JP6049487B2 - 機械部品、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、中央孔を有するリング状に形成された基部と、基部の中央孔の内周縁に周方向に等間隔をあけて配置され半径方向内方に延びる複数の歯と、基部の半径方向外方に配置され、日付を表す数字が表示されるリング板状の日付表示部と、基部の表面側において板厚方向に所定高さで突出するリング状に配置された摺動突起とを備えた樹脂製の日車が記載されている。この日車は、基部の裏面側に板厚方向に突出するリング状のボス部を備えており、ボス部にゲート跡が備えられている。
特許文献1によれば、基部の裏面側にボス部を設けることで収縮にともなう応力をバランスさせて、日付表示部における反りの発生を抑制することができるとされている。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、実施形態に係る日車(請求項の「機械部品」に相当。)について説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板11と、時を示す時針12、分を示す分針13および秒を示す秒針14を含む指針と、を備えている。文字板11には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
図2は、図1に示すムーブメント10を裏側から見た平面図である。なお、図2においては、日窓11aを二点鎖線で図示している。
図2に示すように、ムーブメント10は、ムーブメント10の基板を構成する地板20を有している。この地板20の表側には、てんぷ、がんぎ車、アンクル等を含む図示しない脱進・調速機構と、四番車、三番車、二番車および香箱車を含む図示しない表輪列と、が少なくとも配置されている。
巻真26は、上記したように巻真案内穴によって回転可能に支持されているとともに、巻真26の延在方向に例えば2段階に引き出し操作可能とされている。この際、巻真26は、地板20の表側に配置された、おしどり、かんぬきやかんぬきばね等の図示しない切替装置により、延在方向の位置が決められている。
なお、巻真26を引き出さない状態で回転させた場合には、上記小鉄車は回転することがないように構成されている。
後述する日車30、日回し車24および日ジャンパ23は、ムーブメント10にけるカレンダ機構29を構成する。
続いて、日車30について詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る日車30の斜視図である。なお、図3において、日車30は、ムーブメント10の裏側(すなわち文字板11側、いずれも図1参照)の一方主面30aが、図3の上側に面した状態で図示されている。また、図3では、日車30に表示される日文字Dのうち、一部のみ図示している。
ここで、日車30の中心軸は、ムーブメント10(図1参照)の中心軸および時計の時針12、分針13および秒針14(いずれも図1参照)の回転中心と一致している。以下、日車30の中心軸を中心軸Oといい、中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
外円部40の一方主面40aは、日文字Dが表示される日付表示部41となっている。また、外円部40の一方主面40aは、ゲート跡38が形成されていないため、精度よく平坦に形成される。したがって、外円部40の一方主面40aは、使用者に視認される日文字Dを表示するのに好適である。
日付表示部41に表示される日文字Dは、例えば不滅インクによる印刷や刻印等により表示される。各日文字Dは、外円部40の一方主面40a上において、径方向の中間部であって周方向に沿って等間隔に表示される。
また、本実施形態の接続部45は、径方向の外側に膨出するように弧状に形成された第一湾曲部46aと、径方向の内側に膨出するように弧状に形成された第二湾曲部46bとが滑らかに接続されることにより、所定の幅を有する略S字形状に湾曲形成されている。これにより、複数の接続部45は、軸方向から見たとき、それぞれ径方向と交差するように設けられる。そして、接続部45は、例えば射出成形における溶融樹脂材料の冷却および固化時に、内円部35と外円部40との収縮差にともなう応力が発生した場合であっても、軸方向、径方向および周方向の各方向に容易に弾性変形可能となっている。
続いて、実施形態に係る日車30の作用について説明する。
まず、不図示の金型のキャビティ内に、ゲートから溶融樹脂材料を射出する。なお、日車30の外円部40の一方主面40aは日付表示部41となっており、精度よく平坦に形成する必要があるため、ゲート跡が形成されるのは好ましくない。したがって、射出成形のゲートは、日付表示部41以外の領域である内円部35に対応する位置に設けられる。
ゲートからキャビティ内に注入される溶融樹脂材料の温度は、例えば250℃程度に設定されている。また、金型の温度は、例えば100℃程度に設定されている。これにより、ゲートからキャビティ内に注入された溶融樹脂材料は、キャビティ内を流動しながら広がるとともに、金型によって冷却され、収縮して固化する。
内円部35に射出成形のゲートが位置すると、射出成形における内円部35の充填圧力は、外円部40の充填圧力よりも高くなる。そして、射出成形のゲートが位置する内円部35の成形収縮率は、外円部40の成形収縮率よりも小さくなるため、溶融樹脂材料の冷却および固化時に、内円部35と外円部40との収縮差にともなう応力が発生し、成形された日車30に反りが発生するおそれがある。これに対して、本実施形態によれば、内円部35と外円部40とを接続する接続部45を備え、この接続部45が弾性変形可能に形成されているので、射出成形における冷却および固化時に、内円部35と外円部40との収縮差にともない発生する応力を、接続部45が弾性変形することにより吸収できる。したがって、射出成形における冷却および固化時に、日車30の反りを抑制できる。
また、本実施形態によれば、外観品質に優れた高性能な時計1を得ることができる。
図4は、実施形態の変形例に係る日車30の説明図である。
続いて、実施形態の変形例に係る日車30について説明する。なお、以下では、実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
実施形態の日車30では、接続部45は、径方向の外側に膨出するように弧状に形成された第一湾曲部46aと、径方向の内側に膨出するように弧状に形成された第二湾曲部46bとが滑らかに接続されることにより、所定の幅を有する略S字形状に湾曲形成されていた(図3参照)。
これに対して、図4に示すように、実施形態の変形例に係る日車30では、接続部45は、軸方向から見たとき、内円部35の外周縁37における接線方向に沿うように、直線状に形成されている。また、接続部45は、軸方向から見たとき、周方向に等間隔をあけて放射状に8本設けられている。これにより、複数の接続部45は、軸方向から見たとき、それぞれ径方向と交差するように設けられる。
また、実施形態の接続部45は、第一湾曲部46aと第二湾曲部46bとにより略S字形状に湾曲形成されていたが、第一湾曲部46aと第二湾曲部46bとを連続的に複数備えて略波形状に湾曲形成されていてもよい。
Claims (6)
- 射出成形の注入口が位置する内円部と、
軸方向から見て前記内円部と同軸上に設けられ、前記内円部を径方向の外側から囲繞する外円部と、
前記内円部と前記外円部とを接続するとともに、弾性変形可能に形成された接続部と、
を備えた射出成形により形成され、
前記接続部は、径方向の外側に膨出するように弧状に形成された第一湾曲部と、径方向の内側に膨出するように弧状に形成された第二湾曲部とが滑らかに接続されることにより、所定の幅を有する略S字形状に湾曲形成されることを特徴とする円盤状の機械部品。 - 前記接続部は、前記軸方向から見たとき、放射状に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
- 複数の前記接続部は、前記軸方向から見たとき、それぞれ周方向に等ピッチとなるように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の機械部品。
- 前記機械部品は、時計用の日車であり、
前記外円部の一方主面には、日付を表す数字が表示されていることを特徴とする請求項1に記載の機械部品。 - 請求項4に記載の機械部品が組み込まれたカレンダ機構を備えていることを特徴とする時計用ムーブメント。
- 請求項5に記載の時計用ムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
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