JP6056448B2 - 有機発光ダイオード素子 - Google Patents

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本発明は、有機発光ダイオード(OLED)素子に関する。より詳しくは、固体封止されたOLED素子であっても、反りや剥離の低減されたOLED素子に関する。
近年、発光素子は重要な研究の課題となっている。特に、有機化合物を用いて発光させる有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用した有機発光ダイオード(OLED)は、様々なエレクトロルミネセント素子において使用が期待されるため、関心が持たれている。例えば、単一のOLED素子を、別個の発光素子に使用でき、またはOLED素子のアレイを、OLEDディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの用途、または照明用途に使用できる。
OLEDは、互いに対向するアノード電極及びカソード電極と、これらの間に介在する有機発光層とを含んでいる。有機発光ダイオードは、アノード電極及びカソード電極から有機発光層にそれぞれ正孔及び電子が注入され、これらの正孔及び電子が有機発光層で結合して発生した励起分子が、基底状態に戻る際に放出されるエネルギーによって発光する。しかし、OLED素子中に配置された有機発光層は、周囲の環境から漏れ入る水分および酸素との相互作用から生じる劣化を受けやすい。例えば、OLEDディスプレイの寿命は、その中に配置された有機発光層と電極とが周囲の環境から密封されていれば、大きく増加させることができることがよく知られている。特に、有機発光層は、水分や酸素に弱く、これらが混入すると、特性が変化して非発光点(ダークスポット)が発生し、OLEDディスプレイの寿命を縮める一因となっている。したがって、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために、これらを透過させない封止材で、OLED素子を封止して使用することが提案されている。この際、封止材の封止性を高めることは非常に重要であり、製品の劣化防止のために高度なガスバリア性(ガス遮断性)が要求されている。
封止の方法としては、従来、有機EL表示装置等の製造において、アルミニウム等の金属製封止缶を用いる方法が提案されている(たとえば、下記特許文献1)。これによれば、表示領域にある有機EL素子を金属製封止缶で覆って封止し、封止缶を周辺部で基板に接着固定して有機EL表示装置を構成している。しかしながら、このような金属の封止缶は、OLEDに比較して熱膨張率が大きいため、熱が加わると、OLED素子に反りが発生したり、あるいは接着固定した部分が脆くなって、封止缶が外れやすくなる。その結果、水分や酸素等の混入を招き、OLED素子の劣化の原因となっている。
また、OLED素子上に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等のガスバリア性を有する封止膜を成膜することにより、OLED素子を封止する方法も提案されている。このようなガスバリア性の膜は種々のものが知られている(例えば、下記特許文献2)。下記特許文献2では、ケイ素、酸素および炭素を含有し、膜の厚み方向において特定の元素が特定の濃度分布を有するように製膜する技術が開示されている。このような封止膜による封止は、封止缶の場合に比べて構造が単純で薄型化が可能であるなどの利点がある。
特開2008−243559号公報 特開2012−081632号公報
しかしながら、本発明者らが確認したところ、上記のガスバリア性を有する封止膜を用いた場合も、OLED素子に熱が加わると反りが発生し、また、OLED素子を屈曲した場合にも同様に、ガスバリア性能の低下、積層膜のはがれといった問題が生じることが分かった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、十分なガスバリア性を有し、特に高温環境下でも反りが発生しにくく、屈曲に強く、ガスバリア性能の低下やはがれの発生を抑制し得る、OLED素子を提供することにある。また、それにより、ダークスポット等の欠陥の低減されたOLED素子を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1 第一の樹脂基材と、
前記第一の樹脂基材上に配置されたバリア層と、
前記バリア層上に配置された平滑層と、
前記平滑層上に配置された発光ユニットと、
前記発光ユニットを封止剤により封止した第二の樹脂基材と、を有し、
前記平滑層の膜厚をAnmとし、前記第二の樹脂基材の膜厚をBμmとしたとき、
0.001B≦A≦0.07B、15μm≦B≦100μm、100nm≦A≦1000nmを満たし、
前記平滑層が、ポリシラザンを含む膜の改質膜であり、
前記封止剤が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を成分として含む樹脂(接着剤)である有機発光ダイオード素子。
2 前記バリア層が、ケイ素、酸素及び炭素を含有しており、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、
下記条件(i)〜(iii):
(i)ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
(酸素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
で表される条件を満たすこと、または、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
(炭素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
で表される条件を満たすこと、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
を満たす前記1に記載の有機発光ダイオード素子。
前記封止剤は熱硬化型樹脂である前記1または2に記載の有機発光ダイオード素子。
本発明によれば、高温環境下においても反りが発生しにくく、さらに屈曲に強く、ガスバリア性能の低下やはがれの発生が抑制された、高いガスバリア性能を維持しうるOLED素子が提供される。さらに、これにより、リーク電流やダークスポットなどの欠陥の低減されたOLED素子が提供される。
本発明のOLED素子の一例を示す概略断面図である。 実施例で作製したバリア層の膜厚方向のケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線および窒素分布曲線のグラフである。 図2に示した炭素分布曲線のグラフを拡大したグラフである。 プラズマCVD装置の一例を示した概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[OLED素子の全体構成]
本発明のOLED素子は、第一の樹脂基材と、第一の樹脂基材上に配置されたバリア層と、バリア層上に配置された平滑層と、平滑層上に配置された発光ユニットと、発光ユニットを封止剤により封止した第二の樹脂基材と、を有する。さらに、平滑層の膜厚をAnmとし、第二の樹脂基材の膜厚をBμmとしたとき、0.001B≦A≦0.07B、15μm≦B≦100μm、100nm≦A≦1000nmを満たすことが特徴である。
初めに、本発明のOLED素子の全体の構成を説明する。図1は、本発明のOLED素子の好ましい一実施形態を模式的に示した概略断面図である。説明のため、図1中の各部材の寸法は、現実の部材の寸法を反映していない。図1に示すように、第一の樹脂基板1上には、OLEDを外部環境から保護するバリア層2が積層され、その上にバリア層の凹凸を平坦にするための平滑層3が積層されている。さらに、平滑層の上に第一の電極4が積層されている。第一の電極上には所定の大きさの発光ユニット5が配置され、その上に第二の電極6が配置されている。発光ユニット5および第二の電極6は、封止剤7を用いて、第二の樹脂基材8によって封止されている。第一の電極4の一部および封止剤7の上部には、好ましくは、アルミニウム等の金属層9が配置される。本発明では、平滑層および第二の樹脂基材の厚みが特定の関係を満たしていることが特徴である。
OLED素子は、上記のように発光ユニットおよび二つの電極の他に、様々な層が積層されて構成される。本発明者らは、OLED素子のダークスポット発生といった発光における問題を検討し、各層を構成する材料の熱膨張率の相違が原因の一つであることに着目した。例えば、第一の樹脂基材に通常用いられるポリエチレンナフタレート(PEN)、第二の樹脂基材に用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)、バリア層および/または平滑層に用いられるポリシラザン膜、金属層に用いられるアルミニウムでは、以下のように熱膨張率が異なっている。
しかしながら、互いに熱膨張率が異なる層を順に積層した場合でも、第一の樹脂基材、バリア層および平滑層のみでは、例えば、屈曲テストによって問題が生じることは少ない。しかしながら、これらの層に発光ユニットを積層し、OLED素子を構成すると、屈曲テストによって、バリア層と第一の樹脂基材が剥離する問題が生じることが分かった。同様に、熱をかけた場合に生じる反りや膜の剥離も、数層のみを積層した場合ではなく、OLED素子全体を構成した場合に顕著に観察される問題である。そこで本発明者らは、OLED素子全体を構成したときに各層の熱膨張率の違いを補償し、反りや膜の剥離を低減しうるような素子の全体の構成を検討した。その結果、発光ユニットの上下に配置される、平滑層と第二の樹脂基材との厚みを特定の関係を満たすように構成することにより、上記した問題が解決されることを見出した。隣接する層同士ではなく、発光ユニットを挟んで離れたもっとも外側の第二の樹脂基材と平滑層との厚みを制御することは、従来技術においては注目されてこなかったといえる。すなわち、本発明では、平滑層の膜厚をAnmとし、第二の樹脂基材の膜厚をBμmとしたとき、0.001B≦A≦0.07B、15μm≦B≦100μm、100nm≦A≦1000nmを満たすようにOLED素子を構成する。
平滑層の膜厚と第二の樹脂基材の膜厚とは、より好ましくは、0.0025B≦A≦0.04B、18μm≦B≦80μm、150nm≦A≦800nmの関係を満たす。この関係を満たすことにより、リーク電流やダークスポット発生の低減等、本発明の所期の目的をより効果的に達成できる。
以下、本発明のOLED素子を構成する各層に分けて説明する。
[第一の樹脂基材]
第一の樹脂基材は、その上に積層する素子全体を支持する役割を果たす。また、第一の樹脂基材側から光を取り出す場合には、第一の樹脂基材は透明であることが好ましい。第一の樹脂基材は、素子にある程度の柔軟性を与えることができ、素子を支持する役割を担うことができれば、特に制限はないが、好ましくは、以下の樹脂フィルムを使用することができる。
第一の樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名 JSR社製)及びアペル(商品名 三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを用いることができる。このうち、特に剛性及び保持水分量の観点から、PENが好ましい。
第一の樹脂基材の厚さは、バリア層を製造する際の安定性を考慮して適宜に設定することができる。例えば、真空中においてもフィルムの搬送が可能であるという観点から、第一の樹脂基材の厚さは5〜500μmの範囲であることが好ましい。また、プラズマCVD法によりバリア層を形成する場合には、第一の樹脂基材を通して放電しながらバリア層を形成するため、第一の樹脂基材の厚さを50〜200μmの範囲とすることが好ましく、50〜150μmの範囲とすることがさらに好ましい。
第一の樹脂基材の表面は、表面活性処理により清浄化されていることが好ましい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
[バリア層]
バリア層は、酸素や水分の透過を防ぐガスバリア性を有し、発光ユニットを外部環境の酸素や水分から保護する役割を有している。このようなガスバリア性を有していれば、バリア層は特に制限なく従来のものを使用できる。バリア層は複数層からなっていてもよく、第一の樹脂基材の少なくとも片面に形成される。バリア層のうちの少なくとも1層がケイ素、酸素及び炭素を含有する層であることが好ましく、バリア層のうちの少なくとも1層は窒素、アルミニウムを更に含有していてもよい。
バリア層に用いうる材料としては金属化合物が好ましく、これらに特に制限されないが、例えば、ケイ素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物、錫化合物、有機金属化合物などが挙げられる。透過性の観点から、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物またはこれらの複合化合物であることが好ましい。例えば、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどから構成され、ガスバリア性及び透明性の点で酸化ケイ素、酸窒化ケイ素または窒化ケイ素から選ばれる少なくとも1種が好ましく、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
ケイ素化合物としては、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
また、有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
上記の材料を製膜するには、物理気相成長法及び化学気相成長法(化学蒸着法)が挙げられ、物理的気相成長法は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、これらの方法としては、蒸着(抵抗加熱法、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー)法、イオンプレーティング法、スパッタ法等がある。一方、化学気相成長法(化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面或いは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられるが、本発明においては、いずれも有利に用いることができる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるバリア層は、原料である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため好ましい。
本発明において、特に好ましいバリア層の構成は以下のとおりである。すなわち、バリア層が、ケイ素、酸素及び炭素を含有しており、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、
下記条件(i)〜(iii):
(i)ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
(酸素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
で表される条件を満たすこと、または、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
(炭素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
で表される条件を満たすこと、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、を満たす。このような構成のバリア層を有することにより、ガスバリア性により優れたOLED素子となる。
バリア層が上記の(i)の条件を満たすことにより、得られるOLED素子はより高いガスバリア性を有するOLED素子となる。
条件(i)のうち、さらにケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において式(1)で表される条件を満たす場合には、以下が好ましい。すなわち、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。また、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、33〜67at%であることが好ましく、45〜67at%であることがより好ましい。さらに、前記バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、3〜33at%であることが好ましく、3〜25at%であることがより好ましい。
さらに、条件(i)のうち、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において式(2)で表される条件を満たす場合には、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。また、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、1〜33at%であることが好ましく、10〜27at%であることがより好ましい。さらに、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、33〜66at%であることが好ましく、40〜57at%であることがより好ましい。
バリア層は、炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましい。このようなバリア層においては、炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるOLED素子を屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。また、このように少なくとも3つの極値を有する場合においては、炭素分布曲線の有する一つの極値及び該極値に隣接する極値におけるバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。なお、本発明において極値とは、バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離に対する元素の原子比の極大値又は極小値のことをいう。
本発明において極大値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が増加から減少に変わる点であって且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。さらに、本発明において極小値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
バリア層は、更に、(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましい。また、このようなバリア層においては、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。絶対値が5at%以上であることにより、得られるガスバリア性積層フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより優れたものとなる。
さらに、バリア層の酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。酸素分布曲線が極値を有していれば、得られるOLED素子を屈曲させた場合におけるガスバリア性の低下をより防止し得る。また、このように少なくとも3つの極値を有する場合においては、酸素分布曲線の有する一つの極値及び該極値に隣接する極値におけるバリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
また、バリア層の酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。絶対値が下限値以上であれば、得られるOLED素子を屈曲させた場合におけるガスバリア性が低下がより確実に防止できる。
また、バリア層の前記ケイ素分布曲線におけるケイ素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。絶対値が上限値以下であれば、得られるOLED素子のガスバリア性がより十分なものとなる。
また、バリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該層の表面からの距離とケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子及び炭素原子の合計量の比率(酸素及び炭素の原子比)素分布曲線において、前記酸素炭素分布曲線における酸素及び炭素の原子比の合計の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。絶対値が上限値以下であれば、得られるOLED素子のガスバリア性がより十分なものとなる。
ケイ素分布曲線、前記酸素分布曲線、前記炭素分布曲線及び前記酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向における前記バリア層の膜厚方向における前記バリア層の表面からの距離に概ね相関することから、「バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるバリア層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、膜面全体において均一で且つ優れたガスバリア性を有するバリア層を形成するという観点から、前記バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。本明細書において、バリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
また、炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。本明細書において、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される前記バリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式(F1):
(dC/dx)≦0.5・・・(F1)
で表される条件を満たすことをいう。
本発明のバリア層は、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすバリア層を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなバリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなバリア層を2層以上備える場合には、このようなバリア層は前記基材の一方の表面上に形成されていてもよく、前記基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、このような複数のバリア層としては、ガスバリア性を必ずしも有しないバリア層を含んでいてもよい。
また、バリア層の厚みは、5〜3000nmの範囲であることが好ましく、10〜2000nmの範囲であることより好ましく、50〜1000nmの範囲であることが特に好ましい。バリア層の厚みが前記下限値以上であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性がOLED素子としてより十分なものとなり、一方、上限値以下であれば、屈曲によりガスバリア性が低下することを確実に防止できる。
また、素子が複数のバリア層を備える場合には、それらのバリア層の厚みの合計値は、通常10〜10000nmの範囲であり、10〜5000nmの範囲であることが好ましく、100〜3000nmの範囲であることより好ましく、200〜2000nmの範囲であることが特に好ましい。バリア層の厚みの合計値が前記下限値以上であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性がより十分なものとなり、一方、上限以上であれば、屈曲によりガスバリア性が低下することを防止しやすくなる。
なお、本発明において、ガスバリア性を有するとは、バリア層が、水蒸気透過率0.01g/m/day以下、酸素透過率0.01ml/m/day/atm以下を示すことをいう。水蒸気透過率は、JIS K 712gBや特開2004−333127号公報等に記載された方法により測定することができる(g/m/day)。また、酸素透過率についても同じく、JIS K 7126B等に記載された方法で測定することができる(ml/m/day/atm)。
バリア層を形成するには、ガスバリア性向上の観点から、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)を採用することが好ましい。なお、前記プラズマ化学気相成長法はペニング放電プラズマ方式のプラズマ化学気相成長法であっても良い。更に、このようなプラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては有機ケイ素化合物と酸素とを含むものが好ましく、その成膜ガス中の酸素の含有量は、成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。また、バリア層は連続的な成膜プロセスにより形成された層であることが好ましい。
また、前記プラズマ化学気相成長法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ロールの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ロールを用い、その一対の成膜ロールのそれぞれに前記基材を配置して、一対の成膜ロール間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして一対の成膜ロール間に放電する際には、一対の成膜ロールの極性を交互に反転させることが好ましい。このようにして、一対の成膜ロールを用い、その一対の成膜ロール上に基材を配置して、かかる一対の成膜ロール間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ロール上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、もう一方の成膜ロール上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となる。したがって、効率よく薄膜を製造できるばかりか、成膜レートを倍にできる。なおかつ、同じ構造の膜を成膜できるので炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となり、効率よく上記条件(i)〜(iii)を全て満たす層を形成することが可能となる。また、生産性の観点から、ロールツーロール方式で第一の樹脂基材の表面上にバリア層を形成させることが好ましい。
また、このようなプラズマ化学気相成長法によりバリア層を製造する際に用いることが可能な装置としては、特に制限されないが、少なくとも一対の成膜ロールと、プラズマ電源とを備え且つ前記一対の成膜ロール間において放電することが可能な構成となっている装置であることが好ましい。このような装置の一例を図4に示す。
図4に示す製造装置30は、送り出しロール31と、搬送ロール32、33、34、35と、成膜ロール36、37と、ガス供給管38と、プラズマ発生用電源39と、成膜ロール36及び37の内部に設置された磁場発生装置41、42と、巻取りロール43とを備えている。また、製造装置30においては、少なくとも成膜ロール36、37と、ガス供給管38と、プラズマ発生用電源39と、磁場発生装置41、42とが図示しない真空チャンバー内に配置されている。更に、製造装置30において真空チャンバーは、図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を調整することが可能となっている。
製造装置30においては、一対の成膜ロール(成膜ロール36と成膜ロール37)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ロールがそれぞれプラズマ発生用電源39に接続されている。このため、製造装置30においては、プラズマ発生用電源39から電力を供給することにより、成膜ロール36と成膜ロール37との間の空間に放電することが可能であり、成膜ロール36と成膜ロール37との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、成膜ロール36と成膜ロール37を電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なように成膜ロール36と成膜ロール37との材質や設計を変更すればよい。また、製造装置30においては、一対の成膜ロール(成膜ロール36及び37)は、中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ロール(成膜ロール36及び37)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できる。このため、炭素分布曲線における極値を少なくとも倍増させることが可能となる。そして、製造装置30によれば、CVD法により第一の樹脂基材40の表面上にバリア層を形成することが可能であり、成膜ロール36上において第一の樹脂基材40の表面上に膜成分を堆積させつつ、更に成膜ロール37上においても第一の樹脂基材40の表面上に膜成分を堆積させることもできるため、第一の樹脂基材40の表面上にバリア層を効率よく形成することができる。
また、成膜ロール36及び成膜ロール37の内部には、成膜ロールが回転しても回転しないように固定された磁場発生装置41及び42がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ロール36及び成膜ロール37としては、公知のロールを用いることができる。成膜ロール36及び37としては、より効率よく薄膜を形成するという観点から、同一の直径のロールを使うことが好ましい。また、成膜ロール36及び37の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、5〜100cmの範囲とすることが好ましい。
また、製造装置30においては、第一の樹脂基材40の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ロール(成膜ロール36と成膜ロール37)上に、第一の樹脂基材40が配置されている。このように第一の樹脂基材40を配置することにより、成膜ロール36と成膜ロール37との間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ロール間に存在する第一の樹脂基材40のそれぞれの表面に、同時にバリア層を成膜することが可能となる。すなわち、製造装置30によれば、CVD法により、成膜ロール36上にて第一の樹脂基材40の表面上に膜成分を堆積させ、更に成膜ロール37上にて膜成分を堆積させることができるため、第一の樹脂基材40の表面上にバリア層を効率よく形成することが可能となる。
また、製造装置30に用いる送り出しロール31及び搬送ロール32、33、34、35としては公知のロールを用いることができる。また、巻取りロール43としても、バリア層を形成した第一の樹脂基材40を巻き取ることが可能であればよく、特に制限されず、公知のロールを用いることができる。
また、ガス供給管38としては原料ガス等を所定の速度で供給又は排出することが可能な配管を用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源39としては、公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。プラズマ発生用電源39は、これに接続された成膜ロール36、37に電力を供給して、成膜ロール36、37を放電のための対向電極としての利用を可能にする。プラズマ発生用電源39としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、成膜ロールの極性を交互に反転させることが可能な交流電源等を利用することが好ましい。また、磁場発生装置41、42としては、公知の磁場発生装置を用いることができる。
例えば、上記のような装置で、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバー内の圧力、成膜ロールの直径、並びに、フィルムの搬送速度を適宜調整することにより、バリア層を製造することができる。プラズマ発生用電源は、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとし、交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが好ましい。真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜100Paの範囲とすることが好ましい。
バリア層の形成に用いる前記成膜ガス中の原料ガスとしては、形成するバリア層の材質に応じて適宜選択して使用することができる。このような原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、製膜での取り扱い及び得られるバリア層のガスバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、前記成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
このような成膜ガスが原料ガスと反応ガスを含有する場合には、原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、本発明のガスバリア膜が得られなくなってしまう。よって、所望したバリアフィルムとしての性能が得られない。また、成膜ガスが前記有機ケイ素化合物と酸素とを含有するものである場合には、成膜ガス中の前記有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
以下代表例として、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO:(CHSiO:)と反応ガスとしての酸素(O)を取り上げ説明する。
原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)と、反応ガスとしての酸素(O)とを含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1):
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO(1)
のような反応が起こり、二酸化ケイ素が製造される。このような反応においては、ヘキサメチルジシロキサン1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、ヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまうため、原料のガス流量比を理論比である完全反応の原料比以下の流量を制御して、非完全反応を遂行させる。つまりヘキサメチルジシロキサン1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくする必要がある。
なお、実際のプラズマCVDチャンバー内の反応では、原料のヘキサメチルジシロキサンと反応ガスの酸素は、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある。)。そのため、原料のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。このような比でヘキサメチルジシロキサン及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層中に取り込まれ、所望したバリア層を形成することが可能となって、得られるOLED素子に優れたバリア性及び耐屈曲性を発揮させることが可能となる。なお、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)が少なすぎると、酸化されなかった炭素原子や水素原子がバリア層中に過剰に取り込まれるため、この場合はバリア膜の透明性が低下する恐れがある。このような観点から、成膜ガス中のヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
[平滑層]
平滑層は、上記のように形成したバリア層の表面の凹凸を平坦にするために、第一の電極の下地として形成される。本発明では、平滑層と、後述する第二の樹脂基材との厚みを制御することに特徴がある。平滑層の膜厚Anmは、上記の通り100nm<A<1000nmである。平滑層の膜厚が100nmを下回ると、平滑層の表面の凹凸が大きくなるため、素子がダメージを受けやすく、その結果ダークスポットが発生しやすくなる。また、熱による素子の反りも大きくなる傾向にある。一方、平滑層の膜厚が1000nmを超えると、熱による反りは低減されるが、平滑層は固くて脆くなり、屈曲の際に割れが生じやすい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。10nmよりも小さい場合には、後述のケイ素化合物を塗布する段階で、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれる場合がある。また、30nmよりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
平滑層の材料としては上記の平滑性が実現できれば特に制限はなく、上記したバリア層と同様の材料を同様の方法で使用できる。平滑層としては、原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、(CHSiO)、反応ガスとして酸素(O)とを含有する成膜ガスをプラズマCVD法により反応させて形成したケイ素−酸素系の薄膜を好ましく使用できる。プラズマCVD法を用いた製膜については、上記したバリア層についての方法と同様に実施できる。バリア層と平滑層とは異なる材料を使用してもよいし、同様の材料を使用してもよい。同様の材料を使用していても、バリア層は表面の凹凸が大きい製法で製膜される場合が多いため、その表面を平坦にするために別途の工程として平滑層の製膜が必要である。
上記のほかに、本発明においては、特にポリシラザンを含む膜を改質して得られた平滑層がより好ましい。典型的には、ポリシラザンを含有させた塗布液をバリア層上に塗布し、紫外線照射によって改質させて平滑層を得ることができる。ポリシラザンは、成膜性、得られるガスバリア層にクラック等の欠陥が少ないことや、残留有機物の少なさの点で好ましい。特にパーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザンが好ましい。
「ポリシラザン」とは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。樹脂基材を損なわないように塗布するためには、比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物(低温セラミックス化ポリシラザン)がよく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは、炭素原子数2〜20のアルケニル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30のアリール基)、シリル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシリル基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜40、より好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基)またはアルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルコキシ基)を表す。ただし、R、R及びRの少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
上記R、R及びRにおけるアルキル基は、直鎖または分岐鎖のアルキル基である。炭素原子数1〜30のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−トリアコンチル基などが挙げられる。
炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基などが挙げられる。
炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
炭素原子数6〜30のアリール基としては、特に制限はないが、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数3〜20のシリル基としては、アルキル/アリールシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜40のアルキルアミノ基としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル−tert−ブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジヘキサデシルアミノ基、ジ2−エチルヘキシルアミノ基、ジ2−ヘキシルデシルアミノ基などが挙げられる。
炭素原子数1〜30のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、エイコシルオキシ基、ヘンエイコシルオキシ基、ドコシルオキシ基、トリコシルオキシ基、テトラコシルオキシ基、ペンタコシルオキシ基、ヘキサコシルオキシ基、ヘプタコシルオキシ基、オクタコシルオキシ基、トリアコンチルオキシ基などが挙げられる。
上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物は、数平均分子量は100〜5万であることが好ましい。数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によって測定することができる。
本発明では、得られるガスバリア層としての緻密性の観点からは、R1、、及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のアクアミカ NN120−10、アクアミカ NN120−20、クラリアントジャパン(株)製のトゥットプロムシリーズなどが挙げられる。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによる膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照)等が挙げられる。または、ポリシラザンは、市販品を使用してもよい。
ポリシラザン含有の塗布液中には、酸化ケイ素化合物への転化を促進するため、アミンや金属の触媒を添加することもできる。このような触媒を添加したポリシラザン化合物の塗布液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のアクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
塗布液を調製するのに用いることのできる有機溶媒としては、具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒や、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。詳しくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリコロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザン化合物の材料の溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。しかし、ポリシラザンと容易に反応するようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは好ましくない。塗布液中における材料濃度は、膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度であることが好ましい。
塗膜を形成するには、簡便な方法として、塗布液を用いた従来公知の薄膜形成方法が使用できる。典型的には、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、プレートコート法、バーコート法、ディップコート法等のウェットコート法が挙げられる。
さらに、ポリシラザンを改質処理して平滑層とするためには、真空紫外光照射を行うことができる。真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を低く保つことができる。さらには始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
また、エキシマ発光を得るには、誘電体バリア放電を用いる方法が知られている。誘電体バリア放電とは、両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加することによりガス空間に生じる、雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電で、micro dischargeのストリーマが管壁(誘電体)に達すると誘電体表面に電荷が溜まるため、micro dischargeは消滅する。このmicro dischargeが管壁全体に広がり、生成・消滅を繰り返している放電である。このため肉眼でも分る光のチラツキを生じる。また、非常に温度の高いストリーマが局所的に直接管壁に達するため、管壁の劣化を早める可能性もある。
効率よくエキシマ発光を得る方法としては、誘電体バリア放電以外には無電極電界放電でも可能である。容量性結合による無電極電界放電で、別名RF放電とも呼ばれる。ランプと電極及びその配置は、基本的には誘電体バリア放電と同じでよいが、両極間に印加される高周波は数MHzで点灯される。無電極電界放電はこのように空間的にまた時間的に一様な放電が得られるため、チラツキがない長寿命のランプが得られる。
誘電体バリア放電の場合は、micro dischargeが電極間のみで生じるため、放電空間全体で放電を行わせるには外側の電極は外表面全体を覆い、かつ外部に光を取り出すために光を透過するものでなければならない。このため細い金属線を網状にした電極が用いられる。この電極は光を遮らないようにできるだけ細い線が用いられるため、酸素雰囲気中では真空紫外光により発生するオゾン等により損傷しやすい。
これを防ぐためにはランプの周囲、すなわち照射装置内を窒素等の不活性ガスの雰囲気にし、合成石英の窓を設けて照射光を取り出す必要が生じる。合成石英の窓は高価な消耗品であるばかりでなく、光の損失も生じる。
二重円筒型ランプは外径が25mm程度であるため、ランプ軸の直下とランプ側面では照射面までの距離の差が無視できず、照度に大きな差を生じる。従って仮にランプを密着して並べても、一様な照度分布が得られない。合成石英の窓を設けた照射装置にすれば酸素雰囲気中の距離を一様にでき、一様な照度分布が得られる。
無電極電界放電を用いた場合には、外部電極を網状にする必要はない。ランプ外面の一部に外部電極を設けるだけでグロー放電は放電空間全体に広がる。外部電極には、通常アルミのブロックで作られた光の反射板を兼ねた電極がランプ背面に使用される。しかし、ランプの外径は誘電体バリア放電の場合と同様に大きいため一様な照度分布にするためには合成石英が必要となる。
細管エキシマランプの最大の特徴は、構造がシンプルなことである。石英管の両端を閉じ、内部にエキシマ発光を行うためのガスを封入しているだけである。従って、非常に安価な光源を提供できる。
二重円筒型ランプは、内外管の両端を接続して閉じる加工をしているため、細管ランプに比べ取り扱いや輸送で破損しやすい。細管ランプの管の外径は6〜12mm程度で、あまり太いと始動に高い電圧が必要になる。
上記のポリシラザンの他には、平滑層の形成に感光性樹脂を用いることもできる。感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。
[第一および第二の電極]
第一の電極および第二の電極は、少なくとも一方が金属透明導電層からなる透明電極で構成されることが好ましい。金属透明導電層は、光透過性を保てる程度、かつ、照射された光がプラズモン損失されない程度に極薄い金属膜である。さらに、金属透明導電層は、導電性を有する程度に連続した金属膜である。具体的には、波長550nmにおける光透過率が60%以上であり、膜厚が1〜30nmであり、シート抵抗が0.0001〜50Ω/□、好ましくは0.01〜30Ω/□である。
第一の電極が発光ユニットの陽極として用いられる場合は、第二の電極である陰極よりも仕事関数の大きい金属により金属透明導電層が構成される。一方、第一の電極が発光ユニットの陰極として用いられる場合は、第二の電極の陽極よりも仕事関数の小さい金属により金属透明導電層が構成される。
例えば、第一の電極を陽極とし、第二の電極を陰極とした場合には、第二の電極をアルミニウム等により形成し、第一の電極である陰極として銀又は銀を主成分とした合金により金属透明導電層を形成することができる。銀又は銀を主成分とした合金を用いた金属透明導電層は、窒素原子を含んだ化合物を用いた窒素含有層の上に隣接して積層されることが好ましい。例えば、平滑層上に窒素含有層を介して金属透明導電層が積層され、第一の電極が形成されうる。
(金属透明導電層)
金属透明導電層は、銀又は銀を主成分とする合金を用いて構成された層であって、窒素含有層に隣接して成膜された層である。このような金属透明導電層の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また、金属透明導電層は、窒素含有層上に成膜されることにより、成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ってもよい。
金属透明導電層が銀で構成される場合には、銀の純度が99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)、金(Au)等が添加されていてもよい。
金属透明導電層が銀を主成分とする合金から構成される場合には、銀の含有率が50%以上であることが好ましい。このような合金の一例として、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、銀金(AgAu)、銀アルミ(AgAl)、銀亜鉛(AgZn)、銀錫(AgSn)、銀白金(AgPt)、銀チタン(AgTi)、銀ビスマス(AgBi)等が挙げられる。
また、以上のような金属透明導電層は、銀又は銀を主成分とする合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。つまり、銀の層と、合金の層とが交互に複数回積層された構成であってもよく、又は異なる合金の層が複数層積層された構成であってもよい。また、金属透明導電層が2層構造である例として、窒素含有層上にアルミニウム(Al)の層を介して銀の層を積層した構成が挙げられる。このアルミニウムの層は連続膜ではなく、島状や孔を有する層であってもよい。この場合には、銀の層の一部が窒素含有層に隣接して設けられる。このように、窒素含有層と銀を主成分とする膜との間に他の金属を挟んだ構成であってもよい。
金属透明導電層は、膜厚が1〜30nmの範囲にあることが好ましく、2〜20の範囲にあることがより好ましく、特に、4〜12nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が上記範囲以下であることにより、層の吸収成分又は反射成分が低く抑えられ、光透過率が維持されるため好ましい。また、膜厚が上記範囲以上であることにより、導電性も確保される。
第二の電極は、典型的には発光ユニットに正孔を供給するための陽極として機能する電極膜である。その材料としては、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
第二の電極は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、第二の電極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
(窒素含有層)
窒素含有層は、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層であり、金属透明導電層に隣接して設けられる。窒素含有層は、薄膜層12上に成膜される場合、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法等によって形成される。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
窒素含有層を構成する窒素原子を含んだ化合物は、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば、特に限定はないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
[発光ユニット]
発光ユニットは、全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造を有していてよい。一例として、陽極となる第二の電極側から順に、「正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層」を積層した構成が例示される。この構成のうち、少なくとも有機材料を用いた発光層を有することが必須である。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送/注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送/注入層として設けられてもよい。また発光ユニットを構成する各層のうち、例えば電子注入層は無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニットは、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてよい。また、発光層が、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、各色発光層を非発光性の中間層を介して積層させて、発光層ユニットが形成されていてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。以下、発光ユニットを構成する各層について、発光層、注入層、正孔輸送層、電子輸送層、阻止層の順に説明する。
(発光層)
発光ユニットに用いられる発光層は、発光材料として燐光発光化合物が含有されている。この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の厚さの総和は、1〜100nmの範囲にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから20〜80nmがさらに好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
複数層を積層した構成の発光層の場合、個々の発光層の厚さとしては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合は、青、緑、赤の各発光層の厚さの関係について特に制限されない。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
また発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、燐光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(ホスト化合物)
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに燐光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、或いは、複数種のホスト化合物を用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移点)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
以下に、発光ユニット14に適用可能なホスト化合物の具体例として、H1〜H79を示すが、これらに限定されない。なお、ホスト化合物H68〜H79において、x及びyはランダム共重合体の比率を表す。その比率は、例えば、x:y=1:10などとすることができる。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(発光材料)
発光ユニットの発光層に用いられる発光材料としては、燐光発光性化合物(燐光性化合物、燐光発光材料ともいう)が挙げられる。燐光発光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、発光層に燐光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されていればよい。
燐光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光性化合物に移動させることで燐光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つは、燐光発光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり燐光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、燐光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
燐光発光性化合物は、一般的な有機電界発光素子の発光層に使用される公知の化合物の中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
発光ユニットの発光層においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の燐光発光性化合物を含有していてもよく、発光層における燐光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。燐光発光性化合物は好ましくは発光層の総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
(一般式(7)で表される化合物)
発光層に含まれる化合物(燐光発光性化合物)は、下記一般式(7)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(7)で表される燐光発光性化合物(燐光発光性の金属錯体ともいう)は、有機電界発光素子の発光層に発光ドーパントとして含有されることが好ましい態様であるが、発光層以外の発光ユニットに含有されていてもよい。
上記一般式(7)中、P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A2はQ−Nと共に芳香族複素環を形成する原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
そして、一般式(7)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わった構造を有する。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、A2が、Q−Nと共に形成する芳香族複素環としては、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(7)において、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(7)において、M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム好ましい。
(一般式(8)で表される化合物)
一般式(7)で表される化合物の中でも、下記一般式(8)で表される化合物であることがさらに好ましい。
上記一般式(8)式中、Zは、炭化水素環基又は複素環基を表す。P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A3は−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−又はN=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子又は置換基を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(8)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(8)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わった構造を有する)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
好ましくは、Zで表される基は芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基である。
一般式(8)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(8)において、A1がP−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わった構造を有する。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(8)のA3で表される、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−において、R01、R02で各々表される置換基は、一般式(1)において、R11で表される置換基と同義である。
一般式(8)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
また、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(8)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)は、一般式(7)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
(一般式(9)で表される化合物)
上記一般式(8)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(9)式中、R03は置換基を表し、R04は水素原子又は置換基を表し、複数のR04は互いに結合して環を形成してもよい。n01は1〜4の整数を表す。R05は水素原子又は置換基を表し、複数のR05は互いに結合して環を形成してもよい。n02は1〜2の整数を表す。R06は水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。n03は1〜4の整数を表す。Z1はC−Cと共に6員の芳香族炭化水素環、若しくは、5員又は6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Z2は炭化水素環基又は複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。R03とR06、R04とR06及びR05とR06は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(9)において、R03、R04、R05、R06で各々表される置換基は、一般式(1)において、R11で表される置換基と同義である。
一般式(9)において、Z1がC−Cと共に形成する6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(9)において、Z1がC−Cと共に形成する5員又は6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。これらの環はさらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(9)において、Z2で表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(9)において、Z2で表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でもよく、また、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わった構造を有する)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。これらの環は無置換でもよく、さらに、一般式(1)において、R11で表される置換基を有してもよい。
一般式(9)において、Z1及びZ2で形成される基としては、ベンゼン環が好ましい。
一般式(9)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(7)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(9)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(7)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
また、燐光発光性化合物は、有機電界発光素子の発光層に使用される公知の化合物の中から適宜選択して用いることができる。
燐光発光性化合物は、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
燐光発光性化合物の具体例(Pt−1〜Pt−3、A−1、Ir−1〜Ir−50)を以下に示すが、これらに限定されない。なお、これらの化合物において、m及びnは繰り返し数を表す。
上記の燐光発光性化合物(燐光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその厚さは1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有し、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記の材料を使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する構造、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又は、これらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。正孔輸送層としては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を適用することができる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層、及び積層構造の電子輸送層において発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。このような材料としては、従来公知の任意の化合物の中から選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されていても、電子輸送層の材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層の材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成が挙げられる。さらに電子輸送層には、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層の材料(電子輸送性化合物)として、上述した窒素含有層と同様の材料を用いてもよい。これは、電子注入層を兼ねた電子輸送層であっても同様であり、上述した窒素含有層と同様の材料を用いてもよい。
(阻止層:正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、上述の有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。正孔阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
[封止剤]
発光ユニットは、封止剤を用いて、後述の第二の樹脂基材で第一の電極上に封止する。第二の樹脂基材は、その機能の面から封止部材とも称し、封止剤は封止部材を第一の電極に接着する役割も果たす。
封止剤は第二の樹脂基材を第一の電極上に接着できれば特に制限はなく、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型樹脂、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の樹脂(接着剤)を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂を挙げることができる。
このうち、封止剤としては、熱硬化型樹脂であることが好ましい。熱硬化型樹脂は、例えば紫外線硬化型樹脂と比較すると、OLED素子を製造する際の製造設備が簡単で製造工程も簡便であるため、より量産に適しているためである。熱硬化型樹脂としては、加熱により硬化する樹脂であればいずれも用いることができ、たとえば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を成分として含む樹脂(接着剤)を用いることができる。なお、OLED素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できる接着剤が好ましい。
また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。第二の樹脂基材への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
封止部材16と有機EL素子10の表示領域との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、封止部材16と有機EL素子10の表示領域との間隙を真空とすることや、間隙に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
[第二の樹脂基材]
第二の樹脂基材は、本発明では、前述の平滑層と共に膜厚を制御し、OLED素子全体の反りや膜剥がれを防止する。第二の樹脂基材の膜厚Bは、上述した通り15μm<B<100μmである。第二の樹脂基材が15μmを下回ると、熱による反りは低減されるが、素子が外部の圧力に弱くなり、その結果ダークスポットが多くなる。一方、第二の樹脂基材が100μmを上回ると、各層間の接着バランスがずれることにより、屈曲の際に膜剥がれが発生しやすくなる。
第二の樹脂基材としては、基本的には第一の樹脂基材と同様の材料を使用することができる。すなわち、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名 JSR社製)及びアペル(商品名 三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを用いることができる。これらの樹脂はいずれを用いてもよいが、本発明の所期の目的を達成するためには、PETがより好ましい。
また、第二の樹脂基材は封止部材として機能するため、発光ユニットの表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に限定されない。第二の樹脂基材を凹状の封止部材として用いる場合、第二の樹脂基材を凹状に加工するには、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。また、第二の樹脂基材は、第二の電極側に金属フィルムを備えていてもよい。
また、発光ユニットを挟み第二の樹脂基材と対向する側の第二の電極の外側に、第二の電極と発光ユニットを被覆し、第二の樹脂基材と接する形で無機物、有機物の層を形成して封止膜とすることも好適にできる。この場合、封止膜を形成する材料としては、OLED素子を劣化させる、水分や酸素等の浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造をもたせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
さらに、第二の樹脂基材は酸素透過度10−3g/(m・day)以下、水蒸気透過度10−3g/(m・day)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・day)以下であることがさらに好ましい。
[その他の層]
本発明のOLED素子は、平滑層と第二の樹脂基材との膜厚の規定により、素子の反りや膜剥がれ防止の効果が得られる範囲で、上記した以外に任意の層を含んでいてもよい。例えば、第一の樹脂基材とバリア層との間、平滑層と第一の電極との間に、それぞれの層の密着性の向上を目的として下地層を形成してもよい。さらに、第一の樹脂基材中から未反応のオリゴマーなどが表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、第一の樹脂基材のバリア層が形成される面とは反対側の面にブリードアウト層を設けてもよい。
下地層としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及びアルキルチタネート等が挙げられる。これらは単独でも、1又は2種以上併せて使用してもよい。
ブリードアウト防止層としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する光重合性モノマー組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する光重合性モノマー組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた光重合性モノマー組成物等を硬化させた膜が挙げられる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例には限定されない。
〈OLED素子サンプル101の作製 比較例1−1〉
1.基材
基材として、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、厚み:100μm、幅:350mm、帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)を60mm×60mmに裁断して用いた。
2.下地層形成
基材の易接着面に、UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501(JSR株式会社製)を乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した。80℃で3分乾燥した後、空気雰囲気下にて高圧水銀ランプ使用して1.0J/cmの照射を行って硬化し、下地層を形成した。
このときの下地層の表面粗さを表す最大断面高さRt(p)は16nmであった。なお、表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡 AFM:Digital Instruments社製)を用い、30μmの区間内を多数回測定し、凹凸の振幅の平均の粗さから求めた。
3.バリア層形成
第一の樹脂基材を上述した図4に記載の製造装置であるプラズマCVD装置に装着して、下記製膜条件(プラズマCVD条件)にて上記下地層を形成した基材上に、バリア層を300nmの厚さで作製した。
(製膜条件)
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min。
4.平滑層形成
(ポリヒドロキシエチルメタアクリレート(分子量2万)塗布液)
ポリヒドロキシエチルメタアクリレート(分子量2万)の10質量%イソプロピルアルコール溶液を、塗布液とした。
(ポリヒドロキシエチルメタアクリレート層の形成)
上記塗布液をワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で10分間処理して乾燥させて、平滑層を作成した。
4.第1電極形成
上記平滑層が形成された基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる第1電極層を8nmの膜厚で形成した。
5.発光ユニット〜第2電極〜封止部材の形成
引き続き、市販の真空蒸着装置を用い、真空度1×10−4Paまで減圧した後、透明支持基板を移動させながら化合物HT−1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
次いで、化合物A−3(青色発光ドーパント)、化合物A−1(緑色発光ドーパント)、化合物A−2(赤色発光ドーパント)及び化合物H−1(ホスト化合物)を、化合物A−3が膜厚に対し線形に35重量%から5重量%になるように場所による蒸着速度を変化させ、化合物A−1と化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.2重量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H−1は64.6重量%から94.6重量%になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
その後、化合物ET−1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、更にフッ化カリウム(KF)を厚さ2nmで形成した。更に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
なお、上記化合物HT−1、化合物A−1〜3、化合物H−1、化合物ET−1及びKFは、以下に示す化合物である。
[封止]
陰極までを作製した試料を、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートに20μmのアルミ箔を貼りつけた封止材の片面に熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ30μmで塗設してある封止部材を用いて、素子の第1電極、第2電極の引き出し電極の端部が外にでるように、封止部材の接着剤面と素子の有機機能層面を連続的に重ね合わせ、ドライラミネート法により接着を行った。
上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。なお、陽極、陰極からの引き出し配線等の形成に関する記載は省略してある。
(XPSデータ)
下記条件にてXPSデプスプロファイル測定を行い、膜厚方向のバリア層の表面からの距離における、ケイ素元素分布、酸素元素分布、炭素元素分布および窒素炭素分布を得た。
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチングレート(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名「VG Theta Probe」
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形
屈折率測定には分光エリプソメーター(日本分光社製 ELC−300)を用いて薄膜中の屈折率分布を測定した。
こうして評価したデータをもとに、バリア層の表面からの距離を横軸にケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び窒素分布曲線をそれぞれ図2に示す。図2に示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、窒素分布曲線から、炭素分布曲線を拡大して図3に示す。図2から分かるように、バリア層は膜厚の90%以上の領域において、(酸素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(炭素の原子比)の関係を満たしていた。
得られた炭素分布曲は、複数の明確な極値を有し、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であった。
次に、表1に記載のように平滑層の膜厚Aと封止材の第二の樹脂基材の膜厚Bのみを変えて、試料101〜試料120(実施例1−4〜1−15および比較例1−1〜8)を作製した。
[評価方法]
(1)リーク電流
定電圧電源を用いて、逆方向の電圧(逆バイアス)を5Vを5秒間印加し、その時有機EL素子に流れる電流を測定した。サンプル10枚の発光領域について測定を行い、最大電流値をリーク電流とした。平滑層が薄いと、バリア層の凹凸が平たんにならないことにより、リークやダークスポットが発生する。
<リーク電流特性の評価ランク>
◎:最大電流値が1×10−6A未満
○:最大電流値が1×10−6A以上、1×10−5A未満
△:最大電流値が1×10−5A以上、1×10−3A未満
×:最大電流値が1×10−3A以上。
(2)ダークスポット(スポット状の非発光部)
東洋テクニカ(株)製 ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧5Vを有機EL素子に印加し発光させた。この際、100cd/mで発光させた時のダークスポットの数(1画素(50μm×150μm)相当分の数)を100倍のルーペを使用し目視で計測した。
<ダークスポットの評価ランク>
◎:ダークスポットの発生がない。
○:ダークスポットが1個以上、5個未満
△:ダークスポットが5個以上、20個未満
×:ダークスポットが20個以上。
(3)反り
試料を温度80℃湿度80%RHの条件下に100時間投入し、投入後温度25℃湿度20%の雰囲気下で封止材を上に向けて試料を水平な台上に凸面を下にして置く。試験片の四つ角と台との距離を測定し、その算術平均値を反りとして、測定した。
<反りの評価ランク>
◎:反りが0mm以上1mm未満
○:反りが1mm以上2mm未満
△:反りが2mm以上5mm未満
×:反りが5mm以上。
(4)屈曲テスト
発光素子を、半径が10mmの曲率になるように、180度の角度で100回の屈曲を繰り返した後、直流電圧5Vを有機EL素子に印加し発光させ、マイクロスコープ(モリテックス社製MS−804、レンズMP−ZW25−200)で発光面積を測定し、Win Roof(三谷商事製)を用いて画像解析を行い、初期発行面積に対する非発光面積の割合を測定した。平滑層が厚いと脆くなり、屈曲させた時に膜が破損して、ダークスポットが発生する。
<屈曲テストの評価ランク>
◎:0%(ダークスポットの発生がない。)
○:0%以上1%未満
△:1%以上2%未満
×:2%以上
<実施例2>
〈OLED素子サンプル201の作製 実施例2−1〉
下地層を形成後のバリア層の製膜条件を下記のように変更した以外は、OLED素子サンプル104と同様にOLED素子サンプル201を作製した。
(製膜条件)
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:1.2m/min
この時、得られた炭素分布曲線は、複数の明確な極値を有しており、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が8.5at%であった。
上記のように作製した実施例2−1のサンプルについて、実施例1−4と同様に評価した。評価結果は、比較のための試料104と共に下記の表4に示す。
<実施例3>
〈OLED素子サンプル301の作製 実施例3−1〉
バリア層形成後に、以下の平滑層を形成した以外は、OLED素子サンプル104と同様にOLED素子サンプル301を作製した。
[平滑層]
(ポリシラザン層塗布液)
パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を、ポリシラザン層塗布液とした。
(ポリシラザン層の形成)
ポリシラザン層塗布液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が100nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
(平滑層の形成:紫外光によるポリシラザン層のシリカ転化処理)
次に、形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線装置の真空チャンバー内に設置して、シリカ転化処理を実施した。
(紫外線照射装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基材に対し、以下の条件で改質処理を行って、ガスバリア層を形成した。
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒。
[評価結果]
上記のように作製した実施例3−1のサンプル301について、実施例1−4と同様に評価した。評価結果は、比較のための試料104と共に下記の表5に示す。
<実施例4>
OLED素子サンプル104の陰極までを作製した試料を、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートに20μmのアルミ箔を貼りつけた部材の片面にUV光硬化型の液状接着剤(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を厚さ30μmで塗設してある封止部材を用いて、素子の第1電極、第2電極の引き出し電極の端部が外にでるように、封止部材の接着剤面と素子の有機機能層面を連続的に重ね合わせて接着を行い、試料401を作成した。
実施例1と同様な評価を行ったところ、熱硬化型の接着剤よりも光硬化型の方は、若干反りが小さいことが分かった。したがって、熱硬化型樹脂を用いた場合には、本発明の効果がより大きいことがわかる。
1 第一の樹脂基材、
2 バリア層、
3 平滑層
4 第一の電極、
5 発光ユニット、
6 第二の電極、
7 封止剤、
8 第二の樹脂基材、
9 金属層、
10 OLED素子、
30 製造装置、
31 送り出しロール、
32、33、34、35 搬送ロール、
36、37 成膜ロール
38 ガス供給管、
39 プラズマ発生用電源、
40 第一の樹脂基材、
41、42 磁場発生装置、
43 巻き取りロール。

Claims (3)

  1. 第一の樹脂基材と、
    前記第一の樹脂基材上に配置されたバリア層と、
    前記バリア層上に配置された平滑層と、
    前記平滑層上に配置された発光ユニットと、
    前記発光ユニットを封止剤により封止した第二の樹脂基材と、を有し、
    前記平滑層の膜厚をAnmとし、前記第二の樹脂基材の膜厚をBμmとしたとき、
    0.001B≦A≦0.07B、15μm≦B≦100μm、100nm≦A≦1000nmを満たし、
    前記平滑層が、ポリシラザンを含む膜の改質膜であり、
    前記封止剤が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を成分として含む樹脂(接着剤)である有機発光ダイオード素子。
  2. 前記バリア層が、ケイ素、酸素及び炭素を含有しており、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子の量の比率(ケイ素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示すケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、
    下記条件(i)〜(iii):
    (i)ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
    (酸素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
    で表される条件を満たすこと、または、ケイ素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
    (炭素の原子比)>(ケイ素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
    で表される条件を満たすこと、
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
    を満たす請求項1に記載の有機発光ダイオード素子。
  3. 前記封止剤は熱硬化型樹脂である請求項1または2に記載の有機発光ダイオード素子。
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