JP6048322B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状の正極板、帯状のセパレータ及び帯状の負極板を積層して捲回した電極体を備えるリチウムイオン二次電池に関する。
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車などの車両や、ノート型パソコン、ビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源に、充放電可能なリチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう)が利用されている。
このような電池に関して、例えば、特許文献1には、捲回型の電極体を有する電池の初期充電工程及びエージング工程を備える電池の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、セパレータに、互いに対向しあう正極合材層と負極合材層との間でリチウムイオンの移動を許容するイオン通過部と、このイオン通過部の外側に位置し、正極合材層から負極合材層の端面へのリチウムイオンの移動を制限するイオン制限部とを形成した蓄電デバイスが開示されている。
特開2012−84346号公報 特開2009−188037号公報
ところで、上述の特許文献1に記載の、捲回型の電極体を備える初期充電した電池を、例えば80℃以上の高温下で放置すると、正極板のうち電極体の径方向外側の最外周に位置する正極最外周部の正極合剤層の一部が、リチウムイオンを放出し過ぎて、局所的に正極電位が高い状態となる場合があることが判ってきた。この理由は、以下であると考えられる。
図1には、捲回型の電極体902を備える従来の電池901のうち、電極体902の部分拡大断面図を示す。この電極体902をなす正極板970は、自身の最外周をなす正極最外周部980を有する。また、負極板940は、セパレータ910を介して正極最外周部980に対向し、この正極最外周部980の径方向外側DR1(図1中、上方)に位置する第1負極部950を有する。また、セパレータ910は、第1負極部950に対向し、この第1負極部950の径方向外側DR1に隣り合う外側セパレータ部921を有する。
なお、第1負極部950のうち、負極箔948の径方向外側DR1に形成され、外側セパレータ部921に隣り合う負極合剤層の部位を第1外側合剤層部955とする。また、第1負極部950のうち、負極箔948の径方向内側DR2(図1中、下方)に形成された負極合剤層の部位を第1内側合剤層部952とする。このうち、第1外側合剤層部955は、正極板970と対向していない。また、この第1負極部950の軸線方向DXの一方側DX1(図1中、左方)に位置する一方側負極端縁950Pは、負極箔948、第1内側合剤層部952及び第1外側合剤層部955の三者の一方側端縁(948P,952P,955P)から構成されている(図1参照)。
この電池901を充電すると、正極最外周部980の正極合剤層971からリチウムイオンが放出され、セパレータ910を介して第1負極部950の第1内側合剤層部952に挿入される。すると、この第1内側合剤層部952に挿入されたリチウムイオンの一部は、拡散によって、軸線方向DXの両端側の部位にまでそれぞれ拡がる(図2参照)。
ところで、第1負極部950においては、一方側負極端縁950P付近の電解液903を通じて、第1内側合剤層部952のリチウムイオンの一部が、セパレータ910のうち第1外側合剤層部955の径方向外側DR1に隣り合う外側セパレータ部921に拡散移動する(図2参照)。
さらに、外側セパレータ部921に拡散移動したリチウムイオンは、この外側セパレータ部921の内部を通じて、第1外側合剤層部955に拡散する(図2参照)。
かくして、第1内側合剤層部952に挿入されたリチウムイオンの一部が、第1内側合剤層部952の一方側端縁952P、及び、外側セパレータ部921を通じて、第1外側合剤層部955に拡散移動する。このため、第1内側合剤層部952における、正極合剤層971と対向する対向部953のうち、軸線方向DXの一方側DX1の端部付近の部位953Hでは、さらに多くのリチウムイオンが第1外側合剤層部955に向けて移動することとなる。従って、この部位953Hに挿入されたリチウムイオンの濃度が低くなり、局所的に負極電位が高くなる(図3参照)。すると、正極合剤層971の一方側DX1の端部(正極合剤層971のうち、上述の部位953Hに対向する部位)971Hからは、セパレータ910を介してさらにリチウムイオンが放出される。
このようにして、電池901を充電すると、正極最外周部980のうち、正極合剤層971の一方側DX1の端部971Hで、正極活物質粒子がリチウムイオンを過剰に放出した状態となり、正極端部971Hの電位が高くなる(図3参照)。
なお、リチウムイオンを過剰に放出した正極活物質粒子では、この正極活物質粒子を構成している遷移金属がイオンとなって電解液中に溶出しやすい。溶出した金属イオンは、高温エージングなど電池が高温(80℃以上)に保持された場合に、第1負極部950の第1内側合剤層部952(このうちの前述した部位953H)上で、還元されて金属となって析出する。そして、この析出した金属がセパレータ910の微細な孔を通じて正極合剤層に達した場合に正負極間で微小短絡が生じる虞がある。
本発明は、かかる知見に鑑みてなされたものであって、初期充電後に、高温下での負極合剤層上への金属の析出による正負極間の短絡の発生を抑制したリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、帯状の正極板、帯状のセパレータ、及び、帯状の負極板を積層して捲回してなる電極体と、リチウムイオンを含む電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、上記正極板は、自身の最外周をなす正極最外周部を有し、上記負極板は、上記セパレータを介して、上記正極最外周部に対向し、上記正極最外周部の径方向外側に位置する第1負極部を有し、上記セパレータは、上記第1負極部に対向し、上記第1負極部の径方向外側に隣り合う外側セパレータ部を有し、上記負極板は、負極箔とこの負極箔の両側にそれぞれ形成された2つの負極合剤層とを有し、上記第1負極部のうち、上記負極箔の径方向外側に形成され、上記外側セパレータ部に隣り合う上記負極合剤層の部位を第1外側合剤層部としたとき、上記リチウムイオンが、上記外側セパレータ部から、上記第1外側合剤層部に移動するのを防止する第1防止部を、上記負極板の上記第1外側合剤層部の前記径方向外側を向く外側表面全体に備えるリチウムイオン二次電池である。
上述の電池は、リチウムイオンがセパレータの外側セパレータ部から、第1外側合剤層部に移動するのを防止する第1防止部を備える。このため、電池を初期充電した場合でも、この第1防止部により、第1内側合剤層部に挿入したリチウムイオンが外側セパレータ部を通じて第1外側合剤層部に拡散移動するのを抑えることができる。これにより、正極最外周部の正極合剤層からリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後の高温エージングなど、初期充電後に高温下で第1負極部の第1内側合剤層部上に金属が析出して正負極間に短絡が発生するのを抑制できる。
そのほか上述とは別の態様のリチウムイオン二次電池であって、前記負極板は、前記電極体の捲回軸に沿う軸線方向の一方側に位置し長手方向に延びる一方側負極端縁が、前記負極箔及び前記2つの負極合剤層の三者の一方側端縁から構成されてなり、前記第1外側合剤層部は、上記一方側端縁に沿う一方側第1外側端部を有し、前記第1防止部は、前記外側セパレータ部のうち、上記一方側第1外側端部に径方向外側から当接する第1端部当接部から、上記一方側第1外側端部に、前記リチウムイオンが移動するのを防止する一方側第1防止部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
前述したように、負極板が一方側負極端縁を有している電池では、初期充電のとき、リチウムイオンが第1内側合剤層部の一方側端縁から、外側セパレータ部を通じて、第1外側合剤層部に移動しやすい。
これに対し、上述の電池の第1防止部は、外側セパレータ部の第1端部当接部から、一方側第1外側端部にリチウムイオンが移動するのを防止する一方側第1防止部を有する。このため、電池について初期充電を行った場合でも、第1内側合剤層部から放出されたリチウムイオンが、外側セパレータ部を通じて、第1外側合剤層部に移動するのを確実に防止することができる。
なお、一方側第1防止部としては、外側セパレータ部のうち、第1端部当接部よりも軸線方向一方側に位置する外側端縁部を、電解液を透過不能とした部位(後述する一方側第1透過不能部)とする形態が挙げられる。この場合、リチウムイオンがこの外側端縁部を透過するのを防ぐことで、この外側端縁部から第1端部当接部、さらには一方側第1外側端部にリチウムイオンが移動するのを防止する。また、第1外側合剤層部のうち一方側端縁に沿う一方側第1外側端部に径方向外側から当接する、外側セパレータ部の第1端部当接部を、電解液を透過不能とした部位(後述する当接第1透過不能部)とする形態が挙げられる。また、上述した一方側第1外側端部自身を、外側表面を通しての電解液の滲入を防止した部位(後述する第1滲入防止部)とする形態も挙げられる。
さらに、上述の別態様のリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第1防止部は、前記外側セパレータ部のうち、前記第1端部当接部よりも前記一方側に位置する外側端縁部について、前記電解液を透過不能とした一方側第1透過不能部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、外側セパレータ部のうち外側端縁部を、電解液を透過不能とした一方側第1透過不能部としている。このため、外側端縁部内の電解液を通じて、負極板の第1内側合剤層部から第1外側合剤層部にリチウムイオンが拡散移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部の正極合剤層からリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第1内側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、一方側第1透過不能部としては、多孔質の外側セパレータ部の外側端縁部について、熱収縮させて孔を塞いだ部位、樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて孔を塞いだ部位、外側端縁部のうち径方向内側を向く内側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位などが挙げられる。また、外側端縁部の内側表面に、電解液をなす溶媒(有機溶剤)をはじく性質を有する撥液剤(撥油剤,撥水剤)を塗布し浸透させた部位も挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第1防止部は、前記外側セパレータ部の前記第1端部当接部について、前記電解液を透過不能とした当接第1透過不能部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、外側セパレータ部のうち第1端部当接部を、電解液を透過不能とした当接第1透過不能部としている。これにより、リチウムイオンが、第1端部当接部内の電解液を通じて、内側負極合剤層の第1内側合剤層部から外側負極合剤層の第1外側合剤層部に、リチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部の正極合剤層からリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第1内側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、当接第1透過不能部としては、多孔質の外側セパレータ部の第1端部当接部について、熱収縮させて孔を塞いだ部位、樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて孔を塞いだ部位、第1端部当接部のうち径方向内側を向く内側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位などが挙げられる。また、第1端部当接部の内側表面に、電解液をなす溶媒をはじく性質を有する撥液剤(撥油剤,撥水剤)を塗布し浸透させた部位も挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第1防止部は、前記一方側第1外側端部について、前記径方向外側を向く外側表面を通しての前記電解液の滲入を防止した第1滲入防止部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、一方側第1外側端部自身を、外側表面を通しての電解液の滲入を防止した第1滲入防止部としている。これにより、外側セパレータ部を通じて、第1内側合剤層部から第1外側合剤層部にリチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部の正極合剤層からリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第1内側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、第1滲入防止部としては、一方側第1外側端部について、例えば外側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位、多孔質の一方側第1外側端部の外側表面に、電解液をなす溶媒をはじく性質を有する撥液剤(撥油剤,撥水剤)を塗布し浸透させた部位、多孔質の一方側第1外側端部の孔内を樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて塞いだ部位が挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記当接第1透過不能部または前記第1滲入防止部は、前記軸線方向に3.0cm以上の幅寸法を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
第1内側合剤層部の一方側端縁から外側セパレータ部を通って第1外側合剤層部の一方側第1外側端部に届くリチウムイオンの多くは、第1外側合剤層部の一方側端縁から軸線方向の他方側に幅3.0cmの範囲内に届くことが判ってきた。
この知見に基づいて、上述の電池では、当接第1透過不能部または第1滲入防止部を、軸線方向に3.0cm以上の幅寸法としている。これにより、第1内側合剤層部から移動してくるリチウムイオンの多くについて、第1端部当接部の透過を防ぐことができ、あるいは、外側セパレータ部を透過し一方側第1外側端部に滲入するのを防ぐことができる。
あるいは、第1に記載のリチウムイオン二次電池であって、前記正極板は、自身の最内周をなす正極最内周部を有し、前記負極板は、前記セパレータを介して、上記正極最内周部に対向し、上記正極最内周部の径方向内側に位置する第2負極部を有し、上記セパレータは、上記第2負極部に対向し、上記第2負極部の径方向内側に隣り合う内側セパレータ部を有し、上記第2負極部のうち、前記負極箔の径方向内側に形成され、上記内側セパレータ部に隣り合う前記負極合剤層の部位を第2内側合剤層部としたとき、上記リチウムイオンが、上記内側セパレータ部から、上記第2内側合剤層部に移動するのを防止する第2防止部を、上記負極板の上記第2内側合剤層部の前記径方向内側を向く内側表面全体に備えるリチウムイオン二次電池とすると良い。
捲回型の電極体を備える初期充電した電池を高温下で放置すると、前述した正極最外周部と同様に、正極板のうち電極体の径方向の最内周に位置する正極最内周部の正極合剤層の一部でも、正極活物質粒子がリチウムイオンを過剰に放出した状態となり、正負極間で微小短絡が生じてしまう虞がある。
これに対し、上述の電池は、リチウムイオンがセパレータの内側セパレータ部から、第2内側合剤層部に移動するのを防止する第2防止部を備える。このため、電池を初期充電した場合でも、この第2防止部により、第2外側合剤層部に挿入したリチウムイオンが内側セパレータ部を通じて第2内側合剤層部に拡散移動するのを抑えることができる。これにより、正極最外周部に加え、正極最内周部の正極合剤層からもリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下で第2負極部の第2外側合剤層部上に金属が析出して正負極間に短絡が発生するのを抑制できる。
上述とはさらに別の態様のリチウムイオン二次電池であって、前記負極板は、前記電極体の捲回軸に沿う軸線方向の一方側に位置し長手方向に延びる一方側負極端縁が、前記負極箔及び前記2つの負極合剤層の三者の一方側端縁から構成されてなり、前記第2内側合剤層部は、上記一方側端縁に沿う一方側第2内側端部を有し、前記第2防止部は、前記内側セパレータ部のうち、上記一方側第2内側端部に径方向内側から当接する第2端部当接部から、上記一方側第2内側端部に、前記リチウムイオンが移動するのを防止する一方側第2防止部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池の第2防止部は、内側セパレータ部の第2端部当接部から、一方側内側端部にリチウムイオンが移動するのを防止する一方側第2防止部を有する。このため、電池について初期充電を行った場合でも、第2外側合剤層部から放出されたリチウムイオンが、内側セパレータ部を通じて、第2内側合剤層部に移動するのを確実に防止することができる。
なお、一方側第2防止部としては、内側セパレータ部のうち、第2端部当接部よりも軸線方向一方側に位置する内側端縁部を、電解液を透過不能とした部位(後述する一方側第2透過不能部)とする形態が挙げられる。この場合、リチウムイオンがこの内側端縁部を透過するのを防ぐことで、この内側端縁部から第2端部当接部、さらには一方側内側端部にリチウムイオンが移動するのを防止する。また、第2内側合剤層部の一方側端縁に沿う一方側第2内側端部に径方向内側から当接する、内側セパレータ部の第2端部当接部を、電解液を透過不能とした部位(後述する当接第2透過不能部)とする形態が挙げられる。また、上述した一方側第2内側端部自身を、内側表面を通しての電解液の滲入を防止した部位(後述する第2滲入防止部)とする形態も挙げられる。
さらに、上述の別態様のリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第2防止部は、前記内側セパレータ部のうち、前記第2端部当接部よりも前記一方側に位置する内側端縁部について、前記電解液を透過不能とした一方側第2透過不能部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、内側セパレータ部の内側端縁部を、電解液を透過不能とした一方側第2透過不能部としている。このため、内側端縁部を通じて、第2外側合剤層部から第2内側合剤層部にリチウムイオンが拡散移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部に加え、正極最内周部の正極合剤層からもリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第2外側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、一方側第2透過不能部としては、多孔質の内側端縁部について、熱収縮させて孔を塞いだ部位、樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて孔を塞いだ部位、内側端縁部のうち径方向外側を向く外側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位などが挙げられる。また、内側端縁部の外側表面に、電解液をなす溶媒(有機溶剤)をはじく性質を有する撥液剤を塗布し浸透させた部位も挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第2防止部は、前記内側セパレータ部の前記第2端部当接部について、前記電解液を透過不能とした当接第2透過不能部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、内側セパレータ部のうち第2端部当接部を、電解液を透過不能とした当接第2透過不能部としている。これにより、リチウムイオンが、第2端部当接部内の電解液を通じて、第2外側合剤層部から第2内側合剤層部に、リチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部に加え、正極最内周部の正極合剤層からもリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第2外側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、当接第2透過不能部としては、多孔質の第2端部当接部について、熱収縮させて孔を塞いだ部位、樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて孔を塞いだ部位、第2端部当接部のうち径方向外側を向く外側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位などが挙げられる。また、第2端部当接部の外側表面に、電解液をなす溶媒をはじく性質を有する撥液剤を塗布し浸透させた部位も挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記一方側第2防止部は、前記一方側第2内側端部について、前記径方向内側を向く内側表面を通しての前記電解液の滲入を防止した第2滲入防止部を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
上述の電池では、一方側第2内側端部自身を、内側表面を通しての電解液の滲入を防止した第2滲入防止部としている。これにより、内側セパレータ部を通じて、第2外側合剤層部から第2内側合剤層部にリチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。従って、正極最外周部に加え、正極最内周部の正極合剤層からもリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下での第2外側合剤層部上への金属の析出による短絡の発生を確実に抑制できる。
なお、第2滲入防止部としては、一方側第2内側端部について、例えば内側表面上に電解液が透過不能のテープを貼付した部位、多孔質の一方側第2内側端部の内側表面に、電解液をなす溶媒をはじく性質を有する撥液剤を塗布し浸透させた部位、多孔質の一方側第2内側端部の孔内を樹脂ペースト又はゴムラテックス等を含浸させて塞いだ部位が挙げられる。
さらに、上述の別態様のいずれかのリチウムイオン二次電池であって、前記当接第2透過不能部または前記第2滲入防止部は、前記軸線方向に3.0cm以上の幅寸法を有するリチウムイオン二次電池とすると良い。
第2外側合剤層部の一方側端縁から内側セパレータ部を通って第2内側合剤層部の一方側第2内側端部に届くリチウムイオンの多くは、第2内側合剤層部の一方側端縁から軸線方向の他方側に幅3.0cmの範囲内に届くことが判ってきた。
この知見に基づいて、上述の電池では、当接第2透過不能部または第2滲入防止部を、軸線方向に3.0cm以上の幅寸法としている。これにより、第2外側合剤層部から移動してくるリチウムイオンの多くについて、第2端部当接部の透過を防ぐことができ、あるいは、内側セパレータ部を透過し一方側第2内側端部に滲入するのを防ぐことができる。
従来の電池にかかり、捲回型の電極体における、充電時の正極板から負極板へのリチウムイオンの移動を示す説明図である。 従来の電池にかかり、充電時の負極合剤層(第1内側合剤層部)内、及び、この第1内側合剤層部からセパレータ(外側セパレータ部)を通じて負極合剤層(第1外側合剤層部)へのリチウムイオンの拡散移動を示す説明図である。 従来の電池にかかり、負極合剤層における、電位の分布を示す説明図である。 実施形態及び参考形態にかかる電池の斜視図である。 実施形態及び参考形態にかかる電池に用いる正極板の斜視図である。 実施形態及び参考形態にかかる電池に用いる負極板の斜視図である。 実施形態及び参考形態にかかる電池の断面図(図4のC−C矢視断面図)である。 参考形態にかかる電池(参考例1,2,5,6)における電極体のうち、径方向の外側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 参考形態にかかる電池(参考例1,2)における電極体のうち、径方向の内側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 参考形態にかかる電池(参考例3,)における電極体のうち、径方向の外側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 参考形態にかかる電池(参考例3)における電極体のうち、径方向の内側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 参考形態にかかる電池(参考例4,)における電極体のうち、径方向の外側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 参考形態にかかる電池(参考例4)における電極体のうち、径方向の内側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 実施形態にかかる電池(実施例1,3)における電極体のうち、径方向の外側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 実施形態にかかる電池(実施例)における電極体のうち、径方向の内側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 実施形態にかかる電池(実施例2,4)における電極体のうち、径方向の外側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。 実施形態にかかる電池(実施例)における電極体のうち、径方向の内側部分の部分拡大断面図(図7のD−D断面)である。
参考例1)
次に、本発明の実施形態及び参考形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本参考形態にかかる参考例1の電池1について、図4〜9を参照して説明する。
この電池1は、いずれも長手方向DAに延びる帯状の正極板70と負極板40とを帯状のセパレータ10を介して捲回した捲回型の電極体2と、リチウムイオンを含む電解液3とを備えるリチウムイオン二次電池である(図4参照)。この電池1は、さらにこれら電極体2,電解液3のほか、電極体2及び電解液3を内部に収容する電池ケース4と、正極集電部材7と負極集電部材8とを備える(図4参照)。このうち、アルミニウム製でクランク状に屈曲した板状の正極集電部材7は、電極体2をなす正極板70の正極リード部79(後述)と接合している。また、銅製でクランク状に屈曲した板状の負極集電部材8は、電極体2をなす負極板40の負極リード部49(後述)と接合している。
電池ケース4は、有底矩形箱形の電池ケース本体5と封口蓋6とを有する。このうち封口蓋6は矩形板状であり、電池ケース本体5の開口を閉塞して、この電池ケース本体5に溶接されている。この封口蓋6には、正極集電部材7及び負極集電部材8のうち、それぞれ先端に位置する正極端子部7A及び負極端子部8Aが貫通しており、図4中、上方に向く蓋表面6Fから突出している。これら正極端子部7A及び負極端子部8Aと封口蓋6との間には、それぞれ絶縁性の樹脂からなる絶縁部材SRが介在し、互いを絶縁している。
また、電解液3は、エチレンカーボネート(EC)等の混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加し、リチウムイオンを1mol/lの濃度とした非水電解液である。
電極体2は、正極板70及び負極板40が、セパレータ10を介して、捲回軸AXの周りを扁平形状に捲回された形態である(図4,7参照)。
このうち、セパレータ10は、ポリプロピレン(PP)製の2枚の多孔質状樹脂フィルムの間にポリエチレン(PE)製の1枚の多孔質状樹脂フィルムを重ね合わせた3層構造である。
また、正極板70は、図5の斜視図に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、アルミニウム製の正極箔78と、この正極箔78の両主面78F、78F上にそれぞれ形成された2つの正極合剤層71,71とを有している。なお、正極板70を捲回した電極体2において、正極板70の幅方向は、電極体2の捲回軸AXに沿う軸線方向DXと一致する。そこで、以下では、正極板70について、その幅方向に代えて軸線方向DXを用いて説明する。
この正極板70は、正極箔78の軸線方向DXの他方側DX2(図5中、左上側)に位置し、この正極箔78の両主面78F,78Fが露出した正極リード部79を有している(図5参照)。
また、正極板70の正極合剤層71は、正極箔78(両主面78F,78F)上の軸線方向DXの一方側DX1(図5中、右下側)に配置されている。この正極合剤層71は、Li(Ni,Co,Mn)O2からなる正極活物質粒子(図示しない)と、アセチレンブラックからなる導電材(図示しない)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる結着材(図示しない)とを含む多孔質体である。
一方、負極板40は、長手方向DAに延びる帯状で、銅製の負極箔48と、この負極箔48の両主面48F、48F上にそれぞれ形成された2つの負極合剤層41,41とを有している。なお、負極板40を捲回した電極体2において、負極板40の幅方向もまた、前述した正極板70と同様、電極体2の軸線方向DXと一致する。そこで、以下では、負極板40についても、その幅方向に代えて軸線方向DXを用いて説明する。
この負極板40は、負極箔48の軸線方向DXの一方側DX1に位置し、この負極箔48の両主面48F,48Fが露出した負極リード部49を有している(図6参照)。
また、負極板40の負極合剤層41は、負極箔48(両主面48F,48F)上の軸線方向DXの他方側DX2に配置されている。この負極合剤層41は、黒鉛からなる負極活物質粒子(図示しない)、及び、スチレンブタジエンゴム(SBR)からなる結着材(図示しない)を含む多孔質体である。
この負極板40は、図6に示すように、軸線方向DX(負極板40の幅方向)の一方側DX1に位置し、長手方向DAに延びる一方側負極端縁40Pを有する。この一方側負極端縁40Pは、負極箔48及び2つの負極合剤層41,41(後述する内側負極合剤層42,外側負極合剤層45)の各一方側端縁(負極箔48の一方側端縁48P,内側負極合剤層42の一方側端縁42P,外側負極合剤層45の一方側端縁45P(図8参照))で構成された切断端である。
参考例1にかかる電極体2のうち、径方向外側DR1の部位を拡大した部分拡大断面図を図8に、径方向内側DR2の部位を拡大した部分拡大断面図を図9にそれぞれ示す。
この電極体2において、正極板70よりも負極板40の方が長手方向DAに長く、セパレータ10はさらに長くされている。また、正極板70の正極合剤層71よりも負極板40の負極合剤層41の方が幅広で、セパレータ10はさらに幅広である。そして、負極板40は、その負極合剤層41が正極板70の正極合剤層71に対してセパレータ10を介して必ず対向するように配置され、かつ、セパレータ10は負極板40の負極合剤層41を必ず覆うように配置されている。
このため、正極板70、負極板40及びセパレータ10は、以下に示す形態をなしている。即ち、正極板70は、径方向DRの外側DR1(図8中、上方)に位置し自身の最外周をなす正極最外周部80と、径方向DRの内側DR2(図9中、下方)に位置し自身の最内周をなす正極最内周部90とを有している(図8,9参照)。
また、負極板40は、セパレータ10を介して、上述の正極最外周部80に対向し、この正極最外周部80の径方向外側DR1に位置する第1負極部50、及び、正極最内周部90に対向し、この正極最内周部90の径方向内側DR2に位置する第2負極部60を有している(図8,9参照)。
なお、電極体2において、この負極板40をなす前述した2つの負極合剤層41,41のうち、負極箔48の径方向内側DR2に形成されたものを内側負極合剤層42、逆に負極箔48の径方向外側DR1に形成されたものを外側負極合剤層45とする。すると、このうちの内側負極合剤層42は、第1負極部50内に位置する第1内側合剤層部52と、第2負極部60内に位置する第2内側合剤層部62とを含む。一方、外側負極合剤層45は、第1負極部50内に位置する第1外側合剤層部55と、第2負極部60内に位置する第2外側合剤層部65とを含む。
なお、図8に示すように、第1負極部50では、第1内側合剤層部52がセパレータ10を介して正極板70の正極最外周部80の正極合剤層71に対向している。一方、負極箔48を介して第1内側合剤層部52の径方向外側DR1に隣り合う第1外側合剤層部55は、正極板70に対向していない。
また、図9に示すように、第2負極部60では、第2外側合剤層部65がセパレータ10を介して正極板70の正極最内周部90の正極合剤層71に対向している。その一方、負極箔48を介して第2外側合剤層部65の径方向内側DR2に隣り合う第2内側合剤層部62は、正極板70に対向していない。
参考例1では、負極板40の2つの負極合剤層41(内側負極合剤層42,外側負極合剤層45)は、前述したように、軸線方向DX及び長手方向DAの各寸法が正極板70の正極合剤層71に比してそれぞれ大きくされている。このため、電極体2における第1負極部50のうち第1内側合剤層部52は、セパレータ10を介して正極合剤層71に対向する対向部53と、この対向部53の軸線方向一方側DX1に隣接し、正極合剤層71に対向しない一方側非対向部54Mと、逆に軸線方向他方側DX2に隣接し、正極合剤層71に対向しない他方側非対向部54Nとを含む(図8参照)。
また、第2負極部60のうち第2外側合剤層部65は、セパレータ10を介して正極合剤層71に対向する対向部66と、この対向部66の軸線方向一方側DX1に隣接し、正極合剤層71に対向しない一方側非対向部67Mと、軸線方向他方側DX2に隣接し、正極合剤層71に対向しない他方側非対向部67Nとを含む(図9参照)。
さらに、セパレータ10は、前述したように長手方向DAの各寸法が負極板40の負極合剤層41に比して大きくされている。このため、第1負極部50の第1外側合剤層部55よりも径方向外側DR1に位置する第1セパレータ部20と、第2負極部60の第2内側合剤層部62よりも径方向内側DR2に位置する第2セパレータ部30とを有している(図8,9参照)。このうち、第1セパレータ部20は、第1負極部50に対向し、この第1負極部50の径方向外側DR1に隣り合う外側セパレータ部21と、この外側セパレータ部21よりも径方向外側DR1に位置し、第1外側合剤層部55とは離間している外側離間セパレータ部26とを含む。また、第2セパレータ部30は、第2負極部60に対向し、この第2負極部60の径方向内側DR2に隣り合う内側セパレータ部31と、この内側セパレータ部31よりも径方向内側DR2に位置し、第2内側合剤層部62とは離間している内側離間セパレータ部36とを含む。
なお、本参考例1の電池1では、外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31についてそれぞれ電解液3を透過不能の形態としてある。具体的には、外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31について、180〜200℃に熱したステンレス鋼製の熱板で5秒間圧接して、これら外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31をなす3枚重ねの多孔質状樹脂フィルム(2枚のPP製の樹脂フィルムと1枚のPE製の樹脂フィルム)のいずれをも熱収縮させて、孔を塞いだ。
これによって、電解液3は外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31を透過できないため、外側セパレータ部21自身及び内側セパレータ部31自身にリチウムイオンを保持できない。従って、外側セパレータ部21から第1外側合剤層部55、及び、内側セパレータ部31から第2内側合剤層部62にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
ところで、本発明者らは、製造直後の電池1について、以下に示す高温保存試験を行い、さらに満充電状態で25℃下で100日間静置したときの電池容量の低下率を調べた。なお、高温保存試験を行うと、正極活物質粒子から遷移金属の溶出が起こり、負極合剤層上で還元されて金属が析出する。析出した金属は、セパレータによって正極合剤層への到達を防止されているため、正負極間に大電流が流れるような短絡は生じ難い。しかしながら、析出した金属が、セパレータの微細な孔を通じて正極合剤層に達して微小短絡が生じてしまう場合がある。微小短絡が生じた電池では、時間と共に電池内部で自己放電が進み、電池の容量が低下してしまう。このため、例えば、組電池をなす複数の電池に微小短絡が生じている電池が混入していると、時間が経過するにつれて、組電池全体の容量が低下してしまう。また、時間と共に他の電池との容量差が大きくなるため、組電池において電池の各容量がばらついてしまい、組電池の充放電を制御するのが困難となってしまう場合がある。
まず、製造直後の電池1の放電容量を測定した。具体的には、25℃下で、端子間電圧が4.1Vになるまで20A(0.8C)で定電流充電を行った。続けて、端子間電圧を4.1Vに維持して充電を行い(定電圧充電)、定電流充電の開始後2時間で充電を停止した。かくして、満充電状態の電池1が出来上がる。
この満充電状態の電池1について、25℃下で、端子間電圧が3.0Vになるまで25A(1.0C)で定電流放電を行った。そして、この定電流放電にかかった時間から電池1の放電容量を算出した。このときの放電容量を試験前放電容量C1とする。
次いで、電池1について高温保存試験を行った。具体的には、25℃下で、端子間電圧が4.3Vになるまで20A(0.8C)で定電流充電を行った。続けて、端子間電圧を4.3Vに維持して充電を行い(定電圧充電)、定電流充電の開始後3時間で充電を停止した。この状態の電池1について、80℃下で3日間静置した後、上述の手法と同様にして、電池1の放電容量を測定した。このときの放電容量を試験後放電容量C2とする。
次に、上述の放電容量の測定の場合に行う手法と同様にして、再度満充電状態とした電池1を、25℃下で100日間静置した。
さらに100日間静置後の電池1に保持される蓄電量を測定した。具体的には、この電池1について、25℃下で、端子間電圧が3.0Vになるまで25A(1.0C)で定電流放電を行った。このときの放電容量を静置後蓄電量C3とする。
そして、試験前放電容量C1、試験後放電容量C2及び静置後蓄電量C3から、100日間静置による電池容量の低下率ΔC(%)を算出した。具体的には、この低下率ΔCは、試験後放電容量C2から静置後蓄電量C3を引いた差を試験前放電容量C1で除した値の百分率である(ΔC=(C2−C3)/C1×100)。
算出したこの電池1の低下率ΔCを表1に記す。
Figure 0006048322
参考例2〜8、実施例1〜4,比較例1〜7)
また、上述した参考例1の電池1とは異なる参考例2〜8、実施例1〜4の各電池、及び、比較例1〜7の各電池をそれぞれ用意した。
このうち参考例2の電池101(図8,9参照)は、180℃よりも低温(具体的には130℃)に熱した熱板を用いて、外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31をなす3枚重ねの樹脂フィルム(PP/PE/PP)のうち、中央のPE製の樹脂フィルムのみ、その孔を塞いである点で、参考例1の電池1とは異なる。この参考例2の電池101では、セパレータ10(外側セパレータ部21,内側セパレータ部31)をなすPE製の樹脂フィルムの孔が樹脂の熱収縮で塞がれているため、電解液3は外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31自身を透過できない。従って、外側セパレータ部21から第1外側合剤層部55、及び、内側セパレータ部31から第2内側合剤層部62にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
参考例3の電池201は、図10,11に示すようにセパレータ210の外側セパレータ部221及び内側セパレータ部231に、電解液3が透過不能のテープTPを貼付してある点で、参考例1の電池1とは異なる。この電池201は、図10に示すように、第1セパレータ部220の外側セパレータ部221のうち径方向内側DR2を向く内側表面221F上に、また、図11に示すように、内側セパレータ部231のうち径方向外側DR1を向く外側表面231F上に、テープTPをそれぞれ貼付してある。このため、電解液3が、テープTPを透過して外側セパレータ部221及び内側セパレータ部231から、第1外側合剤層部55及び第2内側合剤層部62に移動できない。かくして、外側セパレータ部21から第1外側合剤層部55、及び、内側セパレータ部31から第2内側合剤層部62にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
参考例4の電池301は、図12,13に示すように、セパレータ310の外側セパレータ部321及び内側セパレータ部331について、電解液3をなす有機溶媒をはじく性質を有する撥液剤Kを塗布し浸透させてある点で、参考例1の電池1とは異なる。この電池301は、図12に示すように、第1セパレータ部320の外側セパレータ部321のうち径方向内側DR2を向く内側表面321Fに、また、図13に示すように、第2セパレータ部330の内側セパレータ部331のうち径方向外側DR1を向く外側表面331Fに、PTFEディスパージョン(PTFEの微粒子を水に分散させた液体)からなる撥液剤Kをそれぞれ塗布、浸透させた上で乾燥してある。このため、電解液3は外側セパレータ部321及び内側セパレータ部331を透過できないので、外側セパレータ部321から第1外側合剤層部55、及び、内側セパレータ部331から第2内側合剤層部62にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
実施例の電池401は、図14,15に示すように、第1負極部450の第1外側合剤層部455について、径方向外側DR1を向く外側表面455Fを通して電解液3が滲入するのを防止した形態としてある点、及び、第2負極部460の第2内側合剤層部462についても、径方向内側DR2を向く内側表面462Fを通して電解液3が滲入するのを防止した形態としてある点で、参考例1の電池1とは異なる。この電池401では、具体的には、図14に示すように、第1外側合剤層部455の外側表面455F上に、また、図15に示すように、第2内側合剤層部462の内側表面462F上に、それぞれ前述のテープTPを貼付してある。このため、電解液3は、このテープTPを透過して外側セパレータ部421及び内側セパレータ部431から第1外側合剤層部455及び第2内側合剤層部462に移動できない。従って、外側セパレータ部421から第1外側合剤層部455、及び、内側セパレータ部431から第2内側合剤層部462にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
なお、この電池401は、第1セパレータ部420の外側セパレータ部421、及び、第2セパレータ部430の内側セパレータ部431も、それぞれ電解液3が透過可能な形態のセパレータ410を備える(図14,15参照)。
図16,17に示す実施例の電池501もまた、実施例の電池401と同様、第1外側合剤層部555及び第2内側合剤層部562について電解液3が滲入するのを防止した形態としてある点で、参考例1の電池1とは異なる。但し、図16,17に示すように、テープTPの貼付に代えて、第1外側合剤層部555の外側表面555F、及び、第2内側合剤層部562の内側表面562Fに、それぞれ前述の撥液剤Kを塗布、浸透させた上で、乾燥してある点で、実施例の電池401とは異なる。第1外側合剤層部555及び第2内側合剤層部562は電解液3を滲入できないので、外側セパレータ部421から第1外側合剤層部555、及び、内側セパレータ部431から第2内側合剤層部562にリチウムイオンが移動するのを防止できる。
さらに、前述の参考例1の電池1では、180℃の熱板を用いた熱処理により、外側セパレータ部21及び内側セパレータ部31の両方について電解液3を透過不能とした。これに対し、図8に示す参考の電池1Xは、電極体の径方向外側DR1に位置する外側セパレータ部21についてのみ、電解液3を透過不能としてある点で異なる。また、図8に示す参考の電池101Xは、内側セパレータ部31については処理を行わず、外側セパレータ部21についてのみ、130℃の熱板を用いた前述の熱処理により電解液3を透過不能とした点で、前述の参考例2の電池101と異なる。図10に示す参考の電池201Xは、外側セパレータ部221についてのみ、内側表面221F上にテープTPを貼付して電解液3を透過不能としてある点で、参考例3の電池201と異なる。図12に示す参考の電池301Xは、外側セパレータ部321についてのみ、内側表面321Fに撥液剤Kを塗布し浸透させて電解液3を透過不能としてある点で、参考例4の電池301と異なる。
また、図14に示す実施例の電池401Xは、第1外側合剤層部455についてのみ、テープTPの貼付により電解液3の滲入を防止してある点で、実施例の電池401とは異なる。図16に示す実施例の電池501Xは、第1外側合剤層部555についてのみ、撥液剤Kの塗布により電解液3の滲入を防止してなる点で、実施例の電池501とは異なる。
一方、比較例1の電池は、外側セパレータ部及び内側セパレータ部に電解液3を透過不能とした部位を有していない。即ち、これら外側セパレータ部及び内側セパレータ部は、これら以外のセパレータの部位と同様、電解液3を透過することができる電池である。さらに、この比較例1の電池は、第1外側合剤層部及び第2内側合剤層部を、電解液3の滲入を防いだ部位としていない。即ち、これら第1外側合剤層部及び第2内側合剤層部は、これら以外の負極合剤層の部位と同様、自身に電解液3が滲入することができる電池である。
また、比較例2〜5の各電池は、外側セパレータ部及び内側セパレータ部のうち、電極体の径方向内側DR2に位置する内側セパレータ部についてのみ、熱処理、テープTPの貼付または撥液剤Kの塗布により電解液3を透過不能としてある。
また、比較例6,7の各電池は、第1外側合剤層部及び第2内側合剤層部のうち、電極体の径方向内側DR2に位置する第2内側合剤層部についてのみ、テープTPの貼付または撥液剤Kの塗布により電解液3の滲入を防止してある。
これら参考例2〜8、実施例1〜4及び比較例1〜7の各電池についても、参考例1の電池1と同様にして、高温保存試験を行い、さらに100日間静置したときの電池容量の低下率ΔCをそれぞれ調べた。各電池の低下率ΔCについても表1に記す。
表1によれば、比較例1〜7の各電池の低下率ΔCが基準値(具体的には、3.7%)を上回る(3.8〜6.4%)のに対し、参考例1〜8、実施例1〜4の各電池(電池1,101,201,301,401,501,1X,101X,201X,301X,401X,501X)の低下率ΔCは基準値以下であることが判る。このことから、外側セパレータ部21(221,321)について電解液3を透過不能としてある参考例1〜8の各電池(電池1,101,201,301,1X,101X,201X,301X)では、初期充電後の高温エージングにおいて、自己放電を抑制することができることが判る。外側セパレータ部21(221,321)によって、負極合剤層41上への金属の析出を抑えることができ、これによる短絡の発生を抑制できたからであると考えられる。
加えて、第1外側合剤層部455(555)について電解液3の滲入を防いだ実施例1〜4の各電池(電池401,501,401X,501X)でも、初期充電後の高温エージングにおいて、自己放電を抑制することができることが判る。外側セパレータ部21(221,321)と同様、内側セパレータ部31(231,331)によって、負極合剤層41上への金属の析出を抑えることができ、これによる短絡の発生を抑制できたからであると考えられる。
なお、電池1(101,201,301,401,501,1X,101X,201X,301X,401X,501X)を初期充電すると、第1負極部50において、第1内側合剤層部52に挿入されたリチウムイオンの一部が、負極板40の一方側負極端縁40Pのうち第1負極部50の一方側負極端縁50P、及び、外側セパレータ部21,221,321,421を通じて、第1外側合剤層部55,455,555に拡散移動しようとする。具体的には、内側負極合剤層42のうち第1内側合剤層部52の一方側端縁52Pから、第1負極部50の一方側負極端縁50P付近の電解液3を通じて、外側セパレータ部21,221,321,421のうち、軸線方向DXの一方側DX1に位置し長手方向DAに延びる一方側端縁21Pに沿い、第1負極部50の一方側負極端縁50Pよりも軸線方向一方側DX1に位置する外側端縁部22,222,322,322,422(図8,10,12,14,16参照)に移動しようとする。さらに、この外側端縁部22,222,322,322,422から、外側セパレータ部21,221,321,421のうち、一方側第1外側端部56,456,556(第1外側合剤層部55,455,555のうち、一方側端縁55Pに沿う部位)に径方向外側DR1から当接する第1端部当接部23,223,323,423を介して、外側負極合剤層45のうち第1外側合剤層部55,455,555(一方側第1外側端部56,456,556)に移動しようとする。
一方、第2負極部60において、リチウムイオンは、負極板40の一方側負極端縁40Pのうち第2負極部50の一方側負極端縁60Pをなす第2外側合剤層部65の一方側端縁65Pから、一方側負極端縁60P付近の電解液3を通じて、内側セパレータ部31の内側端縁部32,232,332,432(図9,11,13,15,17参照)に移動しようとする。さらに、この内側端縁部32,232,332,432から、内側セパレータ部31,231,331,431のうち、一方側第2内側端部63,463,563に径方向内側DR2から当接する第2端部当接部33,233,333,433を介して、内側負極合剤層42のうち第2内側合剤層部62,462,562(一方側第1内側端部63,463,563)に移動しようとする。
これに対し、参考例1〜8、実施例1〜4のうち、参考例1〜8の各電池(電池1,101,201,301,1X、101X、201X、301X)は、リチウムイオンが外側セパレータ部21(221,321)から、第1外側合剤層部55に移動するのを防止する、電解液3を透過不能とした外側セパレータ部21を有している。一方、実施例1〜4の各電池(電池401,501,401X,501X)は、リチウムイオンが外側セパレータ部421から、第1外側合剤層部455(555)に移動するのを防止する、電解液3の滲入を防いだ第1外側合剤層部455(555)を有している。
このため、電池を初期充電した場合でも、この外側セパレータ部21(221,321)または第1外側合剤層部455(555)により、第1内側合剤層部52に挿入したリチウムイオンが、外側セパレータ部21(221,321,421)を通じて第1外側合剤層部55(455,555)に拡散移動するのを抑えることができる。これにより、正極最外周部80の正極合剤層71からリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後の高温エージングなど、初期充電後に高温下で第1負極部50の第1内側合剤層部52上に金属が析出して正負極間に短絡が発生するのを抑制し、その結果、自己放電を抑制することができる。
また、参考例1〜8、実施例1〜4のうち、参考例1〜8の各電池(電池1,101,201,301,1X、101X、201X、301X)の外側セパレータ部21(221,321)は、第1端部当接部23(223,323,423)から、第1外側合剤層部55の一方側第1外側端部56に、リチウムイオンが移動するのを防止する。また、実施例1〜4の各電池(電池401,501,401X,501X)の第1外側合剤層部455(555)も、外側セパレータ部421の第1端部当接部423から、第1外側合剤層部455(555)の一方側第1外側端部456(556)に、リチウムイオンが移動するのを防止する。このため、電池について初期充電を行った場合でも、第1内側合剤層部52から放出したリチウムイオンが、一方側負極端縁40P及び外側セパレータ部21(221,321、421)を通じて、第1外側合剤層部55(455,555)に移動するのを確実に防止することができる。
なお、参考例1〜8、実施例1〜4のうち、参考例1〜8の各電池(電池1,101,201,301,1X,101X,201X,301X)は、電解液3を透過不能とした前述の外側端縁部22(222,322)を有している(図8,10,12参照)。このため、外側端縁部22(222,322)内の電解液3を通じて、負極板40の内側負極合剤層42の第1内側合剤層部52から外側負極合剤層45の第1外側合剤層部55にリチウムイオンが拡散移動するのを確実に抑えることができる。
また、これら参考例1〜8の各電池(電池1,101,201,301,1X,101X,201X,301X)は、電解液3を透過不能とした前述の第1端部当接部23(223,323)を有している(図8,10,12参照)。これにより、リチウムイオンが、第1端部当接部23(223,323)内の電解液3を通じて、内側負極合剤層42の第1内側合剤層部52から外側負極合剤層45の第1外側合剤層部55に、リチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。
一方、参考例1〜8、実施例1〜4のうち、実施例1〜4の各電池(電池401,501,401X,501X)は、自身について外側表面455F(555F)を通しての電解液3の滲入を防止した一方側第1外側端部456(556)を有している(図14,16参照)。これにより、外側セパレータ部421を通じて、第1内側合剤層部52から第1外側合剤層部455(555)にリチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。
ところで、前述した比較例1の電池と同様の形態の電池(即ち、外側セパレータ部及び内側セパレータ部は、これら以外のセパレータの部位と同様、電解液が透過可能、かつ、第1外側合剤層部及び第2内側合剤層部は、これら以外の負極合剤層の部位と同様、自身に電解液が滲入可能な電池)について、初期充電した後の第1負極部の第1外側合剤層部、及び、第2負極部の第2内側合剤層部におけるリチウム量を調査した。
具体的には、比較例1の電池を初期充電して満充電にした後、この電池を解体して、電極体から負極板を外す。そして、この負極板のうち、第1外側合剤層部を、この第1外側合剤層部の一方側端縁から軸線方向DXに5mm幅ずつ負極箔からはがし、水に浸漬させてリチウムイオン水溶液を作製した。このリチウムイオン水溶液を既知のプラズマ発光分析(ICP)を用いて水溶液中のリチウムイオン濃度をそれぞれ測定し、単位質量あたりのリチウム量(mAh/g)をそれぞれ算出した。
また、同様にして第2内側合剤層部についても、この第2内側合剤層部の一方側端縁から軸線方向DXに0.5cm幅ずつはがし、リチウムイオン水溶液をそれぞれ作製した。そして、各水溶液中のリチウムイオン濃度から、単位質量あたりのリチウム量をそれぞれ算出した。これらの結果について、表2に示す。
Figure 0006048322
表2によれば、第1外側合剤層部及び第2内側合剤層部はいずれも一方側端縁から軸線方向DXに離れるほど、単位質量あたりのリチウム量が減少することが判る。そして、一方側端縁を基点として軸線方向に見た位置範囲が3.0〜3.5cmの合剤層部の部位におけるリチウム量が3mAh/g未満となり、3.0cm未満に比べ極端に小さくなることが判る。このことから、初期充電において移動するリチウムイオンの多くが、第1外側合剤層部の一方側端縁から軸線方向の他方側に幅3.0cmの範囲内に届くことが判る。一方、一方側端縁から他方側に3.0cmよりも離れた部位には、リチウムイオンがほとんど届かないことも判る。
上述の知見に基づけば、第1防止部とする第1端部当接部23(223,323)を少なくとも3.0cmの幅寸法とすれば良いことが判る。これにより、第1内側合剤層部52から移動してくるリチウムイオンの多くについて、第1端部当接部23(223,323)の透過を防ぐことができる。
また、第1防止部とする一方側第1外側端部456(556)を少なくとも3.0cmの幅寸法とすれば良いことも判る。これにより、第1内側合剤層部52から移動してくるリチウムイオンの多くについて、外側セパレータ部421を透過し一方側第1外側端部456(556)に滲入するのを防ぐことができる。
なお、参考例1〜8の各電池のように、第1端部当接部23(223,323)を含む外側セパレータ部21(221,321)全体を第1防止部とする、あるいは、実施例1〜4の各電池のように、一方側第1外側端部456(556)を含む第1外側合剤層部55全体を第1防止部とするとさらに好ましい。
参考例1〜8、実施例1〜4のうち、参考例1〜4の各電池(電池1,101,201,301)は、前述した外側セパレータ部21(221,321)に加え、リチウムイオンが内側セパレータ部31(231,331)から、第2内側合剤層部62に移動するのを防止する、電解液3を透過不能とした内側セパレータ部31(231,331)を有している。一方、実施例1,2の各電池(電池401,501)は、前述した第1外側合剤層部455(555)に加え、リチウムイオンが内側セパレータ部431から、第2内側合剤層部462(562)に移動するのを防止する、電解液3の滲入を防いだ第2内側合剤層部462(562)を有している。
このため、電池を初期充電した場合に、内側セパレータ部31(231,331)または第2内側合剤層部462(562)により、第2外側合剤層部65に挿入したリチウムイオンが、内側セパレータ部31(231,331、431)を通じて第2内側合剤層部62(462,562)に拡散移動するのを抑えることができる。この点は、参考例1〜4及び実施例1,2の電池は、いずれも参考例5〜8及び実施例3,4の電池に比べ、低下率ΔCが小さくなっていることから裏付けられる(表1参照)。このように、正極最外周部80に加え、正極最内周部90の正極合剤層71からもリチウムイオンの過度の放出を防ぐことができ、初期充電後に高温下で第2負極部60の第2外側合剤層部65上に金属が析出して正負極間に短絡が発生するのを抑制し、その結果、自己放電を抑制することができる。
参考例1〜8、実施例1〜4のうち、参考例1〜4の各電池(電池1,101,201,301)の上述の内側セパレータ部31(231,331)は、内側セパレータ部31(231,331)の内側端縁部32(232,332)から、第2内側合剤層部62の一方側第2内側端部63にリチウムイオンが移動するのを防止する。また、実施例1,2の各電池(電池401,501)の上述の第2内側合剤層部462(562)も、内側セパレータ部431の内側端縁部432から、第2内側合剤層部462(562)の一方側第2内側端部463(563)にリチウムイオンが移動するのを防止する。このため、電池について初期充電を行った場合でも、第2外側合剤層部65から放出したリチウムイオンが、一方側負極端縁40P及び内側セパレータ部31(231,331、431)を通じて、第2内側合剤層部62(462,562)に移動するのを確実に防止することができる。
なお、これら参考例1〜4及び実施例1,2のうち、参考例1〜4の各電池(電池1,101,201,301)は、電解液3を透過不能とした前述の内側端縁部32(232,332)を有している(図9,11,13参照)。このため、内側端縁部32(232,332)内の電解液3を通じて、負極板40の外側負極合剤層45の第2外側合剤層部65から内側負極合剤層42の第2内側合剤層部62にリチウムイオンが拡散移動するのを確実に抑えることができる。
また、これら参考例1〜4の各電池(電池1,101,201,301)は、電解液3を透過不能とした前述の第2端部当接部33(233,333)を有している(図9,11,13参照)。これにより、リチウムイオンが、第2端部当接部33(233,333)内の電解液3を通じて、外側負極合剤層45の第2外側合剤層部65から内側負極合剤層42の第2内側合剤層部62に、リチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。
一方、参考例1〜4及び実施例1,2のうち、実施例1,2の各電池(電池401,501)は、自身について内側表面462F(562F)を通しての電解液3の滲入を防止した一方側第2内側端部463(563)を有している(図15,17参照)。これにより、内側セパレータ部431を通じて、第2外側合剤層部65から第2内側合剤層部462(562)にリチウムイオンが移動するのを確実に抑えることができる。
また、表2によれば、第2負極部では、初期充電において移動するリチウムイオンの多くが、第2内側合剤層部の一方側端縁から軸線方向の他方側に幅3.0cmの範囲内に届くことが判る。一方、一方側端縁から他方側に3.0cmよりも離れた部位には、リチウムイオンがほとんど届かないことも判る。
この知見に基づけば、第2防止部とする第2端部当接部33(233,333)を少なくとも3.0cmの幅寸法とすれば良いことが判る。これにより、第2外側合剤層部65から移動してくるリチウムイオンの多くについて、第2端部当接部33(233,333)の透過を防ぐことができる。
また、第2防止部とする一方側第2内側端部463(563)を少なくとも3.0cmの幅寸法とすれば良いことが判る。これにより、第2外側合剤層部65から移動してくるリチウムイオンの多くについて、内側セパレータ部31を透過し一方側第2内側端部463(563)に滲入するのを防ぐことができる。
なお、参考例1〜4の各電池のように、第2端部当接部33(233,333)を含む内側セパレータ部31(231,331)全体を第2防止部とする、あるいは、実施例1,2の各電池のように、一方側第2内側端部463(563)を含む第2内側合剤層部62全体を第2防止部とするとさらに好ましい。
以上において、本発明を実施形態(実施例1〜4)に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、参考例1〜には、外側端縁部22(222,322)及び第1端部当接部23(223,323)を含む外側セパレータ部21(221,321)全体について電解液3を透過不能とした形態の電池1(101,201,301,1X,101X,201X,301X)を示した。しかし、外側セパレータ部のうち外側端縁部22(222,322)及び第1端部当接部23(223,323)の少なくともいずれかの部位について、電解液3を透過不能とした形態の電池であれば良い。また、参考例1〜4には、内側端縁部32(232,332)及び第2端部当接部33(233,333)を含む内側セパレータ部31(231,331)全体について電解液3を透過不能とした形態の電池1(101,201、301)を示したが、内側端縁部32(232,332)及び第2端部当接部33(233,333)の少なくともいずれかの部位について、電解液3を透過不能とした形態の電池であれば良い
また、外側端縁部、内側端縁部、第1端部当接部あるいは第2端部当接部について電解液を透過不能とした形態の具体例として、熱収縮させて孔を塞いだ形態(参考例1,2,5,6)や、内側表面上にテープTPを貼付した形態(参考例3,)や、内側表面に撥液剤Kを塗布した形態(参考例4,)を示した。しかし、これらの形態の他に、孔内に樹脂ペーストまたはゴムラテックス等を含浸させて、外側端縁部、内側端縁部、第1端部当接部あるいは第2端部当接部の孔を塞いだ形態が挙げられる。
また、一方側第1外側端部あるいは一方側第2内側端部について電解液の滲入を防止した形態の具体例として、内側表面上にテープTPを貼付した形態(実施例1,3)や、内側表面に撥液剤Kを塗布した形態(実施例2,4)を示した。しかし、これらの形態の他に、孔内に樹脂ペーストまたはゴムラテックス等を含浸させて、一方側第1外側端部あるいは一方側第2端部の孔を塞いだ形態が挙げられる。
1,101,201,301,401,501,1X,101X,201X,301X,401X,501X 電池(リチウムイオン二次電池)
2 電極体
3 電解液
10,210,310,410 セパレータ
21,221,321 外側セパレータ部(第1防止部)
22,222,322 外側端縁部(第1防止部,一方側第1防止部,一方側第1透過不能部)
23,223,323 第1端部当接部(第1防止部,一方側第1防止部,当接第1透過不能部)
31,231,331 内側セパレータ部(第2防止部)
32,232,332 内側端縁部(第2防止部,一方側第2防止部,一方側第2透過不能部)
33,233,333 第2端部当接部(第2防止部,一方側第2防止部,当接第2透過不能部)
40 負極板
40P 一方側負極端縁
42 内側負極合剤層(負極合剤層)
42P (内側負極合剤層の)一方側端縁
45 外側負極合剤層(負極合剤層)
45P (外側負極合剤層の)一方側端縁
48 負極箔
48P (負極箔の)一方側端縁
50,450,550 第1負極部
52 第1内側合剤層部
52P (第1内側負極合剤層部の)一方側端縁
55 第1外側合剤層部
56 一方側第1外側端部
60,460,560 第2負極部
62 第2内側合剤層部
63 一方側第2内側端部
65 第2外側合剤層部
65P (第2外側負極合剤層部の)一方側端縁
70 正極板
80 正極最外周部
90 正極最内周部
421 外側セパレータ部
423 第1端部当接部
431 内側セパレータ部
433 第2端部当接部
455,555 第1外側合剤層部(第1防止部)
455F,555F (第1内側合剤層部の)外側表面
456,556 一方側第1外側端部(第1防止部,一方側第1防止部,第1滲入防止部)
462,562 第2内側合剤層部(第2防止部)
462F,562F (第2外側合剤層部の)内側表面
463,563 一方側第2内側端部(第2防止部,一方側第2防止部,第2滲入防止部)
AX 捲回軸
DA 長手方向
DR 径方向
DR1 径方向外側
DR2 径方向内側
DX 軸線方向
DX1 軸線方向一方側

Claims (2)

  1. 帯状の正極板、帯状のセパレータ、及び、帯状の負極板を積層して捲回してなる電極体と、
    リチウムイオンを含む電解液と、を備える
    リチウムイオン二次電池であって、
    上記正極板は、自身の最外周をなす正極最外周部を有し、
    上記負極板は、上記セパレータを介して、上記正極最外周部に対向し、上記正極最外周部の径方向外側に位置する第1負極部を有し、
    上記セパレータは、上記第1負極部に対向し、上記第1負極部の径方向外側に隣り合う外側セパレータ部を有し、
    上記負極板は、負極箔とこの負極箔の両側にそれぞれ形成された2つの負極合剤層とを有し、
    上記第1負極部のうち、上記負極箔の径方向外側に形成され、上記外側セパレータ部に隣り合う上記負極合剤層の部位を第1外側合剤層部としたとき、
    上記リチウムイオンが、上記外側セパレータ部から、上記第1外側合剤層部に移動するのを防止する第1防止部を、上記負極板の上記第1外側合剤層部の前記径方向外側を向く外側表面全体に備える
    リチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極板は、自身の最内周をなす正極最内周部を有し、
    前記負極板は、前記セパレータを介して、上記正極最内周部に対向し、上記正極最内周部の径方向内側に位置する第2負極部を有し、
    上記セパレータは、上記第2負極部に対向し、上記第2負極部の径方向内側に隣り合う内側セパレータ部を有し、
    上記第2負極部のうち、前記負極箔の径方向内側に形成され、上記内側セパレータ部に隣り合う前記負極合剤層の部位を第2内側合剤層部としたとき、
    上記リチウムイオンが、上記内側セパレータ部から、上記第2内側合剤層部に移動するのを防止する第2防止部を、上記負極板の上記第2内側合剤層部の前記径方向内側を向く内側表面全体に備える
    リチウムイオン二次電池。
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