JP6047831B2 - 樹脂歯車用芯金の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1、2等には、パワーステアリング装置のウオームホイールとして、金属製の芯金の外周面に樹脂外周材が接合され、この樹脂外周材にギヤ歯が設けられたものが記載されている。
このようなウオームホイールでは、樹脂を用いることで軽量化が図られると共に、ギヤの噛み合い音が防止されている。
この製造方法の鍛造工程では、リング部及び連結部の一方又は双方をボス部より薄くするのが好ましい。
従って、強度を確保しつつ軽量化を図ることが可能な樹脂歯車用芯金を容易に製造できる製造方法を提供することが可能である。
この実施形態で製造する樹脂歯車用芯金10は、図1及び図2に示すように、全体が金属材料からなり、ボス部12と、外周面に凹凸形状13が周方向に間隔を空けて設けられたリング部14と、が連結部16を介して同軸に設けられている。
リング部14の外周面には、軸方向に沿う複数の筋状の凸部又は凹部により凹凸形状13が形成され、軸方向の両端側には凹凸のない平滑部17が全周に設けられている。
特に限定されるものではないが、例えばリング部14の最大径がボス部12の外径の2倍〜5倍であって、リング部14の最大径がボス部12の厚みの10倍〜20倍としてもよい。
そしてステアリングホイールからの操舵力やタイヤに受ける路面からの反力が伝達されるシャフトSを、ボス部12に嵌合すると共に、ギヤ歯22にモータ等の駆動装置により回転するウオームWを螺合させて使用される。
図3(A)に示すように、軸方向に中心孔31を有する円板状の板材30を準備する。使用する板材30の材質は金属であれば特に限定されないが、例えば熱間圧延軟鋼板(SPHC)等の金属を用いてもよい。この板材30として、表裏両面にリン酸皮膜処理等が施された金属板を用いることができる。
板材30の中心孔31の直径はボス部12の内周の貫通孔11の直径より小さいものを使用する。直径が同等以上であると一軸方向のみの加圧によりボス部12を成形することが容易でない。
具体的には、図3(B)に示すように、径方向内周側の曲率半径が最も大きい内周絞り型42aを用い、板材30を軸方向に加圧することで径方向内周側を一方に湾曲させる。
次いで、図3(C)に示すように、最初の内周絞り型42aよりも内周側の曲率半径が小さい次の内周絞り型42bを用い、板材30を軸方向に加圧することで径方向内周側が小さい曲率半径となるように変形させる。
これにより絞り形状体35を成形する。
具体的には、図3(F)に示すように、内周絞り部32をボス部12となる所定の形状及び厚みにし、外周絞り部34をリング部14となる所定の輪郭形状及び厚みにし、内周絞り部32と外周絞り部34との間の中間部36を連結部16となる所定の形状及び厚みにする。
この実施形態では、ボス部12をリング部14及び連結部16の厚みより厚くする。ボス部12の厚みは、用いた板材30の厚みよりも薄くてもよいが、同等とすることや厚くすることも可能である。これらは鍛造工程で用いる型を適宜選択すればよい。
その後、必要に応じて仕上げ加工を行い、例えばリング部14の外周面の軸方向両端側を切削して平滑部17を形成したり、リング部14の端部を除去したりすることで、各部を仕上げ、樹脂歯車用芯金10を完成する。
この複合部材20に対して、樹脂外周材21の外周面に所望のギヤ歯22を形成し、ボス部12にシャフトを嵌合させ、ウオームホイールとしての使用に供することができる。
第2実施形態では、多軸プレスを利用して樹脂歯車用芯金10を製造する。
まず図4(A)に示すように、第1実施形態と同様の板材30を準備する。この板材30は、中心孔31を有し、例えば熱間圧延軟鋼板(SPHC)等の金属からなり表裏両面にリン酸皮膜処理等が施されたものを用いることができる。
具体的には図4(B)に示すように、板材30の中心孔31や外周縁を利用して板材30を絞り型51の所定位置に配置し、板材30の外周縁側よりも内側を加圧する筒状の上部雄絞り型51a,51bと板材30の外周側を加圧する下部雌絞り型51cとを軸方向に相対移動させて加圧し、外周絞り部34を形成する。
また図4(C)に示すように、筒状の上部雄絞り型51aで保持しながら、板材30の内周側を加圧する下部雄絞り型51dと、内周縁側よりも外側を加圧する筒状の上部雄絞り型51bと、を軸方向に相対移動させて加圧し、内周絞り部32を形成する。
これらは順次行ってもよく、同時に行ってもよい。同時に行う場合には、下部雌絞り型51c及び下部雄絞り型51dで板材30の内周側と外周側とを加圧し、筒状の上部雄絞り型51aで板材30の径方向中間部分を加圧すると共に保持しながら、筒状の上部雄絞り型51abで加圧すればよい。これにより絞り形状体35を作製する。
具体的には、図4(D)に示すように、環状の上部鍛造型55a,55c,55dと下部鍛造型55b,55e,55fとを用いる。上部鍛造型は、内周絞り部32の上面を加圧する上部内周鍛造部55cと、外周絞り部34の上面を加圧する上部外周鍛造部55dと、内周絞り部32と外周絞り部34との間の中間部36の上面を加圧する上部中間鍛造部55aとが同心円状に設けられている。下部鍛造型は、内周絞り部32の内周面に挿入される下部雄鍛造部55fと、外周絞り部34の外周面に接する下部外周鍛造部55bと、中間部36の下面を加圧する下部中間鍛造部55eと、が同心円状に設けられている。
また、下部中間鍛造部55eの上面と上部内周鍛造部55cの下面との間を、目的のボス部12の軸方向長さに近似乃至一致するまで加圧でき、下部中間鍛造部55eの上面と上部外周鍛造部55dの下面との間を、目的のリング部14の軸方向長さに近似乃至一致するまで加圧でき、下部中間鍛造部55eの上面と上部中間鍛造部55aの下面との間を、目的の連結部16の厚みまで加圧できる。
これにより鍛造形状体38を作製する。
ここでは、図4(E)に示すように、外周型58bの内周側面下部に凹凸成形用型面58gが設けられている。この外周型58b内で鍛造形状体38のリング部14を下部型58eと上部型58a,58c,58dとで、軸方向の両側から加圧して支持する。この状態を継続しながら、リング部14を外周型58bの上部から下部の凹凸成形用型面58gへ軸方向に移動させることで、リング部14の外周面に凹凸形状13を形成する。なお、外周型58bの上部及び下部型58gは下部鍛造型55b,55eと略同じ形状であり、上部型58a,58c,58dは上部鍛造型55a,55c,55dと略同じ形状である。そのため共通の型で鍛造工程後にセレーション加工工程を続けて行ってもよい。
このようにして得られた樹脂歯車用芯金10は、第1実施形態と同様にして樹脂歯車用複合部材20を作製することができ、さらに複合部材20に所望のギヤ歯22を形成すると共に、ボス部12にシャフトを嵌合させて、ウオームホイールとしての使用に供することができる。
即ち、この実施形態では、板材30を絞り形状体35に成形した後で鍛造して樹脂歯車用芯金10を製造する。従って、切削加工等のように多量に切削加工したり、厚肉材料を高い圧力で鍛造したりする必要がない。また絞り工程では容易に内周絞り部32やボス部12を形成でき、鍛造工程では各部を容易に所望の厚み及び形状に成形できる。
しかもボス部12と連結部16とリング部14とをそれぞれ適切な厚みに調整でき、各部が連続しているので、強度を確保しつつ樹脂歯車用芯金10の十分な薄肉化を図れる。
また、連結部16に対してボス部12及びリング部14が同じ側に配置された樹脂歯車用芯金10を製造する例を説明したが、連結部16に対してボス部12とリング部16とが反対側に配置された樹脂歯車用芯金10であっても本発明を適用可能である。
さらに上記の鍛造工程では、絞り形状体35の各部の形状及び厚みを調整する際、ボス部12、リング部14、連結部16の全部の厚み及び形状を変化させたが、一部の形状や厚みが所望の形状であれば、変化させることなく調整することも可能である。
11 貫通孔
12 ボス部
13 凹凸形状
14 リング部
16 連結部
17 平滑部
18 中空部
20 複合部材
21 樹脂外周材
22 ギヤ歯
30 板材
31 中心孔
32 内周絞り部
34 外周絞り部
35 絞り形状体
36 中間部
38 鍛造形状体
42a,42b,42c 内周絞り型
42d 柱状部
44 外周絞り型
45 鍛造型
45a 凹凸成形用型面
51 絞り型
51a 上部雄絞り型
51b 上部雄絞り型
51c 下部雌絞り型
51d 下部雄絞り型
55 鍛造型
55a 上部中間鍛造型
55b 下部鍛造型
55c 上部内周鍛造部
55d 上部外周鍛造部
55e 下部雌鍛造部
55f 下部雄鍛造部
58a 上部中間鍛造型
58b 下部鍛造型
58c 上部内周鍛造部
58d 上部外周鍛造部
58e 下部雌鍛造部
58f 下部雄鍛造部
58g 凹凸成形用型面
S シャフト
W ウオーム
Claims (5)
- ボス部と、外周面に凹凸形状が設けられたリング部と、が連結部を介して同軸に設けられ、上記外周面に樹脂外周材を接合すると共に上記ボス部にシャフトを嵌合して使用する樹脂歯車用芯金の製造方法であって、
軸方向に中心孔を有する板材を該軸方向に加圧することで絞り形状体を成形する絞り工程と、
上記絞り工程より高い圧力で上記絞り形状体を上記軸方向に加圧することで、該絞り形状体の厚みを変化させる鍛造工程と、を備え、
上記板材の上記中心孔周囲を上記絞り工程で上記軸方向の一方側に変形させて内周絞り部とし、上記板材の外周囲を上記絞り工程で上記軸方向の一方側に変形させて外周絞り部とし、
上記内周絞り部を上記鍛造工程で上記ボス部とし、上記外周絞り部を上記鍛造工程で上記リング部とする、樹脂歯車用芯金の製造方法。 - 前記鍛造工程では、前記リング部及び前記連結部の一方又は双方を前記ボス部より薄くする、請求項1に記載の樹脂歯車用芯金の製造方法。
- 前記絞り工程は、型面の曲面形状の曲率半径が互いに異なる複数の絞り型を、曲率半径が小さくなる順で用いて前記板材を複数回に分けて加圧する、請求項1又は2に記載の樹脂歯車用芯金の製造方法。
- 前記絞り工程で、前記内周絞り部及び前記外周絞り部が形成された前記絞り形状体を形成した後、
前記鍛造工程で、上記内周絞り部と、上記外周絞り部と、該内周絞り部及び外周絞り部の間の部位と、をそれぞれ加圧することで、前記ボス部、前記リング部及び前記連結部の厚みを調整する、請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂歯車用芯金の製造方法。 - 前記鍛造工程では、前記外周絞り部を加圧した後、該外周絞り部を前記軸方向に両側から加圧しつつ、該外周絞り部と凹凸成形用型面とを上記軸方向に相対移動させて前記凹凸形状を形成する、請求項1乃至4の何れかに記載の樹脂歯車用芯金の製造方法。
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