次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示す電子レンジ用包装袋10は平パウチの形態をしており、図2に示すように、底部で二つ折りした上下サイズが長い方の包装材11と、上下サイズが短い方の包装材12によって、突出片Pが突き出る状態で設けられている。そして、突出片Pには中間シール部13が形成され、中間シール部13は左右のサイドシール部14に跨がるように形成されるとともに、突出片Pの根元部分まで形成されている。さらに、中間シール部13は左右両側辺のサイドシール部14と直交するように形成されている。そして、左右のサイドシール部14には、突出片Pより上方の対応する位置にそれぞれ開封用ノッチ15が形成されている。
この電子レンジ用包装袋10の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部13の形成を同時に行う。次に、左右のシールを行ってサイドシール部14を形成した後、開封用ノッチ15を打ち抜き、続く工程で上辺を切り落として充填口を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部14のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図1に示す電子レンジ用包装袋10が製造される。なお、この例では底シールを形成していないが、必要に応じて底シールを形成するようにしてもよい。
図1に示す電子レンジ用包装袋10は、複数枚纏められた状態で充填工程に送られてそこで内容物が充填される。具体的には、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図1の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部16を形成する。このような充填工程を経ることで、電子レンジ用包装袋10は、左右両側辺のサイドシール部14に加え、上辺シール部16を有したものとなり、開封用ノッチ15を取っ掛かりにして包装材を破断することにより、上辺シール部16より内側の部位に開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部14に跨がる突出片Pが突き出る状態で設けられたものとなる。
このように内容物が充填された電子レンジ用包装袋10は、そのまま或いは別の袋や紙箱に入れて販売される。そして、開封用ノッチ15から袋端部を切り取って開封し、例えば内容物がレトルト食品の場合は、図3及び図4に示すように、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、包装袋の突出片Pより上側の部分は突出片Pがあることによって戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されることになり、その折返し状態で電子レンジにかけて加熱調理することができる。また、内容物が味付け調味料の場合は、開封後に野菜や肉などの食材を入れてから、図3及び図4に示すように、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返した状態とし、同様に加熱調理することができる。
このように袋内の食品を加熱調理した後、包装袋の突出片Pより上側の部分を戻して袋を真っ直ぐにしてから内容物を取り出す。または、袋を容器としてそのまま使用することもできる。この加熱調理時において、袋の内圧が高まる前に包装袋の突出片Pより上側の部分に蒸気の通り道が形成され、その隙間を通って蒸気を逃がすことができる。したがって、内容物が飛び出すことがなく、安全に加熱調理することができる。また、内圧が高まらないと蒸気の通り道が形成されず、袋の中には一定の蒸気が充満しているため、圧力を必要とする調理や蒸らして調理する用途にも好適である。
図1に示す電子レンジ用包装袋10の別態様を図5及び図6に示す。図5及び図6は図1及び図2にそれぞれ対応したものであり、この電子レンジ用包装袋10は、開口した状態のまま袋のみで販売されるタイプで、袋上部に開封ノッチ15のような易開封手段を備えていない。
この電子レンジ用包装袋10を使用するに際しては、上部開口から調味料等とともに肉や野菜を入れ、図3及び図4に示すのと同様に、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、包装袋の突出片Pより上側の部分は突出片Pがあることによって戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されることになり、その折返し状態で電子レンジにかけて加熱調理することができる。
このように袋内の食品を加熱調理した後、包装袋の突出片Pより上側の部分を戻し袋を真っ直ぐにして内容物を取り出す。または、袋を容器としてそのまま使用することができる。この加熱調理時においても、包装袋の突出片Pより上側の部分は接着している訳ではないので、袋の内圧が高まる前に蒸気の通り道が形成されて蒸気を逃がすことができる。したがって、内容物が飛び出すことがなく、安全に加熱調理することができる。また、内圧が高まらないと蒸気の通り道が形成されず、袋の中には一定の蒸気が充満しているため、圧力を必要とする調理や蒸らして調理する用途にも好適である。
図1に示す電子レンジ用包装袋10の変形例を図7に示す。図7は図2に対応したものであり、この図7に示す電子レンジ用包装袋10は、平パウチに突出片Pを後付けしたものである。すなわち、上下に長い包装材11Aをシーラント層を内側として二つ折り状態で対向させた後、左右両側辺のサイドシール部で直線状に貼り合わせ、その左右のサイドシール部にそれぞれ開封用ノッチを形成した後、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開封用ノッチより内側の位置で左右のサイドシール部に跨がる突出片Pを突き出る状態で貼り付けている。この突出片Pは矩形状の包装材からなり、T字型に折り曲げて対向している部分をホットメルトで貼り合わせることにより中間シール部13Aを形成した後、電子レンジ用包装袋10にホットメルトにて取り付ける。ホットメルトに限らず接着剤やヒートシールで取り付けてもよい。また、この例では、左右のサイドシール部に跨がるように突出片Pを後付けしているが、サイドシール部より内側に取り付けるようにしてもよい。このような突出片Pは、上部シール部のない状態で販売されるタイプの電子レンジ用包装袋についても同様に適用できることは言うまでもない。
〔第2実施形態〕
図8に示す電子レンジ用包装袋20はスタンディングパウチの形態をしており、図9に示すように、底部でW折りした上下サイズが長い方の包装材21と、上下サイズが短い方の包装材22によって、突出片Pが突き出る状態で設けられている。そして、突出片Pには中間シール部23が形成され、中間シール部23は左右のサイドシール部24に跨がるように形成されるとともに、突出片Pの根元部分まで形成されている。さらに、中間シール部23は左右両側辺のサイドシール部24と直交するように形成されている。そして、左右のサイドシール部24には、突出片Pより上方の対応する位置にそれぞれ開封用ノッチ25が形成されている。
この電子レンジ用包装袋20の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、スタンディングパウチの底部両端を表裏で貼り合わせるのに必要な底孔を形成するためのパンチ孔加工を行う。次に、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部23の形成を同時に行う。次に、放物線状の底シールと直線状のサイドシールを行って底シール部26とサイドシール部24を形成した後、続く工程で開封用ノッチ25を打ち抜き、上辺を切り落として充填口を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部24のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図8に示す電子レンジ用包装袋20が製造される。
図8に示す電子レンジ用包装袋20は、複数枚纏められた状態で充填工程に送られてそこで内容物が充填される。具体的には、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図8の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部27を形成する。このような充填工程を経ることで、電子レンジ用包装袋20は、左右両側辺のサイドシール部24と底シール部26に加え、上辺シール部27を有したものとなり、開封用ノッチ25を取っ掛かりにして包装材を破断することにより、上辺シール部27より内側の部位に開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部24に跨がる突出片Pが突き出る状態で設けられたものとなる。
このように内容物が充填された電子レンジ用包装袋20は、そのまま或いは別の袋や紙箱に入れて販売される。そして、開封用ノッチ25から袋端部を切り取って開封し、必要に応じて調味料や食材を足してから、図10及び図11に示すように、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、包装袋の突出片Pより上側の部分は突出片Pがあることによって戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されることになり、その折返し状態で電子レンジにかけて加熱調理することができる。また、内容物が精米したお米の場合は、開封後に所定量の水を入れてから、図10及び図11に示すように、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片とは反対側に折り返した状態とし、自立させた状態で電子レンジにかけてご飯を炊くことができる。
このように袋内の食品を加熱調理した後、包装袋の突出片Pより上側の部分を戻して袋を真っ直ぐにしてから内容物を取り出す。または、袋を容器としてそのまま使用することもできる。この加熱調理時においても、袋の内圧が高まる前に包装袋の突出片Pより上側の部分に蒸気の通り道が形成され、その隙間を通って蒸気を逃がすことができる。したがって、内容物が飛び出すことがなく、安全に加熱調理することができる。また、内圧が高まらないと蒸気の通り道が形成されず、袋の中には一定の蒸気が充満しているため、圧力を必要とする調理や蒸らして調理する用途にも好適である。この電子レンジ用包装袋20は、袋の形態がスタンディングパウチであるので、電子レンジの庫内では立てた状態で加熱調理できるし、また容器としてそのまま使用するときも立てた状態にできる。
図8に示す電子レンジ用包装袋20の別態様を図12及び図13に示す。図12及び図13は図8及び図9にそれぞれ対応したものであり、この電子レンジ用包装袋20は、開口した状態のまま袋のみで販売されるタイプで、袋上部に開封ノッチ25のような開封手段を備えていない。
この電子レンジ用包装袋20を使用するに際しては、上部開口から調味料等とともに肉や野菜を入れ、図10及び図11に示したのと同様に、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返した状態とし、その折返し状態で電子レンジにかけて加熱調理することができる。このように袋内の食品を加熱調理した後、包装袋の突出片Pより上側の部分を戻し袋を真っ直ぐにして内容物を取り出す。または、袋を容器としてそのまま使用することができる。この加熱調理時においても、包装袋の突出片Pより上側の部分は接着している訳ではないので、袋の内圧が高まる前に蒸気の通り道が形成されて蒸気を逃がすことができる。したがって、内容物が飛び出すことがなく、安全に加熱調理することができる。また、内圧が高まらないと蒸気の通り道が形成されず、袋の中には一定の蒸気が充満しているため、圧力を必要とする調理や蒸らして調理する用途にも好適である。
図8に示す電子レンジ用包装袋20は、2枚の包装材21,22からなる構造としたが、図14に示すような4枚の包装材からなる構造としてもよい。すなわち、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材21Aからなるとともに、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材21B,22からなっており、他方側の2つの包装材21B,22によって、突出片Pが突き出る状態で設けられ、一方側の包装材21Aと相対している。そして、突出片Pには中間シール部23が形成され、中間シール部23は左右のサイドシール部24に跨がるように形成されるとともに、突出片Pの根元部分まで形成されている。そして、相対する表裏の包装材(包装材21Aと包装材21B,22)の間に、断面が逆V字形をした包装材21Cを介在させて、底シール部26で放射線状に貼り合わせ、かつ左右両側辺のサイドシール部24で直線状に貼り合わせた構造としてもよい。なお、この4枚の包装材からなる構造にしてもよいことは、図12に示す電子レンジ用包装袋20についても同様である。
図8に示す電子レンジ用包装袋20の変形例を図15及び図16に示す。図15及び図16は図8及び図9にそれぞれ対応したものであり、この電子レンジ用包装袋20は、スタンディングパウチの形態をしている点では同じであるが、底部がシールされるのではなくW折りされた点が異なる。この電子レンジ用包装袋20は、底部でW折りした長い方の包装材21と、下端が折り返された短い方の包装材22によって突出片Pが突き出る状態で設けられている。そして、突出片Pには中間シール部23が形成され、中間シール部23は左右のサイドシール部24に跨がるように形成されるとともに、突出片Pの根元部分まで形成されている。この電子レンジ用包装袋20は内容物を充填すると底部が膨らむので、図8及び図9に示す電子レンジ用包装袋20よりも内容量が多くなる。この底部がW折りされたスタンディングパウチを製造するに際しては、底シールを行う工程に代えて、プレートを挿入して底折込部を形成すればよい。
図15に示す電子レンジ用包装袋20の別態様を図17及び図18に示す。図17及び図18は図15及び図16にそれぞれ対応したものであり、この電子レンジ用包装袋20は、開口した状態のまま袋のみで販売されるタイプで、袋上部に開封ノッチ25のような開封手段を備えていない。そして、この電子レンジ用包装袋20の使用方法は、図12及び図13の電子レンジ用包装袋20の場合と同様である。
図8に示す電子レンジ用包装袋20の変形例を図19に示す。図19は図9に対応したものであり、この電子レンジ用包装袋20は、スタンディングパウチに図7で説明したのと同様な突出片Pを後付けしたものである。このような突出片Pは、図12や図17に示す袋のみで販売されるタイプの電子レンジ用包装袋20についても同様に適用できることは言うまでもない。
図12に示す電子レンジ用包装袋20の変形例を図20に示す。この電子レンジ用包装袋20は、左右のサイドシール部24に対し、突出片Pより下方の対応する位置にそれぞれ分断手段としてノッチ28を設けたものである。この電子レンジ用包装袋20は、加熱調理した後の袋をノッチ28のところで分断することにより、袋の下側の部分を容器として使用することができるものであり、図12に示すスタンディングパウチを始めとして自立性のある包装袋に設けるのが効果的である。なお、分断手段は、ノッチ28に限るものではなく、基材にハーフカット線を設けた包装材を用いてもよいし、幅方向に延伸したフィルムを積層した包装材をを用いてもよい。
〔第3実施形態〕
図21に示す電子レンジ用包装袋30は、底部及び両側部にひだを有するガゼット袋の形態をしている。具体的には、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材31からなり、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材32A,32Bによって、突出片Pが突き出る状態で設けられている。そして、突出片Pには中間シール部33が形成され、中間シール部33は左右のサイドシール部34に跨がるように形成されるとともに、突出片Pの根元部分まで形成されている。さらに、他方側の包装材32A,32Bが一方側の包装材31と相対し、その相対する表裏の包装材(包装材31と包装材32A,32B)の間に、断面が逆V字状をした3つの包装材、すなわち底部に包装材34と両側部にそれぞれ包装材35を介在させて、底部の包装材34を底辺に添った底シール部36で直線状に貼り合わせるとともに、両側部の包装材35をそれぞれ左右両側辺のサイドシール部37で直線状に貼り合わせ、さらに、底部の包装材34の左右端縁と側部の包装材35の下端縁を貼り合わせて、側部の包装材35の下部を底部の包装材34の折りに合わせて折り込んだ構造をしており、中間シール部33は左右両側辺のサイドシール部37と直交するように形成されている。
このタイプの電子レンジ用包装袋30は、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図21の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部38を形成する。このような充填工程を経ることで、電子レンジ用包装袋30は、左右両側辺のサイドシール部37と底シール部36に加え、上辺シール部38を有したものとなり、はさみで上辺シール部38を切り取ることにより、上辺シール部38より内側の部位に左右のサイドシール部37に跨がる開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部37に跨がる突出片Pが突き出る状態で設けられたものとなる。
このように内容物が充填された電子レンジ用包装袋30は、そのまま或いは別の袋や紙箱に入れて販売される。そして、はさみで上辺シール部38を切り取って開封し、必要に応じて調味料や食材を足してから、開口端より内側にある突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、その折返し状態が維持されるので、そのまま電子レンジにかけて加熱調理することができる。
このように袋内の食品を加熱調理した後、包装袋の突出片Pより上側の部分を戻して袋を真っ直ぐにしてから内容物を取り出す。または、袋を容器としてそのまま使用することもできる。この加熱調理時においても、袋の内圧が高まる前に包装袋の突出片Pより上側の部分に蒸気の通り道が形成され、その隙間を通って蒸気を逃がすことができる。したがって、内容物が飛び出すことがなく、安全に加熱調理することができる。また、内圧が高まらないと蒸気の通り道が形成されず、袋の中には一定の蒸気が充満しているため、圧力を必要とする調理や蒸らして調理する用途にも好適である。この電子レンジ用包装袋30は、袋の形態がガセット袋であるので、電子レンジの庫内では立てた状態で加熱調理できるし、また容器としてそのまま使用するときも立てた状態にできる。
図21に示す電子レンジ用包装袋30の別態様を図22に示す。この電子レンジ用包装袋30は、開口した状態のまま袋のみで販売されるタイプである。そして、この電子レンジ用包装袋30の使用方法は、図12及び図13に示す電子レンジ用包装袋20の場合と同様である。このように、底部と両側部にひだ(ガセット)のある形態とした場合は、開口を長方形或いは正方形として大きく広げることができるので、内容物を充填しやすい、或いは内容物を取り出しやすいという利点がある。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図1及び図2に示す電子レンジ用包装袋10をベースにして説明する。
図23は図2に対応し、図24は図4に対応しており、この図23に示す電子レンジ用包装袋10は、包装材11の突出片Pと対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設けたものである。この押し罫aは金型、ローラ等の型を使用し、包装材11に対してエンボス加工を施すことで形成することができる。
このように、押し罫aを設けたことにより、内容物を充填した電子レンジ用包装袋10は、開封してから必要に応じて調味料や食材を足してから、図24のように突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、包装袋の突出片Pより上側の部分は突出片Pがあることで戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されるのに加え、押し罫aの作用により折り返した状態を保持しやすくなる。
図25は図2に対応し、図26は図4に対応しており、この図25に示す電子レンジ用包装袋10は、包装材11の突出片Pと対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設け、さらに、突出片Pのある側の包装材12にも押し罫bを設けたものである。この押し罫bは、内側から外側に向かって凹む外向き状態で、突出片Pの付け根に沿うようにして設けられている。このように、包装材12にも押し罫bを設けると、折り返した状態をより一層保持しやすくなる。また、突出片Pの付け根に沿う押し罫bのみを設けた場合であっても、押し罫を全く設けない場合に比べると、折返し状態を保持しやすくなる。
このような折返し状態を保持させるための押し罫a,bは、蒸らして調理したい場合に特に有効である。また、突出片にこのような押し罫a,bを形成することは、図1及び図2に示す電子レンジ用包装袋10に限らず、上記した他の電子レンジ用包装袋についても同様に適用することができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について図8及び図9に示す電子レンジ用包装袋20をベースにして説明する。
図27は図8に対応しており、この図27に示す電子レンジ用包装袋20は、中間シール部23を真っ直ぐな帯状ではなく、図示のような変形パターンとしたものである。すなわち、根元までシールされた中央部から両側辺に向かって徐々に幅が狭くなるような緩やかな湾曲形状で中間シール部23を形成し、左右両側のサイドシール部24とは小さな幅で重なるようにしている。これにより、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わるところに、内部と繋がった三角状の未シール部分23nが形成された状態になっている。
この電子レンジ用包装袋20は、開封用ノッチ25から袋端部を切り取って開封し、必要に応じて調味料や食材を足してから、図28に示すように、突出片Pの根元部分を基点として、包装袋の突出片Pより上側の部分を、包装袋の突出片Pより下側の部分に向かって突出片Pとは反対側に折り返すと、包装袋の突出片Pより上側の部分は突出片Pがあることによって戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されることになり、その折返し状態で電子レンジにかけて加熱調理することができる。そして、中間シール部23を図示のような変形パターンにしているので、包装袋の突出片Pより上側の部分に蒸気の通り道が形成される。また、図28に矢印で示す如く、中間シール部23とサイドシール部24の交点付近を摘んで、折り返した部分と逆の方に(図28の手前側から奥側に向かって)押すと、包装材が突っ張って突出片Pのない側に僅かに反り、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わる角部にてロックが掛かったような状態となり、折り返した部分の反発(浮き上がり)が抑えられ、転倒時に内容物が漏れ出るのが防止される。
図27に示す電子レンジ用包装袋20の別態様を図29に示す。この電子レンジ用包装袋20は、開口した状態のままで販売されるタイプである。そして、この電子レンジ用包装袋30の使用方法は、上部開口から調味料等とともに肉や野菜を入れる以外は、図27に示す電子レンジ用包装袋30の場合と同様である。
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明で用いる電子レンジ用包装袋は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
例えば、中間シール部の根元部分を基点として単に折り返すだけの第1〜第4実施形態の電子レンジ用包装袋では、左右のサイドシール部に跨がる中間シール部について、重なる包装材を根元までシールすることで形成しているが、図30に例示するようなシールパターンで形成してもよい。
図30は図1に示す電子レンジ用包装袋10をベースにして、中間シール部13についてそのシールパターンの変形例を示したものであり、(a)は左右のサイドシール部14に跨がって根元部分だけを細くシールしたパターン、(b)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近のみを根元までシールし、その両側は根元部分を空けてシールしたパターン、(c)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近の根元部分のみを空け、その両側を根元までシールしたパターンである。このように突出片Pの少なくとも根元部分の一部がシールされていさえすれば、袋を折り返したときに突出片Pがあることにより戻りが抑制される。そして、シールのないところが蒸気の通り道となるので、突出片Pのシールパターンは加熱調理する内容物に応じて適宜設計するとよい。
また、加熱調理後に容器として使用するため、図31及び図32に示すように袋の胴部に断熱用のスリーブSを取り付けてもよい。
図31及び図32は図8に示す電子レンジ用包装袋20に断熱用のスリーブSを取り付けた電子レンジ用包装袋20を示している。この電子レンジ用包装袋20は、板紙を始めとして保形性のある帯状のシートを用い、そのシートの両端の重なり部分を貼り合わせてリング状とし、それを袋の胴部にセットして例えば図示の接着部fにてホットメルト、接着剤、ヒートシール等により取り付けたものである。
このように、袋の胴部にスリーブSを巻いておくことにより、スリーブSが保形作用を発揮するので、電子レンジによる加熱調理後にそのまま容器として使用することができる。また、シートとして板紙を使用した場合は、スリーブSが断熱作用を発揮するので手で保持しやすい。
〔包装材〕
本発明で用いる電子レンジ用包装袋に用いる包装材としては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられ、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられるが、袋に充填される内容物や、充填後の取扱い条件、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、基材フィルム層とシーラント層との間などに、例えば、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用する。
上記基材フィルム層や水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層、シーラント層などは、それぞれ単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
前記基材フィルム層には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)などを好適に使用することができる。
前記ガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルム、或いは、シリカ、アルミナなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、シリカ、アルミナなどの蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(透明蒸着PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。
前記強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
また、中間層に易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレン、易引き裂き性二軸延伸ポリエステルフィルム(「エンブレット」PC(MD方向に易引き裂き性)、ユニチカ(株)製)などを、その延伸方向が袋を開封する際の引き裂き方向と一致するように積層することにより、易開封性手段として、引き裂きを容易にし、かつ、その方向性を安定化させることができる。
前記基材フィルム層とガスバリヤー層、強度向上層などの中間層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
前記シーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体・アイオノマー、ポリプロピレン(CPP)、シリカ、アルミナなどの蒸着層を設けたポリプロピレン(透明蒸着CPP)またはその共重合体などを使用することができる。
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。ただし、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
このようなプラスチックを主体とする積層フィルムの具体例として代表的には次の層構成からなる包装材を挙げることができる。下記1)〜12)はドライラミネーション法による積層フィルムであり、各層は接着剤で貼り合わされる。ここで、下記1)〜12)の包装材は、各層をPEを介して押出しラミネーション法で積層してもよい。なお、( )内の値は各層の厚みを示す。
1)PET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
2)PET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
3)ONY(15μm)/CPP(30〜 150μm)
4)ONY(15μm)/LLDPE(30〜 150μm)
5)透明蒸着PET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
6)透明蒸着PET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
7)PET(12μm)/ONY(15μm)/CPP(30〜 150μm)
8)PET(12μm)/ONY(15μm)/LLDPE(30〜 150μm)
9)PET(12μm)/透明蒸着PET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
10)PET(12μm)/透明蒸着PET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
11)OPP(20μm)/CPP(30〜 150μm)
12)OPP(20μm)/LLDPE(30〜 150μm)