JP6043079B2 - 熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 - Google Patents
熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6043079B2 JP6043079B2 JP2012083109A JP2012083109A JP6043079B2 JP 6043079 B2 JP6043079 B2 JP 6043079B2 JP 2012083109 A JP2012083109 A JP 2012083109A JP 2012083109 A JP2012083109 A JP 2012083109A JP 6043079 B2 JP6043079 B2 JP 6043079B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- gear
- gears
- steel
- heat treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
C:0.40〜0.60%(質量%を示す。化学成分について以下同じ)、
Si:0.01〜0.35%、
Mn:1.20〜2.0%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Cr:0.01〜0.50%、
Al:0.15〜0.50%、
B:0.0020〜0.0100%、および
N:0.0100%以下(0%を含まない)
を満たし、残部が鉄および不可避不純物であるところに特徴を有する。
(a)Mo:0.80%以下(0%を含まない)や、
(b)Cu:0.80%以下(0%を含まない)、および/または、Ni:0.80%以下(0%を含まない)、
(c)Ca:0.005%以下(0%を含まない)、および/または、Mg:0.005%以下(0%を含まない)
を含んでいてもよい。
Cは、部品として必要な表層硬さや内部硬さを確保する上で重要な元素であり、0.40%未満では上記硬さが不足し、部品としての強度が不足する。よって本発明では、C量を0.40%以上とする。好ましくは0.45%以上、より好ましくは0.48%以上である。しかしC量が多すぎても、硬さ向上の効果は飽和する。またC量が多すぎると、フェライトを十分に確保できないため、歯切加工性が低下する。よってC量は、0.60%以下に抑える必要がある。好ましくは0.58%以下であり、より好ましくは0.55%以下である。
Siは、脱酸元素として作用し、鋼の内部品質を向上させるのに必要な元素である。Siが少なすぎると、脱酸が不十分となり、溶製時にガス欠陥が発生しやすくなる。よってSi量は0.01%以上とする。好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.25%以上である。一方、Siが多すぎると、Siの固溶強化により鋼材が硬くなり歯切加工性が低下する。よって、Si量は0.35%以下とする。好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.25%以下である。
Mnは、焼入性を著しく向上させることから、内部硬さの向上に寄与する元素である。よってMn量は1.20%以上とする。好ましくは1.22%以上、より好ましくは1.25%以上である。しかし、Mnは焼入れ性向上元素であるため、過剰に含まれると硬質のベイナイトが生成されて内部硬さの増加を招き、歯切加工を良好に行うことができない。また、ベイナイトが生成すると内部硬さがバラつき易くなる。更に、MnはMs点を低下させる元素であるため、過剰に含まれると、表層組織における残留γ量が過剰になり、高周波焼入れ後の表層硬さを確保することができない場合がある。よって、Mn量は2.0%以下とする。好ましくは1.50%以下、より好ましくは1.45%以下である。
Pは、鋼材中に不可避的に含まれる元素であり、結晶粒界に偏析して部品(歯車)の衝撃特性を低下させる元素であるため、極力低減する方が好ましい。そのため上限を0.03%とした。P量は、好ましくは0.020%以下、より好ましくは0.015%以下である。
Sも、鋼材中に不可避的に含まれる元素であり、Mnと結合してMnS(介在物)を生成し、部品(歯車)の疲労強度、衝撃強度を低下させるため、極力低減する方が好ましい。そのため上限を0.03%とした。S量は、好ましくは0.025%以下である。
Crは、熱間鍛造後に生成するパーライト組織中のセメンタイトを、母相へ固溶させ難くする元素である。このCrが多く含まれると、高周波焼入れ時にセメンタイトの溶け残りが生じ易い。セメンタイトの溶け残りがあると、所望の硬さが得られないだけでなく、このセメンタイトを起点とする破壊を招く。またCr量が過剰であると、熱間鍛造後の組織(内部組織)としてベイナイトが生じやすくなり歯切加工性が低下する。これらの観点から、Cr量の上限を0.50%とした。Cr量は、好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.20%以下である。しかしながらCrは、鋼材の焼入れ性を高める元素であり、内部硬さを確保するには、Cr量を0.01%以上とする必要がある。好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上である。
Nは、鋼材に不可避的に含まれる元素であり、Alと結合した場合、AlNとなり結晶粒界に析出する。上述した通り、AlNが粒界に多く析出すると、熱間での粒界強度が著しく低下し、熱間鍛造性を低下させる。よってN量は、極力低減する必要があり、0.0100%以下とする。好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.006%以下である。
Moは、焼入性を著しく向上させる効果を有すると共に、靭性の向上に有効な元素である。これらの効果を発揮させるには、0.1%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.15%以上である。しかし、Mo量が過剰になっても効果は飽和し、コストアップを招くだけである。またMoが過剰に含まれていると、熱間鍛造後の組織(内部組織)としてベイナイトが生じやすくなり歯切加工性が低下する。よってMo量は0.80%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.6%以下であり、更に好ましくは0.3%以下である。
Cu、Niも、焼入性を著しく向上させる効果を有すると共に、靭性の向上に有効な元素である。これらの効果を発揮させるには、Cuを0.1%以上(より好ましくは0.15%以上)含有させることが好ましく、Niを0.1%以上(より好ましくは0.15%以上)含有させることが好ましい。
CaとMgは、酸化物系介在物を形成して歯切加工性を向上させる元素であり、必要に応じて鋼に含有させても良い。上記効果を得るには、Ca、Mgいずれの場合も、好ましくは0.0001%以上、更に好ましくは0.001%以上である。しかしこれらの元素が過剰に含まれると、大型の介在物が形成されて歯車強度が低下するため、それぞれ0.005%以下とすることが好ましい。より好ましくは、それぞれ0.003%以下である。
硬さ測定用試験片として、上記形状がφ30mm×L1000mmの鍛造品を、φ20mm×L100mmに加工したものを用いた。この試験片に対し、高周波焼入れ(温度950℃、水冷(ポリアルキレングリコール系を含む)、有効硬化層深さ1.4mm)を行い、表層から50μm位置のビッカース硬さ(表層硬さ)と表層から5mm位置のビッカース硬さ(内部硬さ)を測定した。そして、表層硬さは、一般浸炭品と同等レベル以上であるHV700以上を合格とした。また内部硬さは、一般浸炭品と同等レベル以上であるHV250以上を合格とした。
上記硬さ試験片(高周波焼入れ前)にて内部硬さの測定に用いた箇所をナイタルにて腐食し、100倍で光学顕微鏡にて観察して、組織を同定した(下記表3および表4において、Pはパーライト、αはフェライト、Bはベイナイトを示す)。また、3視野当たりのフェライト分率(面積%)を求めた。
歯切加工性評価用試験片として、上記形状がW110mm×L155mm×T30mmの鍛造品を、W100mm×L150mm×T20mmに加工したものを用いた。そして、以下の条件で切削試験を行い、刃先の工具磨耗量を測定した。工具磨耗量は、一般的な高周波用鋼として用いられるS53Cの場合で250μm程度であるため、その1/2以下である125μm以下を合格(歯切加工性に優れている)と評価した。
(切削試験条件)
工具:ハイス製のホブツール
切り込み量:1.0mm
1歯あたり送り速度:0.30mm/歯
切削速度:150m/min
切削雰囲気:乾式
磨耗の判定:歯切工具により1歯あたりに加工した長さが7500mmに到達した時の歯切工具の歯先の逃げ面磨耗量を測定
熱間鍛造性評価用試験片として、上記形状がφ30mm×L1000mmの鍛造品を、図1に示す形状に加工したものを用いた。そして、この試験片を用いて、熱間での引張試験を図2に示す条件で行った。そして熱間鍛造性は、熱間での引張試験における絞りを用いて評価した。具体的には、図2におけるTが800℃、900℃、1000℃、1100℃、および1200℃の各条件で得られた各々の絞りの平均値を求め、この平均値が70%以上の場合を熱間鍛造性に優れると評価した。
Claims (6)
- C:0.40〜0.60%(質量%を示す。化学成分について以下同じ)、
Si:0.01〜0.35%、
Mn:1.20〜2.0%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Cr:0.01〜0.50%、
Al:0.15〜0.50%、
B:0.0020〜0.0100%、および
N:0.0100%以下(0%を含まない)
を満たし、TiとZrがそれぞれ0.004%以下に抑えられ、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ
内部組織がフェライトとパーライトからなる組織であると共に、全組織に占めるフェライトの分率が10面積%以下であることを特徴とする熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼。 - 更に他の元素として、
Mo:0.80%以下(0%を含まない)を含む請求項1に記載の高周波熱処理用歯車用鋼。 - 更に他の元素として、
Cu:0.80%以下(0%を含まない)、および/または、Ni:0.80%以下(0%を含まない)を含む請求項1または2に記載の高周波熱処理用歯車用鋼。 - 更に他の元素として、
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、および/または、Mg:0.005%以下(0%を含まない)を含む請求項1〜3のいずれかに記載の高周波熱処理用歯車用鋼。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の成分組成を有し、かつ内部組織がフェライトとパーライトからなる組織であると共に、全組織に占めるフェライトの分率が10面積%以下であり、更に、表層硬さがHV700以上であり、かつ内部硬さがHV250以上であることを特徴とする歯車。
- 請求項5に記載の歯車を製造する方法であって、
請求項1〜4のいずれかに記載の高周波熱処理用歯車用鋼を用い、得られる歯車の表層硬さをHV700以上、かつ内部硬さをHV250以上にできる条件で高周波焼入れを行うことを特徴とする歯車の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012083109A JP6043079B2 (ja) | 2012-03-30 | 2012-03-30 | 熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012083109A JP6043079B2 (ja) | 2012-03-30 | 2012-03-30 | 熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013213244A JP2013213244A (ja) | 2013-10-17 |
JP6043079B2 true JP6043079B2 (ja) | 2016-12-14 |
Family
ID=49586791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012083109A Expired - Fee Related JP6043079B2 (ja) | 2012-03-30 | 2012-03-30 | 熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6043079B2 (ja) |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4041413B2 (ja) * | 2002-08-27 | 2008-01-30 | 株式会社神戸製鋼所 | 切り屑処理性に優れた機械構造用鋼、およびその製造方法 |
JP4728884B2 (ja) * | 2006-06-16 | 2011-07-20 | 新日本製鐵株式会社 | 低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材及び高周波輪郭焼入れ部品 |
JP4872846B2 (ja) * | 2007-07-30 | 2012-02-08 | 住友金属工業株式会社 | 窒化歯車用粗形品および窒化歯車 |
CN102985577B (zh) * | 2010-07-14 | 2015-05-06 | 新日铁住金株式会社 | 切削性优良的机械结构用钢 |
JP5679440B2 (ja) * | 2011-03-28 | 2015-03-04 | 株式会社神戸製鋼所 | 冷間鍛造性に優れ、高周波焼入れ後におけるねじり強度に優れた高周波焼入れ用鋼、およびその製造方法 |
JP5687944B2 (ja) * | 2011-04-08 | 2015-03-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 被削性に優れた高周波焼入れ用鋼、及びその製造方法 |
-
2012
- 2012-03-30 JP JP2012083109A patent/JP6043079B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013213244A (ja) | 2013-10-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5927868B2 (ja) | 冷間鍛造性に優れた浸炭用鋼およびその製造方法 | |
JP5332646B2 (ja) | 冷間鍛造性に優れた浸炭用鋼の製造方法 | |
JP4709944B2 (ja) | 肌焼鋼、浸炭部品、及び肌焼鋼の製造方法 | |
JP5503195B2 (ja) | 摩擦圧接に適した機械構造用鋼材およびその製造方法、摩擦圧接部品 | |
JP6027302B2 (ja) | 高強度焼戻し省略ばね用鋼 | |
JP5563926B2 (ja) | 摩擦圧接に適した機械構造用鋼材および衝撃特性、曲げ疲労特性に優れた摩擦圧接部品 | |
WO2015037246A1 (ja) | ばね用鋼およびばねの製造方法 | |
JP5332517B2 (ja) | 浸炭用鋼の製造方法 | |
JP5687945B2 (ja) | 被削性と高温強度に優れた高周波焼入れ用鋼、及びその製造方法 | |
JP6729686B2 (ja) | 高周波焼入れ用非調質鋼 | |
JP5871085B2 (ja) | 冷間鍛造性および結晶粒粗大化抑制能に優れた肌焼鋼 | |
JP5687944B2 (ja) | 被削性に優れた高周波焼入れ用鋼、及びその製造方法 | |
JP5912778B2 (ja) | 耐剥離性および耐衝撃疲労特性に優れた歯車 | |
JP2012057213A (ja) | 摩擦圧接用機械構造用鋼および摩擦圧接部品 | |
JP5332410B2 (ja) | 浸炭用鋼材の製造方法 | |
JP6390685B2 (ja) | 非調質鋼およびその製造方法 | |
JP5323369B2 (ja) | 被削性と結晶粒粗大化防止特性に優れた肌焼鋼 | |
JP5217403B2 (ja) | 被削性および疲労特性に優れた機械構造用鋼材 | |
JP6043079B2 (ja) | 熱間鍛造性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 | |
JP2008179848A (ja) | 耐衝撃疲労特性、面疲労強度に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車 | |
JP6825605B2 (ja) | 浸炭部材 | |
JP6043080B2 (ja) | 耐剥離性と歯切加工性に優れた高周波熱処理用歯車用鋼、および歯車とその製造方法 | |
JP6635100B2 (ja) | 肌焼鋼 | |
JP2007231411A (ja) | 機械構造用部品の製造方法 | |
JP6849360B2 (ja) | 転動疲労寿命特性に優れたマルテンサイト系快削ステンレス鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150820 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150825 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160329 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160524 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20161108 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161111 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6043079 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |