以下、発明の実施の形態例を、図面を参照して説明するが、その説明にあたり、便宜上、「特別図柄」の文言については「特図」と省略し、「普通図柄」の文言については「普図」と省略することにする。また、特に断らない限り、「遊技」とは、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる遊技のことを指すものとする。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容される遊技盤3(図3参照)と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。また、図4に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部100、払出・発射制御処理部105、サブ制御処理部200、賞球払出装置14等を備えている。続いて、図1〜図5を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、図3に示すように、その盤面に遊技領域31を有しており、遊技領域31は、本体枠2に装着した後、ガラス板10を介して観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール(図示せず)と遊技球規制レール(図示せず)によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、演出表示装置(演出装置)34と、スルーチャッカ21と、電動チューリップ49と、ステージ(図示せず)と、第1始動入賞口(始動口)37aおよび第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、可動役物(演出装置)50と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、大入賞口42と、アタッカー装置41等が設けられている。また、遊技盤面の右下方の位置には、特図表示装置17と、普図表示装置22とが設けられている。
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bとは上下方向に間隔を空けて設けられており、発射装置9の発射強度が弱〜中のとき(所謂、ぶっこみ狙いで遊技球を発射した場合)には、遊技球は演出表示装置34の左側を流下して第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの何れかに入賞する可能性はある。しかし、第2始動入賞口37bに電動チューリップ49が設けられているため、電動チューリップ49が開放されない限り、第2始動入賞口37bへの入賞は殆ど不可能である。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、画面全体に背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、特図表示装置17に変動表示される第1特図または第2特図と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。さらに、詳しくは後述するが、各種予告演出も表示される。そのための表示領域として、演出表示装置34は、画面上の下部中央にセリフ予告表示領域34cと右側部にステップアップ予告表示領域34dとが形成されている(図21参照)。
なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115a、115bに記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。具体的には、演出表示装置34の左下側に第1特図用保留球乱数記憶部115aに保留球乱数が記憶されたことを表示する第1保留球表示領域34aが設けられ、右下側に第2特図用保留球乱数記憶部115bに保留球乱数が記憶されたことを表示する第2保留球表示領域34bが設けられている。第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞し、当該入賞により取得した特図用乱数が保留球乱数として記憶されたときに主制御処理部100から出力されるコマンドを受けると、これらの保留球表示領域34a,bに白色で保留球の表示がなされる。
可動役物50は、液晶表示装置34の上部に配置され、特定の遊技中に上下方向に微動して大当たりであるか否か示唆するための予告演出を行うものであって、本発明の「演出装置」に相当するものである。また、この可動役物50は、演出表示装置34の画面を遮るように落下して大当たりの可能性が極めて高いことを示唆する場合もある。このように、可動役物50は、上下方向に動いて大当たりの期待を煽る可動式の役物である。なお、大当たりの期待度と可動役物50の動作の関係については、後述する。
特図表示装置17は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果を表示するためのものである。より具体的には、特図表示装置17は、特図に係る抽選結果を、第1特図あるいは第2特図(例えば、数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示する。本実施形態では、特図表示装置17として7セグメント表示器が用いられている。この特図表示装置17は、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。そして、7セグメント表示器を点滅表示させることにより特図が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで特図の変動が停止する。この点滅中の時間が、特図(第1特図、第2特図)の変動時間である。
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技との優先順位は、遊技球の入賞順である。例えば、先に第1始動入賞口37aに遊技球が入賞し、その次に第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合には、まず第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に電子抽選を行い、その抽選結果に応じた遊技が実行され、その遊技結果が確定した後に第2始動入賞口37bへの遊技球の入賞に基づく遊技が実行されることになる。そのため、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの両方の抽選結果を同時に表示することはない。よって、2つの始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことに基づく抽選の結果を1つの特図表示装置17で表示している。勿論、特図表示装置17を別個に2つ設けることもできることは言うまでもない。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普図に係る電子抽選の結果を表示するための普図表示装置22が、特図表示装置17の隣に設けられている。この普図表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。なお、2つのLEDランプを交互に点滅表示させることにより普図が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで普図の変動が停止する。この点滅中の時間が、普図の変動時間である。
なお、特図表示装置17の表示制御は、主制御処理部100の第1特図表示制御部101aおよび第2特図表示制御部101bによって行われ、普図表示装置22の表示制御は、主制御処理部100の普図表示制御部102によって行われている(図5参照)。
電動チューリップ49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されると、遊技球は容易に第2始動入賞口37bに入賞する。
また、ステージは、図示しないが、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージの中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には第1始動入賞口37aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口37aへと導かれる。
アタッカー装置41は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合と、小当たりとなって小当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置であると共に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合にも所定回数開放される装置でもある。つまり、アタッカー装置41は、両始動入賞口37a,37bでの抽選結果に応じて作動する。
そして、このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈されるから、遊技者は、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる。
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数(例えば16ラウンド)だけ開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口42に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。一方、詳しくは後述するが、2ラウンド(R)の大当たり遊技に移行した場合と、小当たり遊技に移行した場合とでは、アタッカー装置41が2回(2ラウンド)開放するものの、その開放時間が短いため、大入賞口42内に遊技球が入賞することは極めて困難である。なお、大入賞口42は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置41の蓋部材は、この大入賞口42の形状とほぼ同じ形状を成している。
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41の何れにも入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43a,43b,44,45(図5参照)が設けられている。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が本体枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作する演出用タッチボタン(操作部)60が設けられている。
主制御処理部100は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御処理部100は、CPU(Central Processing Unit)、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等により構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図5に示すように、主制御処理部100は、始動入賞口37a,37bに遊技球が入賞したことを契機に特図の当否に係る抽選を行う特図抽選処理部(特別図柄抽選手段)110と、この特図抽選処理部110による抽選で大当たりに当選した場合に、その当選に係る特図の種類を抽選で決定する特図種類決定処理部120と、特図の変動時間に関する情報を含むコマンドである変動パターンコマンドを決定するための特図変動パターンコマンド決定部130と、所定条件が成立したことに基づいて、特図に係る遊技状態および普図に係る遊技状態をそれぞれ設定する遊技状態設定部140と、特図抽選処理部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合に、特図種類決定処理部120で決定した特図の種類に応じてアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160とを備えている。この大当たり遊技制御部160は、小当たりに当選した場合にも、アタッカー装置41を所定の態様で作動させるよう制御している。
さらに、主制御処理部100は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普図の当否に係る抽選を行う普図抽選処理部170と、普図の変動時間を決定するための普図変動時間決定部190と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、第1特図表示装置17aの表示制御を行う第1特図表示制御部101aと、第2特図表示装置17bの表示制御を行う第2特図表示制御部101bと、普図表示装置22の表示制御を行う普図表示制御部102と、を備えて構成されている。
特図抽選処理部110は、図6に示すように、周期的に入力されるクロック信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜65535までの範囲)で1ずつ更新させることによりハードウェア乱数を生成する特図当否判定用乱数発生部111と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、第1特図の当否に係る抽選を行う第1特図当否抽選部119aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、第2特図の当否に係る抽選を行う第2特図当否抽選部119bとを備えて構成されている。
なお、本実施形態において、ハードウェア乱数の乱数生成に係る更新速度は、後述のソフトウェア乱数の更新速度と比較して速くしており、抽出されるカウンタ値(所謂、擬似乱数)のランダム性を向上させている。
第1特図当否抽選部119aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図当否判定用乱数発生部111で発生した特図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特図当否判定用乱数取得部112aと、この第1特図当否判定用乱数取得部112aが取得した乱数が大当たりあるいは小当たり(何れも特図当たり)であるか否かを、第1特図高確率判定テーブル116aまたは第1特図低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特図当否判定部113aと、第1特図当否判定用乱数取得部112aが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を第1特図に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特図用保留球乱数記憶部115aとを備えている。
ここで、第1特図高確率判定テーブル116aは、第1特図低確率判定テーブル117aよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第1特図高確率判定テーブル116aは、大当たりの当選確率がおよそ1/30、第1特図低確率判定テーブル117aは、大当たりの当選確率がおよそ1/300に設定されている。つまり、第1特図高確率判定テーブル116aの方が、第1特図低確率判定テーブル117aに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
より具体的には、図7に示すように、第1特図の当否判定の結果は、第1特図低確率判定テーブル117aが参照される場合、特図当否決定用乱数の値が0〜217までのときに大当たりとなり、その値が218〜65000までのときにハズレとなり、その値が65001〜65535までのときに小当たりとなる。また、第1特図高確率判定テーブル116aが参照される場合、その当否判定の結果は、特図当否決定用乱数の値が0〜2170までのときに大当たりとなり、その値が2171〜65000までのときにハズレとなり、その値が65001〜65535までのときに小当たりとなる。つまり、第1特図の当否判定では、大当たり、小当たり、またはハズレの何れかとなる。なお、小当たりの確率は、第1特図高確率判定テーブル116aと第1特図低確率判定テーブル117aとで同じである。
第2特図当否抽選部119bも第1特図当否抽選部119aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図当否判定用乱数発生部111で発生した特図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特図当否判定用乱数取得部112bと、この第2特図当否判定用乱数取得部112bが取得した乱数が大当たり(特図当たり)であるか否かを、第2特図高確率判定テーブル116bまたは第2特図低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特図当否判定部113bと、第2特図当否判定用乱数取得部112bが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を第2特図に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特図用保留球乱数記憶部115bとを備えている。
ここで、第2特図高確率判定テーブル116bは、第2特図低確率判定テーブル117bよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第2特図高確率判定テーブル116bは、大当たりの当選確率がおよそ1/30、第2特図低確率判定テーブル117bは、大当たりの当選確率がおよそ1/300に設定されている。つまり、第2特図高確率判定テーブル116bの方が、第2特図低確率判定テーブル117bに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。なお、第2特図高確率判定テーブル116bと第2特図低確率判定テーブル117bの構成は、それぞれ第1特図高確率判定テーブル116aと第1特図低確率判定テーブル117aと同じであるため、各テーブルの詳細についての説明は省略する。
また、説明の便宜上、これ以降の説明において、第1特図当否抽選部119aが第1特図低確率判定テーブル117aを参照して第1特図の当否に係る抽選を行い、第2特図当否抽選部119bが第2特図低確率判定テーブル117bを参照して第2特図の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図低確」といい、第1特図当否抽選部119aが第1特図高確率判定テーブル116aを参照して第1特図の当否に係る抽選を行い、第2特図当否抽選部119bが第2特図高確率判定テーブル116bを参照して第2特図の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図高確」ということにする。
次に、特図種類決定処理部120について説明する。上述した特図抽選処理部110が大当たり(または小当たり)に当選しているか否か(特図の当否)を決定するものであるのに対して、特図種類決定処理部120は、特図の種類を決定するためのものである。つまり、本実施形態では、特図に関する大当たり/小当たり/ハズレの決定は特図抽選処理部110によって行われるが、大当たりの内容(種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)は特図種類決定処理部120によって決定される構成となっている。なお、上記した大当たりの内容についての詳細は後述する。
特図種類決定処理部120は、図8に示すように、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜399までの範囲)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特図種類決定用乱数発生部121と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第1特図の種類を決定するための第1特図種類抽選部129aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第2特図の種類を決定するための第2特図種類抽選部129bと、を備えて構成されている。
第1特図種類抽選部129aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図種類決定用乱数発生部121で発生した特図種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特図種類決定用乱数取得部122aと、この第1特図種類決定用乱数取得部122aが取得した乱数から、第1特図種類決定テーブル125aを参照して第1特図の種類を決定する第1特図種類決定部123aと、第1特図種類決定用乱数取得部122aが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特図種類決定用乱数記憶部124aと、を備えている。
第1特図種類決定テーブル125aは、図9に示すように、特図種類決定用の乱数と第1特図の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成している。具体的には、2R特定時短有図柄、16R特定時短有図柄1、16R特定時短有図柄2、2R通常時短無図柄、16R通常時短有図柄1、および16R通常時短有図柄2の合計6種類の第1特図が第1特図種類決定テーブル125aに格納されており、これら6種類の第1特図のそれぞれに特図種類決定用乱数0〜399までの値が対応付けられている。そして、各第1特図に割り当てられる特図種類決定用乱数値の範囲が異なるテーブル構成となっているから、第1特図のそれぞれが第1特図種類決定部123aによって選択される確率は異なるものとなる。
より詳細に説明すると、第1特図種類決定テーブル125aに格納された6種類の第1特図のうち、特図種類決定用乱数の値が0〜19までのものに対して「2R特定時短有図柄」が対応付けられており、当該乱数値が20〜119に対して「16R特定時短有図柄1」が、当該乱数値が120〜199までのものに対して「16R特定時短有図柄2」が、当該乱数値が200〜219までのものに対して「2R通常時短無図柄」が、当該乱数値が220〜319に対して「16R通常時短有図柄1」が、当該乱数値が320〜399までのものに対して「16R通常時短有図柄2」が、それぞれ対応付けられている。
なお、詳しくは後述するが、特図の種類のうち、「2R」は大当たり遊技のラウンド数が2ラウンドであることを、「16R」は大当たり遊技のラウンド数が16ラウンドであることを、「特定」は所謂、確変当たり(潜伏確変を含む)を、「通常」は所謂、通常当たりを、「時短有」は、電動チューリップ49が高確率で開放される遊技状態(所謂、電サポ)が所定の遊技回数に亘って付与されること、「時短無」は、前記電サポが付与されないこと、をそれぞれ示している。なお、「時短有」の意味は、普図高確及び/又は1ゲームあたりの図柄変動時間の短縮化などに基づいて行われる電動チューリップの開放サポート遊技が付与されることであると言うこともできる。
この図9から明らかなように、「2R特定時短有図柄」に対応付けられた乱数の個数は、全体で400個の特図種類決定用乱数のうち20個であるから、「2R特定時短有図柄」が選択される確率は、20/400x100=5%である。その他の第1特図の選択確率についても同様にして求められ、「16R特定時短有図柄1」の選択確率は25%、「16R特定時短有図柄2」の選択確率は20%、「2R通常時短無図柄」の選択確率は5%、「16R通常時短有図柄1」の選択確率は25%、「16R通常時短有図柄2」の選択確率は20%となっている。
また、第2特図種類抽選部129bも第1特図種類抽選部129aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図種類決定用乱数発生部121で発生した特図種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特図種類決定用乱数取得部122bと、この第2特図種類決定用乱数取得部122bが取得した乱数から、第2特図種類決定テーブル125bを参照して第2特図の種類を決定する第2特図種類決定部123bと、第2特図種類決定用乱数取得部122bが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特図種類決定用乱数記憶部124bと、を備えている。
第2特図種類決定テーブル125bは、図9に示すように、特図種類決定用の乱数と第2特図の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成しているが、その構成は第1特図種類決定テーブル125aと同じであるため、ここでの説明は省略する。
次に、普図抽選処理部170について説明する。この普図抽選処理部170は、図10に示すように、乱数を発生させる普図当否判定用乱数発生部171と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普図に係る抽選を行って当否を判定するための普図当否抽選部177とを備えて構成されている。普図当否判定用乱数発生部171は、特図当否判定用乱数発生部111と同じ構成から成るものである。また、普図当否抽選部177は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、普図当否判定用乱数発生部171で発生した普図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する普図当否判定用乱数取得部172と、この普図当否判定用乱数取得部172が取得した乱数が普図当たりであるか否かを、判定テーブルを参照して決定する普図当否判定部173と、普図当否判定用乱数取得部172が乱数を取得したときに普図が変動中である場合に、この取得した乱数を上限4個まで普図に係る保留球乱数として記憶する普図用保留球乱数記憶部174と、判定テーブルとして、普図当たりに当選する確率が低い普図低確率判定テーブル176と、この普図低確率判定テーブル176よりも普図当たりに当選する確率が高い普図高確率判定テーブル175とを備えている。
ここで、普図高確率判定テーブル175は、普図低確率判定テーブル176よりも普図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、普図高確率判定テーブル175は、普図当たりの当選確率が1/1.1、普図低確率判定テーブル176は、普図当たりの当選確率が1/20に設定されている。つまり、普図高確率判定テーブル175の方が、普図低確率判定テーブル176に比べて格段に普図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。そして、普図高確率判定テーブル175を参照して抽選が行われると、殆どの場合、普図当たりに当選することになる。
また、説明の便宜上、これ以降の説明において、普図当否抽選部177が普図低確率判定テーブル176を参照して普図に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図低確」といい、普図当否抽選部177が普図高確率判定テーブル175を参照して普図に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図高確」ということにする。
次に、図5に示す電動チューリップ作動制御部180は、普図抽選処理部170による抽選で普図当たりに当選した結果に基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。この電動チューリップ作動制御部180は、普図高確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間1.2秒(インターバル0.8秒)で2回開放する(つまり、1.2秒開放→0.8秒閉鎖→1.2秒開放の順となる)よう制御し、普図低確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間0.2秒で1回開放するよう制御している。よって、普図高確中は、上述したように、普図抽選処理部170による抽選が行われる度に、殆ど普図当たりに当選し、その当選により電動チューリップ49が1.2秒x2回開放されるため、遊技者は、電動チューリップ49内に遊技球を比較的容易に入賞させることができる。従って、普図高確中は、遊技球をあまり減らすことなく遊技を行うことができる。
さて、本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技状態として、「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の4つの状態が予め用意されている。「低確」は、特図低確および普図低確の遊技状態から成り、「内確」は、特図高確および普図低確の遊技状態から成り、「時短」は、特図低確および普図高確の遊技状態から成り、「確変」は、特図高確および普図高確の遊技状態から成るものである。
本実施形態では、先に述べた特図(第1特図または第2特図)の種類が決定されると、その特図と上記の各遊技状態とから、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数(時短回数)、および、アタッカー開放パターンが決まるようになっている。これについて、図11を参照しながら、以下、詳しく説明を行っていくことにする。
図11に示すように、各特図の種類には、それぞれ、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数、およびアタッカー開放パターンを規定した大当たりパターンが予め対応付けられている。
ここで、「大当たり種別」とは、大当たり遊技後の特図に係る遊技状態を特図低確とする「通常当たり」と、特図高確とする「確変当たり」との何れにするかを定めたものである。通常当たりの場合には、その後の遊技状態が特図低確となるので、なかなか次の大当たりに当選しないが、確変当たりの場合、その後の遊技状態が次回の大当たりまで(即ち、大当たり後の遊技回数が10000回に到達するまで)特図高確となるので、直ぐに次の大当たりに当選する可能性が高い。
「ラウンド数」とは、大当たり遊技中にラウンド遊技が何回実行されるかを定めたものである。本実施形態では、大当たり遊技中のラウンド遊技の回数が2ラウンド(R)または16ラウンド(R)に定められているが、以下に説明するように、同じ16ラウンドであっても、アタッカー開放パターンが異なるため、獲得できる賞球数に差がある。
「アタッカー開放パターン」とは、大当たり遊技中のアタッカー装置41の開放パターンを定めたものであり、「フル開放」はアタッカー装置41が16ラウンド分長時間開放されるパターンであるのに対して、「一部高速開放」はアタッカー装置41が4ラウンド分は長時間開放されるものの、残りの12ラウンド分は短時間しか開放されないパターンである。また、「高速開放」はアタッカー装置41が2ラウンド分短時間での開放が行われるパターンである。
この点について、具体的に説明すると、「フル開放」では、1回のラウンド遊技が、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口72に10個(所定個数)の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容となっており、このラウンド遊技が16回(ラウンド)行われる。よって、遊技者は、多くの賞球の獲得が可能である。
「一部高速開放」では、ラウンド遊技が16回(ラウンド)行われる点では、「フル開放」と同じであるが、1〜4ラウンド目までと5〜16ラウンド目までとでは、ラウンド遊技の終了条件が異なっている。詳細に説明すると、1〜4ラウンド目は、「フル開放」と同じように、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口72に10個の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容となっている。
これに対して、5〜16ラウンド目までは、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口72に10個の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから0.2秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容になっている。つまり、高速開放の場合、1〜4ラウンド目までは多少の賞球の獲得が見込めるが、5〜16ラウンド目までは、アタッカー装置41が1ラウンドで最大0.2秒間しか開放されないため、賞球の獲得が見込めない。
また、「高速開放」は、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口72に10個の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから0.2秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容になっており、このラウンド遊技が2回(ラウンド)行われる。よって、高速開放の場合、2回のラウンドにおいて殆ど賞球が見込めない。
このようにアタッカー開放パターンが「フル開放」と「一部高速開放」と「高速開放」とで異なっているため、「フル開放」では、約1600個の賞球を獲得できるが、「一部高速開放」では約400個しか賞球を獲得できず、「高速開放」では賞球の獲得は約0個である。
なお、このアタッカー装置41の作動を制御して、特図の種類に応じたアタッカー開放パターンで大当たり遊技を提供しているのが、大当たり遊技制御部160である。ちなみに、この大当たり遊技制御部160は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に行われる抽選で小当たりに当選した場合には、小当たり遊技を提供する制御も行っている。具体的には、小当たり遊技に移行すると、1回のラウンド中に、アタッカー装置41を0.2秒間開放する動作を2回繰り返して行うよう制御している。
なお、小当たり遊技の終了後において、その小当たりに当選したときの遊技状態を引き継ぐ当該終了後の遊技状態となるようにしてもよい。この場合は、殆ど賞球が見込めないアタッカー装置41の開放となるため、実質的にハズレの扱いとする制御となる。
また、「電サポ回数」とは、電動チューリップ49によるサポートを受けながら遊技を行うことができる遊技回数のことであり、より詳しくは、遊技状態が普図高確の状態で、特図抽選処理部110による抽選を行うことのできる回数(遊技回数)のことである。なお、本実施形態では、電サポ回数は、0回(電サポが付与されない)、30回、100回、および10000回(次回まで)の4種類が設けられているが、設定された電サポ回数に到達する前に大当たりに当選すると、その時点で残りの電サポ回数は消滅し、そして新たに当選した際に決定した特図の種類に応じた電サポ回数が付与されるようになることは言うまでもない。
ここで、本実施形態では、特図低確時の当選確率が1/300であり、特図高確時の当選確率が1/30となっているから、10000回も遊技を行う間には、ほぼ間違いなく大当たりに当選する。つまり、次回の大当たりに当選するまでの遊技回数が10000回を超えることは皆無である。よって、電サポ回数が10000回付与されるということは、次回の大当たり当選まで「普図高確」が継続することと等しいと言えるものである。そして、電サポ回数が10000回に決定されると、遊技球をあまり減らすことなく大当たりが連荘することが実質上、確定することになる。
このように、大当たりパターンは、大当たり種別と、ラウンド数と、アタッカー開放パターンと、電サポ回数とが規定された内容で構成されており、特図の種類が決定されると、その種類に応じた大当たりパターンに従って遊技の制御が行われることとなる。なお、特図の種類と大当たりパターンの対応関係は以下の通りである。
「2R特定時短有図柄」は、確変当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」の場合、電サポ回数が0回となり、大当たり時の遊技状態が「内確」、「時短」、「確変」の場合には電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が2ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「高速開放」となり、1回の大当たり遊技で獲得できる賞球はおよそ0個(出玉なし)の大当たりパターンに対応している。
そのため、遊技状態が「低確」中に大当たりに当選し、その当選時の特図の種類が「2R特定時短有図柄」の場合、大当たり遊技後の遊技状態が特図高確に移行されるものの、電サポが付与されないため、見た目には遊技状態が特図低確と特図高確の何れであるのかを遊技者は識別できない。よって、「2R特定時短有図柄」は、低確中の場合には、潜伏確変となる図柄である。
「16R特定時短有図柄1」は、確変当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が16ラウンド(実質4ラウンド)で、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「一部高速開放」となり、1回の大当たり遊技でおよそ400個の出玉のある大当たりパターンに対応している。
「16R特定時短有図柄2」は、確変当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が16ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「フル開放」となり、1回の大当たり遊技でおよそ1600個の出玉のある大当たりパターンに対応している。
「2R通常時短無図柄」は、通常当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が0回となり、ラウンド数が2ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「高速開放」となり、1回の大当たり遊技で獲得できる賞球はおよそ0個(出玉なし)の大当たりパターンに対応している。よって、特図の種類が「2R特定時短有図柄」の場合、大当たり遊技後に有利な特典が付与されることなく遊技状態が低確に転落することになる。
「16R通常時短有図柄1」は、通常当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が30回となり、ラウンド数が16ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「一部高速開放」となり、1回の大当たり遊技でおよそ400個(実質4ラウンド分)の出玉のある大当たりパターンに対応している。
「16R通常時短有図柄2」は、通常当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確」、「内確」、「時短」、「確変」の何れの場合においても電サポ回数が100回となり、ラウンド数が16ラウンドで、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが「フル開放」となり、1回の大当たり遊技でおよそ1600個の出玉のある大当たりパターンに対応している。
ここで、上記の特図の種類と大当たりパターンとの対応関係については、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合とで同じである。即ち、何れの始動入賞口に遊技球が入賞しても、その入賞を契機に決定される特図の種類が同じであれば、それに対応する大当たりパターンも同じとなる。
次に、特図の変動時間を決定するための処理について説明する。特図の変動時間は、変動パターンコマンドというコマンドに含まれており、特図変動パターンコマンド決定部130が遊技の開始時に変動パターンコマンドを決定することにより、その遊技に係る特図の変動時間が決定されるようになっている。
特図変動パターンコマンド決定部130は、図12に示すように、変動パターンコマンドの決定に用いる変動パターン用乱数を発生させるための特図変動パターン用乱数発生部131と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づいて第1変動パターンコマンドを決定するための第1特図変動パターン抽選部130aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づいて第2変動パターンコマンドを決定するための第2特図変動パターン抽選部130bと、を備えて構成されている。
特図変動パターン用乱数発生部131は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば0〜999まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
第1特図変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、特図変動パターン用乱数発生部131にて発生した特図変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第1特図変動パターン用乱数取得部132aと、この第1特図変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数から、特図共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して第1変動パターンコマンドを決定する第1特図変動パターン決定部135aと、第1特図または第2特図が変動中の場合に、第1特図変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数を上限4個まで記憶する第1特図変動パターン用乱数記憶部133aと、を備えて構成されている。なお、第1特図変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が1個入賞すると、第1特図当否抽選部119aと同様に、その入賞につき1つの特図変動パターン用乱数を取得する。
第2特図変動パターン抽選部130bも第1特図変動パターン抽選部130aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、特図変動パターン用乱数発生部131にて発生した特図変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第2特図変動パターン用乱数取得部132bと、この第2特図変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数から、特図共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して第2変動パターンコマンドを決定する第2特図変動パターン決定部135bと、第1特図または第2特図が変動中の場合に、第2特図変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数を上限4個まで記憶する第2特図変動パターン用乱数記憶部133bと、を備えて構成されている。なお、第2特図変動パターン抽選部130bは、第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞すると、第2特図当否抽選部119bと同様に、その入賞につき1つの特図変動パターン用乱数を取得する。
特図共通変動パターンコマンドテーブル134は、第1特図変動パターン抽選部130aおよび第2特図変動パターン抽選部130bの両方の抽選部が共通で用いるテーブルであって、図13に示すように、通常変動パターンテーブル134aおよび短縮変動パターンテーブル134bを備えている。通常変動パターンテーブル134aは、遊技状態が「低確」、「内確」の場合に用いられ、短縮変動パターンテーブル134bは、遊技状態が「時短」、「確変」の場合に用いられる。なお、電源投入後の初期状態やRAMクリア時は遊技状態が低確であるから、通常変動パターンテーブル134aが参照される。
変動パターンテーブル134a,134bは、特図1(第1特図)および特図2(第2特図)の変動時間が規定されている(つまり、第1特図の変動時間に関するテーブルと第2特図の変動時間に関するテーブルとを有している)と共に、特図1と特図2とがそれぞれ特有の変動時間となるよう設定されている。そこで、以下、各テーブルの変動時間の特徴について、図14を用いて説明することにする。
まず、通常変動パターンテーブル134aは、保留記憶数(保留球乱数の記憶数)に応じて特図1の主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特図用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特図1の主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特図1の主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が3個の場合、特図1の主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が4個の場合、特図1の主要変動時間は4秒に設定されている。つまり、保留記憶数が多くなると、主要変動時間は短くなるように設定されている。さらに、通常変動パターンテーブル134aには、特図2についての主要変動時間が特図1と全く同一の時間となるように規定されている。なお、この主要変動時間とは、リーチが成立しない(または、リーチ扱いとならない)通常のハズレ変動時間のことである。
また、この通常変動パターンテーブル134aは、リーチとなる確率が特図1、特図2共に1/10に設定され、さらに、リーチ時の変動時間が特図1、特図2共に20秒〜120秒に設定されている。なお、大当たりのときには、必ずリーチ時の変動時間が選択される。
短縮変動パターンテーブル134bは、保留記憶数に応じて特図1の主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特図用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特図1の主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特図1の主要変動時間は4秒に設定され、保留記憶数が3個および4個の場合、特図1の主要変動時間は2秒に設定されている。短縮変動パターンテーブル134bにおいても、保留記憶数が多くなると、主要変動時間は短くなるように設定されている。さらに、短縮変動パターンテーブル134bには、特図2についての主要変動時間が特図1と全く同一の時間となるように規定されている。
また、この短縮変動パターンテーブル134bは、リーチとなる確率が特図1、特図2共に1/20に設定され、さらに、リーチ時の変動時間が特図1、特図2共に60秒〜120秒に設定されている。なお、大当たりのときには、必ずリーチ時の変動時間が選択される。
次に、変動パターンコマンドの具体例について、図15および図16を参照しながら説明する。なお、図15および図16中の「擬似連」とは、複数の演出図柄の変動が開始されてから特図抽選処理部110による抽選結果に対応した特定の停止態様で複数の演出図柄が停止表示されるまでの間に、特定の停止態様以外の態様(本実施例ではG図柄。図22参照)で複数の演出図柄を仮停止させ、その後再び複数の演出図柄の変動を開始させるという擬似変動表示を所定回数(擬似連回数)行うという内容で構成された演出のことであり、本発明の「特殊演出」に相当するものである。さらに言うと、擬似連1回の演出は本発明の「低期待度特殊演出」にも相当し、擬似連3回の演出は本発明の「高期待度特殊演出」にも相当するものである。
そして、変動パターンコマンドの内容として、「擬似連」が1回〜3回の何れかと規定されている場合に、演出表示装置34にて擬似連演出が実行される。即ち、「擬似連」ありと規定された変動パターンコマンドが、本発明の「特殊演出」を実行させるための特殊変動パターンコマンドである。なお、擬似連演出の詳細は後述する。
図15および図16は、通常変動パターンテーブル134aについての特図変動パターン用乱数と変動パターンコマンドとの対応関係、および各変動パターンコマンドに規定されたリーチ内容と変動時間を例示したものである。なお、図15および図16には、代表的な変動パターンテーブルのみを挙げている。即ち、通常変動パターンテーブル134aおよび短縮変動パターンテーブル134bは、それぞれ大当たりの場合には特図の種類に応じた複数の変動パターンテーブルを有しており、ハズレの場合には保留記憶数に応じた複数の変動パターンテーブルを有しているが、図15および図16では、それらの変動パターンテーブルのうち一部のみを示している。また、同図において、「リーチ内容」の欄に、ノーマル系リーチ、ロング系リーチ、対決系リーチ、ストーリー系リーチ、実写系リーチとの記載があるが、これらはリーチ演出の種類を示している。
図15は、大当たりかつ特図の種類が16R特定時短有図柄1である場合に参照される通常変動パターンテーブル134a−1を示している。図15に示すように、通常変動パターンテーブル134a−1には、特図変動パターン用乱数の値と変動パターンコマンドの種類およびその内容(擬似連の回数、リーチ内容、特図の変動時間)が規定されている。
具体的には、特図変動パターン用乱数の値が0〜49までの何れかであるとき、それらに対応する変動パターンコマンドは、変動パターンNo.11Aとなる。この変動パターンNo.11Aは、擬似連なし(0回)、ノーマル系リーチ、変動時間20秒と規定されたコマンドである。なお、変動パターンNo.11Aが選択される確率は、特図変動パターン用乱数0〜999までの合計1000個のうち0〜49までの50個であるから、50/1000x100=5%である。それ以外の変動パターンコマンドについては図15に示す通りであるため、ここでの説明は省略する。
ここで、擬似連の回数と選択確率の関係について見てみると、擬似連なしと規定された変動パターンコマンドは、変動パターンNo.11A〜13Aの3つであり、これらが選択される確率はそれぞれ5%であるから、大当たりかつ16R特定時短有図柄1が決定された場合に擬似連が0回となる確率は、15%である。また、擬似連1回と規定された変動パターンコマンドは、変動パターンNo.14A〜17Aの4つであり、これらが選択される確率は、7%+3%+7%+3%=20%である。同様にして、擬似連2回となる確率は、24%、擬似連3回となる確率は41%である。
このことから、大当たりに当選している場合には、擬似連3回の演出が発生する確率が最も高く、順に擬似連2回、擬似連1回、擬似連なしの順で演出の発生する確率が低くなっている。即ち、本実施形態において、擬似連3回の演出が行われる場合が最も大当たり当選の期待度が高くなり、擬似連の回数が少なくなるに従い、大当たりの期待度も低くなるということになる。
図16は、ハズレかつ保留記憶数が0〜2の何れかの場合に参照される通常変動パターンテーブル134a−2を示している。図16に示すように、通常変動パターンテーブル134a−2には、特図変動パターン用乱数の値と変動パターンコマンドの種類およびその内容(擬似連の回数、リーチ内容、特図の変動時間)が規定されている。
具体的には、特図変動パターン用乱数の値が0〜19までの何れかであるとき、それらに対応する変動パターンコマンドは、変動パターンNo.11Eとなる。この変動パターンNo.11Eに規定されているコマンドの内容は、図15に示す変動パターンNo.11Aと同じである。同様に、変動パターンNo.12E〜25Eに規定されている内容も、それぞれ変動パターンNo.12A〜25Aと同じである。ただし、ハズレの場合にリーチとなる変動パターンコマンドが選択されるためには、特図変動パターン用乱数の値が0〜99までであるから、ハズレの場合にリーチとなる確率は10%しかない。
そして、特図変動パターン用乱数の値が100〜999までの何れかであるとき、変動パターンコマンドは変動パターンNo.26Eとなる。この変動パターンNo.26Eには、擬似連が発生せず、リーチも掛かることなくハズレとなり、変動時間12.5秒の内容が規定されている。
通常変動パターンテーブル134a−2において、各変動パターンコマンドが選択される確率を擬似連回数との関係で検討すると、擬似連なしと規定された変動パターンNo.11E〜13Eの何れかが選択される確率は、2%+1.5%+1.5%=5%、擬似連1回と規定された変動パターンNo.14E〜17Eの何れかが選択される確率は、1%+0.2%+1%+0.2%=2.4%である。即ち、大当たり期待度が低い擬似連0回または1回の変動パターンコマンドが選択される確率は、5%+2.4%=7.4%である。
一方、擬似連2回と規定された大当たり期待度が中程度の変動パターンNo.18E〜21Eの何れかが選択される確率は、0.5%+0.5%+0.5%+0.5%=2%であり、擬似連3回と規定された大当たり期待度の高い変動パターンNo.22E〜No.25Eの何れかが選択される確率は、0.1%+0.2%+0.1%+0.2%=0.6%である。
このことから、ハズレかつ保留記憶数0〜2の場合には、リーチが発生したとしても、擬似連3回が発生する確率は低く、擬似連0回または1回となる場合の確率の方が高いということになる。即ち、本実施形態では、大当たりの場合には、擬似連3回が発生し易く、ハズレの場合には擬似連3回が発生し難くなっているのである。よって、遊技者は遊技中に擬似連が3回発生すれば、大当たりの可能性が高いかもしれないと期待することができる。
さらに、擬似連回数が同じに規定された変動パターンコマンドが複数設けられているが、それぞれの選択確率は異なるものとなっている。具体的には、擬似連1回と規定された変動パターンNo.14Eと変動パターンNo.16Eが選択される確率はそれぞれ1%であるのに対して、変動パターンNo.15Eと変動パターンNo.17Eが選択される確率はそれぞれ0.2%である。
なお、詳しくは後述するが、本実施形態では、変動パターンNo.に応じて予告期待度の異なる予告演出が行われるように構成されており、同じ擬似連回数の演出であっても、大当たりの期待が高いことを示唆する予告演出(予告期待度高)が行われる場合とそれほど大当たりを期待できない予告演出(予告期待度低)が行われる場合とがある。そして、擬似連1回の変動パターンコマンドに関しては、図16に示すように、変動パターンNo.14Eと変動パターンNo.16Eが選択された場合には予告期待度低の予告演出が行われ、変動パターンNo.15Eと変動パターンNo.17Eが選択された場合には予告期待度高の予告演出が行われるようになっている。よって、擬似連1回の演出中に予告期待度高の予告演出が行われる確率は、変動パターンNo.14E〜17EのうちNo.15EとNo.17Eであることから、(0.2+0.2)/(1+0.2+1+0.2)x100=約17%(第1確率)である。
同様に、擬似連2回の演出中に予告期待度高の予告演出が行われる確率は、変動パターンNo.18E〜21EのうちNo.19EとNo.21Eであることから、(0.5+0.5)/(0.5+0.5+0.5+0.5)x100=50%であり、擬似連3回の演出中に予告期待度高の予告演出が行われる確率は、変動パターンNo.22E〜24EのうちNo.23EとNo.25Eであることから、(0.2+0.2)/(0.1+0.2+0.1+0.2)x100=約67%(第2確率)である。以上より、本実施形態では、擬似連回数が多くなるほど、予告期待度の高い予告演出が行われることになる。
なお、変動パターンNo.14E〜No.25Eは本発明の「特殊変動パターンコマンド」に相当し、これらの変動パターンコマンドのうち予告期待度低の予告演出が行われる変動パターンNo.14E,16E,18E,20E,22E,24Eが本発明の「第1特殊変動パターンコマンド」に相当し、予告期待度高の予告演出が行われる変動パターンNo.15E,17E,19E,21E,23E,25Eが本発明の「第2特殊変動パターンコマンド」に相当する。
さらに言うと、変動パターンNo.14E〜No.17Eまでのものは、擬似連1回で大当たりの期待の低い演出と対応しているから、本発明の「低期待度特殊変動パターンコマンド」に相当し、変動パターンNo.22E〜No.25Eまでのものは、擬似連3回で大当たりの期待の高い演出と対応しているから、本発明の「高期待度特殊変動パターンコマンド」に相当する。
そして、変動パターンNo.14E,16Eは本発明の「第1低期待度特殊変動パターンコマンド」にも相当し、変動パターンNo.15E,17Eは本発明の「第2低期待度特殊変動パターンコマンド」にも相当するものである。また、変動パターンNo.22E,24Eは本発明の「第1高期待度特殊変動パターンコマンド」にも相当し、変動パターンNo.23E,25Eは本発明の「第2高期待度特殊変動パターンコマンド」にも相当するものである。
また、図16には、通常変動パターンテーブル134a−3および134a−4が図示されているが、保留記憶数に応じてリーチなし時の変動時間が異なるものとなっていること以外は通常変動パターンテーブル134a−2と同じであるため、詳しい説明は省略する。
図4に戻って、普図変動時間決定部190は、普図の変動開始時における普図の遊技状態が普図高確と普図低確の何れであるかを判断し、その判断結果に応じて予め定めた普図の変動時間を決定する。具体的には、普図高確の場合、普図変動時間決定部190は、普図に係る変動時間を2秒に決定し、普図低確の場合、普図変動時間決定部190は、普図に係る変動時間を30秒に決定する。
また、払出・発射制御処理部105は、主制御処理部100と相互通信可能に接続されているうえ、CRユニットとも中継基板を介して相互通信可能に接続されており、賞球払出装置14の払出モータの駆動を制御することにより、所定個数の賞球や貸球を払い出したり、発射ボリュームの値に応じて発射装置9の発射用モータ(発射用ロータリーソレノイドが用いられることもある)の駆動を制御することにより、所定の発射強度で遊技球を発射できるようにしたり、整流器の球送りソレノイドの駆動を制御することにより、遊技球を1個ずつ発射装置9に送り出すようにする等の処理を担っている。なお、CRユニットが払出・発射制御処理部105と電気的に接続されていない場合には、発射装置9から遊技球が発射されることはないように制御されている。
ここまで、主に主制御処理部100が行う各処理について説明したが、ここからは、主制御処理部100から指令を受けて各種演出を行うためのサブ制御処理部200について説明する。サブ制御処理部200は、演出制御処理部201(詳しくは後述)と、枠ランプや盤面ランプ等の各種ランプの制御を行うためのランプ制御処理部202と、スピーカ20やサウンドプロセッサ等の制御を行うための音声制御処理部203と、を備えて構成され、図3に示すように遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
演出制御処理部201は、図17に示すように、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部(演出決定手段)210と、演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置(演出装置)34に表示するよう制御する演出表示制御部(演出制御手段)220と、保留球表示領域34a,34bに保留球を表示する制御を行う保留球表示制御部230と、予告演出の期待度グループを決定する期待度グループ決定部(期待度グループ決定手段)235と、予告演出の態様を選択する予告演出態様選択部(予告演出態様選択手段)240と、可動役物(演出装置)50の作動を制御する可動役物制御部(演出制御手段)245と、を備えている。
さらに、演出制御処理部201は、記憶部として、演出態様記憶部260を備えている。この演出態様記憶部260には、複数種類の演出態様(演出画像データ)261a〜bを記憶した演出パターンテーブル261と、予告演出の態様(予告画像データ)が記憶された予告演出テーブル270とが格納されている。
演出態様決定部210は、遊技の開始時に送られてきた第1変動パターンコマンドまたは第2変動パターンコマンド(変動パターンコマンド)に基づいて、演出態様記憶部260に記憶されている演出テーブル261a,261bの何れかのテーブルを参照しながら、今回用いる演出態様(使用する演出画像データ)を決定する。なお、通常演出テーブル261aは、通常変動パターンテーブル134aが参照される場合に参照され、短縮演出テーブル261bは、短縮変動パターンテーブル134bが参照される場合に参照される。即ち、それぞれの変動パターンテーブルに応じて演出テーブルが用意されている。
詳しくは図示しないが、各演出テーブル261a,261bには、変動パターンコマンドに対応する演出画像データが複数記憶されており、より詳細に言えば、変動時間毎に、リーチ内容の異なる演出画像データが複数記憶されている。例えば、変動時間90秒の演出画像データとして、対決系リーチA、対決系リーチB、ストーリー系リーチA、ストーリー系リーチB、ストーリー系リーチCといった種類の画像データが用意されている。そして、演出態様決定部210は、遊技開始時に第1または第2変動パターンコマンドが送られてくると、その変動パターンコマンドに規定されている変動時間およびリーチ内容に対応する演出画像データの中から1つを抽選で選択する。こうして、今回の遊技に用いる演出態様が決定されることになる。
演出表示制御部220は、演出態様決定部210にて決定された演出パターンを演出表示装置34に表示するよう制御している。さらに、演出表示制御部220は、予告演出態様選択部240が決定した予告態様を演出表示装置34に表示する制御も行っている。また、可動役物制御部245は、予告演出態様選択部240が決定した可動役物50の動作パターンに応じて作動を制御している。
期待度グループ決定部235は、予め決められた変動パターンコマンドを受信すると、その変動パターンコマンドに基づいて、予告演出テーブル270に記憶された高期待度予告テーブル270aを参照するか、それとも低期待度予告テーブル270bを参照するかを決定している。具体的に説明すると、通常変動パターンテーブル134a−2を参照して変動パターンコマンドが決定された場合、変動パターンNo.14E,16E,18E,20E,22E,24Eの入力に基づき、期待度グループ決定部235は、低期待度予告テーブル270bを参照することを決定する。
一方、変動パターンNo.15E,17E,19E,21E,23E,25Eの入力に基づき、期待度グループ決定部235は、高期待度予告テーブル270aを参照することを決定する。即ち、期待度グループ決定部235は、変動パターンコマンドに基づき、高期待度予告テーブル270aまたは低期待度予告テーブル270bの何れかを参照するテーブルとして決定している。
予告演出態様選択部240は、期待度グループ決定部235が決定した予告テーブルを参照して、3つのカテゴリーのそれぞれの予告演出の態様を抽選により決定する。なお、各予告テーブルの詳細については後述する。
また、保留球表示制御部230は、主制御処理部100から保留球乱数が記憶された旨のコマンドを受信すると、それに従って、第1保留球表示領域34aまたは第2保留球表示領域34bに白色の保留球を表示するよう制御している。
次に、予告演出テーブル270の詳細について、図18を参照しながら説明する。図18に示すように、予告演出テーブル270には、高期待度予告テーブル(高期待度グループ)270aおよび低期待度予告テーブル(低期待度グループ)270bの2つのテーブルが設けられている。高期待度予告テーブル270aには、カテゴリー1からカテゴリー3までの各カテゴリーにそれぞれ3つの予告演出の態様が規定されている。
具体的には、カテゴリー1としてのセリフ予告は、例えば図21(b)に示す演出表示装置34の液晶画面上のセリフ予告表示領域34cに、セリフが表示される予告演出である。高期待度予告テーブル270aには、セリフの態様として「超激アツ」、「激アツ」、「白熱」という内容が記憶されている。これらのセリフは、何れも大当たりの期待度が高いという設定になっている。
また、カテゴリー2としてのステップアップ予告は、例えば図21(b)に示す演出表示装置34の液晶画面上のステップアップ予告表示領域34dに、特定のキャラクタの画像が表示され、その表示が段階的に変化するような予告演出である。高期待度予告テーブル270aには、ステップアップ予告の態様として「金枠内にキャラクタが表示され、その表示が4段階にステップアップ(4段階+金枠)」、「赤枠内にキャラクタが表示され、その表示が3段階にステップアップ(3段階+赤枠)」、「青枠内にキャラクタが表示され、その表示が3段階にステップアップ(3段階+青枠)」という内容が記憶されている。これらのステップアップ予告は、何れも大当たりの期待度が高いという設定になっている。
また、カテゴリー3としてのロゴ役物予告は、例えば図21(b)に示す可動役物50が上下動するような予告演出である。高期待度予告テーブル270aには、ロゴ役物予告の態様として「15回連続で上下動を繰り返す(15回連続動作)」、「10回連続で上下動を繰り返す(10回連続動作)」、「7回連続で上下動を繰り返す(7回連続動作)」という内容が記憶されている。これらのロゴ役物予告は、何れも大当たりの期待度が高いという設定になっている。
一方、低期待度予告テーブル270bには、カテゴリー1からカテゴリー3までの各カテゴリーにそれぞれ高期待度予告テーブル270aとは異なる3つの予告演出の態様が規定されている。具体的には、低期待度予告テーブル270bに記憶されているセリフ予告は、「超チャンス」、「チャンス」、「何かが起こるかも!?」の3つである。これらのセリフは、何れも大当たりの期待度が低いという設定になっている。
また、低期待度予告テーブル270bには、ステップアップ予告の態様として「赤枠内にキャラクタが表示され、その表示が2段階にステップアップ(2段階+赤枠)」、「青枠内にキャラクタが表示され、その表示が2段階にステップアップ(2段階+青枠)」、「青枠内にキャラクタが表示され、その表示が1段階にステップアップ(1段階+青枠)」という内容が記憶されている。これらのステップアップ予告は、何れも大当たりの期待度が低いという設定になっている。
また、低期待度予告テーブル270bには、ロゴ役物予告の態様として「3回連続で上下動を繰り返す(3回連続動作)」、「1回で上下動を繰り返す(1回動作)」、「動作せず」という内容が記憶されている。これらのロゴ役物予告は、何れも大当たりの期待度が低いという設定になっている。
以上のことから、本実施形態では、擬似連演出中に行われる予告演出は、カテゴリー1〜カテゴリー3の全ての予告演出が大当たりの期待度の高い態様で行われるか、それとも全ての予告演出が大当たり期待度の低い態様で行われるかの何れかとなる。別言すれば、1回の擬似連演出において、大当たり期待度の高い予告演出と低い予告演出とが混在することがない。
また、説明の一部が繰り返しになるが、例えば通常変動パターンテーブル134a−2に基づいて変動パターンコマンドが決定される場合、擬似連1回の特殊演出が行われるときには、セリフ予告として「超激アツ」、「激アツ」、「白熱」の何れかが表示される確率は、「超チャンス」、「チャンス」、「何かが起こるかも!?」が表示される確率に比べて低い。よって、遊技者は、予告演出が低期待度のものであることから、今回の遊技が大当たりに当選している可能性は低いかもしれないと思い、さらに低期待度の予告演出を見て、擬似連は1回しか発生しないかもしれないと思うことになる。そして、遊技者は、実際の演出が擬似連1回しか発生しなかった場合、その演出を見て大当たりの可能性は低いかもしれないと思うことになる。
一方、擬似連3回の特殊演出が行われるときは、セリフ予告として「超激アツ」、「激アツ」、「白熱」の何れかが表示される確率は、「超チャンス」、「チャンス」、「何かが起こるかも!?」が表示される確率に比べて高い。よって、遊技者は、予告演出が高期待度のものであることから、今回の遊技が大当たりに当選している可能性が高いかもしれないと期待し、さらに、高期待度の予告演出を見て、擬似連が3回発生するかもしれないと思うことになる。そして、遊技者は、実際の演出が擬似連3回発生した場合には、その演出を見て大当たりの可能性が高いであろうと期待することになる。ただし、セリフ予告として、「超チャンス」、「チャンス」、「何かが起こるかも!?」が表示された場合であっても、擬似連3回の特殊演出である可能性もあるので、遊技者は、予告演出の態様だけで一喜一憂することなく擬似連が何回続くかによって大当たりの期待を抱くこともできる。
次に、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pの遊技処理の手順について図19を参照して説明するが、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合の遊技処理と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合の遊技処理とは同じである。よって、以下では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合についての遊技処理について説明を行い、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合についての説明は省略する。
図19に示すように、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したか否かを主制御処理部100は判断する(ステップS1)。入賞した場合(ステップS1でYes)には、第1特図当否判定用乱数取得部112aは特図当否判定用の乱数を取得し、第1特図種類決定用乱数取得部122aは特図種類決定用の乱数を取得し、第1特図変動パターン用乱数取得部132aは特図変動パターン用の乱数を取得する(ステップS2)。
第1特図または第2特図が変動中の場合(ステップS3でYes)には、ステップS2で取得した特図当否判定用乱数を第1特図用保留球乱数記憶部115aに、特図種類決定用乱数を第1特図種類決定用乱数記憶部124aに、特図変動パターン用乱数を第1特図変動パターン用乱数記憶部133aに、それぞれ記憶する(ステップS4)。このとき、保留球表示制御部230が白色の保留球を第1保留球表示領域34aに表示する。そして、ステップS3の手前に戻って、今回の入賞に係る遊技の順番が来るまで待機する。なお、既に第1特図用保留球乱数記憶部115aに、上限である4個の保留球乱数が記憶されている場合には、ステップS4の処理は行われないということは言うまでもない。
一方、第1特図および第2特図の何れも変動していない場合、即ち、遊技の順番が来た場合(ステップS3でNo)には、ステップS5にて特図当たり判定処理が行われる。つまり、ステップS2で取得した特図当否判定用乱数が大当たり/小当たり/ハズレの何れであるか否かを第1特図当否判定部113aが判断する。
次いで、ステップS6にて、特図種類決定処理が行われる。具体的には、ステップS5での特図当たり判定処理の結果、大当たりと判定された場合には、第1特図種類決定部124aが、ステップS2で取得した特図種類決定用乱数に基づいて、その大当たりに対する特図の種類を決定する。即ち、図9を参照して、「2R特定時短有図柄」〜「16R通常時短有図柄2」までの6種類の中から1つを、このステップS6で決定する。一方、ステップS5でハズレと判定された場合には、第1特図の種類を決定することなくステップS6の処理は終了する。なお、小当たりの場合、小当たりに対応する特図の種類が決定される。
次いで、ステップS7にて特図変動パターンコマンド決定処理が行われる。この特図変動パターンコマンド決定処理では、ステップS2で取得した特図変動パターン用乱数に基づいて、第1特図変動パターン決定部135aが、通常変動パターンテーブル134aまたは短縮変動パターンテーブル134bを参照して第1変動パターンコマンドを決定する。
次いで、ステップS8にて、演出態様決定処理が行われる。この演出態様決定処理では、演出態様決定部210が、演出パターンテーブル261a,261bの何れかを参照して、第1変動パターンコマンドに対応する演出パターンを今回の遊技に用いる演出パターンに決定する。なお、この処理の詳細は後述する。
次いで、ステップS9で、第1特図表示制御部101aが特図表示装置17に第1特図の変動表示を開始させ、演出表示制御部220が演出表示装置34にステップS8で決定された演出パターンの表示を開始する。
次いで、ステップS10で、第1特図表示制御部101aが特図表示装置17に第1特図を停止表示させる。このとき、特図表示装置17に停止表示される図柄は、ステップS5で大当たりと判定された場合には、ステップS6にて決定された第1特図の種類に対応した当たり図柄となるが、ステップS5でハズレと判定された場合には、ハズレに対応したハズレ図柄、小当たりの場合小当たりに対応した小当たり図柄となる。また、ステップS10では、第1特図の変動停止と同期して、演出パターンの表示が停止され、所定の演出図柄が演出表示装置34に停止表示される。
次いで、停止した第1特図が大当たりの組合せで確定している場合(ステップS11でYes)は、大当たり遊技制御部160は、第1特図の種類に応じた所定のアタッカー開放パターン(図11参照)でアタッカー装置41を開放して大当たり遊技を提供する(ステップS12)。なお、小当たりに当選した場合には、このステップS12において小当たり遊技が行われてアタッカー装置41が2回開閉動作することになる。次いで、ステップS13にて、遊技状態設定部140は、次の遊技における特図および普図の遊技状態を高確率状態または低確率状態に設定する。
このステップS13で、次回の遊技における遊技状態が設定されると、1回の遊技に係る処理が終了する。また、ステップS11でNoの場合は、大当たり遊技が提供されることなくステップS13に進んで、次遊技の遊技状態が設定される。なお、ステップS1でNoの場合は遊技が行われることなく終了となる。
次に、ステップS8で行われる演出態様決定処理の詳細について、図20を用いて説明する。演出態様決定処理が開始されると、ステップS21にて演出態様決定部210は、受信した変動パターンコマンドを解析する。次いで、ステップS22にて演出態様決定部210は、解析した変動パターンコマンドが擬似連ありの変動パターンコマンドであるか否か判断する。例えば、通常変動パターンテーブル134a−2を参照して決定された変動パターンコマンドが演出制御処理部201に入力されると、演出態様決定部210は、擬似連演出が行われる変動パターンNo.14E〜25Eの何れかのコマンドを受信したか否かをステップS22において判断する。
ステップS22でYesの場合、演出態様決定部210は、今回行う遊技での演出を、変動パターンコマンドに応じた擬似連演出(特殊演出)に決定する(ステップS23)。次いで、ステップS24において、演出態様決定部210は、解析した変動パターンコマンドが擬似連1回と規定されたコマンドであるか否かを判断する。例えば、変動パターンコマンドが変動パターンNo.14E〜17Eの何れかであるか否かがステップS24で判断される。ステップS24でYesの場合、ステップS25に進み、期待度グループ決定部235は、予告期待度が低いものに対応した変動パターンコマンドであるか否かを判断する。例えば、変動パターンコマンドが変動パターンNo.14E,16Eであるか否かがステップS25で判断される。ステップS25でYesの場合、期待度グループ決定部235は、ステップS26において低期待度予告テーブル270bを参照することを決定する。
そして、このステップS26にて、予告演出態様選択部240が、低期待度予告テーブル270bの中から各カテゴリーの予告演出の態様を抽選によりそれぞれ1つ選択する。例えば、セリフ予告として「チャンス」、ステップアップ予告として「1段階+青枠」、ロゴ役物予告として「3回連続動作」がこのステップS26で決定される。
一方、ステップS25でNoの場合、期待度グループ決定部235は、ステップS29において高期待度予告テーブル270aを参照することを決定する。そして、このステップS29にて、予告演出態様選択部240が、高期待度予告テーブル270bの中から各カテゴリーの予告演出の態様を抽選によりそれぞれ1つ選択する。例えば、セリフ予告として「激アツ」、ステップアップ予告として「3段階+青枠」、ロゴ役物予告として「10回連続動作」がこのステップS29で決定される。
ここで、ステップS25でYesの判定される場合とは、例えば、変動パターンNo.14EまたはNo.16Eであるから、Yesとなる確率は約83%である。よって、擬似連1回の場合、高い確率で大当たり期待度の低い予告演出の態様が決定されることになる。
また、ステップS24でNoの場合、ステップS27に進み、演出態様決定部210は、解析した変動パターンコマンドが擬似連2回と規定されたコマンドであるか否かを判断する。例えば、変動パターンコマンドが変動パターンNo.18E〜21Eの何れかであるか否かがステップS27で判断される。ステップS27でYesの場合、期待度グループ決定部235は、予告期待度が低いものに対応した変動パターンコマンドであるか否かを判断する。例えば、変動パターンコマンドが変動パターンNo.18E,20Eであるか否かがステップS28で判断される。ステップS28でYesの場合はステップS26に進み、上述したステップS26での処理が行われる。一方、ステップS28でNoの場合はステップS29に進み、上述したステップS29での処理が行われる。
なお、ステップS28でYesの判定される場合とは、例えば、変動パターンNo.18EまたはNo.20Eであるから、Yesとなる確率は50%である。よって、擬似連2回の場合、大当たり期待度の高い予告演出に決定される場合と低い予告演出に決定される場合とが半々の確率である。
また、ステップS27でNoの場合、ステップS30に進む。ステップS30に進む場合とは、擬似連3回の変動パターンコマンドであった場合である。例えば、変動パターンNo.22E〜25Eの場合、ステップS27でNoとなる。ステップS30において、期待度グループ決定部235は、予告期待度が低いものに対応した変動パターンコマンドであるか否かを判断する。例えば、変動パターンコマンドが変動パターンNo.22E,24Eであるか否かがステップS30で判断される。ステップS30でYesの場合はステップS26に進み、上述したステップS26での処理が行われる。例えば、セリフ予告として「チャンス」、ステップアップ予告として「1段階+青枠」、ロゴ役物予告として「3回連続動作」がこのステップS26で決定される(ケース1)。
一方、ステップS30でNoの場合はステップS29に進み、上述したステップS29での処理が行われる。例えば、セリフ予告として「激アツ」、ステップアップ予告として「3段階+青枠」、ロゴ役物予告として「10回連続動作」がこのステップS29で決定される(ケース2)。
なお、ステップS30でYesの判定される場合とは、例えば、変動パターンNo.22EまたはNo.24Eであるから、Yesとなる確率は約33%である。よって、擬似連3回の場合、大当たり期待度の高い予告演出に決定される確率の方が大当たり期待度の低い予告演出に決定される確率より高い。
このように、本実施形態では、変動パターンコマンドによって高期待度予告テーブル270aにするかそれとも低期待度予告テーブル270bにするかが決められるため、テーブル選択の処理を簡素化できる。
次に、上記したケース1とケース2の場合の演出の具体例について、図21〜図23を参照しながら説明する。図21および図22はケース2の予告演出の具体例を示したものであり、図23はケース1の予告演出の具体例を示したものである。
図21(a)に示すように、遊技の開始に伴い、演出図柄の変動が開始される。そして、図21(b)に示すように、ケース2では、遊技の開始の直後にセリフ予告表示領域34cに「激アツ」と表示され、ステップアップ予告表示領域34dには青枠内に表示されたキャラクタが3段階変化するような画像が表示され、可動役物50が10回連続して上下動する(それぞれの予告演出が所定回数行われる)。これを見て、遊技者は、セリフ予告、ステップアップ予告、ロゴ役物予告の3つのカテゴリーに属する予告演出が全て大当たり期待度の高いものであることを認識できる。よって、遊技者はもしかして大当たりかもしれないと興奮する。
その後、図21(c)に示すように、予告演出が終了して、演出図柄のうち左右の2つの図柄が7で仮停止し、中の演出図柄のみが変動中の状態、即ち、リーチが発生し、擬似連に発展するかもしれないことを煽るような画像が演出表示装置34に表示される。そして、図22(a)に示すように、画面上に「ボタンを押せ!」というメッセージが表示される。この表示が演出上の「分岐点」である。即ち、本実施形態の擬似連演出では、「ボタンを押せ!」という表示が出現し、遊技者が演出用タッチボタン60を押した後に擬似連が発生するか、それとも擬似連が発生することなく演出が終了するかという内容になっているから、この「ボタンを押せ!」という表示が、擬似連演出における演出上の分岐点となる。そして、変動開始からこの演出上の分岐点までの間に、各種予告演出が行われるように演出上の構成がなされている。
図22(b)は、図22(a)の「ボタンを押せ!」の表示に従い、遊技者が演出用タッチボタン60を押下した際に、擬似連成功を示す「G図柄」が中央に停止した状態を示している。この「G図柄」は、擬似連が発生する(演出が発展する)ことを意味する図柄であり、「G図柄」が停止すると擬似連が発生し、「G図柄」が停止しない場合には、ハズレ組合せで演出図柄が停止表示される(不図示)ようになっている。そして、「G図柄」が停止した後に、図22(c)に示すように全ての演出図柄が再変動を開始する。なお、この例では擬似連が3回発生することになっているため、図21(b)〜図22(b)までの演出が3回繰り返された後に最終的にリーチとなって、その後大当たりの組合せあるいはハズレの組合せで3つの演出図柄が停止表示されることになる。
ところで、図23に示すようにケース1では、同じ擬似連3回の演出が決定されたとしても、全ての予告演出が大当たり期待度の低いものとなっている。即ち、図23(a)のように演出図柄が変動を開始し、その直後に図23(b)に示すように、セリフ予告表示領域34cに「チャンス」と表示され、ステップアップ予告表示領域34dには青枠内に表示されたキャラクタが1段階だけ変化するような画像が表示され、可動役物50が3回連続して上下動する。これを見て、遊技者は、セリフ予告、ステップアップ予告、ロゴ役物予告の3つのカテゴリーに属する予告演出が全て大当たり期待度の低いものであることを認識できる。よって、遊技者は予告演出が行われた時点では、大当たりを殆ど期待しない。
そして、図23(c)に示すように、予告演出が終了して、演出図柄のうち左右の2つの図柄が7で仮停止し、中の演出図柄のみが変動中の状態、即ち、リーチが発生し、擬似連に発展するかもしれないことを煽るような画像が演出表示装置34に表示される。これ以降の演出の流れは図22に示す通りである。
したがって、遊技者は期待度の低い予告を見たため、「ボタンを押せ!」と表示されても、擬似連に発展することはないという思いを抱きながら、念のため演出用タッチボタン60を押下する。すると、予告演出の期待度は低かったにもかかわらず、擬似連3回の演出が選ばれているため、G図柄が中央に停止し、擬似連演出へと発展する。これを見た遊技者は、遊技の開始直後に大当たりを期待していなかっただけに、一気に大当たりを期待して興奮することになる。
以上説明したように、本実施形態では、擬似連が発生する演出が行われる場合であって、演出図柄の変動(演出開始)から演出上の分岐点(例えば、最初の擬似変動に係る演出図柄の仮停止時)となるまでの所定期間を定めた場合において、当該所定期間内で出力させる互いに異なる予告演出の各態様は、カテゴリーに関係なく全ての予告演出が全て高期待度となるか、それとも全て低期待度となるかを、何れか決定された期待度グループの種類に応じて一律に統制をとることができるため、上記演出上の分岐点となるまでに互いに異なる予告演出の各態様報知に係る期待度の高低に不整合がでる(期待度のバランスが崩れる)といったことはない。なお、互いに異なる予告演出の各態様(高期待度または低期待度)の統制に関し、1遊技の変動演出全体における前半期間、または後半期間といった期間限定をして統制を行うことができると共に、1遊技の変動演出全体に対して統制を行うこともできる。
そのため、本実施形態に係るパチンコ機は、遊技者に対して、全ての予告演出の期待度が高いことから演出上の分岐点後において擬似連に発展(さらに言えば擬似連後からリーチ演出に展開)する可能性(さらに言えば大当たりになる可能性)が高いと期待させることができるだけでなく、全ての予告演出の期待度が低くても、猜疑心を与えずに演出上の分岐点後において擬似連に発展するかもしれない(さらに言えば大当たりの可能性がある)ことを期待させることもできる。
また、上記演出上の分岐点となるまでにおいて、互いに異なる複数の予告演出の中から何れのカテゴリーの予告演出を1つまたは複数出力させるかを所定抽選(例えば、変動パターンに対応付けられる期待度の高低に応じて抽選テーブルを変更する予告抽選)によって決定させるようにすると、カテゴリー別の予告演出の出現にランダム性を持たせることができ、遊技におけるバリエーションが増加して遊技持続性を向上させることができる。なお、1遊技の変動演出全体における複数の予告演出に係る各態様の出力タイミングは、メイン演出のシナリオに影響を与えないことを条件に、複数同時タイミングまたは時系列で複数の出力ポイントに分けられたタイミングとなるようにしている。
また、用意する予告演出の態様に係る期待度グループは、当選する期待度X%(例えば、60%)以上または当選する期待度Y%(例えば、50%)以下における所定割合範囲ごと(例えば、60%〜89%、90%〜100%、50%〜40%、39%〜30%)の設定をし、段階的に高期待度または低期待度とするグループ分けをすることで、単に期待度が高いまたは低いという二択の予告示唆にとどまらずに、期待度が段階的にどのレベルの高いまたは低いというような詳細な予告示唆もできるようになる。
即ち、従来は複数のカテゴリーのうち1つのカテゴリーでも期待度の高い予告演出が行われれば、その後の演出(例えば、擬似連の回数)は大当たり期待度の高いものに発展することを予測できる一方、全ての予告演出の期待度が低ければ、期待度の高い演出には発展しないということも予測でき、遊技者に混乱を与えていた。そのため、互いに異なる予告演出の各態様報知に係る期待度の高低が不整合となった場合は、期待度が高い態様の第1予告演出が期待度の低い態様の第2予告演出によって否定されたと解釈され易くなる損失感の心情傾向がおきて遊技意欲の減退を与えうることとなり、遊技の面白みに欠けるものとなっていた。
ところが、本実施形態によれば、カテゴリーの異なる複数の予告演出のそれぞれにおいて、高期待度または低期待度に対応させた各態様の出力においてバラツキを抑えることができ、特殊演出中に実行された予告演出が全てのカテゴリーで期待度の低いものであったとしても、演出上の分岐点後において高期待度の演出が行われる可能性を含ませるような演出展開のゲーム性を実現できるので、遊技者を惹きつけてやまないパチンコ機を提供することができる。
また、高期待度特殊演出に係る変動パターンコマンドに基づいて特殊演出とする場合において、演出上の分岐点前に高期待度の予告演出の各態様ばかりが多く出力されることで遊技者に多大な期待感を与え、演出上の分岐点後に設けられた演出展開(例えば、リーチ種類の予想)に対して興味を低下させてしまうといったことを回避して、高期待度特殊演出に係る変動パターンコマンドであっても適度に演出上の分岐点前に低期待度の予告演出の各態様を出力させる確率設定ができるようになって演出のバランスが良くなり、遊技における単調性を抑制できるようになる。
また、本実施形態では、擬似連1回、擬似連2回、擬似連3回の順に大当たりの期待度が高まり、それに伴って期待度の高い予告演出が実行され易くなるよう構成されているので、擬似連回数と予告演出の期待度とのバランスが絶妙となり、遊技性が大幅に向上することとなる。
なお、上記した実施の形態例では、期待度グループ決定部235は、変動パターンコマンドに応じて高期待度予告テーブル270aと低期待度予告テーブル270bの何れかを選択する構成であったが、この構成に代えて、期待度グループ決定部235は、変動パターンコマンドの種類に応じて所定の抽選確率で高期待度予告テーブル270aまたは低期待度予告テーブル270bの何れかを抽選により決定する構成としても良い。さらに、前記所定の抽選確率は、変動パターンコマンドの種類に応じて異なるようにしても良いし、同じにしても良い。何れの構成であっても、擬似連演出における各種予告演出の期待度のバラツキは抑えられる。
また、上記した実施の形態例では、擬似連の回数によって期待度グループ決定部235が高期待度予告テーブル270aを選択する確率が異なるようにした。即ち、高期待度予告テーブル270aに対応する変動パターンコマンドが選択される確率が異なるようにしたが、擬似連の回数に拘らず高期待度予告テーブル270aが選択される確率が同じとなるようにしても良い。
また、上記した実施の形態例では、擬似連の回数が1回の場合、低期待度予告テーブル270bが選択され易く、擬似連の回数が3回の場合、高期待度予告テーブル270aが選択され易い構成としたが、擬似連の回数に拘らず低期待度予告テーブル270bが選択され易くしても良いし、逆に高期待度予告テーブル270aが選択され易くしても良い。何れの場合であっても演出は変化に富んだものとなり、遊技性が向上する。