火災警報装置としては、火災の発生を音により報知する火災警報装置の他に、火災の発生を点滅する光により報知する火災警報装置である光警報装置が知られている。そして、近年では、高齢者や聴覚障害者に適した火災警報装置として、光警報装置が注目されている。
火災の発生を光の点滅により報知することが可能な火災感知器としては、図12に示すように、ケース150の下端部分に警報発光部160を設けた光電式煙感知器S1が提案されている。この光電式煙感知器S1は、煙検出用の発光素子114および受光素子108が内部に配置された暗箱110を備えている。
警報発光部160は、略擂り鉢状の支持台162が暗箱110の底面側に配置されていて、支持台162の中央部分に複数の高輝度LED161が配置されている。
特許文献1には、上述の光電式煙感知器S1を天井面に設置することで、部屋内等の監視区域に対して広く警報光を発することができる旨が記載されている。
また、従来から、配光範囲の広い電球型照明装置として、図13に示すように、LEDモジュール202、反射板207、リフレクタ206、固定台208、筐体204、口金205およびグローブ203を備えたものが提案されている(特許文献2)。
固定台208は、筐体204において口金205が取り付けられる側とは反対側に設けられている。LEDモジュール202およびリフレクタ206は、固定台208上に配置されている。
光源となるLEDモジュール202は、図14および図15に示すように、基板221と、発光部222と、電極(図示せず)とを有している。発光部222は、基板221上の中央部分に形成されている。発光部222には、複数のLEDチップ(図示せず)が互いに間隔をおいて実装されている。
ここで、LEDモジュール202は、グローブ203内の領域の中心Oに対して筐体204側に配置されている。
リフレクタ206は、グローブ203や反射板207により固定台208側に反射されたLEDモジュール202の出射光を反射するために設けられている。
反射板207は、LEDモジュール202からの出射光の一部を所定の方向に反射させるために設けられており、傾斜部271と、透過部272と、固定部273とを有している。反射板207は、円錐台状に形成されている。
反射板207は、その頂部がLEDモジュール202の発光部222に対向し、底部がグローブ203の頂部側に対向するように配置されている。
また、反射板207は、上述の中心Oに対してグローブ203の頂部側に配置されている。
傾斜部271は、LEDモジュール202に対向する側に設けられた、円錐台における外周の曲面の部分である。この傾斜部271は、円錐台の頂部から底部にかけて直線状に傾斜するように形成されている。また、傾斜部271は、LEDモジュール202からの出射光の一部を、当該出射光の出射前方となる直進方向に対して垂直な方向(側方)または当該垂直な方向よりも口金205側に傾斜した方向(後方)に反射させるような傾斜角度を有するように設計されている。
透過部272は、LEDモジュール202からの出射光の一部を透過させるために設けられている。この透過部272は、円錐台の頂部から底部にかけて円錐台の頂部の径を有する円筒状に形成されている。特許文献2には、透過部272が、空洞、すなわち穴として形成されてもよいが、透光性の高い材料からなる中実の部分として形成されてもよい旨が記載されている。また、特許文献2には、LEDモジュール202からの出射光の一部が透過部272を透過することにより、前方の照度が著しく低下することを防止できる旨が記載されている。
固定部273は、反射板207を筐体204上に支持する支持部材であり、反射板207を筐体204に固定し、かつ位置決めするために設けられている。
以下では、本実施形態の光警報装置1について、図1〜図11に基づいて説明する。
光警報装置1は、光による警報により、火災の発生を報知するためのものである。ここで、光による警報とは、点滅する光による警報である。
光警報装置1は、LEDモジュール2と、LEDモジュール2からの光の配光を制御する反射部材3と、LEDモジュール2および反射部材3が収納された筐体5とを備える。筐体5は、この筐体5の一面側(図1における上面側)に、LEDモジュール2からの光を取り出す透光性カバー(光取り出し部)53を備える。反射部材3は、テーパー円筒状の形状に形成されており、一端側の光入射口3aの開口面積に比べて他端側の光出射口3bの開口面積が大きく、LEDモジュール2からの光の一部を反射させることなく通すことが可能であり、且つ、内周面31と外周面32とのそれぞれが、LEDモジュール2からの光を鏡面反射する鏡面反射性を有する。これにより、光警報装置においては、筐体5の上記一面側(正面側)を下側とし、他面側(図1における下面側)を上側として天井に配置することによって、点滅する光による警報が可能となり、且つ、鉛直下方から水平方向にかけての全方向への配光が可能となる。ここで、鉛直下方は、LEDモジュール2の基板21の一表面側で上記一表面に垂直な方向(図1では、上方向)である。また、水平方向は、LEDモジュール2の基板21の上記一表面に平行な一つの面を水平面としたときの水平面における面内方向である。この水平面は、反射部材3の光学設計によって決めることが可能である。
光警報装置1は、例えば、自動火災報知設備10(図7参照)に接続された制御装置13に接続して用いることができる。この場合、光警報装置1は、制御装置13が自動火災報知設備10からの火災信号を受信したときに、制御装置13によって制御され、火災の発生を、点滅する光により、防火対象物の在館者に報知することが可能なものである。防火対象物としては、例えば、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等が挙げられる。設置場所としては、例えば、居室、廊下、通路、トイレ、駐車場、その他の共用部等が挙げられる。
なお、光警報装置1は、自動火災報知設備10等に接続されるものに限らず、例えば、住宅用火災警報器と接続して、住宅用火災警報器と連動するようにしてもよい。この場合、光警報装置1は、光の点滅と警報音とで、火災の発生を報知する機能を備えることが好ましい。また、光警報装置1は、自動火災報知設備10や無線設備等からの火災信号を無線によって受信する無線式光警報装置とすることもできる。
自動火災報知設備10は、例えば、感知器(図示せず)、受信機11、地区音響装置12などにより構成される。
感知器は、建物において自動火災報知設備10の各警戒区域に設置され、火災の熱、煙、炎等を検知したときに、火災信号を受信機11に送信する装置である。感知器は、例えば、受信機11に対して監視回線(第1の信号線)を介して接続される。なお、警戒区域は、例えば、日本国の消防法においては、1つの警戒区域の面積が600m2以下であり且つ1辺の長さが50m以下であること、2つ以上の階にわたらないこと、などが規定されている。感知器としては、火災の熱を検知する熱感知器や、火災の煙を検知する煙感知器、炎感知器などが挙げられる。
受信機11は、防火対象物である建物の防災センタや管理室などに設置される。受信機11は、感知器等からの火災信号を受信し、建物内に設置された地区音響装置12を鳴動させ、避難と初期消火活動を促す装置である。また、受信機11は、火災が発生した警戒区域を表示するための表示部(図示せず)を備えている。受信機11としては、例えば、P型(Proprietary type)受信機や、R型(Record type)受信機などを採用することができる。P型受信機としては、P型1級受信機や、P型2級受信機などを採用することができる。
地区音響装置12は、建物内の各所に設置される。地区音響装置12としては、例えば、ベルを採用することができる。地区音響装置12は、例えば、受信機11に対して第1の制御回線(第2の信号線)L1を介して接続される。
自動火災報知設備10は、地区音響装置12の代わりに、音声警報機能を有する非常放送設備を備えていてもよい。また、自動火災報知設備10は、発信機(図示せず)を備えていてもよい。発信機としては、この発信機に設けられている押し釦が手動で押されたときに、火災信号を発信するものや、送受話器を取り上げることによって火災信号を発信するものなどを挙げることができる。発信機は、前者として、例えば、P型1級発信機や、P型2級発信機などを採用することができ、後者として、例えば、T型発信機などを採用することができる。
光警報装置1は、例えば、受信機11に接続された制御装置13に第2の制御回線(第3の信号線)L2を介して接続すればよい。制御装置13は、受信機11から火災信号が移報されたときに、光警報装置1のLEDモジュール2が点滅するように光警報装置1を制御するものでもよいし、光警報装置1へ火災信号を送信するものでもよい。制御装置13において光警報装置1を制御する機能は、光警報装置1における後述の回路モジュール(図示せず)の回路構成に基づいて決定すればよい。受信機11と制御装置13とは、2線式の信号線L4により接続されており、受信機11の移報回路(図示せず)において信号線L4間を短絡することにより、受信機11から制御装置13へ火災信号が移報される。
光警報装置1は、LEDモジュール2を駆動する上述の回路モジュールを備えている。この回路モジュールは、筐体5内に収納されている。光警報装置1は、筐体5内に電源としての電池を備えたものでもよいし、制御装置13から第3の制御線L2を介して24Vの直流電圧が供給されるように構成してもよいし、外部電源等から電力が供給されるものでもよい。電池としては、例えば、リチウム電池や、リチウムイオン電池などを採用することができる。光警報装置1は、例えば、制御装置13から第3の制御線L2を介して24Vの直流電圧が供給されるように構成する場合、第2の制御線L2が接続される2つの端子を備えるようにすればよい。そして、この場合、光警報装置1は、制御装置13が第2の制御線L2間を短絡したときの信号を火災信号として受信するようにしてもよい。
回路モジュールは、LEDモジュール2が点滅するように、LEDモジュール2の点灯、消灯を制御する。つまり、回路モジュールは、LEDモジュール2の点灯と消灯とが交互に繰り返されるように動作する。
回路モジュールは、LEDモジュール2を点滅させる駆動回路の回路部品が実装された第1配線基板と、駆動回路を制御する制御回路の回路部品が実装された第2配線基板とを備えている。第1配線基板と第2配線基板とは、電気的に接続されている。なお、第1配線基板と第2配線基板とを電気的に接続する手段は、例えば、ジャンパ線やリード線などの配線でもよいし、コネクタなどの接続装置でもよい。また、回路モジュールは、1枚の配線基板に駆動回路と制御回路との両方が設けられたものでもよい。
点滅する光は、所定の点滅周波数で点滅する光であるのが好ましい。点滅周波数とは、光の点滅する周波数である。点滅周波数は、人間の目で光が点滅していることを知覚できる値に設定する必要がある。
点滅周波数は、例えば、1Hzに設定してあるが、これに限らず、例えば、0.5Hz〜2Hzの範囲で設定するのが好ましい。点滅周波数が0.5Hzの場合には、点滅周期が2秒になる。また、点滅周波数が1Hzの場合には、点滅周期が1秒になる。点滅周期が2Hzの場合には、点滅周期が0.5秒になる。点滅周期における発光期間は、0.2秒を超えないことが好ましい。よって、点滅周期が1秒の場合には、例えば、発光期間を0.2秒、消灯期間を0.8秒とすればよい。
光警報装置1の仕様については、例えば、ISO規格(ISO/CD 7240−23(DRAFT),LPS1652)等に準拠することが好ましい。この場合、光警報装置1は、図8に破線で示した仮想の円柱の有効範囲EAを実現可能な配光特性を有するように、光学設計を行えばよい。図8に示した仮想の円柱は、光警報装置1を一方の底面の中心に位置させてある。有効範囲EAは、円柱の側面と他方の底面とのいずれにおいても0.4ルックス以上の照度を確保する必要がある。本実施形態の光警報装置1では、円柱の高さを4m、円柱の各底面の直径を20mとしてあるが、これらの数値は特に限定するものではない。円柱の高さについては、光警報装置1を設置する天井と、その天井の直下の床面との距離などに基いて適宜設定すればよい。
光警報装置1は、回路モジュールを備えていない構成としてもよく、この場合、例えば、制御装置13が光警報装置1のLEDモジュール2を駆動する駆動回路を備え、受信機11から火災信号が入力されたときに、光警報装置1のLEDモジュール2を駆動して点滅させる機能を有するものとすればよい。
以下では、光警報装置1について詳細に説明する。
光警報装置1は、防火対象物などの天井に取り付けて使用する天井取付型(天井設置型)である。
筐体5は、ベース51と、ベース51を覆うように配置されるカバー52と、LEDモジュール2および反射部材3を覆うように配置される透光性カバー53とを備えている。なお、ベース51とカバー52とは、例えば、カバー52に設けた係合部(図示せず)と、ベース51に設けた被係合部(図示せず)とを係合させることで結合してあるが、これらの構造を特に限定するものではない。
ベース51は、円盤状の形状に形成されている。このベース51は、例えば、天井に対して取付ねじ(図示せず)などによって取付可能なものである。
カバー52は、円筒状の周壁52aと、周壁52aにおいてベース51側の一端とは反対の他端側でベース51から離れる向きに膨らんだ底壁部52bと備え、底壁部52bの中央部に貫通孔52cが形成されている。
ベース51およびカバー52の材料としては、白色のABS樹脂を採用しているが、これに限定するものではない。ベース51およびカバー52の材料は、難燃性または不燃性の材料が好ましい。
ベース51およびカバー52の色は、白色としているが、これに限らず、例えば、赤色としてもよい。
透光性カバー53は、反射部材3を覆うように配置されている。透光性カバー53は、有底円筒状の形状に形成さているのが好ましい。透光性カバー53は、底部53aにおけるLEDモジュール2との対向面に、反射部材3を位置決めする円環状のリブ53cが突設されている。これにより、光警報装置1は、水平方向における反射部材3の位置ずれを抑制することが可能となり、LEDモジュール2と反射部材3との光軸のずれを抑制することが可能となる。反射部材3は、例えば、透光性カバー53に対して透明な接着剤などにより固着すればよい。
透光性カバー53は、LEDモジュール2からの光に対する透過率が90%以上であるのが好ましく、透過率が95%以上であるのがより好ましい。透光性カバー53の透光性材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどを採用することができる。透光性カバー53は、光拡散を抑制できる程度に表面が平坦であることが好ましい。これにより、光警報装置1は、配光特性を、LEDモジュール2と反射部材3とによって略決めることが可能となる。
透光性カバー53は、LEDモジュール2の一表面側に配置された内カバー54に固着されている。内カバー54は、外周部に、LEDモジュール2の基板21と略平行に配置される円環状の鍔部54bを備えており、鍔部54bが、カバー52の貫通孔52c内に配置されている。内カバー54は、鍔部54bにおける透光性カバー53側の表面と、カバー52の底壁部52bの外底面における貫通孔52cの周部とが、略面一となるように配置されている。透光性カバー53は、内カバー54の鍔部54bに対して透明な接着剤などにより固着すればよい。
内カバー54は、白色のABS樹脂を採用しているが、これに限定するものではない。内カバー54の材料は、難燃性または不燃性の材料が好ましい。内カバー54は、LEDモジュール2のLED素子22を露出させる円形状の開口部54aを有している。内カバー54は、LEDモジュール2の光軸方向においてLEDモジュール2から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなる形状となっている。光警報装置1は、LEDモジュール2から放射され反射部材3の外周面32で内カバー54側へ反射された光の一部や、LEDモジュール2から放射され内カバー54に直接入射する光の一部を、内カバー54で反射させることができる。
また、光警報装置1は、筐体5内において、LEDモジュール2におけるベース51側に配置さえる裏カバー55も備えている。
LEDモジュール2は、基板21と、基板21の上記一表面側に実装されたLED素子22とを備えている。基板21は、外周形状が矩形状であるが、これに限らず、例えば、矩形以外の多角形状、円形状、楕円形状などでもよい。
基板21としては、例えば、プリント配線板や、配線等が形成されたセラミック基板などを採用することができる。プリント配線板としては、有機系基材を用いたものと、無機系基材を用いたものとが挙げられる。有機系基材を用いたプリント配線板用の積層板としては、例えば、紙基材銅張積層板、ガラス基材銅張積層板、コンポジット銅張積層板などを採用することができる。無機系基材を用いたプリント配線板としては、例えば、金属ベースプリント配線板などを採用することができる。セラミック基板としては、例えば、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化珪素基板などを採用することができる。
LED素子22の外周形状は、長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状や、矩形以外の多角形状、円形状、楕円形状などでもよい。LED素子22は、表面実装型LEDを採用しているが、これに限らず、例えば、ねじを用いて基板21に固定可能なものでもよい。
LED素子22は、LEDチップ(図示せず)が実装されたパッケージ22aと、LEDチップを覆う封止部22bとを有する。パッケージ22aに実装するLEDチップの個数は、1個でもよいし複数個でもよい。LED素子22は、1つのパッケージ22aに複数個のLEDチップが実装されている場合、これら複数個のLEDチップを一括して覆うように封止部22bを設けるのが好ましい。
封止部22bは、例えば、透明材料と波長変換材料とが混合された材料により形成することができるが、これに限らず、例えば、透明材料と波長変換材料と光拡散材とが混合された材料により形成してもよいし、透明材料と光拡散材とが混合された材料や、透明材料のみで形成してもよい。
透明材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがナノメートル(nm)レベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用することができる。
波長変換材料としては、LEDチップから放射される光を当該光よりも長波長の光に変換する蛍光体を採用するのが好ましい。蛍光体は、LEDチップから放射される光により励起されて当該光よりも長波長の光を放射する。
光拡散材の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、Auなどの無機材料、フッ素系樹脂などの有機材料、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用することができる。
LED素子22は、例えば、LEDチップとして青色LEDチップを採用し、波長変換材料の蛍光体として黄色蛍光体を採用すれば、白色光を得ることが可能となる。すなわち、LED素子22は、LEDチップから放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが封止部22bから出射可能となり、白色光を得ることが可能となる。
波長変換材料である蛍光体としては、黄色蛍光体だけに限らず、例えば、黄色蛍光体と赤色蛍光体とを採用したり、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを採用してもよい。また、波長変換材料である蛍光体は、1種類の黄色蛍光体に限らず、発光ピーク波長の異なる2種類の黄色蛍光体を採用してもよい。
LED素子22としては、例えば、放射光強度の放射角依存性(配光特性)がランバート型分布あるいはランバート型分布で近似可能なものを用いるのが好ましい。これにより、光警報装置1は、LED素子22の配光特性がランバート型分布とは全く異なる場合に比べて、反射部材3の形状の設計が容易になる。LED素子22は、ランバート型分布やランバート型分布に近似可能な配光特性を有するものに限らず、他の配光特性を有するものでもよい。
LED素子22から放射される光は、白色光が好ましい。なお、LED素子22から放射される光は、白色光に限らず、例えば、赤色光、緑色光、青色光、黄色光などを採用することも可能である。
LEDモジュール2は、i個のLED素子22が直列接続されたj個の直列回路を備え、これらj個の直列回路が並列接続されている。図5に例示したLEDモジュール2は、12個のLED素子22を備えており、i=6、j=2としてあるが、これらの個数に限定するものではない。例えば、LEDモジュール2は、12個のLED素子22を備えている場合でも、i=3、j=4としてもよいし、他の個数の組み合わせにしてもよい。
LEDモジュール2は、仮想円VC(図5(b)参照)の円周上においてLED素子22が仮想円VCの周方向に並んで配置されているのが好ましい。ここで、仮想円VCは、反射部材3の光入射口3aの基板21上への投影領域からなる。これにより、光警報装置1は、反射部材3の形状の設計が容易になる。
また、LEDモジュール2は、仮想円VC上に等間隔で配置されているのが好ましい。これにより、光警報装置1は、反射部材3の形状の設計がより容易になり、また、LEDモジュール2におけるLED素子22の温度のばらつきを低減することが可能となる。
図5(b)に示した例では、仮想円VCの周方向において隣り合う2個のLED素子22に関して、仮想円VCの径方向に沿った各LED素子22の中心線CL同士のなす角度φが30°となるように配置されている。隣り合うLED素子22の中心線CL同士のなす角度φは、30°に限らず、LED素子22の個数や各LED素子22の配向特性などに基づいて適宜設定すればよく、例えば、15°〜120°の範囲で設定すればよい。また、LEDモジュール2は、LED素子22を仮想円VCの円周上に配置するだけでなく、図9に示すように、仮想円VCの円周上と、仮想円VCの中心上とに配置するようにしてもよい。
LEDモジュール2におけるLED素子22の個数は、複数個に限らず、1個でもよい。上述の図5(b)や図9のようにLEDモジュール2におけるLED素子22の複数個の場合には、LED素子22として、例えば、光束が20〜50ルーメン(lm)程度の低出力タイプのものを用いることができる。LEDモジュール2におけるLED素子22の個数を1個とする場合には、LED素子22として、例えば、光束が500〜2000ルーメン(lm)程度の高出力タイプのものを用いることが好ましい。
反射部材3は、樹脂成形品の表面に反射層を備えたものが好ましい。この樹脂成形品の材料としては、白色のABS樹脂を採用しているが、これに限定するものではない。この樹脂成形品の材料は、難燃性または不燃性の材料が好ましい。反射層は、LEDモジュール2からの光に対する反射率が90%以上であり、拡散反射が少ないのが好ましい。つまり、反射層は、LEDモジュール2からの光を鏡面反射する鏡面反射性を有するのが好ましい。また、反射層は、LEDモジュール2からの光に対する反射率が95%以上であるのがより好ましい。反射層としては、例えば、金属材料を利用した金属反射層や、屈折率の異なる複数種類の金属酸化物層(誘電体層)を積層した多層反射層などを採用することができる。金属反射層の金属材料としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Rh、Sn、W、Crや、これらの少なくとも1種類を含有する化合物などを採用することができる。また、金属反射層は、単層構造に限らず、2層以上の積層構造を有するものでもよい。多層反射層における金属酸化物層の材料としては、例えば、SiO2、ZrO2、Al2O3、Y2O3、TiO2、CeO2、Nb2O5、Ta2O5などを採用することができる。反射部材3は、樹脂成形品の表面に反射層を備えたものに限らず、金属製の母材の表面に反射層を備えたものでもよい。金属製の母材は、例えば、金属板を加工して形成したものでもよいし、アルミダイキャスト法により形成したものでもよい。
反射部材3は、内周面31と外周面32とのそれぞれが、LEDモジュール2からの光を鏡面反射する鏡面反射性を有しているのが好ましい。よって、反射部材3は、内周面31および外周面32の表面が上述の反射層の表面となっているのが好ましい。
反射部材3は、光入射口3aから光出射口3bにかけて、LEDモジュール2とのなす角度が小さくなっているのが好ましい。要するに、反射部材3は、LEDモジュール2から離れるほど内周面31および外周面32が水平に近づく形状となっているのが好ましい。これにより、光警報装置1は、反射部材3の外周面32のうちLEDモジュール2に近い領域で、LEDモジュール2からの光を斜め下方へ反射させることが可能となり、反射部材3の外周面32のうちLEDモジュール2から遠い領域で、LEDモジュール2からの光を水平方向へ反射させることが可能となる。よって、光警報装置1は、反射部材3の設計が容易になる。反射部材3は、内周面31が凸曲面、外周面32が凹曲面となっているのが好ましい。
図6には、LEDモジュール2のLED素子22からの光の進行経路を矢印付きの実線で例示してある。図6中のA0,A1,A2は、反射部材3の光入射口3aから入射して反射部材3の内周面31で反射されずに光出射口3bから出射する光の進行経路を示している。また、図6中のA3は、反射部材3の光入射口3aから入射して反射部材3の内周面31で反射されて光出射口3bから出射する光の進行経路を示している。また、図6中のA4,A5は、反射部材3の光入射口3aに入射せずに反射部材3の外周面32で反射される光の進行経路を示している。図6中のA4は、反射部材3の外周面32のうちLEDモジュール2に比較的近い位置で反射された光の進行経路を示している。図6中のA5は、反射部材3の外周面32のうちLEDモジュール2から比較的遠い位置で反射された光の進行経路を示している。このA5で示した光の進行経路のうち反射部材3で反射された後の進行経路は、上述の水平面上にある。また、図6中のA6は、LEDモジュール2のLED素子22から放射されて内カバー54で反射された光の進行経路を示している。
LED素子22は、このLED素子22の封止部22bの表面からなる光取り出し面22eのうち光入射口3aの投影領域にある第1領域22c(図5(d)参照)の面積よりも当該投影領域の外側にある第2領域22d(図5(d)参照)の面積が大きくなるように配置されているのが好ましい。これにより、光警報装置1は、反射部材3の設計が容易になる。ここで、反射部材3の設計にあたっては、例えば、図5に示すr1、r2、r3、θ1、θ2、H0、H1、H2などの構造パラメータを適宜設定し、光線追跡法などによるシミュレーションを行えばよい。ここで、r1は、反射部材3の光入射口3aの内径である。r2は、反射部材3の光出射口3bの内径である。r3は、仮想円VCの中心OPとLED素子22の光取り出し面22eの中心OXとの距離である。また、図5に示すLXは、任意のLED素子22の光取り出し面22eの中心点OXに立てた法線である。また、θ1は、任意のLED素子22の法線LXと仮想円VCの中心OP(図5(b)参照)とを含む断面において、この法線LXと、中心点OXと反射部材3の内周面31の光入射口3a側の端を結ぶ直線M1とのなす角度である。θ2は、同じ断面において、この法線LXと、中心点OXと反射部材3の外周面32の光出射口3b側の端を結ぶ直線M2とのなす角度である。H0は、仮想円VCの径方向における光取り出し面22eの長さである。H1は、仮想円VCの径方向における第1領域22cの長さである。H2は、仮想円VCの径方向における第2領域22dの長さである。
光警報装置1は、反射部材3の他の構成例として、図10および図11に示すように、反射部材3を支持する複数本(図示例では、2本)の支柱34を一体に備えたものを採用し、各支柱34をLEDモジュール2の基板21に固定してもよい。この場合には、支柱34の先端部35を基板21に形成した穴や貫通孔に挿入して固定すればよい。
ただし、図10および図11に示した反射部材3の他の構成例では、LEDモジュール2からの光の一部が支柱34で反射されてしまう。また、図13に示した電球型照明装置のように、反射板207が固定部273を有している場合には、LEDモジュール202からの光の一部が固定部273で反射されてしまうものと推考される。
これに対して、上述のように反射部材3を透光性カバー53に固定した構成の光警報装置1では、支柱34が不要なので、配光特性を向上させることが可能となる。
なお、光警報装置1は、感知器の機能を併せ持つ複合光警報装置としてもよいが、低コスト化の観点から、感知器の機能を持たないほうが好ましい。