JP6052350B2 - 加湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加湿装置の改良に関し、特に、加湿エレメントの清浄化に関する。
従来、加湿装置として、加湿エレメントを備え、この加湿エレメントに水を供給しつつ、送風ファンの駆動により空気を上記加湿エレメントに通過させ、加湿空気として、例えば空調室内に供給するものが知られている。
また、従来、水中で放電を生起させて殺菌因子を生成する水処理装置が知られている。例えば特許文献1には、この種の水処理装置が開示されている。特許文献1の水処理装置は、タンクに貯留された水を浄化する。つまり、この水処理装置は、タンクに貯留された水の中で放電を生起させ、その放電によって生じた水酸ラジカル等の殺菌因子を利用して、タンク内の水を殺菌する。
特開2011−092920号公報
ところで、上記加湿装置では、その運転の停止時にも、加湿エレメントが水を含んだ状態となるため、加湿エレメントでカビや雑菌が繁殖して、加湿エレメントから雑巾臭などの異臭が発生するという欠点がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、殺菌因子を含む殺菌水を生成する水処理装置を利用して、必要に応じて加湿装置の加湿エレメントを殺菌水で殺菌し、異臭の発生を防止することにある。
上記目的を達成するため、第1の発明の加湿装置は、水が供給される加湿エレメント(150)と、空気を上記加湿エレメント(150)に流通させる送風手段(121)と、上記加湿
エレメント(150)に供給する水として殺菌水を生成する殺菌水生成装置(10)と、上記
殺菌水生成装置(10)の下方に配置されて該殺菌水生成装置(10)で生成した殺菌水が供給される補助水槽(60,70)とを備え、上記加湿エレメント(150)は、上記補助水槽(60,70)の下方に配置され、上記補助水槽(60,70)は、上記加湿エレメント(150)の上端部へ上記殺菌水を供給することを特徴とする。
上記第1の発明では、殺菌水生成装置で生成した殺菌水を加湿エレメントに供給可能であるので、殺菌水によって加湿エレメントが殺菌される。このため、加湿エレメント自体から発生する異臭を防止できると共に、その後の運転時に加湿エレメントからカビや細菌が加湿空気と共に空調室内などに飛散することを確実に防止できる。
また、上記第1の発明では、生成された殺菌水が補助水槽で貯留されるので、この補助水槽の下方に全ての加湿エレメントを配置すれば、その全ての加湿エレメントに均一に殺菌水を分配することができるので、加湿エレメントに対する殺菌浄化性能が向上する。
また、第1の発明は、上記の構成に加えて、上記殺菌水生成装置(10)は、水槽(11)内に配置された一対の電極(31,32)と、上記一対の電極(31,32)間に電圧を印加する電源(33)と、上記一対の電極(31,32)間に配置され、上記一対の電極(31,32)間の電流経路を構成して放電を生起させる貫通孔(35)を有する絶縁性の仕切板(15)と、上記仕切板(15)により上記水槽(11)内に仕切られた第1貯留室(21a)及び第2貯留室(21b)とを備え、上記水槽(11)内の上記仕切板(15)の貫通孔(35)に形成された気泡(C)中で放電を行わせて殺菌因子を発生させて、上記水槽(11)内に殺菌水を生成することを特徴とする。
上記第1の発明では、殺菌水生成装置では、仕切板の貫通孔で水中放電が発生するので、水槽内に殺菌因子を含んだ殺菌水が生成される。
また、第1の発明は、上記の構成に加えて、上記補助水槽(60,70)は、上記殺菌水生成装置(10)の第1貯留室(21a)の水と上記第2貯留室(21b)の水とを合流させて上記加湿エレメント(150)へ供給し、上記殺菌水生成装置(10)と上記補助水槽(60,70)との間には、上記殺菌水生成装置(10)の第1貯留室(21a)の水と上記補助水槽(60,70)の水とを電気的に絶縁し且つ上記第2貯留室(21b)の水と上記補助水槽(60,70)の水とを電気的に絶縁する絶縁部(53)が配置されることを特徴とする。
上記第1の発明では、水槽内の水とこの水槽から加湿エレメントに流れる水とが絶縁部によって電気的に絶縁されるので、水槽の水中での殺菌因子の生成が良好に確保される。
以上説明したように、発明の加湿装置によれば、加湿エレメントから発生する異臭や、加湿エレメントからカビや細菌が空調室内などに飛散することを防止できる。
また、本発明によれば、水槽内での水中放電により水酸ラジカル等の殺菌因子を多く発生させて、殺菌性の高い殺菌水を得ることができる。
また、本発明によれば、水槽内の水中で殺菌因子を良好に発生させることができる。
また、発明によれば、全ての加湿エレメントに殺菌水を均一に分配して、加湿エレメントに対する殺菌浄化性能を高めることできる。
図1は実施形態1に係る加湿装置を備えた空気調和装置を示す全体概略構成図である。 図2は同加湿装置の概略構成を示す図である。 図3は同加湿装置に備える殺菌水生成装置の構成を示す図である。 図4は同殺菌水生成装置を模式的に示す図である。 図5は同殺菌水生成装置に備える放電ユニットを示す概略断面図である。 図6は高電圧発生部で発生させる電圧波形を示す図である。 図7は放電ユニットの一部を拡大して示す図である。 図8(a)は実施形態2に係る加湿装置の概略構成を示す図、同図(b)は同加湿装置の縦断面図である。 図9は参考技術1に係る加湿装置の概略構成を示す図である。 図10は参考技術2に係る加湿装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の加湿装置を備えた空気調和装置(100)の概略構成図である。この空気調和装置(100)は、いわゆるエアハンドリングユニットである。空気調和装置(100)は、ケーシング(101)を備えている。このケーシング(101)の内部の空間は、下部に開口部を有する2つの仕切板(102,103)により、上部に空気流入口(105)が形成された流入側空間(S1)と、熱交換室(S2)と、上部に空気流出口(106)が形成されたファン室(S3)とに区画される。流入側空間(S1)には、プレフィルタ(110)とメインフィルタ(111)とが配置され、熱交換室(S2)には熱交換器(112)と加湿装置(120)とが配置され、ファン室(S3)には送風ファン(送風手段)(121)が配置されていている。
この空気調和装置(100)では、送風ファン(121)の運転により、同図に破線矢印で示したように、空気を流入口(105)から吸い込んで、2つのエアフィルタ(110)、(111)でその空気中の塵埃を除去した後、熱交換器(112)に冷水又は温水を循環させてその空気の温度を調節すると共に、加湿装置(120)でその空気の湿度を調節(加湿)し、ファン室(S3)からその上部の流出口(106)を経て外部に流出させる。
上記加湿装置(120)は、加湿エレメント(150)を備えると共に、その上方に配置した殺菌水生成装置(10)を有する。この殺菌水生成装置(10)は、生成した殺菌水を加湿エレメント(150)に供給して、加湿エレメント(150)を殺菌する。
尚、図1中、(125)は殺菌水生成装置(10)への水配管(3)に配置された調整弁、(127)は熱交換器(112)への水配管(128)に配置された調整弁、(129)は熱交換室(S2)の下部に配置されたドレンパンである。
―加湿装置の構成―
次に、上記加湿装置(120)周りの詳細を図2に基づいて説明する。同図において、殺菌水生成装置(10)は、処理槽(11)内の水から水中放電の生起により殺菌因子を発生させて、殺菌因子を含有する殺菌水を生成する。上記殺菌水生成装置(10)の下方には、補助水槽(60)が配置される。この補助水槽(60)は、上記殺菌水生成装置(10)で生成された殺菌水が供給される。更に、この補助水槽(60)の下方には、加湿エレメント(150)が配置されて、この加湿エレメント(150)に上記補助水槽(60)の下面から滴下する殺菌水が供給される。上記加湿エレメント(150)は、板状のスポンジ等で構成され、水を吸い込んでその水を保持できるものであり、その厚さ方向に空気が通過できる構成を持つ。
―殺菌水生成装置の構成―
上記殺菌水生成装置(10)は、具体的には図3及び図4に示す構成を有する。図3及び図4に示すように、殺菌水生成装置(10)は、水配管(3)の流入部(3a)から流入させた水を浄化して下流槽(50)に流出させるものである。この殺菌水生成装置(10)は、噴霧装置(40)と、処理槽(11)と、下流槽(50)と、放電ユニット(30)を備えている。殺菌水生成装置(10)は、水配管(3)から流入させた水を噴霧装置(40)から処理槽(11)に供給し、該処理槽(11)において放電ユニット(30)で殺菌因子を発生させて殺菌水を生成する。この殺菌水は下流槽(50)に供給され、下流槽(50)から殺菌水生成装置(10)の外部に流出される。
上記処理槽(11)は、平面視で略長方形状に形成され、箱体状の水槽である。具体的には、処理槽(11)は、平面視で略長方形の平板に形成された底部(12)と、横長の略長方形の平板に形成され、且つ底部(12)の両長辺からそれぞれ上方に延びる長壁部(13,13)と、縦長の略長方形状の平板に形成され、且つ底部(12)の両短辺からそれぞれ上方に延びる短壁部(14a,14b)とで形成されている。処理槽(11)の長手方向の他端側(すなわち、下流槽(50)側)の短壁部(14b)は、その高さが処理槽(11)の長手方向の一端側(すなわち、水の流入側)の短壁部(14a)よりも低く形成されて流出口部(17)が形成されている。
上記処理槽(11)の内部には、その幅方向に所定間隔を置いて仕切板(15)が配置されている。仕切板(15)は、横長の略長方形状の平板に形成され、処理槽(11)の長手方向に沿って配置されて該処理槽(11)の内部を複数の貯留室であるレーン(21a,22b)に仕切っている。仕切板(15)は、電気絶縁性を有する材料で形成されている。また、後述する第1流路(21)に配置される仕切板(15)には、図5に示すように、厚さ方向に貫通する開口部(16)が形成されている。上記処理槽(11)には、仕切板(15)によって、図3における手前側から順に第1及び第2レーン(21a,21b)が形成されている。尚、処理槽(11)に形成されるレーン(21a,21b)の数は、例示であり、殺菌水生成装置(10)が浄化する水量に応じて任意に変更することができる。
また、各レーン(21a,21b)は、第1及び第2レーン(21a,21b)が一対となって第1流路(21)を形成している。
図3に示すように、上記処理槽(11)の内部には、その流入側から順に複数の第1仕切板(61)、複数の第2仕切板(62)及び複数の第3仕切板(63)が配置されている。各第1〜第3仕切板(61〜63)は、上述したレーン(21a,21b)ごとに一つずつ設けられる。各第1〜第3仕切板(61〜63)は、縦長の略長方形状の平板に形成され、処理槽(11)の幅方向に沿って配置されてレーン(21a,21b)を仕切っている。各第1及び第3仕切板(61,63)は、その高さが処理槽(11)の流入側の短壁部(14a)と同じ高さに形成されている。各第1及び第3仕切板(61,63)は、その下端が処理槽(11)の底部(12)に達しないように形成されて流出口部(64,65)が形成されている。各第2仕切板(62)は、その高さが処理槽(11)の流出側の短壁部(14b)と同じ高さに形成されて流出口部(66)が形成されている。各第2仕切板(62)は、その下端が処理槽(11)の底部(12)に接する(達する)ように形成されている。
処理槽(11)における第1仕切板(61)の上流側を流れる水は、流出口部(64)から第1仕切板(61)の下流側に噴出することで、その流速が増し、第2仕切板(62)に当たる。このため、図3における反時計回りに回転する渦が発生する。処理槽(11)における第2仕切板(62)の上流側を流れる水は、流出口部(66)から第2仕切板(62)の下流側に噴出することで、その流速が増し、第3仕切板(63)に当たる。このため、図3における時計回りに回転する渦が発生する。処理槽(11)における第3仕切板(63)の上流側を流れる水は、流出口部(65)から第3仕切板(63)の下流側に噴出することで、その流速が増し、処理槽(11)の流出側の短壁部(14b)に当たる。このため、図3における反時計回りに回転する渦が発生する。したがって、処理槽(11)の水は攪拌される。
上記の構成により、処理槽(11)の水は、第1仕切板(61)の下流側で且つ第2仕切板(62)の上流側において、上方に向かって流れ、第2仕切板(62)の下流側で且つ第3仕切板(63)の上流側において、下方に向かって流れ、第3仕切板(63)の下流側において、上方に向かって流れる。このように、処理槽(11)の水はS字状に蛇行して流れる。また、第1流路(21)の流路長は長くなる。このため、処理槽(11)の水はより一層攪拌される。
図5に示すように、上記放電ユニット(30)は、上述した一対のレーン(21a,21b)に一つ設けられる。
上記放電ユニット(30)は、第1流路(21)に殺菌因子を発生させるものである。放電ユニット(30)は、電極対(31,32)と、この電極対(31,32)に接続され、該電極対(31,32)に所定の電圧を印加する電源としての高電圧発生部(33)と、上述した開口部(16)が形成された仕切板(15)とを備えている。仕切板(15)には、放電部材(34)が設けられている。
上記電極対(31,32)は、水中で放電を生起するためのものであり、ホット側の電極(31)とニュートラル側の電極(32)とで構成されている。電極(31)は、扁平な板状に形成され、第1レーン(21a)に配置されている。電極(31)は、高電圧発生部(33)に接続されている。上記電極(32)は、扁平な板状に形成され、第2レーン(21b)に配置されている。電極(32)は、高電圧発生部(33)に接続されている。また、電極(31)と電極(32)とは互いに略平行となるように配設されている。尚、これらの電極(31,32)は、例えば耐腐食性の高い金属材料で構成されている。
上記高電圧発生部(33)は、電極対(31,32)に所定の電圧を印加する電源で構成されている。本実施形態では、高電圧発生部(33)は、例示として、図6に示すように、電極対(31,32)に対して、正負が入れ替わる交番型の方形波に形成される電圧を印加する。この交番波形(方形波)のDutyは、正極側と負極側の割合が等しくなるように調節されている。尚、電極対(31,32)に印加される電圧は、例示であって、交番型の電圧であれば、方形波に限らず、正弦波などでもよい。
上記放電部材(34)は、板状の絶縁部材である。放電部材(34)は、例えばセラミックス等の電気絶縁材料で構成されている。尚、セラミックスは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア又はアルミナである。放電部材(34)は、第1レーン(21a)と第2レーン(21b)とを仕切る仕切板(15)に形成された開口部(16)を塞ぐように配置されている。放電部材(34)には、その略中央に微小な貫通孔である放電孔(35)が形成されている。放電孔(35)は、例えば、電気抵抗が数MΩとなるように設計されている。この放電孔(35)は、電極(31)と電極(32)との間の電流経路を構成している。以上のような放電孔(35)は、電極対(31,32)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部となる。図7に示すように、電極(31)及び電極(32)に電圧が付与されると、放電部材(34)の放電孔(35)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(C)が形成される。そして、気泡(C)内では、気泡(C)と水との界面が電極となって放電が発生する。すなわち、この放電では、上記電極(31)及び電極(32)が放電電極とならないため、放電によって電極(31,32)が劣化するのを抑制 できる。
上記噴霧装置(40)は、水配管(3)に接続され、該水配管(3)の流入部(3a)から流入させた水を噴霧して処理槽(11)に供給するものである。噴霧装置(40)は、ノズルヘッダ(41)と、各レーン(21a,21b)に対応した複数の噴霧ノズル(42)とを備えている。
上記ノズルヘッダ(41)は、その側面に水配管(3)が接続され、水配管(3)から流入する水を各噴霧ノズル(42)に分けるように設けられている。
上記噴霧ノズル(42)は、ノズルヘッダ(41)の長手方向に所定の間隔を置いて複数個設けられている。噴霧ノズル(42)は、各レーン(21a,21b)に対応して設けられている。水配管(3)を流れる水は、流入部(3a)からノズルヘッダ(41)に流入し、噴霧ノズル(42)から粒状(液滴)となって対応するレーン(21a,21b)における第1仕切板(61)の上流側に向かって噴霧される。このとき、噴霧ノズル(42)から噴霧された水が粒状(液滴)となることで各粒間(各液滴間)に空気が介在して電気抵抗が高くなる。こうすることで、水配管(3)の流入部(3a)から流入する水と、処理槽(11)を流れる水とが電気的に絶縁されることになる。尚、噴霧ノズル(42)によって噴霧させることによって、水配管(3)の流入部(3a)の水と、処理槽(11)の水との間の電気抵抗は、数百MΩ以上となる。
図2に示すように、殺菌水生成装置(10)では、処理槽(11)内の水と、下流槽(50)から加湿エレメント(150)へ流れる水とが電気的に絶縁されるように構成されている。具体的に、下流槽(50)は、図3に示すように、処理槽(11)の水の流出側に連結するように設けられ、底面を除く外壁部(51a,51a,51c)からなる底抜けの箱状の水槽である。更に、下流槽(50)は、処理槽(11)の流出口部(17)から図2において右斜め下方向に延びて水を落下させるスロープ(52)を備えている。このスロープ(52)の下端は、曲面状に反り上がっていて、処理槽(11)の流出口部(17)から下流槽(50)の底部までの鉛直距離よりも処理槽(11)の流出口部(17)から下流槽(50)の底部までの水の移動距離を長くする。また、スロープ(52)の表面は撥水加工が施されている。そのため、下流槽(50)では、処理槽(11)で処理された水が流出口部(17)を超えると、その処理された水が、スロープ(52)の表面を雫状に落下した後に、その下端で図中右斜め上方向にジャンプすることにより微細化し、その微細した水が下流槽(50)の開放した底面から下方に落下することになる。
従って、上記下流槽(50)では、処理槽(11)の流出口部(17)から供給された水が開放された底面に向って落下する際に、スロープ(52)を介して雫状になると共に、その粒が小さくなることにより、各粒間(各液滴間)に空気が介在して電気抵抗が高くなる。これにより、処理槽(11)を流れる水と、下流槽(50)からその下方の加湿エレメント(150)へ流れる水との間を電気的に絶縁する絶縁部(53)を構成している。
−運転動作−
本実施形態に係る殺菌水生成装置(10)は、殺菌因子含有する殺菌水を生成する。
水配管(3)を流れる水は、流入部(3a)からノズルヘッダ(41)内に流入し、噴霧ノズル(42)から各レーン(21a,21b)に噴霧され、処理槽(11)内に水が貯留される。このとき、噴霧された水は、粒状(液滴)となっているため、各液滴間に空気が介在して電気抵抗が高くなる。このため、水配管(3)の流入部(3a)から流入する水と、処理槽(11)を流れる水とが電気的に絶縁される。また、処理槽(11)内では、第1〜第3仕切板(61)〜(63)により水流方向が上方向と下方向とに交互に変化しつつ渦が発生して、攪拌される。
殺菌水生成装置(10)の運転開始時には、処理槽(11)内が浸水した状態となっている。高電圧発生部(33)から電極対(31,32)に対して極性の割合が等しい方形波の高電圧が印加されると、放電部材(34)の放電孔(35)の電流経路の電流密度が上昇する。
放電孔(35)内の電流経路の電流密度が上昇すると、放電孔(35)内のジュール熱が大きくなる。その結果、放電部材(34)では、放電孔(35)の内部及び出入口の近傍において、水の気化が促進されて気体相としての気泡(C)が形成される。この気泡(C)は、図7に示すように、放電孔(35)の全域を覆う状態となる。この状態では、気泡(C)が電極(31)と電極(32)との間で水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、電極(31,32)と水とが同電位となり、気泡(C)と水との界面が電極となる。すると、気泡(C)内では、絶縁破壊が起こり、放電が発生する。
以上のようにして、気泡(C)内で放電が行われると、処理槽(11)の水中では、過酸化水素、水酸ラジカルなどの殺菌因子が発生する。処理槽(11)内では水が攪拌されているので、これ等の殺菌因子はその水中に均一に拡散する。
その後、処理槽(11)の各レーン(21a,21b)を流れる水は、流出口部(17)から下流槽(50)に向かって流れ落ちる。このとき、流出口部(17)から下流槽(50)に流れ落ちる水は雫となるため、各粒間(液滴間)に空気が介在して電気抵抗が高くなる。こうすることで、処理槽(11)に貯留された水と下流槽(50)から加湿エレメント(150)に流れる水とが電気的に絶縁される。
上記殺菌水生成装置(10)は、上記加湿装置(120)の加湿運転中では、常に、流入口(3a)から水が供給されると共に、一対の電極(31,32)間に所定電圧が印加されることで生成された殺菌因子を含む殺菌水がスロープ(52)から滴下し、加湿エレメント(150)に供給される。
―殺菌水生成装置及び加湿エレメント周りの構成―
図2に示すように、殺菌水生成装置(10)の下方に配置された補助水槽(60)は、上記殺菌水生成装置(10)の下流槽(50)のスロープ(52)から殺菌水が滝状の細かな水滴となって落下するのを下方で受けて貯留する。この補助水槽(60)の底面には、複数の孔部(60a)が所定間隔ずつ隔てて形成されている。補助水槽(60)はこれ等の孔部(60a)から補助水槽(60)内の殺菌水を、同図に実線矢印で示すように加湿エレメント(150)に滴下させる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、加湿装置(120)の加湿運転時には、殺菌水生成装置(10)で生成された殺菌水が補助水槽(60)を経て加湿エレメント(150)に滴下する。加湿エレメント(150)は、その殺菌水を含んだ状態を保持する。そして、空気が加湿エレメント(150)を通過すると、上記加湿エレメント(150)に含まれた殺菌水の一部が蒸発して水蒸気となり、この水蒸気が空気に付与される。このように、空気は加湿エレメント(150)を通過する際に加湿されることになる。
ここに、上記加湿装置(120)の加湿運転中では、殺菌水生成装置(10)で生成された殺菌水が加湿エレメント(150)の全体に拡散して、この加湿エレメント(150)の全体が殺菌水で殺菌される。従って、その加湿運転の開始以前の運転停止時に加湿エレメント(150)に含まれていた水によって加湿エレメント(150)内で繁殖したカビや雑菌を確実に殺菌できて、加湿エレメント(150)から生じる雑巾臭などの異臭を解消することができる。しかも、このように加湿エレメント(150)が殺菌されるので、加湿運転時には、加湿エレメント(150)からカビや細菌が加湿空気と共に空調室内などに飛散することがない。
また、上記殺菌水の生成について、処理槽(11)の水中で生起した放電によって水酸ラジカル等の活性種である殺菌因子を発生させて、殺菌水を生成するので、殺菌力の高い殺菌水を生成することが可能である。
更に、処理槽(11)内の殺菌水は下流槽(50)のスロープ(52)から滝状に滴下して補助水槽(60)に溜まるので、この滝状の滴下が絶縁部(53)となって、処理槽(11)内の殺菌水と下流槽(50)から補助水槽(60)に流れる水とが電気的に絶縁される。従って、殺菌水生成装置(10)の処理槽(11)の水中での殺菌因子の発生を確保して、殺菌水を確実に生成することが可能である。
〈実施形態2〉
図8は本発明の実施形態2を示す。同図(a)は、上記実施形態1の図2相当図、同図(b)は同図(a)の縦断面図であり、補助水槽から加湿エレメント(150)への殺菌水の供給の構成を変更したものである。
具体的に、図8(a)及び(b)では、補助水槽(70)は、内部に配置した低い高さの縦板(70a)により内部が第1補助室(70f)と第2の補助室(70s)とに区画される。上記第1補助室(70f)には、上記殺菌水生成装置(10)のスロープ(52)から殺菌水が滴下する。上記第2補助室(70s)には、加湿エレメント(150)を構成する複数毎の板状の給水部材(150a)の上端部が突出している。給水部材(150a)は、例えばスポンジ等の多孔質体や紙などの吸水性を有する材料である。この給水部材(150a)は、水を吸い込んでその水を保持できるものである。
−実施形態の効果−
従って、本実施形態においては、殺菌水生成装置(10)のスロープ(52)から補助水槽(70)の第1補助室(70f)に殺菌水が連続的に滝状で滴下する。そして、その第1補助室(70f)に溜まった殺菌水の高さが縦板(70a)の高さを超えると、その余剰の殺菌水が第2補助室(70s)に流れ込んで、その第2補助室(70s)に突出している加湿エレメント(150)の給水部材(150a)の上端部を濡らす。これら給水部材(150a)の上端部に保持された殺菌水は、給水部材(150a)の下方に向って拡散する。従って、上記実施形態1と同様に、加湿装置(120)の加湿運転中では、加湿エレメント(150)に殺菌水を連続的に供給して殺菌することが可能である。
しかも、加湿エレメント(150)の各給水部材(150a)の上端部が補助水槽(70)の第2補助室(70s)に突出して、その内部の殺菌水に浸漬されるので、これ等の給水部材(150a)に均一に一定量の殺菌水を供給することができる。
〈参考技術1〉
図9は参考技術1を示す。同図は、上記実施形態1の図2相当図である。本参考技術では、殺菌水を加湿運転前に作り置きする構成を採用する。
具体的に、図9では、殺菌水生成装置(10)には、図2及び図3で示した処理槽(11)の下流槽(50)は設けられない。処理槽(11)の底部には、2つのレーン(21a,21b)に連通する水流出管(80)が接続され、処理槽(11)の上面には、この処理槽(11)の各レーン(21a,21b)の上方から水道水を供給する水流入管(81)が接続される。上記水流入管(81)及び水流出管(80)には、各々、これ等の配管を開閉する電磁弁(83)、(82)が配置される。
本参考技術では、加湿運転の開始前において、水流出管(80)の電磁弁(82)を閉じ、水流入管(81)の電磁弁(83)を開いて、水道水を処理槽(11)の各レーン(21a,21b)に供給し、貯留する。その後、水流入管(81)の電磁弁(83)を閉じ、この状態にて一対の電極(31,32)間に所定電圧を印加して水中放電を生起させて、処理槽(11)内で殺菌水を生成し、作り置きする。
また、加湿エレメント(150)の上方には、水平方向に延びる円筒状の補助水槽(85)が配置される。この補助水槽(85)の一端には上記水流出管(80)が接続されると共に、この補助水槽(85)の底部には所定間隔毎に孔部(85a)が形成されている。この構成では、加湿エレメント(150)への殺菌水の供給時には、水流出管(80)の電磁弁(82)を開き、処理槽(11)内の殺菌水を補助水槽(85)に供給した後、この補助水槽(85)の底部の複数の孔部(85a)から殺菌水を加湿エレメント(150)に滴下して、加湿エレメント(150)に殺菌水を供給する。
尚、加湿装置(120)の運転時には、電動弁(86)を配置した水配管(87)及び上記水流入管(81)及び水流出管(80)に並列接続した水配管(88)を通じて上記補助水槽(85)に水道水が供給され、この補助水槽(85)の複数の孔部(85a)から水道水が加湿エレメント(150)に供給される。
−参考技術1の効果−
本参考技術では、加湿装置(120)の加湿運転前に殺菌水生成装置(10)の処理槽(11)内に殺菌水を作り置きしておき、その後、加湿運転の要求があった際には、先ず、処理槽(11)内の殺菌水を補助水槽(85)から加湿エレメント(150)に供給して、運転停止中に加湿エレメント(150)に繁殖したカビや雑菌を殺菌する。従って、その後の加湿装置(120)の加湿運転時には、カビや雑菌が加湿空気と共に空調室内に飛散することはない。
〈参考技術2〉
図10は本発明の参考技術2を示す。同図は、上記実施形態1の図2相当図であり、処理槽(11)と加湿エレメント(150)周りの構成の変更例である。
上記実施形態2の図8では、加湿装置(120)での実線矢印で示す空気流通方向(同図で紙面垂直方向)と同方向に殺菌水生成装置(10)の2つのレーン(21a,21b)を並んで配置したが、本参考技術では、図10に示す通り、実線矢印で示す空気流通方向とは直交する方向(図10で左右方向)に2つのレーン(21a,21b)を並んで配置している。即ち、本参考技術の殺菌水生成装置(10)では、図10で左右方向に長い形状の処理槽(11)が配置され、その処理槽(11)の左右方向の中央部位に放電部材(34)を有する仕切板(15)が配置されて、左右方向に並ぶ第1及び第2レーン(21a,21b)が区画されている。そして、第1レーン(21a)の左端部に一方の電極(31)が配置され、第2レーン(21b)の右端部に他方の電極(32)が配置されている。
また、上記処理槽(11)には、仕切板(15)の上方の位置にて、電磁弁(90)付きの2分岐水道管(91)が開口していて、この水道管(91)から水道水を両レーン(21a,21b)に供給する。一方、この処理槽(11)では、図2に示した下流槽(50)は設けられていない。
加湿エレメント(150)は、上下方向に長い複数枚の給水部材(150a,150b)で構成され、図中実線矢印で示した空気流通方向と直交する方向に所定間隔毎に並んで配置されている。上記複数枚の給水部材(150a,150b)は、殺菌水生成装置(10)の側方に配置され、処理槽(11)の第1レーン(21a)に対応する第1給水部材(150a)と第2レーン(21b)に対応する第2給水部材(150b)とに区分される。第1及び第2給水部材(150a,150b)は、互いに間隔を隔てて配置されると共に、その各上部が殺菌水生成装置(10)側に折れ曲がった後、処理槽(11)の上端開口部から処理槽(11)内の底部に臨むようにL字形状に折り曲げられている。そして、第1給水部材(150a)は、そのL字部(150al)の先端が第1レーン(第1貯留室)(21a)内の電極(31)と仕切板(15)との間で殺菌水に浸漬され、第2給水部材(150b)は、そのL字部(150bl)の先端が第2レーン(第2貯留室)(21b)内の電極(32)と仕切板(15)との間で殺菌水に浸漬される。
更に、上記加湿エレメント(150)の第1及び第2給水部材(150a,15ob)の下端は、ドレンパン(129)の上方に位置している。つまり、給水部材(150a,15ob)の下端は、ドレンパン(129)の最高水位よりも上方に位置しており、給水部材(150a,15ob)の下端がドレンパン(129)内の水に浸ることはない。従って、第1及び第2給水部材(150a,15ob)に含まれた水とドレンパン(129)内の水とは、その両者間に空気が存在して、電気的に絶縁されている。
本参考技術では、殺菌水生成装置(10)において、電磁弁(90)を開いて水道水を処理槽(11)の第1及び第2レーン(21a,21b)に供給し、その水位を例えば図示しない水位センサにより検出する。そして、所定水位になれば、水道水の供給を停止して、一対の電極(31,32)間で水中放電を行わせて、第1及び第2レーン(21a,21b)で殺菌水を生成する。これ等の殺菌水は、第1及び第2給水部材(150a,150b)別に、それ等のL字部(150al,150bl)から吸われて、同図に破線で示したように各給水部材(150a,150b)の上部から下部に拡散して、各給水部材(150a,150b)の全体に行き渡って、各給水部材(150a,150b)を殺菌する。
上記の動作は、加湿装置(120)の加湿運転の開始前、又は加湿運転の続行中に行われる。従って、上記実施形態1〜2及び上記参考技術1と同様に、運転停止中に加湿エレメント(150)に繁殖したカビや雑菌が殺菌されるので、加湿運転時にカビや雑菌が加湿空気と共に空調室内に飛散することはない。
尚、処理槽(11)内の殺菌水の水位が所定水位未満に低下したときには、水中放電を停止した後、水道水を処理槽(11)に供給して、再度、水中放電を行って殺菌水を生成する。
また、加湿装置(120)の加湿運転開始前に殺菌水を加湿エレメント(150)に供給して殺菌する場合には、その後の加湿運転時に、一対の電極(31,32)を用いた殺菌水の生成を停止し、処理槽(11)内の水道水を加湿エレメント(150)に供給して、通常の加湿運転を行うことも可能である。
−参考技術2の効果−
本参考技術では、殺菌水生成装置(10)の処理槽(11)内に水道水を供給して、処理槽(11)内に水道水が溜まった静止状態にて殺菌因子を含む殺菌水が生成される。また、このように生成された処理槽(11)内の殺菌水は、加湿エレメント(150)の各給水部材(150a,150b)のL字部(150al,150bl)から下部に向って徐々に拡散浸透するので、上記実施形態1〜2及び上記参考技術1のように殺菌水の流れや滴下がなく、加湿エレメント(150)の殺菌を静音状態で行うことが可能である。
しかも、処理槽(11)内の給水部材(150a,150b)の上端部を静音状態で殺菌水に浸漬するだけの構成であるので、実施形態1〜2及び上記参考技術1のように補助水槽(60,70,85)が不要であり、構成が簡易である。
また、加湿エレメント(150)は、その第1吸水部材(150a)の上端部が水槽(11)の第1貯留室(21a)の殺菌水に浸漬され、第2吸水部材(150b)の上端部が第2貯留室(21b)の殺菌水に浸漬されている。従って、処理槽(11)で生成された殺菌水を加湿エレメント(150)の第1及び第2吸湿部材(150a)、(150b)に滴下させるなどの構成が不要であるので、構成が簡易になる。
更に、加湿エレメント(150)の第1吸水部材(150a)と第2吸水部材(150b)とが離れて位置して、両吸水部材(150a)、(150b)間に空気が存在する。また、この両吸水部材(150a)、(150b)の下端はドレンパン(129)の上方に位置する。従って、これら吸水部材(150a)、(150b)相互間が空気により電気的に絶縁されるので、処理槽(11)内で仕切板(15)により仕切られた第1貯留室(21a)と第2貯留室(21b)との間の電気的な絶縁が確保される。よって、水槽(11)と加湿エレメント(150)とを電気的に絶縁する構成が不要である。
以上説明したように、本発明は、加湿装置の加湿エレメントの殺菌について、有用である。
3 水配管
10 殺菌水生成装置
11 処理槽(水槽)
15 仕切板
21a、21b レーン(貯留室)
31、32 電極
33 高電圧発生部(電源)
35 放電孔(貫通孔)
50 下流槽
53 絶縁部
60,70,85 補助水槽
120 加湿装置
121 送風ファン(送風手段)
150 加湿エレメント
150a、150b 給水部材

Claims (1)

  1. 水が供給される加湿エレメント(150)と、
    空気を上記加湿エレメント(150)に流通させる送風手段(121)と、
    上記加湿エレメント(150)に供給する水として殺菌水を生成する殺菌水生成装置(10)と、
    上記殺菌水生成装置(10)の下方に配置されて該殺菌水生成装置(10)で生成した殺菌水が供給される補助水槽(60,70)とを備え、
    上記加湿エレメント(150)は、上記補助水槽(60,70)の下方に配置され、
    上記補助水槽(60,70)は、上記加湿エレメント(150)の上端部へ上記殺菌水を供給し、
    上記殺菌水生成装置(10)は、
    水槽(11)内に配置された一対の電極(31,32)と、
    上記一対の電極(31,32)間に電圧を印加する電源(33)と、
    上記一対の電極(31,32)間に配置され、上記一対の電極(31,32)間の電流経路を構成して放電を生起させる貫通孔(35)を有する絶縁性の仕切板(15)と、
    上記仕切板(15)により上記水槽(11)内に仕切られた第1貯留室(21a)及び第2貯留室(21b)とを備え、
    上記水槽(11)内の上記仕切板(15)の貫通孔(35)に形成された気泡(C)中で放電を行わせて殺菌因子を発生させて、上記水槽(11)内に殺菌水を生成し、
    上記補助水槽(60,70)は、上記殺菌水生成装置(10)の第1貯留室(21a)の水と上記第2貯留室(21b)の水とを合流させて上記加湿エレメント(150)へ供給し、
    上記殺菌水生成装置(10)と上記補助水槽(60,70)との間には、上記殺菌水生成装置(10)の第1貯留室(21a)の水と上記補助水槽(60,70)の水とを電気的に絶縁し且つ上記第2貯留室(21b)の水と上記補助水槽(60,70)の水とを電気的に絶縁する絶縁部(53)が配置されている
    ことを特徴とする加湿装置。
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