しておき、それを用いて金型摩耗量評価アルゴリズム13により、熱電対A28と熱電対B29の2つの熱電対の昇温速度比を評価すれば摩耗量30を推定することが可能となる。
図11は、摩耗量30を考慮して距離Aと距離Bを補正した場合と、摩耗量30を考慮せずに距離Aと距離Bを補正していない場合の金型表面温度の逆解析結果の一例を示す図である。実線が金型表面の温度履歴であり、一点鎖線が補正を行わずに逆解析を行った場合の結果である。点線が、補正を行い、逆解析を行った場合の結果である。このような結果から、昇温速度比を用いて熱電対A28と熱電対B29の深さの変化を把握することで高精度な測定を行えることが分かる。
この金型摩耗量評価アルゴリズム13で求めた金型表面温度履歴データ10は、金型表面温度履歴データベース11に保存される。
<表示画面>
図12〜図15を用いて、前述した図1の表示部19に表示される画面について説明する。
図12は、図1の表示部19に表示される温度履歴表示画面31の一例を示す図である。温度履歴表示画面31は、グラフ表示部32と、特徴量表示部33より構成される。グラフ表示部32は、一方の軸(横軸)に時間を、もう一方の軸(縦軸)に温度をとり、時間に対する金型表面の温度履歴を表示する。
特徴量表示部33は、金型最高温度表示部34、鍛造終了時金型温度表示部35、材料温度表示部36、単位面積当たり熱流入量表示部37、熱流量表示ボタン38などより構成される。
金型最高温度表示部34は、鍛造中の最高温度を表示する。鍛造終了時金型温度表示部35は、鍛造終了時の金型表面温度を表示する。材料温度表示部36は、熱伝達係数を用いて金型表面温度から算出した材料温度を表示する。単位面積当たり熱流入量表示部37には、金型表面温度履歴データ10より算出した熱流量を単位面積当たりに算出して表示する。
熱流量表示ボタン38は、熱流量表示画面に遷移させるためのボタンであり、この熱流量表示ボタン38を押すことで、後述する図13に示す熱流量表示画面39に遷移する。
本実施の形態における温度履歴の特徴量は、特徴量表示部33に示したものに制限するものではない。
図12の温度履歴表示画面31では、摩耗量で距離Aと距離Bを補正した距離A’と距離B’を用いた方法で金型表面温度を逆解析した結果を表示する。また、金型表面温度履歴データベース11に蓄積された金型表面温度履歴データ10を、統計的に処理して平均温度履歴の曲線などを表示する。また、プロセスウインドーを表示し、鍛造がその間に収まっているかを判断することもできる。人間が判断するだけでなく、熱間鍛造プロセス良否判定基準15を用いて演算部16が自動で処理して、表示部19に表示してもよい。
図13は、熱流量表示画面39の一例を示す図である。熱流量表示画面39は、グラフ表示部32と、金型最高温度表示部34、鍛造終了時金型温度表示部35、材料温度表示部36、単位面積当たり熱流入量表示部37、温度履歴表示ボタン40などより構成される。
グラフ表示部32は、横軸に時間を、縦軸に熱流量をとり、時間に対する熱流量の変化を表示する。温度履歴表示ボタン40は、温度履歴表示画面に遷移させるためのボタンであり、この温度履歴表示ボタン40を押すと、図12に示した温度履歴表示画面31に遷移する。
図14は、図12に示したグラフ表示部32に表示する昇温速度比表示画面41の一例を示す図である。昇温速度比表示画面41は、横軸に順番を、縦軸に昇温速度比をとり、順番に対する昇温速度比の変化を表示する。順番において、例えば−20とあるのは今現在の鍛造の20回前の鍛造という意味である。実際のデータはばらつきを持つが、移動平均を求めることで、ばらつきの影響の小さい摩耗量30の算出が可能となる。
図15は、図1の表示部19に表示される画面の一例で、過去の実績データとの比較表示画面42の一例を示す図である。過去の実績データとの比較表示画面42は、グラフ表示部32と、ロット比較表示部43より構成される。
グラフ表示部32は、横軸に温度を、縦軸に度数をとり、温度に対する度数分布図を表示する。ロット比較表示部43には、ロットの平均とロットの標準偏差や過去平均などが表示される。これにより、ロット単位での監視も可能となる。
<熱間鍛造品>
図16を用いて、前述した図1の熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された熱間鍛造品について説明する。
図16は、図1の熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された熱間鍛造品の一例を示す図である。図16の例では、熱間鍛造品として、ジェットエンジン51を構成するタービンディスク52を示している。このタービンディスク52は、例えば、Ni基耐熱合金からなり、一番小さい方は直径φ=1000mm程度の大きさである。
このタービンディスク52の熱間鍛造においては、精密に温度管理された炉中で1000℃前後に材料を加熱し、金型上に輸送し鍛造を行うが、高温のため材料温度が時々刻々と変化する。そこで、図1の熱間鍛造プロセス評価システムを用い、高精度に金型4の表面の温度を測定することができる。
<熱間鍛造プロセス評価システムの熱間鍛造生産管理への適用>
前述した熱間鍛造プロセス評価システムを熱間鍛造の生産に適用した場合には、この評価結果を用いて製造後の熱間鍛造品の検査数を変えることができる。例えば、評価結果において、平均との乖離が大きいときは品質検査に回す鍛造品の数を増やし、平均に近いロットでは検査にまわす鍛造品の数を減らすなどの管理が可能となる。この結果、コストと品質のバランスの取れた生産体制を構築することができる。
<一実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態における熱間鍛造プロセス評価システム、およびこの熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して製造された製造物によれば、熱間鍛造プロセスの評価において、金型4の摩耗を考慮して高精度に金型4の表面の温度を測定することができる。言い換えれば、金型4のライフサイクルを通して高精度に金型4の表面の温度を測定できるので、鍛造プロセスの温度計測を高精度に行えるようになる。より詳細には、以下のような効果を得ることができる。
(1)金型4の表面より異なる深さで金型4に接合された複数の熱電対26と、昇温速度比・摩耗量関係式14と、演算部16などを有することで、演算部16において、昇温速度比・摩耗量関係式14を用いて、複数の熱電対26による温度履歴に基づいた複数の熱電対26の相互間における昇温速度比より金型4の摩耗量を算出する。さらに、この算出した摩耗量で複数の熱電対26の深さを補正した後に逆解析により金型4の表面の温度を算出する。そして、この算出した金型4の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価することができる。
(2)金型表面温度計算アルゴリズム12、金型摩耗量評価アルゴリズム13などを有することで、金型表面温度計算アルゴリズム12に従い、熱電対深さデータ17と熱電対温度履歴データベース9の熱電対温度履歴データ8とを用いて金型4の表面の金型表面温度履歴データ10を算出することができる。金型摩耗量評価アルゴリズム13に従い、熱電対温度履歴データベース9の熱電対温度履歴データ8と昇温速度比・摩耗量関係式14のデータとを用いて金型4の摩耗量を算出することができる。そして、演算部16において、金型4の摩耗量を考慮した金型表面温度履歴データ10を用いて、熱間鍛造プロセス良否判定基準15に従い、熱間鍛造プロセスの良否を判断することができる。
(3)表示部19などを有することで、金型表面温度履歴データ10、熱電対温度履歴データ8、および、熱電対深さデータ17などを表示することができる。さらに、表示部19は、金型表面温度履歴データ10を統計的に処理した結果の平均温度履歴などの曲線を表示することができる。
(4)熱電対26は、異なる深さの2組の熱電対A28および熱電対B29を有することで、各熱電対の摩耗後の熱電対深さと各熱電対の相互間の昇温速度比とから、昇温速度比・摩耗量関係式14を導出することができる。
(5)熱間鍛造プロセス評価システムによる評価結果に基づいて、製造後の熱間鍛造品の検査数を変更することができるので、熱間鍛造生産管理において、コストと品質のバランスの取れた生産体制を構築することができる。
(6)熱間鍛造プロセス評価システムにより評価して、高品質の製造物を製造することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、前記実施の形態においては、ジェットエンジンのタービンディスクの熱間鍛造プロセスを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、金型温度が200〜300℃程度に保持された通常の熱間鍛造プロセス全般に広く適用可能である。
1…材料、2…下型、3…上型、4…金型、5…熱電対ユニット、
6…受信機、
7…熱電対信号処理装置、8…熱電対温度履歴データ、9…熱電対温度履歴データベース、10…金型表面温度履歴データ、11…金型表面温度履歴データベース、12…金型表面温度計算アルゴリズム、13…金型摩耗量評価アルゴリズム、14…昇温速度比・摩耗量関係式、15…熱間鍛造プロセス良否判定基準、16…演算部、17…熱電対深さデータ、
18…操作部、19…表示部、20…キーボード、21…マウス、
22…熱電対ユニット装着部、23…熱電対導入部、24…逃げ加工部、25…熱電対ヘッド、26…熱電対、27…溶接部、28…熱電対A、29…熱電対B、30…摩耗量、
31…温度履歴表示画面、32…グラフ表示部、33…特徴量表示部、34…金型最高温度表示部、35…鍛造終了時金型温度表示部、36…材料温度表示部、37…単位面積当たり熱流入量表示部、38…熱流量表示ボタン、
39…熱流量表示画面、40…温度履歴表示ボタン、
41…昇温速度比表示画面、
42…過去の実績データとの比較表示画面、43…ロット比較表示部、
51…ジェットエンジン、52…タービンディスク。

Claims (6)

  1. 温度測定器による温度履歴を用いて金型の表面の温度を逆解析により算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価するシステムであって、
    前記金型の表面より異なる深さで前記金型に接合された複数の前記温度測定器と、
    前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比と、この昇温速度比に対する前記金型の摩耗量との関係を示した昇温速度比・摩耗量関係情報と、
    前記昇温速度比・摩耗量関係情報を用いて、前記複数の温度測定器による温度履歴に基づいた前記複数の温度測定器の相互間における昇温速度比より前記金型の摩耗量を算出し、この算出した摩耗量で前記複数の温度測定器の深さを補正した後に逆解析により前記金型の表面の温度を算出し、この算出した前記金型の表面の温度で熱間鍛造のプロセスを評価する演算部と、
    を有する、熱間鍛造プロセス評価システム。
  2. 請求項1記載の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、さらに、
    前記複数の温度測定器による温度履歴データを保存する測定器温度履歴データベースと、
    前記金型の表面の温度履歴データを保存する金型表面温度履歴データベースと、
    前記複数の温度測定器の深さデータと前記測定器温度履歴データベースの温度履歴データとを用いて前記金型の表面の温度履歴データを算出する金型表面温度計算アルゴリズムと、
    前記測定器温度履歴データベースの温度履歴データと前記昇温速度比・摩耗量関係情報のデータとを用いて前記金型の摩耗量を算出する金型摩耗量評価アルゴリズムと、
    を有する、熱間鍛造プロセス評価システム。
  3. 請求項2記載の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、さらに、
    前記金型の表面の温度履歴データ、前記複数の温度測定器による温度履歴データ、および、前記複数の温度測定器の深さデータのうちの少なくとも1つのデータを表示する表示部を有する、熱間鍛造プロセス評価システム。
  4. 請求項3記載の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、
    前記表示部は、前記金型の表面の温度履歴データを統計的に処理した結果を表示する、熱間鍛造プロセス評価システム。
  5. 請求項4記載の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、
    前記複数の温度測定器のそれぞれは、2組の熱電対を有し、第1の熱電対は前記金型の表面より第1の深さで前記金型に接合され、第2の熱電対は前記金型の表面より前記第1の深さとは異なる第2の深さで前記金型に接合されている、熱間鍛造プロセス評価システム。
  6. 請求項1記載の熱間鍛造プロセス評価システムにおいて、
    前記演算部による熱間鍛造のプロセスの評価結果に基づいて、製造後の熱間鍛造品の検査数を変更可能とする、熱間鍛造プロセス評価システム。
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