第1の実施の形態
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は映像処理装置100を示すブロック図である。映像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)1と、記憶部2と、RAM(Random Access Memory)3と、録画保存部4と、受信部5と、分配部6と、合成部7と、チューナ41と、復調部42と、復号部43と、映像設定部44と、動画系処理回路51と、静止画系処理回路52と、パターン検出処理回路53と、解像度処理回路54と、レート変換回路55とを含む。
CPU1は、OSD作成部11と、選択部12とを含む。記憶部2は、対応テーブル21を含む。
映像処理装置100は、表示部8に映像を表示することにより、表示装置として機能する。また、映像処理装置100は、チューナ41が受信したテレビジョン放送波に基づく映像を表示部8に表示することにより、テレビジョン受信機として機能する。
動画系処理回路51と、静止画系処理回路52と、パターン検出処理回路53と、解像度処理回路54と、レート変換回路55とは、映像処理部として機能する。
映像処理装置100の構成を説明する。チューナ41は、映像処理装置100外部のアンテナを介してテレビジョン放送波を受信し、ユーザが選局したチャンネルを復調部42へ出力する。
復調部42は、チューナ41から入力された信号をMPEG(Moving Picture Experts Group)−2TS(Transport Stream)等のデジタルのストリームデータに復調して復号部43へ出力する。
復号部43は、復調部42から入力されたストリームデータから映像信号を抽出し、同期をとりながら復号し、映像を作成して、映像設定部44に出力する。また、復号部43は、ストリームデータから、テレビ番組の題名、内容及び出演者等の情報を含んだ番組情報データ、広告の情報を含んだ広告データ、ニュース等の情報を含んだ文字情報データ、及び番組に対応した字幕の情報を含んだ字幕データ等の表示用データを抽出し、CPU1に出力する。
映像設定部44は、映像の大きさ及び表示位置を指定する信号がOSD作成部11から入力された場合に、斯かる信号に従って、復号部43から入力された映像を所定の大きさにし、所定の位置に配置する処理を行う。映像設定部44は、処理を行った映像を動画系処理回路51に出力する。
復号部43において復号され、映像設定部44に出力された映像は、テレビジョン放送波に基づく映像であるため、主として動画の映像である。斯かる映像に対しては、動画に対して行う映像処理、即ち、動画系処理回路51と、静止画系処理回路52と、パターン検出処理回路53と、解像度処理回路54と、レート変換回路55とによる映像処理が行われる。
動画系処理回路51は、映像設定部44から映像が入力された場合、例えばフレーム間処理に基づく映像処理を行う。具体的には、動画系処理回路51は、入力された映像における処理対象となるフレームの画素情報の他、前後のフレームの画素情報を参照することにより、ノイズを除去し、輝度情報を向上させる処理を行う。動画系処理回路51は、映像処理を行った映像を、静止画系処理回路52に出力する。
静止画系処理回路52は、動画系処理回路51で処理された映像が入力された場合、例えばフレーム内処理に基づく映像処理を行う。具体的には、静止画系処理回路52は、入力された映像における処理対象となるフレーム毎に、輪郭補正又はドットノイズ消去等の処理を行う。静止画系処理回路52は、映像処理を行った映像を、パターン検出処理回路53に出力する。
パターン検出処理回路53は、静止画系処理回路52で処理された映像が入力された場合、パターンマッチングに基づく映像処理を行う。具体的には、パターン検出処理回路53は、入力された映像と、記憶されている人の顔、建物等を示す所定の画像パターンと比較し、所定の画像パターンに類似した映像中の箇所を特定して、画像パターンに基づき輪郭補正又はノイズ除去等の映像処理を行う。パターン検出処理回路53は、映像処理を行った映像を、解像度処理回路54に出力する。
解像度処理回路54は、パターン検出処理回路53で処理された映像が入力された場合、解像度を向上させる処理を行う。具体的には、解像度処理回路54は、入力された映像の画素を補間し、例えばSD(Standard Definition)画質をHD(High Definition)画質にする、又はHD画質を約4000×2000画素の解像度である4K2K画質にする等の処理を行う。解像度処理回路54は、映像処理を行った映像を、レート変換回路55に出力する。
レート変換回路55は、解像度処理回路54で処理された映像が入力された場合、フレームレートを変換する処理を行う。具体的には、レート変換回路55は、映像における、時間的に前後する複数枚の映像フレームに基づいて補間処理を行うことにより、フレームレートを2倍にする変換処理を行う。なお、レート変換回路55は、フレームレートを2倍に限らず、4倍等にしてもよい。レート変換回路55は、映像処理を行った映像を、合成部7に出力する。
なお、これら5つの映像処理部の順番は必ずしも上述の順番に限らず、前後していてもよい。映像処理装置100は、5つの映像処理部以外の映像処理部を備えていてもよいが、映像処理部を複数備えていればよく、上述の5つの映像処理部の全てを備えていなくてもよい。
CPU1は、記憶部2に予め格納されている各プログラムを適宜RAM3に読み出して実行することにより、ハードウェア各部を制御する。
記憶部2は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶媒体である。記憶部2は、CPU1を介して復号部43から入力された表示用データを記憶する。また、記憶部2はアプリケーションプログラムを制御するOS(Operation System)プログラムの他、ハードウェア各部の動作に必要な種々の制御プログラムを記憶している。さらに、記憶部2は、OSD画面を作成するために必要な種々のアプリケーションプログラム、該アプリケーションプログラムに対応したインタフェースであるAPI(Application Programming Interface)、及び種々のOSD画面のテンプレート等を記憶している。
記憶部2が記憶しているアプリケーションプログラムには、後述するホーム画面を作成するホーム画面作成アプリ、電子番組表を作成する電子番組表作成アプリ、録画リストを作成する録画リスト作成アプリ、字幕表示画面を作成する字幕表示画面作成アプリ及びデータ放送画面を作成するデータ放送画面作成アプリ等がある。記憶部2が記憶しているAPIには、ホーム画面作成アプリに対応したホーム画面API、電子番組表作成アプリとデータ放送画面作成アプリとに対応した電子番組表API、録画リスト作成アプリに対応した録画リストAPI、字幕表示画面作成アプリに対応した字幕表示画面API及びデータ放送画面作成アプリに対応した静止画API等がある。
RAM3は、例えばSRAM(Static RAM)又はフラッシュメモリ等で構成されており、CPU1が各プログラムを実行する際に発生するデータを一時的に記憶する。
OSD作成部11は、記憶部2から読み出したアプリケーションプログラム、API、テンプレート及び表示用データ等を用いて、動画又は静止画で構成されるOSD画面を作成する。
OSD作成部11は、ホーム画面を作成する場合には、ホーム画面APIを用い、ホーム画面作成アプリを実行する。OSD作成部11は、電子番組表を作成する場合には、電子番組表APIを用い、電子番組表作成アプリを実行する。OSD作成部11は、録画リストを作成する場合には、録画リストAPIを用い、録画リスト作成アプリを実行する。OSD作成部11は、字幕表示画面を作成する場合には、字幕表示画面APIを用い、字幕表示画面作成アプリを実行する。OSD作成部11は、データ放送画面を作成する場合には、静止画API及び電子番組表APIを用い、データ放送画面作成アプリを実行する。
選択部12は、OSD画面の出力先を選択し、出力先の情報を示す選択信号を分配部6に出力する。
録画保存部4は、例えばHDD(Hard Disc Drive)であり、録画したテレビ番組が保存される。なお、録画保存部4は、映像処理装置100の外部に設けられ、USB(Universal Serial Bus)等により映像処理装置100と接続するようにしてもよい。
受信部5は、フォトディテクタであり、リモコン200から赤外線の指示信号を受信し、電気信号に変換してCPU1に出力する。
分配部6は、デマルチプレクサであり、選択部12から入力された選択信号に従って分配した出力先にOSD画面を出力する。
合成部7は、分配部6から入力されたOSD画面と、レート変換回路55から入力された映像とを合成する。合成部7は、合成したOSD画面と映像とを表示部8に出力する。
表示部8は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル又は有機EL(electro luminescence)等の表示パネルである。表示部8は、合成部7から入力されたOSD画面と映像とを表示する。
リモコン200は、例えば赤外線通信装置であり、ユーザがボタンを押下することにより、特定のOSD画面を表示するよう指示する指示信号の他、種々の指示信号を送信する。
図2はホーム画面60を示す模式図である。OSD画面の一例であるホーム画面60の表示を指示する指示信号が入力された場合の、映像処理装置100の動作について説明する。
ホーム画面60は、映像処理装置100に対する各種の指示の一覧を示す画面である。ホーム画面60には、番組表を表示するよう指示する番組表アイコン60a、テレビの視聴又は外部入力等の入力の切換を指示する入力切換アイコン60b、おすすめのテレビ番組の情報を示すおすすめ番組アイコン60cが示されている。また、ホーム画面60には、多く視聴された番組の視聴数のランキングを示す視聴数ランキングアイコン60d、及び多く視聴されたビデオオンデマンドの番組を示すビデオオンデマンドアイコン60e等のアイコンが示されている。その他、ホーム画面60には、時刻を表示する時刻部60f、広告を表示する広告部60g、内部に合成された映像を表示するための枠60h等が表示されている。ホーム画面60には、写真又は絵の画像の他、動画が多く用いられている。
OSD画面と映像とを合成した場合の両者の位置関係は、記憶部2に記憶されているテンプレートの形状から、OSD作成部11に入力された指示信号に基づいて決定される。ホーム画面60の例では、OSD画面の一部に映像が表示されるようになっているが、例えばOSD画面を前景とし映像を背景とするように合成してもよいし、映像の一部にOSD画面を重ねるように合成してもよい。
リモコン200から受信部5を介して、これらのアイコンのいずれかを選択し決定する指示信号が入力されることにより、CPU1は、選択された内容に基づく動作を行う。
受信部5は、ホーム画面60の表示を指示する指示信号が入力された場合、斯かる指示信号をCPU1のOSD作成部11に出力する。
ホーム画面60の表示を指示する指示信号が入力された場合、OSD作成部11は、映像を枠60hの大きさ及び位置に合わせるよう指定する信号を、映像設定部44に出力する。映像設定部44は、復号部43から入力された映像を、枠60hに合わせた大きさ及び位置に設定し、動画系処理回路51に出力する。
OSD作成部11は、入力された指示信号に従って、記憶部2からホーム画面作成アプリ及びホーム画面APIを読み出す。また、OSD作成部11は、記憶部2からホーム画面60のテンプレートと、表示用データである番組情報データと広告データとを読み出して、ホーム画面60を作成する。
選択部12は、記憶部2に記憶してある対応テーブル21を読み出す。選択部12は、対応テーブル21を参照し、使用しているホーム画面APIに対応する選択信号aを分配部6に出力する。即ち、選択部12は、ホーム画面60の出力先を動画系処理回路51に選択する処理を行う。また、OSD作成部11は、作成したホーム画面60を分配部6に出力する。
図3は対応テーブル21を示す図表である。対応テーブル21は、OSD作成部11が使用するAPIと、選択部12が分配部6に出力する選択信号との対応関係を示している。本実施の形態では、ホーム画面APIは選択信号aと対応し、以下、静止画APIは選択信号bと、字幕表示画面APIは選択信号cと、録画リストAPIは選択信号dと、電子番組表APIは選択信号eと夫々対応している。選択部12は、使用しているAPIと対応テーブル21とに基づいて、出力する選択信号を選択信号a〜eから選択し、出力する。
図4は、分配部6の出力先を示す説明図である。図4における矢印a〜eは、選択信号a〜eが入力された分配部6の出力先に対応している。分配部6は、選択部12から入力された選択信号に従い、所定の出力先にOSD画面を分配して出力する。出力先は、動画系処理回路51、静止画系処理回路52、解像度処理回路54、レート変換回路55及び合成部7のいずれかである。
ここで、上述の通り、本実施の形態では、映像処理装置100は、入力された映像が、動画系処理回路51、静止画系処理回路52、パターン検出処理回路53、解像度処理回路54、レート変換回路55の順番に映像処理されるよう構成されている。分配部6によって出力されたOSD画面は、出力先の映像処理部で合成された後、斯かる順番に従い、出力先以降の全ての映像処理部において映像処理が行われる。
選択信号aが入力された分配部6は、OSD画面を動画系処理回路51に出力する。この場合、動画系処理回路51に入力されたOSD画面は、動画系処理回路51で映像と合成された上で映像処理が行われる。合成されたOSD画面及び映像は、静止画系処理回路52、パターン検出処理回路53、解像度処理回路54、レート変換回路55の順番に映像処理される。
また、選択信号bが入力された分配部6は、OSD画面を静止画系処理回路52に出力する。この場合、静止画系処理回路52に入力されたOSD画面は、静止画系処理回路52で映像と合成された上で映像処理が行われる。合成されたOSD画面及び映像は、パターン検出処理回路53、解像度処理回路54、レート変換回路55の順番に映像処理される。
選択信号cが入力された分配部6は、OSD画面を解像度処理回路54に出力する。この場合、解像度処理回路54に入力されたOSD画面は、解像度処理回路54で映像と合成された上で映像処理が行われる。合成されたOSD画面及び映像は、レート変換回路55で映像処理される。
選択信号dが入力された分配部6は、OSD画面をレート変換回路55に出力する。レート変換回路55に入力されたOSD画面は、映像と合成された上で映像処理が行われる。合成されたOSD画面及び映像は、合成部7に出力される。
選択信号eが入力された分配部6は、OSD画面を合成部7に出力する。合成部7に入力されたOSD画面は、映像と合成された上で表示部8に出力される。
なお、選択部12は、他の手段により選択信号を出力してもよい、例えば、選択部12は、OSプログラムを参照することにより、実行しているアプリケーションプログラムを判別し、判別したアプリケーションプログラムに基づいて、選択信号を出力するようにしてもよい。この場合、記憶部2は、アプリケーションプログラムと選択信号との対応関係を示す対応テーブルを記憶している。
選択信号aが入力された分配部6は、ホーム画面60を動画系処理回路51に出力する。動画系処理回路51は、ホーム画面60と映像設定部44から入力された映像とを合成する。以後、合成されたホーム画面60及び映像に対し、動画系処理回路51、静止画系処理回路52、パターン検出処理回路53、解像度処理回路54、レート変換回路55が夫々映像処理を行う。レート変換回路55は、映像処理を行ったホーム画面60及び映像を、合成部7を介して表示部8に出力する。
図5は電子番組表61を示す模式図である。OSD画面の他の例である電子番組表61の表示を指示する指示信号が入力された場合の、映像処理装置100の動作について説明する。電子番組表61は、主に文字によって構成されており、各テレビ局が放送するテレビ番組の題名、内容及び出演者等の情報を時間毎に示している。
OSD作成部11は、電子番組表61の表示を指示する指示信号が入力された場合、電子番組表作成アプリ、電子番組表API、テンプレート及び番組情報データを記憶部2から読み出して、電子番組表61を作成する。
また、選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照し、使用している電子番組表APIに対応する選択信号eを、分配部6に出力する。さらに、OSD作成部11は、作成した電子番組表61を分配部6に出力する。
選択信号eが入力された分配部6は、電子番組表61を合成部7に出力する。合成部7は電子番組表61とレート変換部55から入力された映像とを合成し、表示部8に出力する。表示部8は入力された電子番組表61と映像とを表示する。
電子番組表61は、例えばドットバイドットで作成されており、文字が主体の静止画である。従って、電子番組表61は、映像処理を行わない方が鮮明に文字を表示することができる。従ってOSD作成部11は、電子番組表61に対しては、映像処理が行われることなく、合成部7に出力することが好ましい。
図6は、録画リスト62を示す模式図である。OSD画面の他の例である録画リスト62の表示を指示する指示信号が入力された場合の、映像処理装置100の動作について説明する。録画リスト62は、録画保存部4に保存されている番組の番組名と放送日時との一覧を示す画面である。リモコン200から受信部5を介して、これらの番組名のいずれかを選択し決定する指示信号が入力されることにより、CPU1は、番組を再生する。
ここで、録画された番組名が長いため、録画リスト62に番組名の全部を表示することができない場合がある。このような場合、録画リスト62には、通常は最初から一定の文字数等、番組名の一部のみが表示される。ただし、CPU1は、リモコン200から指定する指示信号を入力された番組については、番組名をスクロールさせて番組名の全部を表示させる。
例えば図6Aでは、録画リスト62における表示箇所62aには、番組名「ABCDEFGHIJ」の一部のみが表示されている。このような場合、録画リスト62は、図6Bに示すように表示箇所62aの番組名「ABCDEFGHIJ」をスクロールさせることにより、番組名の全部を表示する。
OSD作成部11は、録画リスト62の表示を指示する指示信号が入力された場合、録画リスト作成アプリ、録画リストAPI、テンプレート及び番組情報データを記憶部2から読み出して、録画リスト62を作成する。
また、選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照して、使用している録画リストAPIに対応する選択信号dを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成した録画リスト62を分配部6に出力する。選択信号dが入力された分配部6は、録画リスト62をレート変換回路55に出力する。レート変換回路55は、録画リスト62と解像度処理回路54から入力された映像とを合成し、合成部7を介して表示部8に出力する。
録画リスト62は文字を主体にしている点では電子番組表61と同じであるが、番組名がスクロールする点で異なる。録画リスト62は、滑らかにスクロールするよう表示されることが好ましい。従って、録画リスト62に対しては、レート変換回路55において、スクロールを滑らかにする映像処理を行うことが好ましい。
図7は、字幕表示画面63aを示す模式図である。OSD画面の他の例である字幕表示画面63aの表示を指示する指示信号が入力された場合の、映像処理装置100の動作について説明する。字幕表示画面63aは映像を表示する映像表示画面63に合わせて字幕を表示するものであり、例えばHD画質では960×540画素、SD画質では720×480画素であると、規格により定められている。
OSD作成部11は、字幕表示画面63aの表示を指示する指示信号が入力された場合、字幕表示画面作成アプリ、字幕表示画面API、テンプレート及び字幕情報データを記憶部2から読み出して、字幕表示画面63aを作成する。
また、選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照して、使用している字幕表示画面APIに対応する選択信号cを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成した字幕表示画面63aを分配部6に出力する。選択信号cが入力された分配部6は、字幕表示画面63aを解像度処理回路54に出力する。解像度処理回路54は、字幕表示画面63aとパターン検出処理回路53から入力された映像とを合成する。解像度処理回路54及びレート変換回路55は、合成された字幕表示画面63a及び映像に対し、映像処理を行う。
レート変換回路55は、合成された字幕表示画面63a及び映像を合成部7を介して表示部8に出力する。
字幕表示画面63aは上述の通り画素数が定められている。従って映像に対して解像度処理が行われる場合には、字幕も同様に解像度処理を行わなければ、映像と比べて相対的に字幕が小さくなってしまう。従って字幕にも解像度処理を行うべく、字幕表示画面63aに対しては、解像度処理回路54が映像処理を行うことが好ましい。
図8は、データ放送画面64を示す模式図である。OSD画面の一例であるデータ放送画面64の表示を指示する指示信号が入力された場合の映像処理装置100の動作について説明する。データ放送画面64は、JPEG、TIFF又はBMG等の画像ファイルに基づく静止画の絵又は写真等を主体とする静止画プレーン64aと、文字又は図形が主体となる文字図形プレーン64bとの2つに分かれて構成されている。静止画プレーン64aには、番組情報又は広告等を示す静止画が表示され、文字図形プレーン64bには、ニュース、広告又は番組情報等が表示される。また、データ放送画面64には、内部に合成された映像を表示するための枠64c等が表示されている。
データ放送画面64の表示を指示する指示信号が入力された場合、OSD作成部11は、映像を枠64cの大きさ及び位置に合わせるよう指定する信号を、映像設定部44に出力する。映像設定部44は、復号部43から入力された映像を、枠64cに合わせた大きさ及び位置に設定し、動画系処理回路51に出力する。
OSD作成部11は、データ放送画面作成アプリ、静止画プレーン64aの作成時に用いる静止画API、文字図形プレーン64bの作成時に用いる電子番組表API、番組情報データ、広告データ及び文字情報データを記憶部2から読み出す。
選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照して、静止画プレーン64aの作成時に使用している静止画APIに対応する選択信号bを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成した静止画プレーン64aを分配部6に出力する。選択信号bが入力された分配部6は、静止画プレーン64aを静止画系処理回路52に出力する。
一方、選択部12は、対応テーブル21を参照して、文字図形プレーン64bの作成時に使用している電子番組表APIに対応する選択信号eを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成した文字図形プレーン64bを分配部6に出力する。選択信号eが入力された分配部6は、文字図形プレーン64bを合成部7に出力する。
静止画系処理回路52は、静止画プレーン64aと動画系処理回路51から入力された映像とを合成する。合成された静止画プレーン64aと映像とは、静止画系処理回路52、パターン検出処理回路53、解像度処理回路54、レート変換回路55の順に映像処理が行われ、合成部7に出力される。合成部7は、合成された静止画プレーン64a及び映像に、さらに文字図形プレーン64bを合成して、表示部8に出力する。
静止画プレーン64aは写真又は絵等からなる静止画が主体となっている。従って、静止画プレーン64aに対しては、静止画に対する映像処理と同様の映像処理を行うことが好ましい。一方、文字図形プレーン64bは文字及び図形等からなる静止画が主体となっている。従って、文字図形プレーン64bに対しては、上述した電子番組表61の場合と同様に、映像処理を行わない方が好ましい。
図9及び図10はCPU1の動作処理について示すフローチャートである。CPU1の動作処理について説明する。CPU1は、受信部5を介して、リモコン200からOSD画面の表示を指示する指示信号が入力されたか否かを判定する(S1)。入力されていない場合は(S1でNO)、CPU1のOSD作成部11は、待機を続ける(S1に戻す)。入力された場合は(S1でYES)、OSD作成部11は、指示信号に応じたOSD画面の作成に必要なアプリケーションプログラム、API、テンプレート及び表示用データ等のプログラム及びデータを記憶部2から読み出す(S2)。OSD作成部11は、読み出したプログラム及びデータに基づいて、OSD画面を作成する(S3)。
続いて、CPU1の選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す(S4)。選択部12は、使用しているAPIと対応テーブル21とを参照し、選択信号を決定することにより、分配部6の出力先を選択する(S5)。OSD作成部11は、決定した選択信号が選択信号aであるか否かを判定する(S6)。
決定した選択信号が選択信号aである場合(S6でYES)、OSD作成部11は、分配部6を介して、OSD画面を動画系処理回路51に出力し、映像設定部44から入力された映像と合成させる(S7)。また、CPU1は、動画系処理回路51に、OSD画面及び映像についての映像処理を行わせる(S8)。選択信号aでない場合(S6でNO)、OSD作成部11は、決定した選択信号が選択信号bであるか否かを判定する(S9)。
決定した選択信号が選択信号bである場合(S9でYES)、OSD作成部11は、分配部6を介して、OSD画面を静止画系処理回路52に出力し、動画系処理回路51から入力された映像と合成させる(S10)。また、CPU1は、静止画系処理回路52に、OSD画面及び動画系処理回路51から入力された映像についての映像処理を行わせる(S11)。CPU1は、静止画系処理回路52で映像処理されたOSD画面及び映像を、パターン検出処理回路53に出力する。CPU1は、パターン検出処理回路53に、OSD画面及び静止画系処理回路52から入力された映像について映像処理を行わせる(S12)。CPU1は、映像処理されたOSD画面及び映像を解像度処理回路54に出力する。
また、選択信号bでない場合(S9でNO)、OSD作成部11は、決定した選択信号が選択信号cであるか否かを判定する(S13)。
決定した選択信号が選択信号cである場合(S13でYES)、OSD作成部11は、分配部6を介して、OSD画面を解像度処理回路54に出力し、パターン検出処理回路53から入力された映像と合成させる(S14)。また、CPU1は、解像度処理回路54に、OSD画面及びパターン検出処理回路53から入力された映像についての映像処理を行わせる(S15)。CPU1は、パターン検出処理回路53で映像処理されたOSD画面及び映像を、解像度処理回路54に出力する。選択信号cでない場合(S13でNO)、OSD作成部11は、決定した選択信号が選択信号dであるか否かを判定する(S16)。
決定した選択信号が選択信号dである場合(S16でYES)、OSD作成部11は、分配部6を介して、OSD画面をレート変換回路55に出力し、解像度処理回路54から入力された映像と合成させる(S17)。また、CPU1は、レート変換回路55に、OSD画面及び解像度処理回路54から入力された映像についての映像処理を行わせる(S18)。選択信号dでない場合(S16でNO)、決定した選択信号は選択信号eであるので、OSD作成部11は、分配部6を介して、OSD画面を合成部7に出力し、レート変換回路55から入力された映像と、分配部6から入力されたOSD画面とを合成させる(S19)。またCPU1は、レート変換回路55又は合成部7から入力されたOSD画面と映像とを表示部8に出力して(S20)、処理を終了する。
本実施の形態によれば、映像に対して映像処理を行う複数の映像処理部から、OSD作成部が実行しているアプリケーションプログラムに基づいて映像処理部を選択し、選択した映像処理部のいずれかに、作成したOSD画面を出力する。従って、作成したOSD画面の種類に応じて異なる映像処理を行うことができる。
第2の実施の形態
第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、OSD画面に解像度処理後を想定した字幕表示画面及びスクロールする字幕表示画面を含む場合に関する。
記憶部2には、上述したアプリケーションプログラムの他、高解像度字幕画面作成アプリ、スクロール字幕画面作成アプリが記憶されている。
高解像度字幕画面作成アプリは、解像度処理後を想定した大きさであり、且つ静止した字幕である高解像度字幕を表示する字幕表示画面63aを作成するためのアプリケーションプログラムである。即ち、高解像度字幕画面作成アプリは、解像度処理回路54がSD画質をHD画質にする場合には、予めHDの画素数を想定した大きさである高解像度字幕を作成し、HD画質を4K2K画質にする場合には、予め4K2Kの画素数を想定した大きさである高解像度字幕を作成するためのアプリケーションプログラムである。ここで、字幕表示画面63aと、解像度処理された映像を表示する映像表示画面63との位置関係は図7と同様である。
図11は、スクロール字幕画面63bを示す模式図である。スクロール字幕画面作成アプリは、解像度処理後を想定した大きさの字幕であり、且つスクロールする字幕を表示するスクロール字幕画面63bを作成するためのアプリケーションプログラムである。スクロール字幕画面63bは、例えば「ABCDEFGHIJK」という字幕のうち、図11Aに示すように一部しか表示されない場合に、図11Bに示すように字幕をスクロールして、全部を表示する。
また、記憶部2には、高解像度字幕画面作成アプリに対応した高解像度字幕画面API及びスクロール字幕画面作成アプリに対応したスクロール字幕画面APIが記憶されている。
OSD作成部11は、高解像度字幕を表示する字幕表示画面63aを作成する場合には、高解像度字幕画面APIを用い、高解像度字幕画面作成アプリを実行する。また、OSD作成部11は、スクロール字幕画面63bを作成する場合には、スクロール字幕画面APIを用い、スクロール字幕画面作成アプリを実行する。
高解像度字幕を用いた字幕表示画面63aを作成する場合の映像処理装置100の動作について説明する。OSD作成部11は、高解像度字幕を用いた字幕表示画面63aの表示を指示する指示信号が入力された場合、高解像度字幕画面作成アプリ、高解像度字幕画面API、テンプレート及び字幕情報データを記憶部2から読み出して、高解像度字幕を用いた字幕表示画面63aを作成する。
図12は、対応テーブル21を示す図表である。選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照して、使用している高解像度字幕画面APIに対応する選択信号eを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成した字幕表示画面63aを分配部6に出力する。選択信号eが入力された分配部6は、字幕表示画面63aを合成部7に出力する。合成部7は、字幕表示画面63aとレート変換部55から入力された映像とを合成し、表示部8に出力する。表示部8は入力された字幕表示画面63aと映像とを表示する。
続いて、スクロール字幕画面63bを作成する場合の映像処理装置100の動作について説明する。OSD作成部11は、スクロール字幕画面63bの表示を指示する指示信号が入力された場合、スクロール字幕画面作成アプリ、スクロール字幕画面API、テンプレート及び字幕情報データを記憶部2から読み出して、スクロール字幕画面63bを作成する。
選択部12は、記憶部2から対応テーブル21を読み出す。選択部12は、該対応テーブル21を参照して、使用しているスクロール字幕画面APIに対応する選択信号dを分配部6に出力する。OSD作成部11は、作成したスクロール字幕画面63bを分配部6に出力する。選択信号dが入力された分配部6は、スクロール字幕画面63bをレート変換部55に出力する。レート変換部55は、スクロール字幕画面63bと解像度処理回路54から入力された映像とを合成し、合成部7を介して、表示部8に出力する。表示部8は、入力された字幕表示画面63bと映像とを表示する。
字幕表示画面63aは、文字が主体の静止画である。従って、高解像度字幕を用いた字幕表示画面63aに対しては、電子番組表61の場合と同様に、映像処理を行わない方が、鮮明に文字が表示される点で好ましい。一方、スクロール字幕画面63bは、文字を主体にしているが、文字がスクロールする。従って、スクロール字幕画面63bに対しては、録画リスト62と同様に、滑らかにスクロールするようレート変換部55が映像処理を行うことが好ましい。
本実施の形態によれば、字幕を表示する場合に、OSD画面の種類に応じて異なる映像処理が行われる。これにより、表示部8に高解像度字幕を用いた字幕表示画面63aが表示される場合には字幕が鮮明に表示され、表示部8にスクロール字幕画面63bが表示される場合には、字幕が滑らかに表示されるといった、適切な映像処理が行われる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態に記載されている技術的特徴は、相互に組合せ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。