JP4809995B2 - 金型摩耗量予測装置、金型摩耗量予測方法、金型摩耗量予測プログラム、金型寿命予測装置、金型寿命予測方法、金型寿命予測プログラム、金型摩耗量検出装置、金型寿命検出装置 - Google Patents
金型摩耗量予測装置、金型摩耗量予測方法、金型摩耗量予測プログラム、金型寿命予測装置、金型寿命予測方法、金型寿命予測プログラム、金型摩耗量検出装置、金型寿命検出装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型の摩耗量予測装置、摩耗量予測方法、摩耗量予測プログラム、金型の寿命予測装置、寿命予測方法、寿命予測プログラム、金型の摩耗量検出装置、寿命検出装置にかかり、特に熱間鍛造金型、温間鍛造金型の摩耗量予測装置、摩耗量予測方法、摩耗量予測プログラム、金型の寿命予測装置、寿命予測方法、寿命予測プログラム、金型の摩耗量検出装置、寿命検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来鍛造金型の寿命予測技術につながる技術が種々開発されている。例えば、焼戻し加熱に伴う鋼の軟化を予測する条件式が提案されている(鉄と鋼、第10号、1980年、井上毅)。しかしこの技術は、機械構造用鋼の焼戻し軟化予測にとどまっており、摩耗量や寿命が予測できない。故障分布形態も研究されているが(塑性加工春季講演会講演論文集1巻、1996年、藤川真一郎)、損傷要因が特定できないので摩耗量や寿命が予測できない。材料の破壊理論の研究も進んでいるが(第45回塑性加工講演論文29、1994年、宮原他)疲労破壊に限定され、摩耗量や寿命予測には不十分である。
【0003】
特開平10−175037号公報には、鍛造金型に有限要素法を適用して金型に作用する塑性変形応力と最大主応力を計算し、計算される亀裂深さが所定深さにまで達するまでの加工回数を計算して寿命を計算する技術を示している。しかしながら、金型の寿命は亀裂が進行することで決定される場合ばかりでなく、むしろ熱間鍛造金型や温間鍛造金型では摩耗が進行して金型寿命に至ることのほうが多い。亀裂深さを計算して寿命を予測する技術では、摩耗量は予測できず寿命も極めて限られた場合にしか信頼できる計算が期待できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来鍛造金型の寿命予測技術については、限定された範囲にその成果が認められる。しかし、熱間鍛造金型や温間鍛造金型に多く見られる摩耗進行による寿命の予測については、摩耗の開始、摩耗量について定量的に利用できる技術がない。特に金型設計において加工回数と摩耗量の関係は、設計のフイードバックに重要であるばかりでなく、寿命予測から進んで寿命検出において加工回数で把握できることからも重要であるが、従来技術では定量的に関係が把握できていない。
【0005】
本発明の目的とするところは、従来技術の課題を解決し、金型の寿命を決める摩耗量について、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を可能とすることである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って摩耗開始加工回数を予測することである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って加工一回あたりの摩耗量を予測することである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って全加工回数における全摩耗量を予測することである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って加工回数によって摩耗開始を検出することである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って加工回数によってその加工回数における全摩耗量を検出することである。また他の目的は、この摩耗量計算式に従って加工回数によって金型の寿命を検出することである。さらに他の目的は、金型設計の定量的で迅速なフイードバックを可能とすることである。本発明に係る金型の摩耗量予測装置、摩耗量予測方法、摩耗量予測プログラム、金型の寿命予測装置、寿命予測方法、寿命予測プログラム、金型の摩耗量検出装置、寿命検出装置は、これら本発明の目的の少なくとも一つを達成するものとして提案される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
1.本発明の基礎となる摩耗モデル
最初に、本発明の基礎となる、熱間鍛造金型、温間鍛造金型特有の条件に着目した、金型寿命を決める摩耗量のモデルについて説明する。図1に、熱間鍛造金型、温間鍛造金型など加熱雰囲気で鍛造加工がなされる場合の、金型の摩耗、寿命に影響する要因をマップで示した。金型1は、所定の圧力を加え被加工素材に変形を与えて、製品2を鍛造加工するが、逆の見方をすると、製品2から力3および変位4を受けることになる。また加工性向上等のため熱5が加えられる。これらが金型の摩耗、寿命に関係する。さらにこれらについて考察すると、金型が受ける力3の成分として、垂直応力6、摩擦せん断応力7があり、金型が受ける変位4の成分として、その界面でのすべり距離8がある。すべり距離8はすべり速度9を微小時間について積分したものである。この摩擦せん断応力7とすべり距離8により、金型の各要素部分は摩擦仕事10を受けることになる。したがって、金型1の各要素部分は、一回の加工全体では、この摩擦仕事を加工全体で積分した累積摩擦仕事量11を受けることになり、換言すればこの累積摩擦仕事量11が、金型がダメージを受ける攻撃的な機械的負荷といえるものである。
【0007】
一方金型に加えられる熱5によって金型は焼戻されて強度が低下し、さらに加工時の高温下での材料強度温度特性で加工時の金型強度は劣化、低下する。この効果をまとめて金型材料の高温強度12として示すと、その高温強度は変形抵抗または降伏応力13と、せん断降伏応力14で把握できる。変形抵抗または降伏応力13とせん断降伏応力14は一定の関係があり、いずれを用いても良いので、以後はせん断降伏応力14を用いる。したがって、繰り返し加工後の金型1の各要素は加工温度における機械的強度(金型高温強度12)が劣化しており、換言すればこの金型高温強度12が金型の熱的負荷による強度劣化要素といえるものである。
【0008】
そして、これら攻撃的な機械的負荷と、強度劣化要素により金型の各要素において摩耗が生ずる。これら二つの要素は、金型界面における、せん断降伏応力14と摩擦せん断応力7の比である降伏強度比15で関連付けられる。すなわち、降伏強度比が大きい場合は、金型の劣化した強度でもまだ機械的負荷に耐えられ、降伏強度比が小さい場合は機械的負荷に対し金型の劣化した強度は耐えられず摩耗が生ずることになる。
【0009】
このように、本発明は、熱間鍛造金型、温間鍛造金型等の寿命予測の摩耗量モデルを、金型に対する攻撃的要素である機械的負荷と、熱的負荷による強度劣化要素である金型高温劣化強度の面から摩耗現象を把握する考え方を基礎にした。
【0010】
2.本発明の金型摩耗量について知見
本発明は、金型の寿命について数々の実験を重ね、二つの知見を得たことによってなされたものである。すなわち一つは、摩耗はある加工回数から顕著に増加すること、他の一つは摩耗が開始した後の一加工あたりの摩耗量は、機械的負荷と、金型劣化強度に関係ある関数で表されることである。
【0011】
図2は加工回数と金型摩耗量についてのデータであり、設計上長寿命型、中寿命型、短寿命型とされているもの、さまざまな金型最高温度のものについてまとめてみると、いずれもある加工回数まではその加工における金型の摩耗がほとんど起こらないゼロ摩耗範囲を有し、そのゼロ摩耗閾値加工回数を超えると、摩耗量が顕著に増加する。ここで摩耗量は、金型の摩耗深さをとった。図3は、加工回数を、寿命に至る加工回数を基準に規格化して横軸に取り、縦軸に摩耗深さと、せん断降伏応力と摩擦せん断応力の比である降伏強度比を取ったものである。このことから、摩耗は降伏強度比がおよそ1に至ったときから顕著に増加を始めることの知見を得た。このことは、降伏強度比が1に達する加工回数をもって摩耗開始加工回数と予測できることを示す。降伏強度比1のときは、金型が受ける攻撃的な機械的負荷による摩擦せん断力が、熱的劣化強度である、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力に達したときであるから、このときを境に摩耗が開始することになる。
【0012】
つぎに、累積摩耗仕事量の異なる4つの短寿命型について、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の一回の加工回数あたりの金型摩耗量すなわち一加工摩耗量を求め、その時の金型材料の高温降伏強さとの関係を調べた。その結果を図4に「短寿命型」として表した。このことから、一加工摩耗量wは、累積摩耗仕事量Efおよび金型材料の高温降伏強さであるせん断降伏応力στと、次の式(1)で表される関係を有することの知見を得た。
【0013】
【数1】
w=A*(Ef)b/(στ)c (1)
ここで、A、b、cは、定数である。累積摩耗仕事量の異なる4つの短寿命型から得たA、b、cを用いて、さまざまな累積摩擦仕事量Efについて計算したものが図4中のいくつかの実線である。さらに、中寿命型、高寿命型についての実験値をこの図4上にプロットすると、計算された実線上によく一致することが分かった。この様子は図4で「中寿命型」、「長寿命型」として示してある。これらのことから、摩耗が開始した後の一加工あたりの摩耗量は、機械的負荷である累積摩耗仕事量と、金型劣化強度である金型材料の高温降伏強さ、すなわちせん断降伏応力に関係ある関数で表される知見を得た。このことは、金型に対する攻撃的な機械的負荷と、金型の熱的負荷による強度劣化要素との関数で、一加工摩耗量が計算できることを示し、これら攻撃的な機械的負荷と、強度劣化要素により金型の各要素において金型の摩耗が生ずる。
【0017】
3.課題解決手段
本発明において金型の摩耗量を予測するにあたっては、金型に対する攻撃的要素である機械的負荷を算出し、金型に対する強度劣化要素である繰り返し加えられる高温による熱的劣化強度を算出し、これら算出された機械的負荷と熱的劣化強度の関数である摩耗量算出式を演算して予測摩耗量を算出するものとしたので、金型の寿命を決める摩耗量について、機械的負荷と熱的劣化強度に基づいた鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従った摩耗量算出式を用いることができる。
【0021】
本発明において金型の摩耗量を予測するにあたっては、前記機械的負荷は前記累積摩擦仕事量で、前記熱的劣化強度は、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度における機械的強度であることが好ましいものとしたので、金型の寿命を決める摩耗量について、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従った累積摩擦仕事量、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度における機械的強度の関数である摩耗量算出式を用いることができる。
【0022】
本発明に係る金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測装置においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算手段と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算手段を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測方法においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算工程と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算工程を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測プログラムにおいては、コンピュータに、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算処理手順と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算処理手順を実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明において金型の摩耗量を予測するにあたっては、前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗開始加工回数を算出でき、金型設計の定量的で迅速なフイードバックが可能となる。
【0026】
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測装置においては、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算手段を有することを特徴とする。
【0027】
また、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測方法においては、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算工程と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算工程を有することを特徴とする。
【0028】
また、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測プログラムにおいては、コンピュータに、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算処理手順と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算処理手順を実行させることを特徴とする。
【0029】
本発明において繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測するにあたっては、前記累積摩擦仕事量E f と繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、加工一回あたりの摩耗量を予測することができ、金型設計の定量的で迅速なフイードバックが可能となる。
【0030】
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測装置においては、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算手段と、加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算手段と、前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算手段を有することを特徴とする。
【0031】
また、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測方法においては、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算工程と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算工程と、加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算工程と、前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算工程を有することを特徴とする。
【0032】
また、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測プログラムにおいては、コンピュータに、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算処理手順と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算処理手順と、加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算処理手順と、前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算処理手順を実行させることを特徴とする。
【0033】
本発明において、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出するにあたっては、前記累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出し、加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出して、一加工摩耗量に摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、全加工回数における全摩耗量を予測することができ、金型設計の定量的で迅速なフイードバックが可能となる。
【0034】
金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測装置においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算手段と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算手段と、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算手段と、金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算手段と、前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算手段を有することを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係る、金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測方法においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算工程と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算工程と、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分した累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算工程と、金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算工程と、前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算工程を有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る、金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測プログラムにおいては、コンピュータに、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算処理手順と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算処理手順と、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分した累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出する一加工摩耗量演算処理手順と、金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算処理手順と、前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算処理手順を実行させることを特徴とする。
【0037】
本発明において金型の寿命加工回数を予測するにあたっては、前記ゼロ摩耗閾値加工回数を算出し、前記一加工摩耗量を算出し、前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して得た加工回数を加算して寿命加工回数を算出するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、金型の寿命を予測することができ、金型設計の定量的で迅速なフイードバックが可能となる。
【0038】
金型の摩耗を検出する金型摩耗検出装置においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を算出し、算出された前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶するゼロ摩耗閾値加工回数記憶手段と、加工回数を計数する加工回数計数手段と、前記記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数から前記計数された加工回数を減算して、その結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る金型摩耗検出装置においては、前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶し、加工回数を計数し、前記記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数から前記計数された加工回数を減算して、その結果を表示するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、金型摩耗検出を加工回数で把握できる。
【0040】
金型の摩耗量を検出する金型摩耗量検出装置においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を算出し、算出された前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶するゼロ摩耗閾値加工回数記憶手段と、加工回数を計数する加工回数計数手段と、前記計数された加工回数から記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算手段と、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出し、算出された前記累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出し、算出された前記ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を記憶する一加工摩耗量記憶手段と、前記算出された摩耗期間の加工回数に、前記記憶された一加工摩耗量を乗算して、全摩耗量を算出する全摩耗量演算手段と、前記算出された全摩耗量を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0041】
本発明に係る金型摩耗量検出装置においては、前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶し、加工回数を計数し、前記計数された加工回数から記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出し、前記一加工摩耗量を記憶し、前記算出された摩耗期間の加工回数に前記記憶された一加工摩耗量を乗算して、全摩耗量を算出し表示するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、全摩耗量検出を加工回数で把握できる。
【0042】
金型の寿命を検出する金型寿命検出装置においては、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を算出し、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量E f を算出し、算出された累積摩擦仕事量E f と、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(E f ) b /(στ) c として算出し、金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を、前記算出された一加工摩耗量で除算して求められる摩耗期間寿命加工回数を算出し、前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数加算して金型寿命加工回数を算出し、算出された金型寿命加工回数を記憶する寿命加工回数記憶手段と、加工回数を計数する加工回数計数手段と、前記記憶された寿命加工回数から前記計数された加工回数を減算して、その結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0043】
本発明に係る金型寿命検出装置においては、前記ゼロ摩耗閾値加工回数に、金型寿命摩耗量を前記加工一回あたりの摩耗量で除算して求められる加工回数を加算して得られた金型寿命加工回数を記憶し、加工回数を計数し、記憶された寿命加工回数から前記計数された加工回数を減算してその結果を表示するものとしたので、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式を用いることで、寿命検出を加工回数で把握できる。
【0044】
【発明の実施の形態】
1.本発明の第一の実施の形態
本発明の第一の実施の形態においては、コンピュータに、本発明に係るフローチャートにしたがって、金型条件を入力するデータ入力処理、加工工程における金型の数値解析等科学技術計算の演算処理、金型材料温度特性等のデータベースの記憶および読出処理、演算結果の出力表示処理等を実行させる。このような処理に適したコンピュータとしては、汎用科学技術計算用のワークステーションのほか、一般のパーソナルコンピュータを用いることができる。以下、本発明の実施の形態について、図5のフローチャートに従って詳細に説明する。
【0045】
STEP1は熱・変形連成解析の処理手順である。これは与えられた鍛造金型の設計形状、加熱条件等の下で有限要素法を実行するもので、本発明者等多くの論文が発表されている。例えば、明石他、平成10年春塑性加工講演論文325頁から326頁、1998、矢野他、第49回塑性加工講演論文91頁から92頁、1998などである。この解析の結果被加工素材のいかなる部位に、いかなる応力が作用し、いかなる温度となり、いかなる変形をするのかが解析される。
【0046】
STEP2は、機械的負荷算出の処理手順である。通常の場合、鍛造金型の形状や過去の経験から最も激しく摩耗して金型寿命に至るポイントがわかるので、金型表面の各要素部分の適切な位置にモニタリング位置を指定し、STEP1の解析結果を用いて、そのモニタリング位置について機械的負荷、ここでは累積摩擦仕事量を算出する。ここで摩擦仕事量Efとは、前記モニタリング位置における要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算したものであって、これを一回の鍛造加工期間にわたって積分したものが累積摩擦仕事量であり、式(2)で与えられる。
【0047】
【数2】
Ef=∫(p*μ*v)dt (2)
ここで、Efは累積摩擦仕事量、pは金型が受ける面圧力、μは摩擦係数、vはすべり速度、dtは微少時間である。
【0048】
図6に、仕上げ加工に用いるポンチのモニタリング位置における累積摩擦仕事量の代表的なカーブを示した。横軸は一回の鍛造加工中の経過時間であり、成形時間とともに累積摩耗仕事量は増大してゆく。加工終了時の値がここでいう累積摩耗仕事量であり、金型寿命を通してほぼ一定である。
【0049】
STEP3は、金型表面温度算出の処理手順であり、金型のモニタリング位置における表面温度を算出する。熱間鍛造金型、温間鍛造金型ではワークがもともと加熱され、さらに鍛造に伴う摩擦によって発熱する。図7に一回の加工中にポンチのモニタリング位置における温度変化の代表的なカーブを示す。
【0050】
STEP4は、金型高温強度算出の処理手順である。金型は鍛造加工により加熱されて温度が上昇し、鍛造終了後には潤滑剤が吹き付けられて冷却され、これが繰り返されて金型温度は徐々に上昇し、やがては同じ温度領域の中で過熱と冷却を繰り返す。金型材料は、この加熱冷却の過程でいわゆる焼戻しの効果をうけて、その機械的強度は低下する。図8は、横軸に加工時の金型温度をとり、縦軸に金型材料のせん断降伏応力στをとって金型高温強度を示したものである。実際には金型材料のビッカース硬度HVとせん断降伏強度στとの間には相関があるので、焼戻しの効果で軟化した金型材料の室温でのビッツカース硬度HVを計算で求めて、図8の対応するカーブの一つあるいは補完したカーブをその金型材料のものと特定し、加工時の金型表面温度の結果からその温度におけるせん断降伏応力στを求めて金型高温強度とできる。これらのデータは、さまざまな金型材料の温度特性、焼戻し特性、表面処理材等に依存するので、データベース化しておくことが好ましい。
【0051】
STEP5は、摩擦せん断応力算出の処理手順である。金型高温強度を算出したモニタリング位置における金型の受ける面圧力pと、摩擦係数μからその要素部分の摩擦せん断応力σfは式(3)で求められる。
【0052】
【数3】
σf=p*μ (3)
【0053】
STEP6は、降伏強度比算出の処理手順である。降伏強度比とは、同じモニタリング位置におけるせん断降伏応力στと摩擦せん断応力σfの比であり、式(4)で定義される。
【0054】
【数4】
γ=στ/σf (4)
ここで、面圧p、摩擦係数μは、金型寿命を通してほぼ一定なので摩擦せん断応力σfもほぼ一定と考えてよい。これに対し金型高温強度を示すせん断降伏応力στは加工回数とともに低下するので、降伏強度比γも加工回数に従って低下する。複数のモニタリング位置におけるその様子を図9に示す。
【0055】
STEP7は、ゼロ摩耗閾値加工回数算出の処理手順である。降伏強度比は加工回数が増加するに従って低下するので、加工回数を1ずつ増加させ、降伏強度比が1となるときのを加工回数Nc 求める。このときそのモニタリング位置では、金型高温強度を示すせん断降伏応力が金型に働く摩擦せん断応力にまで低下しているので、加工回数Ncを金型摩耗開始のゼロ摩耗閾値加工回数の指標とできる。
【0056】
STEP8は、摩耗量算出の処理手順である。ゼロ摩耗閾値加工回数以後における金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wは、式(1)で与えられ、詳しくは式(2)を用いて式(5)で算出できる。この式を用いて、ある加工回数における全摩耗量Wは式(6)で与えられる。
【0057】
【数5】
w=A*(Ef)b/(στ)c
=A*[∫(p*μ*v)dt]b/(στ)c (5)
【数6】
W=(N−Nc)*w (6)
ここで、Nは任意の加工回数、Ncはゼロ摩耗閾値加工回数である。ここで一加工摩耗量wが一定でなく加工回数で変化するときは、式(6)は積分形で用いることができる。
【0058】
STEP9は、金型寿命算出の処理手順である。鍛造金型は金型の摩耗が開始しても、その金型により製造される製品の寸法が、設計公差Wd以内であれば金型としては使用できる。したがって金型寿命となる加工回数Ndは式(7)で与えられる。
【0059】
【数7】
Nd=Nc+Wd/w (7)
【0060】
本発明の実施の形態の説明では、摩耗量は機械的負荷として面圧p、すべり速度v、これらから計算される摩擦せん断応力σf、累積摩擦仕事量Efを用い、熱的劣化強度である金型高温強度としてせん断降伏応力στを用いたが、すべり速度の積分として直接すべり距離Lを用い、せん断降伏応力στにかえて加工温度下のビッカース硬度HVhを用いても本発明は実施できる。すなわち摩耗量Wの式として次に掲げる式(8)から式(11)でも本発明は実施できる。
【0061】
【数8】
W=k1*(p*L/HVh) (8)
【数9】
W=k2*(Ef/HVh) (9)
【数10】
W=k3*[L/(μ*γ)] (10)
【数11】
W=k4*(σf*L/στ) (11)
【0062】
2.本発明の第二の実施形態
図10に示す本発明の第二の実施形態においては、金型を使用する熱間鍛造機または温間鍛造機16に、データ入力手段17、記憶手段18、演算手段19、表示手段20を備える摩耗量等検出装置21を接続する。そして第一の実施の形態において求められたゼロ摩耗閾値加工回数、ある加工回数における全摩耗量、金型寿命なる加工回数等の加工回数摩耗量関係算出値22を前記記憶手段18に記憶し、鍛造機のその金型の加工回数計数手段23から加工回数を入力手段17を介して入力し、記憶手段に記憶された所定の加工回数と摩耗量等の関係と、鍛造機のその金型の加工回数を比較して、摩耗開始の加工回数に至ったか、その加工回数における摩耗量はいくらか、寿命加工回数に至ったかの演算を演算手段19に実行させ、結果を表示手段20に表示する。したがって、鍛造加工中の加工回数を入力することのみで、摩耗開始の検出、摩耗量の検出、寿命の検出が容易にできる。
【0063】
上述のように、本発明の実施の形態においては、金型の設計データから熱・変形連成解析を行い、それに基づいて各モニタリング位置の機械的負荷、熱的劣化強度である金型高温強度について演算を進め、金型摩耗量を加工回数と関係付けられるようにしたので、金型設計の定量的で迅速なフイードバックを可能とし、寿命予測から進んで寿命検出においても加工回数で把握できるようになった。
【0064】
【発明の効果】
本発明において金型の摩耗量を予測するにあたっては、金型に対する攻撃的要素である機械的負荷を算出し、金型に対する強度劣化要素である繰り返し加えられる高温による熱的劣化強度を算出し、これら算出された機械的負荷と熱的劣化強度の関数である摩耗量算出式を演算して予測摩耗量を算出するものとし、また前記機械的負荷は前記累積摩擦仕事量で、前記熱的劣化強度は、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度における機械的強度であることが好ましいものとしたので、金型の寿命を決める摩耗量について、鍛造金型特有の条件を取り入れた摩耗モデルに従い、摩耗量と加工回数の関係について定量的な摩耗量計算式が可能となった。
【0065】
また、加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比の関数としてゼロ摩耗閾値加工回数を算出するものとしたので、前記摩耗量計算式に従って摩耗開始加工回数を予測することができた。また、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測するにあたっては、前記累積摩擦仕事量と繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力の関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量を算出するものとしたので、この摩耗量計算式に従って加工一回あたりの摩耗量を予測することができた。また、金型の全摩耗量を算出するにあたってもこの摩耗量計算式に従って加工一回あたりの摩耗量を予測することができた。さらに、寿命加工回数を算出するにあたってもこの摩耗量計算式に従って加工一回あたりの摩耗量を予測することができた。
【0066】
また金型の摩耗開始、金型の全摩耗量、金型の寿命をこの摩耗量計算式に従って加工回数で検出することができた。さらに金型設計の定量的で迅速なフイードバックが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基礎となる摩耗モデルにおける金型の摩耗、寿命に影響する要因を示すマップ図である。
【図2】 本発明の知見である加工回数と金型摩耗量についてのデータを示す図である。
【図3】 本発明の知見である摩耗開始と降伏強度比の関係を示す図である。
【図4】 本発明の知見である、一加工摩耗量と金型材料の高温降伏強さであるせん断降伏応力の関係を、累積摩耗仕事量をパラメータにして示した図である。
【図5】 本発明の第一の実施の形態についてのフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態における仕上げポンチのモニタリング位置における、一加工中の累積摩擦仕事量の代表的なカーブを示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態における仕上げポンチのモニタリング位置における、一加工中の温度変化の代表的なカーブを示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態における加工時の金型温度と金型材料のせん断降伏応力στの関係を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態における降伏強度比と加工回数の関係を示す図である。
【図10】 本発明の第二の実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
1 金型、2 製品、3 力、4 変位、5 熱、6 垂直応力、7 摩擦せん断応力、8 すべり距離、9 すべり速度、10 摩擦仕事、11 累積摩擦仕事量、12 金型高温強度、13 変形抵抗=降伏応力、14 せん断降伏応力、15 降伏強度比、16 鍛造機、17 データ入力手段、18 記憶手段、19 演算手段、20 表示手段、21 摩耗量等検出装置、22 加工回数摩耗量関係算出値、23 加工回数計数手段、Ef 累積摩擦仕事量、HV ビッカース硬度、L すべり距離、Nc ゼロ摩耗閾値加工回数、Nd 寿命加工回数、W 全摩耗量、Wd 設計公差、p 面圧力、v すべり速度、w 一加工摩耗量、γ 降伏強度比、μ 摩擦係数、σf 摩擦せん断応力、στ せん断降伏応力。
Claims (15)
- 金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測装置において、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算手段と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算手段を有することを特徴とする金型摩耗量予測装置。
- 金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測方法において、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算工程と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算工程を有することを特徴とする金型摩耗量予測方法。
- 金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測プログラムにおいて、コンピュータに、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算処理手順と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算処理手順を実行させることを特徴とする金型摩耗量予測プログラム。
- 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測装置において、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算手段を有することを特徴とする金型摩耗量予測装置。 - 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測方法において、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算工程と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算工程を有することを特徴とする金型摩耗量予測方法。 - 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を予測する金型摩耗量予測プログラムにおいて、コンピュータに、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算処理手順と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算処理手順を実行させることを特徴とする金型摩耗量予測プログラム。
- 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測装置において、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算手段と、
加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算手段と、
前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算手段を有することを特徴とする金型摩耗量予測装置。 - 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測方法において、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算工程と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算工程と、
加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算工程と、
前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算工程を有することを特徴とする金型摩耗量予測方法。 - 繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して算出される降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工における金型の加工回数全部にわたる全摩耗量を算出する金型摩耗量予測プログラムにおいて、コンピュータに、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算処理手順と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、金型の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算処理手順と、
加工回数全部から前記ゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算処理手順と、
前記算出された一加工摩耗量に前記算出された摩耗期間加工回数を乗算して金型の全摩耗量を算出する全摩耗量演算処理手順を実行させることを特徴とする金型摩耗量予測プログラム。 - 金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測装置において、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算手段と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算手段と、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出する累積摩擦仕事量演算手段と、前記算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算手段と、
金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算手段と、
前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算手段を有することを特徴とする金型寿命予測装置。 - 金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測方法において、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算工程と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算工程と、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分した累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算工程と、
金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算工程と、
前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算工程を有することを特徴とする金型寿命予測方法。 - 金型の寿命加工回数を予測する金型寿命予測プログラムにおいて、コンピュータに、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出する降伏強度比演算処理手順と、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数とするゼロ摩耗閾値加工回数演算処理手順と、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分した累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出する一加工摩耗量演算処理手順と、
金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を前記算出された一加工摩耗量で除算して摩耗期間寿命加工回数を算出する摩耗期間寿命加工回数演算処理手順と、
前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して寿命加工回数を算出する寿命加工回数演算処理手順を実行させることを特徴とする金型寿命予測プログラム。 - 金型の摩耗を検出する金型摩耗検出装置において、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶するゼロ摩耗閾値加工回数記憶手段と、
加工回数を計数する加工回数計数手段と、
前記記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数から前記計数された加工回数を減算して、その結果を表示する表示手段を有することを特徴とする金型摩耗検出装置。 - 金型の摩耗量を検出する金型摩耗量検出装置において、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、前記ゼロ摩耗閾値加工回数を記憶するゼロ摩耗閾値加工回数記憶手段と、
加工回数を計数する加工回数計数手段と、
前記計数された加工回数から記憶されたゼロ摩耗閾値加工回数を減算して摩耗期間の加工回数を算出する摩耗期間加工回数演算手段と、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出し、算出された前記累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出し、算出された前記ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量を記憶する一加工摩耗量記憶手段と、
前記算出された摩耗期間の加工回数に、前記記憶された一加工摩耗量を乗算して、全摩耗量を算出する全摩耗量演算手段と、
前記算出された全摩耗量を表示する表示手段を有することを特徴とする金型摩耗量検出装置。 - 金型の寿命を検出する金型寿命検出装置において、
繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力を、金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力で除算して降伏強度比を算出し、算出された前記降伏強度比が1に達する加工回数を、摩耗が開始するゼロ摩耗閾値加工回数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を算出し、
金型の各要素部分の微小時間における、被加工素材と金型の間に働く摩擦せん断応力にすべり距離を乗算し、一回の加工期間にわたって積分して累積摩擦仕事量Efを算出し、算出された累積摩擦仕事量Efと、繰り返し加工後における金型の各要素部分の加工温度におけるせん断降伏応力στの関数として、ゼロ摩耗閾値加工回数を超えた後の加工一回あたりの摩耗量である一加工摩耗量wを、A,b,cを定数として、w=A*(Ef)b/(στ)cとして算出し、
金型の対象製品の寸法公差の関数である金型寿命摩耗量を、前記算出された一加工摩耗量で除算して求められる摩耗期間寿命加工回数を算出し、
前記算出されたゼロ摩耗閾値加工回数に、前記算出された摩耗期間寿命加工回数を加算して金型寿命加工回数を算出し、
算出された金型寿命加工回数を記憶する寿命加工回数記憶手段と、
加工回数を計数する加工回数計数手段と、
前記記憶された寿命加工回数から前記計数された加工回数を減算して、その結果を表示する表示手段を有することを特徴とする金型寿命検出装置。
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