以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら本発明の実施形態に係る美容マスクについて説明する。図1は、実施形態としての美容マスクMを示す平面図である。図1においては、美容マスクMの略中央である鼻切断部50と口切断部51とを通る垂直基準線CVLと、垂直基準線CVLに直交し鼻切断部50を通る水平基準線CHLを便宜上設定し、各部の傾斜度合いを説明する際に用いるものとする。
美容マスクMは、顔面に接触し顔面の一部を覆うための美容マスクであって、シート状基材10を備える。シート状基材10は、伸縮層を構成する不織布と、保持層を構成する不織布とを貼り合わせて構成されている。伸縮層を構成する不織布は、メルトブローやスパンボンドといった直接紡糸法で製造されるなど、公知の製造方法によって得られるものであって、繊維配向がランダムな不織布である。保持層を構成する不織布は、スパンレース、サーマルボンド、ニードルパンチといった公知の製造方法によって得られるものであって、繊維配向は垂直基準線CVLに沿ったものとなっている。シート状基材10は、不織布に限らず、織物や編物、フィルムシートなどを用いて構成してもよい。また、シート状基材10を構成する層は伸縮層と保持層が1層ずつでなくてもよい。例えば、伸縮層と、保持層と、更に伸縮層とを重ねる3層構造でもよい。
本発明の美容マスクMの使用時における引張方向への30%伸長時の伸長回復率は、好ましくは30〜100%であり、特に好ましくは50〜100%である。尚、美容マスクMの伸長回復率は、JIS L1096に規定された一般織物試験方法に従い、以下の手順により測定した。
まず、シート状基材10から幅25mm、長さ200mmの試験片を裁断して、これを測定用サンプルとした。当該試験片を、引張試験機オートグラフAG-G(商品名、(株)島津製作所製)に対し、チャック間の距離(引張試験機の固定具間に挟まれた試験片の長さ)を100mmに設定して固定した。このとき、試験片は、美容マスクMを顔面Fに密着させる際に引っ張られる方向が、引張試験機で引っ張られる方向と一致するように固定した。
引張試験機による試験を開始し、試験片を引張速度300mm/分で30mm(チャック間の長さである100mmの30%の長さ)伸長させた後、同じ速度で元のチャック間の距離(100mm)まで戻した。その直後、再び同じ引張速度で試験片を伸長させ、引張試験機が再び負荷を検出し始めた時点における伸長した長さ(その時点におけるチャック間の距離から、元の長さである100mmを差し引いた長さ)を測定した。このときの測定値をΔL(mm)として、伸長回復率は下記式に従って求めた。尚、式中の「30」は、試験片を一回目の伸長の際に伸長させた長さ(mm)である。
30%伸長時の伸長回復率(%)={(30−ΔL)/30}×100
シート状基材10の材質は、スチレン系エラストマー繊維、オレフィン系エラストマー繊維、エステル系エラストマー繊維、ウレタン系エラストマー繊維などのエラストマー繊維、コットン、麻などのセルロース繊維、ウール、シルク、レーヨン、キュプラ、パルプ及びセルロース等を用いて作られる半合成繊維ならびにポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、セロファン、ビニロン、塩化ビニル等合成繊維に親水化処理を施したものを含む繊維を用いる事ができる。伸縮層としては、スチレン系エラストマー繊維、オレフィン系エラストマー繊維、エステル系エラストマー繊維、ウレタン系エラストマー繊維などのエラストマー繊維を含む事がより好ましく、これらの2種以上を用いてもよい。保持層としては、コットン、麻などのセルロース繊維、ウール、シルク、レーヨン、キュプラ、パルプ及びセルロース等を用いて作られる半合成繊維ならびに合成繊維に親水化処理を施したものなどを含む事がより好ましく、これらの2種以上を用いてもよい。
不織布の目付は特に限定されないが、例えば、30〜250g/m2が好ましく、使用性の観点から、50〜150g/m2がより好ましい。目付が30g/m2未満であると、含浸させ得る化粧料の絶対量が少なくなると共に、手で持ったときの感じが軟弱となり、装着時の取り扱いが悪くなるおそれがある。加えて、弾力性が小さくなることに起因して、装着時に良好な着け心地を得られないことがある。目付が250g/m2を超えると、厚くなりすぎて、装着する際に撚れやしわの発生なく密着させることが難しくなると共に、コスト高となる。
シート状基材10の厚さは、シート状基材10の材質や、使用性等を勘案して決定できる。例えば、シート状基材10の厚さは、0.2〜3.0mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。上記範囲内であれば、美容マスクMに必要な強度が維持されると共に、美容マスクMの装着が容易である。美容マスクMの横方向(水平基準線CHLと平行方向)の長さは、シート状基材10の材質等を勘案して決定することができ、例えば、150〜300mmの範囲とされる。美容マスクMの縦方向方向(垂直基準線CVLと平行方向)の長さは、シート状基材10の材質等を勘案して決定することができ、例えば、100〜200mmの範囲とされる。
シート状基材10は、上方の縁部である上側外縁201と、下方の縁部である下側外縁301とを有する。上側外縁201と下側外縁301とは、一方の耳側に位置する耳側外縁211及び耳側外縁311と、他方の耳側に位置する耳側外縁221及び耳側外縁321とによって繋がれている。耳側外縁211は耳側外縁311よりも図中上方に位置する外縁部であり、耳側外縁221は、耳側外縁321よりも図中上方に位置する外縁部である。
シート状基材10の略中央には、鼻当接部50Aを構成する鼻切断部50と、口当接部51Aを構成する口切断部51とが形成されている。鼻切断部50及び口切断部51は、シート状基材10を切断して形成されるものである。
シート状基材10は、鼻側における顔面の一部を覆って耳側に引っ張る上側当接部20と、口側における顔面の一部を覆って耳側に引っ張る下側当接部30と、を有する。上側当接部20には、耳に掛けてこの美容マスクMを顔面に保持するための一側固定部21及び他側固定部22が設けられている。下側当接部30には、耳に掛けてこの美容マスクMを顔面に保持するための一側固定部31及び他側固定部32が設けられている。
上側当接部20と下側当接部30とは、シート状基材10を一方の耳側外縁211,311側から内側に向かって切断して形成される一側切断部40と、シート状基材10を他方の耳側外縁側221,321から内側に向かって切断して形成される他側切断部41とによって区切られている。未使用時においては一側切断部40の両側が互いに当接すると共に、他側切断部41の両側が互いに当接するように構成されている。
一側切断部40は、下降切断部401と、上昇切断部402と、湾曲切断部403と、部分接続部404とを有している。下降切断部401は、耳側外縁211,311側から内側に向かって、鼻側から口側に下降傾斜するように設けられている。換言すれば、下降切断部401は、両耳に相当する部分を結ぶ線と平行な水平基準線CHLに対して、耳側外縁211,311側から所定角度を成して徐々に離隔するように構成されている。この所定角度は、10度〜50度であることが好ましく、20度〜40度であることがより好ましい。水平基準線CHLに対する下降切断部401の成す角度である所定角度を10度以上若しくは20度以上とすることで、下側当接部30の可動域を確保することができる。更に、水平基準線CHLに対する下降切断部401の成す角度を40度以下若しくは50度以下とすることで、下降切断部401を一側固定部31の主切断部314に近づけすぎることなく、主切断部314との間に十分な距離を確保することができ、美容マスクMの耐久性を高めることができる。
尚、本実施形態では下降切断部401を直線状に形成したけれども、下降切断部401の好ましい態様はこれに限られるものではない。下降切断部401は、例えば、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として鼻側から口側に向けて下降するように形成され、その全体の傾斜角度が上述したものであることが好ましいものである。下降傾斜部401の全体の傾斜角度とは、本実施形態のように下降傾斜部401が直線状であればその直線と横方向である水平基準線CHLとの成す角度であり、下降傾斜部401が直線状でなければ、例えば下降傾斜部401との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と水平基準線CHLとの成す角度であり、例えば耳側外縁211,311と下降傾斜部401との交点と下降傾斜部401の内側終点(湾曲切断部403と繋がる点)とを結んだ基準直線と水平基準線CHLとの成す角度である。
上昇切断部402は、湾曲切断部403を介して下降切断部401と繋がっている部分である。上昇切断部402は、垂直基準線CVLに沿って、口側から鼻側に上向きに形成されている。従って、一側切断部40は、耳側外縁211,311側から内側に向かって、鼻側から口側に下側傾斜するように設けられており、内側末端は口側から鼻側に向かって上側に折り返すように形成されている。垂直基準線CVLに対して上昇切断部402が成す角度は、図1に示したように0度、すなわち垂直基準線CVLと上昇切断部402とが互いに平行であることが好ましいものである。尤も、垂直基準線CVLと上昇切断部402とが成す角度はこれに限られるものではなく、その角度は0度〜60度であることが好ましく、0度〜45度であることがより好ましく、0度であることが最も好ましい。
尚、本実施形態では上昇切断部402を直線状に形成したけれども、上昇切断部402の好ましい態様はこれに限られるものではない。上昇切断部402は、例えば、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として口側から鼻側に向けて上昇するように形成され、その全体の傾斜角度が上述したものであることが好ましいものである。上昇切断部402の全体の傾斜角度とは、上昇傾斜部402が直線状であればその直線と縦方向である垂直基準線CVLとの成す角度であり、上昇傾斜部402が直線状でなければ、例えば上昇傾斜部402との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と垂直基準線CVLとの成す角度であり、例えば上昇傾斜部402の両端点(湾曲切断部403と繋がる点と、その反対側の端点)を結んだ基準直線と垂直基準線CVLとの成す角度である。
部分接続部404は、下降切断部401の耳側外縁211,311側を繋ぐように設けられた部分である。従って、一側切断部40の耳側外縁211,311に至る部分の両側が部分的に繋がるように形成されている。
他側切断部41は、下降切断部411と、上昇切断部412と、湾曲切断部413と、部分接続部414とを有している。下降切断部411は、耳側外縁221,321側から内側に向かって、鼻側から口側に下降傾斜するように設けられている。換言すれば、下降切断部411は、両耳に相当する部分を結ぶ線と平行な水平基準線CHLに対して、耳側外縁221,321側から所定角度を成して徐々に離隔するように構成されている。この所定角度は、10度〜50度であることが好ましく、20度〜40度であることがより好ましい。水平基準線CHLに対する下降切断部411の成す角度である所定角度を10度以上若しくは20度以上とすることで、下側当接部30の可動域を確保することができる。更に、水平基準線CHLに対する下降切断部411の成す角度を40度以下若しくは50度以下とすることで、下降切断部411を他側固定部32の主切断部324に近づけすぎることなく、主切断部324との間に十分な距離を確保することができ、美容マスクMの耐久性を高めることができる。
尚、本実施形態では下降切断部411を直線状に形成したけれども、下降切断部411の好ましい態様はこれに限られるものではない。下降切断部411は、例えば、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として鼻側から口側に向けて下降するように形成され、その全体の傾斜角度が上述したものであることが好ましいものである。下降傾斜部411の全体の傾斜角度とは、本実施形態のように下降傾斜部411が直線状であればその直線と横方向である水平基準線CHLとの成す角度であり、下降傾斜部411が直線状でなければ、例えば下降傾斜部411との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と水平基準線CHLとの成す角度であり、例えば耳側外縁221,321と下降傾斜部411との交点と下降傾斜部411の内側終点(湾曲切断部413と繋がる点)とを結んだ基準直線と水平基準線CHLとの成す角度である。
上昇切断部412は、湾曲切断部413を介して下降切断部411と繋がっている部分である。上昇切断部412は、垂直基準線CVLに沿って、口側から鼻側に上向きに形成されている。従って、他側切断部41は、耳側外縁221,321側から内側に向かって、鼻側から口側に下側傾斜するように設けられており、内側末端は口側から鼻側に向かって上側に折り返すように形成されている。垂直基準線CVLに対して上昇切断部412が成す角度は、図1に示したように0度、すなわち垂直基準線CVLと上昇切断部412とが互いに平行であることが好ましいものである。尤も、垂直基準線CVLと上昇切断部412とが成す角度はこれに限られるものではなく、その角度は0度〜60度であることが好ましく、0度〜45度であることがより好ましく、0度であることが最も好ましい。
尚、本実施形態では上昇切断部412を直線状に形成したけれども、上昇切断部412の好ましい態様はこれに限られるものではない。上昇切断部412は、例えば、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として口側から鼻側に向けて上昇するように形成され、その全体の傾斜角度が上述したものであることが好ましいものである。上昇切断部412の全体の傾斜角度とは、上昇傾斜部412が直線状であればその直線と縦方向である垂直基準線CVLとの成す角度であり、上昇傾斜部412が直線状でなければ、例えば上昇傾斜部412との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と垂直基準線CVLとの成す角度であり、例えば上昇傾斜部412の両端点(湾曲切断部413と繋がる点と、その反対側の端点)を結んだ基準直線と垂直基準線CVLとの成す角度である。
部分接続部414は、下降切断部411の耳側外縁221,321側を繋ぐように設けられた部分である。従って、他側切断部41の耳側外縁221,321に至る部分の両側が部分的に繋がるように形成されている。
シート状基材10は、鼻に当接する鼻当接部50A及び口に当接する口当接部51Aを含む上側中央部20Aと、この上側中央部20Aを挟んで一方の頬に当接する上側一側部20B及び他方の頬に当接する上側他側部20Cと、を有する。上側一側部20Bには、耳に掛けてこの美容マスクを顔面に保持するための一側固定部21が設けられている。上側他側部20Cには、耳に掛けてこの美容マスクを顔面に保持するための他側固定部22が設けられている。
一側固定部21は、鼻当接部50Aから口当接部51Aに向かう縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に略沿ってシート状基材10を線状に切断して形成される主切断部214と、主切断部214の両端において主切断部214と接するようにシート状基材10を切断して形成される副切断部215,216と、を有する。未使用時においては主切断部214の両側が互いに当接するように構成される。副切断部215,216は主切断部214側から外に凸となる湾曲線を成すように形成されると共に、未使用時においてはその両側が互いに当接してなる。尚、主切断部214は、直線状に形成されていても、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に沿うように形成されるものである。
他側固定部22は、鼻当接部50Aから口当接部51Aに向かう縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に略沿ってシート状基材10を線状に切断して形成される主切断部224と、主切断部224の両端において主切断部224と接するようにシート状基材10を切断して形成される副切断部225,226と、を有する。未使用時においては主切断部224の両側が互いに当接するように構成される。副切断部225,226は主切断部224側から外に凸となる湾曲線を成すように形成されると共に、未使用時においてはその両側が互いに当接してなる。尚、主切断部224は、直線状に形成されていても、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に沿うように形成されるものである。
主切断部214,224は、鼻当接部50A側の上端部(副切断部215,225側端部)が、口当接部51A側の下端部(副切断部216,226側端部)よりもシート状基材10の外縁側に位置するように縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に対して傾斜して形成されている。上側主切断部である主切断部214,224が縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に対して成す角度は0度〜15度であることが好ましい。このように主切断部214,224の全体の傾斜角度を調整することで、美容マスクMの顔面への密着性及び装着性をより向上することができる。主切断部214,224の全体の傾斜角度とは、主切断部214,224が直線状であればその直線と縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)との成す角度であり、主切断部214,224が直線状でなければ、例えば主切断部214,224との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と縦方向との成す角度であり、例えば主切断部214,224の両端点を結んだ基準直線と縦方向との成す角度である。
一側固定部21は、主切断部214からシート状基材10の内側に延びる補助切断部217を有し、補助切断部217は、シート状基材10を線状且つ断続的に切断して形成されている。補助切断部217は、主切断部214の中央近傍に垂直に繋がるように形成されており、主切断部214の中央近傍からシート状機材10の内側に延びるように形成されている。他側固定部22は、主切断部224からシート状基材10の内側に延びる補助切断部227を有し、補助切断部227は、シート状基材10を線状且つ断続的に切断して形成されている。補助切断部227は、主切断部224の中央近傍に垂直に繋がるように形成されており、主切断部224の中央近傍からシート状機材10の内側に延びるように形成されている。
また本実施形態では、一側部として、上述した鼻当接部50A側に形成された上側一側部20Bと、口当接部51A側に形成された下側一側部30Bとが形成されている。他側部としては、上述した鼻当接部50A側に形成された上側他側部20Cと、口当接部51A側に形成された下側他側部30Cとが形成されている。下側一側部30Bと下側他側部30Cとの間には、中央部として下側中央部30Aが形成されている。
下側一側部30Bには、耳に掛けてこの美容マスクを顔面に保持するための一側固定部31が設けられている。下側他側部30Cには、耳に掛けてこの美容マスクを顔面に保持するための他側固定部32が設けられている。
一側固定部31は、鼻当接部50Aから口当接部51Aに向かう縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に略沿ってシート状基材10を線状に切断して形成される主切断部314と、主切断部314の両端において主切断部314と接するようにシート状基材10を切断して形成される副切断部315,316と、を有する。未使用時においては主切断部314の両側が互いに当接するように構成される。副切断部315,316は主切断部314側から外に凸となる湾曲線を成すように形成されると共に、未使用時においてはその両側が互いに当接してなる。尚、主切断部314は、直線状に形成されていても、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に沿うように形成されるものである。
他側固定部32は、鼻当接部50Aから口当接部51Aに向かう縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に略沿ってシート状基材10を線状に切断して形成される主切断部324と、主切断部324の両端において主切断部324と接するようにシート状基材10を切断して形成される副切断部325,326と、を有する。未使用時においては主切断部324の両側が互いに当接するように構成される。副切断部325,326は主切断部324側から外に凸となる湾曲線を成すように形成されると共に、未使用時においてはその両側が互いに当接してなる。尚、主切断部324は、直線状に形成されていても、部分的若しくは全体的に湾曲していても、部分的若しくは全体的に屈曲していても、それらの形態要素を組み合わせた態様であっても構わないものであり、全体として縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に沿うように形成されるものである。
主切断部314,324は、鼻当接部50A側の上端部(副切断部315,325側端部)が、口当接部51A側の下端部(副切断部316,326側端部)よりもシート状基材10の外縁側に位置するように縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に対して傾斜して形成されている。下側主切断部である主切断部314,324が縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)に対して成す角度は10度〜35度であることも好ましい。このように主切断部314,324の全体の傾斜角度を調整することで、美容マスクMの顔面への密着性及び装着性をより向上することができる。主切断部314,324の全体の傾斜角度とは、主切断部314,324が直線状であればその直線と縦方向(垂直基準線CVLが延びる方向)との成す角度であり、主切断部314,324が直線状でなければ、例えば主切断部314,324との間で囲まれる面積がその両側で略均等となるような基準直線と縦方向との成す角度であり、例えば主切断部314,324の両端点を結んだ基準直線と縦方向との成す角度である。
一側固定部31は、主切断部314からシート状基材10の内側に延びる補助切断部317を有し、補助切断部317は、シート状基材10を線状且つ断続的に切断して形成されている。補助切断部317は、主切断部314の中央近傍に垂直に繋がるように形成されており、主切断部314の中央近傍からシート状機材10の内側に延びるように形成されている。他側固定部32は、主切断部324からシート状基材10の内側に延びる補助切断部327を有し、補助切断部327は、シート状基材10を線状且つ断続的に切断して形成されている。補助切断部327は、主切断部324の中央近傍に垂直に繋がるように形成されており、主切断部324の中央近傍からシート状機材10の内側に延びるように形成されている。
また本実施形態では、上側一側部20B及び上側他側部20Cに形成されている上側の主切断部214,224は、鼻当接部50A側の上端部が、口当接部51A側の下端部よりもシート状基材10の外縁側に位置するように縦方向に対して傾斜して形成されている。また、下側一側部30B及び下側他側部30Cに形成されている下側の主切断部314,324は、鼻当接部50A側の上端部が、口当接部51A側の下端部よりもシート状基材10の外縁側に位置するように縦方向に対して傾斜して形成されている。そして本実施形態では、上側の主切断部214,224よりも下側の主切断部314,324がより外縁側に傾斜するように形成されている。具体的には、主切断部214,224が垂直基準線CVLに対して成す角度は0度〜15度であり、主切断部314,324が垂直基準線CVLに対して成す角度は10度〜35度である。
続いて、図2,図3,図4,図5を参照しながら、美容マスクMの装着方法について説明する。図2〜図5は、美容マスクの装着方法を説明するための図である。まず、図2に示すように、美容マスクMを顔面Fに当接させる。具体的には、左手LHで上側中央部20Aを押さえ、右手RHで上側他側部20Cを引き伸ばし、顔面Fに密着させる。続いて、図3に示すように、右手RHで他側固定部22を耳Eに掛けて固定する。更に、図4に示すように、左手LHで下側中央部30Aを押さえ、右手RHで下側他側部30Cを引き伸ばし、顔面Fに密着させる。最後に、図5に示すように、他側固定部32を耳Eに掛けて固定する。
上述した本実施形態によれば、一側固定部21,31及び他側固定部22,32が、縦方向に沿ってシート状基材10を線状に切断して形成されているので、縦長の耳に沿った形態とすることができ、耳に掛けたときの装着感を高めることができる。一側固定部21,31及び他側固定部22,32は、耳に掛ける主たる部分である主切断部214,224,314,324を有しており、主切断部214,224,314,324は未使用時においてその両側が互いに当接するように構成されている。このように構成することで、シート状基材10を線状に切断するのみで主切断部214,224,314,324を形成することができ、不要部分を手でむしり取るといった追加作業を行う必要がなくなり、生産性を向上させることができる。
更に本実施形態では、主切断部214,224,314,324の両端に副切断部215,216,225,226,315,316,325,326を形成しており、副切断部215,216,225,226,315,316,325,326は主切断部214,224,314,324側から外に凸となる湾曲線を成すように形成されている。このように主切断部214,224,314,324と副切断部215,216,225,226,315,316,325,326とを構成することで、主切断部214,224,314,324が延びる方向に沿ったき裂の進展を副切断部215,216,225,226,315,316,325,326が緩和し、装着時における一側固定部21,31及び他側固定部22,32の破損を抑制できる。
本実施形態では、シート状基材10を構成する保持層の繊維配向が垂直基準線CVLに沿うように構成されている。そのため、美容マスクMは幅方向(水平基準線CHLに略沿った方向)へ力を加えると、保持層を構成する複数の繊維を互いに引き離す方向に力が加わるので、繊維の沿った方向へ力を加える場合よりも伸縮しやすく、使用感がよいものとなっている。一方、このような繊維配向にすると、主切断部214,224,314,324が繊維に沿った方向に配置されることになり、上述したように主切断部214,224,314,324の端部からき裂が進展しやすくなる。そこで、副切断部215,216,225,226,315,316,325,326を、保持層の繊維配向と交わるように配置すると共に、主切断部214,224,314,324側から加わる力を湾曲部の内側で受け止めるような形態としているので、き裂の進展抑制により効果を発揮するものとなっている。
また本実施形態では、主切断部214,224,314,324をその上端部が下端部よりも外縁側に位置するように傾斜させているので、主切断部214,224,314,324を耳に掛けた場合にシート状基材10を顔面により密着させることができる。
本実施形態では、主切断部214,224,314,324を、未使用時においてその両側が当接するように構成しているので、不要部分を手でむしり取る必要がなく、生産性を向上させることができるものとなっている。しかしながら、耳の大きさや形状は人それぞれであるため、場合によっては主切断部214,224,314,324を耳に掛けた場合に違和感を感じることが想定される。そこで本実施形態では、主切断部214,224,314,324から内側に延びる補助切断部217,227,317,327を設け、この補助切断部217,227,317,327を広げることで耳に掛けた場合の違和感を緩和している。更に、補助切断部217,227,317,327は、シート状基材10を線状且つ断続的に切断して形成しているので、使用者が使用時に断続的に繋がっている部分を引き離せば所望の長さの補助切断部217,227,317,327を形成することができる。従って、製造時の手間を低減しつつ、使用者の要求に応じた長さの補助切断部217,227,317,327を提供することができる。
また本実施形態では、上側一側部20B及び上側他側部20Cと下側一側部30B及び下側他側部30Cとを形成し、それぞれに固定部を設け、一側固定部21、他側固定部22、一側固定部31、他側固定部32としているので、それぞれの固定部を耳に掛けて装着することで顔面の凹凸により追従させることができる。
また本実施形態では、上側の主切断部214,224よりも下側の主切断部314,324がより外縁側に傾斜するように形成されているので、上側の主切断部214,224と下側の主切断部314,324とを耳に掛けると、下側一側部30B及び下側他側部30Cが捩られ、特に下側一側部30B及び下側他側部30Cの下方である下側外縁301側がより引き上げられる。従って、上側の主切断部214,224と下側の主切断部314,324との傾斜角度を変えるという簡易な手法で、この美容マスクMの下端が当接する領域の引き上げ効果を高めることができる。
本実施形態では、上側当接部20と下側当接部30とを設け、それらを一側切断部40及び他側切断部41によって分離しているので、それぞれが当接する顔面の形状に合わせてより確実に密着させることができる。また、一側切断部40及び他側切断部41は、未使用時においては一側切断部40の両側が互いに当接すると共に、他側切断部41の両側が互いに当接するように構成されている。このように構成することで、シート状基材10を線状に切断するのみで一側切断部40及び他側切断部41を形成することができ、不要部分を手でむしり取るといった追加作業を行う必要がなくなり、生産性を向上させることができる。更に、一側切断部40及び他側切断部41は、下降切断部401及び下降切断部411が耳側外縁211,311,221,321側から内側に向かって、鼻側から口側に下側傾斜するように設けられており、それらの内側末端である上昇切断部402,412は口側から鼻側に向かって上側に折り返すように形成されている。このように一側切断部40及び他側切断部41を形成することで、下側当接部30の外縁から一側切断部40及び他側切断部41の切り込み端までの直線距離を確保することができ、過度に内側まで切り込まずに下側当接部30の可動域を広げることができる。また、上述したような不織布を採用し、このように一側切断部40及び他側切断部41を形成することで、予期せぬ方向への不織布の裂けを抑制することができる。更に、上側当接部20は下に凸となるように形成され(図1の湾曲切断部403,413近傍参照)、下側当接部30はその凸となる部分を覆うように配置されるので、上側当接部20と下側当接部30との間に隙間を生じさせることなく顔面に密着させることができる。
また本実施形態では、部分接続部404及び部分接続部414を形成することで、一側切断部40及び他側切断部41の耳側外縁211,311,221,321に至る部分を部分的に繋いでいるので、使用者が実際に顔面に密着させて使用するまで一側切断部40及び他側切断部41それぞれの両側を互いに当接させたままとすることができ、例えば包装時に折畳む場合の取り扱い性を向上させることができる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、例えばシート状基材10に皮膚化粧料が含浸されていてもよい。シート状基材10に皮膚化粧料が含浸されていることで、口囲、目尻、頬及び下顎の角質層の保湿効果により、肌に潤いと張りを与えることができる。加えて、皮膚化粧料によって美容用マスクMと肌との密着性が増し、引き上げ効果を更に向上させることができる。含浸する皮膚化粧料としては、例えば、美容液、化粧水、乳液、クレンジング剤等が挙げられる。
皮膚化粧料の組成は、特に限定されないが、肌への密着性を高め、引き上げ効果を高める観点から、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩等のアクリル酸系高分子やポリビニルアルコール等の合成高分子を含有させることができる。
また、ゼラチン、コラーゲン等のタンパク質、ヒアルロン酸及びその塩、多糖類、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸及びその塩、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、ゲランガム、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルキチン、キトサン、プルラン等の水溶性高分子を含有させてもよく、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどの多価アルコールを含有させてもよい。ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等のカルボン酸塩類や、各種植物抽出物、セラミド、セラミド類似構造物等の細胞間脂質類などの保湿剤を含有させることも好ましい。皮膚化粧料の具体的な処方例を表1に示す。
シート状基材10に含浸させる皮膚化粧料の量は、シート状基材10の材質や皮膚化粧料の種類に応じて適宜決定される。例えば、シート状基材10のうち皮膚化粧料を含浸させる部分(以下、含浸対象部)の質量(C)と、含浸させる皮膚化粧料の質量(D)との質量比(D/C)で表される含浸倍率が、3〜15であることが好ましく、5〜11であることがより好ましい。含浸倍率が3未満であると、皮膚化粧料の皮膚への浸透効果が十分に得られないおそれがある。一方、15を超えると皮膚化粧料が垂れたり、使用時にシートが自重で剥がれたりする等、美容マスクMの装着時の取り扱いに不都合が生じ、使用性が劣る場合がある。
また、シート状基材10の一部にポケットを設け、当該ポケットに発熱体を保持させることにより、美容マスクMを温熱マスクとして用いてもよい。このような発熱体としては、例えば、鉄粉、保水剤、酸化促進剤、金属塩、および少量の水を含有させた組成物を、通気性のある不織布の内部に収納したものを使用することができる。通気性のある不織布としては、例えば、ポリエステルやポリプレピレン、ナイロン、レーヨン、ポリオレフィンなどを用いることができる。
尚、上記のようにシート状基材10に皮膚化粧料を含浸させたり、発熱体を収納したりした場合には、美容マスクMの重量が増加することとなる。その結果、美容マスクMの使用時においては、下降切断部401、411の内側端部近傍にかかる負担が大きくなってしまう。しかしながら、本発明に係る美容マスクMでは、下降切断部401、411の内側末端において、それぞれ、口側から鼻側に向かって上側に折り返すように形成された上昇切断部402、412がそれぞれ形成されている。このため、上記のように重量が増加した美容マスクMにおいても、下降切断部401、411の内側末端におけるき裂の発生が抑制される。