JP6047865B2 - ラジアルころ軸受用保持器 - Google Patents

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本発明は、例えば、自動車や鉄道等の車両などに備えられた動力機構のように、大きなラジアル荷重(径方向への荷重)が負荷される回転系を軸支するためのラジアルころ軸受に用いられる保持器、具体的には、軸受が組み付けられる相手側部材の保持器端面案内部に制約があり、潤滑油が乏しい部位や貫通油性が要求される部位に用いられる保持器の改良に関する。
自動車や鉄道等の車両などに備えられた動力機構における回転系にはラジアル方向(径方向)へ非常に大きな荷重が加わるため、その回転軸を回転自在に支持する軸受には、当該荷重に対する負荷能力に優れたラジアルころ軸受(以下、ころ軸受や軸受ともいう)が従来から広く用いられている。
かかる軸受は、内周面に円筒状の外方軌道を有する外方部材(例えば、常時非回転状態に維持される外輪やハウジング、あるいは、使用時に回転可能な歯車やローラなど)と、当該外方部材の内径側に配された内方部材(例えば、使用時に回転可能な内輪やシャフトなど)の外周面(内方軌道)と前記外方軌道との間へ転動可能に組み込まれる複数のころ(例えば、複数本のニードルなど)と、これらのころを周方向へ所定間隔(一例として、等間隔)で配して保持するとともに、前記外方部材および前記内方部材へ組み付けられる保持器を備えている。そして、保持器は、所定間隔を空けて同心上に対向する一対の円環部と、これらを連結するとともに当該円環部間の領域を当該円環部の周方向に隔て、ころを挿入して回転自在に保持するためのポケットを形成する複数の柱部を備えて構成される。
保持器のポケットへころを保持することで、軌道間(外方軌道および内方軌道)での転動時に各ころが相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や焼付きなどの防止が図られている。加えて、このような回転抵抗の増大や焼付きなどをさらに効果的に防止すべく、通常は軸受潤滑(油潤滑やグリース潤滑)も併せて行われている。このため、軸受潤滑時における潤滑効率をより高めるべく、その潤滑性能の向上を図った各種の保持器構成が従来から知られている(特許文献1から3参照)。
例えば、これらの特許文献1から3に開示された保持器の構成例においては、円環部の外周部にポケットと連通する軸方向への切り欠きや溝を形成することで、潤滑剤の流動性を高め、保持器における潤滑性能の向上を図っている。
特開2007−78090号公報 実開平5−3642号公報 実開平5−3643号公報
その一方で、これらの構成例においては、円環部の外周部に切り欠きや溝が形成されているため、保持器の軸方向両端面の形態(つまり、一対の円環部の形態)がいずれも内径側と外径側でそれぞれ異なったものとなっている。具体的には、一対の円環部は、その内径側が連続(内径寸法が一定)する面域となっているのに対し、外径側は不連続の(外径寸法が上記切り欠きや溝の形成部位とそれ以外の部位とで相違する)面域となっている。
したがって、軸受を相手側部材(例えば、回転シャフトなど)に組み付けた際、相手側部材における軸受を回転案内するための部位が当該軸受の軸方向端面の全領域(軸受側の案内面)をカバーしないような構成となっている場合、特に、相手側部材の保持器端面案内径が軸方向の両側で異なるような場合(例えば、DCT(Dual Clutch Transmission:デュアルクラッチトランスミッション)の入れ子部位など)、次のような問題を招く虞がある。
すなわち、保持器の軸方向両端面(一対の円環部)において、内径側の連続部と比べて面積の小さい外径側の不連続部で、回転する軸受を軸方向案内した場合、ころスキューなどによる押し付け力によって前記不連続部を有する保持器端面が相手側部材の保持器端面案内部との間の摩擦により摩耗してしまう可能性がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、潤滑性能の向上を図りつつ、軸受が組み付けられる相手側部材における保持器端面の案内部が十分に確保されていない場合であっても、当該相手側部材に対する軸受(端的には、保持器)の組み付け方向の制約を受けることなく、軸方向両端面(つまり、一対のリム部)の外径側および内径側をいずれも連続面として相手側部材の案内部と接触させ、従来のような不連続面と比較してより広い面域で軸受を回転案内可能で、耐摩耗性に優れたラジアルころ軸受用保持器を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係るラジアルころ軸受用保持器は、潤滑剤によって軸受潤滑されるラジアルころ軸受に組み込まれ、転動体であるころを回転自在に保持するためのラジアルころ軸受用保持器であって、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向する一対の略円環状のリム部と、これらのリム部を連結するとともに、当該リム部間の空間領域を周方向に隔て、前記ころを挿入して回転自在に保持するためのポケットを形成する複数の柱部とを備え、前記一対のリム部は、いずれもその外径寸法および内径寸法が一定に設定され、それぞれのリム部は、径方向で外方に位置する外径側リム部と、径方向で内方に位置する内径側リム部と、前記外径側リム部と内径側リム部との間に挟まれた状態で周方向に設けられ、前記複数のポケットと連通することで、潤滑剤を流動させるテーパ状の通路部と、を有しており、前記テーパ状の通路部は、前記外径側リム部の内径寸法を外方側から徐々に縮径させた後、徐々に拡径させたものとし、前記内径側リム部の外径寸法を外方側から徐々に拡径させた後、徐々に縮径させたものとする。
またこの場合、前記欠損部を拡張させることで前記一対のリム部が拡径可能であるとともに、前記欠損部の拡張を防止することで前記一対のリム部を一定の径寸法に維持可能な係止機構を備えていてもよい。
その際、前記係止機構としては、相互に嵌合可能な凸部および凹部を備えることが可能である。
なお、前記一対のリム部は、いずれも複数の略円弧状の分割体を略円環状に組み付けた構成とすることも可能である。
本発明によれば、一対のリム部に対して潤滑剤を流動させるべく、ポケットと連通する通路部を設けることで、潤滑性能の向上を図りつつ、軸受が組み付けられる相手側部材における保持器端面の案内部が十分に確保されていない場合であっても、当該相手側部材に対する軸受(端的には、保持器)の組み付け方向の制約を受けることなく、軸方向両端面(つまり、一対のリム部)の外径側および内径側をいずれも連続面として相手側部材の案内部と接触させることができる。この結果、従来のような不連続面と比較してより広い面域で軸受を回転案内可能で、耐摩耗性に優れたラジアルころ軸受用保持器を実現することができる。
本発明の第1実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。 本発明の第5実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。 本発明の第6実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器の全体構成を示す斜視図である。
以下、本発明のラジアルころ軸受用保持器について、添付図面を参照して説明する。なお、本発明に係るラジアルころ軸受用保持器が組み込まれる軸受としては、自動車や鉄道等の車両などに備えられた動力機構(一例として、自動車のトランスミッション)における回転系を軸支するための軸受などを想定することが可能であるが、これに限定されるものではない。
かかる軸受は、内周面に円筒状の外方軌道を有する外方部材(例えば、常時非回転状態に維持される外輪やハウジング、あるいは、使用時に回転可能な歯車やローラなど)と、当該外方部材の内径側に配された内方部材(例えば、使用時に回転可能な内輪やシャフトなど)の外周面(内方軌道)と前記外方軌道との間へ転動可能に組み込まれる複数のラジアルころ(一例として、複数本のニードル)を備えている。なお、軸受のサイズ、内輪の有無、ころのサイズ(径や長さ)および個数などは、軸受の使用条件や使用目的などに応じて任意に設定することが可能であるため、ここでは特に限定しない。
転動体であるころは、軌道間(外方軌道および内方軌道)での転動時において、各ころが相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や焼付きなどを防止すべく、軸受用保持器によってそのポケット内で回転自在に保持される。そして、このような回転抵抗の増大や焼付きなどをさらに効果的に防止すべく、軸受潤滑(油潤滑やグリース潤滑)が行われている。なお、軸受用保持器は、転動体案内(ころ案内)、外輪案内、および内輪案内のいずれの案内方式としても構成可能である。
図1には、本発明の第1実施形態に係るラジアルころ軸受用保持器(以下、単に保持器ともいう)2の構成が示されている。なお、本実施形態においては、保持器2が所定の弾性材製(一例として、樹脂製)であり、当該弾性材を金型へ射出することによって全体(後述するリム部4a,4bおよび柱部6)が一体成形されている場合(射出成形)を想定するが、既知の他の方法によって成形することを排除するものではない。例えば、削り出し保持器とすることも想定可能である。また、射出成形後の成形体に対して切削加工や研削加工などを別途施し、完成品としての保持器2を形成しても構わない。
本実施形態において、保持器2は、上述したように、潤滑剤(潤滑油やグリース)によって軸受潤滑されるラジアルころ軸受に組み込まれ、転動体であるころを回転自在に保持している。かかる保持器2は、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向する一対の略円環状のリム部4a,4bと、これらのリム部4a,4bを連結するとともに、当該リム部4a,4b間の空間領域を周方向に隔て、ころ(ニードル(図示しない))を挿入して回転自在に保持するためのポケット10を形成する複数の柱部6とを備えて構成されている。すなわち、周方向に隣り合う二つの柱部6、および一対のリム部4a,4bで囲まれた空間に一つのポケット10が形成されており、これにより、保持器2は、柱部6とポケット10が周方向へ交互に配された構造をなすとともに、各ポケット10に一つずつころが挿入され、これらのころが周方向に対して等間隔(均一ピッチ)で配される構造をなす。
なお、柱部6により形成するポケット10の大きさは、ころの径寸法および長さに応じ、ポケット10において当該ころを回転自在に保持可能となるように設定すればよく、ポケット10の数(別の捉え方をすれば、柱部6の数)は、保持器2の容量(保持させるころの個数)に合わせて任意に設定すればよい。また、ポケット面(ころの周面との接触面)の形態(別の捉え方をすれば、隣り合う柱部6の周方向対向面の表面形状)は、凹曲面状(例えば、ころの周面よりもわずかに曲率の小さな凹曲面状など)とすればよい。ポケット10の周縁部には、当該ポケット10へ挿入したころが脱落不能に保持されるように、ポケット開口を狭めるような突出部(例えば、ころを把持する爪状の突起など)を設けることも可能である。
一対のリム部4a,4bは、いずれもその外径寸法および内径寸法が一定に設定され、潤滑剤を流動させるための通路部42a,42bを有している。かかる通路部42a,42bは、少なくとも複数のポケット10と連通するように各リム部4a,4bをそれぞれ軸方向へ貫通している。図1には、各リム部4a,4bにその周方向に沿った円環状をなす溝を通路部42a,42bとして形成した保持器2の構成を一例として示している。すなわち、各リム部4a,4bは、いずれも通路部42a,42を挟んで外径側リム部44a,44bと内径側リム部46a,46bが同心上に並んだ二重の円環構造をなす。
この場合、通路部42a,42bは、周方向へ沿って連続しており、周方向に対してポケット10と同一位相をなす部位において軸方向の一方側から他方側までリム部4a,4bを貫通し、当該ポケット10と連通している。なお、その際には、ポケット10の周方向幅の全域に亘って当該ポケット10と通路部42a,42bを連通させてもよいし、前記周方向幅の一部のみで通路部42a,42bを連通させた構成としても構わない。また、周方向に対して柱部6と同一位相をなす部位においては、通路部42a,42bの軸方向底部(溝底)と当該柱部6の軸方向端部の軸方向位置が略一致するように当該通路部42a,42bの軸方向深さを調整すればよい。ただし、通路部42a,42bとポケット10との連通口よりも通路部42a,42bの底部(溝底)が浅い状態(柱部6の軸方向端部が前記連通口よりも突出した状態に相当)とすることも想定可能である。
また、図1に示す構成において、通路部42a,42bは、外径寸法(別の捉え方をすれば、外径側リム部44a,44bの内径寸法)および内径寸法(同、内径側リム部46a,46bの外径寸法)が軸方向に対して一定の径寸法に設定されている。すなわち、通路部42a,42b(別の捉え方をすれば、外径側リム部44a,44bの内周部および内径側リム部46a,46bの外周部)は、軸方向に対して一定外内径の円筒状(いわゆるストレート円筒状)をなしている。
なお、通路部42a,42bの径方向幅(外内径寸法差)、別の捉え方をすれば、外径側リム部44a,44bの内径寸法と内径側リム部46a,46bの外径寸法との差寸は、保持器2の大きさや材質(強度)などに応じて任意に設定することが可能である。また、通路部42a,42bの径方向位置(外径寸法および内径寸法)、別の捉え方をすれば、外径側リム部44a,44bの内径寸法および内径側リム部46a,46bの外径寸法も、同様に保持器2の大きさや材質(強度)などに応じて任意に設定して構わない。
このように、一対のリム部4a,4bに対して通路部42a,42bを設けることで、これらの通路部42a,42bに潤滑剤を引き込むことができるとともに、引き込んだ潤滑剤を一旦貯留させることができる。また、一方のリム部の通路部(一例として、リム部4aの通路部42a)からポケット10へ潤滑剤を容易に流動させ、当該ポケット10に保持されたころに対して充分に潤滑剤を供給することができるとともに、他方のリム部の通路部(同、リム部4bの通路部42b)を通して潤滑剤をスムーズに排出させることができる。したがって、保持器2において、一方の通路部(一例として、通路部42a)からポケット10を介して他方の通路部(同、通路部42b)に至る給油経路を確保することができ、潤滑剤の流動性(貫通油性)を高めることができ、潤滑性能の向上を図ることができる。
なお、図1には、外径寸法(外径側リム部44a,44bの内径寸法)および内径寸法(内径側リム部46a,46bの外径寸法)を軸方向に対して一定の径寸法に設定し、通路部42a,42b(外径側リム部44a,44bの内周部および内径側リム部46a,46bの外周部)を軸方向に対して一定外内径の円筒状(ストレート円筒状)とした構成を示しているが、通路部の構成はこのような円筒状には限定されない。例えば、外周部および内周部の少なくともいずれか一方がテーパ状もしくは凸曲状をなすように、外径寸法もしくは内径寸法を軸方向の外方側と内方側で異なる寸法に設定した通路部の構成とすることも可能である。その一例として、外周部および内周部の双方がテーパ状をなすように、外径寸法および内径寸法をいずれも軸方向の外方側と内方側で異なる寸法に設定した通路部の構成を、本発明の第2実施形態として図2に示す。その際、上述した第1実施形態(図1)と同一もしくは類似する構成部材については、同一符号を付する。
かかる第2実施形態において、保持器20の一対のリム部4a,4bは、外周部および内周部の双方をテーパ状とした通路部52a,52bを有しており、当該通路部52a,52bを挟んで外径側リム部44a,44bと内径側リム部46a,46bが同心上に並んだ二重の円環構造をなしている。図2には、外径寸法(別の捉え方をすれば、外径側リム部44a,44bの内径寸法)を軸方向の外方側と内方側で異なる寸法に設定し(一例として、外方側から徐々に縮径させた後、徐々に拡径させたテーパ状とし)、内径寸法(別の捉え方をすれば、内径側リム部46a,46bの外径寸法)を軸方向の外方側と内方側で異なる寸法に設定した(一例として、外方側から徐々に拡径させた後、徐々に縮径させたテーパ状とした)通路部52a,52bの構成を示している。通路部52a,52bをこのようなテーパ状とすることで、潤滑剤をより引き込み易くすることができるとともに、より排出させ易くすることができ、潤滑剤の流動性(貫通油性)をさらに高め、潤滑性能の一層の向上を図ることができる。このような作用効果を考慮すれば、通路部52a,52bはテーパ状や凸曲状とすればよいが、潤滑剤の流動性を高めることが可能であれば、これらを組み合わせた形状やその他の形状(例えば、通路部52a,52bの外内周部(外径側リム部44a,44bの内周部および内径側リム部46a,46bの外周部)に螺旋状の溝を形成した構造など)であっても構わない。双方のリム部4a,4bに異なる通路部を配すること(例えば、一方をテーパ状、他方を凸曲状とすること)も想定可能である。
なお、本実施形態において、通路部52a,52bは、周方向へ沿って連続しており、周方向に対してポケット10と同一位相をなす部位において軸方向の一方側から他方側までリム部4a,4bを貫通し、当該ポケット10と連通する構造をなすことは、上述した第1実施形態(図1)と同様である。したがって、同様に、ポケット10の周方向幅の全域に亘って当該ポケット10と通路部52a,52bを連通させてもよいし、前記周方向幅の一部のみで通路部52a,52bを連通させた構成としても構わない。また、周方向に対して柱部6と同一位相をなす部位においては、通路部52a,52bの軸方向底部(溝底)と当該柱部6の軸方向端部の軸方向位置が略一致するように当該通路部52a,52bの軸方向深さを調整すればよい。ただし、通路部52a,52bとポケット10との連通口よりも通路部52a,52bの底部(溝底)が浅い状態(柱部6の軸方向端部が前記連通口よりも突出した状態に相当)とすることも想定可能であることは、上述した第1実施形態(図1)と同様である。
また、本実施形態において、柱部6には、ころの転動面に対応して外径側を凹状に窪ませてなる縮径部66が形成されているとともに、内径側を凹状に窪ませてなる拡径部68が形成されている。この場合、縮径部66は、柱部6の外径側の軸方向中央部近傍へ周方向全幅に亘って形成されており、拡径部68は、柱部6の内径側の軸方向両端部近傍へ周方向全幅に亘って形成されている。したがって、本実施形態において、柱部6は、その径方向の肉厚が縮径部66および拡径部68の分だけ薄肉となるように構成されている。すなわち、縮径部66および拡径部68は、ころの転動面に対応して、換言すれば外方軌道および内方軌道に対応して形成されているため、これら外方軌道および内方軌道に沿って柱部6を薄肉とすることができる。つまり、外方軌道および内方軌道に沿って潤滑剤を容易に貯留および排出させることが可能となり、ポケット10に保持されたころの転動面への給油を切らすことなく、ころ転動時における潤滑性をより一層確実に高めることができる。
縮径部66および拡径部68の大きさや形状、柱部6における形成位置などは特に限定されず、任意に設定することが可能である。例えば、縮径部を柱部6の外径側の軸方向両端部近傍へ形成し、拡径部を柱部6の内径側の軸方向中央部近傍へ形成した構成や、縮径部および拡径部を柱部6の周方向幅の一部のみに亘って形成した構成なども想定可能である。
また、図2には、各柱部6に対して同一の縮径部66および拡径部68を同一箇所に形成した構成を一例として示しているが、例えば、一部の柱部6にのみ同一の縮径部および拡径部を形成した構成や、縮径部のみを形成した柱部および拡径部のみを形成した柱部を混在させた構成、あるいは、それぞれ異なる形態をなす複数の縮径部および拡径部を任意の柱部に任意の組み合わせで形成した構成などとすることも想定可能である。
なお、上述した第1実施形態(図1)において、このような縮径部および拡径部(例えば、第2実施形態と同様の縮径部66および拡径部68(図2))を柱部6に対して形成しても構わない。
上述した第1実施形態(図1)および第2実施形態(図2)においては、いずれも通路部42a,42b,52a,52bを周方向へ沿って連続する円環状(各リム部4a,4bを外径側リム部44a,44b,54a,54bと内径側リム部46a,46b,56a,56bが同心上に並ぶ二重の円環構造)としているが、通路部は、周方向へ沿って断続するように所定間隔で配することも可能である。図3には、通路部をこのように周方向へ沿って断続して等間隔で配した保持器30の構成を、本発明の第3実施形態として示す。その際、上述した第1実施形態(図1)および第2実施形態(図2)と同一もしくは類似する構成部材については、同一符号を付する。
かかる第3実施形態において、通路部72a,72bは、周方向へ沿って断続しており、周方向に対してポケット10と同一位相をなす部位において軸方向の一方側から他方側までリム部4a,4bを貫通し、当該ポケット10と連通している。すなわち、通路部72a,72bは、ポケット10に対応して周方向へ等間隔で、かつポケット10と同数でリム部4a,4bに穿孔された貫通孔となっている。なお、その際には、ポケット10の周方向幅の全域に亘って当該ポケット10と通路部72a,72bを連通させてもよいし、前記周方向幅の一部のみで通路部72a,72bを連通させた構成としても構わない。
このように通路部72a,72bを周方向へ沿って断続させることで、通路部を周方向へ沿って連続させた場合(例えば、上述した第1実施形態(図1)や第2実施形態(図2)など)と比べ、リム部4a,4b自体の強度を高めることができる。したがって、より大きな保持器強度が求められる用途などにおいて優位性をもった形態となる。
図3には、ポケット10の配設間隔(換言すれば、柱部の周方向に対する幅寸法)よりも小さな間隔で等配された通路部72a,72bの構成を一例として示している。この場合、通路部72a,72bは、軸方向外方側の開口(ポケット10との連通側とは反対側の開口)から周方向の両側内面をその対向間隔がポケット10の周方向幅となるまで徐々に近接させた凸曲状(いわゆるR状)をなしている。これにより、本実施形態のように通路部72a,72bを断続して配した場合であっても、潤滑剤をより引き込み易くすることができるとともに、より排出させ易くすることができる。なお、軸方向外方側の開口近傍をこのような凸曲状(R状)ではなく、周方向に対してテーパ状とした構成としても構わない。また、軸方向外方側の開口近傍を凸曲状(R状)やテーパ状とせず、ストレート状とした構成とすることも可能ではあるが、潤滑剤の引き込み性や排出性を考慮すれば、軸方向外方側の開口近傍は周方向に対して凸曲状(R状)やテーパ状とすることが好ましい。
貫通孔である通路部72a,72bの大きさや形状、形成数などは特に限定されず、保持器30の大きさや材質(強度)などに応じて任意に設定することが可能である。例えば、隣り合う複数のポケット10に対応して(一例として、隣り合う2つのポケット10に対応する周方向領域に亘って)周方向へ等間隔で通路部をリム部4a,4bに配した(穿孔した)構成なども想定可能である。
また、図3には、一対のリム部4a,4bに対していずれも同一の通路部72a,72bを配した保持器30の構成を一例として示しているが、例えば、双方のリム部4a,4bで異なる形態をなす通路部や、各リム部4a,4bにおいても異なる複数形態の通路部を組み合わせて配した構成などとすることも想定可能である。
なお、本実施形態において、一対のリム部4a,4bは、その外径寸法が柱部6の外径寸法よりも大寸に設定されている。すなわち、保持器30は、柱部6の軸方向両端部において、当該柱部6よりも一対のリム部4a,4bが拡径方向へ全周に亘って突出し、段差74を有する構成をなす。なお、一対のリム部4a,4bと柱部6の外径寸法の差寸(つまり、段差74の高さに相当)は、保持器30の大きさやころの径寸法などに応じて任意に設定すればよい。
このように、一対のリム部4a,4bの外径寸法を柱部6よりも大寸に設定することで、ころの転動面(換言すれば、外方軌道および内方軌道)に沿って柱部6を薄肉とした場合(上述した第2実施形態(図2))と同様の効果を奏することができる。すなわち、一対のリム部4a,4bに対して柱部6を径方向に凹んだ状態とすることができるため、外方軌道および内方軌道に沿って潤滑剤を容易に貯留および排出させることが可能となり、ポケット10に保持されたころの転動面への給油を切らすことなく、ころ転動時における潤滑性をより一層確実に高めることができる。
ここで、上述した第1実施形態から第3実施形態(図1から図3)においては、一対のリム部4a,4bをそれぞれ一連の略円環状として保持器2,20,30を構成しているが、一対のリム部をそれぞれ一箇所ずつ欠損部を有する非連続の欠円環状(略C字状)とした保持器構成とすることも可能であり、このような構成であっても上述した各実施形態(図1から図3)と同様の作用効果を奏することができる。
図4および図5には、一対のリム部をそれぞれ一箇所ずつ欠損部を有する非連続の欠円環状(略C字状)とした保持器の構成例をそれぞれ示している。
以下、図4に示す保持器構成を第4実施形態、図5に示す保持器構成を第5実施形態としてそれぞれ説明する。なお、これら第4実施形態(図4)および第5実施形態(図5)に係る保持器は、一対のリム部がそれぞれ一箇所ずつ欠損部を有する非連続の欠円環状(略C字状)となっているが、いずれも一対のリム部に対して通路部を配した構成となっており、その基本的な保持器構成は、上述した第1実施形態(図1)に係る保持器2と共通している。したがって、これと同一もしくは類似する部材については図面上で同一符号を付して説明を省略もしくは簡略化し、各実施形態(図4および図5)に特有の構成についてのみ詳述する。
図4には、第4実施形態に係る保持器40の構成が示されている。一対のリム部34a,34bは、それぞれ一箇所ずつ欠損部38a,38bを有する非連続の欠円環状(略C字状)をなし、各リム部34a,34bの欠損部38a,38bが周方向に対して同一の位相をなした状態(周方向に対する欠損部38a,38bの位置が一致している状態)で、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向配置されている。すなわち、保持器40は、周方向に対して一つの割れ部32を有する外観形状が略円筒状をなす(いわゆる一つ割れの保持器構造)。その際、リム部34aとリム部34bの径寸法や軸方向に対する対向間隔は、軸受のサイズなどに応じて任意に設定すればよい。
なお、一対のリム部34a,34bが軸方向に対して一定外内径の円筒状をなす通路部42a,42bを有し、各リム部34a,34bがいずれも通路部42a,42を挟んで外径側リム部35a,35bと内径側リム部36a,36bが同心上に並んだ二重の円環構造をなすことは、上述した第1実施形態(図1)と同様である。この場合、通路部42a,42bが周方向へ沿って連続しており、周方向に対してポケット10と同一位相をなす部位において軸方向の一方側から他方側までリム部34a,34bを貫通し、当該ポケット10と連通していることも上述した第1実施形態(図1)と同様である。したがって、ポケット10の周方向幅の全域に亘って当該ポケット10と通路部42a,42bを連通させてもよいし、前記周方向幅の一部のみで通路部42a,42bを連通させた構成としても構わない。また、周方向に対して柱部6と同一位相をなす部位においては、通路部42a,42bの軸方向底部(溝底)と当該柱部6の軸方向端部の軸方向位置が略一致するように当該通路部42a,42bの軸方向深さを調整すればよい。ただし、通路部42a,42bとポケット10との連通口よりも通路部42a,42bの底部(溝底)が浅い状態(柱部6の軸方向端部が前記連通口よりも突出した状態に相当)とすることも想定可能である。
また、通路部を上述した第2実施形態(図2)と同様に、一対のリム部34a,34bの外周部および内周部の双方(もしくは一方)をテーパ状や凸曲状としてなる構成とすることも可能である。あるいは、通路部を上述した第3実施形態(図3)と同様に、周方向へ沿って断続するように所定間隔で配した構成とすることも可能である。なお、いずれの場合であっても、柱部6に対して縮径部および拡径部(例えば、第2実施形態と同様の縮径部66および拡径部68(図2))を形成して構わないし、一対のリム部34a,34bと柱部6との間に段差(例えば、第3実施形態と同様の段差74(図3))を形成しても構わない。
複数の柱部6は、一対のリム部34a,34bを軸方向に連結するとともに当該リム部34a,34b間の領域を当該リム部43a,34bの周方向に隔て、転動体であるころ(ニードル(図示しない))を挿入して回転自在に保持するためのポケット10を形成している。すなわち、保持器40は、周方向に隣り合う二つの柱部6、および一対のリム部34a,34bで囲まれた空間に一つのポケット10が形成され、これら柱部6とポケット10が周方向へ交互に配された構造となる。ただし、各リム部34a,34bの欠損部38a,38bに対して周方向の両側に近接して配された二つの柱部6(以下、欠損部近接柱部62,64という)によって隔てられるリム部34a,34b間の領域には、割れ部32が存在し、ポケット10は形成されない。したがって、保持器40は、かかる領域(つまり割れ部32)に限ってころが欠落する構造、すなわち、当該領域以外は各ポケット10に一つずつころが挿入され、これらのころが周方向に対して等間隔(均一ピッチ)で配される構造をなす。
なお、柱部6により形成するポケット10の大きさは、ころの径寸法および長さに応じ、ポケット10において当該ころを回転自在に保持可能となるように設定すればよく、ポケット10の数(別の捉え方をすれば、柱部6の数)は、保持器40の容量(保持させるころの個数)に合わせて任意に設定すればよい(上述した第1実施形態(図1)と同様)。
このように、一対のリム部34a,34bにそれぞれ一箇所ずつ欠損部38a,38bを形成し、保持器40が周方向に対して一つの割れ部32を有する構造(いわゆる一つ割れの保持器構造)とすることで、かかる保持器40に対して割れ部32を拡張させる方向、別の捉え方をすれば、各リム部34a,34bの周方向両端面(欠損部38a,38bにおける対向面)をそれぞれ離間させる方向へ力が加わると、保持器40の全体が弾性変形される。この結果、割れ部32(欠損部38a,38b)を拡張させること、すなわち、保持器40(端的にはリム部34a,34b)を拡径させることができる。また、この状態から割れ部32を縮小させる方向、別の捉え方をすれば、各リム部34a,34bの周方向両端面(欠損部38a,38bにおける対向面)をそれぞれ近接させる方向へ力が加わると、保持器40の全体が上記割れ部32の拡張前のもとの状態に弾性変形される。この結果、割れ部32(欠損部38a,38b)を縮小させてもとの状態まで戻すこと、すなわち、保持器40(端的にはリム部34a,34b)を縮径させてもとの径寸法(拡径前の径寸法)まで戻すことができる。なお、保持器40に対して割れ部32を縮小させる方向へ力を加えることなく、割れ部32を拡張させる方向へ加えていた力を解除することによる保持器40自体の弾性復元力のみで、あるいは、当該弾性復元力に前記縮小方向への力を加えつつ、保持器40を縮径させ、もとの径寸法(拡径前の径寸法)まで戻すような保持器構成も想定可能である。
これにより、保持器40の径寸法を自由に拡縮させることができ、各種大きさの段部や鍔部などを有する内方部材などに対して保持器40を容易に組み付けることができる。例えば、外径寸法が保持器の内径寸法よりも大寸に設定された段部やフランジ状の鍔部などがシャフト外周面域に突設されている回転シャフトの内方軌道部分へ保持器40を組み付ける場合であっても、保持器40の割れ部32を拡張させること(保持器40を拡径させること)で、保持器40をかかる段部や鍔部と干渉させることなく、回転シャフトの内方軌道部分まで軸方向へスムーズに移動させることができる。
保持器40を前記のような回転シャフトへ組み付けた後は、保持器40の割れ部32(欠損部38a,38b)が再度拡張され、当該保持器40の脱落や位置ずれなどが生ずることを防止する必要があり、保持器40にはかかる事態を防止するための係止機構が備えられている。すなわち、係止機構は、欠損部38a,38bの拡張(端的には再拡張)を防止することで、一対のリム部34a,34bを一定の径寸法に維持し、保持器40を定常径寸法に保つことを可能とする。
図4には、相互に嵌合される凸部12aと凹部12bを係止機構として備えた保持器40の構成を例示している。この場合、割れ部32を挟んで周方向に隣り合い、対向配置された欠損部近接柱部62,64のうち、一方側(一例として、欠損部近接柱部62)には凸部12a、他方側(同、欠損部近接柱部64)には凹部12bをそれぞれ設けている。凸部12aは、欠損部近接柱部62における欠損部近接柱部64との対向面から周方向へ所定の形状および大きさ(長さ)で突出し、凹部12bは、前記凸部12aを嵌合可能となるように、欠損部近接柱部64における欠損部近接柱部62との対向部分を、所定の形状および大きさ(周方向への深さ)で内径側から外径側まで切り欠いている。なお、凸部12aおよび凹部12bは、相互に嵌合可能であれば、これらの形状および大きさ(長さや深さ)などは特に限定されず、保持器40の材質、大きさ(径寸法や幅)などに応じて任意に設定すればよい。また、前記係止機構は、保持器40の割れ部32(欠損部38a,38b)の再拡張を抑止することが可能であれば、相互に嵌合可能な凸部12aと凹部12bのような機構に限定されるものではなく、既知の各種機構に適宜変更可能である。
例えば、係止機構は、割れ部32(欠損部38a,38b)を挟んで周方向の一方側から第1の凸部が突出し、他方側の第1の凹部と嵌合されるとともに、当該割れ部32(欠損部38a,38b)を挟んで周方向の他方側から第2の凸部が突出し、一方側の第2の凹部と嵌合される構造(軸方向に対して互い違い(オフセットさせても可)に嵌合される構造)や、径方向に重畳する構造などとすることが可能である。
なお、一対のリム部34a,34bには、一方のリム部においてその欠損部38a,38bを挟んで対向する周方向両端部のうちの一端部と、他方のリム部においてその欠損部38a,38bを挟んで対向する周方向両端部のうち、前記一端部と周方向に対して反対側の端部とを相互に連結する伸縮自在な弾性連結部を設けてもよい。あるいは、前記一方のリム部においてその欠損部38a,38bを挟んで対向する周方向両端部のうちの一端部と、前記他方のリム部においてその欠損部38a,38bを挟んで対向する周方向両端部のうち、前記一端部と周方向に対して同一側の端部とを相互に連結する伸縮自在な弾性連結部を設けることも可能である。この場合、かかる弾性連結部は、上述した第4実施形態(図4)における係止機構(凹部12aおよび凸部12b)に代えて、保持器に対して設ければよい。
図5には、このような弾性連結部を設けた保持器50の構成例を示しており、同図に示す構成例を本発明の第5実施形態として、以下に説明する。なお、かかる第5実施形態(図5)においては、係止機構に代えて弾性連結部が設けられているが、それ以外の構成は、上述した第4実施形態(図4)と同様としている(これと同一もしくは類似する構成部材については、図面上で同一符号を付する)。
第5実施形態においては、図5に示すように、一対のリム部34a,34bには、一方のリム部(一例として、リム部34a)においてその欠損部38aを挟んで対向する周方向両端部のうちの一端部と、他方のリム部(同、リム部34b)においてその欠損部38bを挟んで対向する周方向両端部のうちの他端部とを相互に連結する伸縮自在な弾性連結部16が設けられている。
具体的には、リム部34aの欠損部38aを挟んで対向する周方向両端部のうちの一端部とリム部34bの欠損部38bを挟んで対向する周方向両端部のうちの他端部とを弾性連結部16が相互に連結している。すなわち、弾性連結部16は、欠損部近接柱部62とリム部34aとの連結部分(欠損部近接柱部62のリム部34a側の根元部分)から、欠損部近接柱部64とリム部34bとの連結部分(欠損部近接柱部64のリム部34b側の根元部分)までに亘って、割れ部32へたすき状に架け渡され、当該割れ部32を二分している(図5参照)。ただし、弾性連結部を図5とは逆のたすき状をなして割れ部32へ架け渡してもよい(欠損部近接柱部62とリム部34bとの連結部分(欠損部近接柱部62のリム部34b側の根元部分)から、欠損部近接柱部64とリム部34aとの連結部分(欠損部近接柱部64のリム部34a側の根元部分)までに亘って、割れ部32へたすき状に架け渡した構成)。
このように、リム部34a,34bの間を弾性連結部16で連結することで、保持器50に対して割れ部32(端的にはリム部34a,34bの欠損部38a,38b)を拡張させる方向へ力が加わると、弾性連結部16が周方向の双方(割れ部32の拡張方向)へ弾性変形し、当該弾性連結部16が伸長される。この結果、割れ部32(欠損部38a,38b)を拡張させること、すなわち、保持器50を拡径させることができる。また、割れ部32(端的にはリム部34a,34bの欠損部38a,38b)を縮小させる方向へ保持器50に対して力が加わると、弾性連結部16が上記割れ部32の拡張時とは周方向に対して逆方向へ弾性変形されて伸長し、割れ部32をつぶす。この結果、割れ部32(欠損部38a,38b)を縮小させること、すなわち、保持器50を縮径させることができる。
そして、保持器50に対して作用させていた所定の力(割れ部32(欠損部38a,38b)の拡張方向もしくは縮小方向への力)を解除すると、弾性連結部16が弾性復元力によりもとの状態まで戻され、保持器50の割れ部32(欠損部38a,38b)、換言すれば、保持器50の径寸法をもとの状態まで戻すことが可能となる。なお、保持器50は、弾性連結部16の伸長量の限度内において拡径され、その限度を超えて過度に拡径されることはなく、一対のリム部34a,34bの欠損部38a,38bを挟んで対向する周方向両端部が接触されるまでの範囲内において縮径され、その接触範囲を超えて過度に縮径されることはない。
このように、弾性連結部16は、いわゆるバネの役目を果たして保持器50の径寸法を所定範囲内において自由に拡大、および縮小させている(いわゆるバネ付きの保持器構成)。これにより、例えば、保持器50が組み込まれた軸受がギアと一体回転し、その際に生じる遠心力によって保持器50を径方向へ拡げる(拡径させる)一方で、低回転時(減速時)には当該保持器50をもとの状態までスムーズに戻す(縮径させる)ことで、ポケット面ところの周面(転動面)との接触位置を変動調整させることができ、かかる保持器50に対するフレッチングなどの損傷の発生を有効に防止することが可能となる。また、保持器50が組み込まれた軸受に対して非常に大きな荷重(例えば、ラジアル荷重)が負荷された場合であっても、当該保持器50を柔軟に拡径あるいは縮径させることでポケット面ところの周面との接触位置を変動調整させ、負荷荷重を効率的に逃がすことが可能となる。したがって、保持器50の耐久性(一例として、耐フレッチング性)の向上を図ることが可能となる。
なお、弾性連結部は、上述した第4実施形態(図4)に係る係止機構と同様に、径方向に対して重畳する構造、例えば、外径側と内径側で交差して重なる二重構造(一例として、交差するたすき状の二重バネ構造)などとすることも可能である。
本発明に係る保持器において、一対のリム部は、いずれも複数の略円弧状の分割体を略円環状に組み付けた構成(非連続の欠円環状)としても構わない。
図6には、本発明の第6実施形態に係る保持器60の構成を示しており、この場合、一対のリム部90a,90bを、いずれも2つの略円弧状の分割体92a,94a,92b,94bからなる二分割構造としている。なお、本実施形態に係る保持器60は、一対のリム部90a,90b、より具体的には、その分割体92a,94a,92b,94bに対していずれも通路部を配した構成となっており、その基本的な保持器構成は、上述した第1実施形態(図1)に係る保持器2と共通している(これと同一もしくは類似する部材については図面上で同一符号を付する)。
図6に示すように、一対のリム部90a,90bは、いずれも2つの略円弧状の分割体92a,94a,92b,94bからなる二分割構造をなし、各リム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)の欠損部96a,98a,96b,98bが周方向に対して同一の位相をなした状態(周方向に対する欠損部96a,96bおよび欠損部98a,98bの位置が一致している状態)で、軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向配置されている。すなわち、保持器90は、周方向に対して二つの割れ部32m,32nを有する外観形状が略円筒状をなす(いわゆる二つ割れの保持器構造)。その際、リム部90a(分割体92a,94a)とリム部90b(分割体92b,94b)の径寸法や軸方向に対する対向間隔は、軸受のサイズなどに応じて任意に設定すればよい。
第6実施形態において、各分割体92a,94aは、軸方向に対して一定外内径の略半円筒状をなす通路部82a,84aを有しており、これらを組み合わせたリム部90aは、通路部82a,84aを挟んで外径側リム部81a,85aと内径側リム部83a,87aが同心上に並んだ二重の略半円環構造をなしている。同様に、各分割体92b,94bは、軸方向に対して一定外内径の略半円筒状をなす通路部82b,84bを有しており、これらを組み合わせたリム部90bは、通路部82b,84bを挟んで外径側リム部81b,85bと内径側リム部83b,87bが同心上に並んだ二重の略半円環構造をなしている。この場合、通路部82a,84a,82b,84bが周方向へ沿って連続しており、周方向に対してポケット10と同一位相をなす部位において軸方向の一方側から他方側までリム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)を貫通し、当該ポケット10と連通していることは、上述した第1実施形態(図1)と同様である。したがって、ポケット10の周方向幅の全域に亘って当該ポケット10と通路部82a,84a,82b,84bを連通させてもよいし、前記周方向幅の一部のみで通路部82a,84a,82b,84bを連通させた構成としても構わない。また、周方向に対して柱部6と同一位相をなす部位においては、通路部82a,84a,82b,84bの軸方向底部(溝底)と当該柱部6の軸方向端部が一致するように当該通路部82a,84a,82b,84bの軸方向深さを調整すればよい。ただし、通路部82a,84a,82b,84bとポケット10との連通口よりも通路部42a,42bの底部(溝底)が浅い状態(柱部6の軸方向端部が前記連通口よりも突出した状態に相当)とすることも想定可能である。
また、通路部を上述した第2実施形態(図2)と同様に、一対のリム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)の外周部および内周部の双方(もしくは一方)をテーパ状や凸曲状としてなる構成とすることも可能である。あるいは、通路部を上述した第3実施形態(図3)と同様に、周方向へ沿って断続するように所定間隔で配した構成とすることも可能である。なお、いずれの場合であっても、柱部6に対して縮径部および拡径部(例えば、第2実施形態と同様の縮径部66および拡径部68(図2))を形成して構わないし、一対のリム部34a,34bと柱部6との間に段差(例えば、第3実施形態と同様の段差74(図3))を形成しても構わない。
複数の柱部6は、一対のリム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)を軸方向に連結するとともに当該リム部90a,90b間の領域を当該リム部90a,90bの周方向に隔て、転動体であるころ(ニードル(図示しない))を挿入して回転自在に保持するためのポケット10を形成している。すなわち、保持器60は、周方向に隣り合う二つの柱部6、および一対のリム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)で囲まれた空間に一つのポケット10が形成され、これら柱部6とポケット10が周方向へ交互に配された構造となる。ただし、各リム部90a,90bの欠損部96a,98a,96b,98bに対して周方向の両側に近接して配された四つの柱部6(以下、欠損部近接柱部62m,64m,62n,64nという)によって隔てられるリム部90a,90b間(分割体92a,94a間および分割体92b,94b間)の領域には、割れ部32m,32nが存在し、ポケット10は形成されない。したがって、保持器60は、かかる領域(つまり割れ部32m,32n)に限ってころが欠落する構造、すなわち、当該領域以外は各ポケット10に一つずつころが挿入され、これらのころが周方向に対して等間隔(均一ピッチ)で配される構造をなす。
なお、柱部6により形成するポケット10の大きさは、ころの径寸法および長さに応じ、ポケット10において当該ころを回転自在に保持可能となるように設定すればよく、ポケット10の数(別の捉え方をすれば、柱部6の数)は、保持器60の容量(保持させるころの個数)に合わせて任意に設定すればよい(上述した第1実施形態(図1)と同様)。
このように、一対のリム部90a,90b(各分割体92a,94a,92b,94b)にそれぞれ二箇所ずつ欠損部96a,98a,96b,98bを形成し、保持器60が周方向に対して二つの割れ部32m,32nを有する構造(いわゆる二つ割れの保持器構造)とすることで、保持器60の径寸法を自由に拡縮させることができ、各種大きさの段部や鍔部などを有する内方部材などに対して保持器60を容易に組み付けることができることは、上述した第4実施形態(図4)および第5実施形態(図5)と同様である。
以上、本発明の第1実施形態から第6実施形態(図1から図6)によれば、潤滑性能の向上を図りつつ、軸受が組み付けられる相手側部材における保持器端面の案内部が十分に確保されていない場合であっても、当該相手側部材に対する軸受(端的には、保持器2,20,30,40,50,60)の組み付け方向の制約を受けることなく、軸方向両端面(つまり、一対のリム部4a,4b,34a,34b,90a,90b)の外径側および内径側をいずれも連続面として相手側部材の案内部と接触させることができる。この結果、従来のような不連続面と比較してより広い面域で軸受を回転案内可能で、耐摩耗性に優れたラジアルころ軸受用保持器2,20,30,40,50,60を実現することができる。
4a,4b リム部
6 柱部
10 ポケット
42a,42b 通路部

Claims (1)

  1. 潤滑剤によって軸受潤滑されるラジアルころ軸受に組み込まれ、転動体であるころを回転自在に保持するためのラジアルころ軸受用保持器であって、
    軸方向に対して同心上に所定間隔を空けて対向する一対の略円環状のリム部と、これらのリム部を連結するとともに、当該リム部間の空間領域を周方向に隔て、前記ころを挿入して回転自在に保持するためのポケットを形成する複数の柱部とを備え、
    前記一対のリム部は、いずれもその外径寸法および内径寸法が一定に設定され、
    それぞれのリム部は、径方向で外方に位置する外径側リム部と、径方向で内方に位置する内径側リム部と、前記外径側リム部と内径側リム部との間に挟まれた状態で周方向に設けられ、前記複数のポケットと連通することで、潤滑剤を流動させるテーパ状の通路部と、を有しており、
    前記テーパ状の通路部は、
    前記外径側リム部の内径寸法を外方側から徐々に縮径させた後、徐々に拡径させたものとし、
    前記内径側リム部の外径寸法を外方側から徐々に拡径させた後、徐々に縮径させたものとすることを特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
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