JP6055663B2 - 溶接電源の出力制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、短絡アーク溶接に使用する溶接電源の出力制御方法に関し、特に、溶融池からのガスの噴出によって溶滴移行状態が不安定になることを抑制するための出力制御方法に関するものである。
溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返す短絡アーク溶接においては、短絡期間とアーク期間とを合わせた周期のバラツキが小さくなり一定化することが良好な溶接品質を確保するために重要である。この周期の適正値は、溶接電流平均値(送給速度)に応じて変化する。溶接電流平均値が150A程度であるときは周期は10ms程度となり、溶接電流平均値が200A程度になると周期は20ms程度となり、溶接電流平均値が250A程度になると周期は40ms程度となる。上記の短絡アーク溶接には、短絡移行アーク溶接だけでなく、短絡を伴うグロビュール移行溶接、短絡を伴うスプレー移行溶接等も含まれる。短絡アーク溶接には定電圧特性の溶接電源が使用されるので、溶接電圧はフィードバック制御され、溶接電流はアーク負荷によって定まることになる。
短絡アーク溶接においては、アーク期間中に溶接ワイヤの先端が溶融されて溶滴を形成し、短絡期間中にこの溶滴が溶融池へと移行する。シールドガスの炭酸ガスが一酸化炭素として溶融池に溶け込んでおり、この一酸化炭素がアーク期間中に加熱されて蒸発し、溶融池から突然にガスとして噴出される場合がある。また、母材に亜鉛メッキ鋼板を使用している場合には、母材表面の亜鉛がアーク熱によって蒸発してガスが噴出する。このようなガスの噴出が生じると、アークがガスによって吹かれてアーク長が長くなる。アーク長が長くなると、溶接電圧が大きくなるので、定電圧特性では溶接電流が小さくなる。ガスの噴出は数ms〜十数ms程度で終了するので、アーク長は元の値に復帰する。しかし、一旦減少した溶接電流は、アーク負荷の状態に影響されて直ぐには元の値に戻らないために、その間の入熱が減少して溶接状態が不安定になることがあった。この減少を抑制するために、特許文献1の発明では、アーク期間中に溶接電圧の変化率が基準値以上になると、ガスの噴出によってアーク長が長くなったと判別し、溶接電流が減少することを抑制する制御を行っている(以下、電流変化抑制制御という)。このようにすると、ガスの噴出が終了してアーク長が元の値に復帰するまでの間の溶接電流の減少を抑制することができるので、溶接状態が不安定になることを防止することができる。
短絡アーク溶接の一つである炭酸ガスアーク溶接において、溶接電流平均値が200A未満であるときには、上述したガスの噴出への対策は有効である。しかし、溶接電流平均値が200A以上になると、ガスの噴出による溶接状態への影響が200A未満のときとは異なるために、上述した対策だけでは有効ではない。以下、炭酸ガスアーク溶接において、溶接電流平均値が200A以上のときに、ガスの噴出が生じたときの溶接状態について説明する。
図5は、炭酸ガスアーク溶接の電圧・電流波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの波形を示し、同図(B)は溶接電流Iwの波形を示す。同図は、溶接電流平均値が230Aのときの波形である。同図は、2周期分の波形を示している。時刻t1〜t3の期間中は、溶融池からのガスの噴出がなく安定した溶接状態にあり、時刻t3〜t5の期間中は、溶融池からのガスの噴出によって溶接状態が不安定な状態にある。以下、同図を参照して説明する。
時刻t1〜t2は短絡期間を示し、時刻t2〜t3はアーク期間を示し、時刻t3〜t4は短絡期間を示し、時刻t4〜t5はアーク期間を示す。時刻t1〜t2の短絡期間と時刻t3〜t4の短絡期間とは略同一の期間長さであり、3ms程度である。時刻t2〜t3のアーク期間は27ms程度となり、時刻t1〜t3の周期は30ms程度となる。すなわち、ガスの噴出がない安定した溶接状態においては、周期が30ms程度で短絡期間及びアーク期間が繰り返されることになる。他方、時刻t4〜t5のアーク期間は、時刻t2〜t3のアーク期間の1.5倍程度となる40ms程度となっている。このために、時刻t3〜t5の周期は43ms程度となっている。
時刻t1〜t2の短絡期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの小さな値の短絡電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは次第に増加する。時刻t2〜t3のアーク期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値に急増し、傾斜を有して減少した後に略一定値に収束する。同様に、同図(B)に示すように、溶接電流Iwも傾斜を有して減少した後に略一定値に収束する。
時刻t3〜t4の短絡期間中は、時刻t1〜t2の短絡期間と同様である。同図においては、時刻t4のアーク期間の開始時点から20ms程度経過した時刻t41において、溶融池からのガスの噴出が発生し、時刻t42まで続いた場合である。この時刻t41〜t42のガス噴出期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは、急峻に増加して急峻に減少するリップル波形が3回発生している。この時刻t41〜t42の期間中は、同図(B)に示すように、上述した電流変化抑制制御によって溶接電流Iwの急峻な変化は抑制される。溶接電圧Vwに急峻なリップル波形が複数回現れると、次の短絡はなかなか発生しない状態となる。このために、時刻t4〜t5のアーク期間は、時刻t2〜t3のアーク期間の1.5倍になっている。アーク期間が長くなると、溶滴が大きく成長することになり、スパッタ発生量が多くなり、溶接状態も不安定になる。
溶接電圧Vwに急峻なリップル波形が複数回現れたときは、以下のようなアーク発生状態のときである。炭酸ガスアーク溶接において、溶接電流平均値が200A程度以上になると、アークによって溶滴を押し上げる力が強くなる。この状態で、さらにガスの噴出によって溶滴への押し上げ力が加わると、溶滴は溶接ワイヤ先端から上部へと完全に押し上げられた状態になる。このときに、溶滴は上下に振動しながら押し上げられるために、急峻なリップル波形が複数回現れることになる。
アーク期間中に急峻なリップル波形が1回だけ現れるときは、ガス噴出によって溶滴が押し上げられた状態にならない場合である。この場合としては、アーク期間の開始時点から直ぐの時点でガスの噴出が発生したために、まだ溶滴が小さい状態にあり、押し上げる溶滴が形成されていないときである。別の場合としては、ガスの噴出量が少なかったために、溶滴を押し上げることができなかったときである。このような急峻なリップル波形が1回だけ現れる場合には、上述した電流変化抑制制御によって、溶接状態の安定性を維持することができる。アーク期間も長くなることはない。
アーク期間が長くなることを抑制するために、アーク期間が所定期間に達すると溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを低下させてアーク長を短くすることによって、早期に短絡へと導く制御が従来から行われている(特許文献2参照)。しかし、この従来技術では、ガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になったこととは無関係に、所定期間に達すると溶接電源の出力を低下させる。所定期間は、安定した溶接状態のときの周期よりも長く設定される。同図の例では、所定期間は例えば30msに設定される。この結果、アーク期間が30ms以上になってから出力が低下されるので、アーク期間は所定期間よりも長くなる。もちろん、所定期間に達した時点で出力を低下させないよりもアーク期間は短くできるが、安定状態のときのアーク期間よりもかなり長くなることは避けられない。このために、さらなる改善が望まれていた。
特許第4472249号公報 特開2012−6020号公報
そこで、本発明では、溶接電流平均値が200A以上の炭酸ガスアーク溶接において、溶融池からのガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になってもアーク期間が長くなることを抑制することができる溶接電源の出力制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返すアーク溶接に使用する溶接電源にあって、溶接電圧をフィードバック制御して溶接電源の出力を制御する溶接電源の出力制御方法において、
前記アーク期間中に、前記溶接電圧の変化率が予め定めた基準値以上となる現象が2以上の所定回数繰り返されたときは、溶接電流を次の前記短絡期間の開始時点まで低下させ、前記溶接電流の低下に同期して、溶接ワイヤの送給速度を速くする、
ことを特徴とする溶接電源の出力制御方法である。
請求項2の発明は、前記溶接電流の低下は、時間経過に伴って連続的に低下する波形である、
ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法である。
請求項3の発明は、前記送給速度は時間経過に伴って連続的に速くなる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接電源の出力制御方法である。

本発明によれば、溶融池からのガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態にあるときに、溶接電流を低下させると、溶滴への押し上げ力が弱くなるので、溶滴の押し上げられた状態が緩和して、下方に垂れ下がった状態へと変化する。さらに、溶接電流を低下させると、溶接ワイヤの溶融速度が小さくなるので、アーク長は短くなる。これらの結果、短絡が早期に発生するようになり、アーク期間が安定状態のときよりも長くなることを抑制することができる。したがって、本発明では、溶接電流平均値が200A以上の炭酸ガスアーク溶接において、溶融池からのガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になってもアーク期間が長くなることを抑制することができる。このために、ガスの噴出が発生しても、スパッタの発生が多くなることを抑制することができ、安定した溶接状態を維持することができる。
本発明の実施の形態1に係る溶接電源の出力制御方法を示す電圧・電流波形図である。 本発明の実施の形態1に係る溶接電源の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法を示す電圧・電流波形図である。 本発明の実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 従来技術における炭酸ガスアーク溶接の電圧・電流波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接電源の出力制御方法を示す電圧・電流波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの波形を示し、同図(B)は溶接電流Iwの波形を示し、同図(C)は溶滴状態判別信号Mdの波形を示す。同図は、上述した図5と対応しており、溶接電流平均値が230Aの炭酸ガスアーク溶接の場合である。同図は、2周期分の波形を示している。時刻t1〜t3の期間中は、溶融池からのガスの噴出がなく安定した溶接状態にあり、時刻t3〜t5の期間中は、溶融池からのガスの噴出が発生した場合である。上記の溶滴状態判別信号Mdは、溶滴が押し上げられた状態になったことを判別するとHighレベルになる信号である。同図においては、溶接ワイヤの送給速度は常に一定の速度である。以下、図面を参照して説明する。
時刻t1〜t2は短絡期間を示し、時刻t2〜t3はアーク期間を示し、時刻t3〜t4は短絡期間を示し、時刻t4〜t5はアーク期間を示す。時刻t1〜t2の短絡期間と時刻t3〜t4の短絡期間とは略同一の期間長さであり、3ms程度である。時刻t2〜t3のアーク期間は27ms程度となり、時刻t1〜t3の周期は30ms程度となる。すなわち、ガスの噴出がない安定した溶接状態においては、周期が30ms程度で短絡期間及びアーク期間が繰り返されることになる。他方、時刻t4〜t5のアーク期間は、時刻t2〜t3のアーク期間よりも少し長い28ms程度となっている。このために、時刻t3〜t5の周期は、31msとなっている。
時刻t1〜t3の期間中の電圧及び電流波形は、図5と同様である。時刻t1〜t2の短絡期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの小さな値の短絡電圧値となり、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは次第に増加する。時刻t2〜t3のアーク期間中は、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値に急増し、傾斜を有して減少した後に略一定値に収束する。同様に、同図(B)に示すように、溶接電流Iwも傾斜を有して減少した後に略一定値に収束する。時刻t1〜t3の期間中は、ガスの噴出が発生していないために溶滴が押し上げられた状態にはなっていないので、同図(C)に示すように、溶滴状態判別信号MdはLowレベルのままである。
時刻t3〜t4の短絡期間中は、時刻t1〜t2の短絡期間と同様である。同図においては、時刻t4のアーク期間の開始時点から20ms程度経過した時刻t41において、溶融池からのガスの噴出が発生した場合である。時刻t41において、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは、急峻に増加して急峻に減少するリップル波形が発生している。時刻t42において2回目の急峻なリップル波形が発生し、時刻t43において3回目の急峻なリップル波形が発生している。溶接電圧Vwに所定回数(ここでは3回)の急峻なリップル波形が現れたことを時刻t43において判別すると、同図(C)に示すように、溶滴状態判別信号MdはHighレベルに変化する。Highレベルの状態は、次の短絡が発生した時点t5においてLowレベルにリセットされる。アーク期間中に溶接電圧Vwに所定回数以上の急峻なリップル波形が現れたときは、上述したように、ガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になった場合である。所定回数は、2〜5回程度に設定される。急峻なリップル波形の検出方法については、後述する。同図(B)に示すように、上述した電流変化抑制制御によって溶接電流Iwの急峻な変化は抑制される。
時刻t43において溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化すると、溶接電源は出力を低下させるので、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは減少し、同図(B)に示すように、溶接電流Iwも減少する。この出力の低下は、次の短絡が発生する時刻t5まで継続される。溶接電流Iwが減少すると、溶滴への押し上げ力が弱くなるので、溶滴の押し上げられた状態が緩和して、下方に垂れ下がった状態へと変化する。さらに、溶接電流Iwが減少すると、溶接ワイヤの溶融速度が小さくなるので、アーク長は短くなる。これらの結果、短絡が早期に発生するようになる。溶接電源の出力の低下は、定電圧特性であるので、溶接電圧Vwを低下させることによって行われる。溶接電圧Vwの低下幅は、2〜5V程度である。溶接電流Iwの減少幅は、50〜100A程度である。
溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化する時刻t43において、同図では溶接電源の出力をステップ状に低下させているが、時間経過に伴って連続的に低下させるようにしても良い。このようにすると、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwは傾斜を有して減少することになる。また、溶接電源の出力の低下を、以下のようにして行っても良い。時刻t43〜t5の出力低下期間中は、溶接電源の外部特性を定電圧特性から定電流特性に切り換えて、溶接電流を直接減少させるようにする。
次に、溶接電圧Vwに重畳する急峻なリップル波形の判別方法について説明する。下記の(1)及び(2)に示す両判別方法共に、溶接電圧Vwの変化率が基準値以上になったことを判別して急峻なリップル波形が1回発生したと判断している。そして、この急峻なリップル波形が所定回数判別されたときは、溶滴状態判別信号MdをHighレベルにセットしている。
(1)アーク期間中の溶接電圧Vwを、所定周期(100μs程度)ごとにサンプリングして溶接電圧デジタル値として検出する。現時点での溶接電圧デジタル値をVd(n)と表記すると、現時点よりも2回前の溶接電圧デジタル値はVd(n-2)となり、1回前の溶接電圧デジタル値はVd(n-1)となる。そして、Vd(n-2)−Vd(n-1)の絶対値が予め定めたしきい値未満であり、かつ、Vd(n)−Vd(n-1)の絶対値が予め定めた基準値以上であったときは、急峻なリップル波形が1回発生したと判別する。上記のしきい値は0.5V/100μs程度であり、上記の基準値は2v/100μs程度である。
(2)アーク期間中の溶接電圧Vwの微分値(絶対値)を算出する。この溶接電圧微分値が略0の状態から予め定めた基準値以上へと変化したときは、急峻なリップル波形が1回発生したと判別する。
図2は、図1で上述した本発明の実施の形態1に係る溶接電源の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において、従来技術である電流変化抑制制御のためのブロックについては、本発明とは直接に関係がないので省略している。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMCは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する誤差増幅信号Ampに従ってインバータ制御等による出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。この電源主回路PMCは、商用電源を整流する1次整流回路と、整流された直流を平滑する平滑コンデンサと、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク溶接に適した電圧値に降圧する変圧器と、降圧された高周波交流を整流する2次整流回路と、上記の誤差増幅信号Ampを入力としてPWM制御を行って上記のインバータ回路を駆動する信号を出力する変調・駆動回路とを備えている。直流リアクトルDCLは、整流された直流を平滑する。溶接ワイヤ1は、送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接ワイヤ1と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。溶接ワイヤ1は、送給速度Fwで送給される。
電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。短絡判別回路SDは、この電圧検出信号Vdを入力として、この値によって短絡期間を判別し、短絡期間中はHighレベルとなり、アーク期間中はLowレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。
溶滴状態判別回路MDは、上記の電圧検出信号Vd及び上記の短絡判別信号Sdを入力として、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)のときに電圧検出信号Vdに急峻なリップル波形が所定回数発生したことを判別するとHighレベルにセットされ、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)になるとLowレベルにリセットされる溶滴状態判別信号Mdを出力する。急峻なリップル波形の判別方法については、上述したとおりである。
出力電圧設定回路ERは、溶接電圧Vwの平均値を設定するための予め定めた出力電圧設定信号Erを出力する。電圧低下幅設定回路DERは、予め定めた電圧低下幅設定信号ΔErを出力する。出力電圧制御設定回路ECRは、上記の出力電圧設定信号Er、上記の電圧低下幅設定信号ΔEr及び上記の溶滴状態判別信号Mdを入力として、溶滴状態判別信号MdがLowレベルのときは出力電圧設定信号Erを出力電圧制御設定信号Ecrとして出力し、溶滴状態判別信号MdがHighレベル(溶滴が押し上げられた状態)のときは(Er−ΔEr)を出力電圧制御設定信号Ecrとして出力する。これによって、溶滴状態判別信号MdがHighレベルのときは、溶接電圧Vwが減少して、溶接電流Iwも減少する。
出力電圧検出回路EDは、高周波交流を整流したパルス状の波形である出力電圧Eを検出し、ローパスフィルタ(カットオフ周波数1〜10Hz程度)に通して平滑して、出力電圧検出信号Edとして出力する。この出力電圧検出信号Edは、溶接電圧Vwを検出していることと等価である。したがって、出力電圧検出信号Edをフィードバック制御に使用することは、溶接電圧Vwをフィードバック制御に使用することと等価である。誤差増幅回路AMPは、上記の出力電圧制御設定信号Ecrとこの出力電圧検出信号Edとの誤差を増幅して、誤差増幅信号Ampを出力する。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、溶接ワイヤ1を送給速度設定信号Frによって定まる速度で送給するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力する。溶接中、溶接ワイヤ1は送給速度設定信号Frによって定まる一定の速度で送給される。
上述した実施の形態1によれば、アーク期間中に、溶接電圧の変化率が予め定めた基準値以上となる現象が2以上の所定回数繰り返されたときは、溶接電流を次の短絡期間の開始時点まで低下させる。溶接電圧の変化率が基準値以上となる現象が2以上の所定回数繰り返されたときとは、上述したように、ガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になったときである。このような状態のときに、溶接電流を低下させると、溶滴への押し上げ力が弱くなるので、溶滴の押し上げられた状態が緩和して、下方に垂れ下がった状態へと変化する。さらに、溶接電流を低下させると、溶接ワイヤの溶融速度が小さくなるので、アーク長は短くなる。これらの結果、短絡が早期に発生するようになり、アーク期間が安定状態のときよりも長くなることを抑制することができる。したがって、本実施の形態では、溶接電流平均値が200A以上の炭酸ガスアーク溶接において、溶融池からのガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になってもアーク期間が長くなることを抑制することができる。このために、ガスの噴出が発生しても、スパッタの発生が多くなることを抑制することができ、安定した溶接状態を維持することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、実施の形態1の溶接電流の低下に同期して、溶接ワイヤの送給速度を速くするものである。
図3は、本発明の実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法を示す電圧・電流波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの波形を示し、同図(B)は溶接電流Iwの波形を示し、同図(C)は溶滴状態判別信号Mdの波形を示し、同図(D)は送給速度Fwの波形を示す。同図は、溶接電流平均値が230Aの炭酸ガスアーク溶接の場合である。同図は、2周期分の波形を示している。時刻t1〜t3の期間中は、溶融池からのガスの噴出がなく安定した溶接状態にあり、時刻t3〜t5の期間中は、溶融池からのガスの噴出が発生した場合である。同図は上述した図1と対応しており、時刻t43までの動作は同一であるので、説明は省略する。以下、同図を参照して、時刻t43以降の動作を中心にして説明する。
時刻t43において溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化すると、溶接電源は出力を低下させるので、同図(A)に示すように、溶接電圧Vwは減少し、同図(B)に示すように、溶接電流Iwも減少する。この出力の低下は、次の短絡が発生する時刻t5まで継続される。また、この動作に同期して、時刻t43において溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化すると、同図(D)に示すように、送給速度Fwはそれまでの定常送給速度から所定値だけ高速な値に変化し、時刻t5までその値を保持する。送給速度Fwは、時刻t5に短絡が発生すると、元の定常送給速度に戻る。
溶接電流Iwが減少すると、溶滴への押し上げ力が弱くなるので、溶滴の押し上げられた状態が緩和して、下方に垂れ下がった状態へと変化する。さらに、溶接電流Iwが減少すると溶接ワイヤの溶融速度が小さくなり、かつ、溶接ワイヤの送給速度Fwが大きくなるので、アーク長は急速に短くなる。これらの結果、短絡が早期に発生するようになる。送給速度Fwは、20〜40%程度高速にする。
溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化する時刻t43において、同図では溶接電源の出力及び送給速度Fwをステップ状に変化させているが、時間経過に伴って連続的に変化させるようにしても良い。このようにすると、溶接電圧Vw、溶接電流Iw及び送給速度Fwは傾斜を有して変化することになる。
図4は、図3で上述した本発明の実施の形態2に係る溶接電源の出力制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図において、上述した図2と同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は省略する。同図は、図2の送給速度設定回路FRを送給速度制御設定回路FCRに置換したものである。以下、同図を参照して、このブロックについて説明する。
送給速度制御設定回路FCRは、溶滴状態判別信号Mdを入力として、溶滴状態判別信号MdがLowレベルのときは予め定めた定常送給速度となる送給速度設定信号Frを出力し、溶滴状態判別信号MdがHighレベル(溶滴が押し上げられた状態)のときは上記の定常送給速度に予め定めた増加率を乗じた値となる送給速度設定信号Frを出力する。定常送給速度は、ワークの板厚、継手形状、溶接速度等に応じて適正値に設定される。増加率は、上述したように、120〜140%程度の範囲で設定される。増加率が小さいと短絡を早期に発生させる効果が小さくなり、大き過ぎると溶接状態が不安定になる場合が生じる。したがって、増加率は、溶接状態が不安定にならない範囲で短絡を早期に発生させる効果を奏する値に設定される。数値例を挙げて説明すると、定常送給速度が10m/minであり、増加率が130%のときは、溶滴状態判別信号MdがHighレベルになると、送給速度は13m/minに速くなる。
上述した実施の形態2によれば、実施の形態1における溶接電流の低下(溶滴状態判別信号MdがHighレベルに変化したこと)に同期して、溶接ワイヤの送給速度を速くする。これにより、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果を奏する。ガスの噴出によって溶滴が押し上げられた状態になったときに、実施の形態1のように溶接電流を低下させると、溶滴への押し上げ力が弱くなるので、溶滴の押し上げられた状態が緩和して、下方に垂れ下がった状態へと変化する。さらに、溶接電流を低下させると、溶接ワイヤの溶融速度が小さくなるので、アーク長は短くなる。これに加えて、実施の形態2では、送給速度が速くなるので、アーク長が急速に短くなる。これらの結果、実施の形態1よりも短絡がより早期に発生するようになり、アーク期間が安定状態のときよりも長くなることをより抑制することができる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
AMP 誤差増幅回路
Amp 誤差増幅信号
DCL 直流リアクトル
DER 電圧低下幅設定回路
E 出力電圧
ECR 出力電圧制御設定回路
Ecr 出力電圧制御設定信号
ED 出力電圧検出回路
Ed 出力電圧検出信号
ER 出力電圧設定回路
Er 出力電圧設定信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FCR 送給速度制御設定回路
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
Iw 溶接電流
MD 溶滴状態判別回路
Md 溶滴状態判別信号
PMC 電源主回路
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vw 溶接電圧
WM 送給モータ
ΔEr 電圧低下幅設定信号

Claims (3)

  1. 溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返すアーク溶接に使用する溶接電源にあって、溶接電圧をフィードバック制御して溶接電源の出力を制御する溶接電源の出力制御方法において、
    前記アーク期間中に、前記溶接電圧の変化率が予め定めた基準値以上となる現象が2以上の所定回数繰り返されたときは、溶接電流を次の前記短絡期間の開始時点まで低下させ、前記溶接電流の低下に同期して、溶接ワイヤの送給速度を速くする、
    ことを特徴とする溶接電源の出力制御方法。
  2. 前記溶接電流の低下は、時間経過に伴って連続的に低下する波形である、
    ことを特徴とする請求項1記載の溶接電源の出力制御方法。
  3. 前記送給速度は時間経過に伴って連続的に速くなる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接電源の出力制御方法。
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