本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<通信システム>
通信システム10の概略について、図1を参照して説明する。通信システム10は、通信装置20と、携帯端末装置50と、相手先装置80を含む。通信装置20は、例えば、ファクシミリ機能と、スキャン機能と、コピー機能を備えた複合機である。通信装置20は、公衆回線12に接続される。公衆回線12は、所定の通信事業者によって構築された、光回線及び/又はPSTN(Public Switched Telephone Networks)である。また、公衆回線12は、携帯電話機のための回線(例えば、3G回線及び/又はLTE(Long Term Evolution))を含む。本実施形態における公衆回線12は、特定の通信回線を意味するものではなく、各通信事業者と契約した利用者によって利用される各種の通信回線を総称するものである。通信装置20は、公共の場所に設置され、不特定多数の者に利用される場合もある。
携帯端末装置50は、スマートフォンである。スマートフォンは、コンピュータ機能を有する携帯電話機である。携帯端末装置50は、公衆回線12を介した通信の他、所定の無線通信によって通信装置20と通信することができる。所定の無線通信の第1方式は、例えば、近距離無線通信(Near Field Communication 以下、「NFC」という)である。所定の無線通信の第2方式は、例えば、無線LAN通信又はBluetooth(登録商標)である。第2方式の無線通信は、第1方式の無線通信より通信範囲が広い無線通信である。本実施形態では、通信装置20と携帯端末装置50の間で利用される無線通信として、NFC(第1方式)と、無線LAN通信(第2方式)を例に説明する。
相手先装置80は、ファクシミリ機能を備える公知の通信装置、又は、通信装置20と同じ通信装置である。相手先装置80は、公衆回線12に接続され、通信装置20の通信相手となる。図1では、1台の相手先装置80が図示されているが、公衆回線12には、複数の相手先装置80が接続されている。相手先装置80に関するこの他の説明は省略する。
<通信装置>
通信装置20について、図1〜図3を参照して説明する。通信装置20は、CPU22と、ROM24と、RAM26と、印刷部28と、読取部30と、表示部32と、操作部34と、回線通信部36と、近距離通信部38と、無線LAN通信部40と、計時部42を備える。これら各部22〜42は、バス44に接続される。
CPU22は、演算処理を実行する。ROM24は、フラッシュメモリによって構成される。ROM24は、通信装置20で実行される各種処理のためのコンピュータプログラムを記憶する記憶領域を含む。ROM24に記憶されたコンピュータプログラムには、例えば、後述する通信装置処理(図4〜図6参照)のためのコンピュータプログラムと、再送指示確認処理(図7参照)のためのコンピュータプログラムが含まれる。ROM24は、送信履歴用メモリのための記憶領域と、通信管理用メモリのための記憶領域を含む。
送信履歴用メモリには、図2に示すように、通信番号(通信No.)と、端末IDと、相手先情報と、送信データ保存場所と、通信結果が対応付けて記憶される。通信番号は、送信履歴用メモリの各レコードを識別するための識別番号(通し番号)である。端末IDは、携帯端末装置50を識別するための識別情報である。携帯端末装置50は、自装置固有の端末IDを有する。相手先情報は、相手先装置80のFAX番号である。送信データ保存場所は、送信データの保存場所を表す情報(番地)である。送信データは、相手先装置80にファクシミリ送信されるファクシミリデータである。通信装置20は、携帯端末装置50から送信データを取得する。この点については、後述する。送信結果は、送信データのファクシミリ送信の成功(OK)又は失敗(NG)を表す情報である。送信履歴用メモリに対応付けて記憶された各情報は、ファクシミリ送信が失敗した場合の再送信に利用される。
通信管理用メモリには、図3(A)に示すように、通信番号(通信No.)と、端末IDと、相手先情報と、通信結果が対応付けて記憶される。通信番号は、通信管理用メモリの各レコードを識別するための識別番号(通し番号)である。その他の各情報は、上述した通りである。通信管理用メモリに記憶された各情報は、例えば、通信装置20の管理者が通信装置20の利用状況等を管理するために用いられる。通信装置20の一般的な利用者は、通信管理用メモリに記憶された各情報を利用することができない。
RAM26は、CPU22が各種のコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。RAM26には、各種の処理の実行途中に、処理で利用される所定のデータ(情報)が記憶される。例えば、送信データを記憶するための記憶領域として送信データ用メモリがRAM26に確保される。送信データは、送信データ用メモリ内の所定の番地に保存され記憶される(図3(B)参照)。図3(B)は、送信データ用メモリ内の「番地1」に「通信No.1用データ」が記憶され、他の番地(空白とされている「番地欄」参照)には送信データが記憶されておらず、空き領域となっている状態を示す。CPU22は、ROM24に記憶された各種のコンピュータプログラムを実行する等して、通信装置20を制御する。これによって、通信装置20では、各種の処理が実行され、各種の機能が実現される。
印刷部28は、通信装置20で受信されたファクシミリデータに対応する画像を、記録用紙に印刷する。読取部30は、原稿を読み取る。表示部32は、諸情報を表示する。表示部32は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。操作部34は、通信装置20に所定の情報又は指示等を入力する際に操作される。操作部34は、複数のキーを含む。操作部34に含まれるキーとしては、テンキーが例示される。操作部34にタッチパッドを設け、タッチパッドと表示部32を組み合わせてタッチパネル機能を実現するようにしてもよい。この場合、操作部34の一部は、タッチパネル機能を利用した構成となる。例えば、タッチパネル機能による操作部34によって、ファクシミリ機能とスキャン機能とコピー機能の利用を選択することができる(図8(B)で、表示部32に表示された「COPY」、「FAX」及び「SCAN」の各ボタン参照)。回線通信部36は、公衆回線12に接続され、公衆回線12を介した通信を実行する。
近距離通信部38は、NFCを実行する。無線LAN通信部40は、無線LAN通信を実行する。NFCと無線LAN通信を切り替えながら通信装置20と携帯端末装置50が無線通信する通信技術は、Wi−Fiハンドオーバーと称される。第2方式の無線通信として、Bluetoothが用いられる場合、NFCとBluetoothを切り替えながら通信装置20と携帯端末装置50が無線通信する通信技術は、Bluetoothハンドオーバーと称される。計時部42は、時間経過を計測する。
<携帯端末装置>
携帯端末装置50について、図1を参照して説明する。携帯端末装置50は、CPU52と、ROM54と、RAM56と、表示部58と、操作部60と、カメラ部62と、近距離通信部64と、無線LAN通信部66と、回線通信部68と、計時部70を備える。これら各部52〜70は、バス72に接続される。
CPU52は、演算処理を実行する。ROM54は、フラッシュメモリによって構成される。ROM54は、携帯端末装置50で実行される各種処理のためのコンピュータプログラムを記憶する記憶領域を含む。ROM54に記憶されたコンピュータプログラムには、後述する携帯端末処理(図9〜図11参照)のためのコンピュータプログラムが含まれる。携帯端末処理のためのコンピュータプログラムは、例えば、インターネット上の所定のサーバからダウンロードされる等して、ROM54にインストールされる。ROM54は、各種のデータを記憶する記憶領域を含む。各種のデータには、携帯端末装置50の端末IDと、相手先装置80の相手先情報と、送信データが含まれる。送信データとしては、文書データ及び写真データが例示される。文書データは、所定のアプリケーションプログラムによって作成等される。携帯端末装置50とは異なる情報処理装置で作成された文書データが、ROM54に記憶される場合もある。
RAM56は、CPU52が各種のコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。RAM56には、各種の処理の実行途中に、処理で利用される所定のデータ(情報)が記憶される。CPU52は、ROM54に記憶された各種のコンピュータプログラムを実行する等して、携帯端末装置50を制御する。これによって、携帯端末装置50では、各種の処理が実行され、各種の機能が実現される。
表示部58は、諸情報を表示する。表示部58は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。操作部60は、携帯端末装置50に所定の情報又は指示等を入力する際に操作される。操作部60は、所定のキーと、タッチパッドを含む。操作部60の一部は、タッチパッドと表示部58を組み合わせたタッチパネル機能により構成される。カメラ部62は、外界像を撮像する。撮像された外界像に対応した写真データは、例えば、ROM54に記憶される。近距離通信部64は、NFCを実行する。無線LAN通信部66は、無線LAN通信を実行する。通信装置20と携帯端末装置50の間のNFCは、近距離通信部38及び近距離通信部64を介して行われる。通信装置20と携帯端末装置50の間の無線LAN通信は、無線LAN通信部40及び無線LAN通信部66を介して行われる。回線通信部68は、公衆回線12を介した通信を実行する。計時部70は、時間経過を計測する。
<通信装置処理>
通信装置20で実行される通信装置処理について、図4〜図6を参照して説明する。通信装置処理は、例えば、通信装置20の電源がオンされた場合に開始される。通信装置処理を開始したCPU22は、NFCの接続要求を取得したか否かを判断する(S100)。接続要求は、通信装置20と携帯端末装置50の間のNFCの確立に際し(図9のS300参照)、携帯端末装置50から送信され、近距離通信部38で受信される。CPU22は、近距離通信部38を介して接続要求を取得する。接続要求を取得していない場合(S100:No)、CPU22は、接続要求が取得されるまで、S100を繰り返して実行する。接続要求を取得した場合(S100:Yes)、CPU22は、NFCにおけるペアリングを実行し、要求元の携帯端末装置50との間でNFCを確立する。
CPU22は、携帯端末装置50の端末IDと、ファクシミリ送信の宛先となる相手先装置80の相手先情報を取得する(S102)。端末IDと相手先情報は、携帯端末装置50からNFCによって送信され(図9のS302参照)、近距離通信部38で受信される。CPU22は、近距離通信部38を介して端末IDと相手先情報を取得する。CPU22は、取得された端末IDと相手先情報を対応付けて送信履歴用メモリに書き込む(S104)。送信履歴用メモリには、取得された端末IDと相手先情報が所定の通信番号(例えば、書き込みのタイミングにおいて最小の番号)に対応付けて記憶される。具体的に、送信履歴用メモリに何れの情報も記憶されておらず、S102で取得された端末IDが「ID1」で、相手先情報が「052−111−2222」であった場合、CPU22は、通信番号「1」に対応付けて「ID1」と「052−111−2222」を送信履歴用メモリに書き込む(図2(A)参照)。
次に、CPU22は、送信データを取得する(S106)。送信データは、NFCが確立された携帯端末装置50から無線LAN通信によって送信され(図9のS306参照)、無線LAN通信部40で受信される。NFCから無線LAN通信へとする無線通信の方式の変更は、上述したWi−Fiハンドオーバーに従い行われる。CPU22は、無線LAN通信部40を介して送信データを取得する。CPU22は、取得された送信データを送信データ用メモリに保存する(S108)。これによって、送信データが送信データ用メモリの所定の番地に記憶される。CPU22は、S104での書き込みに対応した通信番号(以下、「処理対象の通信番号」という)に対応付けて送信データの保存場所を表す番地を送信履歴用メモリに書き込む。これによって、送信履歴用メモリは、通信番号と、端末IDと、相手先情報と、送信データ保存場所が対応付けて記憶された状態となる。例えば、処理対象の通信番号が「1」(図2(A)参照)で、S106で取得された送信データが「通信No.1用データ」であったとする。CPU22は、S108で、「通信No.1用データ」を送信データ用メモリの「番地1」に保存する(図3(B)参照)。そして、CPU22は、処理対象の通信番号「1」に対応付けて送信データ保存場所「番地1」を送信履歴用メモリに書き込む(図2(B)参照)。
CPU22は、S102で取得されS104で記憶された相手先情報と、S108で送信データ用メモリに記憶された送信データを対象としたファクシミリ送信の制御を開始する(S110)。この制御によって、回線通信部36から相手先情報に対応した相手先装置80への送信データのファクシミリ送信が開始される。送信データは、ファクシミリ送信のための通信規格に従った形式に符号化される。CPU22は、S110で開始されたファクシミリ送信が成功したか否かを判断する(S112)。通信装置20がリダイヤル機能を備えているとする。リダイヤル機能は、相手先装置80が通信装置20とは別の通信装置と通信中であった場合等に対応した機能であり、所定間隔で所定回数、相手先装置80へのファクシミリ送信を繰り返して実行する機能である。リダイヤル機能は、ファクシミリ機能を備える公知の通信装置も備える機能であるため、これに関するこの他の説明は省略する。リダイヤル機能を備える通信装置20では、何れかのタイミングで、送信データを相手先装置80にファクシミリ送信できた場合、ファクシミリ送信は成功したと判断(S112:Yes)される。一方、所定回数繰り返しても、送信データを相手先装置80にファクシミリ送信できない場合、ファクシミリ送信は失敗したと判断(S112:No)される。
ファクシミリ送信が成功した場合(S112:Yes)、CPU22は、処理対象の通信番号に対応付けて送信結果「OK」を送信履歴用メモリに書き込む(S114)。これによって、送信履歴用メモリは、通信番号と、端末IDと、相手先情報と、送信データ保存場所と、送信結果が対応付けて記憶された状態となる(図2(C)参照)。続けて、CPU22は、無線LAN通信部40から携帯端末装置50に送信成功通知を送信する制御を行う(S116)。この制御によって、送信成功通知が無線LAN通信を介して無線LAN通信部40から携帯端末装置50に送信される。送信成功通知は、携帯端末装置50からの要求に基づいた送信データのファクシミリ送信が成功したことを示す通知である。
S116を実行した後、CPU22は、処理対象の通信番号に対応付けて送信履歴用メモリに記憶された、端末IDと相手先情報と送信結果を通信管理用メモリに書き込む(S118)。例えば、通信管理用メモリに何れの情報も記憶されておらず、送信履歴用メモリが図2(C)の状態であった場合、CPU22は、通信番号「1」に対応付けて「ID1」と「052−111−2222」と「OK」を通信管理用メモリに書き込む(図3(A)参照)。通信管理用メモリに1以上のレコードが記憶されていた場合、通信番号は、最終レコードの通信番号の次の番号(例えば、通信管理用メモリが図3(A)の状態であった場合、通信番号「1」の次の「2」)とされる。
次に、CPU22は、送信履歴用メモリで処理対象の通信番号に対応付けられた送信データ用保存場所に従い、この保存場所に記憶された送信データを送信データ用メモリから削除する(S120)。続けて、CPU22は、処理対象の通信番号に対応付けられた各情報を送信履歴用メモリから削除する(S122)。S122でCPU22は、処理対象の通信番号についても送信履歴用メモリから削除する。送信履歴用メモリに記憶されたレコードが1つである場合(図2(C)及び(D)参照)、送信履歴用メモリは、何れの情報も記憶されていない状態(未登録状態)となる。S122を実行した後、CPU22は、通信装置処理を終了する。
説明をS112に戻し、ファクシミリ送信が失敗した場合(S112:No)、CPU22は、処理を図5のS124に移行し、再送フラグが「ON」であるか否かを判断する。再送フラグは、送信履歴用メモリに記憶された処理対象の通信番号に対応付けられた各情報に従ったファクシミリ送信を繰り返して実行するか否かを示す情報であり、初期値は、「OFF」である。再送フラグ「ON」は再実行を示し、再送フラグ「OFF」は不実行を示す。再送フラグは、後述するS132で実行される再送指示確認処理(図7参照)で設定される。再送フラグが「ON」である場合(S124:Yes)、CPU22は、処理をS128に移行する。再送フラグが「OFF」である場合(S124:No)、CPU22は、処理対象の通信番号に対応付けて送信結果「NG」を送信履歴用メモリに書き込む(S126)。これによって、送信履歴用メモリは、通信番号と、端末IDと、相手先情報と、送信データ保存場所と、送信結果が対応付けて記憶された状態となる(図2(D)参照)。S126を実行した後、CPU22は、処理をS128に移行する。
S128でCPU22は、表示部32に通信エラー画面を表示する制御を行う。この制御によって、表示部32には、図8(A)に示すような通信エラー画面が表示される。操作対象の利用者がS128のタイミングで通信装置20の近くに存在していた場合、その利用者に、送信失敗を通知することができる。操作対象の利用者は、携帯端末装置50を通信装置20(近距離通信部38)にかざすといった、S100が肯定(S100:Yes)される要因となった操作を行った利用者である。CPU22は、再送指示カウンタにタイムアウト時間TXを設定する(S130)。そして、CPU22は、タイムアウト時間TXの計測を開始する。タイムアウト時間TXは、諸条件を考慮し、適宜設定される。
S130を実行し、タイムアウト時間TXの計測を開始したCPU22は、再送指示確認処理を実行する(S132)。再送指示確認処理については、後述する。再送指示確認処理を実行した後、CPU22は、S132の再送指示確認処理にて設定された再送フラグが「ON」であるか否かを判断する(S134)。再送フラグが「ON」である場合(S134:Yes)、CPU22は、処理を図4のS110に移行し、S110以降の処理を実行する。この場合、S110では、送信履歴用メモリで処理対象の通信番号に対応付けられた相手先情報(図2(D)に基づけば「052−111−2222」参照)に従い、同じく処理対象の通信番号に対応付けられた送信データ保存場所(図2(D)に基づけば「番地1」参照)に記憶された送信データ(図3(B)に基づけば「通信No.1用データ」参照)のファクシミリ送信が開始される。即ち、今回のS110では、前回のS110で失敗したファクシミリ送信が再送信される。
再送フラグが「OFF」である場合(S134:No)、CPU22は、無線LAN通信部40から携帯端末装置50に送信失敗通知を送信する制御を行う(S136)。CPU22は、送信失敗通知が送信できたか否かを判断する(S138)。送信失敗通知は、携帯端末装置50からの要求に基づいた送信データのファクシミリ送信が失敗したことを示す通知である。詳細は後述するが、携帯端末装置50では、送信失敗通知に従い、表示部58に通信エラー画面(図12(C)参照)が表示される。S136の制御により、送信失敗通知が無線LAN通信によって無線LAN通信部40から携帯端末装置50に送信される。S138でCPU22は、例えば、送信失敗通知を受信した携帯端末装置50からの応答が無線LAN通信部40で受信された場合、S138を肯定する(S138:Yes)。一方、S138でCPU22は、例えば、送信失敗通知が携帯端末装置50で受信されず、携帯端末装置50からの応答が無線LAN通信部40で受信されない場合、S138を否定する(S138:No)。
S138が肯定された場合(S138:Yes)、CPU22は、再送指示カウンタにタイムアウト時間TYを設定する(S140)。そして、CPU22は、タイムアウト時間TYの計測を開始する。タイムアウト時間TYは、諸条件を考慮し、適宜設定される。例えば、タイムアウト時間TYは、タイムアウト時間TXより長い時間とされる。S128での通信エラー画面の表示後に設定されるタイムアウト時間TXがタイムアップし(S132及び図7のS200:Yes参照)、その後、S138が肯定される場合(S138:Yes)、操作対象の利用者は、通信装置20の近傍ではない無線LAN通信可能な範囲に存在していると推測される。詳細は後述するが、本実施形態では、再送指示がNFCによって携帯端末装置50と通信装置20の間を送受信される(図7のS202:Yes及び図9のS324参照)。タイムアウト時間TYは、利用者が通信装置20の所に戻ってくるのに要する時間を考慮し、例えば、前述したようにタイムアウト時間TXより長い時間に設定される。再送指示は、図4のS110で開始されたファクシミリ送信の再送信を指示するための指令である。
S140を実行し、タイムアウト時間TYの計測を開始したCPU22は、後述する再送指示確認処理を実行する(S142)。再送指示確認処理を実行した後、CPU22は、S142の再送指示確認処理にて設定された再送フラグが「ON」であるか否かを判断する(S144)。再送フラグが「ON」である場合(S144:Yes)、CPU22は、処理を図4のS110に戻し、S110以降の処理を実行する。この場合、S110では、上述したS134が肯定(S134:Yes)された場合と同様、前回のS110で失敗したファクシミリ送信が再送信される。この点に関する説明は、「S134:Yes」後のS110と同様であり省略する。再送フラグが「OFF」である場合(S144:Yes)、CPU22は、処理を図4のS118に移行し、S118以降の処理を実行する。この場合、S118では、図2(D)に基づき、通信管理用メモリに書き込まれる送信結果は「NG」とされる。
S138が否定された場合(S138:No)、CPU22は、処理を図6のS146に移行し、S138が否定されたタイミングから一定時間が経過しているか否かを判断する。S146における一定時間は、無線LAN通信が行えない位置まで移動していた操作対象の利用者がファクシミリ送信の結果を確認するために通信装置20の所に戻ってくるのに要する時間等の諸条件を考慮し、適宜設定される。一定時間が経過している場合(S146:Yes)、CPU22は、処理を図4のS118に移行し、S118以降の処理を実行する。この場合、S118では、図2(D)に基づき、通信管理用メモリに書き込まれる送信結果は「NG」とされる。
一定時間が経過していない場合(S146:No)、CPU22は、送信結果取得指示を取得したか否かを判断する(S148)。送信結果取得指示は、ファクシミリ送信の送信結果を通信装置20に要求するための指令である。送信結果取得指示は、携帯端末装置50の表示部58に、図12(B)に示すような送信操作画面が表示されている状態で、操作対象の利用者がタッチパネル機能を利用した操作部60の「通信管理情報取得」ボタンを押下し、携帯端末装置50を通信装置20にかざした場合に、携帯端末装置50から送信され(図11のS330参照)、近距離通信部38で受信される。CPU22は、近距離通信部38を介して送信結果取得指示を取得する。操作対象の利用者は、例えば、無線LAN通信が行えない位置まで移動していたが、送信結果が気になり、通信装置20の所に戻ってきたような場合に「通信管理情報取得」ボタンを押下する。
送信結果取得指示を取得していない場合(S148:No)、CPU22は、処理をS146に戻し、S146を実行する。送信結果取得指示を取得した場合(S148:Yes)、CPU22は、近距離通信部38から携帯端末装置50に送信失敗通知を送信する制御を行う(S150)。この制御により、送信失敗通知がNFCにて近距離通信部38から携帯端末装置50に送信される。続けて、CPU22は、再送指示カウンタにタイムアウト時間TZを設定する(S152)。そして、CPU22は、タイムアウト時間TZの計測を開始する。タイムアウト時間TZは、諸条件を考慮し、適宜設定される。
S152を実行し、タイムアウト時間TZの計測を開始したCPU22は、後述する再送指示確認処理を実行する(S154)。再送指示確認処理を実行した後、CPU22は、S154の再送指示確認処理にて設定された再送フラグが「ON」であるか否かを判断する(S156)。再送フラグが「ON」である場合(S156:Yes)、CPU22は、処理を図4のS110に移行し、S110以降の処理を実行する。この場合、S110では、上述したS134が肯定(S134:Yes)された場合と同様、前回のS110で失敗したファクシミリ送信が再送信される。この点に関する説明は、「S134:Yes」後のS110と同様であり省略する。再送フラグが「OFF」である場合(S156:No)、CPU22は、処理を図4のS118に移行し、S118以降の処理を実行する。この場合、S118では、図2(D)に基づき、通信管理用メモリに書き込まれる送信結果は「NG」とされる。
<再送指示確認処理>
図4〜図6に示す通信装置処理のS132及びS142(図5参照)とS154(図6参照)でそれぞれ実行される再送指示確認処理について、図7を参照して説明する。再送指示確認処理を開始したCPU22は、再送指示カウンタに設定されたタイムアウト時間TX,TY,TZがタイムアップしているか否かを判断する(S200)。再送指示確認処理が、図5のS132で実行されていた場合、再送指示カウンタにはタイムアウト時間TXが設定され(図5のS130参照)、図5のS142で実行されていた場合、再送指示カウンタにはタイムアウト時間TYが設定され(図5のS140参照)、図6のS154で実行されていた場合、再送指示カウンタにはタイムアウト時間TZが設定されている(図5のS152参照)。
再送指示カウンタがタイムアップしていない場合(S200:No)、CPU22は、再送指示を取得したか否かを判断する(S202)。図5のS132での再送指示確認処理では、再送指示は、図9のS314で携帯端末装置50からNFCによって送信される。図5のS142での再送指示確認処理では、再送指示は、図10のS324で携帯端末装置50からNFCによって送信される。図6のS154での再送指示確認処理では、再送指示は、図11のS340で携帯端末装置50からNFCによって送信される。通信装置20では、携帯端末装置50からそれぞれ送信される再送指示が近距離通信部38で受信される。CPU22は、近距離通信部38を介して再送指示を取得する。図5のS142での再送指示確認処理では、再送指示は、無線LAN通信によって送受信されるようにしてもよい。この場合、操作対象の利用者は、携帯端末装置50を通信装置20にかざす必要がなく、「再送」ボタンが押下されたタイミングで、再送指示は、携帯端末装置50から送信され、無線LAN通信部40で受信される。CPU22は、無線LAN通信部40を介して再送指示を取得する。
再送指示を取得していない場合(S202:No)、CPU22は、処理をS200に戻し、S200を実行する。再送指示を取得した場合(S202:Yes)、CPU22は、再送フラグに「ON」を設定する(S204)。その後、CPU22は、再送指示確認処理を終了し、処理を通信装置処理に戻す。具体的に、再送指示確認処理が図5のS132で実行されていた場合、CPU22は、処理を図5のS134に戻す。再送指示確認処理が図5のS142で実行されていた場合、CPU22は、処理を図5のS144に戻す。再送指示確認処理が図6のS154で実行されていた場合、CPU22は、処理を図6のS156に戻す。
再送指示カウンタがタイムアップしている場合(S200:Yes)、CPU22は、表示部32にエラーアイコン画面が表示されているか否かを判断する。エラーアイコン画面は、図8(B)に示すような、エラーアイコン35を含む画面である。なお、図8(B)は、ファクシミリ機能とスキャン機能とコピー機能の利用を選択するための機能選択画面において、エラーアイコン35を表示させたエラーアイコン画面を例示したものである。図5のS132での再送指示確認処理では、表示部32に、図5のS128で表示された通信エラー画面(図8(A)参照)が表示されている。そのため、S206は否定される(S206:No)。この場合、CPU22は、表示部32にエラーアイコン画面を表示する制御を行う(S208)。この制御により、表示部32に表示される画面は、通信エラー画面から、エラーアイコン35を含む機能選択画面に遷移され、その結果、表示部32には、図8(B)に示すようなエラーアイコン画面が表示される。操作対象の利用者は、表示部32に表示されたエラーアイコン画面を確認することができる。S208を実行した後、CPU22は、処理をS210に移行する。
図5のS142又は図6のS154での再送指示確認処理では、上述した通り、図5のS132での再送指示確認処理のS208にてエラーアイコン画面が表示されている。そのため、S206は肯定される(S206:Yes)。この場合、CPU22は、S208を実行することなく、処理をS210に移行する。S210でCPU22は、再送フラグに「OFF」を設定する(S210)。その後、CPU22は、再送指示確認処理を終了し、処理を通信装置処理に戻す。具体的な戻り先は、S204の実行後と同じである。
<携帯端末処理>
携帯端末装置50で実行される携帯端末処理について、図9〜図11を参照して説明する。携帯端末処理は、携帯端末装置50の利用者(操作対象の利用者)が操作部60を操作し、携帯端末処理のためのコンピュータプログラムを起動させる実行指示を入力した場合に開始される。実行指示の入力に伴い、CPU52は、表示部58に、タッチパネル機能を利用した操作部60を含む送信操作画面を表示する制御を行う。この制御によって、表示部58には、図12(A)に示すような送信操作画面(但し、「052−111−2222」を例とする相手先情報は非表示)が表示される。操作部60の「再送」ボタンは、押下できない状態(図12(A)で「再送」の部分における網点は、この状態を示す)とされる。また、操作対象の利用者は、例えば、実行指示の入力後に、送信データの宛先となる相手先情報と、送信データを指定する操作を行う。相手先情報の入力に伴い、送信操作画面には、入力された相手先情報が表示される(図12(A)参照)。CPU52は、この操作に従い、相手先情報と送信データを特定する。その後、操作対象の利用者は、「送信」ボタンを押下する。操作対象の利用者は、「送信」ボタンの押下前又は押下後の所定のタイミングで、携帯端末装置50を通信装置20にかざす。
携帯端末処理を開始したCPU52は、通信装置20との間でNFCが確立されたか否かを判断する(S300)。NFCの確立において、近距離通信部64から通信装置20に、図4のS100に関連して説明した接続要求が送信される。そして、CPU52は、NFCにおけるペアリングを実行し、通信装置20との間でNFCを確立する。携帯端末装置50が通信装置20にかざされていない等の理由でNFCが確立されない場合(S300:No)、CPU52は、S300を繰り返して実行する。NFCが確立された場合(S300:Yes)、CPU52は、近距離通信部64から通信装置20に自装置の端末IDと相手先情報を送信する制御を行う(S302)。この制御により、端末IDと相手先情報がNFCによって近距離通信部64から通信装置20に送信される。CPU52は、NFCが確立された場合(S300:Yes)等、所定のタイミングで、操作部60の「再送」ボタンを押下可能な状態(図12(B)参照)とする。
続けて、CPU52は、Wi−Fiハンドオーバーに従い、通信装置20との間で無線LAN通信を確立するための処理を制御する。そして、CPU52は、通信装置20との間で無線LAN通信が確立されたか否かを判断する(S304)。例えば、無線LAN通信を確立するための処理が実行途中で、無線LAN通信が確立されていない場合(S304:No)、CPU52は、前述した処理を継続して制御する。無線LAN通信が確立された場合(S304:Yes)、CPU52は、無線LAN通信部66から通信装置20に、相手先情報と共に特定された送信データを送信する制御を行う(S306)。この制御により、送信データが無線LAN通信によって無線LAN通信部66から通信装置20に送信される。
S306を実行した後、CPU52は、送信成功通知を取得したか否かを判断する(S308)。送信成功通知は、図4のS116で、通信装置20から無線LAN通信によって送信され、無線LAN通信部66で受信される。CPU52は、無線LAN通信部66を介して送信成功通知を取得する。送信成功通知を取得した場合(S308:Yes)、CPU52は、表示部58に通信成功画面(不図示)を表示する制御を行う(S309)。この制御によって、表示部58には、例えば、「ファクシミリ送信は成功しました」との情報を含む通信成功画面が表示される。送信成功通知の送受信を無線LAN通信によって行うことで、操作対象の利用者が移動し、通信装置20の近くに存在していなくても、無線LAN通信可能な範囲に存在していた場合、携帯端末装置50の表示部58に送信成功画面を表示することができる。その後、CPU52は、携帯端末処理を終了する。
送信成功通知を取得していない場合(S308:No)、CPU52は、操作対象の利用者がタッチパネル機能を利用した操作部60の「再送」ボタンを押下したか否かを判断する(S310)。CPU52は、送信操作画面における操作部60の「再送」ボタン(図12(B)参照)の押下の有無に従い、S310を判断する。操作対象の利用者は、図5のS128で表示部32に表示された通信エラー画面(図8(A)参照)に応じて失敗したファクシミリ送信を再送信する場合、「再送」ボタンを押下する。
「再送」ボタンが押下された場合(S310:Yes)、CPU52は、通信装置20との間でNFCを確立するための処理を制御し、NFCが確立されたか否かを判断する(S312)。NFCが確立されない場合(S312:No)、CPU52は、処理をS308に戻し、S308以降の処理を実行する。NFCを確立させるためには、「再送」ボタンの押下前又は押下後の所定のタイミングで、携帯端末装置50が通信装置20にかざされなければならない。即ち、携帯端末装置50と通信装置20をNFC可能な距離に接近した状態とする必要がある。通信装置20への携帯端末装置50のかざし方が不適切であった場合、又は、携帯端末装置50が通信装置20にかざされなかった場合、NFCが確立されない(図10のS322及び図11のS338について同じ)。NFCが確立された場合(S312:Yes)、CPU52は、近距離通信部64から通信装置20に再送指示を送信する制御を行う(S314)。この制御により、再送指示がNFCによって近距離通信部64から通信装置20に送信される。S314を実行した後、CPU52は、処理をS308に戻し、S308以降の処理を実行する。
「再送」ボタンが押下されていない場合(S310:No)、CPU52は、処理を図10のS316に移行し、送信失敗通知を取得したか否かを判断する。送信失敗通知は、図5のS136で、通信装置20から無線LAN通信によって送信され、無線LAN通信部66で受信される。CPU52は、無線LAN通信部66を介して送信失敗通知を取得する。送信失敗通知を取得した場合(S316:Yes)、CPU52は、表示部58に通信エラー画面を表示する制御を行う(S317)。この制御によって、表示部58には、図12(C)に示すような通信エラー画面が表示される。送信失敗通知によって、操作対象の利用者が通信装置20の近くに存在していなくても、無線LAN通信可能な範囲に存在していた場合、携帯端末装置50の表示部58に通信エラー画面を表示することができる。通信エラー画面における操作部60では、「再送」ボタンを含む全てのボタンが押下可能な状態とされる(図12(C)参照)。操作部60では、「送信」ボタンは、押下できない状態とするようにしてもよい。
CPU52は、S316が肯定(S316:Yes)される要因となった送信失敗通知を取得したタイミングから一定時間が経過しているか否かを判断する(S318)。S318における一定時間は、諸条件を考慮し、適宜設定される。例えば、一定時間は、上述したタイムアウト時間TY(図5のS140参照)に対応した時間とされる。一定時間が経過している場合(S318:Yes)、CPU52は、携帯端末処理を終了する。一定時間が経過していない場合(S318:No)、CPU52は、操作対象の利用者がタッチパネル機能を利用した操作部60の「再送」ボタンを押下したか否かを判断する(S320)。CPU52は、通信エラー画面における操作部60の「再送」ボタン(図12(C)参照)の押下の有無に従い、S320を判断する。
「再送」ボタンが押下されていない場合(S320:No)、CPU52は、処理をS318に戻し、S318を実行する。「再送」ボタンが押下された場合(S320:Yes)、CPU52は、通信装置20との間でNFCを確立するための処理を制御し、NFCが確立されたか否かを判断する(S322)。NFCが確立されない場合(S322:No)、CPU52は、処理をS318に戻し、S318以降の処理を実行する。NFCが確立された場合(S322:Yes)、CPU52は、近距離通信部64から通信装置20に再送指示を送信する制御を行う(S324)。この制御により、再送指示がNFCによって近距離通信部64から通信装置20に送信される。なお、図5のS142での再送指示確認処理(図7参照)のS202に関連して上述した通り、S324での再送指示の送信は、既に通信可能な状態である無線LAN通信にて行うようにしてもよい。この場合、S322は省略される。S324を実行した後、CPU52は、処理をS308に戻し、S308以降の処理を実行する。
説明をS316に戻し、送信失敗通知を取得していない場合(S316:No)、CPU52は、処理を図11のS326に移行し、操作対象の利用者がタッチパネル機能を利用した操作部60の「通信管理情報取得」ボタンを押下したか否かを判断する。送信失敗通知を取得していない場合(S316:No)、表示部58の表示は、例えば、携帯端末処理の開始後と同様、図12(B)の状態のままとされる。CPU52は、操作部60の「通信管理情報取得」ボタンの押下の有無に従い、S326を判断する。操作対象の利用者が送信結果を確認するため通信装置20の近くに戻ってきたような場合、操作対象の利用者は、例えば、エラーアイコン画面(図8(B)参照)が表示部32に表示されているか否かに基づき、「通信管理情報取得」ボタンを押下するか否かを判断する。例えば、エラーアイコン画面が表示されている場合、操作対象の利用者は、「通信管理情報取得」ボタンを押下する。エラーアイコン画面は、図5のS132での再送指示確認処理(図7参照)のS208にて表示される。
「通信管理情報取得」ボタンが押下されていない場合(S326:No)、CPU52は、処理を図9のS308に戻し、S308以降の処理を実行する。「通信管理情報取得」ボタンが押下された場合(S326:Yes)、CPU52は、通信装置20との間でNFCを確立するための処理を制御し、NFCが確立されたか否かを判断する(S328)。NFCが確立されない場合(S328:No)、CPU52は、処理を図9のS308に戻し、S308以降の処理を実行する。NFCを確立させるためには、「通信管理情報取得」ボタンの押下前又は押下後の所定のタイミングで、携帯端末装置50が通信装置20にかざされなければならない。即ち、携帯端末装置50と通信装置20をNFC可能な距離に接近した状態とする必要がある。通信装置20への携帯端末装置50のかざし方が不適切であった場合、又は、携帯端末装置50が通信装置20にかざされなかった場合、NFCは確立されない。NFCが確立された場合(S328:Yes)、CPU52は、近距離通信部64から通信装置20に送信結果取得指示を送信する制御を行う(S330)。この制御により、送信結果取得指示がNFCによって近距離通信部64から通信装置20に送信される。
続けて、CPU52は、送信失敗通知を取得する(S332)。送信失敗通知は、通信装置20で、S330で送信された送信結果取得指示が通信装置20で受信され取得された場合(図6のS148:Yes参照)に、通信装置20から送信され(図6のS150参照)、近距離通信部64で受信される。CPU52は、近距離通信部64を介して送信失敗通知を取得する。CPU52は、送信失敗通知の取得に伴い、表示部58に通信エラー画面を表示する制御を行う(S333)。この制御によって、表示部58には、図12(C)に示すような通信エラー画面が表示される。通信エラー画面における操作部60では、「再送」ボタンを含む全てのボタンが押下可能な状態とされる。操作部60では、「送信」ボタンは、押下できない状態とするようにしてもよい。
CPU52は、S332で送信失敗通知を取得したタイミングから一定時間が経過しているか否かを判断する(S334)。S334における一定時間は、諸条件を考慮し、適宜設定される。例えば、一定時間は、上述したタイムアウト時間TZ(図6のS152参照)に対応した時間とされる。一定時間が経過している場合(S334:Yes)、CPU52は、携帯端末処理を終了する。一定時間が経過していない場合(S334:No)、CPU52は、操作対象の利用者がタッチパネル機能を利用した操作部60の「再送」ボタンを押下したか否かを判断する(S336)。CPU52は、通信エラー画面における操作部60の「再送」ボタン(図12(C)参照)の押下の有無に従い、S336を判断する。
「再送」ボタンが押下されていない場合(S336:No)、CPU52は、処理をS334に戻し、S334を実行する。「再送」ボタンが押下された場合(S336:Yes)、CPU52は、通信装置20との間でNFCを確立するための処理を制御し、NFCが確立されたか否かを判断する(S338)。NFCが確立されない場合(S338:No)、CPU52は、処理をS334に戻し、S334以降の処理を実行する。NFCが確立された場合(S338:Yes)、CPU52は、近距離通信部64から通信装置20に再送指示を送信する制御を行う(S340)。この制御により、再送指示がNFCによって近距離通信部64から通信装置20に送信される。S340を実行した後、CPU52は、処理を図9のS308に戻し、S308以降の処理を実行する。
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)通信装置20では、携帯端末装置50からの要求に基づき図4のS110で開始されたファクシミリ送信が失敗した場合(図4のS112:No参照)、携帯端末装置50に送信失敗通知を送信する(図5のS136参照)こととした。そして、携帯端末装置50から再送指示が取得された場合(図5のS142及び図7のS202:Yes参照)、送信履歴用メモリで処理対象の通信番号に対応付けて記憶された相手先情報に従い、送信データ用メモリに記憶された送信データを再度ファクシミリ送信する(図4のS110参照)こととした。ファクシミリ送信が成功した場合(図4のS112:Yes参照)、成功したファクシミリ送信のための通信番号(処理対象の通信番号)と、処理対象の通信番号に対応付けられた相手先情報を含む各情報を、送信履歴用メモリから削除する(図4のS122参照)こととした。
そのため、携帯端末装置50にファクシミリ送信の失敗を通知することができる。携帯端末装置50では、送信失敗通知に基づき通信エラー画面(図12(C)参照)を表示部58に表示する(図10のS317参照)ことができる。操作対象の利用者は、通信エラー画面を確認し、ファクシミリ送信の失敗を知ることができる。再送信のための操作を携帯端末装置50と連携してスムーズに行うことができる。失敗したファクシミリ送信の再送信に関し、好適な操作性が実現された通信装置20とすることができる。ファクシミリ送信が成功した相手先情報を含む各情報が他人に取得又は利用されることを防止することができる。
再送指示カウンタに設定されたタイムアウト時間TY(図5のS140参照)又はタイムアウト時間TZ(図6のS152参照)がタイムアップしている場合(図7のS200:Yes参照)、又は、図5のS138が否定されたタイミングから一定時間が経過している場合(図6のS146:Yes参照)、処理対象の通信番号に対応付けられた相手先情報を含む各情報を、送信履歴用メモリから削除する(図4のS122参照)こととした。そのため、ファクシミリ送信が成功した場合と同様、相手先情報を含む各情報に対するセキュリティを確保することができる。処理対象の通信番号に対応付けられた相手先情報を含む各情報を送信履歴用メモリから削除するに際し、送信対象の通信番号に対応付けられた送信データ用保存場所に従い、この保存場所に記憶された送信データを送信データ用メモリから削除する(図4のS120参照)こととした。そのため、相手先情報を含む各情報と共に、送信データ用メモリに記憶された送信データについても、他人に取得又は利用されることを防止することができる。
(2)図4のS110で開始されたファクシミリ送信が成功した場合(図4のS112:Yes参照)、携帯端末装置50に送信成功通知を送信する(図4のS116参照)こととした。そのため、携帯端末装置50にファクシミリ送信の成功を通知することができる。携帯端末装置50では、例えば、「ファクシミリ送信は成功しました」との情報を含む通信成功画面を表示部58に表示する(図9のS309参照)ことができる。
(3)図4のS116での送信成功通知と、図5のS136での送信失敗通知は、無線LAN通信部40から無線LAN通信によって携帯端末装置50に送信されることとした。携帯端末装置50の利用者は、ファクシミリ送信のための所定の操作を行った後、通信装置20から離れた場所に移動することも想定される。このような場合であっても、通信範囲の広い無線LAN通信を利用することで、送信成功通知又は送信失敗通知の送信が成功する可能性を高めることができる。図6でのS150での送信失敗通知は、近距離通信部38からNFCによって携帯端末装置50に送信されることとした。S150は、近距離通信部38を介して送信結果取得指示が取得された場合(図6のS148:Yes参照)に実行される。従って、通信装置20と携帯端末装置50はNFCすることができる。通信可能なNFCにより、送信失敗通知をスムーズに送信することができる。
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。
(1)上記では、携帯端末装置50がスマートフォンである場合を例に説明した。携帯端末装置50は、上述した携帯端末処理(図9〜図11参照)を実行できるコンピュータ機能を備えた携帯型の端末装置であればよい。例えば、携帯端末装置50は、タブレット型のデバイスであってもよい。タブレット型のデバイスとしては、タブレット端末又はタブレットPCと称されるコンピュータ製品が例示される。タブレット型のデバイスは、上述した携帯端末装置50が備える各部52〜70のうち、回線通信部68を備えておらず、公衆回線12を介した通話等には対応していない場合もある。
(2)上記では、通信装置20と携帯端末装置50の間の無線通信について、NFCと無線LAN通信を例に説明した。両装置間の無線通信は、これらとは異なる方式の無線通信によって行われるようにしてもよい。両装置間で採用される無線通信は、2種類でなくてもよい。例えば、1種類の無線通信によって行われるようにしてもよい。採用する無線通信の方式及び/又は種類数は、データ量、通信範囲及び/又は操作性等の諸条件を考慮し、適宜決定するとよい。
通信装置処理(図4〜図6参照)、再送指示確認処理(図7参照)及び携帯端末処理(図9〜図11参照)において、NFCによって実行することとした少なくとも一部の無線通信は、無線LAN通信によって実行するようにしてもよい。同じく、無線LAN通信によって実行することとした少なくとも一部の無線通信は、NFCによって実行するようにしてもよい。採用する無線通信の方式は、データ量、通信範囲及び/又は操作性等の諸条件を考慮し、適宜決定するとよい。