JP6047038B2 - 有機el装置 - Google Patents
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Description
また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL装置は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。すなわち、有機EL素子は、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができ、所望の発光色を選択することができる。
一般的なボトムエミッション型の有機EL装置の構造は、ガラス基板上に透明電極層、発光層、裏面電極層が積層したものであり、発光層で発生した光は、透明電極層及びガラス基板を透過して外部に取り出される。
このボトムエミッション型の有機EL装置を照明装置として利用する場合、発光層から発生した光をガラス基板側から有機EL装置の外部に取り出すことになるが、上記したガラス基板の屈折率が透明電極層の屈折率に対して小さいため、発光層から発生した光の大部分は、有機EL装置から外部に取り出される前にガラス基板と透明電極層の界面で全反射してしまう。そして、全反射した光は、外部に取り出される前に有機EL素子内部で各層の屈折率の違いによって反射を繰り返し、大部分が熱となって消滅してしまう。
このように、ボトムエミッション型の有機EL装置を使用した場合、全反射によって、光が消費されてしまい、十分な光取出効率が得られないという問題がある。
また、本発明の構成によれば、前記凹凸面の平均ピッチは、200nmより大きく1μm以下であり、前記凹凸面の高低差は、200nm以上であって、かつ、前記平均ピッチより小さい。凹凸面の平均ピッチが200nm以下では、有機発光層で生じる可視光の波長に対して凹凸面のピッチが小さくなりすぎるため、必要な回折が生じなくなるおそれがある。凹凸面の平均ピッチが1μmより大きくなると、回折角が小さくなり、全反射が生じやすくなる。また、凹凸面の高低差が200nm未満では、有機発光層で生じる可視光の波長に対し高低差が小さすぎるため、必要な回折が生じなくなるおそれがある。平均ピッチ以上となると、面内の電流分布が不均一となりやすく、局所的に電流が集中する場合がある。電流が集中すると有機発光層が破壊されたり寿命が短くなったりするおそれがある。
また、本発明の構成によれば、裏面電極層は、上記したようにプラズモン散乱を起こしやすい銀によって形成されている。そのため、従来の有機EL装置であれば、プラズモン散乱によって、光が消費されやすい。ところが、本発明によれば、上記したように全反射が起こりにくいので、裏面電極層側に光が反射されにくく、プラズモン散乱の発生を抑制することができる。
本発明の構成によれば、厚み方向において、有機発光層の基材に対して最も距離が近い部位は、透明電極層の基材に対して最も距離が離れた部位よりも基材側に位置しており、さらに、本発明の構成によれば、前記透明電極層は、最大厚みをDmax、最小厚みをDminとしたときに、(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)が0.1以下であり、厚みが平滑である。すなわち、表面凹凸層の凹凸面に少なくとも透明電極層及び有機発光層が追随して有機発光層内で正孔と電子が再結合する発光界面が曲面を形成している。そのため、基材の単位面積当たりの発光界面の面積が平滑な場合に比べて大きくなり、有機発光層の発光量が向上する。それ故に、本発明の構成によれば、高輝度の有機EL装置となる。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、有機EL装置1の上下の位置関係は、図1の姿勢を基準に説明する。なお、下記に記載する物性は、特に断りの無い限り、標準状態(摂氏25度、1気圧)での物性を表す。
そして、本実施形態の有機EL装置1は、図1のように透明基板2と透明電極層4の間に、透明基板2の屈折率と透明電極層4の屈折率の中間値の屈折率を有する表面凹凸層3を介在させることによって、全反射を抑制することを特徴の一つとしている。さらに、この表面凹凸層3は、少なくとも片方の主面に所定の高低差を有する凹凸面7を有しており、この凹凸面7の高低差によって、図4のように駆動時の機能層5の発光場である発光界面15をゆがめることによって、平滑な場合に比べて発光界面15の総面積を増加させることも特徴の一つとしている。
透明基板2としては、上記した屈折率の範囲を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、ソーダ石灰ガラスや、無アルカリガラスなどのガラス基板が採用できる。
透明基板2の平均厚みは、0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることがより好ましい。
凹凸面7の形状は特に限定されないが、本実施形態の凹凸面7は、図1,図2のように凸部11と凹部12で形成されており、凸部11はその先端部(頂点)が緩やかな丸みを帯びており、凹部12はその基端部(底部)が緩やかな丸みを帯びている。
図1に示される凹凸面7の高低差H1(凹凸面7を形成する凸部11の頂点と凹部12の底部との距離)は、200nm以上であって、かつ、平均ピッチより小さいものである。
また、凹凸面7の高低差H1は、透明電極層4の平均厚み及び機能層5の平均厚みの合計以上となっている。
平均ピッチW1と高低差H1の比率は、1:0.5〜1:2であることが好ましい。
表面凹凸層3の屈折率の範囲は、透明基板2の屈折率と不連続値となっている。
表面凹凸層3の平均厚みD1は100nm以上5μm以下であり、500nm以上3μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上2μm以下である。
透明電極層4としては、上記した屈折率の範囲を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物などが好適に採用できる。その中でも、ITO又はIZOによって形成されていることが特に好ましい。
透明電極層4の屈折率の範囲は、表面凹凸層3の屈折率と不連続値となっている。
さらに、透明電極層4は、最大厚みをDmax、最小厚みをDminとしたときに、(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)の式によって求められる値が0より大きく0.1以下である。すなわち、透明電極層4は、極めて平滑であり、下地となる表面凹凸層3の形状を正確に追随する。
裏面電極層6の平均厚みは、25nm以上400nm以下であり、100nm以上300nm以下であることが好ましい。
裏面電極層6は、スパッタ法又は真空蒸着法によって堆積されることが好ましい。特に、スパッタ法によって堆積されることがより好ましい。
本実施形態の有機EL装置1は、厚み方向において、機能層5の透明基板2に対して最も距離が近い部位(最下点)は、透明電極層4の透明基板2に対して最も距離が離れた部位(最上点)よりも透明基板2側に位置している。
なお、本実施形態では、透明電極層4、機能層5及び裏面電極層6のそれぞれの平均厚みの合計は、いずれも凹凸面7の高低差よりも小さいので、裏面電極層6の最下点は、表面凹凸層3の最上点(凸部11の頂点)よりも低い位置にある。
具体的には、図3(a)のようにあらかじめ超音波洗浄等によって洗浄した透明基板2の主面に表面凹凸層3の原料となるゾルゲル材料10を塗布する。
このとき使用するゾルゲル材料10は、本実施形態ではアルコキシシランを採用しているが、ゾルゲル材料10はアルコキシシランに限定されるものではなく、金属アルコキシドや金属酸化物を添加することにより屈折率を調整できるものでもよい。
ゾルゲル材料10の塗布方法としては、スピンコート、スプレイコート又はスリットコートのいずれでもよい。また塗布方法は、これらのスピンコート等の方法に限定されるものではない。
具体的には、ホットプレート又は遠赤外線ヒータによって、ゾルゲル材料10の一部を蒸発させて、ゾルゲル材料10を半硬化させる。
このとき、加熱する温度は、摂氏18度以上摂氏150度以下であることが好ましく、加熱時間は5分以上60分以下であることが好ましい。
摂氏150度より高い温度及び/又は60分より長い時間で加熱すると、ゾルゲル材料10が固化しすぎて、後の工程で使用する金型9の凹凸部8の形状が転写できない場合がある。摂氏18度より低い温度及び/又は5分より短い時間で加熱すると、固化が十分でなく、金型9を圧着する際にゾルゲル材料10の大部分が透明基板2上からはみ出てしまうおそれがある。
このとき、圧着圧力が10N/cm2以上2000N/cm2以下であることが好ましく、圧着時間は5分以上60分以下であることが好ましい。
また、加熱温度は、摂氏18度以上摂氏500度以下であることが好ましく、圧着加熱時間は、5分以上60分以下であることが好ましい。
ここで、金型9の形状について説明すると、金型9は、ゾルゲル材料10の圧着面に凹凸部8を有している。この凹凸部8は、凹凸面7と一対をなす形状をしており、凹凸部8の形状と凹凸面7の形状は一致している。
このとき、ゾルゲル材料10が固化して表面凹凸層3が形成されている。
このとき、透明電極層4は、表面凹凸層3の凹凸面7に追随して露出面に凹凸が形成されている。スパッタ法で形成されているため、透明電極層4の厚みは全面でほぼ均等となっている。
このとき、機能層5は、透明電極層4の露出面(表面形状)に追随して露出面が凹凸を形成している。すなわち、機能層5は、透明電極層4を介して表面凹凸層3の凹凸面7に追随している。真空蒸着法で形成されているため、機能層5の厚みは全面でほぼ均等となっている。
このとき、裏面電極層6は、透明電極層4の露出面(表面形状)に追随して露出面が凹凸を形成している。すなわち、裏面電極層6は、透明電極層4及び機能層5を介して表面凹凸層3の凹凸面7に追随している。真空蒸着法で形成されているため、裏面電極層6の厚みは全面でほぼ均等となっている。
このようにして本実施形態の有機EL装置1は製造される。
2 透明基板(基材)
3 表面凹凸層
4 透明電極層
5 機能層
6 裏面電極層
7 凹凸面
Claims (5)
- 基材上に透明電極層と有機発光層と裏面電極層が積層した有機EL装置において、
前記基材は、屈折率が1.40以上1.60以下であり、
前記透明電極層は、屈折率が1.8以上2.0以下の透明酸化物から形成されるものであり、かつ、最大厚みをDmax、最小厚みをDminとしたときに、(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)が0.1以下であり、
前記裏面電極層は、銀によって形成されており、
さらに、前記基材と透明電極層との間に、透明電極層側の面に凹凸面を有した表面凹凸層が介在しており、
前記凹凸面の平均ピッチは、200nmより大きく1μm以下であり、
前記凹凸面の高低差は、200nm以上であって、かつ、前記平均ピッチより小さいものであり、
表面凹凸層は、屈折率が1.65以上1.75以下の透明酸化物で形成されるものであって、平均厚みが1μm以上であり、
厚み方向において、有機発光層の基材に対して最も距離が近い部位は、透明電極層の基材に対して最も距離が離れた部位よりも基材側に位置していることを特徴とする有機EL装置。 - 前記透明電極層の平均厚み及び前記有機発光層の平均厚みの合計は、凹凸面の高低差以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
- 前記表面凹凸層は、シリコン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、及び、亜鉛からなる群から選ばれる金属元素を含んだ酸化物で形成されており、
さらに、前記表面凹凸層は、ナノインプリント法によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置。 - 前記透明電極層は、インジウム亜鉛酸化物又はインジウム錫酸化物によって形成されるものであって、かつ、スパッタ法によって前記凹凸面上に直接積層していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL装置。
- 前記基材は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL装置。
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