JP6056500B2 - ポリプロピレン樹脂組成物およびそれを含む成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、流動性が高く、外観に優れ、揮発性の有機化合物成分の放散が抑制される成形体を与えることができるポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含む成形体に関するものである。ここで、「外観に優れる」とは、「フィルムに加工した際に、肉眼で認識できる程度の大きさのフィッシュアイがフィルム中に殆ど存在しない」ということを主に意味する。
ポリプロピレンは、外観、機械的性質、耐薬品性、包装適性等が優れているため、自動車内外装製品をはじめとした自動車用部品、家電製品、建材、容器、医療用途、コンテナー、食品や繊維等の包装材料等の分野で幅広く利用されている。自動車内外装製品の特性としては、近年、薄肉化、高機能化、大型化が進んでおり、また、燃費の向上や騒音の防止の観点から車内環境がより密閉化される傾向にあることから、高い流動性や揮発性の有機化合物成分の放散の低減が求められている。
例えば、特許文献1には、フォギング性や熱老化寿命を改良することを目的として、無機充填剤を含有するポリプロピレン樹脂に、モンモリロナイト及び酸化防止剤を含有せしめてなることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、衝撃強度、VOC放散量、ヘキサン抽出量、フォギング性を改良することを目的として、特定の触媒系で製造される、特定の性状を有するプロピレン単独重合体、もしくはプロピレン共重合体と、特定の性状を有するエラストマー共重合体とからなる不均一系ポリプロピレン共重合体が記載されている。
特開平10−316809号公報 国際公開番号WO09/129873
近年、使用する樹脂材料に対して、揮発性の有機化合物(Volatile Organic Compounds:略称VOC)の低減が求められるようになってきており、自動車等の車両の内装材料等においてもVOCの少ない樹脂材料の使用が望まれている。また、流動性や外観について、更なる改良が求められていた。
本発明の目的は、流動性が高く、外観に優れ、揮発性の有機化合物成分の放散が抑制される成形体を与えることができるポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含む成形体を提供することにある。
下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが20g/10分以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)が1.0dL/g以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)が0.9〜3.5であるポリプロピレン樹脂組成物。

成分(A):多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)

成分(B):下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物。
化合物群S:一般式Cnn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群
アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。

m2mm (1)
〔式中、mは3以上の整数を表す。〕

Figure 0006056500
(2)
〔式中、pは2以上の整数を表す。〕
成分(C):ヒドロキシフェニル基を有する化合物
また、本発明は、上記のポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体に係るものである。
本発明によれば、流動性が高く、外観に優れ、揮発性の有機化合物成分の放散が抑制される成形体を与えることができる。
1.ポリプロピレン樹脂組成物
下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが20g/10分以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)が1.0dL/g以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)が0.9〜3.5であるポリプロピレン樹脂組成物である。
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の各成分を溶融混練して製造することができる。
<成分(A)>
成分(A)は、多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外の炭素数4〜10のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)である。
プロピレン重合体(I)は、例えば、プロピレン単独重合体、又はエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位と、プロピレンに由来する構造単位とからなるプロピレン共重合体が挙げられる。
プロピレン重合体(I)のエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位の含有量は、0重量%以上20重量%未満である(但し、プロピレン重合体(I)の全重量を100重量%とする。)。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテンである。
プロピレン重合体(I)としては例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体が挙げられ、より好ましくは、プロピレン単独重合体である。
共重合体(II)は、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位と、プロピレンに由来する構造単位とを有する共重合体成分である。
共重合体(II)に含有されるエチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位の含有量は、20〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量%であり、より好ましくは40〜65重量%である(但し、共重合体(II)の全重量を100重量%とする。)。20重量%未満の場合、流動性が低下することがあり、80重量%を超えた場合、外観が悪化することがある。
共重合体(II)を構成するα−オレフィンとしては、好ましくは、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンであり、例えば、前記プロピレン重合体(I)を構成する炭素数4〜10のα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられる。
共重合体(II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−デセン共重合体等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、より好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体である。
成分(A)におけるプロピレン重合体(I)の含有量としては、50〜99重量%であり、共重合体(II)の含有量としては、1〜50重量%である(但し、前記共重合体において、プロピレン重合体(I)と共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする。)。好ましくは、プロピレン重合体(I)の含有量は60〜95重量%であり、共重合体(II)の含有量は5〜40重量%であり、より好ましくは、プロピレン重合体成分(I)の含有量は65〜90重量%であり、共重合体(II)の含有量は10〜35重量%であり、さらに好ましくは、プロピレン重合体(I)の含有量は70〜90重量%であり、共重合体(II)の含有量は10〜30重量%である。プロピレン重合体(I)の含有量が50重量%未満である(すなわち、プロピレン重合体(I)の含有量が50重量%を超える)場合、外観が悪化することがあり、プロピレン重合体(I)の含有量が99重量%を超える(すなわち、共重合体(II)の含有量が1重量%未満となる)場合、揮発性の有機化合物成分の放散が増加することがある。
多段重合によって得られるプロピレン重合材料(成分(A))のプロピレン重合体(I)がプロピレン単独重合体である場合、該プロピレン単独重合体としては例えば、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料等が挙げられる。
また、多段重合によって得られるプロピレン重合材料(成分(A))のプロピレン重合体(I)がプロピレン共重合体成分の場合、該プロピレン共重合体としては例えば、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−エチレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−ヘキセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ヘキセン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−オクテン共重合体とプロピレン−1−オクテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−オクテン共重合体とプロピレン−1−デセン共重合体等が挙げられる。
多段重合によって得られるプロピレン重合材料(成分(A))として、好ましくは、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−エチレン共重合体とプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料、
プロピレン−1−ブテン共重合体とプロピレン−1−ブテン共重合体からなるプロピレン重合材料であり、
より好ましくは、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン重合材料である。
プロピレン重合体(I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度(以下、「[η]I」と記載することがある。)は、流動性を高くして、揮発性の有機化合物成分の放散を低減するという観点から、好ましくは、0.8〜1.8dL/gであり、より好ましくは0.9〜1.6dL/gであり、更に好ましくは1.0〜1.5dL/gである。
共重合体(II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度(以下、「[η]II」と記載することがある。)は、流動性を高くして、揮発性の有機化合物成分の放散を低減するという観点から、好ましくは、1.2〜5.0dL/gであり、より好ましくは1.3〜4.0dL/gであり、更に好ましくは1.5〜3.5dL/gである。
また、プロピレン重合体(I)の極限粘度([η]I)に対する共重合体(II)の極限粘度([η]II)の比([η]II/[η]I)は、外観に優れるという観点から、好ましくは、0.8〜5.0であり、より好ましくは0.9〜4.0であり、更に好ましくは1.0〜3.0である。
なお、本発明における極限粘度(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1dL/g、0.2dL/g及び0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求められる。
プロピレン重合材料(成分(A))がプロピレン重合体(I)と共重合体(II)とを多段重合させて得られる場合、前段の重合槽から一部抜き出した重合体パウダーからプロピレン重合体(I)又は共重合体(II)の極限粘度を求め、この極限粘度の値と各成分の含有量を用いて残りの成分の極限粘度を算出する。
また、プロピレン重合材料(成分(A))が、プロピレン重合体(I)が前段の重合工程で得られ、共重合体(II)が後段の工程で得られる方法によって製造される共重合体である場合、プロピレン重合体(I)及び共重合体(II)の含有量、極限粘度([η]Total、[η]I、[η]II)の測定及び算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度([η]Total)は、プロピレン重合材料(成分(A))の全体の極限粘度を示す。
前段の重合工程で得たプロピレン重合体(I)の極限粘度([η]I)、後段の重合工程後の最終重合体(プロピレン重合(I)と共重合体(II)とからなるプロピレン重合材料)の前記の方法で測定した極限粘度([η]Total)、最終重合体に含有される共重合体(II)の含有量から、共重合体(II)の極限粘度[η]IIを、下記式から計算する。
[η]II=([η]Total−[η]I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度(dL/g)
[η]I:前段重合工程後に重合槽より抜き出したプロピレン重合体(I)パウダーの極限粘度(dL/g)
XI:プロピレン重合材料(成分(A))全体に対するプロピレン重合体(I)の重量比
XII:プロピレン重合材料(成分(A))全体に対する共重合体(II)の重量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
プロピレン重合材料(成分(A))全体に対する共重合体(II)の重量比(XII)は、プロピレン重合体(I)とプロピレン重合材料(成分(A))全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めることもできる。結晶融解熱量は、示差走査型熱分析(DSC)により測定できる。
XII=1−(ΔHf)Total/(ΔHf)
(ΔHf)Total:プロピレン重合材料(成分(A))全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf):プロピレン重合体(I)の融解熱量(cal/g)
プロピレン重合材料(成分(A))中の共重合体(II)のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量((Cα´)II)は、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン重合材料(成分(A))全体のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量((Cα´)Total)を測定し、次式を用いて計算により求めた。
(Cα´)II=(Cα´)Total/XII
(Cα´)Total:プロピレン重合材料(成分(A))全体のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量(重量%)
(Cα’)II:共重合体(II)のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する単位の含有量(重量%)
成分(A)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法により製造される。公知の重合触媒としては、重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。これらの触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
また、重合方法としては、バルク重合、溶液重合、スラリー重合または気相重合が挙げられる。バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法であり、溶液重合もしくはスラリー重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法であり、また、気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法である。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法、バルク重合法と気相重合法を連続的に行うバルク−気相重合法による製造方法が好ましい。
成分(A)の製造方法は、二段階以上の多段階で製造する方法である。多段階の製造方法としては、例えば、特開平5−194685号公報、特開2002−12719号公報に記載の多段階の重合法による製造方法等が挙げられる。なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とする成分(A)に応じて、適宜、変更し、決定すればよい。必要に応じて、成分(A)の残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、成分(A)が融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
<成分(B)>
成分(B)は、下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
化合物群S:一般式Cnn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群

アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。
m2mm (1)
〔式中、mは3以上の整数を表す。〕

Figure 0006056500

(2)
〔式中、pは2以上の整数を表す。〕
一般式Cnn+2(OH)nで表される化合物(以下、「化合物(S1)」と記載することがある。)の一般式中のnは、4以上の整数を表す。nは、好ましくは5〜8の整数であり、より好ましくは6である。
化合物(S1)としては、炭素数4以上の糖アルコールがあげられる。例えば、n=4の糖アルコールとして、エリトリトール、トレイトール;n=5の糖アルコールとして、アドニトール、アラビニトール、キシリトール;n=6の糖アルコールとして、アリトール、タリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール;n=7の糖アルコールとして、ボレミトール、ペルセイトール;n=8の糖アルコールとして、オクチトールをあげることができる。
化合物(S1)は、D体またはL体であってもよく、D体とL体の混合物であってもよい。また、光学活性であってもよく、光学不活性であってもよい。
化合物(S1)として、好ましくは、炭素数6の糖アルコールである。
本発明に用いるアルコキシ体とは、下記の式(1)で表される化合物(以下、「化合物(S2)」と記載することがある。)に含まれる水酸基の少なくとも1個が炭素数1〜12のアルキル基でアルコキシ化された化合物であり、該化合物(S2)は、分子内にホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する化合物である。

m2mm (1)
化合物(S2)のmは、3以上の整数であり、好ましくは、3〜60であり、より好ましくは6又は12である。
化合物(S2)は、分子内にホルミル基又はケト基又はエーテル基を1個有している。また、化合物(S2)はm−1個の水酸基を有する。
化合物(S2)としては、単糖が好ましく、具体的には、例えば、グリセロース、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アルドヘキソース、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、オクトースなどのアルデヒド基を有する単糖、例えば、ケトトリオース、ジヒドロキシアセトン、ケトテトロース、エリトルロース、ケトペントース、キシルロース、リブロース、ケトヘキソース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトースなどのケトン基を有する単糖などがあげられる。
化合物(S2)としては、D体、L体などの光学活性体であっても、DL体などの光学的に不活性なものであってもよい。
化合物(S2)としては、中でも、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトースなどの六炭糖が好ましく、とりわけグルコースが好ましい。
アルコキシ体は、化合物(S2)に含まれる少なくとも1つの水酸基がアルキル基でアルコキシ化された化合物である。アルコキシ体には少なくとも1つの水酸基を有するものが好ましい。特に好ましくは、化合物(S2)に含まれる水酸基の1つがアルコキシ化され、かつ、他の基は水酸基のままであるアルコキシ体である。
前記アルキル基の炭素数は1〜12であり、好ましくは、1又は2であり、より好ましくは1である。
好ましいアルコキシ体としては、例えば、式(1−I)(式中、R41は、炭素数1〜12、好ましくは炭素数5〜12のアルキル基を表す。)で表される化合物等をあげることができる。
Figure 0006056500
(1−I)
式(1−I)で表される化合物としては、例えば、メチル α−D−グルコピラノシド、メチル β−D−グルコピラノシド、エチル α−D−グルコピラノシド、エチル β−D−グルコピラノシド、n-プロピル α−D−グルコピラノシド、n-プロピル β−D−グルコピラノシド、n-ブチル α−D−グルコピラノシド、n-ブチル β−D−グルコピラノシド、n-ペンチル α−D−グルコピラノシド、n-ペンチル β−D−グルコピラノシド、n-ヘキシル α−D−グルコピラノシド、n-ヘキシル β−D−グルコピラノシド、n-ヘプチル α−D−グルコピラノシド、n-ヘプチル β−D−グルコピラノシド、n-オクチル α−D−グルコピラノシド、n-オクチル β−D−グルコピラノシド、n-ノニル α−D−グルコピラノシド、n-ノニル β−D−グルコピラノシド、n-デシル α−D−グルコピラノシド、n-デシル β−D−グルコピラノシド、n-ウンデシル α−D−グルコピラノシド、n-ウンデシル β−D−グルコピラノシド、n-ドデシル α−D−グルコピラノシド、n-ドデシル β−D−グルコピラノシド等があげられる。
アルコキシ体の製造方法としては、例えば、新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V (丸善株式会社、昭和53年7月20日発行)2426頁の記載に準じて、化合物(S2)のアルキルアルコール溶液を−10℃〜室温下で塩化水素ガスを流通させる方法、例えば、化合物(S2)、アルキルアルコール及び塩酸の混合溶液を加熱還流させてアルコキシ化する方法などがあげられる。
また、メチル α−D−グルコピラノシド、n-オクチル β−D−グルコピラノシドなどは、東京化成品工業(株)から入手することができる。
下記の式(2)で表される化合物(以下、「化合物(S3)」と記載することがある。)について、式(2)中、pは2以上の整数を表し、好ましくは、2〜6の整数を表し、より好ましくは5を表す。
Figure 0006056500
(2)
化合物(S3)としては、例えば、1,2,3−トリヒドロキシシクロプロパン、1,2,3,4−テトラヒドロキシシクロペンタン、1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシシクロぺンタン、1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5,6,7−ヘプタヒドロキシシクロヘプタン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロキシシクロオクタンなどがあげられる。
好ましくは、myo−イノシトール、epi−イノシトール、allo−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、chiro−イノシトール、scyllo−イノシトールなどの1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロキシシクロヘキサンがあげられ、特に、下記式で表されるmyo−イノシトール及びscyllo−イノシトールが好ましい。
Figure 0006056500
本発明のポリプロピレン樹脂組成物における成分(B)の含有量は、揮発性の有機化合物成分の放散を低減し、着色の問題を発生させない等の観点から、成分(A)100重量部に対して、好ましくは、0.001〜2重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
<成分(C)>
成分(C)は、好ましくは、下記の式(3)で表される化合物および下記の式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物である。
Figure 0006056500
(3)
(式(3)中、各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rs3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rs4は、水素原子またはメチル基を表す。)
式(3)中の各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rs1は二つ存在するが、各Rs1は、互いに同じものでも、異なるものでもよく、好ましくは同じものである。各Rs2も同様である。
炭素数1〜8のアルキル基は、鎖状または環状のいずれでもよく、好ましくは鎖状(直鎖状または分枝鎖状)、より好ましくは分枝鎖状である。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状の炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基(アミル基ともいう)など)、分枝鎖状の炭素数3〜8のアルキル基(例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、2−エチルヘキシル基など)、環状の炭素数3〜8のアルキル基(即ち炭素数3〜8のシクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基など)が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基などが挙げられる。
各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、好ましくは分枝鎖状の炭素数3〜8のアルキル基であり、より好ましくは、3級炭素原子を有する炭素数4〜8のアルキル基であり、更に好ましくは、tert−ブチル基またはtert−ペンチル基であり、特に好ましくは、tert−ペンチル基である。
式(3)中のRs3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。炭素数1〜3のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。Rs3は、好ましくは、水素原子またはメチル基である。
式(3)中のRs4は、水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−ベンジル)フェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−エチルフェニルアクリレート、または2−tert−ペンチル−6−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、
2,4−ジ−tert−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルメタクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルメタクリレート、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルメタクリレート、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−ベンジル)フェニルメタクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−エチルフェニルメタクリレート、または2−tert−ペンチル−6−(3−tert−ペンチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルメタクリレート、
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザー(登録商標)GM(住友化学社製))、2,4−ジ−tert−アミル−6−(1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、
2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(スミライザー(登録商標)GS(F)(住友化学社製))、などが挙げられる。
式(3)で表される化合物で好ましいものは、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(「スミライザー(登録商標)GS(F)(住友化学社製)」)および、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(「スミライザー(登録商標)GM(住友化学社製)」)である。
式(3)で表される化合物は、市販品を使用するか、または公知の方法(例えば特許文献1または特開昭58−84835号公報に記載の方法)に準じて製造することができる。
Figure 0006056500
(4)
(式(4)中、Rp1、Rp2、Rp4およびRp5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rp3はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または下記の式(4−I)
Figure 0006056500
(4−I)
(式(4−I)中、Rp6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または下記の式(4−II)
Figure 0006056500
(4−II)
(式(4−II)中、Rp7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子に結合する部位を表す。)で示される2価の基を表し、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシ基またはいずれもヒドロキシ基を表し、Y及びZのいずれか一方がヒドロキシ基である場合、他方は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表す。)
前記式(4)中、Rp1、Rp2、Rp4およびRp5で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、イソ−オクチル基,tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−イソ−プロピルシクロヘキシル基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基が挙げられる。
p1、Rp2およびRp4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。Rp1およびRp4は、それぞれ独立して、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基等のtert−アルキル基、シクロヘキシル基または1−メチルシクロヘキシル基であることがさらに好ましい。Rp2は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、tert−ブチル基またはtert−ペンチル基であることがさらに好ましい。Rp5は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基または水素原子であることがより好ましい。
p3で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、イソ−オクチル基,tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子が好ましく、メチル基または水素原子がより好ましい。
Xは、単結合、硫黄原子または前記式(4−I)で示される2価の基を示す。式(4−I)においてRp6で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、イソ−オクチル基,tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。Rp6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であることが好ましい。Xは、単結合または式(4−I)で示される2価の基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
Aは、炭素数2〜8のアルキレン基または前記式(4−II)で示される2価の基を示すが、炭素数2〜8のアルキレン基が好ましく、かかるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、プロピレン基がさらに好ましい。式(4−II)で示される2価の基は、酸素原子とベンゼン核とに結合しているが、*は酸素原子に結合する部位を表している。Rp7で示される炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。かかるRp7としては、単結合またはエチレン基が好ましい。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシ基またはいずれもヒドロキシ基を表し、Y及びZのいずれか一方がヒドロキシ基である場合、他方は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表す。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、イソ−オクチル基,tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソ−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、tert−ペンチルオキシ基、イソ−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α、α−ジメチルベンジルオキシ基が挙げられる。
かかる式(4)で表される化合物の中でも、Rp1およびRp4がtert−アルキル基、シクロヘキシルまたは1−メチルシクロヘキシル基であり、Rp2が炭素数1〜5のアルキル基であり、Rp5が水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rp3が水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xが単結合であり、Aが炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましい。
式(4)で表される化合物としては、例えば、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン〔「スミライザーGP(登録商標)」住友化学(株)製〕、2,10−ジメチル−4,8−ジ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10−テトラ−tert−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−tert−ブチル−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−tert−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジエチル−4,8−ジ−tert−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−[2,2−ジメチル−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられ、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、が好ましい。
式(4)で表される化合物と、例えば、特開平10−273494号公報に記載の方法により製造することができる。
成分(C)として、上記の式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物を用いる場合、さらに別のヒドロキシフェニル基を有する化合物を組合せることができる。
別のヒドロキシフェニル基を有する化合物として、好ましくは、下記の式(5)で表される化合物である。
Figure 0006056500
(5)
[式(5)中、各Rt1および各Rt2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Lは、ヘテロ原子を含んでいてもよいn価の炭素数1〜24のアルコール残基を表し、nは、1〜4の整数を表す。ここでアルコール残基とは、アルコールのヒドロキシ基から水素原子を除いた残りの基を表す。]
式(5)中の各Rt1および各Rt2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。nが2以上である場合、各Rt1は互いに同じものでも、異なるものでもよく、好ましくは同じものである。各Rt2も同様である。炭素数1〜6のアルキル基は、鎖状または環状のいずれでもよく、鎖状は直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、分枝鎖状の炭素数3〜6のアルキル基(例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基)、環状の炭素数3〜6のアルキル基(即ち炭素数3〜6のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)が挙げられる。各Rt1および各Rt2は、それぞれ独立して、好ましくは、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基または分枝鎖状の炭素数3〜6のアルキル基、より好ましくはメチル基またはtert−ブチル基である。さらに好ましくは、各Rt1および各Rt2が全てtert−ブチル基である。
式(5)中のLは、ヘテロ原子を含んでいてもよいn価の炭素数1〜24のアルコール残基を表し、nは1〜4の整数を表す。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子または窒素原子などが挙げられ、これらヘテロ原子が、n価の炭素数1〜24のアルコール残基中の炭素原子と置き換わっていてもよい。即ち、n価の炭素数1〜24のアルコール残基は、−O−、−S−、−NR−(式中、Rは水素原子または他の置換基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)を表す。)などを有していてもよい。ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
n価の炭素数1〜24のアルコール残基(n=1〜4)は、鎖状または環状のいずれでもよく、これらの組合せでもよい。鎖状は、直鎖状でも分枝鎖状でもよい。
1価の炭素数1〜24のアルコール残基としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等の残基が挙げられる。
2価の炭素数1〜24のアルコール残基としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の残基が挙げられる。
3価の炭素数1〜24のアルコール残基としては、例えば、グリセロール等の残基が挙げられる。
4価の炭素数1〜24のアルコール残基としては、エリスリトール、ペンタエリスリトール等の残基が挙げられる。
式(5)で表される化合物としては、例えば、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸、または3−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステルが挙げられる。前記の一価または多価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンおよびこれらの混合物、
3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(「スミライザー(登録商標)GA−80」(住友化学社製))、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(登録商標)1076」(BASF社製))、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス(登録商標)1010」(BASF社製))、
などが挙げられる。
好ましい式(5)で表される化合物としては、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(登録商標)1076」(BASF社製))、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(「スミライザー(登録商標)GA−80」(住友化学社製))およびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス(登録商標)1010」(BASF社製))である。
より好ましい式(5)で表される化合物は、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、もしくは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
更に好ましい式(5)で表される化合物はペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
式(5)で表される化合物は、市販品を使用するか、または公知の方法(例えば米国特許第330859号、米国特許第3644482号または特開昭59−25826号公報に記載の方法)に準じて製造することができる。
成分(C)として、式(3)〜(5)以外のヒドロキシフェニル基を有する化合物として例えば、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。
またトコフェロール類としては、例えばα−トコフェロールであるビタミンEが挙げられる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物における成分(C)の含有量は、揮発性の有機化合物成分の放散の低減や熱安定性を維持する等の観点から、成分(A)100重量部に対して、好ましくは、0.001〜2重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.5重量部である。
成分(C)が式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物である場合、成分(C)として、式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物の混合物を用いてもよく、
式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物の混合する場合、
式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物の混合割合は、
式(3)で表される重量比で1:10から10:1の範囲である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の20℃キシレン不溶部の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS(dL/g))は、1.0dL/g以上であり、好ましくは1.05dL/g以上、より好ましくは1.1dL/g以上である。1.0dL/g未満の場合、揮発性の有機化合物成分の放散が増加することがある。なお、流動性を高くする観点から、1.80dL/g以下であることが好ましく、より好ましくは1.60dL/g以下であり、さらに好ましくは1.40dL/gである。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の20℃キシレン可溶部の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS(dL/g))は、流動性を高くして、揮発性の有機化合物成分の放散の低減や外観に優れるという観点から、好ましくは、1.0〜5.0dL/gであり、より好ましくは1.1〜4.0dL/gであり、更に好ましくは1.2〜3.5dL/gであり、特に好ましくは1.2〜3.0dL/gである。
20℃キシレン不溶成分の極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)は、0.9〜3.5であり、好ましくは0.9〜3.0であり、より好ましくは1.0〜2.8であり、さらに好ましくは1.0〜2.5である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートは流動性を高くし、加工を容易にするという観点から20g/10分以上であり、好ましくは30g/10分以上である。なお、揮発性の有機化合物成分の放散を低減するという観点から、200g/10分以下が好ましく、より好ましくは100g/10分以下であり、さらに好ましくは80g/10分以下である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の[η]CXIS、[η]CXS/[η]CXIS、およびメルトフローレートは、成分(A)のプロピレン重合体(I)の極限粘度と共重合体(II)の極限粘度を変化させること、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤を適切な量加えること、あるいは温度や圧力などの重合条件を変化させること、成分(A)に対してプロピレン重合体(I)と共重合体(II)の割合を変化させること、プロピレン重合体(I)と共重合体(II)のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量を変化させること、プロピレン重合体(I)と共重合体(II)を重合させるときの混合ガス中のプロピレン以外のα−オレフィンのガス組成を変化させること、ポリプロピレン樹脂組成物の成分(B)、成分(C)の含有量を変化させることによっても調節することができる。
また、本発明のポリプロピレン樹脂組成物に、成分(A)、成分(B)および成分(C)の他に、プロピレン重合体を混合して、ポリプロピレン樹脂組成物の[η]CXIS、[η]CXS/[η]CXIS、およびメルトフローレートを所望の範囲に調節してもよい。プロピレン重合体として好ましくはプロピレン単独重合体である。
本発明にかかるポリプロピレン樹脂組成物は、必要に応じて、成分(A)以外の樹脂やゴム、成分(C)以外の添加剤、及び、無機充填剤等を添加しても良い。
成分(A)以外の樹脂としては、例えば、エチレン−α−オレフィンランダム共重合(以下、「成分(D)」と記載することがある。)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
成分(D)は、好ましくは、メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠)が5g/10分以下または10g/10分以上であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体である。成分(D)としては、5g/10分以下の成分(D)または10g/10分以上の成分(D)いずれか一方を用いてもよく、5g/10分以下の成分(D)と10g/10分以上の成分(D)を併用してもよい。
成分(D)のメルトフローレートは、好ましくは、3g/10分以下または12g/10分以上である。
成分(D)に用いられるα−オレフィンは、炭素原子数4〜10個のα−オレフィンが挙げられる。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、環状構造を有するα−オレフィン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
成分(D)として具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
成分(D)に含有されるα−オレフィンの含有量は、それぞれ好ましくは1〜49重量%であり、より好ましくは5〜49重量%であり、さらに好ましくは10〜49重量%である(成分(D)の重量を各100重量%とする)。
また、ポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体の耐衝撃性を向上するという観点から成分(D)の密度はそれぞれ0.85〜0.89g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.88g/cm3、さらに好ましくは0.855〜0.875g/cm3である。
成分(D)は、重合触媒を用いて製造することができる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒系としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
成分(D)は、市販品を用いてもよい。例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
成分(C)以外の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
上記の無機充填剤としては、非繊維状無機充填剤(以下、「成分(E−1)」と記載することがある。)、繊維状無機充填剤(以下、「成分(E−2)」と記載することがある。)があげられる。
非繊維状無機充填剤(成分(E−1))としては、板状無機充填剤、粉末状無機充填剤、フレーク状無機充填剤、顆粒状無機充填剤等が挙げられる。具体的には、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛)が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうちタルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填剤(成分(E−1))の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ここで本発明における「平均粒子径」とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
繊維状無機充填剤(成分(E−2))としては、繊維状の無機充填剤をいう。具体的には、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましく、繊維状マグネシウムオキシサルフェートを用いることがより好ましい。
繊維状無機充填剤(成分(E−2))は、電子顕微鏡観察によって測定した平均繊維長が3μm以上であり、好ましくは3〜20μmであり、更に好ましくは7〜15μmである。また、アスペクト比は、10以上であり、好ましくは10〜30であり、更に好ましくは12〜25である。そして、電子顕微鏡観察によって測定した平均繊維径が、好ましくは、0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.3〜1.0μmである。
無機充填剤としては、無処理のまま使用してもよいが、プロピレン重合材料(成分A)との界面接着性を向上させ、かつ、プロピレン重合材料(成分A)に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸金属塩、若しくは界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
2.成形体
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体は、本発明のポリプロピレン樹脂組成物を成形して成形体として用いることができる。
上記に記載の溶融混練としては、従来公知の方法及び装置を用いて行うことができる。例えば、成分(A)、成分(B)、および、成分(C)を、ヘンシェルミキサ−、リボンブレンダ−、タンブルミキサ−等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法や、定量供給機を用いて、一定の割合で、プロピレン重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体と各種添加剤とをそれぞれ連続的に供給することで均質な混合物を得た後、該混合物を単軸又は二軸以上の押出機、バンバリ−ミキサ−、ロ−ル式混練機等を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
上記の溶融混練の温度は180℃以上、好ましくは、180℃〜300℃であり、更に好ましくは、180℃〜250℃である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体の製造方法は、好ましくは、射出成形法である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。
この成形体の用途としては、例えば、容器、容器のキャップ、包装材料、文具、玩具、日用雑貨、家具用材料、繊維、農業用フィルム、自動車用材料、家電用材料、医療用材料、又は建築材料等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、揮発性の有機化合物成分の放散を低減した成形体であり、密閉空間において人と共存する部材に好適である。例えば、自動車材料としては、自動車内装部材や自動車ヘッドランプ用部材が好ましい。建築材料としては住宅の内壁や壁紙用部材が好ましい。家具用材料としては、タンスや収納容器が好ましい。家電用材料としては、パソコン等のOA機器、テレビ、エアコン、洗濯機、空気清浄機などの部材が好ましい。農業用フィルムとしては、ハウス、トンネル用のフィルムが好ましい。繊維は、衣類、カーペットやソファー用の繊維が好ましい。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、発明の詳細な説明及び実施例及び比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)プロピレン重合材料(成分(A))のプロピレン重合体(I)と、共重合体(II)の含有量(単位:重量%)
成分(A)のプロピレン重合体(I)および共重合体(II)の製造時の物質収支から、プロピレン重合体(I)の含有量(以下、「PI」と記載することがある。)、共重合体(II)の含有量(以下、「PII」と記載することがある。)を求めた。
(2)プロピレン重合材料(成分(A))の共重合体(II)のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って、下記の式(1)により成分(B)のエチレン含量を求めた。
II=(ET−EI×PI)/PII 式(1)

(ただし、ET、EIおよびEIIはそれぞれ成分(A)の全体、プロピレン重合体(I)および共重合体(II)におけるエチレン含有量を表し、PIおよびPIIはプロピレン重合体および共重合体(II)の含有量を示す。)
(3)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベロ−デ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2、及び、0.5dL/gの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491項に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。還元粘度はテトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定を行った。
(3−1)プロピレン重合体(I)、共重合体(II)の極限粘度([η]、[η]II
第一工程の重合終了時にサンプリングしたプロピレン重合体(I)の極限粘度([η])と第二工程の重合終了後に得られた成分(A)の全体の極限粘度(以下、「[η]T」と記載することがある。)、および、プロピレン重合体(I)の含有量(P)と共重合体(II)の含有量(PII)を用いて、下記の式(2)から共重合体(II)の極限粘度([η]II)を算出した。

[η]×P/100+[η]II×PII/100=[η]T 式(2)

(3−2)ポリプロピレン樹脂組成物の20℃キシレン不溶成分の極限粘度、20℃キシレン可溶成分の極限粘度([η]CXIS、[η]CXS)
ポリプロピレン樹脂組成物1gに対してキシレン200mLを加え、沸騰させて完全に溶解させた後降温し、20℃で1時間以上状態調整を行った。その後、ろ紙を用いて不溶成分(CXIS)と可溶成分(CXS)とに分離し、可溶部は、ろ液から溶剤を除去して乾固して試料とした後、それぞれの成分について、極限粘度を測定した。
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
メルトフローレートは、JIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(5)フォギング試験(単位:mg)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のフォギング性試験を、スガ試験機(ウィンドウスクリーンフォギングテスター WF−2型)を用いて行った。組成物5gを容器に入れ、その容器を140℃(エアー式)の雰囲気で保管し、容器の上部には冷却水を用いて25℃に保ったガラス板を設置した。容器を20時間加熱し、試験前後のガラス板重量変化から、ガラス面付着量を求めた。ガラス面付着量が多いほど、揮発性の有機化合物成分の放散が多いことを示す。
(6)外観(フィッシュアイの量、単位:個/10cm2
ポリプロピレン樹脂組成物を、20mmφ単軸押出機(田辺プラスチック機械株式会社製VS20−14型)を用いて、樹脂温度210℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを18℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、幅50mm、厚さ50μmのフィルムを作成した。
EPSON社製スキャナーGT−X970を用いて、得られたフィルムの画像を900dpi、8bitの条件でコンピューターに取り込み、その画像を旭エンジニアリング社製画像解析ソフトA像君を用いて2値化した。フィッシュアイは周辺より明るい部分として認識された。フィッシュアイの形状は不定形であるので、フィッシュアイと同じ面積である円の直径をフィッシュアイの大きさとして、フィルム10cm2当たりの直径100μm以上であるフィッシュアイの数を求めた。
[実施例1]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.44dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が1.89dL/g、エチレン含有量が65重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP1)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は18重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP1)60重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体40重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=28(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
[比較例1]
トレハロースを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法によって、MFR=28(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
[実施例2]
プロピレン重合材料(BCPP1)60重量%と、[η]=0.80dL/gのプロピレン単独重合体40重量%とを用いる以外は、実施例1と同様の方法によって、MFR=42(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
[比較例2]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が0.80dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が7.00dL/g、エチレン含有量が32重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP2)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は11重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP2)90重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体10重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部、イルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3(3',5'−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=145(g/10分)のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
[比較例3]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.00dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が5.00dL/g、エチレン含有量が35重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP3)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は16重量%であった
得られたプロピレン重合材料(BCPP3)63重量%と、[η]=0.90dL/gのプロピレン単独重合体37重量%と、この混合物100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=66(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
[実施例3]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中で極限粘度が1.24dL/gのプロピレン単独重合体部分を製造し、次いで、第二工程を気相中で極限粘度が2.48dL/g、エチレン含有量が42重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分を製造して、プロピレン重合材料(BCPP4)を得た。プロピレンとエチレンとの共重合体部分の含有量は10重量%であった。
得られたプロピレン重合材料(BCPP4)100重量部に対して、スミライザーGS(2,4−ジ−tert−アミル−6−[1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、住友化学(株)製)0.1重量部、トレハロース(東京化成工業(株)製、D−(+)−トレハロース二水和物)0.05重量部を加え、20mm単軸押出機(VS20−14型、田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=12.6フルフライト型スクリュー付き)を用いて210℃で溶融混練し、MFR=20(g/10分)のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたプロピレン重合材料の特性を表1、ポリプロピレン樹脂組成物の特性を表2、表3、および表4に示した。
Figure 0006056500
Figure 0006056500
Figure 0006056500
Figure 0006056500

Claims (7)

  1. 下記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を含み、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが20g/10分以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)が1.0dL/g以上であり、20℃キシレン不溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXIS)に対する20℃キシレン可溶成分の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)が0.9〜3.5であるポリプロピレン樹脂組成物。

    成分(A):多段重合によって得られる、プロピレン重合体(I)50〜99重量%と、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体(II)1〜50重量%とからなるプロピレン重合材料(但し、前記プロピレン重合体(I)と前記共重合体(II)の合計の重量を100重量%とする)であり、
    前記プロピレン重合材料を構成するプロピレン重合体(I)に含まれるプロピレンに由来する構造単位の含有量は80重量%を越え100重量%以下(但し、前記プロピレン重合体(I)全重量を100重量%とする)であり、
    前記共重合体(II)に用いられるプロピレン以外のオレフィンは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、前記共重合体(II)に含まれる該プロピレン以外のオレフィンに由来する構造単位の含有量は20重量%以上80重量%以下(但し、前記共重合体(II)の全重量を100重量%とする)

    成分(B):下記の化合物群Sから選ばれる少なくとも1種の化合物。
    化合物群S:一般式Cnn+2(OH)nで表される化合物(式中、nは4以上の整数を表す。)、下記のアルコキシ体、下記の式(2)で表される化合物、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、メレチトース、スタキオース、カードラン、グリコーゲン、グルコース及びフルクトースからなる化合物群

    アルコキシ体:下記の式(1)で表される化合物に含まれる水酸基のうちの少なくとも1個の水酸基の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基に置換された構造の化合物であり、該式(1)で表される化合物は、ホルミル基又はケト基又はエーテル基1個とm−1個の水酸基とを有する。

    m2mm (1)
    〔式中、mは3以上の整数を表す。〕

    Figure 0006056500
    (2)
    〔式中、pは2以上の整数を表す。〕

    成分(C):ヒドロキシフェニル基を有する化合物
  2. 共重合体(II)がプロピレン−エチレン共重合体である請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 成分(B)がトレハロースである請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 成分(C)が下記の式(3)で表される化合物および下記の式(4)で表される化合物からなる群から選択される化合物である請求項1〜3いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    Figure 0006056500
    (3)
    (式(3)中、各Rs1および各Rs2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rs3は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rs4は、水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 0006056500
    (4)
    (式(4)中、Rp1、Rp2、Rp4およびRp5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rp3はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または下記の式(4−I)
    Figure 0006056500
    (4−I)
    (式(4−I)中、Rp6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または下記の式(4−II)
    Figure 0006056500
    (4−II)
    (式(4−II)中、Rp7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子に結合する部位を表す。)で示される2価の基を表し、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシ基またはいずれもヒドロキシ基を表し、Y及びZのいずれか一方がヒドロキシ基である場合、他方は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表す)
  5. 成分(C)が、2,4−ジ−tert−ペンチル−6−[1−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、または、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである請求項1〜4いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  6. 温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが30g/10分以上である請求項1〜5いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物を含む成形体。
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