JP2007294438A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率を維持するとともに構造が簡単な有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、順に積層された第1電極、少なくとも有機発光層を含む積層された有機材料層、及び第2電極からなる有機EL素子であって、有機発光層からの発光光が透過するように第1及び2電極の少なくとも一方外側に配置されかつ粗面を構成する粗面界面を含む光散乱層を有し、有機材料層は、d≧5×Raの関係(ただしdは有機材料層の平均膜厚を、Raは粗面界面の平均粗さを示す)を満たす膜厚を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電流の注入によって発光するエレクトロルミネセンス(以下、ELともいう)を呈する有機化合物を利用し、かかる有機EL材料からなる有機発光層を備えた有機EL素子に関する。
一般に、有機化合物材料を用いた有機EL素子は、ダイオード特性を有する電流注入型の素子であり、電流量に対応した輝度で発光する素子である。2色以上の発光色を呈する有機EL素子の複数をマトリクス状に配列してディスプレイパネルが開発されている。
有機EL素子1は、図1に示すように、透明電極3上に、蒸着法などを利用して、発光層を含む複数の有機化合物材料層4、金属からなる反射電極を、順次、積層した構造を有している。また、有機化合物材料層4として、発光層を挟んで、機能層として、陽極側にホール輸送機能層(ホール注入層、ホール輸送層)、陰極側に電子輸送機能層(電子注入層、電子輸送層)が適宜設けられる。
有機EL素子の発光効率、取り出し効率を高めるために個々の有機EL素子の構造としては、ガラス基板の表面を荒らした構造(特許文献1参照)、バインダーポリマー中に散乱粒子を分散させた構造(特許文献2参照例)などが提案されている。
特許文献1記載の有機EL素子において、該一対の陽極及び陰極からなる電極の外側に、かつ発光が放射される側に、高低差0.1μm以上0.21μm以下の凹凸を表面に有する透明又は半透明の基板を設けている。
特許文献2記載の有機EL素子において、透光性基板の少なくとも一方の表面上に、発光素子からの発光に対して反射、屈折角に乱れを生じさせる領域を設け、かかる領域が微粒子とバインダーを含む散乱層から構成されている。
特開平9−63767号公報 特再03/026357号公報
以上
従来の有機EL素子の散乱層としては、基板の凹凸の粗さを大きくする方法にしても散乱粒子を分散させる方法にしても、その粒径が発光波長の十分の一程度以上の大きさでないと効果がないため、散乱層の表面性は大きく荒れたものとなる。よく知られているとおり、有機材料層は薄膜から構成されるため、積層された有機発光層の表面平滑性は、有機EL素子の複数を配列したディスプレイパネルの表示品位に大きく影響する。
そこで本発明は、発光効率を維持するとともに構造が簡単な有機EL素子を提供することが一例として挙げられる。
請求項1記載の有機EL素子は、順に積層された第1電極、少なくとも有機発光層を含む積層された有機材料層、及び第2電極からなる有機EL素子であって、
前記有機発光層からの発光光が透過するように前記第1及び2電極の少なくとも一方外側に配置されかつ粗面を構成する粗面界面を含む光散乱層を有し、
前記有機材料層は、d≧5×Raの関係(ただしdは前記有機材料層の平均膜厚を、Raは前記粗面界面の平均粗さを示す)を満たす膜厚を有することを特徴とする。
以上の構成によれば、電極と有機発光層の間の有機材料層を厚くして有機発光層の表面性の影響を緩和できる。また、光散乱層が導入されていることにより、干渉効果が減るために、素子構成を比較的自由に設定することができる。よって、たとえ膜厚を厚くし、光散乱層なし基板の場合には効率が悪い素子であっても、効率のよい素子が作製できる。
発明を実施するための形態
本発明による有機EL素子及びその製造方法の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図2はボトムエミッション型の有機EL素子の概略部分拡大断面図を示す。基板12側から順に積層された第1電極13、少なくとも有機発光層43を含む積層された有機材料層4、及び第2電極15を有し、光散乱層6が有機EL素子の基板12に近い第1電極13及び基板12の間に配置され、基板12側から発光光が取り出される。例えば、基板12はガラスなどの透明基板で、第1電極13はITOなどからなる陽極の透明電極で、有機材料層4は有機化合物材料からなるホール輸送層42、有機発光層43、電子輸送層44の積層であり、第2電極15は陰極の金属電極5である。また、第2電極15上にはSiNx等からなる封止膜(図示せず)が形成されており、有機EL素子は外気から遮断されている。有機発光層43は電流印加時に例えば発光色の青、緑、赤を呈する有機化合物材料から構成され得る。第1及び2電極を金属電極及び透明電極とすることでトップエミッション型とすることもできる。
有機材料層4は有機発光層43に関して互いに反対側に配置されたホール輸送層及び電子輸送層を含むが、2層タイプの場合は少なくとも一方を有機材料層4として備えていればよい。さらに、有機材料層4は有機発光層43に関してそれぞれホール輸送層及び電子輸送層の外側に配置されたホール注入層及び電子注入層(図示せず)を設けることができ、これらも積層形態によって少なくとも一方を設けることができる。
発光光が取り出される側すなわち透明基板2側の透明基板2及び透明基板2の間に、光散乱効果を有する光散乱層6が配置されている。
光散乱層6の一例は散乱粒子が樹脂中に分散した散乱粒子含有膜である。散乱粒子は0.1〜1μmの粒径を有することが好ましい。また、散乱粒子はシリカ、チタニア、アルミナなどであり、例えばTiOxであることが好ましい。光散乱層とは平行光線を屈折させることができる層をいう。
成膜後の光散乱層6の表面は粗面となり、さらに積層された後に粗面界面となる。かかる粗面界面は平均粗さRaを有している。
そこで、有機材料層は、d≧5×Raの関係(ただしdは有機材料層の平均膜厚を、Raは粗面界面の平均粗さを示す)を満たす膜厚を有するように、成膜されることが好ましい。Ra(算術平均粗さ)とは、抜き取り部分の平均線から、y=f(x)までの偏差の絶対値を合計し、平均した値をいう(JIS B0601、参照)。平均粗さRaが1nm〜1μmの範囲に入ることが好ましい。他の実施形態の場合、基板12や封止板16をスリガラスとしてその表面の粗面を界面とすることもできる。
粗面界面から有機発光層までの有機材料層膜厚を、光散乱層の平均粗さRaの5倍以上とすることは、実験の結果知見した。実験は、第1及び2電極の面積が1.7mm×1.7mmであって、光散乱層の平均粗さRaの1倍〜25倍の有機材料層膜厚(粗面界面から有機発光層まで)を有する複数の有機EL素子を作製し、電圧印加時に電極面積(最大発光部面積)に対する非発光部面積の比率を測定し、評価した。図3は実験結果を示す。図3から明らかなように、平均粗さRaの5倍以上好ましくは10倍以上の有機EL素子は有効に発光していることが分かる。
これにより、電極と有機発光層の間の有機材料層を厚くして有機発光層の表面性の影響を緩和できた。また、光散乱層が導入されていることにより、干渉効果が減るために、素子構成を比較的自由に設定することができる。
有機材料膜を厚くする際に、有機材料層の一部または全ては塗布法にて、塗布できるタイプの材料を用いるとさらに効果があがる。積層した有機材料層を、熱をかけて柔らかくすることで、すなわち有機材料層の一部または全てに加熱処理を施し、平坦性、埋包性を上げることによっても同じような効果が得られる。さらに、厚膜化と、塗布タイプの材料を併用することで、さらに有効である。
光散乱層6は30%以上の光散乱率を有する。ただし、散乱率=(光散乱層を備えない場合の平行光線透過率−光散乱層を備える場合の平行光線透過率)/(光散乱層を備えない場合の平行光線透過率)である。光散乱層6によって、有機EL素子の透明電極3、有機材料層4はその膜厚を厳密に変化させる必要はなく一定膜厚で形成することができる。
有機材料層4の内の近接する何れの2層の屈折率差の絶対値が0.25以下である。すなわち、観察者側から見て、透明電極、電荷注入層、電荷輸送層が、この順で接して並んだ構造をとり、有機材料層4の各層の屈折率が、電荷注入層:n1、電荷輸送層:n2、とした時、その関係が、450〜630nmの波長領域で|n1−n2|<0.25という関係を満たすように、屈折率段差を小さくすることが望ましい。
他の実施形態としては、図2に示した有機EL素子構造に加えて、有機EL素子において、有機材料層4に関して光散乱層6の外側に配置された低屈折率層を設けることができる。低屈折率層は1.3以下更に好ましくは1.2以下の屈折率を有する。低屈折率層はシリカを含むことが好ましい。
さらに、他の実施形態としては、図2に示した有機EL素子構造に加えて、有機材料層4に関して第1電極13の外側に配置されたガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層は高分子薄膜及び無機薄膜の積層又は高分子薄膜若しくは無機薄膜である。
また、他の実施形態としては、図2に示した有機EL素子構造に加えて、複数の有機EL素子からの発光の色純度を高めるように有機材料層4に関して光散乱層6の外側に配置されたカラーフィルタを備えることができる。
(実施例1):ガラス基板/低屈折率層/散乱粒子含有膜/透明電極(ITO)/有機発光層/反射電極(Al)という構成の有機ELパネルを作製した。
旭硝子(株)製無アルカリガラスAN100よりなる厚さ0.7mm、75mm角のガラス基板を中性洗剤中で30分程超音波洗浄し、純水でフロー洗浄し、60℃オーブン中で乾燥した。
一方、三菱化学(株)製MS51(テトラメトキシシランのオリゴマー)25重量%、n−ブチルアルコール30重量%、脱塩水15重量%、及びエタノール30重量%の液に、酸触媒(アルミアセチルアセトナート)を少量加えた。この混合液を60℃で3時間攪拌し1週間放置して熟成した。
これを上述のガラス基板上にスピンコーターで塗布し、15分乾燥後、メタノール中に5分浸漬、引き上げて5分乾燥後、150℃で15分加熱して、さらに250℃で15分加熱して、低屈折率層を形成した。得られた低屈折率層の厚さは300nmであった。ソプラ社のエリプソメーターでこの低屈折率層のマトリクス部分の屈折率を測定したところ、波長550nmにおいて1.3であった。また米国メトリコン社のプリズムカプラーモデル2010を用いて波長633nmのレーザーで屈折率を測定したところ、屈折率は1.3であった。
次に、三菱化学(株)製MS51(テトラメトキシシランのオリゴマー)30重量%、ブチルアルコール50重量%、脱塩水8重量%、及びメタノール12重量%の液に、酸触媒(アルミアセチルアセトナート)を少量加え、さらにブチルアルコール中に平均粒径200nmのチタニア粒子(60%重量粒子径は150〜250nm)をでき上がった粒子含有浸み出し光拡散層中の重量百分率で15重量%となるように予め分散させた。この混合液を60℃で3時間攪拌し1週間放置して熟成した。粒子含有層中の重量百分率は前述の膜中の粒度分布を求めるのと同様の方法で実施した。マトリクスが多孔体である場合の密度はX線反射率を求めることまたは屈折率を求めることから実施した。
この塗布液を上述のガラス基板上の低屈折率層の上にディップコーターで塗布、15分乾燥後メタノール中に5分浸漬、引き上げて5分乾燥後、150℃で15分加熱して、さらに250℃で15分加熱して、光散乱層を得た。なおディップコート時には裏面に保護フィルムを貼り、塗布後に剥離して、片側にのみ塗膜が形成されるようにした。
得られた散乱粒子含有膜は厚さが600nm、散乱粒子がほぼ3段分に重なった構造が観察された。
ソプラ社のエリプソメーターで光散乱層のマトリクス部分の屈折率を測定したところ、波長550nmにおいて1.40であった。また米国メトリコン社のプリズムカプラーモデル2010でも屈折率測定を実施したところ、波長633nmのレーザーで屈折率は1.38であった。
この散乱粒子含有膜の表面粗さをケーエルエー・テンコール社製P−15型を使用して測定した。0.5μスキャンさせて測定したところRa=8nm、Rmax=120nmであった。
また散乱粒子含有膜の平行光線に対する透過ロス光(散乱ロス光)は、波長550nmで52%であった。測定にはヒューレッドパッカード社の分光光度計を用い、レファレンスとしては塗布膜を形成する前のガラス基板を用いた。
この散乱粒子含有膜上にITO(インジウムティンオキサイド)を115nm厚で常温スパッタして透明電極を形成し、さらに三菱化学(株)製塗布型ホール注入材料 PC1020 を30nm形成後、NPB(ナフチルペンチルベンジジン)層45nm、AlQ3(アルミキノリン錯体、緑色発光色素)60nmを蒸着により形成し、最後に蒸着によりアルミニウムの反射電極を80nm厚さに形成した。ITO層の屈折率を測定したところ2.04(550nm)であった。得られたEL素子は、ガラス基板/低屈折率層/散乱粒子含有膜/透明電極(ITO)/有機発光層/反射電極(Al)の積層体である。
(実施例2):散乱粒子含有膜/ガラス基板/低屈折率層/散乱粒子含有膜/透明電極(ITO)/有機発光層/反射電極(Al)という構成の有機ELパネルを作製した。
実施例1において、光散乱層の塗布の際に裏面に保護フィルムを貼らずにディップ塗布を実施した以外は全く同様にしてEL素子を作製した。得られたEL素子は、散乱粒子含有膜/ガラス基板/低屈折率層/散乱粒子含有膜/透明電極(ITO)/有機発光層/反射電極(Al)の積層体である。
有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子の光散乱層の平均粗さ種々倍率の有機材料層膜厚(粗面界面から有機発光層まで)と、電圧印加時に電極面積(最大発光部面積)に対する非発光部面積の比率を示すグラフである。
符号の説明
1 有機EL素子
2 透明基板
3 透明電極
4 有機材料層
5 金属電極
6 光散乱層
42 ホール輸送層
43 有機発光層
44 電子輸送層

Claims (16)

  1. 順に積層された第1電極、少なくとも有機発光層を含む積層された有機材料層、及び第2電極からなる有機EL素子であって、
    前記有機発光層からの発光光が透過するように前記第1及び2電極の少なくとも一方外側に配置されかつ粗面を構成する粗面界面を含む光散乱層を有し、
    前記有機材料層は、d≧5×Raの関係(ただしdは前記有機材料層の平均膜厚を、Raは前記粗面界面の平均粗さを示す)を満たす膜厚を有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記有機材料層は、d≧10×Raの関係(ただしdは前記有機材料層の平均膜厚を、Raは前記粗面界面の平均粗さを示す)を満たす膜厚を有することを特徴とする請求項1記載の有機EL素子。
  3. 前記有機材料層の一部または全ては加熱処理を施して作製されたことを特徴とする請求項1又は2記載の有機EL素子。
  4. 前記有機材料層の一部または全ては塗布法にて作製されたことを特徴とする請求項1又は2記載の有機EL素子。
  5. 前記有機材料層は前記有機発光層に関して互いに反対側に配置されたホール輸送層及び電子輸送層の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の有機EL素子。
  6. 前記有機材料層は前記有機発光層に関してそれぞれ前記ホール輸送層及び電子輸送層の外側に配置されたホール注入層及び電子注入層の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の有機EL素子。
  7. 前記光散乱層は30%以上の光散乱率を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の有機EL素子。
  8. 前記有機材料層に関して前記光散乱層の外側に配置された低屈折率層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の有機EL素子。
  9. 前記低屈折率層は1.3以下の屈折率を有することを特徴とする請求項8記載の有機EL素子。
  10. 前記低屈折率層はシリカを含むことを特徴とする請求項8又は9記載の有機EL素子。
  11. 前記有機材料層に関して前記第1電極の外側に配置されたガスバリア層を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の有機EL素子。
  12. 前記ガスバリア層は高分子薄膜及び無機薄膜の積層又は高分子薄膜若しくは無機薄膜であることを特徴とする請求項11記載の有機EL素子。
  13. 前記光散乱層は散乱粒子が分散した散乱粒子含有膜であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の有機EL素子。
  14. 前記散乱粒子は0.1〜1μmの粒径を有することを特徴とする請求項13記載の有機EL素子。
  15. 前記散乱粒子はTiOxである請求項13又は14記載の有機EL素子。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の有機EL素子の前記光散乱層に用いる光散乱膜。
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