以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のパワーコンディショナA1の回路構成を示しており、複数系統(図1では4系統)の太陽電池S1〜S4が接続されるマルチストリング型のパワーコンディショナである。太陽電池S1〜S4は、複数の太陽電池パネルをグループ化した太陽電池ストリングである。
パワーコンディショナA1は、直流電力入力部11〜14、昇圧回路21〜24、コンデンサC1、インバータ回路3、センサ部41〜44、センサ部5、解列リレー6、制御部7を備える。なお、昇圧回路21〜24が、本発明の直流電圧変換部に相当し、インバータ回路3が、本発明の直流/交流変換部に相当する。
直流電力入力部11〜14は、端子台等で構成されており、パワーコンディショナA1内において、昇圧回路21〜24の入力部にそれぞれ接続しており、さらにパワーコンディショナA1外の太陽電池S1〜S4がそれぞれ接続される。すなわち、太陽電池S1〜S4の各出力は、直流電力入力部11〜14を介して、昇圧回路21〜24に供給される。
昇圧回路21〜24は、太陽電池S1〜S4のそれぞれが出力する直流を昇圧して出力する。昇圧回路21〜24の各出力は、コンデンサC1の両端間に並列接続されており、コンデンサC1によって平滑される。
インバータ回路3は、昇圧回路21〜24が出力する直流の昇圧電圧(コンデンサC1の両端電圧)を交流電圧に変換し、この交流電圧を図示しない商用電力系統へ出力する系統連系機能を有する。インバータ回路3の交流出力は、解列リレー6がオン・オフされることによって、商用電力系統への供給・遮断が切り替えられる。
センサ部41〜44は、太陽電池S1〜S4毎の出力電圧、出力電流(昇圧回路21〜24毎の入力電圧、入力電流)を検出する。センサ部5は、インバータ回路3の出力電流を検出する。センサ部41〜44、センサ部5の各検出データは、制御部7に入力される。
制御部7は、太陽電池S1〜S4毎の出力電圧、出力電流(昇圧回路21〜24毎の入力電圧、入力電流)に基づいて、太陽電池S1〜S4毎の出力電力(昇圧回路21〜24毎の入力電力)を算出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、最大電力追従制御(MPPT制御)を個別に行う。MPPT制御とは、太陽電池S1〜S4から電力を有効に取り出すために、太陽電池S1〜S4の各出力電力が最大となる動作点(最大電力点)で太陽電池S1〜S4を動作させるように、昇圧回路21〜24を制御するものである。
昇圧回路21〜24は、スイッチング素子(図示なし)をオン・オフ駆動することによって昇圧動作を行う周知の昇圧チョッパ回路で構成されている。この場合、制御部7は、昇圧回路21〜24のスイッチング素子を駆動する各PWM信号のオンデューティを変化させることによって、太陽電池S1〜S4の各出力電圧を変化させて、太陽電池S1〜S4毎に動作点を制御する。すなわち、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して個別にMPPT制御を行っている。
図2に、MPPT制御の概略を示す。現在、太陽電池S(太陽電池S1〜S4を区別しない場合、太陽電池Sと称す)が、出力電圧Vaの動作点Xaに制御されている。そして、制御部7が太陽電池Sの出力電圧をVaからVbに増加させると、動作点はXaからXbに変化し、太陽電池Sの出力電圧を増加させることによって、出力電力が増加する。次に、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧をVbからVcに増加させると、動作点はXbからXcに変化し、太陽電池Sの出力電圧を増加させることによって、出力電力がさらに増加する。次に、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧をVcからVdに増加させると、動作点はXcからXdに変化し、太陽電池Sの出力電圧を増加させることによって、出力電力が減少する。
そこで、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧をVdからVcに減少させると、動作点はXdからXcに変化し、太陽電池Sの出力電圧を減少させることによって、出力電力が増加する。次に、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧をVcからVbに減少させると、動作点はXcからXbに変化し、太陽電池Sの出力電圧を減少させることによって、出力電力が減少する。
次に、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧をVbからVcに増加させると、動作点はXbからXcに変化し、太陽電池Sの出力電圧を増加させることによって、出力電力が増加する。
上述のように、制御部7は、太陽電池Sの出力電圧の増減方向と、太陽電池Sの出力電力の増減方向とに基づいて、太陽電池Sの動作点を最大電力点近傍に制御している。すなわち、太陽電池Sの動作点は、出力電力のピーク値を挟んで往復する動作を繰り返し、太陽電池Sの動作点を最大電力点に追従させることができる。
さらに、制御部7は、インバータ回路3の出力電流を制御することによって、コンデンサC1の両端電圧(昇圧回路21〜24が出力する昇圧電圧)を一定値に調整する。
太陽電池SのVI特性は、一般に、図3(a)のY1aに示される。VI特性Y1aでは、太陽電池Sの各出力開放時において、出力電流=0、出力電圧=開放電圧Vcとなり、太陽電池Sの出力短絡時において、出力電流=短絡電流Ic、出力電圧=0となる。
また、太陽電池Sの出力電力特性は、一般に、図3(b)のY1bに示される。太陽電池Sの出力電力特性Y1bは、日射量によって変動するが、通常、出力電力が極大となる極大点は1点であり、この極大点が最大電力点Xm1となる。そして、MPPT制御では、太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm1に追従させることによって、太陽電池Sから最大電力を取り出すことができる。
しかしながら、太陽電池Sに局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池SのVI特性は、図4(a)のY2aのように示され、開放電圧Vc近傍では出力電流が段階的に低下する。そして、太陽電池Sに局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池Sの出力電力特性は、図4(b)のY2bのように示され、出力電力が極大となる極大点が複数発生する(図4(b)では、2つの極大点Xm21,Xm22)。このような状態でMPPT制御を行った場合、太陽電池Sの動作点が最大電力点Xm21(出力電力が最も高い極大点)に追従するとは限らず、出力電力が低い他の極大点Xm22に追従することがある。太陽電池Sの動作点が極大点Xm22に追従した場合、この太陽電池Sから取り出せる電力は低くなり、発電効率が低下する。
そこで、制御部7は、定期的に、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)の入力電流と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)の入力電流とを順次、比較演算して、その差分を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の各入力電流の差分に基づいて、太陽電池S1〜S4が複数の極大点を有する出力電力特性Y2bとなっているか否かを判定している(以降、出力電力特性判定処理と称す)。
この出力電力特性判定処理では、例えば、昇圧回路21の入力電流と昇圧回路22〜24の各入力電流との各差分を導出する。次に、昇圧回路22の入力電流と昇圧回路23,24の各入力電流との各差分を導出する。次に、昇圧回路23の入力電流と昇圧回路24の入力電流との差分を導出する。すなわち、昇圧回路21〜24からいずれか2つを順次選択して、互いの入力電流を比較演算し、その差分を導出する。
以下、昇圧回路21と昇圧回路22との各入力電流を比較する場合を例にして、説明する。なお、比較演算対象である一対の昇圧回路として、昇圧回路21,22を例示するが、制御部7は、下記の出力電力特性判定処理を、昇圧回路21〜24のいずれか2つを比較演算対象として、順次実行する。
太陽電池S1〜S4は、日射量に依存して出力電力特性が変化するが、太陽電池S1〜S4を構成する太陽電池パネルの枚数、設置方位が互いに同じであれば、太陽電池S1〜S4の各日射条件は、通常同じである。したがって、太陽電池S1,S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作していれば、昇圧回路21,22は、太陽電池S1,S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させる。この場合、昇圧回路21,22の各入力電流はIs1となり、入力電流の差分[Is1−Is1]の絶対値が所定の閾値ΔI未満となる(昇圧回路21の入力電流Is1と、昇圧回路22の入力電流Is1とは、略同一値となる)。
しかしながら、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1が、図4(a)(b)に示すVI特性Y2a、出力電力特性Y2bで動作し、太陽電池S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作する場合が発生し得る。この場合、昇圧回路21が、太陽電池S1の動作点を極大点Xm22に追従させ、昇圧回路22が、太陽電池S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させることがある。而して、昇圧回路21の入力電流はIs2(<Is1)となり、昇圧回路22の入力電流はIs1となって、入力電流の差分[Is1−Is2]の絶対値が所定の閾値ΔI以上となる。
なお、閾値ΔIは、センサ部41〜44の測定精度や、MPPT制御の変化幅から設定される。
そして、制御部7は、入力電流の差分[Is1−Is2]の絶対値が閾値ΔI未満であれば、太陽電池S1,S2の各出力電力特性は、1つの極大点のみを有していると判断する(図3(b)参照)。
また、制御部7は、入力電流の差分[Is1−Is2]の絶対値が閾値ΔI以上であれば、出力電流(昇圧回路21の入力電流)が低い太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図4(b)参照)。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路(例えば、昇圧回路21)に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池S1の動作点を最大電力点Xm21近傍に設定する。なお、本説明では、制御部7が昇圧回路21に対してスキャン制御を行う場合を例示するが、他の昇圧回路22〜24に対してスキャン制御を行う場合も同様である。
まず、制御部7は、昇圧回路21の動作を制御して、太陽電池S1の出力電圧を、開放電圧Vc側から段階的に低下させる。そして、制御部7は、段階的に低下させた各出力電圧における太陽電池S1の出力電力を算出する。
具体的に、制御部7は、図5に示すように、太陽電池S1の出力電圧を、V1→V2→V3→......→V13→V14の順に段階的に減少させる。而して、太陽電池S1の動作点は、X1→X2→X3→......→X13→X14の順に推移する。そして、制御部7は、各動作点X1〜X14(出力電圧V1〜V14に対応)における太陽電池S1の出力電力を算出し、記憶しておく(図6参照)。なお、出力電圧V1〜V14の設定範囲は、開放電圧Vc(第1の電圧)〜0(第2の電圧)の間に予め設定されている。また、出力電圧V1〜V14の設定範囲は、当該範囲に限定されるものではない。さらに、太陽電池S1の出力電圧を、V14→V13→V12→......→V2→V1の順に段階的に増加させる構成であってもよい。
そして、制御部7は、各動作点X1〜X14のうち、出力電力が最大となる動作点(図5では、動作点X6)近傍でのMPPT制御を開始する。すなわち、太陽電池S1の出力電力特性が、図4(b)のように2つの極大点Xm21,Xm22を有する場合、制御部7は、太陽電池S1の動作点を最大電力点Xm21近傍に制御する。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れたとしても、スキャン制御によって、最大電力点近傍でのMPPT制御を再開することができる。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に極大点が複数発生した場合でも、発電効率の低下を抑制することができる。
また、パワーコンディショナA1は、太陽電池S1〜S4の出力電力を動作電源としており、太陽電池S1〜S4の発電開始に伴って起動する。この場合、日の出によって太陽電池S1〜S4が発電を開始し、パワーコンディショナA1が起動する時間帯では、太陽電池S1〜S4に局所的な影が生じやすい。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性は、図4(b)のように、出力電力の極大点が複数発生する可能性が高い。而して、通常のMPPT制御(太陽電池S1〜S4の出力電圧を開放電圧Vc側から徐々に低下させて、出力電力の最初の極大点を動作点とする制御)では、出力電力が低い極大点Xm22に追従し、発電効率が低下する虞がある。そこで、制御部7は、起動時に出力電力特性判定処理を行うことによって、出力電力が最大となる最大電力点Xm21近傍でのMPPT制御を行うことができる。
さらに、太陽電池S1〜S4の各出力電力の低下幅が所定値を超えた場合、太陽電池S1〜S4の各出力電力が閾値以下である状態が、所定時間以上継続した場合も、制御部7が出力電力特性判定処理を開始するタイミングとなる。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に複数の極大点が発生し易い状態であるときに、出力電力特性判定処理を開始する。したがって、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れた状態をできるだけ短くできるので、発電効率の低下をより抑制することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図1に示すパワーコンディショナA1の回路構成を備える。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態において、制御部7の出力電力特性判定処理は、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)の入力電圧と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)の入力電圧とを順次、比較演算して、その差分を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の各入力電圧の差分に基づいて、太陽電池S1〜S4の出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定している。
この出力電力特性判定処理では、例えば、昇圧回路21の入力電圧と昇圧回路22〜24の各入力電圧との各差分を導出する。次に、昇圧回路22の入力電圧と昇圧回路23,24の各入力電圧との各差分を導出する。次に、昇圧回路23の入力電圧と昇圧回路24の入力電圧との差分を導出する。すなわち、昇圧回路21〜24からいずれか2つを順次選択して、互いの入力電圧を比較演算し、その差分を導出する。
以下、昇圧回路21と昇圧回路22との各入力電圧を比較する場合を例にして、説明する。なお、比較演算対象である一対の昇圧回路として、昇圧回路21,22を例示するが、制御部7は、下記の出力電力特性判定処理を、昇圧回路21〜24のいずれか2つを比較演算対象として、順次実行する。
太陽電池S1〜S4は、日射量に依存して出力電力特性が変化するが、太陽電池S1〜S4を構成する太陽電池パネルの枚数、設置方位が互いに同じであれば、太陽電池S1〜S4の各日射条件は、通常同じである。したがって、太陽電池S1,S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作していれば、昇圧回路21,22は、太陽電池S1,S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させる。この場合、昇圧回路21,22の各入力電圧はVs1となり、入力電圧の差分[Vs1−Vs1]の絶対値が所定の閾値ΔV未満となる(昇圧回路21の入力電圧Vs1と、昇圧回路22の入力電圧Vs1とは、略同一値となる)。
しかしながら、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1が、図4(a)(b)に示すVI特性Y2a、出力電力特性Y2bで動作し、太陽電池S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作する場合が発生し得る。この場合、昇圧回路21が、太陽電池S1の動作点を極大点Xm22に追従させ、昇圧回路22が、太陽電池S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させることがある。而して、昇圧回路21の入力電圧はVs2(>Vs1)となり、昇圧回路22の入力電圧はVs1となって、入力電圧の差分[Vs1−Vs2]の絶対値が所定の閾値ΔV以上となる。
なお、閾値ΔVは、センサ部41〜44の測定精度や、MPPT制御の変化幅から設定される。
そして、制御部7は、入力電圧の差分[Vs1−Vs2]の絶対値が閾値ΔV未満であれば、太陽電池S1,S2の各出力電力特性は、1つの極大点のみを有していると判断する(図3(b)参照)。
また、制御部7は、入力電圧の差分[Vs1−Vs2]の絶対値が閾値ΔV以上であれば、出力電圧(昇圧回路21の入力電圧)が高い太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図4(b)参照)。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm21近傍に設定する。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れたとしても、スキャン制御によって、最大電力点近傍でのMPPT制御を再開することができる。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に極大点が複数発生した場合でも、発電効率の低下を抑制することができる。
なお、他の構成および動作は、実施形態1と同様であり、説明は省略する。
(実施形態3)
本実施形態は、図1に示すパワーコンディショナA1の回路構成を備える。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態において、制御部7の出力電力特性判定処理は、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)の入力電力と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)の入力電力とを順次、比較演算して、その差分を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の各入力電力の差分に基づいて、太陽電池S1〜S4の出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定している。
この出力電力特性判定処理では、例えば、昇圧回路21の入力電力と昇圧回路22〜24の各入力電力との各差分を導出する。次に、昇圧回路22の入力電力と昇圧回路23,24の各入力電力との各差分を導出する。次に、昇圧回路23の入力電力と昇圧回路24の入力電力との差分を導出する。すなわち、昇圧回路21〜24からいずれか2つを順次選択して、互いの入力電力を比較演算し、その差分を導出する。
以下、昇圧回路21と昇圧回路22との各入力電力を比較する場合を例にして、説明する。なお、比較演算対象である一対の昇圧回路として、昇圧回路21,22を例示するが、制御部7は、下記の出力電力特性判定処理を、昇圧回路21〜24のいずれか2つを比較演算対象として、順次実行する。
太陽電池S1〜S4は、日射量に依存して出力電力特性が変化するが、太陽電池S1〜S4を構成する太陽電池パネルの枚数、設置方位が互いに同じであれば、太陽電池S1〜S4の各日射条件は、通常同じである。したがって、太陽電池S1,S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作していれば、昇圧回路21,22は、太陽電池S1,S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させる。この場合、昇圧回路21,22の各入力電力はPs1(=Vs1×Is1)となり、入力電力の差分[Ps1−Ps1]の絶対値が所定の閾値ΔP未満となる(昇圧回路21の入力電力Ps1と、昇圧回路22の入力電力Ps1とは、略同一値となる)。
しかしながら、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1が、図4(a)(b)に示すVI特性Y2a、出力電力特性Y2bで動作し、太陽電池S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作する場合が発生し得る。この場合、昇圧回路21が、太陽電池S1の動作点を極大点Xm22に追従させ、昇圧回路22が、太陽電池S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させることがある。而して、昇圧回路21の入力電力はPs2(=Vs2×Is2<Ps1)となり、昇圧回路22の入力電力はPs1となって、入力電力の差分[Ps1−Ps2]の絶対値が所定の閾値ΔP以上となる。
なお、閾値ΔPは、センサ部41〜44の測定精度や、MPPT制御の変化幅から設定される。
そして、制御部7は、入力電力の差分[Ps1−Ps2]の絶対値が閾値ΔP未満であれば、太陽電池S1,S2の各出力電力特性は、1つの極大点のみを有していると判断する(図3(b)参照)。
また、制御部7は、入力電力の差分[Ps1−Ps2]の絶対値が閾値ΔP以上であれば、出力電力(昇圧回路21の入力電力)が低い太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図4(b)参照)。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm21近傍に設定する。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れたとしても、スキャン制御によって、最大電力点近傍でのMPPT制御を再開することができる。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に極大点が複数発生した場合でも、発電効率の低下を抑制することができる。
なお、他の構成および動作は、実施形態1と同様であり、説明は省略する。
(実施形態4)
本実施形態は、図1に示すパワーコンディショナA1の回路構成を備える。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態において、制御部7の出力電力特性判定処理は、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)を駆動する各PWM信号と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)を駆動する各PWM信号とを順次、比較演算して、その差分を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の各PWM信号のオンデューティの差分に基づいて、太陽電池S1〜S4の出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定している。
この出力電力特性判定処理では、例えば、昇圧回路21のPWM信号のオンデューティと昇圧回路22〜24の各PWM信号のオンデューティとの各差分を導出する。次に、昇圧回路22のPWM信号のオンデューティと昇圧回路23,24の各PWM信号のオンデューティとの各差分を導出する。次に、昇圧回路23のPWM信号のオンデューティと昇圧回路24のPWM信号のオンデューティとの差分を導出する。すなわち、昇圧回路21〜24からいずれか2つを順次選択して、互いのPWM信号のオンデューティを比較演算し、その差分を導出する。
以下、昇圧回路21と昇圧回路22との各PWM信号のオンデューティを比較する場合を例にして、説明する。なお、比較演算対象である一対の昇圧回路として、昇圧回路21,22を例示するが、制御部7は、下記の出力電力特性判定処理を、昇圧回路21〜24のいずれか2つを比較演算対象として、順次実行する。
太陽電池S1〜S4は、日射量に依存して出力電力特性が変化するが、太陽電池S1〜S4を構成する太陽電池パネルの枚数、設置方位が互いに同じであれば、太陽電池S1〜S4の各日射条件は、通常同じである。したがって、太陽電池S1,S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作していれば、昇圧回路21,22は、太陽電池S1,S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させる。この場合、昇圧回路21,22の各PWM信号は、図7(a)のように、周期T0に対してオン期間Ton1に設定されており、オンデューティD1=Ton1/T0となる。したがって、オンデューティの差分[D1−D1]の絶対値が所定の閾値ΔD未満となる(昇圧回路21のオンデューティD1と、昇圧回路22のオンデューティD1とは、略同一値となる)。
しかしながら、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1が、図4(a)(b)に示すVI特性Y2a、出力電力特性Y2bで動作し、太陽電池S2が、図3(a)(b)に示すVI特性Y1a、出力電力特性Y1bで動作する場合が発生し得る。この場合、昇圧回路21が、太陽電池S1の動作点を極大点Xm22に追従させ、昇圧回路22が、太陽電池S2の動作点を最大電力点Xm1に追従させることがある。而して、昇圧回路21のPWM信号は、図7(b)のように、周期T0に対してオン期間Ton2(<Ton1)に設定されており、オンデューティD2=Ton2/T0となる。一方、昇圧回路22のPWM信号は、図7(a)のように、周期T0に対してオン期間Ton1に設定されており、オンデューティD1=Ton1/T0となる。したがって、オンデューティの差分[D1−D2]の絶対値が所定の閾値ΔD以上となる。
なお、閾値ΔDは、センサ部41〜44の測定精度や、MPPT制御の変化幅から設定される。
そして、制御部7は、PWM信号のオンデューティの差分[D1−D2]の絶対値が閾値ΔD未満であれば、太陽電池S1,S2の各出力電力特性は、1つの極大点のみを有していると判断する(図3(b)参照)。
また、制御部7は、PWM信号のオンデューティの差分[D1−D2]の絶対値が閾値ΔD以上であれば、PWM信号のオンデューティが小さい太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図4(b)参照)。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm21近傍に設定する。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れたとしても、スキャン制御によって、最大電力点近傍でのMPPT制御を再開することができる。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に極大点が複数発生した場合でも、発電効率の低下を抑制することができる。
なお、他の構成および動作は、実施形態1と同様であり、説明は省略する。
(実施形態5)
本実施形態は、図8に示すパワーコンディショナA2の回路構成を備える。なお、実施形態1〜4と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
パワーコンディショナA2において、制御部7には、情報モニタ8が通信可能に接続している。情報モニタ8は、タッチパネル等によって、ユーザが操作する操作手段と、ユーザに文字、図形等の情報を表示する表示手段とを構成している。
そして、ユーザは、情報モニタ8を操作して、太陽電池S1〜S4のそれぞれを構成する太陽電池パネルの枚数(以降、パネル枚数と称す)を入力する。そして、制御部7は、情報モニタ8から、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数のデータを受信し、記憶する。
以下、本実施形態の動作について説明する。
まず、太陽電池S1〜S4は、それぞれを構成するパネル枚数によって出力電力特性が異なる。太陽電池S1〜S4を構成するパネル枚数が互いに異なる場合、同じ日射条件であっても、太陽電池S1〜S4から取り出せる各電力は、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数に略比例する。
以下、パネル枚数5枚の太陽電池S1、パネル枚数4枚の太陽電池S2を例にして説明する。
まず、図9(a)は、通常時における太陽電池S1のVI特性Y3a、通常時における太陽電池S2のVI特性Y4aを示す。VI特性Y3aでは、太陽電池S1の出力開放時において、出力電流=0、出力電圧=開放電圧Vc3となる。また、VI特性Y4aでは、太陽電池S2の出力開放時において、出力電流=0、出力電圧=開放電圧Vc4(<Vc3)となる。また、VI特性Y3a,Y4aともに、太陽電池S1,S2の出力短絡時において、出力電流=短絡電流Ic34、出力電圧=0となる。
また、図9(b)は、通常時における太陽電池S1の出力電力特性Y3b、通常時における太陽電池S2の出力電力特性Y4bを示す。太陽電池S1,S2の出力電力特性Y3b,Y4bは、通常、1つの最大電力点Xm3,Xm4をそれぞれ有する。なお、最大電力点Xm3においては、出力電圧Vs3、出力電流Is34、出力電力Ps3となる。また、最大電力点Xm4において、出力電圧Vs4(<Vs3)、出力電流Is34、出力電力Ps4(<Ps3)となる。
すなわち、パネル枚数5枚の太陽電池S1の最大電力点Xm3において、出力電力はPs3となる。また、パネル枚数4枚の太陽電池S2の最大電力点Xm4において、出力電力はPs4となる。このとき、電力比[Ps3:Ps4]=[5:4]となり、太陽電池S1,S2の各パネル枚数の比[5:4]と略同じになる。
そこで、制御部7は、電力比[Ps3:Ps4]が、太陽電池S1,S2の各パネル枚数の比と同じであるので、太陽電池S1,S2の各出力電力特性は、極大点を1つのみ有すると判断する(図9(b)参照)。
しかしながら、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1のVI特性は、図10(a)のY5aのように示され、開放電圧Vc5近傍では出力電流が段階的に低下する。そして、太陽電池S1に局所的な影や汚れが生じた場合、太陽電池S1の出力電力特性は、図10(b)のY5bのように示され、出力電力が極大となる極大点が複数発生する(図10(b)では、2つの極大点Xm51,Xm52)。
そして、太陽電池S1が出力電力特性Y5bで動作した場合、昇圧回路21が、太陽電池S1の動作点を極大点Xm52に追従させることがある。このとき、太陽電池S1の極大点Xm52において、出力電力はPs5(<Ps4)となる。また、昇圧回路22は、太陽電池S2の動作点を最大電力点Xm4に追従させており、出力電力はPs4となる。このとき、電力比[Ps5:Ps4]≠[5:4]となる。なお、極大点Xm52において、太陽電池S1の出力電圧Vs5、出力電流Is5となる。
そして、制御部7は、電力比[Ps5:Ps4]が、太陽電池S1,S2の各パネル枚数の比と異なるので、太陽電池S1,S2のいずれか一方の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する。この場合、制御部7は、出力電力(昇圧回路の入力電力)が低い太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図10(b)参照)。
而して、制御部7の出力電力特性判定処理は、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)の入力電力と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)の入力電力とを順次、比較演算して、その電力比を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の組み合わせ毎の電力比を、太陽電池S1〜S4の組み合わせ毎のパネル枚数比と比較して、太陽電池S1〜S4の各出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定している。
したがって、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数が互いに異なる場合であっても、太陽電池S1〜S4の各出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを、精度よく判定することが可能となる。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm51近傍に設定する。
また、本実施形態の概念を用いた他の形態として、昇圧回路21〜24それぞれの入力電流と、他の昇圧回路21〜24の入力電流とを順次、比較演算して、その電流比を導出してもよい。この場合、この電流比を、太陽電池S1〜S4の組み合わせ毎のパネル枚数比と比較して、太陽電池Sの出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定する。
さらに、昇圧回路21〜24それぞれの入力電圧と、他の昇圧回路21〜24の入力電圧とを順次、比較演算して、その電圧比を導出してもよい。この場合、この電圧比を、太陽電池S1〜S4の組み合わせ毎のパネル枚数比と比較して、太陽電池Sの出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定する。
さらに、昇圧回路21〜24の各PWM信号のオンデューティと、他の昇圧回路21〜24の各PWM信号のオンデューティとを順次、比較演算して、そのオンデューティ比を導出してもよい。この場合、このオンデューティ比を、太陽電池S1〜S4の組み合わせ毎のパネル枚数比と比較して、太陽電池Sの出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定する。
本実施形態の上述の例では、情報モニタ8が、ユーザ操作によって、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数を入力する構成とした。しかしながら、太陽電池S1〜S4の各出力電圧は、パネル枚数に依存する。そこで、制御部7は、太陽電池S1〜S4の各出力電流が0である待機時に、太陽電池S1〜S4の各開放電圧を計測し、この開放電圧の計測結果に基づいて、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数を推定することができる。例えば、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数は、太陽電池S1〜S4の各開放電圧に略比例する。制御部7は、この太陽電池S1〜S4の各パネル枚数の推定結果を記憶しておき、上記同様に太陽電池S1〜S4の各パネル枚数を考慮して、太陽電池S1〜S4の各出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定することができる。
(実施形態6)
本実施形態は、図11に示すパワーコンディショナA3の回路構成を備える。なお、実施形態1〜5と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
パワーコンディショナA3において、制御部7には、情報モニタ8、時計部9が通信可能に接続している。情報モニタ8は、タッチパネル等によって、ユーザが操作する操作手段と、ユーザに文字、図形等の情報を表示する表示手段とを構成している。時計部9は、現在時刻の情報(時刻データ)を生成する。
そして、ユーザは、情報モニタ8を操作して、太陽電池S1〜S4のそれぞれを構成するパネル枚数を入力する。そして、制御部7は、情報モニタ8から、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数のデータを受信し、記憶する。
また、ユーザは、情報モニタ8を操作して、太陽電池S1〜S4の各設置方位に関する方位情報を入力する。そして、制御部7は、情報モニタ8から、太陽電池S1〜S4の方位情報のデータを受信し、記憶する。
さらに、制御部7は時計部9から時刻データを受信する。
以下、本実施形態の動作について説明する。
まず、太陽電池S1〜S4は、それぞれを構成する太陽電池パネルの枚数(以降、パネル枚数と称す)によって出力電力特性が異なる。太陽電池S1〜S4を構成するパネル枚数が互いに異なる場合、同じ日射条件であっても、太陽電池S1〜S4から取り出せる各電力は、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数に略比例する。
さらに、パネル枚数だけでなく、太陽電池S1〜S4の各設置方位が互いに異なる場合、設置方位毎の日射量変化も考慮する必要がある。図12は、方位毎の日射量の時間変化を示す出力変化情報である。なお、曲線Y11は、東からの日射量、曲線Y12は、南からの日射量、曲線Y13は、西からの日射量の各時間変化を示す。方位毎の日射量は時間により変化し、例えば午前中は東からの日射量が最も多く、日射量が最も多い設置方向は、時間とともに東→南→西へ推移していく。本実施形態の制御部7は、図12に示すような太陽電池Sの設置方位毎の出力変化情報を予め格納している。
そして、制御部7は、太陽電池S1〜S4の各出力電力の計測値(昇圧回路21〜24の各入力電力の計測値)に、太陽電池S1〜S4の各パネル枚数、太陽電池S1〜S4の各設置方位に関する方位情報、この設置方位における出力変化情報に基づく補正を施す。
例えば、太陽電池Sのパネル枚数に起因した係数をα、設置方位に起因した係数をβとすると、太陽電池Sの出力電力の計測値をPとした場合、この太陽電池Sから取り得る最大電力Pm=P×α×βとなる。制御部7は、太陽電池Sのパネル枚数が少ないほど、係数αを増加させる。さらに、制御部7は、太陽電池Sの設置方向、出力電力計測値Pの計測時刻に基づき、出力変化情報(図12)を参照して、太陽電池Sの設置方向、時刻による出力電力の差を解消する値に、係数βを設定する。
すなわち、昇圧回路21〜24の各入力電力は、パネル枚数、方位情報、出力変化情報に基づく上述の補正が施される。
そして、本実施形態において、制御部7の出力電力特性判定処理は、昇圧回路21〜24それぞれ(第1の直流電圧変換部)の入力電力の補正値と、他の昇圧回路21〜24(第2の直流電圧変換部)の入力電力の補正値とを順次、比較演算して、その差分を導出する。そして、制御部7は、昇圧回路21〜24の各入力電力の差分に基づいて、太陽電池S1〜S4の出力電力特性が複数の極大点を有するか否かを判定している。
例えば、ある時刻において、昇圧回路21の入力電力補正値がPm1、昇圧回路22の入力電力補正値がPm2であるとする。この場合、制御部7は、入力電力補正値の差分[Pm1−Pm2]の絶対値が閾値ΔPm以上であれば、入力電力補正値(昇圧回路21の入力電力)が低い太陽電池S1の出力電力特性が、複数の極大点を有していると判断する(図4(b)参照)。
そして、制御部7は、昇圧回路21〜24に対して、上記出力電力特性判定処理を、順次行った後、制御部7は、出力電力特性に複数の極大点を有していると判断した太陽電池Sが接続された昇圧回路に対して、スキャン制御を実行する。制御部7は、スキャン制御によって、MPPT制御における太陽電池Sの動作点を最大電力点Xm21近傍に設定する。
このように、太陽電池S1〜S4に局所的な影や汚れが生じて、太陽電池S1〜S4の動作点が最大電力点から外れたとしても、スキャン制御によって、最大電力点近傍でのMPPT制御を再開することができる。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力特性に極大点が複数発生した場合でも、発電効率の低下を抑制することができる。
また、制御部7は、センサ部41〜44の検出データから太陽電池S1〜S4の各出力履歴を生成し、この出力履歴に基づいて、図12に示す出力変化情報を作成、記憶してもよい。また、この出力変化情報は、外部のデータベースに格納する構成であってもよい。
また、本実施形態の概念を用いた他の形態として、制御部7は、昇圧回路21〜24それぞれの入力電流、入力電圧、PWM信号のオンデューティのいずれかに、パネル枚数、方位情報、出力変化情報に基づく補正を施して、出力電力特性判定処理を行ってもよい。
(実施形態7)
本実施形態は、実施形態1〜6いずれかと同様の構成を備える。なお、実施形態1〜6と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
制御部7は、図13(a)〜(d)に示すように、昇圧回路21〜24に対してMPPT制御およびスキャン制御を個別に行う。
まず、制御部7は、昇圧回路21〜24を同時に制御すると、互いの制御が干渉してしまう。そこで、制御部7は、MPPTフラグFmをMPPT周期Tm1毎に発生しており(図13(a))、このMPPT周期Tm1を4分割した時間単位Tm11〜Tm14を、昇圧回路21〜24のそれぞれに割り当て、昇圧回路21〜24毎のMPPT制御を時分割で行う((図13(b))。すなわち、制御部7は、時間単位Tm11に昇圧回路21のMPPT制御を行い、時間単位Tm12に昇圧回路22のMPPT制御を行い、時間単位Tm13に昇圧回路23のMPPT制御を行い、時間単位Tm14に昇圧回路24のMPPT制御を行う。
次に、制御部7が、昇圧回路22,23に対してスキャン制御を実行する場合について説明する。この場合、制御部7は、1つのMPPT周期Tm1内では、昇圧回路22,23のうちいずれか1つに対してのみ、この昇圧回路に割り当てられた時間単位(Tm12またはTm13)において、スキャン制御を行う。
まず、制御部7は、1乃至複数のMPPT周期Tm1に亘って、昇圧回路22に対してスキャン制御を実行させるスキャン期間Ts2を設定しており(図13(c))、スキャン期間Ts2内の時間単位Tm12に、昇圧回路22のスキャン制御を行っている。スキャン期間Ts2内の他の時間単位Tm11,Tm13,Tm14では、昇圧回路21,23,24の各MPPT制御が行われている。
そして、制御部7は、昇圧回路22のスキャン制御が完了すると、スキャン完了フラグFsを発生する(図13(d))。そして、制御部7は、以降の1乃至複数のMPPT周期Tm1において、昇圧回路23に対してスキャン制御を実行させるスキャン期間Ts3を設定し、スキャン期間Ts3内の時間単位Tm13に、昇圧回路23のスキャン制御を行う。スキャン期間Ts3内の他の時間単位Tm11,Tm12,Tm14では、昇圧回路21,22,24の各MPPT制御が行われている。
このように、制御部7は、昇圧回路21〜24に対してスキャン制御を個別に行うことによって、互いのスキャン制御が干渉することがなく、スキャン制御の安定性を確保することができる。
また、パワーコンディショナA1〜A3は、太陽電池S1〜S4の出力電力を動作電源としている。しかしながら、制御部7によるスキャン制御時において、太陽電池S1〜S4の動作点を切り替えることによって、太陽電池S1〜S4の出力電力は増減する。したがって、太陽電池S1〜S4の出力電力の和が、パワーコンディショナA1〜A3の動作に必要な最小電力を下回る場合が発生し得る。そこで、制御部7は、スキャン制御の開始前(またはスキャン制御の実行中)に、スキャン制御時における太陽電池S1〜S4の出力電力の変動を推定する。そして、制御部7は、スキャン制御中の出力電力の和が、パワーコンディショナA1〜A3の動作に必要な最小電力を下回る可能性があるときは、スキャン制御の実行を禁止する。したがって、スキャン制御の実行によるパワーコンディショナA1〜A3の動作停止を防止でき、太陽電池S1〜S4の発電電力の安定供給が可能になる。