JP6055596B2 - ホール素子 - Google Patents

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Description

本発明は、ホール素子に関し、具体的には、電極端の形状が順テーパーであるホール素子に関する。
ホール素子は、InSb、InAs、GaAs等の半導体のホール効果を利用した磁気センサーである。ホール素子は、磁場をホール出力電圧に変換することにより、磁場強度を検出する磁気センサーであり、モーター、非接触スイッチ等に幅広く利用されている。
ホール素子に関する従来技術として、n型GaAs薄膜をホール素子形成に必要な部分(入力抵抗部および出力抵抗部)以外は全て基板まで除去し、ホール素子電極の材料は特定金属によって構成され、ホール素子表面の少なくとも入力抵抗部および出力抵抗部全体を保護膜で隙間無く覆う構造がある(特許文献1を参照)。
図1に示すように、特許文献1には、半絶縁性GaAs基板10と、半絶縁性GaAs基板10上に形成されたアンドープGaAsバッファ層11と、アンドープGaAsバッファ層11上に形成された活性領域を構成するN型GaAs層12と、N型GaAs層12上の所定位置に形成されたオーミック接続領域を構成するN+型GaAs層13と、N+型GaAs層13に接続されたオーミック電極16aと、酸化シリコン等の保護膜18と、アルミニウム等の外部接続用電極19とから成るホール素子の構造が開示されており、一定の信頼性と十分な生産性とを併せ持つホール素子を実現している。
特許第3006274号明細書
しかしながら、近年、産業用機械などにおいて、より高精度に位置制御する必要があり、位置を検出するセンサーも微少な変化を検出することが要求されている。このため、このような極めて高い精度を要求する用途においては、出力に重なって出力されるオフセット電圧の変動を小さくする必要がでてきている。例として、このような高信頼性の要求されるホール素子において、信頼性試験実施後の感度の変動量に関しては、3%以下であることが必要である。しかし、図1に示すホール素子の構成では、電極16aの側面が基板10に対して垂直になっているため、保護膜を成長させる際に電極側面には原料ガスが十分に供給されない。これにより、側面の保護膜の被覆性が相対的に低下し、十分な信頼性が得られない場合がある。
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、電極端部の形状をテーパー状にすることで保護膜の被覆性を向上させ、従来のホール素子と比べて高い信頼性を有するホール素子を提供することを目的とする。
本発明は、半導体基板と、半導体基板上に形成されたメサ形状のn型導電層から成る活性層と、オーミック電極と、活性層と、オーミック電極の端部とを覆う保護膜とから成るホール素子であり、オーミック電極の端部の形状は、順テーパー形状であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、順テーパー形状のテーパー角度は、5°以上50°以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、オーミック電極の厚さは、400nm以上800nm以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、保護膜の膜厚は、100nm以上400nm以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする。
本発明は、半導体基板上に金属から成るオーミック電極を蒸着により形成するステップと、オーミック電極の端部を全て覆うように保護膜を形成するステップと、保護膜をエッチングしてオーミック電極の一部を露出させるステップとを備えたホール素子の製造方法であり、オーミック電極の端部は、保護膜によって全て覆われていることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、半導体基板上に金属から成るオーミック電極を蒸着により形成するステップは、金属を基板の法線から10°以上35°以下の角度だけ傾けた角度から入射できるように蒸着源を配置するステップを備えることを特徴とする。
本発明に係るホール素子では、電極の端部の形状を順テーパー形状にすることにより、電極を覆う保護膜の被覆性を向上させる。これにより、高信頼性を有するホール素子を実現することができる。
従来技術に係るホール素子の構造を示す断面図である。 本発明に係るホール素子の構造を示す断面図である。 本発明に係るホール素子の製造方法を示す工程フロー図である。
図2は、本発明の実施形態に係るホール素子の構造を示す断面図である。図2に示すように、本発明に係るホール素子は、半導体基板21と、半導体基板21上に形成されたメサ形状のn型導電層から成る活性層22と、オーミック電極23と、活性層22およびオーミック電極23の端部を覆う保護膜24とから構成されている。
オーミック電極23は、半導体基板21とコンタクトを取る電極であり、図示していないが、ボンディングワイヤ等により外部電極と接続される。保護膜24は、半導体基板21の感磁部を保護するための膜である。
図2に示すように、本発明においてはオーミック電極23の端部の形状が順テーパー形状、すなわち、オーミック電極23の上面の幅よりオーミック電極23と半導体基板21との界面の幅が広くなるような形状となっている。ここで、テーパー角度が5°未満の場合、テーパー形状のオーミック電極端部において、オーミック電極と半導体基板との電気的な接触が不安定となりホール素子の特性に悪影響を与える可能性がある。またテーパー角度が50°より大きい場合、テーパー部に形成する保護膜の膜質が悪化する傾向にある。従って、テーパー角度は、5°以上50°以下とすることが好ましい。
以上のように、オーミック電極の端部の形状を順テーパー形状とすると、電極端部が従来技術に係るホール素子のように垂直である場合と比較して、化学気相成長(CVD)法で形成する保護膜の原料ガスが電極の側面にも均一に供給され、保護膜を均一に成長させることが可能となる。これにより、理想的な膜質を持つ保護膜を素子全面に成長させることができ、従来に比べて高い信頼性を得ることができる。
また、本発明において、保護膜の膜厚を100nm未満とした場合、保護膜の透水性が悪化する傾向がある一方、保護膜の膜厚を400nmより厚くした場合、膜の応力が大きくなり保護膜の剥がれが生じやすい。従って、保護膜の厚さは100nm以上400nm以下であることが好ましい。
さらに、本発明において、電極の厚さを400nm未満とした場合、ホール素子の特性が悪化する傾向がある一方、電極の厚さを800nmより厚くした場合、リフトオフ性が悪化する。従って、電極の厚さは400nm以上800nm以下であることが好ましい。
図3を参照しながら、本発明に係るホール素子の製造方法を説明する。図3は、本発明に係るホール素子の製造方法の一例を示す工程フロー図である。
先ず、素子の基板となる半導体基板31の表面に活性層32を形成する(図3(a))。次いで、リソグラフィによって感磁部を形成する(図3(b))。次いで、厚さ約2.7μmの、逆テーパー状のレジスト33を形成する(図3(c))。次いで、AuGe、Ni、Auを順に蒸着する。AuGe、Ni、およびAuから成る電極34は全体でおよそ650nmの厚さである(図3(d))。ここで、蒸着の際に原料を基板に対して斜め方向から入射させることで、端部が順テーパー形状の電極を得た。このとき、電極端のテーパー角度は5°以上50°以下とすることが好ましいことは前述したが、このような電極端のテーパー角度を実現するためには蒸着金属を基板の法線から10°以上35°以下の角度だけ傾けた角度から入射できるように蒸着源を配置することが求められる。電極蒸着後、リフトオフ法により、電極パターンを形成する(図3(e))。次いで、300nmの膜厚を有する保護膜35を全面に形成し、フォトレジストをマスクとしたエッチングによりコンタクト部分を開口する(図3(f))。
上述した方法で、本発明に係るホール素子を作成した。以下、具体的な実施例を説明する。
本実施例では、イオン注入法を用いて活性層を形成する。先ず、半絶縁性GaAs基板上にシリコンイオン(Si+)を加速エネルギー300keV、ドーズ量2.3×1012/cm2(活性化後ピークキャリア濃度が5×1016/cm3位になるようなドーズ量)で注入した。次いで、このシリコンイオンの活性化、さらには欠陥の回復のためにアルシン(AsH3)雰囲気中850℃の温度で10秒間のラピッドアニール処理をし、n型の導電性をもつGaAs活性層を形成した。
加速エネルギーが300keVであるためにキャリア濃度のピークは、表面からの深さおおよそ0.2μmに形成される。深さ0.1μm以下の基板の表面はキャリア濃度5×1015/cm3以下の導電性の小さい表面層を形成する。従って、本実施例では、n型活性層はGaAs基板の表面に接しない。このような処理で形成した活性層のシート抵抗はおおよそ1kΩとなる。
次にフォトレジストを塗布し、十字型の所定のパターンを作り、これをマスクとしてGaAs基板を所定の深さエッチングする。次いで、レジスト剥離液またはO2プラズマを用いた灰化法によりレジストを除去し、ホール素子の感磁部を形成した(図3(b)を参照)。
ホール素子の感磁部を形成した後、この基板の上に、フォトレジストをパターニングし、次いで、AuGeを250nm、Niを50nm、Auを350nmの厚さで蒸着した(図3(c)、図3(d)を参照)。ここで、フォトレジストが現像時に逆テーパー状となるようにリソグラフィの条件を制御し(図3(c)を参照)、さらに電極蒸着の際に金属を供給する方向を調整することにより、テーパー状の電極端部を形成した(図3(d)を参照)。その後、リフトオフ法により、フォトレジストおよびフォオレジスト上の金属を除去し、電極パターンを形成した(図3(e)を参照)。次いで、オーミック性接触を得るために赤外加熱炉で約400℃、5分間の合金化処理をN2ガス雰囲気下で行った。
その後、プラズマCVD法により0.3μmの膜厚を有するSi24等の絶縁膜を240℃で全面に形成した。240℃という低温でのプロセスを採用することにより基板であるGaAsの熱分解はほとんどなかった。次いで、電極金属と外部電極の接続を行う部分のSi24をエッチングするため、フォトレジストを塗布し、外部電極からの接続を確保する部分に穴が開くようにパターンを形成した。しかる後、このフォトレジストをマスクとしてCF4ガスとO2ガスを用いた反応性ドライエッチングによりコンタクト部分を開口した(図3(f)を参照)。次いで、表面のGaAs層をスライトエッチングし除去した。このようにして、一枚の基板上に多数のGaAsホール素子を形成した。
この後、ダイシングを行い個々のGaAsホール素子ペレットに切り離した。次いで、ダイボンド、トランスファーモールドを行い、ホール素子を製作した。
このように製作した素子について、HAST試験(120℃、85%RHの槽中で連続通電200時間(2.5mA通電))実施後の感度の変動量を測定したところ、順テーパー形状の電極端部を持たない従来素子の感度変動量が平均0.2±3.4%だったのに対し、本発明を用いた素子の感度変動量は平均0.4±1.9%となり、必要とされる信頼性を達成することができた。
10 半絶縁性GaAs基板
11 アンドープGaAsバッファ層
12 N型GaAs層
13 N+型GaAs層
16a オーミック電極
18 酸化シリコン等の保護膜
19 アルミニウム等の外部接続用電極
21 半導体基板
22 活性層
23 オーミック電極
24 保護膜
31 半導体基板
32 活性層
33 レジスト
34 電極
35 保護膜

Claims (6)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に形成されたメサ形状のn型導電層から成る活性層と、
    オーミック電極と、
    前記活性層と、前記オーミック電極の端部の全てを覆う保護膜と
    から成るホール素子であって、
    前記保護膜に覆われる前記オーミック電極の端部は、順テーパー形状であることを特徴とするホール素子。
  2. 前記順テーパー形状のテーパー角度は、5°以上50°以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする請求項1に記載のホール素子。
  3. 前記オーミック電極の厚さは、400nm以上800nm以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする請求項1または2に記載のホール素子。
  4. 前記保護膜の膜厚は、100nm以上400nm以下の範囲の何れか1値であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のホール素子。
  5. 半導体基板上に感磁部を形成するステップと、
    逆テーパー状のレジストを形成するステップと、
    前記半導体基板上に金属から成るオーミック電極を蒸着により形成するステップと、
    前記オーミック電極の端部を全て覆うように保護膜を形成するステップと、
    前記保護膜をエッチングして前記オーミック電極の一部を露出させるステップと
    を備えたホール素子の製造方法であって、
    前記半導体基板上に金属から成るオーミック電極を蒸着により形成するステップは、当該金属を基板の法線から10°以上35°以下の角度だけ傾けた角度から入射できるように蒸着源を配置するステップを備えることを特徴とするホール素子の製造方法。
  6. 前記保護膜を形成するステップは、化学気相成長法で形成することを特徴とする請求項5に記載のホール素子の製造方法。
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