JP6053006B2 - 凝集剤組成物及び汚染水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凝集剤組成物及び汚染水の処理方法に関するものである。
土木工事や工場で排出される汚染水は、専用のプラント内で時間をかけて汚染水に含まれる汚染物質を凝集沈殿させた後、凝集沈殿させたフロックを分離することで処理されている。汚染物質を凝集沈殿する際に用いられる凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などが用いられている(特許文献1及び2参照)。
特開2004−305893号 特開2009−248006号
ところで、凝集剤に求められる特性として、凝集速度が挙げられる。特に、セシウム等の放射性物質を含む放射性汚染水は、放射性物質の拡散を抑制するために、迅速に処理することが強く求められている。しかしながら、特許文献1及び2に開示されている凝集剤は凝集速度が十分ではない。
そこで、本発明は、汚染水を素早く簡単に処理することができる凝集剤組成物及び汚染水の処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、アニオン系高分子凝集剤と、カチオン系高分子凝集剤と、天然ゼオライトと、硫酸アルミニウムと、を含有し、上記硫酸アルミニウムの50質量%以上が粒径0.15mm以下である、汚染水処理用の凝集剤組成物を提供する。
上記凝集剤組成物は、アニオン系高分子凝集剤と、カチオン系高分子凝集剤と、天然ゼオライトと、上記粒径条件を満たす硫酸アルミニウムと、を含有することで、これらの成分が互いに相俟って、汚染水を素早く簡単に処理することができる。
汚染水を素早く簡単に処理することを実現した理由について、本発明者らは、上記粒径条件を満たす硫酸アルミニウムを含有させたことが特に効いているものと推測している。水中に存在している微小な浮遊物質(水中の汚れ)は、ほとんどが物質周囲にマイナス電荷を持っており、微粒子同士が反発し合い、ブラウン運動により沈殿し難い状態となっている。そこに上記粒径条件を満たす硫酸アルミニウムを添加すると、プラスの電荷を持ったアルミニウムイオンが素早く生成され、これが浮遊物質の微粒子表面のマイナス電荷に反応して微粒子同士を結合させ、沈殿しやすくすることができる。そして、硫酸アルミニウムによりある程度の大きさに凝集した浮遊物質に、アニオン系高分子凝集剤が添加されることで、その架橋作用によって浮遊物質がより大きくなり、フロックが形成されて沈殿することとなる。また、マイナス電荷を持ったアニオン系高分子凝集剤により凝集したフロックに、更にカチオン系高分子凝集剤が加わることで、より大きく強度の高いフロックが形成され、より沈殿しやすくなる。また、天然ゼオライトは上記フロックの核となり、フロックの重さを増してより沈殿を生じ易くすることができる。この一連の凝集沈殿が生じる速度は、硫酸アルミニウムによる初期の浮遊物質のマイナス電荷の中和速度及び凝集速度の影響が大きく、上記粒径条件を満たす硫酸アルミニウムを用いることでその速度を大幅に改善させることができ、汚染水を素早く簡単に処理することができる。また、天然ゼオライトは、セシウムイオン等の水中に溶け込んだ放射性物質に対する良好な吸着効果を得ることができる。このため、上記粒径条件を満たす硫酸アルミニウムと併用することにより放射性物質とともに放射性汚染水を素早く処理することができる。
また、従来、粒径が0.15mm以下である硫酸アルミニウムの微粒子は、硫酸アルミニウムを製造する際に廃棄されていた。しかし、上記凝集剤組成物では、これまで廃棄していた微粒子を利用できる点で凝集剤組成物の製造コストを低減できる。また、上記凝集剤組成物は、水で溶解させてから汚染水に混入させる必要がなく、そのまま汚染水に投入することで上記効果を奏することができる。そのため、汚染水処理の手間も省ける。
上記凝集剤組成物は、更に炭酸塩を含有することが好ましい。これによって、汚染水をより素早く簡単に処理することができる。
上記炭酸塩は、炭酸ナトリウムを含むことが好ましい。硫酸アルミニウムは、水に溶けると酸性になるため、凝集剤組成物は、アルカリ性のときに沈殿しやすい。このため、凝集剤組成物がアルカリ性の炭酸ナトリウムを含有することで、汚染水をより素早く簡単に処理することができる。
また、炭酸塩は、炭酸カルシウムを含むことが好ましい。炭酸カルシウムを含有することで、凝集沈殿物の重量を増やすことができ、凝集剤組成物により汚染水をより素早く簡単に処理することができる。
上記凝集剤組成物は、有機酸を更に含有することが好ましい。アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤とを同時に汚染水に溶解させた場合、両者が反応して高分子の固まりが生成する場合があるが、有機酸を含有することにより、高分子の固まりの生成を抑えることができる。その結果、アニオン系高分子凝集剤及びカチオン系高分子凝集剤は、汚染水に対する凝集能力を十分に発揮することができるようになる。
有機酸は、リンゴ酸、スルファミン酸、シュウ酸、クエン酸及び酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの有機酸を用いることで、アニオン系高分子凝集剤とカチオン性高分子凝集剤とが反応して固まりが生成することをより十分に抑制することができる。
本発明において使用するゼオライトは、天然ゼオライトである。天然ゼオライトは多孔質であるため吸水性が高く、沈殿に適した密度を有するため、凝集フロックの核となりやすい。また、天然ゼオライトは価格が安いため、凝集剤組成物の材料として適している。天然ゼオライトはフロックの核となると、フロックの重さが増し、沈殿をより生じやすくすることができる。天然ゼオライトを用いると、放射性物質に対してより優れた吸着・凝集効果を有することができる。
本発明はまた、上述した本発明の凝集剤組成物を用いた汚染水の凝集処理方法であって、汚染水に上記凝集剤組成物を加えて攪拌し、汚染物質を凝集沈殿させることで上記汚染水を沈殿物と上澄み液とに分離する工程を有する、汚染水の凝集処理方法を提供する。このような製造方法では、汚染水に含まれた汚染物質を凝集させながら、汚染水を素早く簡単に処理することができる。更に、上述の製造方法では、放射性物質とともに放射性汚染水を素早く吸着・凝集処理することができる。
本発明によれば、汚染水を素早く簡単に処理することができる凝集剤組成物及び汚染水の処理方法を提供することができる。
本実施形態に係る汚染水の処理方法を行うための処理設備の概略構成を示す図である。
以下、本発明に係る凝集剤組成物及び汚染水の処理方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
(凝集剤組成物)
凝集剤組成物は、重金属等の汚染物質により汚染された汚染水又は放射線物質により汚染された放射線汚染水等を処理し、浄化するために用いられる。浄化された上澄み液を排水することで、汚染水又は放射性汚染水を減容化することもできる。なお、本明細書において、汚染水とは、浮遊物質として泥(濁質)を含み目視にて濁りを確認できる汚染泥水を意味する。ただし、放射性汚染水とは、放射性物質が付着した浮遊物質及び/又はイオン態の放射性物質を含んだ汚染泥水又は汚染水を意味する。凝集剤組成物は、水中に存在する放射性物質が付着した浮遊物質を凝集処理して上澄み液を浄化できるとともに、水中に溶存するイオン態の放射性物質を吸着処理できる。吸着処理可能な放射性物質としては、セシウム、ストロンチウムが挙げられる。凝集剤組成物は、アニオン系高分子凝集剤と、カチオン系高分子凝集剤と、天然ゼオライトと、硫酸アルミニウムと、を含有する。以下、凝集剤組成物に含有する各成分について説明する。
アニオン系高分子凝集剤としては特に制限はないが、例えば、アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸あるいはこれらの塩との共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等を使用することができる。中でも、分子量が数十万〜数百万の化合物を用いることが好ましい。また、凝集効果を向上する観点から、スルホン酸基やカルボン酸基等の強酸基を有する化合物を用いることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン系高分子凝集剤としては特に制限はないが、例えば、アクリルアミドとジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はこれらの塩もしくは四級化物等のカチオン系単量体との共重合物あるいはこれらカチオン系単量体の単独重合物又は共重合物などを使用することができる。また、凝集効果を向上する観点から、アミノ基等の強塩基を有する化合物を用いることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
凝集剤組成物中のアニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤との合計の含有量は、優れた凝集速度を得る観点から、凝集剤組成物全量を基準として、2〜20質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。また、アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤との質量比は、20:1〜20:12であることが好ましく、10:1〜10:5であることがより好ましい。
ゼオライトには、天然ゼオライトを用いる。天然ゼオライトはモルデナイトやクリノプチロライト等があり、これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。天然ゼオライトは、セシウムイオン等の水中に溶け込んだ放射性物質に対する優れた吸着・凝集効果を有する。また、凝集剤組成物に天然ゼオライトを含有させ、天然ゼオライトを核としてフロックを重量化させることで放射性汚染水を素早く処理することができる。天然ゼオライトは多孔質であるため吸水性が高く、沈殿に適した密度を有するため、凝集フロックの核となりやすい。また、天然ゼオライトは価格が安いため、凝集剤組成物の材料として適している。天然ゼオライトはフロックの核となると、フロックの重さが増し、沈殿をより生じやすくすることができる。
凝集剤組成物中の天然ゼオライトの含有量は、放射性物質に対する優れた吸着効果を得るとともに、優れた凝集速度を得る観点から、凝集剤組成物全量を基準として、10〜30質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。
また、天然ゼオライトの粒径は、放射性物質に対する優れた吸着・凝集効果を得るとともに、優れた凝集速度を得る観点から、500μm以下であることが好ましく、5〜10μmであることが特に好ましい。
硫酸アルミニウムは、凝集剤組成物に含まれる硫酸アルミニウム全量の50質量%以上が粒径0.15mm以下であることが必要である。凝集剤組成物に含有される硫酸アルミニウムの半分以上が粒径0.15mm以下の微細な粒子であることにより、汚染水に対する凝集効果を有しながら、汚染水を素早く凝集処理することが可能となる。また、上記本発明の効果をより高める観点から、硫酸アルミニウムの60質量%以上が粒径0.15mm以下であることが好ましく、80質量%以上が粒径0.15mm以下であることがより好ましく、全量が粒径0.15mm以下であることが最も好ましい。
本発明において、硫酸アルミニウムの粒径が0.15mm以下であるかどうかは、100メッシュふるい(目開き0.15mm)を用いることで確認し、100メッシュふるいを通過した粒子を、粒径0.15mm以下の粒子とする。すなわち、凝集剤組成物中の硫酸アルミニウムのうち、100メッシュふるいを通過した粒子が、硫酸アルミニウム全量の50質量%以上であればよい。
凝集剤組成物中の硫酸アルミニウムの含有量は、優れた凝集効果を得るとともに、優れた凝集速度を得る観点から、凝集剤組成物全量を基準として20〜60質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。硫酸アルミニウムは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記凝集剤組成物は、炭酸塩を更に含有することが好ましい。これによって、汚染水をより素早く簡単に処理することができる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウムを含むことが好ましい。硫酸アルミニウムは、水に溶けると酸性になるため、凝集剤組成物は、アルカリ性のときに沈殿しやすい。このため、凝集剤組成物がアルカリ性の炭酸ナトリウムを含有することで、汚染水をより素早く簡単に処理することができる。また、かかる効果をより十分に得る観点から、凝集剤組成物中の炭酸ナトリウムの含有量は、凝集剤組成物全量を基準として20〜50質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。
また、炭酸塩としては、炭酸カルシウムを含むことが好ましい。炭酸カルシウムを含有することで、凝集沈殿物の重量を増やすことができ、凝集剤組成物により汚染水をより素早く簡単に処理することができる。また、かかる効果をより十分に得る観点から、凝集剤組成物中の炭酸カルシウムの含有量は、凝集剤組成物全量を基準として3〜20質量%であることが好ましく、7〜12質量%であることがより好ましい。
上記以外の炭酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム(石膏)等が挙げられる。炭酸塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記凝集剤組成物は、有機酸を更に含有することが好ましい。アニオン系高分子凝集剤と、カチオン系高分子凝集剤と、を同時に添加させた場合、両者が反応して高分子の固まりが生成されるが、有機酸を凝集剤組成物に含有させることにより、高分子の固まりの生成を抑え、汚染水をより素早く凝集処理することができる。また、かかる効果をより十分に得る観点から、凝集剤組成物中の有機酸の含有量は、凝集剤組成物全量を基準として10質量%以下であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
有機酸は、リンゴ酸、スルファミン酸、シュウ酸、クエン酸及び酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらの有機酸を含有した凝集剤組成物は、放射性物質に対する十分な凝集効果を発揮しながら、汚染水をより素早く凝集処理することができる。有機酸は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
凝集剤組成物は、上述した各成分の他、消石灰(Ca(OH))、硫酸第一鉄(FeSO)等を含有することができる。
上述した構成を有する凝集剤組成物は、各成分を水に溶解及び/又は分散させて一液としてから汚染水に投入してもよいが、各成分をプレミックスして粉末状の一材としてから汚染水に投入した方がより好ましい。凝集剤組成物の汚染水への投入方法は特に限定されない。
放射性汚泥を凝集処理する際の上記凝集剤組成物の使用量は、汚染水中の放射性物質及び浮遊物質の種類や濃度等によって異なるために一概には言えないが、通常は放射性汚染水1Lに対して0.1〜3.0g、好ましくは0.1〜2.0g、より好ましくは0.7〜1.0gである。
(放射性汚染水の凝集処理方法)
放射性汚染水の凝集処理方法は、放射性汚染水に上述した凝集剤組成物を加えて攪拌し、放射性物質を凝集沈殿させることで放射性汚染水を沈殿物と上澄み液とに分離する工程を有する。また、上記凝集処理方法は、分離した上澄み液を排水又は再利用する工程を有することが好ましい。さらに、上記凝集処理方法は、上澄み液を排水した後、沈殿物を脱水する工程を有することが好ましい。図1は、本実施形態に係る凝集処理方法を行うための凝集処理設備の概略構成を示す図である。図1を用いて、本実施形態に係る放射性汚染水の凝集処理方法を説明する。
図1に示すように、凝集処理方法を行うための凝集処理設備は、原水槽11、凝集沈殿槽12、排水槽13、及び脱水機14を備えている。原水槽11には、処理対象である放射性汚染水が貯められ、ポンプP1を介して凝集沈殿槽12に汚染水が供給される。凝集沈殿槽12は特に限定されず、所定量の汚染水を収容でき且つその内部で汚染水の撹拌を行うことができる容器であればよい。凝集沈殿槽12は、その移動を容易にするために、下部にローラー等の進退動可能な手段が設けられていてもよい。また、凝集沈殿槽12は、汚染水の収容前の状態での占有スペースの低減及びその移動の容易化のために、上下方向に折り畳みが可能な提灯構造となっていてもよい。さらに、凝集沈殿槽12内の汚染水の凝集状況を凝集沈殿槽12の外側から目視で確認できるように、少なくとも一部が透明部材で構成されていてもよい。また、凝集沈殿槽12の側面には、生成する沈殿物の高さよりも高い位置に、上澄み液を排出するための排水口が設けられていてもよい。なお、生成する沈殿物の高さは必ずしも一定ではないため、排水口は、高さ方向の位置を段階的に変えて複数設けてもよい。
凝集沈殿槽12に汚染水を供給した後、上述した凝集剤組成物を汚染水に添加し、攪拌機12aによって凝集沈殿槽12内の汚染水を撹拌する。その後、撹拌を止めて静置することで、汚染水が沈殿物12bと上澄み液12cとに分離する。攪拌機12aは、汚染水内に凝集剤組成物を均一に溶解及び/又は分散可能なものであれば特に限定されないが、例えば、水中ポンプ、佐竹式攪拌機及びマーゼル(マキタ社製)等を用いることができる。特に、汚染水内に凝集剤組成物を素早く均一に溶解及び/又は分散可能なものであればより好ましい。攪拌時間は、汚染水内に凝集剤組成物を十分に溶解及び/又は分散できる時間であれば特に限定されないが、通常、0.5〜3分間であり、好ましくは1〜2分間である。静置時間は、汚染水が沈殿物12bと上澄み液12cとに十分に分離する時間であれば特に限定されないが、通常、1〜5分間であり、好ましくは0.5〜2分間である。上述した凝集剤組成物は、汚染水の凝集処理を短時間で素早く行うことが可能であるため、撹拌時間及び静置時間を短縮することができ、作業の迅速化を実現することができる。
分離した上澄み液12cは、ポンプP2で吸い上げられて、排水槽13に供給される。排水槽13に供給された上澄み液12cは、排水槽13内で放射能濃度が計測され、放射能濃度が一定水準以下(例えば、10Bq/kg以下)の場合、排水槽13から上澄み液12cが排水又は再利用される。
一方、沈殿物12bは、脱水機14において脱水され、脱水されたケーキ状の汚泥15がベルトコンベアー等で所定の場所へ搬送されて廃棄される。脱水機14としては特に限定されないが、例えば、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレス等の圧搾脱水機、又は、遠心分離機、真空濾過機等の圧力脱水機を用いることができる。なお、沈殿物12bにおける汚泥の粒径は、0.075mm未満程度にまで細かくなっている。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、凝集処理設備は、原水槽11、凝集沈殿槽12、排水槽13、及び脱水機14を備えていたが、必ずしもそれらの全てを備えている必要はない。例えば、凝集処理設備は、凝集沈殿槽12のみ備えており、凝集沈殿槽12に放射性汚染水を直接貯め、凝集沈殿槽12内の上澄み液12cの放射能濃度を計測し、放射能濃度が一定基準以下である場合に、凝集沈殿槽12から上澄み液12cを排水してもよい。また、原水槽11から凝集沈殿槽12への汚染水の移動や、凝集沈殿槽12から排水槽13への上澄み液12cの移動は、ポンプP1,P2を介して行わなくても構わない。
また、本発明の放射性汚染水の凝集処理方法は、必ずしも上述したような凝集処理設備を設置して行う必要はなく、簡易な設備で実施することができる。本発明の凝集剤組成物及び汚染水の処理方法は、汚染泥水及び汚染水全般の処理に有用であるが、凝集速度が速く、放射性物質に対する吸着・凝集効果に優れることから、放射性汚染水の処理に特に有用である。また、放射性物質で汚染された地域での除染作業等で発生した放射性汚染水を、発生箇所ごとに現場で凝集処理し、減容化する用途にも適している。
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2及び比較例1〜3)
下記表1に示す各成分を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、実施例1〜2及び比較例1〜3の凝集剤組成物を調製した。
Figure 0006053006
なお、表1中の各成分としては以下のものを用いた。
アニオン系高分子凝集剤:アイケーフロック(日本技建製)
カチオン系高分子凝集剤:アイケーフロック(日本技建製)
天然ゼオライト:イタヤ・ゼオライト(ジークライト株式会社製)
硫酸アルミニウムA:下記の硫酸アルミニウムBを乳鉢によって細かく粉砕し、100メッシュ(目開き0.15mm)のふるい目を通過したものを硫酸アルミニウムA(粒径0.15mm以下)とした。
硫酸アルミニウムB:硫酸アルミニウム(平均粒径0.8mm、最小粒径0.15mm以上)
炭酸カルシウム:宇部マテリアルズ株式会社製
(凝集処理速度の測定)
実施例及び比較例で得られた凝集剤組成物による汚染水の凝集処理速度を以下の方法で測定した。汚染水としては、粘性土を10000ppmの濃度で含有する汚染水、ベントナイトを10000ppmの濃度で含有する汚染水、及び、セメントを10000ppmの濃度で含有する汚染水の3種類の汚染水を用意した。この汚染水200mlを容量200mlのメスシリンダーに入れ、そこに凝集剤組成物0.2gを加え、1分間撹拌した後、一定時間静置することで汚染水を凝集沈殿させた。
凝集剤組成物を汚染水に加えて撹拌を終了した直後、3分間静置後、5分間静置後、10分間静置後に、生成した上澄み液の量をメスシリンダーの目盛りに基づいて測定した。ここで、上澄み液は、濁りが消えてほぼ透明な水に変化したことが目視にて確認できた部分とする。生成した上澄み液の量が多いほど、凝集剤組成物の汚染水に対する凝集処理速度が速いこととなる。表2に上澄み液の量の測定結果(単位:ml)をそれぞれ汚染水の種類と共に示す。
Figure 0006053006
(検証実験:ゼオライトの放射性物質に対する凝集性)
下記表3に示す各成分を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、凝集剤A〜Dを調製した。
Figure 0006053006
なお、表3中の各成分としては以下のものを用いた。下記以外のものは、表1中の各成分と同じものを用いた。
人工ゼオライト:fAゼオライト(前田建設工業株式会社製)
天然ゼオライト:ゼオフィルCP(新東北化学工業社製、粒径0.2mm以下)
(試験1)
放射性物質としてセシウムを含む濁りの少ない2Lの汚染水を用意した(放射性セシウム濃度 セシウム137と134の合計:307.0Bq/kg、セシウム137:182.9Bq/kg、セシウム134:124.1Bq/kg)。汚染水に、凝集剤A,C,Dをそれぞれ添加し、2分間攪拌した後、汚染水を5分間静置した。このとき、凝集剤Aについては凝集剤の濃度が0.2質量%(2kg/m)となるように添加し、凝集剤C,Dについては凝集剤の濃度が0.1質量%(1kg/m)となるように添加した。静置後の上澄み液の放射線性セシウム濃度をゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトル法により測定した。その結果を表4に示す。
(試験2)
放射性物質としてセシウムを含む濁りの少ない2Lの汚染水(試験1と同じ)を用意した。汚染水に、放射性セシウムの吸着剤として天然ゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製、粒径0.2mm以下)を、1質量%(10kg/m)添加し、5分間撹拌した。次いで、汚染水に、凝集剤A〜Dをそれぞれ添加し、2分間攪拌した後、5分間静置した。このとき、凝集剤A、Bについては凝集剤の濃度が0.2質量%(2kg/m)となるように添加し、凝集剤C、Dについては凝集剤の濃度が0.1質量%(1kg/m)となるように添加した。静置した後の上澄み液の放射性セシウム濃度をゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトル法により測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0006053006
試験1及び試験2の結果から、凝集剤A〜Dのいずれの凝集剤を用いた場合でも、天然ゼオライトの添加によって、放射性汚染水に凝集剤を添加して静置した後の上澄み液の放射性セシウム濃度を低下できることが確認された。天然ゼオライトの凝集沈殿速度が遅く、上澄み液が濁っていた凝集剤Aを用いたケースは、上澄み液から放射性セシウムが検出された。しかし、上澄み液が透明になった凝集剤B〜Dを用いたケースでは、上澄み液の放射性セシウム濃度は検出限界以下にまで低減できることが確認された。これらのことから、天然ゼオライトによる放射性物質の吸着効果が実証でき、上澄み液が透明になるまで凝集沈殿させることが重要であることが判明した。また、試験1の凝集剤Dの結果から、天然ゼオライトを構成成分として含む本発明の凝集剤組成物は、吸着剤を添加しなくても放射性物質に対する吸着効果を有することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. アニオン系高分子凝集剤と、
    カチオン系高分子凝集剤と、
    天然ゼオライトと、
    硫酸アルミニウムと、
    を含有し、
    前記硫酸アルミニウムの含有量が20〜40質量%であり、
    前記硫酸アルミニウムの50質量%以上が粒径0.15mm以下である、汚染水処理用の凝集剤組成物。
  2. 炭酸塩を更に含有する、請求項1に記載の凝集剤組成物。
  3. 前記炭酸塩は、炭酸ナトリウムを含む、請求項2に記載の凝集剤組成物。
  4. 前記炭酸塩は、炭酸カルシウムを含む、請求項2又は3に記載の凝集剤組成物。
  5. 有機酸を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の凝集剤組成物。
  6. 前記有機酸は、リンゴ酸、スルファミン酸、シュウ酸、クエン酸及び酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項5に記載の凝集剤組成物。
  7. 前記アニオン系高分子凝集剤と前記カチオン系高分子凝集剤との質量比は、20:1〜20:12である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の凝集剤組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の凝集剤組成物を用いた汚染水の処理方法であって、
    前記汚染水に前記凝集剤組成物を加えて攪拌し、汚染物質を凝集沈殿させることで前記汚染水を沈殿物と上澄み液とに分離する工程を有する、汚染水の処理方法。
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