JP6050618B2 - 偏光解消素子及びその素子を用いた光学機器 - Google Patents

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本発明は、光学機器に用いられる偏光解消素子とその素子を用いた光学機器に関するものである。
偏光解消素子は、レーザプリンタなどで問題となる偏光を解消させるための光学部品として用いられたり、光学露光装置や光学測定機などの光学機器の光学系のスペックルの発生を低減させるスペックル低減素子として用いられたりしている。
レーザからの光をマイクロレンズアレイやフライアイレンズを通すことによってひとつの光束を複数の光束に分割する際、分割された光は偏光方向が同一方向に揃っており、光学系の中で特定の条件が整うと、分割された光がそれぞれ迷光の原因となって光学系の途中で光が強めあう点(スペックル)が生じる場合がある。スペックルは、いろいろな光学系で発生することが知られており、これを解消する方法が種々提案されているが、有効な解決策は確立されていない。
スペックルには、「Objective Speckle」と「Subjective Speckle」の次の2つの成分がある。
「Objective Speckle」は、液晶やDMD(Digital Mirror Device)などのマイクロデバイス上に発生するスペックルである。
「Subjective Speckle」は、人間の眼を通して見た時に、眼のレンズ系と瞳の関係で発生するスペックル、つまり人間の眼球内で干渉縞が発生する現象である。
従来のスペックルの解消対策は、次のものが挙げられる。
従来の「Objective Speckle」低減方法は、マイクロデバイス通過光に対して、(1)拡散板を通過させて光拡散させる方法、(2)光ファイバ束を通過させて光拡散させる方法、(3)マイクロレンズを回転させて干渉発生位置を平均化する方法(例えば特許文献1を参照。)、(4)位相差の異なる波長板を回転させる方法、などがある。
従来の「Subjective Speckle」低減方法はスクリーン側に対策している。例えば、(1)レーザ光源の複数化して、干渉防止する方法(例えば特許文献2を参照。)、(2)レーザ光波長を時間変調する方法、(3)ホログラム法(画面への入射光角度を時間変更する)を採用する方法(例えば特許文献3を参照。)、(4)表示画像のデジタルスキャン方式(時間変調して、干渉防止する)を採用する方法、などが挙げられる。なお、(3)ホログラム法を採用する方法は動画を表示できない。
また、スペックルを解消する手法として、例えば非特許文献1に8つの方法が開示されている。
特開平06−208089号公報 特開2007−047245号公報 特開2012−058709号公報 特開2004−341453号公報 特開2011−180581号公報 WO2004/008196号 特開2007−263593号公報 特開2005−279761号公報 特願平5−313233号公報 特開2001−356471号公報
黒田和男、山本和久、栗村直 編,「解説 レーザーディスプレイ−基礎から応用まで−」,株式会社オプトロニクス社,2010年2月8日,p.184
従来のスペックル解消方法は、光学的な効果が十分ではない。また、装置が大掛かりであること、高額であること、機能・効果を大きく発現するには複数の方式を組み合わせる必要があること、など、多くの課題を有している。
本発明の第1の目的は、安価に省スペースでスペックルを解消できる偏光解消素子を提供することである。
本発明の第2の目的は、そのような偏光解消素子を光学系に備えることによりスペックルを解消した光学機器を提供することである。
本発明にかかる偏光解消素子は、光透過領域を有する光偏光器と、上記光偏光器を並進振動させるために上記光偏光器に連結された弾性体と、上記弾性体を介して上記光偏光器を支持する支持体と、上記光偏光器を並進振動させるための振動子と、上記支持体と上記振動子とを位置固定するための台座と、を備え、上記光偏光器、上記弾性体及び上記支持体は1つのシリコン基板が加工されて形成されたものであり、上記光偏光器の上記光透過領域は上記シリコン基板の一部分が熱酸化されて形成された二酸化珪素で形成され、上記光透過領域の一表面に、上記二酸化珪素で形成され、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもち構造性複屈折を呈するサブ波長構造体からなる光偏光素子が形成されていることを特徴とする。
この光偏光素子は、特性の異なるサブ波長構造体(SWS)が基板表面にいくつも設けられることで、基板を光が通過する際に各周期構造体に応じた偏光を持たせることで偏光を解消する(例えば特許文献4,5を参照。)。
サブ波長構造体とは使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもつ周期構造体のことである。使用する光の波長よりも微小な周期の周期構造を有する格子構造は構造性複屈折作用をもつ。
本発明の偏光解消素子において、光偏光素子は、複数のサブ波長構造体領域が互いに隣接して配置されたものであってもよいし、サブ波長構造体を明確な領域に分割しないものであってもよい(例えば特許文献5を参照。)。
サブ波長構造体が領域分割されている場合、サブ波長構造体領域を構成する溝の配列方向である光学軸方向が隣接するサブ波長構造体領域間で異なる部分をもつように配置される。
また、サブ波長構造体が明確な領域に分割されていない場合、サブ波長構造体はサブ波長構造体を構成する溝の配列方向である光学軸方向が中心から放射状に広がるようにその溝が同心円状に配列される。
サブ波長構造体の複屈折作用について、図1を参照して説明する。図1に示す構造は一般的なサブ波長構造体を示したものであり、使用する光の波長よりも短い凹凸周期(ピッチ)Pを有するサブ波長凹凸構造が形成されている。サブ波長凹凸構造の媒質として空気と屈折率nの媒質を想定する。屈折率nの凸条のランドの幅がL、空気層からなる凹条の溝の幅がSであり、P=L+Sである。また、L/Pはフィリングファクタ(F)と呼ばれる。dは溝の深さである。
周期Pの目安としては、使用する最も短い入射光の波長より短い周期で、より望ましくは使用波長の半分以下の周期とする。周期Pが入射光の波長よりも短い周期構造は入射光を回折することはないため入射光はそのまま透過し、入射光に対して複屈折特性を示す。すなわち、入射光の偏光方向に応じて異なる屈折率を示す。その結果、構造に関するパラメータを調整することにより位相差を任意に設定することができるため各種波長板を実現できる。
構造性複屈折とは、屈折率の異なる2種類の媒質を光の波長よりも短い周期でストライプ状に配置したとき、ストライプに平行な偏光成分(TE波)とストライプに垂直な偏光成分(TM波)とで屈折率(有効屈折率と呼ぶ)が異なり、複屈折作用が生じることをいう。
サブ波長構造体の周期よりも2倍以上の波長をもつ光が垂直入射したと仮定する。このときの入射光の偏光方向がサブ波長構造体の溝に平行(TE方向)であるか垂直(TM方向)であるかによって、サブ波長構造体の有効屈折率は次の式で与えられる。
n(TE)=(F×n2+(1−F))1/2
n(TM)=(F/n2+(1−F))1/2
入射光の偏光方向がサブ波長構造体の溝に平行である場合の有効屈折率をn(TE)、垂直である場合の有効屈折率をn(TM)と表す。式中の符号Fは前述のフィリングファクタである。
このようなサブ波長構造体を透過した光のTE波とTM波の間の位相差(リタデーション)Δは、
Δ=Δn・d
である。ここで、Δnはn(TE)とn(TM)の差、dは前述の溝の深さである。
サブ波長構造体領域に直線偏光の光が入射すると、この位相差によってその透過光は楕円偏光に変わる。光学軸の異なるサブ波長構造体領域が隣接する本発明の偏光解消素子を直線偏光の光が透過すると、隣接するサブ波長構造体領域間で楕円率が異なるとともに、サブ波長構造体を構成する溝の深さの異なる部分を透過した直線偏光間でも位相差の相違によって楕円率が異なる。
本発明の偏光解消素子において、サブ波長構造体領域は各サブ波長構造体領域内にそれらの深さの異なる溝をもっているようにすることができる。さらに、サブ波長構造体領域は隣接するサブ波長構造体領域間でサブ波長構造体領域を構成する溝の深さが異なっているようにしてもよい。また、サブ波長構造体領域は各サブ波長構造体領域内に複数の光学軸方向をもっているようにすることもできる。その場合、サブ波長構造体領域は各サブ波長構造体領域内に互いに直交する2つの光学軸方向をもっているようにしてもよい。
このような偏光解消素子は、例えば特許文献5に開示されている。
この偏光解消素子において、サブ波長構造体を構成する溝の深さが光学軸方向に沿って連続的に変化しているようにしてもよい。そのような連続的な変化を実現する1つの方法として、三角関数、指数関数又は他の任意の数式で表される関数に従うように変化させることができる。溝の深さの連続的な変化に伴って、このサブ波長構造体領域を通過する光の位相差(後述)が連続的に変化し、偏光状態が連続的に変化して種々の偏光状態を作成するのに一層寄与する。
この偏光解消素子で発生する位相差Δは使用する波長λに対して、
λ/4≦Δ≦λ
となるようにサブ波長構造体が設計されていることが好ましい。これにより、この偏光解消素子の異なる場所を通過した光束同士であってもその干渉を防止することができる。
また、本発明の偏光解消素子は、該偏光解消素子の上記光偏光素子に替えて光量を均一化するための光量均一化用光学素子が形成された光量均一化素子をさらに備えているようにしてもよい。この場合、上記光量均一化素子の上記光透過領域は該偏光解消素子の上記光透過領域を透過する光の光路上に配置されている。そのような上記光量均一化用光学素子としては、マイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイなどを挙げることができる。
本発明はまた、レーザ光源から発生するレーザ光を対象物に照射する光学系を備えた光学機器も対象としている。そのような光学機器としてはレーザプリンタ、露光装置、レーザ光源を用いる分光器、及びレーザ計測装置などを挙げることができる。そのような光学機器において、本発明はそれらの光学機器の光源からのレーザ光の偏光状態をランダムな偏光状態にするために本発明の偏光解消素子をそれらの光学機器の光学系の光路上に配置したものである。
本発明の偏光解消素子は、安価かつ省スペースでスペックルの解消を実現できる。
機器。
この偏光解消素子をそれぞれの光学系に配置した露光装置、レーザプリンタその他の光学機器では光学系でのスペックルの発生を低減させることができる。
サブ波長構造体を説明するための概略断面図である。 偏光解消素子の一実施例を説明するための概略的な斜視図である。 図2のA−A’位置での概念的な断面図である。 同実施例の光偏光器を拡大して示した概略的な断面図である。 同実施例の偏光解消素子における弾性体の幅と共振周波数の関係を示す図である。 同実施例の光偏光器の光偏光素子の一例を概略的に示した平面図である。 同実施例の光偏光器の光偏光素子の他の例を概略的に示した平面図である。 偏光解消素子の他の実施例を説明するための概念的な断面図である 偏光解消素子のさらに他の実施例を説明するための概念的な断面図である 光偏光器、弾性体及び支持体の作成手順の一例を説明するための概略的な工程断面図である。 図10の続きの工程を説明するための概略的な工程断面図である。 光量均一化素子を備えた偏光解消素子の実施例を説明するための概略的な斜視図である。 図12の光量均一化素子のB−B’位置での概念的な断面図である。 偏光解消素子を使用した一実施例としてのレーザプリンタの光学系を示す概略斜視図である。 偏光解消素子を使用した他の実施例としての露光装置の光学系を示す概略構成図である。 偏光解消素子を使用したさらに他の実施例としての光ファイバ増幅器の光学系を示す概略構成図である。
本発明の偏光解消素子は、並進振動される光偏光器の光透過領域の一表面に複数のサブ波長構造体領域が配置されたものである。
図2は、偏光解消素子の一実施例を説明するための概略的な斜視図である。図3は、図2のA−A’位置での概念的な断面図である。
この実施例を作成するにあたって、0.525mm(ミリメートル)のシリコンウエハ(シリコン基板)を貫通加工することによって図2及び図3に示されるようなバネ構造を形成した。
偏光解消素子1は、光偏光器3と、弾性体5と、支持体7と、振動子9と、台座11とを備えている。光偏光器3、弾性体5及び支持体7は、例えば、後述するシリコンプロセス法(フォトリソグラフィ加工、ナノインプリント加工、ウエットエッチング加工、ドライエッチング加工するなど)により、1つのシリコン基板13が半導体熱酸化プロセスを含んで加工されて形成されたものである。
光偏光器3は光透過領域3aを有する。光透過領域3aはシリコン基板13の一部分が熱酸化されて形成された二酸化珪素15で形成されている。光偏光器3の光透過領域3aよりも厚みが厚い部分は、表面が二酸化珪素15で形成されており、内部がシリコン基板13で形成されている。
機器。
光透過領域3aの一表面に、二酸化珪素15で形成され、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもち構造性複屈折を呈するサブ波長構造体からなる光偏光素子3bが形成されている。
弾性体5は、光偏光器3を並進振動させるために光偏光器3に連結されている。この実施例では、一対の弾性体5が設けられている。
支持体7は、弾性体5を介して光偏光器3を支持している。弾性体5及び支持体7は、表面が二酸化珪素15で形成されており、内部がシリコン基板13で形成されている。
機器。
振動子9は、光偏光器3を並進振動させるためのものである。この実施例では、振動子9は弾性体5を介して光偏光器3を並進振動させる。振動子9は例えば圧電振動子である。ただし、振動子9は圧電振動子に限定されない。振動子9は光偏光器3を所定の周波数で並進振動させることができるものであればどのような構造のものであってもよい。
台座11は支持体7と振動子9とを位置固定するためのものである。台座11は、例えば金属製であり、矩形形状を有する。ただし、台座11の材料及び形状はこれらに限定されない。
光偏光器3に対して、その一方の向かい合う両辺(図2では、長辺)に、1対の弾性体5(左右)の基端部がそれぞれ連結されている。一方の弾性体5の先端には振動子9の先端部が連結されている。他方の弾性体5の先端は支持体7に連結されている。光偏光器3の他方の向かい合う両辺(図1では、短辺)はフリーの状態である。
支持体7及び振動子9は、支持体7及び振動子9を包囲する形状に形成された枠状の台座11に固定されている。この実施例では、支持体7と振動子9は互いに間隔をもって配置されている。ただし、支持体7と振動子9は接触していてもよい。
台座11は、光偏光器3、弾性体5及び支持体7とは別の加工により作製される。ここではこの製作方法は述べない。
台座11と支持体7との固定、及び台座11と振動子9との接合には、接着樹脂、AuSn共晶接合、Au−Au固相拡散接合、ハンダ接合、バンプ接合等、産業上可能なあらゆる接合方式を用いることができる。
図4は、光偏光器3を拡大して示した概略的な断面図である。
例えば、サブ波長構造体からなる光偏光素子3bにおいて、凹凸周期(ピッチ)Pは150〜250nm(ナノメートル)、凸条のランドの幅Lは75〜125nm、空気層からなる凹条の溝の幅Sは75〜125nmであり、P=L+Sである。また、溝の深さdは2〜5μm(マイクロメートル)、光透過領域3aの厚みtは7〜15μmである。
機器。
光偏光器3において、光透過領域3aは厚みが10μm程度の薄肉となっているため、外周に0.525厚の枠を残し、強度を確保した。
例えば、使用する光の波長は「紫外光(YAGレーザーの第3高調波:355nm)〜近赤外光(YAGレーザーの基本波:1064nm)」である。もちろん、可視光(350〜700nm)用に使用することも可能である。また、ある一例の設計によって設計及び製作される光偏光素子3bが、「狙いの光波長帯域を広く設定し」かつ対応可能な場合には、光偏光素子3bは、「狙いの光波長帯域」で使用することができる。通常は、使用する「狙いの光波長」を設定しその波長に合致するように光学設計を行なう。
下記に一例を述べる。「紫外光(YAGレーザーの第2高調波:532nm)」用に設計すると、シリコンを熱酸化してSi→SiO2と組成を変化させて光偏光素子3bを形成する。設計の基本材料はSiO2である。設計結果(試作品実測結果)を下記に示す。
(1)Δ=λ/4の場合:ピッチ(P)=250nm、ランドの幅(L):125nm、溝の幅(S):125nm、深さ(d)=2.5μm、このときの設計位相差:90°
(2)Δ=λ/2の場合:ピッチ(P)=250nm、ランドの幅(L):125nm、溝の幅(S):125nm、深さ(d)=5.0μm、このときの設計位相差:180°
光偏光器3、弾性体5及び支持体7板は、例えば525μm程度のシリコン基板を加工して作製されている。すなわち、薄いシリコン基板を両面から順次加工するプロセスであり、このプロセスで製作された構造そのものが弾性梁の機能を有している。そのため、光偏光器3と連結する弾性体材を別途設けることなく、機械的な共振現象を利用しなくても、スペックルパターンの平均化に必要な100μm程度の並進変位を得ることが可能となっている。
次に振動設計について説明する。振動設計はCAD(Computer Aided Design)及び構造解析ソフトを用いて共振周波数を求めた。弾性体5の太さ(幅)を変化させながら、共振周波数が例えば18kHz(キロヘルツ)になるように調整した。本件設計結果では弾性体5の幅0.13mmが得られた。
図5は、この実施例の偏光解消素子における弾性体5の幅と共振周波数の関係を示す図である。図5において、縦軸は共振周波数(kHz)、横軸は弾性体幅(mm)を示す。
図6は、光偏光器3の光偏光素子3bの一例を概略的に示した平面図である。
光偏光素子3bに複数のサブ波長構造体領域3cが配置されている。サブ波長構造体領域3cは互いに隙間のない状態に配置されている。ここでは8×8=64個のサブ波長構造体領域3cが配置されたものを示しているが、これは概略図であり、その個数に限定されるものではなく、サブ波長構造体領域3cの数は多いほどよい。例えば、光偏光素子3bが5mm×5mmの正方形で、サブ波長構造体領域3cが50μm×50μmであるとすると、100×100=10000個のサブ波長構造体領域3cが配置された光偏光素子3bとなる。
サブ波長構造体領域3cは使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝により構成されるストライプ状の凹凸構造をもっている。そのストライプ状の凹凸の配列方向が光学軸であり、図では光学軸は矢印で示されている。この実施例では各サブ波長構造体領域3cは1つずつの光学軸をもっている。光学軸方向は隣接するサブ波長構造体領域3c間では異なる部分をもつように、ここでは隣接するサブ波長構造体領域3c間で光学軸方向が異なるようにサブ波長構造体領域3cが配置されている。サブ波長構造体領域3cの光学軸方向は360度を15分割した方向のいずれかの方向をもつように形成されており、光偏光素子3bとしては光学軸方向がランダムになるようにサブ波長構造体領域3cが配置されている。
サブ波長構造体領域3c内における光学軸は1つである必要はなく、互いに直交する2つの方向の光学軸をもつようにサブ波長構造体領域3cを形成することもできる。また、さらに複数個の光学軸をもつようなサブ波長構造体領域3cであってもよく、後述のように光学軸方向が中心から放射状に広がるようにサブ波長構造体を構成する凹凸構造の溝が同心円状に配列されているようなサブ波長構造体領域3cであってもよい。
光偏光素子3bは、サブ波長構造体を構成する凹凸構造の溝の深さに関し、光偏光素子3b全体で溝の深さが同じであってもよいし、深さの異なるものを含んでいてもよい。
深さの異なるものを含んでいる場合、1つの形態は、各サブ波長構造体領域3c内ではその溝の深さを均一にし、その溝の深さの異なるサブ波長構造体領域3cをランダムに配置したものである。他の形態は、各サブ波長構造体領域3c内においてその溝の深さを変化させたものである。このような形態は例えば特許文献5に開示されている。
図7は、光偏光素子3bの他の例を概略的に示した平面図である。図7の光偏光素子3bは、複数のサブ波長構造体領域に分割されることなく、全体として1つのサブ波長構造体領域からなる。
図7の光偏光素子3bでは、光偏光素子3bの全面にわたって、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもち構造性複屈折を呈するサブ波長構造体が形成されている。そのサブ波長構造体はサブ波長構造体を構成する溝の配列方向である光学軸方向が中心から放射状に広がるようにその溝が同心円状に配列されている。したがって、図中に矢印で示される光学軸方向は360度にわたって分布している。さらに、サブ波長構造体を構成する溝の深さは、この偏光解消素子の中心(A1)から半径方向の一点(A2)に至る位置での断面図が、例えば、三角関数その他の任意の関数に従って連続して変化するように形成されている。
この実施例では入射光の中心が偏光解消素子の中心(A1)にくるように光学系を配置するのが最も効果的な使用方法である。
なお、本発明の偏光解消素子において、光偏光素子は、図6又は図7に示したものに限定されない。本発明の偏光解消素子において、光偏光素子は、二酸化珪素で形成され、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもち構造性複屈折を呈するサブ波長構造体からなるものであれば、どのような構成であってもよい。
偏光解消素子1において、光偏光器3における光透過領域3aとは異なる部分(周囲部分)の厚みは支持体7の厚みと同じ寸法でなくてもよい。また、弾性体5の厚みは支持体7の厚みと同じ寸法でなくてもよい。これらの部分の厚みは、支持体7の厚みよりも小さい寸法であってもよい。その一例を図8及び図9に示す。
機器。
図8は、偏光解消素子の他の実施例を説明するための概念的な断面図である。図9は、偏光解消素子のさらに他の実施例を説明するための概念的な断面図である。図8及び図9において、図2及び図3と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。
図8及び図9に示されるように、光偏光器3における光透過領域3aとは異なる部分の厚みは、光透過領域3aの厚みと同じであってもよい。なお、光偏光器3における光透過領域3aとは異なる部分の厚みは、光透過領域3aの厚み及び支持体7の厚みとは異なっていてもよい。このように、光偏光器3における光透過領域3aとは異なる部分の厚みは任意の厚み寸法に形成可能である。
機器。
また、図8に示されるように、弾性体5の厚みは、光透過領域3aの厚み及び支持体7の厚みとは異なっていてもよい。なお、支持体7の厚みは均一でなくてもよい。また、図9に示されるように、弾性体5の厚みは、光透過領域3aの厚みと同じであってもよい。このように、弾性体5の厚みは任意の厚み寸法に形成可能である。
機器。
次に、偏光解消素子1の作製手順を説明する。まず、図10及び図11を参照して、1つのシリコン基板から加工される光偏光器3、弾性体5及び支持体7の作成手順について説明する。
機器。
図10及び図11は、光偏光器3、弾性体5及び支持体7の作成手順の一例を説明するための概略的な工程断面図である。この製造工程では、図9に示された光偏光器3、弾性体5及び支持体7の断面形状の作成手順を説明する。なお、図2又は図8に示された断面形状は、以下に説明する作成手順と同様にして作成できる。
光偏光器3、弾性体5及び支持体7の製造基本のプロセスは、図10(a)から図11(j)に示すように、シリコン基板13の表面及び裏面を熱酸化炉(拡散炉)によって酸化し、二酸化珪素15(熱酸化シリコン膜)を形成する(熱酸化膜形成ステップ)。二酸化珪素15の厚みは、例えば50μmとする。
機器。
まず、図10に沿って基本製作プロセスを示す。
図10(a)に示すように、両面研磨加工されたシリコン基板13(通常の525μm厚さ)を準備し、光偏光器機能を発現させる面(図10及び図11では上面)の表面に、メタル膜17を膜厚0.1から1μm程度、スパッタリング法で成膜する。メタル膜17は、後工程で述べるアルカリウエットエッチング時に上面を保護するための保護膜である。メタル膜17は、例えばクロムやニッケル等である。ただし、メタル膜17は、アルカリウエットエッチングに耐久性があり、かつ後述する工程でパターニング可能な材料であれば、金属以外の材料であってもよい。
図10(b)に示すように、シリコン基板13の裏面(光偏光器機能を発現させない面(図では下面))の表面に、通常のフォトリソグラフィ法(レジスト塗布、プリベーク、ステッパー露光、現像、リンス、形状評価)によって弾性体5の一部分及び支持体7(図1及び図9を参照。)を構成する部分を覆うレジスト材料19を形成する。
図10(C)に示すように、シリコン基板13の裏面側からアルカリ(KOH)ウエットエッチング液でシリコン基板13をエッチングする。なお、シリコン基板13の結晶構造によって、ウエットエッチング後に現れる結晶面が異なる。ここでは、大まかなプロセスを述べているので、結晶面は述べない。シリコン基板13のエッチングされる部分が所定の厚さ(例えば残り厚さ:25〜45μm程度)になるまでウエットエッチングを時間管理して実施する。エッチング後に、シリコン基板13を洗浄する。
図10(d)に示すように、光偏光器機能を発現させる面(図では上面)の表面に予め光学設計(シミュレーション)で解を得ているサブ波長構造体のピッチとライン/スペースの構造を製作するNIP(ナノインプリント)金型を準備する。この金型の製作方法は、例えば、石英基板上にシリコン膜を形成し、その上に電子線レジストを塗布し、このレジストに専用のEB描画装置でパターンを形成する。形成するパターンは、Δ=λ/4狙いの場合でも、Δ=λ/2狙いの場合でも、ピッチ(P)=250nm、ランドの幅(L):85nm、溝の幅(S):165nmである。このパターンをマスクにして形状をドライエッチング法で石英基板に刻印する方法で製作する。
メタル膜17上にNIP転写用樹脂を適量塗布する。この樹脂に上記で準備していた石英金型を押し当てて、メタル膜17/樹脂材料層21/金型(図示は省略)の構成とする。石英金型の上方から紫外線を照射して、樹脂を硬化させる。金型を剥離すると、金型の凹凸と反転した形状がメタル膜17上の樹脂材料層21に転写される。この具体的な工程は特許文献5に開示されている。なお、所定のパターンを有する樹脂材料層21(マスクパターン)を形成する方法は、NIP法に限定されず、どのような方法であってもよい。
図10(e)に示すように、樹脂材料層21をマスクとして(BCL3、CL2、O2ガスを導入して)ドライエッチング法でメタル膜17をエッチングする。これにより、メタル膜17をパターニングする。
図11(f)に示すように、樹脂材料層21及びメタル膜17をマスクとしてボッシュプロセスでシリコン基板13を深彫りする。ここでエッチングする深さは、
(1)Δ=λ/4の場合:深さ(d)=2.5μm、
(2)Δ=λ/2の場合:深さ(d)=5.0μmである。
レジストをマスクとしてアスペクト比:≧20を実現するボッシュプロセスの具体的な加工条件の一例を示すと、次のとおりである。
(a)エッチングされたシリコン基板13の壁に保護膜を成膜する条件
ガス:C48
ガス流量:100〜200sccm
圧力:20〜30mToor
加工時間:3〜4秒
バイアス:〜20W
上部電力:1.8〜2.2KW
(b)シリコンをエッチングするプロセス条件
ガス:SF6
ガス流量:200〜300sccm
圧力:25〜70mToor
加工時間:4.5〜8.5秒
バイアス:50〜70W
上部電力:1.7〜2.0KW
エッチングレート:2〜7μm/分
図11(g)に示すように、シリコン基板13の裏面(光偏光器機能を発現させない面(図では下面))の表面に、通常のフォトリソグラフィ法(レジスト塗布、プリベーク、ステッパー露光、現像、リンス、形状評価)によって、光偏光器3及び弾性体5を構成する部分を保護するレジスト材料23を形成する。
図11(h)に示すように、レジスト材料23をマスクにして、シリコン基板13をウエットエッチングでエッチングして、光偏光器3、弾性体5及び支持体7を形成する。
図11(i)に示すように、基板表裏面のレジスト材料19,23、樹脂材料層21、メタル膜17を剥離する。これにより、パターニングされたシリコン基板13が完成する。
機器。
図11(j)に示すように、パターニングされたシリコン基板13を熱酸化炉で熱酸化して、シリコン基板13の表面に二酸化珪素15を形成する。シリコン基板13表面から5〜10μmの厚さまで、シリコンが熱酸化されて二酸化珪素15に組成変化する。組成変化した後のパターン形状は、初期の設計の値と同じであった。これにより、二酸化珪素15からなる光透過領域3a及び光偏光素子3bが形成される。
機器。
作成された光偏光素子3bの特性を調べた。
(1)Δ=λ/4の場合:ピッチ(P)=250nm、ランドの幅(L):125nm、溝の幅(S):125nm、深さ(d)=2.5μm。このときの実際に製作試作した結果は、入射光と出射光の位相差85°、光透過率94%であった。また、裏面に反射防止膜を成膜した場合は、光透過率97%であった。
(2)Δ=λ/2の場合:ピッチ(P)=250nm、ランドの幅(L):125nm、溝の幅(S):125nm、深さ(d)=5.0μm。このときの実際に製作試作した結果は、入射光と出射光の位相差172°、光透過率94%であった。また、裏面に反射防止膜を成膜した場合は、97%であった。
次に、台座11の製造工程について説明する。
台座11の製造工程は、上記シリコンプロセスとは全く異なる。金属製の形状加工ステップである。
台座11の製造工程では、例えば、プレスで打ち抜いた金属板(厚さ:1.0mm)を使用するか、機械加工した金属板(厚さ:1.0〜2.0mm)を使用する。これにより、支持体7及び振動子9を固定するための台座11が形成される。
台座11と支持体7との固定を接着樹脂で行なう場合には、シリコン基板13上のすべて金属材料、レジスト材料を除去し、表面熱酸化された後に、表面熱酸化されたシリコン基板13を所定の外形にダイサーで切断する。なお、ダイサーによって切断された切断面には二酸化珪素15は形成されていない。この状態で、共振構造を有する光学偏光器チップが完成する。
機器。
また、台座11と支持体7及び振動子9(市販の振動子)の固定は、市販の接着剤でよい。なお、当該固定をAuSn共晶接合、Au−Au固相拡散接合、ハンダ接合などの金属を介する接合で行なう場合には、振動子9の上部に、Ti、Ni、Auの順にスパッタ成膜を実施する。また、台座11上に支持体7を接合するために必要な金属パッドを形成する。
なお、光偏光器3、弾性体5、支持体7及び台座11の製造方法は、上記で説明した製造工程に限定されず、他の製造方法であってもよい。
このようにして作成した偏光解消素子1の駆動特性の試験について説明する。
本実施例では、シリコン基板13(二酸化珪素15の厚みを含む)の厚みは、525μm、光透過領域3aを構成する二酸化珪素15の厚みは10μmとした。
機器。
また、本実施例では、光偏光器3の共振周波数が18kHzとなるように設計した。振動子9に振幅電圧Vpp=20V、周波数18kHzの交流電圧を駆動信号として印加し、交流電圧を駆動信号として印加した。振動子9は水平軸走査用で共振駆動とし、振幅50μmを得た。
機器。
光偏光器3が並進振動されることにより、光偏光素子3bが形成された光透過領域3aを透過する光は、光偏光素子3bのサブ波長構造体に従って位相差の異なる光がサブ波長構造体領域毎に出射されるとともに、サブ波長構造体領域毎に位相差の異なる光が時間分割されて出射される。この光を用いることによって、スペックル成分の内で、『オブジェクティブスペックルを解消する』ことができる。
機器。
このようにして、スクリーンに画像を表示する際に、偏光解消素子1を動作させる前後、すなわち、振動子9に電圧成分を駆動信号として印加する前後で、スクリーン上の画像のスペックルノイズを計測した。スクリーン上の画像をCCDカメラで捉え、CCD画素毎の輝度を分析処理することよりスペックルコントラストCを求めた。
C=σ/I (σ:輝度ばらつきの標準偏差、I:輝度平均)
その結果、振動子9の駆動前後でスペックルコントラストCは30%低減された。
機器。
また、偏光解消素子1の振動子9を動作させる前後で、フリッカーノイズの違いは認識されなかった。これは、偏光解消素子1の振動子9が、周波数18kHzという人間の目では追随できない速度で振動しているためにフリッカーノイズの違いが認識されなかったものと推測される。
機器。
このように、偏光解消素子1は安価に省スペースでスペックル解消の機能発現が可能となる。
また、偏光解消素子1において、弾性体5を構成する材料はシリコン材料である。一方、振動子9は市販の振動子を使用している。したがって、目的の特性に合致した市販の振動子を購入して使用することができる。換言すれば、狙いとする振動数、振幅に応じた振動子を用いることで、偏光解消素子1の目的特性を変更することができる。
機器。
図12は、偏光解消素子の他の実施例を説明するための概略的な斜視図である。この実施例は、偏光解消素子1及び光量均一化素子25を備えている。図13は、図12の光量均一化素子のB−B’位置での概念的な断面図である。
この実施例において、偏光解消素子1の構成は図2及び図3と同じである。
光量均一化素子25は、偏光解消素子1の光偏光素子3bに替えて光量を均一化するための光量均一化用光学素子27bが形成されたものである。光量均一化素子25は、光量均一化用光学器27を備えている。光量均一化素子25において、光量均一化用光学器27以外の構成は偏光解消素子1と同じである。
光量均一化用光学器27は光透過領域27aを有する。光透過領域27aはシリコン基板13の一部分が熱酸化されて形成された二酸化珪素15で形成されている。光量均一化用光学器27の光透過領域27aよりも厚みが厚い部分は、表面が二酸化珪素15で形成されており、内部がシリコン基板13で形成されている。この部分の構成は偏光解消素子1の光偏光器3と同様である。
機器。
光透過領域27aの一表面に、二酸化珪素15で形成され、光量を均一化するための光量均一化用光学素子27bが形成されている。光量均一化用光学素子27bは、例えばマイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイである。
光量均一化素子25の光透過領域27aは偏光解消素子1の光透過領域3aを透過する光の光路上に配置されている。この実施例では、光量均一化素子25は偏光解消素子1に対して入射光側に配置されている。なお、光量均一化素子25は偏光解消素子1に対して出射光側に配置されていてもよい。
光量均一化素子25においても、偏光解消素子1の光偏光器3と同様に、振動子9によって光量均一化用光学器27は並進振動される。
これにより、空間コヒーレンス性の高い入射光は、光量均一化素子25及び偏光解消素子1を通過すると、空間コヒーレンス性の極めて低い光(出射光)になる。
このように、偏光解消素子1と光量均一化素子25を一体化又は同一光路上に配置したものを、レーザ露光装置やレーザ加工装置などの光学系に適用することにより、これらの素子の透過光の偏光状態をランダムにするとともに、光量を均一化することができる。
本発明の応用例としては、レーザ光源から発生するレーザ光を対象物に照射する光学系を備えた光学機器も対象としている。そのような光学機器としてはレーザプリンタ、露光装置、レーザ光源を用いる分光器、及びレーザ計測装置などを挙げることができる。そのような光学機器において、本発明はそれらの光学機器の光源からのレーザ光の偏光状態をランダムな偏光状態にするために本発明の偏光解消素子をそれらの光学機器の光学系の光路上に配置したものである。
光量均一化素子25の製造方法の一例を説明すると、上記で説明された光偏光器3、弾性体5、支持体7及び台座11の製造工程において、光偏光素子3bに替えて光量均一化用光学素子27bを形成することによって光量均一化素子25を作製できる。光量均一化用光学素子27bは例えばマイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイであるが、これらのレンズは、例えば、いわゆるリフロー法やイオン交換法、機械加工法、転写法(例えば特許文献9,10を参照。)などによって作製できる。ただし、光量均一化素子25の製造方法はこれに限定されるものではない。
(偏光解消素子の適用例)
(レーザプリンタへの適用)
図14はレーザプリンタの光学系を示したものである。レーザダイオード・ユニット51内部には、光源としてのレーザダイオードと、レーザダイオードから射出されるレーザビームは平行光線にするコリメートレンズが設けられている。レーザダイオード・ユニット51から平行光線となって射出されるレーザビームは、ポリゴンミラー(回転多面鏡)52によって偏向走査され、F−θレンズ53等から構成される結像レンズ系によってドラム状の感光体ドラム55の帯電した表面に画像を結像する。
この実施例では、レーザダイオード・ユニット51から射出されるレーザビームをランダムな偏光状態をもったレーザビームとするために、レーザダイオード・ユニット51とポリゴンミラー52の間の光路上に偏光解消素子57が配置されている。
(露光装置への適用)
図15は露光装置の光学系を概略的に示したものである。KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザからなる光源60からの紫外線のレーザ光は、光束整形光学系61により所定の光束形状に変換され、照明光学系63,64により原版であるマスク66に照射される。マスク66のパターンはマスク66を透過した紫外線が投影光学系67によりウエハ68に照射されることにより投影露光される。ウエハ68はウエハステージ69に保持され、ウエハステージ69によってウエハ68が投影光学系67の光軸と直交する平面に沿って2次元的に移動することにより投影露光が繰り返されていく。
光源60がレーザであることから、発生するレーザ光は直線偏光である。そこで、この実施例では、光源60から射出されるレーザ光をランダムな偏光状態をもったレーザ光とするために、光束整形光学系61と照明光学系63の間の光路上に光偏光素子62が配置されている。
(光ファイバ増幅器への適用)
図16は偏光解消素子を光ファイバ増幅器に適用した例を示したものである。
ファイバ増幅器は、希土類元素添加光ファイバ74に光源70からの励起光71を入射して光ファイバ74中の希土類元素を活性化しておき、そこに入射光72を入射させることにより、その入射光72を増幅して出射させるものである。励起光71と入射光72をともに光ファイバ74に入射させるために、励起光71と入射光72とを結合する光カプラ73が設けられている。
光ファイバ74に添加される希土類元素は増幅すべき入射光の波長に応じて選択される。例えば、入射光の波長が1550nm波長帯域である場合にはエルビウム(Er)を初めとするランタノイド希土類元素、入射光の波長が1060nm波長帯域又は1300nm波長帯域の場合はネオジム(Nd)、入射光の波長が1300nm波長帯域の場合はプラセオジウム(Pr)、入射光の波長が1450nm波長帯域の場合はツリウム(Tm)などが用いられる。
希土類元素添加光ファイバ74は、増幅特性について偏光依存性をもっているので、この実施例では光ファイバ74に入射する光を無偏光状態にするために、光カプラ73と光ファイバ74の間の光路上に本発明の偏光解消素子76が配置されている。
本発明の偏光解消素子は、上記に例示したレーザプリンタ、露光装置及び光ファイバ増幅器のほかにも、偏光に起因してスペックルが生じる光学系に適用することができる。そのような光学系として、レーザ光源を用いる分光器、レーザ計測装置、光ピックアップ装置、プロジェクタ、特許文献6に記載されているような偏光解析装置、偏波モード分散補償(PMDC)システム、CCD及びCMOSセンサー、特許文献7に記載されているような位相差測定装置、並びに特許文献8に記載されているようなレーザ加工装置等を挙げることができる。
以上、本発明の実施例が説明されたが本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施例で説明した偏光解消素子1において、弾性体5の形状は上記実施例に示されたものに限定されない。本発明の偏光解消素子において、弾性体5の形状、個数及び光偏光器に連結される位置は、振動子の駆動によって光偏光器を並進振動させることができる形状、個数、連結位置であれば、どのような構成であってもよい。光量均一化素子を備えた本発明の態様における光量均一化素子についても同様である。
また、上記実施例で説明した偏光解消素子1において、振動子9は弾性体5を介して光偏光器3を並進振動させているが、本発明の偏光解消素子はこれに限定されない。本発明の偏光解消素子において、振動子は光偏光器を直接並進振動させる構成であってもよい。光量均一化素子を備えた本発明の態様における光量均一化素子についても同様である。
また、本発明の偏光解消素子において、光偏光器及び光透過領域の平面形状は、矩形に限定されず、任意である。光量均一化素子を備えた本発明の態様における光量均一化素子についても同様である。
また、本発明の偏光解消素子において、支持体及び台座の形状も任意である。光量均一化素子を備えた本発明の態様における光量均一化素子についても同様である。
また、上記実施例で説明した偏光解消素子1において、弾性体5の一部分はシリコン基板13によって形成されているが、本発明の偏光解消素子はこれに限定されない。本発明の偏光解消素子において、弾性体はシリコン基板が熱酸化されて形成された二酸化珪素のみで形成されていてもよい。また、シリコン基板を熱酸化する際に、弾性体及び支持体について、上面及び下面を熱酸化防止膜によって覆っておけば、上面及び下面に二酸化珪素を備えていない弾性体及び支持体を形成することも可能である。これらの構成は、光量均一化素子を備えた本発明の態様における光量均一化素子についても同様である。
1,57,62,76 偏光解消素子
3 光偏光器
3a,27a 光透過領域
3b 光偏光素子
5 弾性体
7 支持体
9 振動子
11 台座
13 シリコン基板
15 二酸化珪素
25 光量均一化素子
27 光量均一化用光学器
27b 光量均一化用光学素子

Claims (4)

  1. 光透過領域を有する光透過型の光偏光器と、
    前記光偏光器を並進振動させるために前記光偏光器に連結された弾性体と、
    前記弾性体を介して前記光偏光器を支持する支持体と、
    前記光偏光器を並進振動させるための振動子と、
    前記支持体と前記振動子とを位置固定するための台座と、を備え、
    前記光偏光器、前記弾性体及び前記支持体は一体構造をもったものであり、前記振動子は前記光偏光器、前記弾性体及び前記支持体とは別体として構成されたものであり、
    前記光偏光器の前記光透過領域は二酸化珪素で形成され、
    前記光透過領域の一表面に、前記二酸化珪素で形成され、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもち構造性複屈折を呈するサブ波長構造体からなる光偏光素子が形成されていることを特徴とする偏光解消素子。
  2. 光量を均一化するための光量均一化用光学素子が形成された光量均一化素子をさらに備え、
    前記光量均一化素子は、光透過領域を有する光透過型の光量均一化用光学器と、前記光量均一化用光学器を並進振動させるために前記光量均一化用光学器に連結された弾性体と、前記弾性体を介して前記光量均一化用光学器を支持する支持体と、前記光量均一化用光学器を並進振動させるための振動子と、前記支持体と前記振動子とを位置固定するための台座と、を備え、前記光量均一化用光学器、前記弾性体及び前記支持体は一体構造をもったものであり、前記振動子は前記光量均一化用光学器、前記弾性体及び前記支持体とは別体として構成されたものであり、前記光量均一化用光学器の前記光透過領域は二酸化珪素で形成されたものであり、
    前記光量均一化素子の前記光透過領域は該偏光解消素子の前記光透過領域を透過する光の光路上に配置されている請求項1に記載の偏光解消素子。
  3. 前記光量均一化用光学素子はマイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイである請求項2に記載の偏光解消素子。
  4. レーザ光源から発生するレーザ光を対象物に照射する光学系を備えた光学機器において、
    前記レーザ光の偏光状態をランダムな偏光状態にするために請求項1からのいずれか一項に記載の偏光解消素子を前記光学系の光路上に配置したことを特徴とする光学機器。
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