JP6055666B2 - 新規スルホニウム塩、その製造方法、及び、光酸発生剤 - Google Patents

新規スルホニウム塩、その製造方法、及び、光酸発生剤 Download PDF

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Description

本発明は、新規なスルホニウム塩化合物、その製造方法、及び、前記スルホニウム塩を含有する光酸発生剤に関する。
従来、スルホニウム塩化合物は、種々の用途に適用されており、例えば、化学増幅レジスト材料に用いられる光酸発生剤に適用されている。化学増幅レジスト材料は、樹脂と光酸発生剤と溶媒とを含有している。この化学増幅レジスト材料が塗布された後、塗布された化学増幅レジストパターンの所望の領域に電子線またはX線等の放射線が照射されることによって、照射された放射線に光酸発生剤が感応して酸が発生し、発生した酸によって樹脂の溶解度が変更されて、集積回路を作成するためのレジストパターンが形成されるようになっている。
また、近年、集積回路が微細化されており、微細化されたレジストパターンを形成するために、解像度と、鋭いエッジを有するパターンの形成(パターンプロファイル)に優れた光酸発生剤が要望されている。解像性とパターンプロファイルに影響を及ぼす因子としては、光酸発生剤の酸拡散長が挙げられ、かかる酸拡散長が大きい場合には、解像度及びパターンプロファイルの精度が低下することが、一般に知られている。
そこで、光酸発生剤のアニオンとして体積が比較的大きなアニオンを採用したり、アニオンへ極性基を導入したりすることによって、上記酸拡散を抑制する技術が提案されている(非特特許文献1)。しかし、これらの方法は、アニオンの酸性度や物性に影響を与えるため、所望するアニオンの酸性度や物性が得られないことがある。
そこで、光酸発生剤として、2種類のスルホニウム塩化合物を含有し、一方のスルホニウム塩化合物が比較的強酸のアニオンを有するもの(例えばフッ素置換されたスルホニルイミド)であり、他方のスルホニウム塩化合物が比較的弱酸のアニオンを有するもの(例えばフッ素置換されていないスルホン酸やカルボン酸)であるように構成されたものが提案されている(特許文献1参照)。かかる光酸発生剤によれば、放射線照射により、比較的強酸のアニオンを有するスルホニウム塩化合物から生じた強酸が、未反応の、比較的弱酸のアニオンを有するスルホニウム塩化合物と衝突し、この衝突によって塩交換が生じる。その結果、弱酸が放出される一方で、放出された強酸がスルホニウム塩化合物の一部として取り込まれる。このように、放射線照射によって発生した強酸が、より触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して、酸拡散の抑制が行われることとなる。
また、比較的弱酸のアニオンを有するスルホニウム塩化合物として、10−カンファースルホン酸アニオンを有するスルホニウム塩化合物が提案されている(特許文献2)。10−カンファースルホン酸アニオンは、かさ高い構造を有するため、拡散性が低い。従って、かかるスルホニウム塩化合物によれば、上記酸拡散を抑制することが可能となる。しかし、かかるスルホニウム塩化合物は、一般的に、化学増幅レジスト材料に汎用されているプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)に対する溶解度が十分とはいえない。
一方、光酸発生剤を用いた厚膜レジストパターンの形成では、放射線として、波長365nmを有するi線の光が広く用いられている。その理由として、廉価でありながら良好なi線の発光強度が得られる高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の光源が利用できることが挙げられる。また、近年、i線領域(360〜390nm)に発光波長を有するLEDランプが普及しつつあることも挙げられる。かかるi線に対する感応性を示す指標の一つとしては、365nm(i線)における分子吸光係数(ε)が挙げられる。
このようなことから、光酸発生剤には、i線に対して十分に高い感応性を示すことも要望されている。
ところが、i線における分子吸光係数(ε)が大きくなることだけでは必ずしも感応性の向上に結びつくとは限らない。例えば、チオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩化合物(特許文献3)が提案されているが、かかるスルホニウム塩化合物は、365nm(i線)に於ける分子吸光係数(ε)が大き過ぎるため、塗布されたレジスト材料の表面側で多くの光が吸収される結果、深部まで光が透過せず、かえって酸発生効率が低下し易くなる。
そこで、例えば、化学増幅型レジスト用光酸発生剤として有用なスルホニウム塩化合物として、カチオン基にナフタレン環を有するものが提案されている(特許文献4〜6参照)。
JSR TECHNICAL REVIEW No.118 p.8−13 (2011)
特開2008−7410号公報 特開2010−215608号公報 特開平8−165290号公報 特開2004−334060号公報 特開2006−276755号公報 特開2010−256168号公報
しかし、ナフタレン環をスルホニウム塩化合物に導入することで、365nmにおけるモル吸光係数は改善されるものの、該スルホニウム塩化合物が光を吸収しても蛍光発光して失活するおそれがあり、大幅に感度が向上するとはいえない。このように、レジストパターンの生産性を向上させるために、放射線に対する更なる感度の向上が要望されている。また、短時間の光照射により分解して効率的に酸が発生するスルホニウム塩化合物も要望されている。
本発明の課題は、従来よりも効率的に酸が発生し、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解し、しかも、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに発生する酸の拡散を抑制可能な、新規なスルホニウム塩化合物、その製造方法及び光酸発生剤を提供することである。
本願発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、カチオン部分がナフチル基を有するスルホニウムカチオン構造を有し、アニオン部分がスルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオン構造を有する下記の化学式(I)で表されるスルホニウム塩化合物が、従来よりも効率的に酸が発生し、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解し、しかも、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに発生する酸の拡散を抑制し得ることを見出し、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るスルホニウム塩化合物は、下記一般式(I)で示される。
Figure 0006055666
(式中、R1およびR2は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示し、R3およびR4は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、X-は、スルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオンを示す。ここにおいて、R3OおよびR4Oで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置である。)
かかる構成によれば、放射線、特にi線領域の放射線に対する感度が従来よりも高いため、短時間の光照射により分解して従来よりも効率的に酸が発生することが可能となる。また、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解する。特に、レジスト材料の汎用溶媒であるPGMEAに対して良好な溶解度を有する。さらに、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに酸の拡散を抑制し得る。
本発明に係るスルホニウム塩化合物においては、
1及びR2が、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
3及びR4が、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
本発明に係るスルホニウム塩化合物においては、
-は、下記一般式(II)又は(III)で示されることが好ましい。
Figure 0006055666
(式中、R5はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
Figure 0006055666
(式中、R6はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
本発明に係るスルホニウム塩化合物においては、
-が、前記一般式(II)で示され、
5が、アダマンチル基または2−オキソボルニル基であることが好ましい。
本発明に係るスルホニウム塩化合物においては、
5が、2−オキソボルニルであることが好ましい。
本発明に係る光酸発生剤は、前記スルホニウム塩化合物を含有する。
本発明に係るスルホニウム塩化合物の製造方法は、
以下の工程(a)、(b)を備えている:
(a)下記一般式(IV)
Figure 0006055666
(式中、R1及びR2は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。)で示されるスルホキシド化合物と、
下記式(V)
Figure 0006055666
(式中、R3及びR4は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。ここにおいて、R3OおよびR4Oで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置である。)で示されるナフタレン化合物とを脱水縮合させる工程、
(b)前記脱水縮合させる工程によって得られた脱水縮合物と、
一般式X-+
(式中、X-は、下記一般式(II)または(III)で示され、Y+は、アルカリ金属イオンまたは水素イオンを示す。)
Figure 0006055666
(式中、R5はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
Figure 0006055666
(式中、R6はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)で示される塩化合物または酸化合物とを反応させて、下記一般式(I)
Figure 0006055666
(式中、R1及びR2は、前記一般式(IV)において定義されたものと同じものを示し、R3及びR4は、前記一般式(V)において定義されたものと同じものを示し、X-は、前記一般式X-+において定義されたものと同じものを示す。)で示されるスルホニウム塩化合物を生成させる工程。
以上の通り、本発明によれば、従来よりも効率的に酸が発生し、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解し、しかも、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに酸の拡散を抑制可能な新規なスルホニウム塩化合物、その製造方法及び光酸発生剤が提供される。
以下に、本発明に係るスルホニウム塩化合物の実施形態について説明する。
本発明のスルホニウム塩化合物は、下記構造式(I)にて示される。
Figure 0006055666
(式中、R1およびR2は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示し、R3およびR4は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、X-は、スルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオンを示す。ここにおいて、R3OおよびR4Oで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置である。)
炭素原子数1〜18のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基及びオクタデシル基等が挙げられ、これらのうち、特にブチル基が好ましい。
1およびR2で示される置換基のうち、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましく、それぞれ同一又は異なったブチル基がさらに好ましく、両方ともブチル基が特に好ましい。
3およびR4で示される置換基のうち、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましく、それぞれ同一又は異なったブチル基がより好ましく、両方ともブチル基が特に好ましい。
3およびR4の置換位置は、ナフチル基のそれぞれ2〜8位の任意の位置のうち、それぞれ2位および7位の置換位置が好ましい。
上記のように、カチオンとしては、ジブチル(2,7−ジブトキシナフタレン−1−イル)スルホニムカチオンが、特に好ましい。
-は、スルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオンを示す。かかるX-は、下記一般式(II)で示されるスルホン酸アニオン、または、下記一般式(III)で示されるカルボン酸アニオンが好ましい。
Figure 0006055666
(式中、R5はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
Figure 0006055666
(式中、R6は、アダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
上記したような置換基を有する、X-で示されるアニオンとしては、例えば、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸アニオン、(±)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸アニオン、(−)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸アニオン、(+)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸アニオン、(−)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸アニオン、(±)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸アニオン、1−アダマンタンカルボン酸アニオン、2−アダマンタンカルボン酸アニオン、1−アダマンタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
また、上記一般式(II)においては、R5が2−オキソボルニル基であることが好ましい。
2−オキソボルナンは、IUPAC命名法では、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンと命名されるので、以下においては2−オキソボルナンに相当する構造を、IUPAC命名法で命名している場合がある。
上記より、X-で示されるアニオンとしては、(±)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸アニオンが更に好ましく、(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸アニオンが、特に好ましい。
また、上記一般式(I)で示されるスルホニル塩化合物としては、
1およびR2が、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
3およびR4が、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
3およびR4の置換位置が、ナフチル基の2位及び7位の置換位置であり、
-が、上記一般式(II)で示されるスルホン酸アニオンであって、R5が、アダマンチル基または2−オキソボルニル基であることが好ましい。
また、上記一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物としては、
1およびR2が、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
3およびR4が、それぞれ同一又は異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
3およびR4の置換位置が、ナフチル基のそれぞれ2位及び7位の置換位置であり、
-が、上記一般式(II)で示されるスルホン酸アニオンであって、R5が、2−オキソボルニル基であることが、より好ましい。
また、上記一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物としては、1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム (±)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートが更に好ましく、1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートが特に好ましい。
続いて、本実施形態の上記一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物の製造方法について説明する。該スルホニウム塩化合物は、例えば、下記に示されるスルホキシド化合物、ナフタレン化合物、及びX-+で示される化合物を原料として製造される。
具体的には、上記の化学式(I)で表されるスルホニウム塩化合物の製造に用いられるスルホキシド化合物は、例えば、下記式(IV)で示される。
Figure 0006055666
(式中、R1及びR2は、上記と同様であり、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。)
上記化学式(IV)で表されるスルホキシド化合物の具体例としては、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジペンチルスルホキシド、ジヘキシルスルホキシド、ジヘプチルスルホキシド、ジオクチルスルホキシド、ジノニルスルホキシド、ジドデシルスルホキシド、イソプロピルメチルスルホキシド、メチルプロピルスルホキシド、ブチルエチルスルホキシド、メチルオクチルスルホキシド等が挙げられる。これらのうち、上記スルホキシド化合物は、ジブチルスルホキシドが好ましい。
前記スルホキシド化合物は、市販されているものをそのまま使用しても良いし、適宜製造したものを使用しても良い。前記スルホキシド化合物の製造方法としては、特に限定さるものではないが、例えば、Tetrahedron, 57, 2469(2001)及びMolecules 12, 304(2007)に記載されている方法等の公知の方法を参考にして、前記スルホキシド化合物を製造することができる。
上記の化学式(I)で表されるスルホニウム塩化合物の製造に用いられるナフタレン化合物は、例えば、下記一般式(V)で示される。
Figure 0006055666
(式中、R3及びR4は、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。ここにおいて、R3OおよびR4Oで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置である。)
上記一般式(V)で示されるナフタレン化合物は、市販されているものをそのまま使用しても良いし、適宜製造したものを使用しても良い。前記ナフタレン化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、J. Comb. Chem., 6, 497(2004)及びJournal of Organic Chemistry.,70, 1115-1121(2005)に記載されている方法等の公知の方法を参考にして、前記ナフタレン化合物を製造することができる。
前記ナフタレン化合物の例としては、1,5−ジエトキシナフタレン、1,5−ジプロポキシナフタレン、1,5−ジイソプロポキシナフタレン、1,5−ジブトキシナフタレン、1−エトキシ−5−メトキシナフタレン、1−メトキシ−5−プロポキシナフタレン、1−イソプロポキシ−5−メトキシナフタレン、1−ブトキシ−5−メトキシナフタレン、1,6−ジエトキシナフタレン、1,6−ジプロポキシナフタレン、1,6−ジイソプロポキシナフタレン、1,6−ジブトキシナフタレン、6−エトキシ−1−メトキシナフタレン、1−メトキシ−6−プロポキシナフタレン、6−イソプロポキシ−1−メトキシナフタレン、6−ブトキシ−1−メトキシナフタレン、1,7−ジエトキシナフタレン、1,7−ジプロポキシナフタレン、1,7−ジイソプロポキシナフタレン、1,7−ジブトキシナフタレン、7−エトキシ−1−メトキシナフタレン、1−メトキシ−7−プロポキシナフタレン、7−イソプロポキシ−1−メトキシナフタレン、7−ブトキシ−1−メトキシナフタレン、2,7−ジエトキシナフタレン、2,7−ジプロポキシナフタレン、2,7−ジイソプロポキシナフタレン、2,7−ジブトキシナフタレン、2−エトキシ−7−メトキシナフタレン、2−メトキシ−7−プロポキシナフタレン、2−イソプロポキシ−7−メトキシナフタレン、2−ブトキシ−7−メトキシナフタレン等が挙げられる。これらのうち、2,7−ジブトキシナフタレンが好ましい。
上記一般式(I)で表されるスルホニウム塩化合物の製造に用いられる塩化合物または酸化合物は、一般式X-+で示される。
(式中、X-は、下記一般式(II)または(III)で示され、Y+は、アルカリ金属イオンまたは水素イオンを示す。)
Figure 0006055666
(式中、R5はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
Figure 0006055666
(式中、R6はアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
また、Y+がアルカリ金属イオンである場合には、反応性の観点から、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが好ましい。
上記より、上記一般式X-+で示される塩化合物としては、上記X-で示されるアニオンのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
このような、上記一般式X-+で示される塩化合物としては、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸リチウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸ナトリウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸カリウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸リチウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸ナトリウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸カリウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸リチウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸ナトリウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸カリウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸リチウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸ナトリウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸カリウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸リチウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸ナトリウム、(−)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸カリウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸リチウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸ナトリウム、(±)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸カリウム、1−アダマンタンカルボン酸リチウム、1−アダマンタンカルボン酸ナトリウム、1−アダマンタンカルボン酸カリウム、2−アダマンタンカルボン酸リチウム、2−アダマンタンカルボン酸ナトリウム、2−アダマンタンカルボン酸カリウム、1−アダマンタンスルホン酸リチウム、1−アダマンタンスルホン酸ナトリウム、1−アダマンタンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
これらのうち、上記一般式X-+で示される塩化合物は、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸リチウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸ナトリウム、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸カリウムが好ましい。
また、上記一般式X-+で示される酸化合物としては、上記X-で示されるアニオンを用いた下記化合物が好ましい。すなわち、(+)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸、(±)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸、(−)−2−オキソ−10−ボルナンスルホン酸、(+)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸、(−)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸、(±)−2−オキソ−10−ボルナンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタンスルホン酸等が挙げられる。
上記一般式X-+で示される化合物は、市販されているものをそのまま使用しても良いし、適宜製造したものを使用しても良い。前記X-+化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、J. Am. Chem. Soc., 122(30), 7390(2000)、J. Org. Chem., 67(24), 8339(2002)及びLetters in Organic Chemistry, 4(2), 123(2007)に記載されている方法等の公知の方法を参考にして、前記X-+化合物を製造することができる。
また、例えば、前記アルカリ金属塩が市販されていない場合は、市販されている前記X-+で示される酸の水溶液を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等で中和することによって、前記アルカリ金属塩を製造することができる。かかる中和では、水素イオンが前記アルカリ金属イオンに変換される。また、このようにして得られたアルカリ金属塩の水溶液を、そのまま後述する工程(b)で使用することができる。
そして、本実施形態のスルホニウム塩化合物の製造方法は、以下の工程(a)、(b)を備えている:
(a)上記一般式(IV)で示されるスルホキシド化合物と、上記一般式(V)で示されるナフタレン化合物とを脱水縮合させる工程、
(b)前記脱水縮合させる工程によって得られた脱水縮合物と、上記一般式X-+で示される塩化合物または酸化合物とを反応させて、上記一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物を生成させる工程。
上記工程(a)において脱水縮合させること、及び、上記工程(b)において、上記工程(a)で得られた脱水縮合物と、上記塩化合物または酸化合物とを反応させることは、例えば、J. Org. Chem. 55, 4222(1990)、J. Chem. Soc. Chem. Commun., 470(1991)、Chem. Pharm. Bull., 29, 3753(1981)、J. Chem. Soc. Chem. Commun., 41(1980)に記載されている方法等の公知方法を参考にして実施することができる。具体的には、上記スルホキシド化合物とナフタレン化合物とを、無溶媒または下記に代表される溶媒存在下、下記に代表される脱水剤及びメタンスルホン酸などの強酸を使用して脱水縮合させることによって、上記工程(a)を実施することができる。また、引き続き、当該工程で得られた縮合反応生成物を、下記に例示される溶媒存在下、上記X-+で示される化合物と反応させることによって、上記工程(b)を実施することができる。
上記のスルホキシド化合物の使用割合は、収率を向上させる観点及び経済性の観点から、使用されるナフタレン化合物1モルに対して通常0.8〜2モル程度の割合とすることができ、好ましくは、0.9〜1.5モル程度、より好ましくは1.0〜1.2モル程度である。
前記工程(a)においては、脱水剤の存在下で前記脱水縮合反応を行うことができる。前記脱水剤としては、五酸化二リン、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機化合物、及び無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸、無水メタンスルホン酸等の有機化合物が挙げられる。より好ましい脱水剤は、五酸化二リンである。なお、これらの脱水剤は単独でも2種以上を併用して用いてもよい。
かかる脱水剤の使用割合は、特に限定されるものではないが、使用される上記ナフタレン化合物1モルに対して通常0.3〜5モル程度の割合とすることができ、好ましくは、0.4〜3モル程度である。
前記工程(a)においては、強酸の存在下で前記脱水縮合反応を行うことができる。前記強酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及び硫酸等が挙げられる。より好ましい強酸は、メタンスルホン酸である。これらの強酸は単独でも2種以上を併用して用いてもよい。
また、かかる強酸は、上記脱水剤と併用されてもよい。
かかる強酸の使用割合は、特に限定されるものではないが、使用されるナフタレン化合物1モルに対して通常1〜25モル程度の割合とすることができ、好ましくは、2〜15モル程度である。
上記のスルホキシド化合物とナフタレン化合物とを脱水剤等の存在下で脱水縮合反応させる工程においては、溶媒が使用されても使用されなくてもよい。当該反応に溶媒が使用される場合には、その溶媒は、反応物質に対して不活性な溶媒であればよい。このような溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独または混合して使用され得る。反応溶媒の使用量は、ナフタレン化合物100重量部に対して通常30〜3000重量部程度とすることができ、好ましくは50〜2000重量部程度である。
上記の脱水縮合反応における操作としては、特に限定されるものではないが、所定量の前記ナフタレン化合物、前記脱水剤等、前記反応溶媒等を混合攪拌しながら、所定量の前記スルホキシド化合物を添加する方法等を挙げることができる。
前記脱水縮合反応における反応温度は、通常、−20℃〜100℃であるが、好ましくは−10℃〜80℃であり、より好ましくは0℃〜40℃である。
前記工程(b)において、上述の脱水縮合反応生成物と前記X-+ので示される化合物との反応(すなわち、塩交換反応)における操作は、特に限定されるものではない。かかる操作としては、例えば、(1)所定量の水に所定量の上記X-+で示される化合物を添加して水溶液を調製した後、この水溶液を上述の脱水縮合反応後の反応溶液に添加する操作、(2)所定量の水に所定量の上記X-+で示される化合物を添加して水溶液を調製した後、この水溶液に上述の脱水縮合反応後の反応溶液を添加する操作、(3)上述の脱水縮合反応後の反応溶液に所定量の上記X-+で示される化合物を添加する操作、(4)上述の脱水縮合反応後の反応溶液を所定量の上記X-+で示される化合物に添加する操作、(5)上述の脱水縮合反応後の反応溶液を所定量の水に添加して脱水縮合反応生成物の水溶液を形成させた後、この水溶液に所定量の上記X-+で示される化合物を添加する操作、及び(6)上述の脱水縮合反応後の反応溶液を所定量の水に添加して脱水縮合反応生成物の水溶液を形成させた後、この水溶液を所定量の上記X-+で示される化合物に添加する操作等が挙げられる。また、上記反応の際には、ジクロロメタン及びクロロホルム等の有機溶媒をさらに添加してもよい。
上記X-+で示される化合物の使用割合は、特に限定されるものではないが、前述した工程(a)で用いたナフタレン化合物1モルに対して通常0.8〜2モル程度の割合とすることができ、好ましくは0.9〜1.3モル程度である。X-+で示される化合物の使用割合が0.8モル以上であることによって、収率の低下を十分に抑制し得る。また、該化合物の使用割合が2モル以下であることによって、使用量に見合う効果を十分に得ることができ、より経済的となる。
なお、かかるX-+で示される化合物は、上記したように、水溶液として添加されることができる。
また、例えば、上記したように、上記X-+で示される化合物としては、上記したようなアルカリ金属塩化合物を用いることができる。また、かかるアルカリ金属塩化合物は、市販品を用いることができる。しかし、かかるアルカリ金属塩化合物が市販されていない場合は、例えば、市販されている、上記X-+で示される酸化合物(すなわち、X-+で示される酸化合物)を、水溶液中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等で中和し、アルカリ金属塩に変換した後、アルカリ金属塩の水溶液として使用することもできる。
また、所定量の上記X-+で示される化合物を添加して、所定量の前記脱水縮合反応生成物と上記X-+で示される化合物とを反応(塩交換反応)させた場合、所望の量の反応生成物が得られない場合がある。この原因が、上記X-+で示される化合物が不足しており、上記塩交換反応が完結していないことにある場合には、例えば、以下の操作を行えばよい。すなわち、塩交換後の反応溶液に対して、必要ならばジクロロメタンやクロロホルムなどの有機溶媒や水を加え、反応溶液を水層と有機層とに分層し、得られた有機層に対して、上記X-+で示される化合物を更に添加し、再び上記塩交換反応を行えばよい。この場合における、上記X-+で示される化合物の添加量は、好ましくは初回仕込み量の0.1〜0.5倍量の範囲であり、より好ましくは、0.05〜0.2倍量の範囲である。
前記工程(b)においては、前記塩交換反応の反応温度は、通常−10〜100℃程度とすることができ、好ましくは0〜60℃程度である。該反応温度が−10℃以上であることによって、反応速度が十分に速くなり、反応時間を比較的短時間にすることができる。また、上記反応温度が100℃以下であることによって、副反応の発生を抑制することができ、これにより、収率及び純度の低下を抑制することができる。
このようにして得られたスルホニウム塩化合物は、反応終了後、析出した固体が濾別される操作、あるいは、反応生成物がモノクロロベンゼン、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒により抽出された後、当該有機溶媒を留去する操作等によって、単離されることができる。また、スルホニウム塩化合物は、必要に応じて、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチル−t−ブチルエーテル、イソプロピルエーテル、モノクロロベンゼン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、メタノール及び水等の溶媒による再結晶や、活性炭処理や、あるいはカラム精製等の常法により、精製することができる。
本実施形態のスルホニウム塩化合物によれば、放射線、特にi線領域の放射線に対する感度が従来よりも高いため、短時間の光照射により分解して従来よりも効率的に酸が発生することが可能となる。また、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解する。特に、化学増幅型レジスト材料の汎用溶媒であるPGMEAに対して良好な溶解度を有する。しかも、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに酸の拡散を抑制可能となる。
なお、放射線としては、i線領域の放射線の他、遠紫外線、ブロード(g,h,i線の3波長)、KrF(248nm)エキシマレーザー、ArF(193nm)エキシマレーザー、F2(157nm)エキシマレーザー、電子線または、軟X線等が挙げられる。
続いて、本実施形態の光酸発生剤について説明する。
本実施形態発明に係る光酸発生剤は、上記化学式(I)で示されるスルホニウム塩化合物を含有するものである。かかる光酸発生剤においては、前記スルホニウム塩化合物が、1種単独で含有されていてもよいし、他のスルホニウム塩化合物2種類以上と併用されて含有されていてもよい。
かかる光酸発生剤は、化学増幅レジスト材料に用いられることができる。該化学増幅レジスト材料は、例えば、前記光酸発生剤と、樹脂と、該光酸発生剤及び樹脂を溶解する溶媒とを含有している。
前記樹脂としては、例えば、酸によって重合して硬化する樹脂が挙げられる。かかる樹脂を含有している場合、化学増幅レジスト材料が塗布され、所望のパターンの放射線が照射されると、照射された部分において酸が発生し、この酸によって照射された部分が硬化する。そして、前記樹脂を溶解する溶媒によって、未硬化の部分が除去されて、いわゆるネガ型のレジストパターンが得られる。この場合、前記樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ヒドロキシポリスチレン樹脂または、アルカリ可溶性フェノール樹脂等が挙げられる。また、放射線としては、例えば、i線領域の放射線の他、遠紫外線、ブロード(g,h,i線の3波長)、KrF(248nm)エキシマレーザー、ArF(193nm)エキシマレーザー、F2(157nm)エキシマレーザー、電子線または、軟X線等が挙げられる。
上記の他、前記樹脂としては、例えば、アルカリ水溶液に対する不溶性を付与する保護基が導入された樹脂であって、酸によって該保護基が脱離してアルカリ水溶液に溶解するような樹脂が挙げられる。かかる樹脂を含有している場合、化学増幅型レジスト材料が塗布され、所望のパターンの上記放射線が照射されると、照射された部分において酸が発生し、この酸によって照射された部分の保護基が脱離する。そして、前記アルカリ水溶液によって、照射された部分が除去されて、いわゆるポジ型のレジストパターンが得られる。この場合、前記樹脂としては、例えば、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、フッ素系樹脂、または、後述する実施例に示されるようなノボラック樹脂等が挙げられる。
また、このように、光酸発生剤が化学増幅レジスト材料に用いられる場合には、該光酸発生剤は、2種類のオニウム塩化合物として、第1のオニウム塩化合物と第2のオニウム塩化合物とを含有しており、前記第1のオニウム塩化合物は、上記した一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物であり、前記第2のオニウム塩化合物は、放射線に感応して前記第1のオニウム塩化合物よりも強い酸を発生するものであることが好ましい。
なお、オニウム塩としては、上記したスルホニウム塩の他、ヨードニウム塩等が挙げられる。
これにより、光酸発生剤が化学増幅レジスト材料に含有されたとき、該化学増幅レジスト材料が回路基板等の上に塗布され、所望のパターンの放射線が照射されることによって、第1のオニウム塩化合物から酸(第1の酸)が発生し、第2のオニウム塩化合物からは第1のオニウム塩化合物よりも強い酸(第2の酸)が発生する。第2のオニウム塩化合物の方が、強い酸を発生するため、主として第2のオニウム塩化合物によってレジストパターンが形成される。このとき、第2のオニウム塩化合物から発生した第2の酸が、未反応の第1のオニウム塩化合物における第1の酸の発生源たるアニオンと衝突すると塩交換により比較的弱い第1の酸を放出し、その代わりに、第2の酸の発生源たるアニオン部分と上記一般式(I)で示されるカチオン部分とで塩を生じる。このように、第2の酸が、より弱い第1の酸に交換される。すなわち、酸による前記樹脂に及ぼす影響(触媒能)が低い第1の酸に交換される。これにより、酸拡散の制御を行うことが可能となる。
なお、上記した発生する酸の程度は、例えば、オニウム塩化合物におけるアニオン骨格のアニオン性置換基のα位やβ位のフッ素の数量で決定することができる。具体的には、例えば、全くフッ素置換されていないアニオンを有するオニウム塩化合物よりも、全ての水素原子がフッ素原子で置換(全置換)または一部の複数の水素原子がフッ素で置換(多置換)されたアニオンを有するオニウム塩化合物の方が、比較的強い酸を発生すると決定することができる。
前記第2のオニウム塩化合物としては、1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム ジ(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホン)イミドが挙げられる。
また、前記光酸発生剤は、上記した化学増幅型レジスト材料の他、光硬化性樹脂材料に用いられることができる。該光硬化性樹脂材料は、例えば、前記光酸発生剤と、上記のように酸によって重合して硬化するモノマー、オリゴマー、ポリマーと、該光酸発生剤及びモノマー、オリゴマー、ポリマーを溶解する溶媒とを含有している。そして、光硬化性樹脂材料が塗布され、前記放射線光が照射されると、照射された部分において酸が発生し、この酸によって照射された部分が硬化する。この場合、前記樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、またはビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
本実施形態のスルホニウム塩化合物は、例えば、放射線、特に光線の照射により酸を発生し、発生した酸を利用した化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤の用途に適用され得る。このような光酸発生剤は、例えば、半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルター製造用、マイクロマシン部品製造用等の化学増幅型レジスト材料に好適に用いられる。
また、本実施形態のスルホニウム塩化合物は、放射線、特に光線の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とする他の用途にも適用され得る。このような光酸発生剤は、例えば、重合反応または架橋反応の触媒の用途に適用され得る。かかる光酸発生剤によれば、硬化性化合物を短時間に確実に重合させて良好な物性を有する硬化物を得ることが可能となる。
以下、本発明について実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1):1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートの製造
(操作1)
反応容器に、五酸化二リン(3.41g)、メタンスルホン酸(23.07g)を仕込んだ。さらに、2,7−ジブトキシナフタレン(16.34g)、及び、ジブチルスルホキシド(12.66g)を加え、室温で16時間攪拌した。反応容器内の温度を0〜10℃に保ちながら、脱イオン水(100g)を加え、20%NaOH水溶液(80g)を滴下した。滴下後、ジクロロメタン(80g)を加え、静置し、分層した後、水層を除去した。得られた有機層を脱イオン水(60g)で洗浄した後、分層し、水層を除去して、縮合反応生成物の反応溶液を得た。
(操作2)
別の反応容器に、脱イオン水(70g)、(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸(13.94g)、及び、水酸化ナトリウム(2.4g)を仕込み、前記縮合反応生成物の反応溶液の全量を加え、室温で20分間攪拌した。反応溶液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作3)
更に別の反応容器に、脱イオン水(70g)、(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸(0.70g)、及び、水酸化ナトリウム(0.12g)を仕込み、上記操作2で得られた有機層の全量を加え、室温で20分間攪拌した。得られた反応溶液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作4)
上記操作3で得られた有機層をろ過し、脱イオン水で洗浄した後、有機層を分取した。この有機層からジクロロメタンを留去し、得られた濃縮物に50℃でt−ブチルメチルエーテル(MTBE)(156g)を加えて晶析することによって、1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートの白色結晶(実施例化合物1)35.05gを得た。
上記操作1〜4で得られた白色結晶が、前記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4がブチル基であり、X-が(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートであることを、1H−NMR及びLC−MSを用いた下記の分析結果によって確認した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.75(s,3H),0.82(t,J=7.3Hz,6H),0.97(t,J=7.3Hz,3H),1.00(t,J=7.3Hz,3H),1.07(s,3H),1.22−1.66(m,14H),1.74−1.98(m,7H),2.24(m,1H),2.38(d,J=14.6 Hz,1H),2.73(m,1H),2.89(d,J=14.6 Hz,1H),3.84−4.04(m,4H),4.18(t,J=6.5Hz,2H),4.45(t,J=6.5Hz,2H),7.24(dd,J=2.2 and 9.0Hz,1H),7.52(d,J=2.2 Hz,1H),7.59(d,J=9.3Hz,1H),8.02(d,J=9.0Hz,1H),8.38(d,J=9.3 Hz,1H)
MS(LC/ESI(+)Spectrum):M+ 417
MS(LC/ESI(−)Spectrum):M- 231
(比較例1):トリフェニルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートの製造
(操作1)
反応容器に、脱イオン水(10g)、(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ「2.2.1」ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸(1.39g)、及び、水酸化ナトリウム(0.24g)を仕込んだ。さらに、ジクロロメタン(20g)、及び、トリフェニルスルホニウムブロマイド(2.06g)を加え、室温で20分間攪拌した。得られた反応溶液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作2)
別の反応容器に、脱イオン水(10g)、(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸(0.14g)、及び、水酸化ナトリウム(0.03g)を仕込み、さらに、上記操作1で得られた有機層の全量を加え、室温で20分間攪拌した。反応溶液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作3)
更に別の反応容器に、脱イオン水(10g)、(1S,4R)−7,7−ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホン酸(0.07g)、及び、水酸化ナトリウム(0.02g)を仕込み、さらに、上記操作2で得られた有機層の全量を加え、室温で20分間攪拌した。得られた反応溶液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作4)
上記操作3で得られた有機層をろ過し、脱イオン水で洗浄後、有機層を分取した。この有機層からジクロロメタンを留去し、トリフェニルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートの白色結晶(比較例化合物1)2.82gを得た。
上記操作1〜操作4で得られた白色結晶が、トリフェニルスルホニウム (1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルメタンスルホナートであることを、1H−NMR及びLC−MSを用いた下記の分析結果によって確認した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.83(s,3H),1.16(s,3H),1.30(m,1H),1.67(m,1H),1.82(m,1H),1.90−2.05(m,2H),2.29(m,1H),2.53(m,1H),2.76−2.96(m,2H),3.38(m,1H),7.63−7.76(m,9H),7.80−7.92(m,6H)
MS(LC/ESI(+)Spectrum): M+ 263
MS(LC/ESI(−)Spectrum): M- 231
(参考例1)1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム ジ(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホン)イミドの製造
(操作1)
反応容器に、五酸化二リン(1.7g)、及び、メタンスルホン酸(11.5g)を仕込んだ。さらに、2,7−ジブトキシナフタレン(8.2g)、ジブチルスルホキシド(6.3g)を加え、室温で16時間攪拌した。反応容器内の温度を0〜10℃に保ちながら、20%NaOH水溶液(30g)を滴下した後、ジクロロメタン(80g)を加え、静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。得られた有機層を脱イオン水(30g)で洗浄した後、静置して分層し、水層を除去して、縮合反応生成物の反応溶液を得た。
(操作2)
別の反応容器に、脱イオン水(30g)、及び、ビス(ノナフルオロブタンスルホン)イミドカリウム(18.6g)を仕込み、さらに、上記操作1で得られた反応溶液の全量を加え、室温で20分間攪拌後、不溶解物をろ過した。得られたろ液を静置して分層し、水層を除去して、有機層を得た。
(操作3)
上記操作2で得られた有機層からジクロロメタンを留去し、得られた濃縮物に50℃でMTBE(17g)とヘキサン(34g)とを加えて晶析することによって、1−(2,7−ジ−n−ブトキシナフチル)ジ−n−ブチルスルホニウム ジ(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホン)イミドの白色結晶(参考例化合物1)18.8gを得た。
得られた白色結晶が、前記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4がブチル基であり、X-がジ(1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタンスルホン)イミドアニオンであることを、1H−NMR及びLC−MSを用いた下記の分析結果によって、確認した。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.82(t,J=7.3Hz,6H),0.97(t,J=7.3Hz,3H),1.00(t,J=7.3Hz,3H),1.30−1.65(m,12H),1.74−1.96(m,4H),3.81−4.04(m,4H),4.18(t,J=6.6Hz,2H),4.44(t,J=6.6Hz,2H),7.24(dd,J=2.2 and 9.0Hz,1H),7.50(d,J=2.2 Hz,1H),7.57(d,J=9.0Hz,1H),8.01(d,J=9.0Hz,1H),8.36(d,J=9.0 Hz,1H)
MS(LC/ESI(+)Spectrum): M+ 417
MS(LC/ESI(−)Spectrum): M- 580
(溶解性):
測定するスルホニウム塩化合物(試験化合物;各100mg)にPGMEAを添加し、20±5℃で、5分ごとに強く30秒間振り混ぜることを繰り返したとき、試験化合物が30分後に溶解するのに必要なPGMEAの量を測定した。ここで、「溶解する」とは、目視によって不溶物が観察されない状態になることを意味し、具体的には、得られた溶液が澄明であるか、または、任意の割合で混合されたとき、透明に混和されることを意味する。
測定結果として、各試験化合物を溶解させるのに必要なPGMEAの量(mL)を下記表1に示す。下記表1において、PGMEAが16mL以下である化合物が、本目的の化合物として望ましい物性を有するものであると、評価した。
Figure 0006055666
(紫外―可視吸収スペクトルの測定):
各試験化合物の1×10-4mol/Lのアセトニトリル溶液をそれぞれ調製し、紫外可視分光光度計(島津製作所:UV−2400PC)によって、紫外―可視吸収スペクトル365nmにおける分子吸光係数を測定した。結果を表2に示す。厚膜の深部まで光が透過することを考慮して、365nm(i線)における分子吸光係数が50〜2000である化合物が、望ましい物性を有する化合物であると、評価した。
Figure 0006055666
(実施例2、比較例2):ポジ型レジスト組成物(化学増幅レジスト材料)の調製
表3に示す配合比で各スルホキシド化合物を配合して、実施例2及び比較例2の光酸発生剤を調製した。さらに、表4に示す配合比で、得られた光酸発生剤と各樹脂とをPGMEAに均一に溶解させ、得られた溶液を孔径1μmのメンブレンフィルターを通して濾過して、各ポジ型レジスト組成物を調製した。
表3において、樹脂A、樹脂Bは、それぞれ以下のものを表し、数字は、配合量(質量部)を表す。
・樹脂A:ノボラック樹脂(m/p−クレゾール=6/4とホルムアルデヒドとを、酸触媒の存在下で付加縮合させて得られた樹脂、分子量8000)
・樹脂B:下記一般式(VI)で表される化合物
Figure 0006055666
Figure 0006055666
(レジストパターンの形成)
上述のようにして得られた、実施例2および比較例2の光酸発生剤をそれぞれ含有するポジ型フォトレジスト組成物を、8インチの銅基板上にスピンナーを用いて塗布し、塗布したフォトレジスト組成物を乾燥させて、20μmの膜厚を有するフォトレジスト層を得た。次いで、このレジスト層をホットプレート上に載置し、140℃で5分間プリベークした。
プリベークされたフォトレジスト層を、露光装置NSR−i14E(Nikon社製、NA:0.54、σ:0.59)を用いて露光した。次いで、露光されたフォトレジスト層を、ホットプレート上に載置し、85℃で3分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を、露光後加熱されたフォトレジスト層に滴下して、23℃で60秒間放置し、TMAH水溶液の滴下から23℃60秒の放置までの操作を計4回繰り返して現像した。その後、流水洗浄し、窒素ブローして、10μmのラインアンドスペースパターンを有するレジストパターンを得た。このラインアンドスペースパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(商品名:SU−8000、日立ハイテクノロジー社製)にて確認した。評価結果は、断面形状が矩形だったものを○、先端にむかう程細くなるテーパー形状だったものを×とした。その結果を表4に示す。
Figure 0006055666
比較例2の光酸発生剤を有するレジスト組成物は、酸拡散制御が弱いため、好ましいパターンプロファイルが得られなかったが、実施例2の光酸発生剤を有するレジスト組成物は、優れたパターンプロファイルが得られた。すなわち、参考例化合物1に実施例化合物1を添加することで、より優れたパターンプロファイルの形成を可能とする光酸発生剤が得られた。ここで、フッ素置換されているアニオン骨格を有する参考例化合物1の方が、フッ素置換されていない実施例化合物1よりも強い酸を発生する。このように、参考例化合物1の方が、実施例化合物1よりも強い酸を発生することを考慮すると、実施例化合物1は、これよりも強い酸を発生するスルホニウム塩化合物と組み合わせたとき、優れた酸拡散制御が発現する化合物であるといえる。
上記の結果、本発明のスルホニウム塩化合物及びこれを備えた光酸発生剤は、従来よりも効率的に酸が発生し、レジスト材料等で使用される溶媒に対しても良好に溶解し、しかも、より強酸を発生するスルホニウム塩化合物と併用されたときに酸の拡散を抑制可能である。さらに、レジスト感度の調整が容易となることに加え、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制することができ、さらに、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を一層向上することができる。
本発明によれば、化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤として利用可能であり、比較的強い酸を発生するスルホニウム化合物と組み合わせた光酸発生剤として利用可能である他に、酸によって重合して硬化する硬化性樹脂と共に用いられる重合開始剤としての利用等が期待される。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で示されるスルホニウム塩化合物。
    Figure 0006055666
    (式中、RおよびRは、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Xは、スルホン酸アニオンまたはカルボン酸アニオンを示す。ここにおいて、ROおよびROで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置であり、X は、下記一般式(II)または(III)で示される。
    Figure 0006055666
    (式中、Rはアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
    Figure 0006055666
    (式中、Rはアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
  2. 及びRが、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
    及びRが、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜8のアルキル基である請求項1に記載のスルホニウム塩化合物。
  3. が、前記一般式(II)で示され、
    が、アダマンチル基または2−オキソボルニル基である請求項1または2に記載のスルホニウム塩化合物。
  4. が、2−オキソボルニル基である請求項に記載のスルホニウム塩化合物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のスルホニウム塩化合物を含有する光酸発生剤。
  6. 以下の工程(a)、(b)を備えたスルホニウム塩化合物の製造方法:
    (a)下記一般式(IV)
    Figure 0006055666
    (式中、R及びRは、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。)で示されるスルホキシド化合物と、
    下記式(V)
    Figure 0006055666
    (式中、R及びRは、それぞれ互いに同一または異なった、炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。ここにおいて、ROおよびROで示される置換基の位置は、それぞれナフチル基の2〜8位の任意の位置である。)で示されるナフタレン化合物とを脱水縮合させる工程、
    (b)前記脱水縮合させる工程によって得られた脱水縮合物と、
    一般式X
    (式中、Xは、下記一般式(II)または(III)で示され、Yは、アルカリ金属イオンまたは水素イオンを示す。)
    Figure 0006055666
    (式中、Rはアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)
    Figure 0006055666
    (式中、Rはアダマンチル基または2−オキソボルニル基を示す。)で示される塩化合物または酸化合物とを反応させて、下記一般式(I)
    Figure 0006055666
    (式中、R及びRは、前記一般式(IV)において定義されたものと同じものを示し、R及びRは、前記一般式(V)において定義されたものと同じものを示し、Xは、前記一般式Xにおいて定義されたものと同じものを示す。)で示されるスルホニウム塩化合物を生成させる工程。
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