JP6057797B2 - セトリング時間の取得方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セトリング時間の取得方法に係り、例えば、電子ビーム描画装置における電子ビームの成形偏向を行う偏向用のアンプのセトリング時間の取得方法に関する。
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、高精度の原画パターン(レチクル或いはマスクともいう。)が必要となる。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、高精度の原画パターンの生産に用いられる。
図10は、可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
可変成形型電子線(EB:Electron beam)描画装置は、以下のように動作する。第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式(VSB方式)という。
描画装置では、電子ビーム等の荷電粒子ビームを偏向器で偏向させて描画するが、かかるビーム偏向にはDAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプが用いられている。このようなDACアンプを用いたビーム偏向の役割としては、例えば、ビームショットの形状やサイズの制御、ショット位置の制御、及びビームのブランキングが挙げられる。ビーム偏向を行うためには、設定される移動量を誤差なく偏向させるために必要なDACアンプのセトリング時間が設定される必要がある。セトリング時間が足りないと偏向移動量に誤差が生じる。また、セトリング時間が長すぎるとスループットが劣化してしまう。そのため、誤差が生じない範囲でできるだけ短いセトリング時間に設定されることが望ましい。
ここで、近年の半導体装置に代表される回路パターンの高精度化および微細化が進むに伴い、電子ビーム描画装置においても、高精度、及び高スループットが求められている。従来、位置測定器を用いて、描画位置を測定し、位置測定器で測定可能な範囲で位置ずれが生じないようにセトリング時間を設定するなど(例えば、特許文献1参照)、ショット位置の制御を行うビーム偏向についてはセトリング時間の最適化が注目されてきた。しかしながら、高精度、及び高スループットに伴い、偏向領域および成形ビームの最大ショットサイズの微細化が進んでいる。また、パターンの微細化により図形サイズの微細化も同様に進んでいる。そのため、従来、あまり注目されていなかった成形偏向、特に、図形サイズを変更する際のセトリング時間の最適化および正確化が求められるようになってきている。
特開2010−74039号公報
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、図形サイズを変更する成形偏向における好適なセトリング時間を取得する手法を提供することを目的とする。
本発明の一態様のセトリング時間の取得方法は、
第1と第2の成形アパーチャと、第1と第2の成形アパーチャ間を通過する荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを用いて成形された少なくとも1ショットの荷電粒子ビームによる基準パターンを1つ以上試料上に描画する工程と、
第1と第2の成形アパーチャと偏向器とを用いて、サイズが異なる第1と第2のパターンに成形された2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上基準パターンと同じになる評価パターンを、2ショット目のビーム成形について偏向器を制御するDAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプのセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する工程と、
基準パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
セトリング時間毎の評価パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
セトリング時間毎に、基準パターンのパターン幅サイズと評価パターンのパターン幅サイズとの差分を算出する工程と、
差分が閾値以下になるDACアンプのセトリング時間を取得する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、測定対象となるパターン幅の向きが第1の方向になる基準パターンと、測定対象となるパターン幅の向きが第1の方向と直交する第2の方向になる基準パターンとが、それぞれ描画され、
測定対象となるパターン幅の向きが第1の方向になる評価パターンと、測定対象となるパターン幅の向きが第2の方向になる評価パターンとが、セトリング時間毎にそれぞれ描画され、
第1と第2の方向について、基準パターンのパターン幅サイズが測定され、
第1と第2の方向について、セトリング時間毎の評価パターンのパターン幅サイズが測定され、
第1と第2の方向について、それぞれセトリング時間毎に、上述した差分が算出され、
第1と第2の方向について、それぞれDACアンプのセトリング時間が取得され、
第1の方向について取得されたDACアンプのセトリング時間と、第2の方向について取得されたDACアンプのセトリング時間と、のうち長い方を選択する工程をさらに備えると好適である。
また、基準パターンは、同じ第1のパターン幅サイズのパターンに成形された隣接する2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせにより構成され、
評価パターンは、第1のパターン幅サイズとは寸法測定器の測定限界未満の寸法だけ互いに大小にずれた第2と第3のパターン幅サイズのパターンに成形された隣接する2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせにより構成されると好適である。
或いは、基準パターンは、第1のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショットの荷電粒子ビームにより構成され、
評価パターンは、解像限界未満の第2のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショット目の荷電粒子ビームと、第1のパターン幅サイズのパターンに成形された2ショット目の荷電粒子ビームと、の重ね合わせにより構成されると好適である。
本発明の他の態様のセトリング時間の取得方法は、
第1と第2の成形アパーチャと、第1と第2の成形アパーチャ間を通過する荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを用いて第1のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショットの荷電粒子ビームによる基準パターンを1つ以上試料上に描画する工程と、
第1と第2の成形アパーチャと偏向器とを用いて、解像限界未満の第2のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショット目の荷電粒子ビームと、第1のパターン幅サイズのパターンに成形された2ショット目の荷電粒子ビームと、の重ね合わせにより構成された評価パターンを、2ショット目のビーム成形について偏向器を制御するDAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプのセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する工程と、
基準パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
セトリング時間毎の評価パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
セトリング時間毎に、基準パターンのパターン幅サイズと評価パターンのパターン幅サイズとの差分を算出する工程と、
差分が閾値以下になるDACアンプのセトリング時間を取得する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、図形サイズを変更する成形偏向における好適なセトリング時間を取得できる。
実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における各領域を説明するための概念図である。 実施の形態1におけるサイズ変更量が小さい時の最適なセトリング時間を取得するための基準パターンと評価パターンの一例を示す図である。 実施の形態1におけるサイズ変更量が大きい時の最適なセトリング時間を取得するための基準パターンと評価パターンの一例を示す図である。 実施の形態1におけるセトリング時間の取得方法の要部工程の一部を示すフローチャート図である。 実施の形態1におけるセトリング時間の取得方法の要部工程の残部を示すフローチャート図である。 実施の形態1における描画領域とパターン配列の一例を示す図である。 実施の形態1における差分とセトリング時間との関係を示すグラフの一例である。 実施の形態1におけるセトリング時間と偏向量(サイズ移動量)との関係を示すグラフの一例である。 可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、ブランキング偏向器212、ブランキングアパーチャ214、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、ガラス基板上にクロム(Cr)等の遮光膜が形成され、遮光膜上にレジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
制御部160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路120、制御回路122、DAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプ130、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路120、制御回路122、及び記憶装置140,142は、図示しないバスを介して接続されている。
制御計算機110内には、描画データ処理部114、及び描画制御部116が配置される。描画データ処理部114、及び描画制御部116といった機能は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。描画データ処理部114、及び描画制御部116に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の多段偏向器を用いているが、1段の偏向器或いは3段以上の多段偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。また、描画装置100には、マウスやキーボード等の入力装置、モニタ装置、及び外部インターフェース回路等が接続されていても構わない。
また、成形偏向用の偏向器205は、例えば、x方向とy方向に偏向するように、例えば、4極以上の電極によって構成される。DACアンプ130は、各電極用にそれぞれ設けられる。
図2は、実施の形態1における各領域を説明するための概念図である。図2において、試料101の描画領域10は、主偏向器208の偏向可能幅で、例えばy方向に向かって短冊状に複数のストライプ領域20に仮想分割される。また、各ストライプ領域20は、副偏向器209の偏向可能サイズで、メッシュ状に複数のサブフィールド(SF)30(小領域)に仮想分割される。そして、各SF30の各ショット位置にショット図形となるパターン52,54が描画される。
偏向制御回路120から図示しないブランキング制御用のDACアンプに対して、ブランキング制御用のデジタル信号が出力される。そして、ブランキング制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、ブランキング偏向器212に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットのビームが形成される。
偏向制御回路120から成形偏向制御用のDACアンプ130に対して、成形偏向制御用のデジタル信号が出力される。そして、成形偏向制御用のDACアンプ130では、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、成形偏向用の偏向器205に印加する。かかる偏向電圧によって第1のアパーチャ203を通過した電子ビーム200が偏向させられ、第2のアパーチャ206を通過させることで、図形種および図形サイズを可変にした各ショットのビームが成形される。
偏向制御回路120から図示しない主偏向位置制御用のDACアンプに対して、主偏向制御用のデジタル信号が出力される。そして、主偏向位置制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、主偏向器208に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットのビームがメッシュ状に仮想分割された所定のサブフィールド(SF)30の基準位置に偏向される。
偏向制御回路120から図示しない副偏向位置制御用のDACアンプに対して、副偏向制御用のデジタル信号が出力される。そして、副偏向位置制御用のDACアンプでは、デジタル信号をアナログ信号に変換し、増幅させた上で偏向電圧として、副偏向器209に印加する。かかる偏向電圧によって電子ビーム200が偏向させられ、各ショットのビームがメッシュ状に仮想分割された所定のサブフィールド(SF)内の各ショット位置に偏向される。
描画装置100では、偏向器205と第1のアパーチャ203及び第2のアパーチャ206を用いて、電子ビーム200の図形サイズを変更しながら、ストライプ領域20毎に描画処理を進めていく。成形された電子ビーム200は、位置制御用の複数段の偏向器を用いて、試料上へと偏向されることで描画が行われる。ここでは、一例として、主偏向器208、及び副偏向器209といった2段偏向器が用いられる。XYステージ105が例えば−x方向に向かって連続移動しながら、1番目のストライプ領域20についてx方向に向かって描画を進めていく。そして、1番目のストライプ領域20の描画終了後、同様に、或いは逆方向に向かって2番目のストライプ領域20の描画を進めていく。以降、同様に、3番目以降のストライプ領域20の描画を進めていく。そして、主偏向器208が、XYステージ105の移動に追従するように、SF30の基準位置Aに電子ビーム200を順に偏向する。また、副偏向器209が、各SF30の基準位置Aから当該SF30内に照射されるビームの各ショット位置に電子ビーム200を偏向する。このように、主偏向器208、及び副偏向器209は、サイズの異なる偏向領域をもつ。そして、SF30は、かかる複数段の偏向器の偏向領域のうち、最小偏向領域となる。
実施の形態1では、ビーム成形の際に図形サイズを変更するように電子ビーム200を偏向する偏向器205用のDACアンプ130に設定されるべき最適なセトリング時間を取得する手法について、以下、重点をおいて説明する。セトリング時間はビームの偏向量(移動量)が大きいとその分長くなる。そのため、最大サイズ変更量に合わせてセトリング時間を一意に設定していると、それよりも小さいサイズ変更では不要な時間がかかってしまう。昨今のパターンの微細化による図形サイズの微細化に伴い、成形される図形種も矩形が増えてきた。そして、ショット毎に各矩形のサイズを変更することが多くなってきている。よって、サイズの変更量(ビーム移動量)に合わせて、ショット毎に、最適化されたセトリング時間に変更することで無駄なセトリング時間を省くことができる。そこで、実施の形態1では、サイズの変更量(ビーム移動量)に合わせて、最適なセトリング時間を取得する手法について説明する。
図3は、実施の形態1におけるサイズ変更量が小さい時の最適なセトリング時間を取得するための基準パターンと評価パターンの一例を示す図である。図3(a)では基準パターン50を示している。図3(b)では評価パターン60を示している。
図3(a)において、基準パターン50は、隣接する2ショットの電子ビーム200の組み合わせにより構成される。隣接する2ショットの電子ビーム200は、サイズが共にN/2といった同じパターン幅サイズ(第1のパターン幅サイズの一例)のパターン52,54に成形される。1ショット目にパターン52が描画される。2ショット目にパターン54が描画される。よって、基準パターン50は、パターン幅サイズN(=N/2+N/2)のパターンとなる。基準パターン50では、成形されるビームの1ショット目と2ショット目とでサイズ変更が無いので、2ショット目の成形偏向について1ショット目からのビーム移動が不要となる。
図3(b)において、評価パターン60は、隣接する2ショットの電子ビーム200の組み合わせにより構成される。隣接する2ショットの電子ビーム200のうち1ショット目は、サイズがN/2(第1のパターン幅サイズの一例)とは寸法測定器の測定限界未満の寸法Rだけ互いに大小にずれたN/2+Rのパターン幅サイズ(第2のパターン幅サイズの一例)のパターン62に成形される。2ショット目は、N/2−Rのパターン幅サイズ(第3のパターン幅サイズの一例)のパターン64に成形される。よって、評価パターン60は、解像後のパターン幅サイズが、設計上、基準パターン50と同じ寸法N(=(N/2+R)+(N/2−R))のパターンとなる。評価パターン60では、成形されるビームの1ショット目と2ショット目とでサイズ変更が生じるので、2ショット目の成形偏向について1ショット目からの2R分のビーム移動が必要となる。よって、ビーム偏向量(移動量)2R分のセトリング時間が必要となる。
寸法Rは、寸法測定器の測定限界未満の寸法なので、実測される基準パターン50の解像後のパターン幅サイズLsと評価パターン60の解像後のパターン幅サイズLs’とは、評価パターン60の2ショット目のビーム成形にかかるセトリング時間依存の誤差を除けば、設計上同様の寸法Nになると考えられる。さらに、基準パターン50と評価パターン60は、ショット順序も同じなので、位置偏向に伴う位置誤差をキャンセルすることができる。基準パターン50において仮に位置偏向のずれが生じたとしても、評価パターン60においても同様に位置偏向のずれが生じるので相殺できる。
寸法Nとして、例えば、描画装置100の最大ショットサイズを用いると好適である。但し、これに限るものではない。寸法測定器で測定可能な寸法であればよい。寸法Rは、0<R≦0.1・Nを満たすと好適である。寸法Rが、例えば、1nmの場合、成形ゲインずれが10%あってもサイズ誤差が0.2nmとなるので線幅への影響は無視できる。
図4は、実施の形態1におけるサイズ変更量が大きい時の最適なセトリング時間を取得するための基準パターンと評価パターンの一例を示す図である。図4(a)では基準パターン51を示している。図4(b)では評価パターン61を示している。
図4(a)において、基準パターン51は、1ショットの電子ビーム200により構成される。1ショットの電子ビーム200は、サイズがNのパターン幅サイズ(第1のパターン幅サイズの他の一例)のパターン51に成形される。よって、1ショットでパターン51が描画される。
図4(b)において、評価パターン61は、2ショットの電子ビーム200の重ね合わせにより構成される。2ショットの電子ビーム200のうち1ショット目は、電子ビーム200の解像限界未満の寸法Rのパターン幅サイズ(第2のパターン幅サイズの一例)のパターン63に成形される。2ショット目は、基準パターン51と同じNのパターン幅サイズ(第3のパターン幅サイズの一例)のパターン65に成形される。1ショット目にパターン63が描画される。2ショット目にパターン65が描画される。パターン63のサイズRは、電子ビーム200の解像限界未満の寸法なので、評価パターン61は、設計上、基準パターン51と同じ、パターン幅サイズNのパターンとなる。パターン63がパターン65の端部の位置に重なるように描画されると、解像限界未満でもビームぼけとして寸法に影響を及ぼす可能性がある。よって、寸法への影響を排除するため、パターン63は、パターン65の中央部の位置に重なるように描画されると好適である。評価パターン61では、成形されるビームの1ショット目と2ショット目とでサイズ変更が生じるので、2ショット目の成形偏向について1ショット目からの(N−R)分のビーム移動が必要となる。よって、ビーム偏向量(移動量)(N−R)分のセトリング時間が必要となる。
寸法Rは、電子ビームの解像限界未満の寸法なので、実測される基準パターン51の寸法Lと評価パターン60の寸法L’とは、評価パターン61の2ショット目のビーム成形にかかるセトリング時間依存の誤差を除けば、同様になると考えられる。さらに、後述するように、基準パターン51と評価パターン61は、各描画対象SF30内の同じ位置に描画することで、位置偏向に伴う位置誤差をキャンセルすることができる。基準パターン51において仮に位置偏向のずれ(副偏向誤差)が生じたとしても、評価パターン61においても同様に位置偏向のずれ(副偏向誤差)が生じるので相殺できる。
寸法Nとして、例えば、描画装置100の最大ショットサイズを用いると好適である。但し、これに限るものではない。寸法測定器で測定可能な寸法であればよい。寸法Rは、0よりも大きく電子ビームの解像限界未満であればよい。寸法Rが、例えば、1nmを用いる。
図5は、実施の形態1におけるセトリング時間の取得方法の要部工程を示すフローチャート図である。図6は、実施の形態1におけるセトリング時間の取得方法の要部工程の残部を示すフローチャート図である。実施の形態1では、x方向とy方向について、図3で示した基準パターン50と評価パターン60を用いた小さい偏向量(移動量)(ショートレンジ)のセトリング時間の取得と、図4で示した基準パターン51と評価パターン61を用いた大きい偏向量(移動量)(ロングレンジ)のセトリング時間の取得と、を行う。x方向とy方向の一方だけについてセトリング時間を取得する場合でも構わない。
方向設定工程(S102)において、描画制御部116は、測定対象となるパターン幅の向きとして、x方向(第1の方向)と、x方向と直交するy方向(第2の方向)と、のうちの一方を設定する。ここでは、例えば、x方向に設定する。
セトリング時間初期設定工程(S104)において、描画制御部116は、ショートレンジのセトリング時間tsの初期値(t)を設定する。実施の形態1では、ショートレンジの基準パターン50の1ショット目のパターン52の成形偏向と、評価パターン60の1ショット目のパターン62の成形偏向とにかかるセトリング時間は十分長い時間に設定する。そして、評価パターン60の2ショット目のパターン64の成形偏向について、セトリング時間tsの初期値を設定する。
基準パターン描画工程(S106)において、第1と第2の成形アパーチャ203,206と、偏向器205とを用いて成形された2ショットの電子ビームによる基準パターン50を1つ以上試料101上に描画する。
基準パターン50を描画するために、描画データ処理部114は、記憶装置140からショートレンジ用の基準パターンデータを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成する。基準パターンデータには、図3(a)に示した基準パターン50が定義される。描画データ処理部114は、実際に描画するために、1ショット目のショット図形のパターン52と2ショット目のショット図形のパターン54とを生成し、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。その他、照射量に応じた照射時間が定義される。生成されたショットデータは記憶装置142に格納される。
図7は、実施の形態1における描画領域とパターン配列の一例を示す図である。基準パターン描画工程(S106)では、図7に示す試料101の領域Aに、2ショットの電子ビームによる基準パターン50を描画する。ここでは、番号1,2で示す位置に番号1,2の順でパターン52,54を描画する。
偏向制御回路120では、ショットデータを記憶装置142から読み出し、ショットデータに定義される成形データに応じて、ショット図形毎に、図形種及び図形サイズに応じて成形データを生成する。成形データは、DACアンプ130に出力される。また、偏向制御回路120は、ショットデータに定義される照射時間に応じて、ショット図形毎に、ブランキングデータを生成し、図示しないブランキング用のDACアンプに出力する。また、偏向制御回路120は、ショットデータに定義される位置座標に応じて主偏向位置データと副偏向位置データを生成し、主偏向位置データを図示しない主位置制御用のDACアンプに出力する。副偏向位置データを図示しない副位置制御用のDACアンプに出力する。描画制御部116に制御された制御回路122と偏向制御回路120に制御された各DACアンプからの信号に基づいて、描画部150は、電子ビーム200を用いて、当該図形パターンを試料100に描画する。具体的には、以下のように動作する。
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、ブランキング偏向器212内を通過する際にブランキング用のDACアンプからの偏向信号によって制御されるブランキング偏向器212によって、ビームONの状態では、ブランキングアパーチャ214を通過するように制御され、ビームOFFの状態では、ビーム全体がブランキングアパーチャ214で遮へいされるように偏向される。ビームOFFの状態からビームONとなり、その後ビームOFFになるまでにブランキングアパーチャ214を通過した電子ビーム200が1回の電子ビームのショットとなる。ブランキング偏向器212は、通過する電子ビーム200の向きを制御して、ビームONの状態とビームOFFの状態とを交互に生成する。例えば、ビームONの状態では電圧を印加せず、ビームOFFの際にブランキング偏向器212に電圧を印加すればよい。かかる各ショットの照射時間で試料101に照射される電子ビーム200のショットあたりの照射量が調整されることになる。
以上のようにブランキング偏向器212とブランキングアパーチャ214を通過することによって生成された各ショットの電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形の穴を持つ第1の成形アパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形に成形する。そして、第1の成形アパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2の成形アパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2の成形アパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させる(可変成形を行なう)ことができる。かかる可変成形はショット毎に行なわれ、実際の製品試料を描画する際には通常ショット毎に異なるビーム形状と寸法に成形される。但し、ここでは、基準パターンの各ショット図形と評価パターンの各ショット図形のうちの描画対象となるショット図形に成形される。そして、第2の成形アパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、XYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でSF30の基準位置に該当ショットの電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかる該当ショットのビームを偏向すればよい。かかる動作を繰り返し、各ショットのショット図形を繋ぎ合わせることで、基準パターン或いは評価パターンを描画する。
評価パターン描画工程(S108)において、第1と第2の成形アパーチャ203,206と、偏向器205とを用いて成形された2ショットの電子ビームによる評価パターン60を、2ショット目のビーム成形についてDACアンプ130のセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料101上に描画する。
評価パターン60を描画するために、描画データ処理部114は、記憶装置140からショートレンジ用の評価パターンデータを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成する。評価パターンデータには、図3(b)に示した評価パターン60が定義される。描画データ処理部114は、実際に描画するために、1ショット目のショット図形のパターン62と2ショット目のショット図形のパターン64とを生成し、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。その他、照射量に応じた照射時間が定義される。生成されたショットデータは記憶装置142に格納される。
評価パターン描画工程(S108)では、図7に示す試料101の領域Aに、2ショットの電子ビームによる評価パターン50を描画する。ここでは、番号3,4で示す位置に番号3,4の順でパターン62,64を描画する。2ショット目のセトリング時間がtの評価パターン60は、描画済の基準パターン50の位置からx方向に若干離れた位置に描画される。離れる距離はパターン幅の寸法測定を行うことができる程度に離れていればよい。
判定工程(S110)において、描画制御部116は、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsが許容時間tkよりも大きいかどうかを判定する。セトリング時間tsが許容時間tkよりも大きい場合には、ロングレンジ用のセトリング時間初期設定工程(S114)に進む。セトリング時間tsが許容時間tkよりも大きくない場合には、セトリング時間変更工程(S112)に進む。ここでは、セトリング時間tsを徐々に大きくする場合を示しているが、徐々に小さくしてもよい。かかる場合には、判定工程(S110)において、描画制御部116は、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsが許容時間tkよりも小さいかどうかを判定すればよい。
セトリング時間変更工程(S112)において、描画制御部116は、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsをtからtに変更する。そして、基準パターン描画工程(S106)に戻り、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsが許容時間tkよりも大きくなるまで、基準パターン描画工程(S106)からセトリング時間変更工程(S112)までの各工程を繰り返す。
評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsを可変にしながら描画を繰り返す際、図7の領域Aに示すように、基準パターン50は、それまで描画したパターンと重ならないように、例えば、y方向に、位置をずらして描画する。そして、評価パターン60も同様に、それまで描画したパターンと重ならないように、例えば、y方向に、位置をずらして描画する。図7の領域Aに示す番号は、基準パターン50の2ショットと評価パターン60の2ショットの描画順序を示している。評価パターン60の2ショットのパターン62,64は、基準パターン50の2ショットのパターン52,54と、常に、ショット順序が同じように描画が繰り返される。よって、位置偏向に伴う位置誤差をキャンセルすることができる。
セトリング時間初期設定工程(S114)において、描画制御部116は、ロングレンジのセトリング時間tの初期値(t)を設定する。実施の形態1では、ロングレンジの基準パターン51の成形偏向と、評価パターン61の1ショット目のパターン63の成形偏向とにかかるセトリング時間は十分長い時間に設定する。そして、評価パターン61の2ショット目のパターン65の成形偏向について、セトリング時間tの初期値を設定する。
基準パターン描画工程(S116)において、第1と第2の成形アパーチャ203,206と、偏向器205とを用いて成形された1ショットの電子ビームによる基準パターン51を1つ以上試料101上に描画する。
基準パターン51を描画するために、描画データ処理部114は、記憶装置140からロングレンジ用の基準パターンデータを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成する。基準パターンデータには、図4(a)に示した基準パターン51が定義される。描画データ処理部114は、実際に描画するために、1ショット目のショット図形のパターン51を生成し、ショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。その他、照射量に応じた照射時間が定義される。生成されたショットデータは記憶装置142に格納される。
基準パターン描画工程(S116)では、図7に示す試料101の領域Cに、1ショットの電子ビームによる基準パターン51を描画する。ここでは、番号1,2,・・・で示す位置に番号1,2,・・・の順で基準パターン51を描画する。基準パターン51は、それまで描画したパターンと重ならないように、あるSF30a内において、例えば、y方向に、位置をずらして繰り返し描画する。
評価パターン描画工程(S118)において、第1と第2の成形アパーチャ203,206と、偏向器205とを用いて成形された2ショットの電子ビームによる評価パターン61を、2ショット目のビーム成形についてDACアンプ130のセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料101上に描画する。
評価パターン61を描画するために、描画データ処理部114は、記憶装置140からロングレンジ用の評価パターンデータを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成する。評価パターンデータには、図4(b)に示した評価パターン61が定義される。描画データ処理部114は、実際に描画するために、1ショット目のショット図形のパターン63と2ショット目のショット図形のパターン65とを生成し、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、及び照射位置といった図形データが定義される。その他、照射量に応じた照射時間が定義される。生成されたショットデータは記憶装置142に格納される。
評価パターン描画工程(S118)では、図7に示す試料101の領域Cに、2ショットの電子ビームによる評価パターン61を描画する。ここでは、番号1,2,・・・で示す位置に番号1,2,・・・の順でパターン62,64を描画する。2ショット目のセトリング時間がtの評価パターン61は、基準パターン51が描画されるSF30aとは異なるSF30bにおいて、対応する基準パターン51が描画された位置と同じ位置に描画される。言い換えれば、評価パターン61の2ショット目のセトリング時間毎に、対応する基準パターン51が描画されている。基準パターン51と評価パターン61とでSF30内の描画位置を合わせることで、線幅測定の際、副偏向誤差をキャンセルできる。
判定工程(S120)において、描画制御部116は、評価パターン61の2ショット目のセトリング時間tが許容時間tkよりも大きいかどうかを判定する。セトリング時間tが許容時間tkよりも大きい場合には、現像工程(S130)に進む。セトリング時間tが許容時間tkよりも大きくない場合には、セトリング時間変更工程(S122)に進む。ここでは、セトリング時間tを徐々に大きくする場合を示しているが、徐々に小さくしてもよい。かかる場合には、判定工程(S120)において、描画制御部116は、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tが許容時間tkよりも小さいかどうかを判定すればよい。
セトリング時間変更工程(S122)において、描画制御部116は、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tをtからtに変更する。そして、評価パターン描画工程(S118)に戻り、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tが許容時間tkよりも大きくなるまで、評価パターン描画工程(S118)からセトリング時間変更工程(S122)までの各工程を繰り返す。
以上のように、測定対象となるパターン幅の向きがx方向における、少なくとも1ショットの電子ビーム200によるショートレンジの基準パターン50とロングレンジの基準パターン61を1つ以上試料上に描画する。それと共に、サイズが異なる2つのパターンに成形された2ショットの電子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上基準パターン50と同じになるショートレンジの評価パターン60を2ショット目のビーム成形についてセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する。さらに、サイズが異なる2つのパターンに成形された2ショットの電子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上基準パターン51と同じになるロングレンジの評価パターン61を、2ショット目のビーム成形についてセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する。
判定工程(S124)において、描画制御部116は、x,y両方向について描画が終了したかどうかを判定する。x,y両方向について描画が終了した場合には現像工程(S130)に進む。x,y両方向について描画が終了していない場合には方向変更工程(S126)に進む。
方向変更工程(S126)において、描画制御部116は、測定対象となるパターン幅の向きとして、x方向(第1の方向)とy方向(第2の方向)の他方を設定する。ここでは、例えば、y方向に変更する。そして、セトリング時間初期設定工程(S104)に戻り、セトリング時間初期設定工程(S104)から判定工程(S124)までを繰り返す。
ここで、測定対象となるパターン幅の向きがy方向になる場合には、x方向の場合と基準パターン50,51と評価パターン60,61の向きを90度回転させる。そして、ショートレンジの場合には、図7の領域Bに示すように、y方向に1ショット目と2ショット目が並ぶように基準パターン50と評価パターン60とを描画する。また、評価パターン60の2ショット目のセトリング時間tsを可変にしながら描画を繰り返す際、図7の領域Bに示すように、基準パターン50は、それまで描画したパターンと重ならないように、例えば、x方向に、位置をずらして描画する。そして、評価パターン60も同様に、それまで描画したパターンと重ならないように、例えば、x方向に、位置をずらして描画する。図7の領域Bに示す番号は、基準パターン50の2ショットと評価パターン60の2ショットの描画順序を示している。評価パターン60の2ショットのパターン62,64は、基準パターン50の2ショットのパターン52,54と、常に、ショット順序が同じように描画が繰り返される。よって、位置偏向に伴う位置誤差をキャンセルすることができる。
ロングレンジの場合には、図7に示す試料101の領域Dに、1ショットの電子ビームによる基準パターン51を描画する。ここでは、番号1,2,・・・で示す位置に番号1,2,・・・の順で基準パターン51を描画する。基準パターン51は、それまで描画したパターンと重ならないように、あるSF30c内において、例えば、x方向に、位置をずらして繰り返し描画する。また、図7に示す試料101の領域Dに、2ショットの電子ビームによる評価パターン61を描画する。ここでは、番号1,2,・・・で示す位置に番号1,2,・・・の順でパターン62,64を描画する。2ショット目のセトリング時間がtの評価パターン61は、基準パターン51が描画されるSF30cとは異なるSF30dにおいて、対応する基準パターン51が描画された位置と同じ位置に描画される。言い換えれば、評価パターン61の2ショット目のセトリング時間毎に、対応する基準パターン51が描画されている。基準パターン51と評価パターン61とでSF30内の描画位置を合わせることで、線幅測定の際、副偏向誤差をキャンセルできる。
以上のように、測定対象となるパターン幅の向きがy方向における、少なくとも1ショットの電子ビーム200によるショートレンジの基準パターン50とロングレンジの基準パターン61を1つ以上試料上に描画する。それと共に、サイズが異なる2つのパターンに成形された2ショットの電子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上基準パターン50と同じになるショートレンジの評価パターン60を2ショット目のビーム成形についてセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する。さらに、サイズが異なる2つのパターンに成形された2ショットの電子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上基準パターン51と同じになるロングレンジの評価パターン61を、2ショット目のビーム成形についてセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に試料上に描画する。
現像工程(S130)において、描画された試料101を現像する。
エッチング工程(S132)において、現像されたレジストパターンをマスクとして、露出した遮光膜をエッチングする。エッチング後はレジストパターンをアッシング等により除去することは言うまでもない。これにより、遮光膜によりパターン形成された試料101が形成される。
基準パターン測定工程(S140)において、寸法測定器を用いて、ショートレンジのx方向の基準パターン50のパターン幅サイズLsxを測定する。
評価パターン測定工程(S140)において、寸法測定器を用いて、ショートレンジのx方向の評価パターン60のパターン幅サイズLsx’を測定する。
差分演算工程(S144)において、測定されたセトリング時間tsにおける基準パターン50のパターン幅サイズLsxと評価パターン60のパターン幅サイズLsx’との差分ΔLsxを算出する。
基準パターン測定工程(S140)から差分演算工程(S144)までの各工程をセトリング時間ts毎に繰り返す。これにより、セトリング時間ts毎の基準パターン50のパターン幅サイズLsxと評価パターン60のパターン幅サイズLsx’との差分ΔLsxを取得する。
セトリング時間取得工程(S146)において、セトリング時間ts毎の差分ΔLsxの内、差分ΔLsxが閾値以下になるDACアンプ130のセトリング時間tsを取得する。
基準パターン測定工程(S240)において、寸法測定器を用いて、ショートレンジのy方向の基準パターン50のパターン幅サイズLsyを測定する。
評価パターン測定工程(S240)において、寸法測定器を用いて、ショートレンジのy方向の評価パターン60のパターン幅サイズLsy’を測定する。
差分演算工程(S244)において、測定されたセトリング時間tsにおける基準パターン50のパターン幅サイズLsyと評価パターン60のパターン幅サイズLsy’との差分ΔLsyを算出する。
基準パターン測定工程(S240)から差分演算工程(S244)までの各工程をセトリング時間ts毎に繰り返す。これにより、セトリング時間ts毎の基準パターン50のパターン幅サイズLsyと評価パターン60のパターン幅サイズLsy’との差分ΔLsyを取得する。
セトリング時間取得工程(S246)において、セトリング時間ts毎の差分ΔLsyの内、差分ΔLsyが閾値以下になるDACアンプ130のセトリング時間tsを取得する。
基準パターン測定工程(S340)において、寸法測定器を用いて、ロングレンジのx方向の基準パターン51のパターン幅サイズLLXを測定する。
評価パターン測定工程(S340)において、寸法測定器を用いて、ロングレンジのx方向の評価パターン61のパターン幅サイズLLX’を測定する。
差分演算工程(S344)において、測定されたセトリング時間tにおける基準パターン51のパターン幅サイズLLXと評価パターン61のパターン幅サイズLLX’との差分ΔLLXを算出する。
基準パターン測定工程(S340)から差分演算工程(S344)までの各工程をセトリング時間t毎に繰り返す。これにより、セトリング時間t毎の基準パターン51のパターン幅サイズLLXと評価パターン61のパターン幅サイズLLX’との差分ΔLLXを取得する。
セトリング時間取得工程(S346)において、セトリング時間t毎の差分ΔLLXの内、差分ΔLLXが閾値以下になるDACアンプ130のセトリング時間tを取得する。
基準パターン測定工程(S440)において、寸法測定器を用いて、ロングレンジのy方向の基準パターン51のパターン幅サイズLLYを測定する。
評価パターン測定工程(S440)において、寸法測定器を用いて、ロングレンジのy方向の評価パターン61のパターン幅サイズLLY’を測定する。
差分演算工程(S444)において、測定されたセトリング時間tにおける基準パターン51のパターン幅サイズLLYと評価パターン61のパターン幅サイズLLY’との差分ΔLLYを算出する。
基準パターン測定工程(S440)から差分演算工程(S444)までの各工程をセトリング時間t毎に繰り返す。これにより、セトリング時間t毎の基準パターン51のパターン幅サイズLLYと評価パターン61のパターン幅サイズLLY’との差分ΔLLYを取得する。
セトリング時間取得工程(S446)において、セトリング時間t毎の差分ΔLLYの内、差分ΔLLYが閾値以下になるDACアンプ130のセトリング時間tを取得する。
図8は、実施の形態1における差分とセトリング時間との関係を示すグラフの一例である。図8において、縦軸に差分を示す。横軸にセトリング時間を示す。図8では、例えば、x方向のパターン幅サイズについて、ショートレンジの差分ΔLsxとロングレンジの差分ΔLLxとがセトリング時間毎に示されている。y方向のパターン幅サイズについても差分とセトリング時間との関係を示す図示しないグラフが得られることは言うまでもない。セトリング時間を長くしていくと、ショートレンジの差分ΔLsxは徐々に小さくなる。同様に、ロングレンジの差分ΔLLxは徐々に小さくなる。そして、いずれも閾値ΔLthを下回る。ロングレンジの方が移動量が大きいので必要なセトリング時間も長く必要となる。よって、図8に示すようにショートレンジの差分ΔLsxに比べて、ロングレンジの差分ΔLLxは、閾値ΔLthを下回るまでのセトリング時間が長くかかる。
以上のようにして、ショートレンジのx方向幅のセトリング時間tsとy方向幅のセトリング時間tsと、ロングレンジのx方向幅のセトリング時間tとy方向幅のセトリング時間tと、が取得できる。
以上のようにして、実施の形態1によれば、図形サイズを変更する成形偏向におけるショートレンジ(2R移動)の好適なセトリング時間を取得できる。同様に、実施の形態1によれば、図形サイズを変更する成形偏向におけるロングレンジ(N−R移動)の好適なセトリング時間を取得できる。
実施の形態1では、x方向のサイズ変更とy方向のサイズ変更について、サイズに応じて統一したセトリング時間に設定する。よって、ショートレンジのx方向幅のセトリング時間tsとy方向幅のセトリング時間tsの一方を選択する。同様に、ロングレンジのx方向幅のセトリング時間tとy方向幅のセトリング時間tとの一方を選択する。
セトリング時間ts選択工程(S250)として、ショートレンジのx方向幅のセトリング時間tsとy方向幅のセトリング時間tsとのうち、長い方を選択する。これにより、セトリング時間tsに起因する形誤差を排除できる。
セトリング時間t選択工程(S450)として、ロングレンジのx方向幅のセトリング時間tとy方向幅のセトリング時間tとのうち、長い方を選択する。これにより、セトリング時間tに起因する形誤差を排除できる。
フィッティング工程(S500)において、得られたショートレンジのセトリング時間tsとロングレンジのセトリング時間tとをフィッティング(近似)して、セトリング時間と偏向量(サイズ移動量)との関係式を求める。
図9は、実施の形態1におけるセトリング時間と偏向量(サイズ移動量)との関係を示すグラフの一例である。図9において、縦軸にセトリング時間、横軸に偏向量(サイズ移動量)を示す。サイズ移動が小さいショートレンジのセトリング時間tsとサイズ移動が大きいロングレンジのセトリング時間tとを直線で結ぶ1次比例の関数式を演算する。そして、得られた関係式、或いは関係式の係数は偏向制御回路120に設定される。これにより、実際の製品の描画の際、サイズ変更する際のサイズ移動量に応じたセトリング時間をショット毎に求めることができる。
以上のようにして、実施の形態1によれば、図形サイズを変更する成形偏向における好適なセトリング時間を取得できる。そして、ショット毎に、成形偏向のセトリング時間を可変にすることで、描画時間を短縮できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法、並びにセトリング時間の取得方法は、本発明の範囲に包含される。
10 描画領域
20 ストライプ領域
30 SF
52,54 ショット図形
100 描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
114 描画データ処理部
116 描画制御部
120 偏向制御回路
122 制御回路
130 DACアンプ
140,142 記憶装置
150 描画部
160 制御部
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203,410 第1のアパーチャ
204 投影レンズ
205 偏向器
206,420 第2のアパーチャ
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
212 ブランキング偏向器
214 ブランキングアパーチャ
330 電子線
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース
500 描画データ変換装置

Claims (5)

  1. 第1と第2の成形アパーチャと、前記第1と第2の成形アパーチャ間を通過する荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを用いて成形された少なくとも1ショットの荷電粒子ビームによる基準パターンを1つ以上試料上に描画する工程と、
    前記第1と第2の成形アパーチャと前記偏向器とを用いて、サイズが異なる第1と第2のパターンに成形された2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせによる、解像後のパターン幅サイズが設計上前記基準パターンと同じになる評価パターンを、2ショット目のビーム成形について前記偏向器を制御するDAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプのセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に前記試料上に描画する工程と、
    前記基準パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
    セトリング時間毎の前記評価パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
    セトリング時間毎に、前記基準パターンのパターン幅サイズと前記評価パターンのパターン幅サイズとの差分を算出する工程と、
    前記差分が閾値以下になる前記DACアンプのセトリング時間を取得する工程と、
    を備えたことを特徴とするセトリング時間の取得方法。
  2. 測定対象となるパターン幅の向きが第1の方向になる前記基準パターンと、測定対象となるパターン幅の向きが前記第1の方向と直交する第2の方向になる前記基準パターンとが、それぞれ描画され、
    測定対象となるパターン幅の向きが前記第1の方向になる前記評価パターンと、測定対象となるパターン幅の向きが前記第2の方向になる前記評価パターンとが、セトリング時間毎にそれぞれ描画され、
    前記第1と第2の方向について、前記基準パターンのパターン幅サイズが測定され、
    前記第1と第2の方向について、セトリング時間毎の前記評価パターンのパターン幅サイズが測定され、
    前記第1と第2の方向について、それぞれセトリング時間毎に、前記差分が算出され、
    前記第1と第2の方向について、それぞれ前記DACアンプのセトリング時間が取得され、
    前記第1の方向について取得された前記DACアンプのセトリング時間と、前記第2の方向について取得された前記DACアンプのセトリング時間と、のうち長い方を選択する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のセトリング時間の取得方法。
  3. 前記基準パターンは、同じ第1のパターン幅サイズのパターンに成形された隣接する2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせにより構成され、
    前記評価パターンは、前記第1のパターン幅サイズとは寸法測定器の測定限界未満の寸法だけ互いに大小にずれた第2と第3のパターン幅サイズのパターンに成形された隣接する2ショットの荷電粒子ビームの組み合わせにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のセトリング時間の取得方法。
  4. 前記基準パターンは、第1のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショットの荷電粒子ビームにより構成され、
    前記評価パターンは、解像限界未満の第2のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショット目の荷電粒子ビームと、前記第1のパターン幅サイズのパターンに成形された2ショット目の荷電粒子ビームと、の重ね合わせにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のセトリング時間の取得方法。
  5. 第1と第2の成形アパーチャと、前記第1と第2の成形アパーチャ間を通過する荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを用いて第1のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショットの荷電粒子ビームによる基準パターンを1つ以上試料上に描画する工程と、
    前記第1と第2の成形アパーチャと前記偏向器とを用いて、解像限界未満の第2のパターン幅サイズのパターンに成形された1ショット目の荷電粒子ビームと、前記第1のパターン幅サイズのパターンに成形された2ショット目の荷電粒子ビームと、の重ね合わせにより構成された評価パターンを、2ショット目のビーム成形について前記偏向器を制御するDAC(デジタル・アナログコンバータ)アンプのセトリング時間を可変にしながらセトリング時間毎に前記試料上に描画する工程と、
    前記基準パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
    セトリング時間毎の前記評価パターンのパターン幅サイズを測定する工程と、
    セトリング時間毎に、前記基準パターンのパターン幅サイズと前記評価パターンのパターン幅サイズとの差分を算出する工程と、
    前記差分が閾値以下になる前記DACアンプのセトリング時間を取得する工程と、
    を備えたことを特徴とするセトリング時間の取得方法。
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