JP6056500B2 - ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを含む成形体 - Google Patents
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Description
成分(A):多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)
成分(B):下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物。
化合物群S:一般式CnHn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群
アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。
CmH2mOm (1)
〔式中、mは3以上の整数を表す。〕
(2)
〔式中、pは2以上の整数を表す。〕
成分(C):ヒドロキシフェニル基を有する化合物
下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが20g/10分以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)が1.0dL/g以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)が0.9〜3.5であるポリプロピレン樹脂組成物である。
成分(A)は、多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外の炭素数4〜10のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)である。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテンである。
好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が挙げられ、より好ましくは、プロピレン単独重合体である。
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料等が挙げられる。
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−オクテン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−オクテン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料であり、
より好ましくは、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料である。
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度(dL/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出したプロピレン重合体(I)パウダーの極限粘度(dL/g)
XI:プロピレン重合材料(成分(A))全体に対するプロピレン重合体(I)の重量比
XII:プロピレン重合材料(成分(A))全体に対する共重合体(II)の重量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
XII=1−(ΔHf)Total/(ΔHf)
(ΔHf)Total:プロピレン重合材料(成分(A))全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf):プロピレン重合体(I)の融解熱量(cal/g)
(Cα´)II=(Cα´)Total/XII
(Cα´)Total:プロピレン重合材料(成分(A))全体のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量(重量%)
(Cα’)II:共重合体(II)のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量(重量%)
成分(B)は、下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
化合物群S:一般式CnHn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群
アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。
化合物(S1)として、好ましくは、炭素数6の糖アルコールである。
CmH2mOm (1)
化合物(S2)としては、D体、L体などの光学活性体であっても、DL体などの光学的に不活性なものであってもよい。
前記アルキル基の炭素数は1〜12であり、好ましくは、1又は2であり、より好ましくは1である。
また、メチル α−D−グルコピラノシド、n-オクチル β−D−グルコピラノシドなどは、東京化成品工業(株)から入手することができる。
成分(C)は、好ましくは、下記の式(3)で表される化合物および下記の式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物である。
(式(3)中、各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rs3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rs4は、水素原子またはメチル基を表す。)
式(3)中のRs4は、水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
2,4−ジ−tert−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルメタクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルメタクリレート、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルメタクリレート、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−ベンジル)フェニルメタクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−エチルフェニルメタクリレート、または2−tert−ペンチル−6−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルメタクリレート、
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザー(登録商標)GM(住友化学社製))、2,4−ジ−tert−アミル−6−(1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、
2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(スミライザー(登録商標)GS(F)(住友化学社製))、などが挙げられる。
(式(4)中、Rp1、Rp2、Rp4およびRp5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rp3はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または下記の式(4−I)
(4−I)
(式(4−I)中、Rp6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または下記の式(4−II)
(4−II)
(式(4−II)中、Rp7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子に結合する部位を表す。)で示される2価の基を表し、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシ基またはいずれもヒドロキシ基を表し、Y及びZのいずれか一方がヒドロキシ基である場合、他方は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表す。)
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、イソ−オクチル基,tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソ−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソ−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α、α−ジメチルベンジルオキシ基が挙げられる。
(5)
[式(5)中、各Rt1および各Rt2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Lは、ヘテロ原子を含んでいてもよいn価の炭素数1〜24のアルコール残基を表し、nは、1〜4の整数を表す。ここでアルコール残基とは、アルコールのヒドロキシ基から水素原子を除いた残りの基を表す。]
3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(「スミライザー(登録商標)GA−80」(住友化学社製))、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(登録商標)1076」(BASF社製))、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス(登録商標)1010」(BASF社製))、
などが挙げられる。
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。
またトコフェロール類としては、例えばα−トコフェロールであるビタミンEが挙げられる。
式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物の混合する場合、
式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物の混合割合は、
式(3)で表される重量比で1:10から10:1の範囲である。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体は、本発明のポリプロピレン樹脂組成物を成形して成形体として用いることができる。
(1)プロピレン重合材料(成分(A))のプロピレン重合体(I)と、共重合体(II)の含有量(単位:重量%)
成分(A)のプロピレン重合体(I)および共重合体(II)の製造時の物質収支から、プロピレン重合体(I)の含有量(以下、「PI」と記載することがある。)、共重合体(II)の含有量(以下、「PII」と記載することがある。)を求めた。
(2)プロピレン重合材料(成分(A))の共重合体(II)のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って、下記の式(1)により成分(B)のエチレン含量を求めた。
(ただし、ET、EIおよびEIIはそれぞれ成分(A)の全体、プロピレン重合体(I)および共重合体(II)におけるエチレン含有量を表し、PIおよびPIIはプロピレン重合体および共重合体(II)の含有量を示す。)
(3)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベロ−デ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2、及び、0.5dL/gの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491項に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。還元粘度はテトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定を行った。
(3−1)プロピレン重合体(I)、共重合体(II)の極限粘度([η]I、[η]II)
第一工程の重合終了時にサンプリングしたプロピレン重合体(I)の極限粘度([η]I)と第二工程の重合終了後に得られた成分(A)の全体の極限粘度(以下、「[η]T」と記載することがある。)、および、プロピレン重合体(I)の含有量(PI)と共重合体(II)の含有量(PII)を用いて、下記の式(2)から共重合体(II)の極限粘度([η]II)を算出した。
[η]I×PI/100+[η]II×PII/100=[η]T 式(2)
(3−2)ポリプロピレン樹脂組成物の20℃キシレン不溶成分の極限粘度、20℃キシレン可溶成分の極限粘度([η]CXIS、[η]CXS)
ポリプロピレン樹脂組成物1gに対してキシレン200mLを加え、沸騰させて完全に溶解させた後降温し、20℃で1時間以上状態調整を行った。その後、ろ紙を用いて不溶成分(CXIS)と可溶成分(CXS)とに分離し、可溶部は、ろ液から溶剤を除去して乾固して試料とした後、それぞれの成分について、極限粘度を測定した。
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
メルトフローレートは、JIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(5)フォギング試験(単位:mg)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のフォギング性試験を、スガ試験機(ウィンドウスクリーンフォギングテスター WF−2型)を用いて行った。組成物5gを容器に入れ、その容器を140℃(エアー式)の雰囲気で保管し、容器の上部には冷却水を用いて25℃に保ったガラス板を設置した。容器を20時間加熱し、試験前後のガラス板重量変化から、ガラス面付着量を求めた。ガラス面付着量が多いほど、揮発性の有機化合物成分の放散が多いことを示す。
(6)外観(フィッシュアイの量、単位:個/10cm2)
ポリプロピレン樹脂組成物を、20mmφ単軸押出機(田辺プラスチック機械株式会社製VS20−14型)を用いて、樹脂温度210℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを18℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、幅50mm、厚さ50μmのフィルムを作成した。
EPSON社製スキャナーGT−X970を用いて、得られたフィルムの画像を900dpi、8bitの条件でコンピューターに取り込み、その画像を旭エンジニアリング社製画像解析ソフトA像君を用いて2値化した。フィッシュアイは周辺より明るい部分として認識された。フィッシュアイの形状は不定形であるので、フィッシュアイと同じ面積である円の直径をフィッシュアイの大きさとして、フィルム10cm2当たりの直径100μm以上であるフィッシュアイの数を求めた。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.44dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が1.89dL/g、エチレン含有量が65重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP1)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は18重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP1)60重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体40重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=28(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
トレハロースを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法によって、MFR=28(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
プロピレン重合材料(BCPP1)60重量%と、[η]=0.80dL/gのプロピレン単独重合体40重量%とを用いる以外は、実施例1と同様の方法によって、MFR=42(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が0.80dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が7.00dL/g、エチレン含有量が32重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP2)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は11重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP2)90重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体10重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部、イルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3(3',5'−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=145(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.00dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が5.00dL/g、エチレン含有量が35重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP3)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は16重量%であった
得られたプロピレン重合材料(BCPP3)63重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体37重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=66(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.24dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が2.48dL/g、エチレン含有量が42重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP4)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は10重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP4)100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=20(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
Claims (7)
- 下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが20g/10分以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)が1.0dL/g以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)が0.9〜3.5であるポリプロピレン樹脂組成物。
成分(A):多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)
成分(B):下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物。
化合物群S:一般式CnHn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群
アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。
CmH2mOm (1)
〔式中、mは3以上の整数を表す。〕
(2)
〔式中、pは2以上の整数を表す。〕
成分(C):ヒドロキシフェニル基を有する化合物 - 共重合体(II)がプロピレン−エチレン共重合体である請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 成分(B)がトレハロースである請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 成分(C)が下記の式(3)で表される化合物および下記の式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物である請求項1〜3いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
(3)
(式(3)中、各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rs3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rs4は、水素原子またはメチル基を表す。)
(4)
(式(4)中、Rp1、Rp2、Rp4およびRp5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rp3はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または下記の式(4−I)
(4−I)
(式(4−I)中、Rp6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または下記の式(4−II)
(4−II)
(式(4−II)中、Rp7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子に結合する部位を表す。)で示される2価の基を表し、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシ基またはいずれもヒドロキシ基を表し、Y及びZのいずれか一方がヒドロキシ基である場合、他方は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表す) - 成分(C)が、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、または、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである請求項1〜4いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが30g/10分以上である請求項1〜5いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体。
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