JP6339969B2 - 薄肉被検査材の変形抵抗同定方法 - Google Patents

薄肉被検査材の変形抵抗同定方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄肉被検査材に対して実際に圧縮試験を実施すると共に、その圧縮試験と同様な条件で数値シミュレーションを実施して、薄肉被検査材の変形抵抗を同定する方法に関する。
従来より、鋼材などの試験片の変形抵抗を測定する方法としては、引張試験、圧縮試験、ねじり試験などが挙げられる。例えば、試験片の変形抵抗の測定装置としては、特許文献1に開示された圧縮試験装置がある。
特許文献1は、熱間変形抵抗の測定装置であり、試験片の圧縮時に発生する不均一なひずみ分布を補正し、試験片の変形抵抗を算出することを目的としている。
具体的には、特許文献1は、加熱された円柱試験片の両端部を1対の平行工具で狭圧する手段と、該工具の変位および該工具への荷重を測定する手段、該工具の変位から得られた試験片高さとひずみより試験片の最大断面積を推定する手段および荷重を最大断面積で除すことにより平均の材料の熱間変形抵抗を推定する手段とからなる演算処理装置とにより熱間変形抵抗を測定する装置において、演算処理装置に試験片が樽状に変形するために試験片の最大断面に生じる不均一ひずみ分布の影響を補正する不均一ひずみ分布補正手段を組み込んでいる熱間変形抵抗測定装置を開示する。
特開平11−90531号公報
特許文献1の測定装置は、試験片を狭圧すなわち圧縮することで変形抵抗を測定することを目的とした装置である。そのため、単体で圧縮することが困難である「薄くて脆い薄肉被検査材(例えば、酸化スケールなど)」の変形抵抗を測定することはほぼ不可能である。
また、酸化スケールのような鋼材の表面に一体的に生成されるものに関しては、酸化スケールだけを鋼材(すなわち、母材)から剥ぎ取り、試験片とすることは非常に難しい。加えて、酸化スケールのような薄肉被検査材を500度以上に加熱し,その温度の変形抵抗を測定するには、変形抵抗の測定中における治工具との抜熱などにより測定条件が大きく変わり、変形抵抗を精度よく測定することは非常に困難である。
そこで、本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、予め測定対象となる薄肉被検査材が載置された母材に対して実際に圧縮試験を行い、且つその圧縮試験と同様な条件で数値シミュレーションを実施し、圧縮試験のデータと数値シミュレーションのデータとから、実際の薄肉被検査材の変形抵抗を同定することができる薄肉被検査材の変形抵抗同定方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる薄肉被検査材の変形抵抗同定方法は、真空チャンバ内に配備され且つ母材の表面上に載置され、試験温度Tに加熱された薄肉被検査材に対して、ポンチを圧下させて凹部を形成する圧縮試験を行い、圧下時の前記球形ポンチのストローク量S、前記球形ポンチの圧下荷重Fを測定するステップ1と、前記真空チャンバ内で不活性ガスを用いて冷却後、前記母材の凹部の圧痕形状及びサイズLを測定し、測定した前記凹部の圧痕形状及びサイズLから当該凹部の圧痕深さHを算出するステップ2と、算出された前記凹部の圧痕深さHから、前記母材の弾性変形ΣW(R)と前記ポンチの弾性変形ΣP(R)及び、試験装置のガタや弾性変形ΣE(R)の影響を排除して、前記凹部の押し込み深さhを算出するステップ3と、算出された前記母材の凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積Aを算出するステップ4と、算出された前記凹部の押し込み表面積Aと、前記ポンチの圧下荷重Fから、前記凹部の押し込み深さ と、前記ポンチのストローク量Sにおける前記凹部の平均面圧Pとの関係を調査するステップ5と、圧縮試験の数値シミュレーションにおいて、薄肉被検査材の変形抵抗σを種々変化させて、前記実際の圧縮実験と同様の条件で実施するステップ6と、前記数値シミュレーション結果から、前記凹部の押し込み深さhと、前記ポンチの圧下荷重Fを出力するステップ7と、出力された前記凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積Aを算出するステップ8と、算出された凹部の押し込み表面積Aと、前記ポンチの圧下荷重Fから、前記凹部の押し込み深さhと、前記ポンチのストローク量Sにおける凹部の平均面圧Pとの関係を調査して、様々な前記薄肉被検査材の変形抵抗σにおけるデータベースを作成するステップ9と、前記ポンチのストローク量Sにおける前記凹部の平均面圧Pを、前記データベースにあてはめて、前記薄肉被検査材の変形抵抗σを同定するステップ10と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記薄肉被検査材は、前記母材の表面に生成される酸化スケールであるとよい。
本発明によれば、予め測定対象となる薄肉被検査材が載置された母材に対して実際に圧縮試験を行い、且つその圧縮試験と同様な条件で数値シミュレーションを実施し、圧縮試験のデータと数値シミュレーションのデータとから、実際の薄肉被検査材の変形抵抗を同定することができる。
圧縮試験装置の概略を示す模式図である。 本発明にかかる薄肉被検査材の変形抵抗同定方法のフローチャート図である。 圧縮試験にて母材に形成された凹部の平均面圧Pを算出する方法を示すグラフである。 試験温度(℃)に対する薄肉被検査材の変形抵抗σ(MPa)の関係を示した図である。
以下、本発明にかかる薄肉被検査材の変形抵抗同定方法の実施の形態を、図を基に説明する。
なお、本発明の薄肉被検査材Zの変形抵抗同定方法で使用する母材Wは、例えば、鋼、チタン、アルミなど金属製の試験片であるとよい。本実施形態において使用する母材Wは、S45Cの鋼材を例示して説明する。また、本実施形態においては、鋼材Wに酸化スケールを生成させ、その酸化スケール(酸化皮膜)を、測定対象の薄肉被検査材Zとしている。
本実施形態の薄肉被検査材Zの変形抵抗同定方法を説明する前に、この同定方法で用いる圧縮試験装置1について、図を基に説明する。
図1に示すように、圧縮試験装置1は、酸化スケールZが生成される前の鋼材W(母材)が収容される真空チャンバ2と、真空チャンバ2の内部に設けられ、鋼材Wを加熱する加熱ヒータ3と、真空チャンバ2の底部に設けられ、鋼材Wを載置する載置台4(ワークテーブル)と、真空チャンバ2の上部に設けられ、鋼材Wの上部に対して進出して上面に凹部(押し込み凹部)を形成する圧下装置5と、圧下装置5を圧下させる油圧シリンダを有している(油圧シリンダは図示せず)。
圧縮試験装置1に備えられた真空チャンバ2は、空洞の筺体である。真空チャンバ2は、内部を真空状態に減圧することが可能であり、真空状態の内部を気密に保持できる容器である。真空チャンバ2の側壁には、酸化スケールZが生成される前の鋼材Wを真空チャンバ2内に搬入したり、酸化スケールZが生成された後の鋼材Wを真空チャンバ2から外部に搬出したりするための扉が開閉自在に備えられている(加熱炉、扉ともに図示せず)。
真空チャンバ2内の底部には、鋼材Wを配置するための載置台4が設けられている。載置台4は例えば平板状の台であり、上面が略水平となっており、鋼材Wを載置台4上に配置できるようになっている。
また、鋼材Wが配置された載置台4の左右方向の内壁面には、加熱ヒータ3が配置されている。加熱ヒータ3は、後述する試験条件(所定の試験温度)となるように、鋼材Wを加熱するものである。
圧下装置5は、載置台4の上方に配備され、載置台4に載置された鋼材Wに対して上方から近接離反とされており、圧下装置5を下降させることで鋼材Wの上部に凹部を形成するものである。圧下装置5の下方を向く中央部には、鋼材Wの上部に凹部を形成するための突起部が形成されている。本実施形態における突起部6は、ポンチであり、図1では、例えば下方を向く凸状である半球状のポンチ6を図示している。なお、ポンチ6の形状及びサイズ(寸法)などは、母材Wに対して極めて小さいものである。ポンチ6の寸法に関しては、特に限定しない。また、ポンチ6は、半球状に限定されず、リング形状・円柱・円錐や台形錐など圧痕の形状から深さおよび接触面積が求まるものであればよい。
ところで、測定対象となる酸化スケールZは、厚みが非常に薄いので、これ単体では変形抵抗σを測定することができない。そこで、本発明では、測定対象となる酸化スケールZが生成された鋼材W(表面上に薄肉被検査材Zが載置された状況下の母材W)を用いて、酸化スケールZの変形抵抗σを、以下に示すステップ1〜10に沿って求めている。
本実施形態の酸化スケール(薄肉被検査材)Zの変形抵抗同定方法は、実際に鋼材W(母材)に対して圧縮試験(実機実験)を行い、ポンチ6のストローク量Sにおける鋼材Wに形成された凹部の平均面圧Pを求め、その圧縮試験と並行乃至は先行して、数値シミュレーションプログラムに酸化スケールZの変形抵抗σを付与して、実際と同様の圧縮試験をシミュレートして、酸化スケールZの変形抵抗σに対する平均面圧Pを求め、圧縮試験における平均面圧Pと、数値シミュレーションにおける平均面圧Pとを照らし合わせて、鋼材Wの表面に生成された実際の酸化スケールZの変形抵抗σを同定するものである。
[圧縮実験]
まず、測定対象となる酸化スケールZが生成された鋼材Wに対して、球形状のポンチ6を圧下させる実際の圧縮試験の過程について、図を基に説明する。
図2は、酸化スケールZの変形抵抗を同定する方法のフローチャート図である。
図2に示すように、ステップ1では、まず加熱炉(例えば、大気炉)内に装入し、設定された所定の酸化条件下で鋼材Wを加熱する。所定の酸化条件下で加熱された鋼材Wの表面には、測定対象となる酸化スケールZが生成される。なお、酸化条件に関しては、少なくとも、鋼材Wに対する加熱温度が600℃以上、加熱時間が1分以上であるとよい。
そして、酸化スケールZが生成された鋼材Wを加熱炉から出して、常温になるまで冷却(空冷)する。冷却後の酸化スケールZの膜厚tを測定する。
続いて、酸化スケールZが生成された鋼材W(以降、単に鋼材Wと呼ぶこともある。)を真空チャンバ2内部に装入して、真空で且つ高周波による加熱などにより所定の試験温度T(試験条件)まで、昇温と温度保持を行い、鋼材Wを加熱する。所定の試験条件下となった真空チャンバ2内部にて、極小のポンチ6を酸化スケールZが生成された鋼材Wの上部に対して圧下する。
ポンチ6を圧下した際のストローク量S(押し込み変位(押し込み速度))と、圧下荷重Fを測定する。測定後、Ar雰囲気下で、凹部が形成された鋼材Wを冷却する。
ステップ2では、鋼材Wに形成された半球状の凹部における圧痕形状及びサイズLを実測する。その測定した凹部の圧痕形状及びサイズLから、その凹部の圧痕深さHを算出する。
ステップ3では、ステップ2で算出された凹部の圧痕深さHから、球形ポンチ6の弾性変形ΣK(R)及び、鋼材Wの弾性変形ΣW(R)及び、試験装置のガタや弾性変形ΣE(R)を差し引いて、凹部の押し込み深さhを算出する。
このように、圧縮試験における凹部の圧痕深さHは、3つの弾性変形ΣK(R),ΣW(R)及び、ΣE(R)が生じている状況下で発生するものであるため、真の押し込み深さhと異なるものである。それ故、押し込み深さhを求めるにあたっては、ステップ2で算出された圧痕深さHから、3つの弾性変形ΣK(R),ΣW(R)及び、ΣE(R)の影響分を除去する必要がある。すなわち、算出された押し込み深さhは、圧痕形状及びサイズLから幾何学的に算出された値、つまり3つの弾性変形ΣK(R),ΣW(R)及び、ΣE(R)の影響を除去した圧痕深さHであり、後述する数値シミュレーションに用いるときの押し込み深さhと同じである。
具体的には、図3に示すように、まず圧縮試験で得られるデータより、ストロークSに対する圧下荷重Fの関係(B)、すなわち圧縮試験における荷重曲線(黒色の実線)を作成する。そして、弾性変形ΣK(R),ΣW(R)及び、ΣE(R)を除いたストローク量Sに対する圧下荷重Fの関係(A)、すなわち圧縮試験における真の荷重曲線(グレー色の実線)をAとBの比を一定と考えて作成する。このようにして得られた真の荷重曲線(A)等を基に、圧痕深さHから弾性変形ΣK(R),ΣW(R)及び、ΣE(R)の影響を除去し、凹部の押し込み深さhを求める。
ステップ4では、ステップ3で決定した鋼材Wの凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積A(半球状の表面積)を算出する。
ステップ5では、ステップ4で算出された凹部の押し込み表面積Aと、ステップ1で測定されたポンチ6の圧下荷重Fから、凹部の押し込み深さhと、所定のストローク量Sにおける凹部の平均面圧Pとの関係を作成する。
[数値シミュレーション]
次に、酸化スケールZの変形抵抗σを数値シミュレーションに付与して、実機同様の圧縮試験をシミュレートする過程について、説明する。
まず、数値シミュレーションを行う理由としては、以上述べたステップ1〜5までの実際の圧縮試験では、所定のストローク量Sにおける「凹部の平均面圧P」までは算出できるが、本願の目的である実際の酸化スケールZの「変形抵抗σ」までは算出することができない。なぜならば、凹部の平均面圧Pは、酸化スケールZの変形抵抗σZ(R)だけでなく鋼材Wの変形抵抗σW(R)との影響を受けており、実試験で酸化スケールZの変形抵抗σを算出することが難しいためである。
図2に示すように、ステップ6では、まずステップ1で測定した酸化スケールZの膜厚tを、プログラム(数値シミュレーションプログラム)に組み込む。
このプログラムにおいては、実機実験と同様の圧縮試験が仮想的に構築されている。コンピュータ上に仮想的に構築された圧縮試験においては、鋼材Wに対する加熱炉の酸化条件、圧縮試験の試験条件、球形ポンチ6を圧下した際の実験条件(ストローク量S、圧下荷重F、押し込み深さhなど)などがシミュレートされるようになっている。
仮想的に構築された圧縮試験の数値シミュレーションプログラムにおいて、酸化スケールZの変形抵抗σを種々変化させて、実験と同様の条件で実施する。
具体的には、数値シミュレーションにおいて、圧縮試験の条件の設定、すなわち試験温度Tの設定、圧下速度の設定などを行う。
そして、酸化スケールZの変形抵抗σを種々変化させて、実際の圧縮実験と同様の条件で実施する。つまり、様々な酸化スケールZの変形抵抗σをプログラムに付与して、鋼材Wにおける圧縮試験の状況をシミュレートする。なお、数値シミュレーションにおいては、球形ポンチ6は剛体とし、鋼材Wは塑性変形体としている。それ故、球形ポンチ6及び鋼材Wは弾性変形しない。
なお、本実施形態で用いられる数値シミュレーションは、コンピュータ上で実行されるプログラムの形で実現されている。また、本実施形態においては、例えば、DEFORM(Design Environment for FROMing:米国SFTC社)、FORGE(TRANSVALOR社製)、ABAQUS(DASSAULT SYSTEMES社製)などの数値シミュレーションソフトを使用するとよい。
ステップ7では、ステップ6で得られた数値シミュレーション結果から、凹部の押し込み深さhと、ポンチ6の圧下荷重Fを出力する。
ステップ8では、ステップ6で出力された凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積A(半球状の表面積)を算出する。
ステップ9では、ステップ8で算出された凹部の押し込み表面積Aと、ステップ6で出力されたポンチ6の圧下荷重Fから凹部の平均面圧Pを求め、凹部の押し込み深さhと、所定のストローク量Sにおける凹部の平均面圧Pとの関係を調査して、その関係を示す校正曲線を作成する。すなわち、凹部(押し込み凹部)の押し込み深さhと凹部の平均面圧Pとの関係を示す曲線が、酸化スケールZの変形抵抗σごとに複数得られることになる。
なお、凹部の押し込み深さhと、凹部の平均面圧Pと、酸化スケールZの変形抵抗σとの関係は、表などにまとめられたデータベースであってもよい。これら調査されたデータベースは、コンピュータに保存されるようになっていてもよい。
ステップ10では、ステップ5で得られた圧縮試験の実験値を、ステップ9で作成されたデータベース(例えば、校正曲線など)にあてはめて、酸化スケールZの変形抵抗σを同定する。すなわち、ステップ5で得られた圧縮試験の凹部の平均面圧P(実験値)を、ステップ9で作成されたデータベース(校正曲線)に照らし合わせることで、酸化スケールZの変形抵抗σを推定することができる。
まとめると、上記した薄肉被検査材Zの変形抵抗同定方法は、ステップ1〜5に示す実際の圧縮実験において、実際の凹部における平均面圧Pまでしか得られないので、ステップ6〜10に示す実際の圧縮実験同様の数値シミュレーションを、実際の圧縮実験と並行乃至は先行して実施し、圧縮試験で得られたデータと数値シミュレーションで得られたデータとを付き合わせることで、実際の酸化スケールZの変形抵抗σを推定している。
なお、酸化スケールZの変形抵抗σを推定精度を向上させるために、以上述べた実際の圧縮実験及び数値シミュレーションを、複数の酸化条件、試験条件下で実施し、種々の酸化スケールZの変形抵抗σと平均面圧Pとの関係を調べてもよい。数値シミュレーションにおいては、様々な酸化スケールZの変形抵抗σ(例えば、実際には実現不可能な値など)を試すことができるので、多くのデータを得ることが可能である。
図4は、試験温度T(℃)に対する酸化スケールZの変形抵抗σ(MPa)の関係を調べた結果を示す。この図は、様々な試験温度Tにおいて、ステップ1〜ステップ10を行うことで、酸化スケールZの変形抵抗σを算出し、グラフ化することで得られるものである。
以上述べたように、本発明の薄肉被検査材Zの変形抵抗同定方法は、測定対象となる酸化スケールZが生成された鋼材Wに対して実際に圧縮試験を行い、且つその圧縮試験と同様な条件で数値シミュレーションを実施し、圧縮試験のデータと数値シミュレーションのデータとを同定することで、実際の酸化スケールZの変形抵抗σを求めることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、本発明は、鋼材Wに生成された酸化スケールZの変形抵抗σを同定する方法の説明をしたが、フィルムなど非常に薄いものを母材W上に載置した場合であっても適用可能である。
1 圧縮試験装置
2 真空チャンバ
3 加熱ヒータ
4 載置台(ワークテーブル)
5 圧下装置
6 ポンチ(突起部)
W 母材(鋼材)
Z 薄肉被検査材(酸化スケール)

Claims (2)

  1. 真空チャンバ内に配備され且つ母材の表面上に載置され、試験温度Tに加熱された薄肉被検査材に対して、ポンチを圧下させて凹部を形成する圧縮試験を行い、圧下時の前記球形ポンチのストローク量S、前記球形ポンチの圧下荷重Fを測定するステップ1と、
    前記真空チャンバ内で不活性ガスを用いて冷却後、前記母材の凹部の圧痕形状及びサイズLを測定し、測定した前記凹部の圧痕形状及びサイズLから当該凹部の圧痕深さHを算出するステップ2と、
    算出された前記凹部の圧痕深さHから、前記母材の弾性変形ΣW(R)と前記ポンチの弾性変形ΣP(R)及び、試験装置のガタや弾性変形ΣE(R)の影響を排除して、前記凹部の押し込み深さhを算出するステップ3と、
    算出された前記母材の凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積Aを算出するステップ4と、
    算出された前記凹部の押し込み表面積Aと、前記ポンチの圧下荷重Fから、前記凹部の押し込み深さ と、前記ポンチのストローク量Sにおける前記凹部の平均面圧Pとの関係を調査するステップ5と、
    圧縮試験の数値シミュレーションにおいて、薄肉被検査材の変形抵抗σを種々変化させて、前記実際の圧縮実験と同様の条件で実施するステップ6と、
    前記数値シミュレーション結果から、前記凹部の押し込み深さhと、前記ポンチの圧下荷重Fを出力するステップ7と、
    出力された前記凹部の押し込み深さhから、当該凹部の押し込み表面積Aを算出するステップ8と、
    算出された凹部の押し込み表面積Aと、前記ポンチの圧下荷重Fから、前記凹部の押し込み深さhと、前記ポンチのストローク量Sにおける凹部の平均面圧Pとの関係を調査して、様々な前記薄肉被検査材の変形抵抗σにおけるデータベースを作成するステップ9と、
    前記ポンチのストローク量Sにおける前記凹部の平均面圧Pを、前記データベースにあてはめて、前記薄肉被検査材の変形抵抗σを同定するステップ10と、を有する
    ことを特徴とする薄肉被検査材の変形抵抗同定方法。
  2. 前記薄肉被検査材は、前記母材の表面に生成される酸化スケールであることを特徴とする請求項1に記載の薄肉被検査材の変形抵抗同定方法。
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