JP2005164355A - 材料接合部評価方法および成形用金型 - Google Patents

材料接合部評価方法および成形用金型 Download PDF

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Abstract

【課題】 接合部の寿命評価を容易にし、その方法を用いて、例えばプレス成形用金型の構成材料や接合条件の選定を行う。
【解決手段】 数値解析によって、熱衝撃が評価対象接合部に加えられたときの該接合部の残留応力、または残留歪の値を求め、テストピースに対する熱衝撃の回数とテストピース内の接合部の残留応力、または残留歪との実験的関係を示す曲線を用いて、前記数値解析によって求められた残留応力、または残留歪の値に対応して評価対象接合部の接合寿命を評価する。
【選択図】 図1

Description

本発明は金型、さらに詳しくは例えばレンズなどの光学素子をプレス、あるいは射出成形によって形成するために、異なる材料が接合されて構成される金型において、異なる材料の接合部の接合寿命の評価方法、およびその評価方法を用いて、構成材料や接合条件の選定が行われる金型に関する。
材料特性の異なる材料を2種類以上接合して、例えばプレス成形用金型を作成する場合、接合部に生じる熱膨張や収縮のために寿命の低下や割れが発生することがある。また、金型は使用回数の増加につれて、磨耗、クラック、割れなどの発生のために成形に使用できなくなる限界(金型寿命)があり、生産状況に応じてあらかじめ予備の金型を準備しておく必要がある。そして金型の寿命によって製品コストが変動することもあり、あらかじめ製品コストをつかむためにも金型の寿命予測が必要となる。
金型の寿命予測に関する従来技術として次の文献がある。
土屋他、熱間鍛造金型の損傷挙動と損傷マップによる寿命予測、R&D Review of Toyota CRDL Vol.36 No.4、p47−54(2001.12)
この文献では、熱間鍛造金型における損傷形態が経時的に調査され、金型の寿命をもたらす変形や磨耗の発生と進行が、熱負荷による金型の軟化挙動と密接な関係にあることが明らかにされている。
しかしながら、この文献の技術は、本発明が対象とする2種類以上の材料が接合された金型の接合部の寿命予測に適用することができない。従来、このような接合部の接合寿命、あるいは繰り返し熱衝撃寿命を評価する場合には、テストピースを用いた実験を行うことによって評価が行われていた。この方法では接合条件(接合部の面粗度、接合圧力、接合温度、接合時間、および冷却時間)のばらつきが大きい場合には同一材料での接合寿命が異なり、また接合部付近に打痕、研磨痕などの傷が存在すると、その傷のために接合寿命が低下し、正しく接合部の寿命を予測できないという問題点があった。
次に従来の技術では、テストピースを用いた実験を行うために、実験の回数だけテストピースを作成する必要があり、また接合条件を安定させてばらつきのないテストピースを作成し、例えば繰り返し熱衝撃に対する寿命を評価するためには、実験時間が数日から数ヶ月の単位で必要となり、金型寿命予測のためのコストと時間が膨大になるという問題点があった。
さらに、例えばプレス成形用金型では、プレス成形に用いる材料と、金型を工作機械などに取り付けるための金型取付部の材料とは、それぞれの特性が最適であり、しかもコストを低くするという観点から、一般に2種類の異なった金属材料が接合されて使用されている。しかしながら、このような異なる材料の最適な組み合わせや、接合条件の設定が難しく、特にプレス成形用金型の場合には、使用中にかかる成形圧に対する耐久性が大きな問題となり、期待される寿命を確保するための接合条件や材料の組み合わせの選定が容易でないという問題点があった。
本発明の課題は、上述の問題点に鑑み、異なる材料の接合部の寿命評価、特に繰り返し熱衝撃に対する寿命評価を容易に行うことができる接合部評価方法を提供することであり、またそのような評価方法を利用して、例えばプレス成形用金型を構成するための接合材料や接合条件の選定を容易とし、製品の製造工程を効率化し、また製造コストを低下させることである。
図1は本発明の材料接合部評価方法の原理的な機能ブロック図である。同図の評価方法は、異なる材料、例えば特性の異なる2種の金属材料の接合部の評価に用いられるものであり、1で数値解析によって熱衝撃が評価対象接合部に加えられた時の接合部における残留応力、または残留歪が求められ、2でテストピースに対する熱衝撃の回数とテストピース内の接合部の残留応力、または残留歪との関係を示す曲線を用いて、数値解析によって求められた残留応力、または残留歪の値に対応して、評価対象接合部の接合寿命の評価が行われる。
発明の実施の形態においては、前述の数値解析において接合部の一方の材料の線膨張係数として、接合相手側の材料の線膨張係数の値に対応する推定値を用いることもできる。
また実施の形態においては、前述の異なる材料の一方がプレス成形用材料であり、他方が接合された全体としての金型を他に、例えば工作機械に取り付けるための取付用材料であり、両者の接合部に図1で説明した材料接合部評価方法が適用されるプレス成形用金型を用いることもできる。
この場合、プレス成形用材料と取付用材料との選定、またはこれらの材料の接合条件の選定において、図1で説明した材料接合部評価方法を用いることもできる。
さらに実施の形態においては、本発明の材料接合部評価方法が用いられる金型を、前述の異なる材料が放電プラズマ焼結法によって接合されるプレス成形用金型とすることも、また異なる材料としてプレス成形用材料、取付用材料に加えて、さらに1つ以上の材料が接合された金型であって、少なくとも1つ以上の接合部が放電プラズマ焼結法によって接合されるプレス成形用金型とすることもできる。
本発明によれば、数値解析の結果とテストピースに対する実験結果を比較して、異なる材料の接合部の寿命予測の精度を向上させることが可能となる。またテストピースの数を低減し、実験時間を大幅に短縮させることも可能となる。
次に本発明によれば、材料特性の中で接合部の寿命に大きく影響すると考えられる線膨張係数や熱伝導係数の値の内で、例えば粉末材料のように高い温度での値が未知であるような場合に、接合相手側の材料の係数の値に対応した推定値を用いることができ、予測の精度を向上させることができる。そしてこのような推定を行うことによって線膨張係数などが未知であっても、金属材料としての他の特性が優れている材料を接合して金型として利用できる。
また本発明の材料接合部評価方法をプレス成形用材料、金型取付用材料とを接合したプレス成形用金型の寿命予測に適用することができ、接合材料の選定や接合条件の選定を効率化することができる。
さらにこのようなプレス成形用金型を、異なる2種の材料が放電プラズマ焼結法によって接合された金型、またはプレス成形用材料と金型取付用材料に加えて、さらに1つ以上の材料が接合された金型において少なくとも1つ以上の接合部が放電プラズマ焼結法によって接合されたプレス成形用金型とすることもでき、このようなプレス成形用金型における接合部の寿命予測が可能となる。
図2は本発明のプレス成形用金型、例えば光学素子成形用金型の製造に用いられるSPS(スパーク・プラズマ・シンタリング、放電プラズマ焼結)方法の概略説明図である。同図において11は例えば円筒状の成形用外枠であり、例えばカーボン製である。12は上パンチ、13は下パンチであり、成形用外枠11と同様にカーボン製である。
成形用外枠11に下パンチ13をセットし、その上に平均粒度2μmの炭化タングステン(以下WCと略す)14を充填し、その上に平均粒度0.5μmのWC15を充填し、その上に上パンチ12をセットして焼結ユニット16が構成される。
焼結ユニット16は真空チャンバ18内に設置され、真空チャンバ18の内部は図示しない真空ポンプによって真空状態とされ、その後、不活性ガス雰囲気に置換することも可能となっている。また焼結ユニット16に対してはパルス電源17を用いて、上部パンチ電極19と下部パンチ電極20を介して通電が行われる。
本発明においては、特性の異なる材料を接合したプレス成形用金型として、使用される可能性のあるすべての材料の組み合わせを選定し、各組み合わせに対するテストピースを作成する。すなわち溶製材料は精度よく加工し、粉末材料は均一な混粉などを行い、溶製材料と粉末材料とをSPS焼結によって接合し、接合部、および接合部付近に打痕、研磨痕などの傷が存在しない、直径40mm、高さ80mm程度の形状の実験用テストピースを作成した。
そしてこのテストピースを用いて繰り返し熱衝撃実験を行い、1回ごとの熱衝撃、または数回ごとの熱衝撃の後で接合部の残留応力、残留歪を測定する。ここで実験条件としては、雰囲気温度1250℃−1300℃まで毎分10℃上昇させ、その後室温まで徐々に冷却させて、これを1サイクルとし、接合部が破損、または接合寿命が低下するまで、そのサイクルを繰り返す。このテストピースに対しては接合強度のばらつきを可能な限り、低減させる必要があるため、寸法精度や接合条件に対して十分な管理が必要である。例えば非破壊検査機器を用いて接合部、または接合部付近の表面や内部の傷や、クラックのチェックを行うことも必要であり、また残留応力や残留歪の測定では接合部が高温にさらされるために歪ゲージなどの接触式測定器などを利用することができず、非接触の測定器、例えばX線応力測定装置を使用する必要がある。
図3は、このテストピース作成方法の流れの説明図である。まずステップS1で接合材料が選定され、粉末材料と溶製材料とを接合するものとして、ステップS2で粉末材料の均一混粉が行われ、ステップS3で密度均一化のために圧粉が行われ、ステップS4でSPS焼結が行われ、ステップS5で研削加工が行われ、ステップS6で仕上げラップ(鏡面仕上げ)が行われ、面粗度が、例えば1μm以下となるように加工精度確認が行われ、ステップS7で接合面の組織観察が行われる。接合面の組織観察の結果が不適切である場合にはステップS5以降の動作が繰り返され、結果が適切である場合にはステップS14の動作が行われる。
溶製材料に対してはステップS9で粗加工が行われ、所定寸法、例えば直径40mm、高さ80mmの寸法に加工が行われ、ステップS10−S12で粉末材料に対すると同様に研削加工、仕上げラップ、および接合面組織観察が行われ、組織観察の結果が適切であった場合にはステップS14で粉末材料と溶製材料との接合、すなわちSPS接合が行われ、ステップS15で接合部周辺の組織観察、すなわちクラックや傷の有無が観察され、結果が不適切であればステップS14の動作に戻り、観察結果が適切であった場合にはテストピースが完成する。
次に特性の異なる材料、例えば溶製材料と粉末材料との接合部を対象として、温度依存性を持たせた各材料の特性値(ヤング率、ポアソン比、降伏応力、線膨張係数、熱伝導係数、比熱、密度等)を入力して接合部の数値モデル化を行い、そののち数値解析を実施し、解析結果として接合部、および接合部付近の残留応力や残留歪の値を、例えば有限要素法の節点ごとに算出する。
そして数値解析によって算出された残留応力や残留歪の値と、テストピースに対する実験結果としての残留応力や残留歪の値を比較するために、数値解析による値をテストピース形状での値に変換する。この変換では、実金型形状とテストピース形状との接合部面積や体積の違いを考慮し、比例計算を行う。この変換結果とテストピースに対する実験結果とを比較することによって、実金型が何回の熱衝撃寿命を持つかを予想することができる。
以後、いくつかの実施例に分けて、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。まず実施例1として、図2で説明した平均粒度2μmのWC4と、平均粒度0.5μmのWC5とをSPS焼結した金型に対する繰り返し熱衝撃寿命の予測について、説明する。図4は、この金型に対応するテストピースの繰り返し熱衝撃実験の結果を示す。繰り返し熱衝撃回数の増加と共に、接合部付近の残留応力が低下することが示されている。例えば、一般的に熱間鍛造金型において、その寿命に対応する応力の値はほぼ20kgf/mm2の程度であるといわれており、この残留応力の値に対応する回数が熱衝撃寿命として予測されることになる。
図5は実施例1における繰り返し熱衝撃寿命評価方法の流れの説明図である。同図においてまずステップS20でCADを用いて解析モデルが作成され、ステップS21で異なった種類の金属材料の物性値のデータ、すなわち温度依存性を持たせた材料特性値が入力され、ステップS22で有限要素法を適用するためのメッシュが生成され、接合部の数値モデル化が行われる。
そして解析を熱のみに対応して行うか、荷重のみに対応して行うかによって、熱のみの場合にはステップS23で解析が実施されて残留応力、歪の値が算出され、荷重のみの場合にはステップS24で解析が実施され、残留応力や歪の値が算出される。ここで荷重のみに対する解析を実施する理由は、荷重のみでプレス成形が行われることもあるためであり、その場合にも応力を発生させる方法が違うだけである。残留応力や残留歪の値に対応して、接合部の寿命を予測する本発明においては、荷重のみの場合も対象として寿命予測を行うことができる。
続いてステップS25でテストピースに対する実験値との比較のために、解析で求められた残留応力や残留歪の値が換算され、ステップS26でその結果を用いて接合部の寿命予測が行われる。
すなわちステップS25で換算が行われた結果としての、例えば残留応力の値を用いて、図4においてその値が何回目の繰り返し熱衝撃回数に対応するものであるかが読み取られ、前述のように図4の上で残留応力の値が20kgf/mm2に対応する回数まであと何回の繰り返し熱衝撃回数が残されているかによって、金型接合部の寿命予測が行われる。
図6は、接合部寿命評価処理の詳細フローチャートである。同図において処理が開始されると、まずステップS31でCADにより解析モデルが作成され、ステップS32でジオメトリデータ、すなわち有限要素法を適用するための幾何的なデータへの変換が行われ、ステップS33でジオメトリデータとしての点群を座標に変換するためのプリポストプログラムでの読み込みが行われ、ステップS34で線膨張係数、および熱伝導係数の推定値の入力が行われる。
実施例1では、前述のように平均粒度2μmのWC4と、0.5μmのWC5との2つの粉末材料の接合が行われるが、これらの粉末材料の間には線膨張係数に違いがあり、そのために接合部に残留歪、および残留応力が生じる。その意味で熱衝撃が加えられる温度、すなわちある程度高温における線膨張係数の値が必要となるが、粉末材料に対する高温での線膨張係数の値は必ずしも既知でなく、実験によってその値を求めるのも難しい。
図7は、例えば平均粒度の大きく異なる粉末材料を接合させた場合の接合状態の説明図である。このように粉末材料を接合させる場合には、粉末材料の間などにポーラスが生じるため、粉末材料自体の線膨張係数を求めることは難しく、特に高い温度における粉末材料の線膨張係数の値は、何らかの方法でその推定を行うことが一般的に必要となる。粉末材料の熱伝導係数についても同様であり、従って熱伝導係数についても線膨張係数と同様に高温における値を推定して、その値を使用する必要がある。これらの係数の推定方法については図8、図9を用いて後述する。
図6のステップS35に戻り、ヤング率、ポアソン比、降伏応力などの物性値が入力される。これらの値としては文献値を用いることも可能である。続いてステップS36で有限要素法を適用するためのメッシュが生成され、熱のみの場合に対して解析を行う場合にはステップS38で熱条件、ステップS39で境界条件が入力され、ステップS40で熱特性を考慮すべき要素としての有限要素法分割時の平面歪要素が設定され、ステップS41で解析が実施されて、残留応力と残留歪の値が算出される。
一方、荷重のみの場合を取り扱う時にはステップS43で荷重条件、S44で境界条件が入力され、ステップS45で平面歪要素が設定される。ステップS46で解析が実施されて残留応力、残留歪の値が算出され、その後ステップS47で熱衝撃寿命評価が行われて処理を終了する。
前述のように数値解析においては、各材料の各種の特性値を入力して数値解析を行うことになるが、粉末材料については一般的に文献などによってこれらの特性値を知ることが困難であることが多い。また知ることができたとしても、その値は粉末材料を固化した状態のものであり、さらに粉末材料を固化しても図7で説明したようにポーラスが形成されるため、特性値が異なってくる可能性がある。そこで実施例1では接合部の繰り返し熱衝撃寿命の予測において重要な線膨張係数と熱伝導係数とについて、実際に使用される温度付近での係数の値を推定することによって、寿命予測の精度を向上させることにする。
図8はこのような係数の推定方法の説明図である。熱伝導係数も同様であるので、ここでは線膨張係数の推定方法について説明する。同図において、まずステップS51で任意の温度、例えば常温において粉末材料の膨張量Aが測定され、ステップS52で一般に線膨張係数の値を知ることが容易な溶製材について同一温度で膨張量Bが測定される。ここでは実験によって膨張量を測定する代わりに文献やカタログの線膨張係数の値を用いて膨張量Bを算出してもよい。
そしてステップS53で粉末材料の膨張量Aと溶製材の膨張量Bとの比率が算出される。一般的に粉末材料の方が膨張が少なく、Aの方がBより小さくなる。そしてステップS54で高い温度、例えば600℃における粉末材料の線膨張係数が推定される。すなわち溶製材料に対しては文献値、または実験によって溶製材の膨張量を求め、線膨張係数を算出することが可能である。そこでその線膨張係数の値にステップS53で求められた比率が乗算されて、粉末材料に対する同一温度での線膨張係数の値が推定される。
図9は粉末材料の線膨張係数推定方法の具体例の説明図である。同図においてまず任意の温度、例えば200℃において粉末材料と溶製材料との膨張量から線膨張係数の値が求められる。その値は粉末材料に対しては点Aで、溶製材料に対してはBで示されている。ここでは200℃で測定を行うものとしたが、誤差をできるだけ含まないようにするためにはより低温側、例えば20℃において実験値を取得することが望ましい。
溶製材料に対してはより高温、すなわち400℃から1000℃までの範囲に対して実験的に線膨張係数を求めることも可能であり、あるいは文献値やカタログ値として線膨張係数の値を知ることも可能である。ここで例えば400℃での粉末材料に対する線膨張係数を求めるためには、点Aと点Bとにおける線膨張係数の値の比率、ここでは約0.96を求め、この比率を用いて溶製材料の400℃における線膨張係数の値に0.96を乗算することによって、400℃での粉末材料の線膨張係数の推定値が求められる。ただしこの方法は、粉末材料の高温における線膨張係数を実験で求めることができない場合の推定方法であり、1000℃ぐらいまで実験で線膨張係数を求めることができる場合には、実験値をそのまま用いることができることは当然である。
以上のように実施例1では、平均粒度2μmのWCと平均粒度0.5μmのWCとをSPS焼結工法で接合したプレス成形用金型の繰り返し熱衝撃寿命の予測を行った。このプレス成形用金型は、実際には雰囲気温度650℃前後、最大荷重200N/mm2の成形条件で使用されるものである。寿命予測の結果、このプレス成形金型はほぼ1万1000回の成形まで使用可能であることがわかった。同様のSPS焼結工法で接合したプレス成形用金型を用いた実機による実験と比較した結果、実機においても1万回以上の成形を繰り返しても金型に破損が生じないことが確認された。
このように実施例1によれば、材料特性の異なる2種類の粉末材料を接合して、プレス成形用金型を製造し、未使用段階において精度よく、繰り返し熱衝撃寿命を予測することが可能となる。また組み合わせの決まった金型に対しては、実験用に1つのテストピースを用意してあらかじめ図4のような特性を測定しておくことによって、熱衝撃寿命の予測に要する時間を大幅に短縮することができる。
次に本発明の実施例2について説明する。実施例2では、実施例1と同様に2種類の粉末材料を用いたが、一方の粉末材料はWC−3%Cr粒径(範囲)1−5μmを用い、他方の粉末材料として粒径0.3μmのWCを用いた。
実施例2においても実施例1におけると同様に、2種類の粉末材料をSPS焼結工法によって焼結、および接合させて繰り返し熱衝撃寿命を予測した。予測方法その他は実施例1におけると同様である。実施例2では一方の粉末材料はWCに3%Crを添加しているものであり、他方の粉末材料もWCの粒径が実施例1における粒径と異なっているため、線膨張係数や熱伝導係数の推定値も異なってくる。
そのため、例えば図9において溶製材料としては同一の材料を用い、粉末材料を変えることによって、その粉末材料に対する高温での線膨張係数、あるいは熱伝導係数の推定値を得ることが可能となる。異なる粉末材料に対しては、それぞれ同様にして線膨張係数や熱伝導係数の推定値が求められる。
図10は、実施例2におけるテストピースに対する実験結果としての、繰り返し熱衝撃回数に対する残留応力の特性を示す。実施例2ではWCに3%Crを添加した粉末材料が使用されていることによって対酸化性に優れているため、図4の特性に比べて残留応力の減少の傾きが小さくなっている。このことから実施例2では、プレス成形用金型の接合部の破損に至るまでの成形可能数は増加することが期待できる。
数値解析結果においても、粉末材料が変わったことによって接合部、および接合部付近の残留応力や残留歪の値が変わることも確認された。このように実施例2において、異種の金属を添加した粉末材料でも線膨張係数の推定値を変えることによってプレス成形用金型の繰り返し熱衝撃寿命の予測を行うことができる。
続いて実施例3について説明する。実施例3としては、実施例1におけると同じ粉末材料を用いた板曲げ成形用金型を製造し、リンクプレス加工機を使用して板曲げ成形を行った。
すなわち、実施例3では、実施例1と同じ2種類の粉末材料をSPS焼結工法によって焼結、および接合させて板曲げ成形用金型を製造した。金型によって加工される材料としてはアルミニウム製の板材料(板厚1.0mm)を用いて、両端を曲げて図11に示すコの字形状への板曲げ成形を行った。図11において中心線Aを境とした片側のみが示されており、実際には中心線Aを境とした対称形状を含むコの字の形状となっている。加工量としては、板曲げ成形用金型が材料に接触してから、ストロークとして50mm移動させた。
実施例3では、本来熱衝撃の影響ではなく、板曲げ成形による応力−歪の特性を考慮する必要があり、例えばJIS5号試験片を引っ張り試験機によって引っ張り、それによって得られる応力−歪特性に関するデータを使用すべきものと考えられる。しかしながら、この引っ張り試験機によるデータ取得には時間を要し、また実験コストもかかるため、実施例3では実施例1における図4の特性を用いて金型成形部の寿命予測を行うこととした。
すなわち板曲げ成形用金型を数値モデル化し、数値解析により接合部、および接合部付近の残留応力、残留歪を算出し、図4の実験値と比較することによってプレス成形用金型の接合部の寿命を予測した。この予測ではおおよそ1万2000回の成形まで可能であることが判明した。
図4の繰り返し熱衝撃回数に対する残留応力の変化特性は、実施例3において熱の影響を考慮しない板曲げ成形における特性とは異なるように考えられる。しかしながら熱による応力発生も、荷重による応力発生も、単に応力発生の経過が違うだけであり、残留応力の値に対応して接合部の寿命を予測する本発明の方法においては、多少の予測精度の低下はあったとしても、板曲げ成形用金型に対しても接合部の寿命を未使用段階で予測することが可能となる。
すなわち実施例3においては、残留応力の値で金型の接合部が破損するまでの寿命の予測を行うため、金型に残留応力が生じるような成形方法であれば加工方法による制限は一切なく、ダイカスト鋳造成形、金属鍛造成形、絞り成形などに使用される金型への応用も可能である。
最後に実施例4について説明する。実施例4では光学素子成形用の金型の製造を行った。接合すべき材料の一方としては前述のWC−3%Cr粒径1−5μmを、他方の材料としては粉末材料ではなく、溶製材料(鋼材)を使用した。すなわち粉末材料をSPS焼結工法で焼結し、その後粉末材料と溶製材料をSPS接合させて、光学素子成形用のプレス成形用金型を製造した。
数値解析においては、粉末材料に対しては線膨張係数や熱伝導係数の推定値などを用いて金型を数値モデル化し、溶製材料に対しては図9で説明したような、例えば実測値を線膨張係数や熱伝導係数に対して用いて数値モデル化し、数値解析を実施した。その結果、材料が変わったことにより、実施例1や実施例2とはかなり異なった残留応力や残留歪の値が得られた。
そしてあらかじめ取得されたテストピースに対する実験結果と比較して、このプレス成形用金型の接合部の寿命を予測した結果、実施例4におけるプレス成形用金型はほぼ1万回の成形まで利用可能であることがわかった。
なお、この実施例4におけるプレス成形用金型は、一般的に光学素子の1つとしての球面、非球面レンズのプレス成形に使用される。このような成形においては粉末材料側がプレス成形材料に該当し、プレス成形を繰り返した後、接合部が寿命に達すると、粉末材料を切断して再度粉末材料をSPS焼結工法によって焼結し、その後粉末材料と溶製材料とをSPS接合させることによって、溶製材側は数十回使用することが可能となる。リサイクルの観点からも意義が大きい。
このように実施例4によれば、粉末材料と溶製材料のように材料特性が全く異なる金属材料の接合部が破損するまでの、例えばプレス成形回数を予測することが可能となる。また、このプレス成形金型は球面や非球面レンズなどの量産に用いられ、あらかじめ金型の寿命を予測することによって、生産に支障をきたさないように金型が寿命に達する前に次の金型の確保を行うことが可能となる。
またSPS接合の特徴として、金属材料の接合だけでなく、アルミナなどのセラミックス材料と溶製材料との接合も可能であり、そのような接合部を対象とする数値解析を実施することによって、セラミックス材料と溶製材料が接合されたプレス成形用金型や、各種の複合材料、機能材料で構成される金型の繰り返し熱衝撃寿命の予測を行うことも可能となる。
なお以上の説明ではSPS接合を主として金型の接合について説明したが、他の接合方法、例えば溶接、ロー付け、接着などによって接合された接合部の評価を行うことも当然可能である。
本発明は、プレス成形用金型などの各種の金型の製造産業は当然のこととして、そのような金型を利用して製品を製造する各種の産業において利用可能である。
本発明の材料接合部評価方法の原理的な機能ブロック図である。 本発明で使用されるSPS焼結工法の説明図である。 テストピース作成方法の流れを示す図である。 実施例1におけるテストピースに対する繰り返し熱衝撃特性を示す図である。 接合部評価処理の全体フローチャートである。 接合部評価処理の詳細フローチャートである。 粉末材料の接合部におけるポーラスの生成を説明する図である。 線膨張係数推定値決定方法の流れを示す図である。 線膨張係数の推定値の決定方法の具体例の説明図である。 実施例2におけるテストピースに対する繰り返し熱衝撃特性を示す図である。 実施例3における板曲げ成形後の最終製品形状を示す図である。
符号の説明
11 成形用外枠
12 上パンチ
13 下パンチ
14 粉末材料
15 粉末材料(溶製材料)
16 焼結ユニット
17 パルス電源
18 真空チャンバー
19 上部パンチ電極
20 下部パンチ電極

Claims (7)

  1. 異なる材料の接合部の評価方法であって
    数値解析によって、熱衝撃が評価対象接合部に加えられたときの該接合部の残留応力、または残留歪の値を求め、
    テストピースに対する熱衝撃の回数とテストピース内の接合部の残留応力、または残留歪との実験的関係を示す曲線を用いて、前記数値解析によって求められた残留応力、または残留歪の値に対応して評価対象接合部の接合寿命を評価することを特徴とする材料接合部評価方法。
  2. 前記数値解析において、材料の線膨張係数、および/または熱伝導係数として、高温における線膨張係数および/または熱伝導係数の値が既知である材料の値に基づいて推定される推定値を用いることを特徴とする請求項1記載の材料接合部評価方法。
  3. 前記異なる材料の一方が成形用材料であり、他方が他の機械に取り付けるための取付用材料であり、両者の接合部に請求項1記載の材料接合部評価方法が適用されることを特徴とする成形用金型。
  4. 前記異なる材料の一方が成形用材料であり、他方が他の機械に取り付けるための取付用材料であり、両者の材料の選定において請求項1記載の材料接合部評価方法が適用されることを特徴とする成形用金型。
  5. 前記異なる材料の一方が成形用材料であり、他方が他の機械に取り付けるための取付用材料であり、両材料の接合条件の選定において請求項1記載の材料接合部評価方法が適用されることを特徴とする成形用金型。
  6. 前記異なる材料が放電プラズマ焼結法によって接合されることを特徴とする請求項3、4、または5記載の成形用金型。
  7. 前記異なる材料として、前記成形用材料と取付用材料とに加えて、さらに1つ以上の材料が接合された金型であって、少なくとも1つ以上の接合部が放電プラズマ焼結法によって接合されることを特徴とする請求項3、4、または5記載の成形用金型。
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