JP6041847B2 - 統合連動装置および統合連動システム - Google Patents

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Description

この発明は、鉄道の路線における列車の進路を安全に確保するための連動装置に関し、詳しくは、複数の駅に亘る連動論理を集中して処理する統合連動装置に関する。また、そのような統合連動装置に加えて駅の制御端末も具備した統合連動システムにも関する。
連動駅間の中間を含め線区全体を一つの連動駅として捉え、単線区間において隣接する連動駅の競合する出発信号機相互間を排他制御(定位鎖錠)することにより、単線区間の連動駅間の閉そくを構成(閉そくを確保・鎖錠,閉そく状態を確立)する集中連動装置や統合連動装置が開発されている(例えば特許文献1,非特許文献1参照)。
これらの連動装置は、複数の駅に亘る連動論理を集中して処理することの利点を活用して、単線区間の閉そくを構成する手段として、競合する出発信号機間に連動装置の基本機能である排他制御(定位鎖錠)を適用することにより、単線区間における方向回線と運転方向論理と両駅における運転取扱いとを不要にしたものである。
特許第4664009号公報
大同技報「DAIDO 70号」第2〜5頁、大同信号株式会社1990年11月発行
しかしながら、このような連動装置では、線区全体を一つの連動駅として捉えることの裏返しとして、各連動駅とその中間の配置が、具体的には隣駅(隣の駅,次の駅)が、一義的に決まり、固定化されており、線区内のある駅に設置された現場装置が異常となると、閉そくが構成(確保)できず線区全体の運行を支障するおそれがある。そして、そのような不具合を回避して稼働性を高めるべく、冗長構成を採ろうとすると、複数駅の連動論理を集中して簡素化した利点が損なわれるため、適用範囲の拡大が難しい。
そこで、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に柔軟に対処できる統合連動装置を実現することが課題となる。
本発明の統合連動装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、鉄道の線区内の各駅の信号機と転てつ機と軌道回路の状態情報を取得して前記各駅毎の連動論理を集中処理することで前記各駅の信号機と転てつ機の動作を制御する統合連動装置において、前記線区内の複数の単線区間に係る閉そく論理を各区間毎に処理するようになっていることを特徴とする。ここで、各駅の信号機と転てつ機と軌道回路に対する状態情報の取得や信号機と転てつ機に対する動作の制御は、各機器と例えば個別の信号線を介して直に行っても良いが、各機器と例えば共用の伝送路と各駅毎の制御端末とを介して間接的に行う方が実用的である。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段2)、上記解決手段1の統合連動装置であって、前記単線区間のうち中間駅を挟んで隣り合うものに係る閉そく論理を処理するに際して前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには前記中間駅とその両側の単線区間とを一つの単線区間として取り扱うようになっていることを特徴とする。ここで、異常の検知は、異常を知らせる通知の受信や正常な交信の途絶などで自動的に行うようにしても良く、運転取扱い者による表示制御盤からの設定入力など人手に依存して行うようにしても良いが、両者の協動で行うようにするのが実用的である。
さらに、本発明の統合連動装置は(解決手段3)、上記解決手段1,2の統合連動装置であって、
前記単線区間に係る閉そく論理を処理して閉そく構成(閉そくの確保・鎖錠)を行う際には、前記単線区間に係る出発駅における前記単線区間側の出発信号機(の進路を構成して該出発信号機)に進行を指示する信号を現示させることにより、前記単線区間に係る到着駅における前記単線区間側の出発信号機を排他制御(定位鎖錠)して、前記出発駅から前記到着駅へ向かう方向を運転方向とする閉そく構成(閉そくの確保・鎖錠,閉そく状態の確立)を行うようになっており、
前記単線区間に係る閉そく論理を処理して閉そく解錠を行う際には、前記出発駅の前記出発信号機が進行を指示する信号を現示したことと,該出発信号機が進行を指示した進路上を列車が走行したことと,該進路における最終の軌道回路からの列車進出と,その後の確認用所定時間の経過と,前記到着駅における前記単線区間側の場内信号機が進行を指示する信号を現示したことと,該場内信号機が進行を指示した進路上を列車が走行したことと,該進路の最初の軌道回路である内方第1軌道回路からの列車進出とを検知してから、閉そく解錠を行うようになっており、
前記到着駅の連動論理を処理して前記到着駅の前記出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御を止める際には、前記到着駅の到着線への列車到着と,前記到着駅の前記場内信号機の定常現示(停止信号)への復帰とを検知してから、前記到着駅の前記出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御を止めるようになっていることを特徴とする。
ここで、統合連動装置の処理の内容のうち閉そくの構成と解錠とについては、信号機の信号の内容が「停止信号」なのか「進行を指示する信号(停止信号以外の進行信号や注意信号など)」なのかということと、進行を指示する信号に従って走行する列車の動きとに基づいて規定した。また、前記到着線への列車到着は、前記到着線の軌道回路の状態情報に基づいて検知することができる。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段4)、上記解決手段1〜3の統合連動装置であって、前記単線区間のうちその両側の駅には軌道回路が設けられているが駅間には軌道回路が設けられていない特殊自動閉そく区間に対応させた論理処理上の仮想軌道回路を(二値論理のフラグや多値論理のデータ等で)具備していて、前記特殊自動閉そく区間の一端側の出発駅からの列車進出を以て前記仮想軌道回路への列車進入を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするとともに、前記特殊自動閉そく区間の他端側の到着駅への列車進入を以て前記仮想軌道回路からの列車進出を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車非在線状態にするようになっており、更に、前記特殊自動閉そく区間に係る閉そく論理を処理するに際して、前記特殊自動閉そく区間の両側の駅における前記特殊自動閉そく区間側の競合する出発信号機について前記仮想軌道回路を到着点とする使用(すなわち競合する出発信号機の到着点が共に仮想軌道回路となっており、この到着点である仮想軌道回路をどちらの出発信号機が先(時間的に早く)に使用するか否か)を排他条件とすることにより、閉そく論理を処理するようになっていることを特徴とする。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段5)、上記解決手段4の統合連動装置であって、前記特殊自動閉そく区間が複数存在していることに対応して各区間毎に前記仮想軌道回路を具備するとともに、前記特殊自動閉そく区間のうち中間駅を挟んで隣り合う二つの単線区間である続き区間が存在していることに対応して前記続き区間に係る論理処理上の仮想軌道回路も具備していて、前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには、前記続き区間に属する複数の特殊自動閉そく区間それぞれに係る区間毎の前記仮想軌道回路の状態設定と閉そく論理の処理とに代えて又はそれに優先して、前記続き区間に係る前記仮想軌道回路の状態設定と前記続き区間および前記中間駅を一区間とする閉そく論理の処理とを行うようになっていることを特徴とする。ここでも、異常の検知は、異常を知らせる通知の受信や正常な交信の途絶などで自動的に行うようにしても良く、運転取扱い者による設定入力など人手に依存して行うようにしても良いが、両者の協動で行うようにするのが実用的である。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段6)、上記解決手段4,5の統合連動装置であって、前記仮想軌道回路への列車進入の認定は、前記出発駅において列車進行方向に存在する一連の軌道回路が順に列車走行対応の状態遷移を示し、更に最終の状態遷移から確認用所定時間が経過してから、行うようになっており、前記仮想軌道回路からの列車進出の認定は、前記到着駅における前記特殊自動閉そく区間側の場内信号機の最初の軌道回路である内方第1軌道回路が列車走行対応の状態遷移を示してから、行うようになっていることを特徴とする。ここで、軌道回路が列車走行対応の状態遷移を示すとは、軌道回路の状態情報が、列車在線を表す落下状態になってから、列車非在線を表す扛上(動作)状態になることをいう。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段7)、鉄道の線区内の各駅の信号機と転てつ機と軌道回路の状態情報を取得して前記各駅毎の連動論理を集中処理することで前記各駅の信号機と転てつ機の動作を制御する統合連動装置において、前記単線区間のうちその両側の駅には軌道回路が設けられているが駅間には軌道回路が設けられていない特殊自動閉そく区間に対応させた論理処理上の仮想軌道回路を(二値論理のフラグや多値論理のデータ等で)具備していて、前記特殊自動閉そく区間の一端側の出発駅からの列車進出を以て前記仮想軌道回路への列車進入を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするとともに、前記特殊自動閉そく区間の他端側の到着駅への列車進入を以て前記仮想軌道回路からの列車進出を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車非在線状態にするようになっていることを特徴とする。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段8)、上記解決手段7の統合連動装置であって、前記特殊自動閉そく区間が複数存在していることに対応して各区間毎に前記仮想軌道回路を具備するとともに、前記特殊自動閉そく区間のうち中間駅を挟んで隣り合う続き区間が存在していることに対応して前記続き区間に係る論理処理上の仮想軌道回路も具備していて、前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには、前記続き区間に属する複数の特殊自動閉そく区間それぞれに係る区間毎の前記仮想軌道回路の状態設定と閉そく論理の処理とに代えて又はそれに優先して、前記続き区間に係る前記仮想軌道回路の状態設定を行うようになっていることを特徴とする。
また、本発明の統合連動システムは(解決手段9)、上記解決手段1〜8の統合連動装置と、前記各駅に設置された制御端末と、前記統合連動装置と前記制御端末との間の通信を担う伝送路とを備えた統合連動システムであって、前記制御端末が、設置先の駅に設けられている緊急停止用操作部材が操作されたことがその操作情報に基づいて検知されるとその操作情報を前記伝送路経由で前記統合連動装置に送信するとともに設置先の駅の信号機に停止信号を現示させることと、設置先の駅に設けられている転てつ機を含む軌道回路に逸走車両の侵入したことが該軌道回路の状態情報に基づいて検知されるとその状態情報を前記伝送路経由で前記統合連動装置に送信するとともに当該転てつ機を鎖錠(むやみに転換制御されないよう現在の転換位置に固定)することとのうち、何れか一方または双方のことを行うようになっていることを特徴とする。
このような本発明の統合連動装置にあっては(解決手段1)、複数の駅に亘る連動論理を集中処理する際に、単線区間が複数存在している場合には単線区間に係る閉そく論理を各区間毎に処理するようにしたことにより、何れかの単線区間に係る駅で現場装置に異常が生じたとき、該当する単線区間に係る閉そく論理について手当すれば足りることが多くなるので、全区間や多数の区間に及ぶ広範な手当を要することは滅多に起こらなくなる。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に柔軟に対処できる統合連動装置を実現することができる。
また、本発明の統合連動装置にあっては(解決手段2)、正常な単線区間に係る閉そく論理は上述のように各区間毎に処理することを前提にしたうえで、中間駅の現場装置に異常が生じたときには、その中間駅とその両側の単線区間とを恰も一つの単線区間の如く一纏めにして、それに係る閉そく論理を処理するようにしたことにより、その部分だけ区間割りが粗くなって排他制御単位(定位鎖錠の対象区間)の緻密さが縮退するため列車運行に遅延が発生するといったことは起こりうるが、線区全体の列車運行管理は止まることなく維持されるとともに安全も確保される。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に自動で柔軟に対処できる統合連動装置を実現することができる。
さらに、本発明の統合連動装置にあっては(解決手段3)、単線区間に係る閉そくの構成(確保・鎖錠・確立)と解錠(解除)とに加えて随伴する出発信号機の現示制御についても手順などの処理内容を具体化したことにより、列車運行管理が厳格化されて、安全性が向上する。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に柔軟に対処できるうえ安全な統合連動装置を実現することができる。
また、本発明の統合連動装置にあっては(解決手段4)、特殊自動閉そく区間に対応させて論理処理上の仮想軌道回路(軌道回路の状態を模擬する論理情報)を具備したうえで、列車進行状況に合わせて仮想軌道回路の状態を遷移させるとともに、それを参照して閉そく論理を処理するようにしたことにより、公知の特殊自動閉そく式より簡便なやはり公知の自動閉そく式と同様な方式で、閉そく論理を処理することができるため、閉そく論理に係る異常対処手当て等も簡便に行えることとなる。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に柔軟かつ簡便に対処できる統合連動装置を実現することができる。
また、本発明の統合連動装置にあっては(解決手段5)、正常な特殊自動閉そく区間に係る閉そく論理は仮想軌道回路を参照して各区間毎に処理することを前提にしたうえで、中間駅の現場装置に異常が生じたときには、その中間駅とその両側の特殊自動閉そく区間とを恰も一つの単線区間の如く一纏めにして、それに係る閉そく論理も仮想軌道回路を参照して処理するようにしたことにより、その部分だけ区間割りが粗くなって排他制御単位(定位鎖錠の対象区間)の緻密さが縮退するため列車遅延等が発生することはあるが、線区全体の列車運行管理は止まることなく維持されるとともに安全も確保される。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に自動で柔軟かつ簡便に対処できる統合連動装置を実現することができる。
また、本発明の統合連動装置にあっては(解決手段6)、特殊自動閉そく区間に対応した仮想軌道回路への列車進入と列車進出の認定について認定条件を具体化したことにより、仮想軌道回路を参照する閉そく論理ひいては列車運行管理が厳格化されて、安全性が向上する。
したがって、この発明によれば、複数の駅に亘る連動論理を集中処理しても一部の駅での異常に柔軟かつ簡便に対処できるうえ安全な統合連動装置を実現することができる。
また、本発明の統合連動装置は(解決手段7,8)、上述したもの(解決手段4,5)の特徴部から仮想軌道回路に係る部分を残したものであり、閉そく論理処理に係る部分を除いたため当初課題の「一部駅での不具合を回避して稼働性を高めること」に対して直接的に貢献するものではなくなっているが、その解決に派生して生じた作用効果を奏するものであり、例えば表示盤などへ仮想軌道回路の状態情報を提供することにより、軌道回路の実在しない区間についても軌道回路のある区間についてと同様にして表示盤等が一元的処理にて列車位置を把握できるようにすることができる。
[本発明の統合連動システム(解決手段9)]
上述した解決手段のように、各駅毎に設置されていた多数の連動装置の機能を一台の連動装置に集中させた統合連動装置においては、統合連動装置と各駅に設置した制御端末との交信を迅速に行おうとすると、それらの間に高速な伝送手段が必要となる。そのような迅速な交信が必要となる具体例を挙げると、ホームから乗客が線路に転落したときに列車を急ぎ停止させるために取扱う"非常停止ボタン(列車防護スイッチ)"が操作されたときの処理が挙げられるが、このとき、操作情報が制御端末から統合連動装置に伝送され、この情報を受けて統合連動装置が該当する信号機に停止信号を現示させる制御情報を作成し、その制御情報が統合連動装置から制御端末に伝送され、該当する信号機が停止信号を現示するという一連の処理が実行される。そして、このような過程で緊急処理を素早く済ませるには、伝送が高速であることが必要であり、現在の通例では光伝送が使用される。
また、停車・留置した車両が逸走し、転てつ機を含む軌道回路に侵入したときには、急いで当該転てつ機を鎖錠(危険側に制御されない状態に固定)する必要があり、このときの処理も上記と同様な過程を経るので、統合連動装置と制御端末との間にやはり高速の伝送が必要となる。
しかしながら、本発明の統合連動装置の適用対象である単線区間や特殊自動閉そく区間は、ローカル線であり、光伝送などを用いたインフラ整備を行うことは経営上の負担が大きい。
そこで、現場で突然に発生して、一刻も早く該当の信号機を停止信号にしなければならない事態に対応するために、制御端末に「緊急停止信号制御機能」を持たせたのであり、及び/又は、一刻も早く該当の転てつ機を鎖錠しなければならない事態に対応するために、制御端末に「緊急てっ査鎖錠機能」を持たせたのである。これにより、中央に設けられた統合連動装置からの制御に依らず、各駅に設けられた制御端末が自ら停止信号を現示させる及び/又は転てつ機を鎖錠する。その後、遅れて統合連動装置から停止信号や鎖錠の制御が送られてくる。このような緊急停止信号制御機能および/または緊急てっ査鎖錠機能を制御端末に持たせることにより、統合連動装置と制御端末との間の伝送には、既設のメタルケーブルを使用した低速の伝送でも対応できるため、設備費の抑制効果が大きい。
また、制御端末が「緊急停止信号制御機能」や「緊急てっ査鎖錠機能」を持っていない場合であっても、統合連動装置から制御端末へ停止信号や鎖錠の制御が送られて来るため、対処の遅れはあるが、必要な対処はなされるので、制御端末の更新を統合連動装置の導入後に順次行うことも可能であり、設備投資負担を分散させて軽減することができる。
信号機に停止信号を現示させることとは逆に、信号機に進行を指示する信号を現示させる場合については、ローカル線であるので列車密度(列車本数)はわずかであり、信号機に進行を指示する信号を現示させる処理には時間がかかっても許容される。実運用上は、時間がかかる分、自動進路制御装置あるいは表示制御盤から早めに統合連動装置に対して信号機の設定トリガーを出力すれば実害はない。
本発明の統合連動装置の実施例1について、統合連動装置を含んだ列車運行管理システム(統合連動装置システム)の概要ブロック図である。 例示路線の連動図を示し、(a)がA駅〜D駅の概要図、(b)がA駅の部分の連動図、(c)がB駅の部分の連動図、(d)がC駅の部分の連動図、(e)がD駅の部分の連動図である。 例示路線の仮想軌道回路の定義データ構成例を示し、(a)が隣駅間の仮想軌道回路の定義データ、(b)が近駅間の仮想軌道回路の定義データである。 例示路線の連動表の一部抜粋を示し、(a)がA駅に係るもの、(b)がB駅に係るものである。 例示路線の連動表の一部抜粋を示し、(a)がC駅に係るもの、(b)がD駅に係るものである。 実施例1の統合連動装置の動作例を示すフローチャートである。 隣駅間の論理処理に係る詳細フローチャートである。 近駅間の論理処理に係る詳細フローチャートである。
このような本発明の統合連動装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜図8に示した実施例1は、上述した解決手段1〜9(出願当初の請求項1〜9)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、詳細な回路などの図示は割愛し、ブロック図や記号図を多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
本発明の統合連動装置および統合連動システムの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、統合連動装置10を含んだ列車運行管理システム(統合連動システム)の概要ブロック図であり、図2は、(a)がA駅〜D駅を含んだ例示路線の概要図、(b)がA駅の部分の連動図21、(c)がB駅の部分の連動図22、(d)がC駅の部分の連動図23、(e)がD駅の部分の連動図24である。なお、そのうちC駅部分連動図23については、図面サイズの都合上、右端部分を折り返して表示した。
また、図3(a)は、例示路線の隣駅間A駅〜B駅の仮想軌道回路の定義データ31と隣駅間B駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ32と隣駅間C駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ33であり、図3(b)は、例示路線の近駅間A駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ34と近駅間B駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ35である。
さらに、図4(a)は、例示路線のA駅部分の連動表41であり、図4(b)は、例示路線のB駅部分の連動表45であり、図5(a)は、例示路線のC駅部分の連動表51であり、図5(b)は、例示路線のD駅部分の連動表55である。
例示の列車運行管理システムは(図1参照)、処理対象になっている鉄道の線区の列車運行情報や列車ダイヤに基づき線区に属する複数の駅(連動駅)A,B,…の各信号機の設定トリガーを統合連動装置10に出力する自動進路制御装置(PRC)2と、線区の各駅の信号機や,転てつ機,軌道回路などの各現場装置から得た現場情報を表示するとともに運転取扱い者が各信号機の設定トリガー入力や現場装置の異常設定・回復入力をして統合連動装置10に出力するための表示制御盤3と、処理対象になっている鉄道の線区に属する複数の駅(連動駅)A,B,…に係る連動論理を集中処理する統合連動装置10と、各駅A,B,…毎に設けられた制御端末6,6,…と、それらの間で指令や情報の電文を確実に送受信するのを支える伝送路4とを具備している。
それらの装置のうち制御端末6や統合連動装置10は、鉄道設備なので、フェールセーフな構成のものとなっている。
伝送路4は、個別専用品でも良いが、図示しないCTC用の駅ループ等が利用可能であれば、それを流用したものでも良く、旧設備から用いられているメタルケーブルを転用した低速のものでも良い。
制御端末6は、設置先の駅構内の信号機や,転てつ機,軌道回路などの各現場機器と専用の又は共用の信号線等を介して接続されていて、信号機や,転てつ機,軌道回路などの各現場機器から状態情報を収集する機能や、上位機器2,10と連携しながら信号機や転てつ機などの各現場機器の動作を制御する制御出力機能、緊急時に単独で働く緊急停止信号制御機能および緊急てっ査鎖錠機能などを発揮するようになっている。緊急停止信号制御機能と緊急てっ査鎖錠機能は、一台の制御端末6に対して両機能同時に具備させても良く時期をずらして具備させても良く、複数台の制御端末6に対して同時に具備させても良く時期をずらして具備させても良いが、図示の制御端末6は総て両機能を具備している。
緊急停止信号制御機能を具備した制御端末6は、この制御端末6が設置されている駅に設けられている非常停止ボタン(緊急停止用操作部材)が操作されると、その操作情報が制御端末6に送られてくるので、その操作情報の入力に基づいて非常停止ボタンの操作を検知することができ、その検知がなされると、その操作情報を伝送路4を介して統合連動装置10に送信するとともに、制御端末6が設置されている駅の信号機(少なくも操作された非常停止ボタンが設置されているホームに列車が進来する場内信号機や該ホームから出発する出発信号機など)に停止信号を現示させるようになっている。
緊急てっ査鎖錠機能を具備した制御端末6は、この制御端末6が設置されている駅において、停車・留置させた車両が、逸走して、転てつ機を含む軌道回路に侵入すると、それに応じて軌道回路から状態情報として列車在線情報が送られてくるので、その状態情報の入力に基づいて、設置先の駅に設けられている転てつ機を含む軌道回路に逸走車両の侵入したことを検知することができ、その検知がなされると、その軌道回路からの状態情報を伝送路4を介して統合連動装置10に送信するとともに、逸走車両侵入先の軌道回路に含まれている転てつ機を鎖錠(むやみに転換制御されないよう現在の転換位置に固定)するようになっている。
統合連動装置10は、電子化の流れに沿ってハードウェアにフェールセーフコンピュータが採用されており、それにインストールされたプログラムやデータによって必要な機能を発揮する各手段11〜16が具現化されている。すなわち、統合連動装置10は、プログラムの実行によって機能する各駅個別連動論理処理手段11と隣駅間閉そく論理処理手段12と近駅間閉そく論理処理手段13と隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14と近駅間仮想軌道回路論理処理手段15と隣駅近駅切替手段16とを備えたものである。
各駅個別連動論理処理手段11は、従来は処理対象の線区に属する各駅A,B,C,…に分散して設置されていた複数の電子連動装置の機能を纏めて本例の統合連動装置10に発揮させるものであり、そのために、各駅A,B,C,…の信号機や,転てつ機,軌道回路を含む各現場機器の状態情報を制御端末6及び伝送路4経由で取得するとともに、それらの状態情報に基づいて各駅A,B,C,…毎の連動論理を一装置で集中処理し、その処理結果に基づいて各駅A,B,C,…の信号機や転てつ機といった各現場機器の動作を伝送路4及び制御端末6経由で制御するようになっている。
隣駅間閉そく論理処理手段12は、単線区間に係る閉そく論理を処理するものであり、複数の単線区間が処理対象に含まれているときには各区間(個々の単線区間)毎に閉そく論理を処理するようになっている。
ここで、隣駅は、個々の単線区間を挟んで隣り合っている二駅(A駅とB駅,B駅とC駅,C駅とD駅,…)を指しており、列車から見たときには停車中の駅(出発駅)と次の駅(到着駅)とを指す。
近駅間閉そく論理処理手段13は、やはり単線区間に係る閉そく論理を処理するものであるが、単線区間のうち中間駅を挟んで隣り合う二つの単線区間である続き区間に係る閉そく論理を処理するものであり、該当する続き区間に属する中間駅とその両側の単線区間とが恰も制御対象外の傍線駅を持った一つの単線区間であるかのように、それらを一纏めにして、一続きの単線区間(個々の単線区間と明確に区別するときは見なし単線区間と呼ぶ)に係る閉そく論理を処理するようになっている。
ここで、近駅は、見なし単線区間になり得る続き区間を挟んで隣りの隣りに位置し合っている近くの二駅(A駅とC駅,B駅とD駅,C駅と図示しないE駅,…)を指しており、列車から見たときには停車中の駅と次の次の駅とを指す。
これらの閉そく論理処理手段12,13は、何れも、閉そく対象区間が個々の単線区間であれ見なし単線区間(続き区間)であれ、閉そく論理を処理して閉そくを構成するときは、閉そく対象区間に係る出発駅における閉そく対象区間側の出発信号機の進路を構成(進路を排他的に確保)して進行を指示する信号を現示させることにより、到着駅へ向かう方向を運転方向として閉そく対象区間に係る閉そく構成を行うようになっている。そして、その閉そく構成によって、閉そく対象区間に係る到着駅における閉そく対象区間側の出発信号機は、排他制御されて進路を構成できないため、停止信号を現示し続けることとなる。
また、閉そく論理処理手段12,13は、何れも、閉そく対象区間が個々の単線区間であれ見なし単線区間(続き区間)であれ、閉そく論理を処理して閉そくを解錠するときは、閉そく対象区間に係る出発駅の閉そく対象区間側の出発信号機が進行を指示する信号を現示したことと、この出発信号機の進路上を列車が走行したことと、この進路における最終の軌道回路から対象列車が進出したことと、その後に確認用所定時間たとえば120秒が経過したことと、閉そく対象区間に係る到着駅における閉そく対象区間側の場内信号機が進行を指示する信号を現示したことと、この場内信号機の進路上を列車が走行したことと、この進路の最初の軌道回路である内方第1軌道回路から列車が進出したこととが、その順に総て検知されたら、対象区間に係る閉そくを解錠するようになっている。
さらに、閉そく論理処理手段12,13による閉そく対象区間の閉そく解錠に伴い、閉そく対象区間が個々の単線区間であれ見なし単線区間であれ、閉そく対象区間に係る到着駅の連動論理を処理して、その到着駅の閉そく対象区間側の出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御が止められる。これは、閉そくを構成した手段12,13が行っても、各駅個別連動論理処理手段11が代行しても良いが、いずれにしろ、その際には、閉そく対象区間に係る到着駅の到着線(ホームトラック)に列車の到着したことがその到着線の軌道回路の状態情報等に基づいて確認されるとともに、その到着駅の閉そく対象区間側の場内信号機が定常現示(停止信号の現示)に復帰したことが信号機の状態情報等に基づいて検知されてから、到着駅の出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御を止めるようになっている。
隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14は、閉そく対象になっている個々の単線区間が特殊自動閉そく区間である場合、すなわち、単線区間の両側の駅には軌道回路が設けられているが駅間には軌道回路が設けられていない場合、個々の特殊自動閉そく区間それぞれに一つずつ対応させて、仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路)を具備している。
この仮想軌道回路は、線路上に実在するものでなく、統合連動装置10の機能によって顕在化される論理処理上のものであり、例えば、統合連動装置10にデータ及びプログラム実行状態の何れか一方もしくは双方またはそれに準ずる態様で存在している。
そして、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14は、上述した仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路)それぞれに対し、対応する特殊自動閉そく区間の一端側の出発駅から列車が進出したことが出発駅の軌道回路の状態情報等に基づいて検知されると、該当する仮想軌道回路に列車が進入したと認定して、該当する仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするようになっている。また、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14は、対象の仮想軌道回路に対応する特殊自動閉そく区間の他端側の到着駅に列車が進入したことが到着駅の軌道回路の状態情報等に基づいて検知されると、該当する仮想軌道回路から列車が進出したと認定して、該当する仮想軌道回路の状態を列車非在線の状態にするようになっている。
さらに、このような仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路)が導入されたことに基づいて、隣駅間閉そく論理処理手段12は、特殊自動閉そく区間の単線区間について閉そく論理を処理するに際し、閉そく対象の特殊自動閉そく区間の両側の駅における対象区間側の競合する出発信号機の到着点が共に仮想軌道回路となっており、この到着点である仮想軌道回路をどちらの出発信号機が先(時間的に早く)に使用するか否かを排他条件とすることにより、閉そく論理を処理するようになっている。そのため、隣駅間閉そく論理処理手段12の論理を具体化した連動表などが簡潔で分かり易いものとなり、チェックや変更なども簡便に行うことができる。
近駅間仮想軌道回路論理処理手段15は、閉そく対象の特殊自動閉そく区間が複数存在しており而も中間駅を挟んで隣り合う続き区間になっている場合に、そのような続き区間に一つずつ対応させて、仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路と明確に区別するときは延長仮想軌道回路と呼ぶ)を具備している。
この延長仮想軌道回路も、線路上に実在するものでなく、統合連動装置10の機能によって顕在化される論理処理上のものであり、例えば、統合連動装置10にデータ及びプログラム実行状態の何れか一方もしくは双方またはそれに準ずる態様で存在している。
そして、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15は、上述した仮想軌道回路(延長仮想軌道回路)それぞれに対して状態設定を行うようになっている。具体的には、対応する続き区間(見なし単線区間)の一端側の出発駅から列車が進出したことが出発駅の軌道回路の状態情報等に基づいて検知されると、該当する仮想軌道回路に列車が進入したと認定して、該当する仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするようになっている。また、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15は、対象の続き区間(見なし単線区間)の他端側の到着駅に列車が進入したことが到着駅の軌道回路の状態情報等に基づいて検知されると、該当する仮想軌道回路から列車が進出したと認定して、該当する仮想軌道回路の状態を列車非在線の状態にするようになっている。
さらに、このような仮想軌道回路(延長仮想軌道回路)が導入されたことに基づいて、近駅間閉そく論理処理手段13は、一区間と見なした続き区間について閉そく論理を処理するに際し、閉そく対象の続き区間(見なし単線区間)の両側の駅における対象続き区間側の競合する出発信号機の到着点が共に仮想軌道回路となっており、この到着点である仮想軌道回路をどちらの出発信号機が先(時間的に早く)に使用するか否かを排他条件とすることにより、閉そく論理を処理するようになっている。そのため、近駅間閉そく論理処理手段13についても、その論理を具体化した連動表などが簡潔で分かり易いものとなり、チェックや変更なども簡便に行うことができる。
また、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14も、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15も、上述のようにして仮想軌道回路に係る列車進入と列車進出を認定するが、次のように一連の手順が踏まれたときに限定することで、厳密化が図られている。すなわち、仮想軌道回路への列車進入は、出発駅において、出発信号機が進行を指示する信号を現示し、列車進行方向に存在する一連の軌道回路が、順に、何れも、列車在線を表す確定落下状態になってから列車非在線を表す確定扛上状態になって、列車走行対応の状態遷移を示し、更に最終の状態遷移から例えば120秒の確認用所定時間が経過してから、認定するようになっている。仮想軌道回路からの列車進出は、到着駅において、場内信号機が進行を指示する信号を現示し、内方第1軌道回路(すなわち到着駅における閉そく対象区間側の場内信号機の最初の軌道回路)が、列車在線を表す確定落下状態になってから列車非在線を表す確定扛上状態になるという列車走行対応の状態遷移を示してから、認定するようになっている。
隣駅近駅切替手段16は、処理対象の線区のうち特殊自動閉そく区間が連続している部分に係る仮想軌道回路論理処理と閉そく論理処理との担い手に、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14と隣駅間閉そく論理処理手段12との組(以下、正常時用手段組12+14とも呼ぶ)と、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15と近駅間閉そく論理処理手段13との組(以下、異常時用手段組13+15とも呼ぶ)とのうち何れか一方の組を採択するものであり、定常状態では何れの特殊自動閉そく区間についても正常時用手段組12+14を採択するが、対象範囲内の駅で異常が生じると該当箇所には異常時用手段組13+15を採択する、という切り替えを行うようになっている。なお、異常の検知は、異常を知らせる通知の受信や正常な交信の途絶などで自動的に行うようになっている他、異常の状況を調べた運転取扱い者の手動入力による確認も要するものとなっている。
そして、この切り替えにより、特に異常の見当たらない正常状態・定常状態では、どの特殊自動閉そく区間についても、個々の特殊自動閉そく区間毎に、仮想軌道回路論理と閉そく論理とが正常時用手段組12+14によって処理されるのである。
これに対し、各駅A,B,C,…の制御端末6や,信号機,転てつ機,軌道回路などの現場機器(これらを、現場装置と総称する)に異常の生じたことが異常信号及び運転取扱い者の手動入力などに基づいて検知されたとき、しかも、その異常になった現場装置の属する駅が「続き区間」の中間駅であったときには、その続き区間に属する二つの複数の特殊自動閉そく区間については、恰も一区間の如く、仮想軌道回路論理と閉そく論理とが異常時用手段組13+15によって処理されるのである。
すなわち、隣駅近駅切替手段16は、次駅である到着駅に設けられている現場装置に異常が生じたときには、異常信号及び運転取扱い者の入力を受けて、到着点を該当する個別区間用仮想軌道回路から延長仮想軌道回路に切り替えるために、該当する仮想軌道回路の論理処理の担当から隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14を外して新たな担当に近駅間仮想軌道回路論理処理手段15を採択するとともに、出発駅から次駅(隣駅)までだった閉そく区間を出発駅から次々駅(近駅)まで延長するために、該当する仮想軌道回路の閉そく論理処理の担当から隣駅間閉そく論理処理手段12を外して新たな担当に近駅間閉そく論理処理手段13を採択するようになっている。
また、隣駅近駅切替手段16によって正常時用手段組12+14から異常時用手段組13+15への切り替えがなされて、実際に列車在線状態の設定対象が個別区間用仮想軌道回路から延長仮想軌道回路へ切り替えられるとともに、実際に出発駅から次々駅までが1閉そく区間として取り扱われるまでには、以下に挙げる条件が満たされることが必要である。なお、その条件確認は、隣駅近駅切替手段16と近駅間仮想軌道回路論理処理手段15との協動行為によって実行されるようになっていても良く、何れか一方の単独行為によって実行されるようになっていても良い。
以下、列車の出発前後などに場合分けして条件を詳述する。
列車が出発駅を出発する前の場合、閉そく構成条件(第1切替条件)は、(1)次駅の異常を知らせる通知の受信や制御端末6との通信が所定周期連続して途絶えるなど次駅の異常が確実であることと、(2)次駅が傍線状態(上り列車も下り列車も同じ線路上を通過できるように関係する転てつ機が予め決められた方向に転換し鎖錠されており、あたかも転てつ機が存在せず線路の振り分けがない傍線駅の状態。定常はこの傍線状態で、当該転てつ機を反対方向に転換しなければならない進路を構成する場合には、一旦、該当転てつ機の鎖錠を解錠したのちに、進路の構成を行う)であることと、(3)出発駅と次駅(隣駅)との間の仮想軌道回路(直近の個別区間用仮想軌道回路)にも次駅(隣駅)と次々駅(近駅)との間の仮想軌道回路(一つ先の個別区間用仮想軌道回路)にも列車が在線していないことと、(4)次々駅(近駅)の反対方向の競合する出発信号機が一つ先の個別区間用仮想軌道回路を到着点として使用していないことと、(5)更に(1)〜(4)の要件について次駅の異常が確実と判断された例えば30秒(伝送時間、異常を確定するまで周期数などにより決定する)前から要件成立状態が継続していることと、(6)運転取扱い者が表示制御盤3から「次駅異常と入力したこと」が確認できたこととが、出発までに全て満たされることである。なお、中間駅に列車が停車していても傍線状態であれば切替が可能である。
また、列車が出発駅を既に出発していて出発駅と次駅(隣駅)との間の仮想軌道回路に在線中である場合、閉そく構成条件(第2切替条件)は、(1)次駅の異常を知らせる通知の受信や制御端末6との通信が所定周期連続して途絶えるなど次駅の異常が確実であることと、(2)次駅が傍線状態であることと、(3)次駅の定常進路が構成(進路鎖錠がかかった状態,信号機の進路が排他的に確保された状態)されて進行を指示する信号が現示されていることと、(3)次駅(隣駅)と次々駅(近駅)との間の仮想軌道回路(一つ先の個別区間用仮想軌道回路)に列車が在線していないことと、(4)次々駅(近駅)の反対方向の競合する出発信号機が一つ先の個別区間用仮想軌道回路を到着点として使用していないことと、(5)更に(2),(4)の要件について次駅の異常が確実と判断された例えば30秒前から要件成立状態が継続していることと、(6)運転取扱い者が表示制御盤3から「次駅異常と入力したこと」が確認できたこととが、走行中の個別区間用仮想軌道回路を列車が進出する前に総て満たされることである。なお、この場合も、中間駅である次駅に列車が停車していても傍線状態であれば切替が可能である。
そして、上述の閉そく構成条件(切替条件)が満たされたときには閉そく対象を個別区間用仮想軌道回路から延長仮想軌道回路に切替えるとともに、出発駅の出発信号機の到着点を延長仮想軌道回路に切替え、これによって次々駅(近駅)の反対方向の競合する出発信号機を排他制御(定位鎖錠)するようになっている。
さらに、列車が次駅(中間駅)の傍線状態の線路上に在線中の場合、閉そく構成条件(第3切替条件)は、上述した出発後の閉そく構成条件(第2切替条件)と同じであるが、列車が次駅(中間駅)の傍線状態の線路とは別の線路上に在線中の場合は、傍線状態に転てつ機が転換・鎖錠されているので、自動で切り替えることはできない。後者の場合、統合連動装置10の自動処理は許されないので、列車の走行などは、保守要員等が出動して進路開通を確保するのを待たざるを得ない。
また、隣駅近駅切替手段16による異常時用手段組13+15から正常時用手段組12+14への切り替え条件、言い換えると延長仮想軌道回路を対象とした閉そく区間を定常状態に復帰させる条件、具体的には一つの延長仮想軌道回路および閉そく区間を二つの仮想軌道回路および閉そく区間に切り替える条件、より具体的には出発駅から次々駅(近駅)までの延長仮想軌道回路を出発駅から次駅(隣駅)までの個別区間用仮想軌道回路と次駅(隣駅)から次々駅(近駅)までの個別区間用仮想軌道回路とに切り替えるとともに出発駅から次々駅(近駅)までの閉そく区間を出発駅から次駅(隣駅)までの閉そく区間と次駅(隣駅)から次々駅(近駅)までの閉そく区間とに切り替える条件は、以下のようになっている。
すなわち、次駅の故障が回復している(具体的には信号機や転てつ器の制御・表示,軌道回路の在線・非在線表示,制御端末の動作,通信機能など,現場装置が総て正常に復している)ことと、次駅が傍線状態であることと、出発駅と次駅(隣駅)との間の仮想軌道回路(直近の個別区間用仮想軌道回路)にも次駅(隣駅)と次々駅(近駅)との間の仮想軌道回路(一つ先の個別区間用仮想軌道回路)にも列車が在線していないことと、次々駅(近駅)の反対方向の競合する出発信号機が一つ先の個別区間用仮想軌道回路を到着点として使用していないことと、運転取扱い者が表示制御盤3から「次駅正常と入力したこと」が確認できたこととが、総て満足されたときには延長仮想軌道回路を対象とした閉そく区間を個別区間用仮想軌道回路を対象とする定常状態に復帰させることができる。なお、この復帰条件についても、中間駅である次駅(隣駅)において定常進路に関係のない軌道回路に列車等が在線している場合、切替は可能とする。
次に、このような各手段11〜16の処理内容を個別路線に適合させる連動表などの具体例を説明するが、それに先だって適用対象の例示路線を説明する(図2参照)。
概要から説明すると(図2(a)参照)、この例示路線には、起点・上り側から終点・下り側へ順に、A駅と区間<A6RT>とB駅と区間<B6RT>とC駅と区間<C6RT>とD駅と区間<D6RT>と図示しないE駅とが設けられている(区間<D6RT>は図2(e)にのみ図示)。それらの区間<A6RT>,<B6RT>,<C6RT>,<D6RT>は、何れも、単線区間であり、而も軌道回路の無い特殊自動閉そく区間である。
A駅の構成は、A駅部分連動図21に詳細を示したが(図2(b)参照)、概説すると、上り側の三つの分岐線が何れも行き止まりで、それらの区間には軌道回路と信号機が一組ずつ[(A1LT),下り出発信号機A7R)],[(A2LT),下り出発信号機A6R],[(A3LT),下り出発信号機A8R]付設されている。下り出発信号機の最初の区間には軌道回路(A22T)が付設され、その下り側の区間には軌道回路(A21T)が付設され、更にその下り側は区間<A6RT>になっており、区間(A21T)と区間<A6RT>との境界付近に上り場内信号機A6L,A7L,A8Lが設置されている。なお、本実施例では、区間と軌道回路とが一対一で対応していて混同のおそれが無いときには、両者の特定に同一の記号名・符号を使用する。
B駅の構成は、B駅部分連動図22に詳細を示したが(図2(c)参照)、概説すると、上述した区間<A6RT>に下り側から隣接する区間に軌道回路(B11T)と下り場内信号機B1Rが付設され、その区間から二分岐した一方の下りホームトラックの区間には軌道回路(B1RT)と下り出発信号機B6Rが付設され、他方の上りホームトラックの区間には軌道回路(B8LT)と上り出発信号機B3Lが付設され、両区間が合流する下り側の区間には軌道回路(B21T)と上り場内信号機B8Lが付設され、更にその下り側は区間<B6RT>になっている。
C駅の構成は、C駅部分連動図23に詳細を示したが(図2(d)参照)、概説すると、上述した区間<B6RT>に下り側から隣接する区間に軌道回路(C11T)と下り場内信号機C1R,C2Rが付設され、その区間から二分岐した一方の下りホームトラックの区間には軌道回路(C1RT)と下り出発信号機C6Rが付設され、他方の分岐線に軌道回路(C12T)が付設され、それが再分岐したもう一つの下り列車及び上り列車に共用するホームトラックの区間には軌道回路(C2RT)と下り出発信号機C7Rと上り出発信号機C4Lが付設され、他方の再分岐線の上りホームトラックの区間には軌道回路(C8LT)と上り出発信号機C3Lが付設され、それらの区間が合流する下り側の区間には軌道回路(C21T)と上り場内信号機C8L,C9Lが付設され、更にその下り側は区間<C6RT>になっている。
D駅の構成は、D駅部分連動図24に詳細を示したが(図2(e)参照)、概説すると、上述した区間<C6RT>に下り側から隣接する区間に軌道回路(D11T)と下り場内信号機D1Rが付設され、その区間から二分岐した一方の下りホームトラックの区間には軌道回路(D1RT)と下り出発信号機D6Rが付設され、他方の上りホームトラックの区間には軌道回路(D8LT)と上り出発信号機D3Lが付設され、両区間が合流する下り側の区間には軌道回路(D21T)と上り場内信号機D8Lが付設され、更にその下り側は区間<D6RT>になっている。
このような例示路線には複数の特殊自動閉そく区間が存在しているので、各区間に対応した仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路)が規定される。具体的には(図3(a)参照)、統合連動装置10のデータ領域に、隣駅間A駅〜B駅の区間<A6RT>に対応する仮想軌道回路<A6RT>の列車在線状態を保持する定義データ31と、隣駅間B駅〜C駅の区間<B6RT>に対応する仮想軌道回路<B6RT>の列車在線状態を保持する定義データ32と、隣駅間C駅〜D駅の区間<C6RT>に対応する仮想軌道回路<C6RT>の列車在線状態を保持する定義データ33等が割り付けられている。
何れの定義データ31〜33も、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14によって使用されその具体的な処理対象や内容を規定するものであるが、列車在線状態の他に、その状態変化の判断条件となる下り方向や上り方向の進入条件や進出条件までデータ保持することにより、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14の改変なしで、データを変更することのみで、種々の路線に適応しうる汎用性の高いものとなっている。条件部分について一例だけ詳述すると、隣駅間B駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ32の2行3列目に「B21T↑」が設定されているのは、仮想軌道回路<B6RT>に下り列車が進入したことの最終的な判定条件が軌道回路(B21T)の列車在線の落下状態から列車非在線の扛上状態への遷移であることを示している。
なお、その後の確認用所定時間たとえば120秒の経過待ちは共通条件なので、本例の個別区間用仮想軌道回路の定義データ31,32,…には設定されていないが、個別に時間を異ならせる場合はそのデータ項目も定義データ31〜33に設けることで簡便に実現することができる。また、それぞれの個別区間用仮想軌道回路がどの信号機によって排他的に使用されているのか或いは使用されていないのかといったフラグや信号機識別情報は、例えば後述する定義データ43,47,53,57に設けることで、排他制御を簡便に実現することができるようになっている。
また、同じ例示路線において二つの特殊自動閉そく区間が中間駅を挟んで連なっている続き区間については、続き区間に対応した仮想軌道回路(延長仮想軌道回路)が規定される。具体的には(図3(b)参照)、統合連動装置10のデータ領域に、B駅を中間駅とする近駅間A駅〜C駅の続き区間<A6RT>〜<B6RT>に対応する仮想軌道回路<延長A6RT>の列車在線状態を保持する定義データ34と、C駅を中間駅とする近駅間B駅〜D駅の続き区間<B6RT>〜<C6RT>に対応する仮想軌道回路<延長B6RT>の列車在線状態を保持する近駅間B駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ35等が割り付けられている。
これらの延長仮想軌道回路の定義データは、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15によって使用されその具体的な処理対象や内容を規定するものであるが、上述した個別区間用仮想軌道回路の定義データ同様、列車在線状態の他に、その状態変化の判断条件となる下り方向や上り方向の進入条件や進出条件までデータ保持することにより、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15の改変なしで、データを変更することのみで、種々の路線に適応しうる汎用性の高いものとなっている。また、それぞれの延長仮想軌道回路がどの信号機によって排他的に使用されているのか或いは使用されていないのかといったフラグや信号機識別情報は、例えば後述する定義データ44,48,54,58に設けられている。
両仮想軌道回路を対比すると、個別区間用仮想軌道回路については進入条件や進出条件の軌道回路が自駅と隣駅(次駅)のものなのに対し、延長仮想軌道回路については進入条件や進出条件の軌道回路が自駅と近駅(隣の隣の駅,次々駅)のものになっている。
なお、これらの区間と仮想軌道回路について、すなわち、個々の区間と個別区間用仮想軌道回路についても、続き区間(見なし単線区間)と延長仮想軌道回路についても、区間と軌道回路について上述したのと同様、両者が一対一で対応していて混同のおそれが無いので、対応し合っている両者の特定に同一の記号名を使用している。
そして、上述した連動図に示された信号機に係る競合関係が各駅A,B,…毎の連動表で示されるが(図4,図5参照)、競合する信号機と仮想軌道回路を示すにとどめる。
詳述すると、A駅の連動表から抜粋されたA駅部分連動表41にあっては(図4(a)参照)、A駅の各信号機A6L,A7L,A8L,A6R,A7R,A8Rそれぞれと競合するA駅(自駅)の信号機が個別連動部分42の欄で特定され、A駅の各下り出発信号機A6R,A7R,A8Rそれぞれと仮想軌道回路<A6RT>に関して競合するB駅(隣駅)の上り出発信号機B3Lが隣駅間閉そく部分43の欄で特定され、A駅の各下り出発信号機A6R,A7R,A8Rそれぞれと仮想軌道回路<延長A6RT>に関して競合するC駅(近駅)の上り出発信号機C3L,C4Lが近駅間閉そく部分44の欄で特定されている。
また、B駅の連動表から抜粋されたB駅部分連動表45にあっては(図4(b)参照)、B駅の各信号機B1R,B3L,B8L,B6Rそれぞれと競合するB駅(自駅)の信号機が個別連動部分46の欄で特定され、B駅の上り出発信号機B3Lと仮想軌道回路<A6RT>に関して競合するA駅(隣駅)の下り出発信号機A6R,A7R,A8Rが隣駅間閉そく部分47の欄で特定され、B駅の下り出発信号機B6Rと仮想軌道回路<B6RT>に関して競合するC駅(隣駅)の上り出発信号機C3L,C4Lも隣駅間閉そく部分47の欄で特定され、B駅の下り出発信号機B6Rと仮想軌道回路<延長B6RT>に関して競合するD駅(近駅)の上り出発信号機D3Lが近駅間閉そく部分48の欄で特定されている。
さらに、C駅の連動表から抜粋されたC駅部分連動表51にあっては(図5(a)参照)、C駅の各信号機C1R,C2R,C3L,C4L,C8L,C9L,C6R,C7Rそれぞれと競合するC駅(自駅)の信号機が個別連動部分52の欄で特定され、C駅の各上り出発信号機C3L,C4Lそれぞれと仮想軌道回路<B6RT>に関して競合するB駅(隣駅)の下り出発信号機B6Rが隣駅間閉そく部分53の欄で特定され、C駅の各下り出発信号機C6R,C7Rそれぞれと仮想軌道回路<C6RT>に関して競合するD駅(隣駅)の上り出発信号機D3Lも隣駅間閉そく部分53の欄で特定され、C駅の各上り出発信号機C3L,C4Lそれぞれと仮想軌道回路<延長A6RT>に関して競合するA駅(近駅)の下り出発信号機A6R,A7R,A8Rが近駅間閉そく部分54の欄で特定され、C駅の各下り出発信号機C6R,C7Rそれぞれと仮想軌道回路<延長C6RT>に関して競合するE駅(近駅)の図示しない上り出発信号機E3Lも近駅間閉そく部分54の欄で特定されている。
また、D駅の連動表から抜粋されたD駅部分連動表55にあっては(図5(b)参照)、D駅の各信号機D1R,D3L,D8L,D6Rそれぞれと競合するD駅(自駅)の信号機が個別連動部分56の欄で特定され、D駅の上り出発信号機D3Lと仮想軌道回路<C6RT>に関して競合するC駅(隣駅)の下り出発信号機C6R,C7Rが隣駅間閉そく部分57の欄で特定され、D駅の下り出発信号機D6Rと仮想軌道回路<D6RT>に関して競合するE駅(隣駅)の上り出発信号機E3Lも隣駅間閉そく部分57の欄で特定され、D駅の上り出発信号機D3Lと仮想軌道回路<延長B6RT>に関して競合するB駅(近駅)の下り出発信号機B6Rが近駅間閉そく部分58の欄で特定され、D駅の下り出発信号機D6Rと仮想軌道回路<延長D6RT>に関して競合する図示しないF駅(近駅)のやはり図示しない上り出発信号機F3Lも近駅間閉そく部分58の欄で特定されている。
これらの連動表41,45,51,55のうち、個別連動部分42,46,52,56は、それに基づいて各駅個別連動論理処理手段11の処理する連動論理の具体的な対象や内容が決まるものであり、隣駅間閉そく部分43,47,53,57は、それに基づいて隣駅間閉そく論理処理手段12の処理する閉そく論理の具体的な対象や内容が決まるものであり、近駅間閉そく部分44,48,54,58は、それに基づいて近駅間閉そく論理処理手段13の処理する閉そく論理の具体的な対象や内容が決まるものである。その関係と、上述のように軌道回路の無い個々の区間や続き区間については論理上の仮想軌道回路を対応させてそれを連動表(連動条件)に用いたこととにより、隣駅間閉そく論理処理手段12も、近駅間閉そく論理処理手段13も、各駅個別連動論理処理手段11と同様、プログラム改変なしで、データを変更することのみで、種々の路線に適応しうる汎用性の高いものとなっている。
この実施例1の統合連動装置10及び統合連動システムについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図6は、下り列車がB駅からC駅へ走行するときのフローチャートであり、図7は、そのうち隣駅(B駅,C駅)間の論理処理(ステップS70)に係る部分の詳細フローチャートであり、図8は、近駅(B駅,D駅)間の論理処理(ステップS80)に係る部分の詳細フローチャートである。
統合連動装置10によって、収集された軌道回路の状態情報に基づいて列車の現在位置が把握されるとともに、自動進路制御装置2から受けた予定進路情報に基づいて或いは運転取扱い者による表示制御盤3からの手動入力に応じて必要な進路を安全に構成(確保)するために連動論理が処理されるのであるが、各手段11〜16によって分担処理される。すなわち、各駅A,B,C,…それぞれの駅構内における進路の確保(構成)は各駅個別連動論理処理手段11によって処理され、隣駅間A駅〜B駅,B駅〜C駅,C駅〜D駅,…の閉そくは隣駅間閉そく論理処理手段12によって処理され、その際に参照される仮想軌道回路<A6RT>,<B6RT>,<C6RT>,<D6RT>の状態遷移は隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14によって処理され、近駅間A駅〜C駅,B駅〜D駅,…の閉そくは近駅間閉そく論理処理手段13によって処理され、その際に参照される仮想軌道回路<延長A6RT>,<延長B6RT>,<延長C6RT>,<延長D6RT>の状態遷移は近駅間仮想軌道回路論理処理手段15によって処理される。
各駅個別連動論理処理手段11による各駅A,B,C,Dそれぞれの駅構内における進路の確保(構成)は、各駅の連動表41,45,51,55(図4,図5参照)のうち個別連動部分42,46,52,56で規定される連動論理の処理でなされ、それによって各駅の信号機と転てつ機の動作が制御される。連動論理処理の内容は連動表に基づいて決まるので(例えば鉄道電気技術者のための信号概論「連動装置」社団法人日本鉄道電気技術協会発行参照)、その詳細な説明は割愛するが、個別連動部分42,46,52,56は、仮に各駅A,B,C,Dへ個別の連動装置を設置するとしたら各連動装置に規定されたであろう連動表に対応しているので、各駅毎の連動論理が集中処理されて、何れの駅でも、駅構内では、列車が予定進路を安全に走行するように信号機と転てつ機とが動作する。
一方、隣り合っている両駅の駅間については、A駅B駅間の区間<A6RT>も、B駅C駅間の区間<B6RT>も、C駅D駅間の区間<C6RT>も、D駅E駅間の区間<D6RT>も、軌道回路の無い単線区間の特殊自動閉そく区間であり、各駅の現場装置に異常のない正常時には、隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14によって夫々に対応する仮想軌道回路<A6RT>,<B6RT>,<C6RT>,…の定義データ31,32,33,…に対して列車在線か列車非在線かを示す状態情報が設定される。
なお、説明の簡明化のため、列車の在線・非在線を示す状態情報は、列車在線状態と列車非在線状態という確定状態だけ述べ、遷移途中の不確定状態には言及しない。
また、そのような仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路)の状態情報を参照して、駅間についても、各駅の連動表41,45,51,55(図4,図5参照)に対して上述の個別連動部分に準じた形で追加されていた隣駅間閉そく部分43,47,53,57に基づき、個別連動部分に準じた態様で、閉そく論理が隣駅間閉そく論理処理手段12によって処理されるので、何れの駅間についても、列車が予定進路を安全に走行できるように、進行方向の区間が排他的に確保されるとともに該当する信号機や転てつ機が動作する。
さらに、互いに隣の隣にあたる両駅の駅間については、A駅〜C駅間の2区間<A6RT>〜<B6RT>も、B駅〜D駅間の2区間<B6RT>〜<C6RT>も、C駅〜E駅間の2区間<C6RT>〜<D6RT>も、特殊自動閉そく区間が中間駅を挟んで隣り合う続き区間であり、中間駅の現場装置が正常でない異常時には、近駅間仮想軌道回路論理処理手段15によって夫々に対応する仮想軌道回路<延長A6RT>,<延長B6RT>,…の定義データ34,35,…に対して列車在線か列車非在線かを示す状態情報が設定される。これについても簡明化のため遷移途中の不確定状態には言及しない。
また、そのような仮想軌道回路(延長仮想軌道回路)を参照して、続き区間の駅間についても、各駅の連動表41,45,51,55(図4,図5参照)に対して上述の個別連動部分や隣駅間閉そく部分に準じた形で追加されていた近駅間閉そく部分44,48,54,58に基づき、個別連動部分や隣駅間閉そく部分に準じた態様で、閉そく論理が近駅間閉そく論理処理手段13によって見なし単線区間として処理されるので、何れの続き区間についても列車が予定進路を安全に走行できるように進行方向の2区間が恰も一区間の特殊自動閉そく区間のように排他的に確保される。
そして、異常の有無に応じて、正常時用手段組12+14(隣駅間閉そく論理処理手段12と隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14)による隣駅間の論理処理が行われるのか、あるいは異常時用手段組13+15(近駅間閉そく論理処理手段13と近駅間仮想軌道回路論理処理手段15)による近駅間の論理処理が行われるのかが、隣駅近駅切替手段16によって切り替えられるので、統合連動装置10における各手段11〜16の実行状況を、下り列車がB駅からC駅あるいはD駅へ向けて走行する場合を具体例にして、さらにはC駅における現場装置の異常の有無で場合分けして、説明する(図6参照)。
本発明は、列車の到着点(列車運行上の到着駅)を柔軟に変更できることが最大の特長であるが、下り列車がB駅から出発するにあたり、先ず最初に到着点を決定する必要があり、下り出発信号機B6Rの設定トリガーが、自動進路制御装置2あるいは運転取扱い者が手動入力して、表示制御盤3より入力されると(ステップS60)、次駅であるC駅の現場装置が総て正常であるのか或いは何れかに異常があるのかが調べられ(ステップS61)、正常であれば(ステップS61「正常」→S62)、B駅C駅間の区間<B6RT>に対応する仮想軌道回路<B6RT>が仮想軌道回路論理処理と閉そく論理処理の対象に選択され(ステップS62)、仮想軌道回路<B6RT>が競合するC駅の上り出発信号機C3LあるいはC4Lによって既に使用されていれば使用されなくなるまで待ち(ステップS63「使用」→終了)、仮想軌道回路<B6RT>が競合する出発信号機C3LあるいはC4Lによって使用されていなければ隣駅(B駅,C駅)間の連動論理が処理される(ステップS63「不使用」→S70→終了)。
これに対し、C駅に異常があれば(ステップS61「異常」→S65)、B駅D駅間の続き区間<B6RT>〜<C6RT>に対応する仮想軌道回路<延長B6RT>が仮想軌道回路論理処理と閉そく論理処理の対象に選択され(ステップS65)、仮想軌道回路<延長B6RT>が競合するD駅の上り出発信号機D3Lによって既に使用されていれば使用されなくなるまで待ち(ステップS66「使用」→終了)、仮想軌道回路<延長B6RT>が競合する出発信号機D3Lによって使用されていなくてもC駅(次駅)が傍線状態で通過可能でなければ通過可能になるまで待ち(ステップS66「不使用」→ステップ67「通過不可」→終了)、仮想軌道回路<延長B6RT>が競合する出発信号機D3Lによって使用されておらず然もC駅(次駅)が傍線状態で通過可能であれば(ステップS66「不使用」→S67「通過可能」→S68)、出発駅と次駅(隣駅)との間の仮想軌道回路(直近の個別区間用仮想軌道回路)にも次駅(隣駅)と次々駅(近駅)との間の仮想軌道回路(一つ先の個別区間用仮想軌道回路)にも列車が在線していないことを確認し(ステップS68「非在線」→S69)、更に運転取扱い者が「C駅異常」と入力したことを確認してから(ステップS69→S80)、近駅(B駅,D駅)間の連動論理が処理される(ステップS80→終了)。
上述したC駅等正常時の処理のうち隣駅(B駅,C駅)間の論理処理を詳述すると(図6ステップS70,図7参照)、仮想軌道回路<B6RT>に関して出発信号機B6Rと競合する信号機C3L,C4Lを排他制御するために、仮想軌道回路<B6RT>を出発信号機B6Rが使用しているというフラグ等を隣駅間B駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ47に設定し(ステップS71)、それから、出発信号機B6Rが進行を指示する信号を現示し(ステップS72)、列車が内方第1軌道回路B21Tを進出したら、その時に、B駅〜C駅間の運転方向として下り閉そくを最終確定する(ステップS73)。
出発信号機B6Rが進行を指示する信号を現示したとき(ステップS72)、仮想軌道回路<B6RT>を出発信号機B6Rが使用しているというフラグ等を定義データ47に設定して、信号機C3L,C4Lを排他制御するが、この段階の設定は仮予約の状態であり、出発信号機B6Rを復位(設定をとり消し、定常位置や定常状態に復帰)すれば、出発信号機B6Rが使用しているというフラグ等の設定をキャンセルできる状態である。これに対し、一旦、閉そくが最終確定された以降は、当該列車が到着駅であるC駅に進入するか(ステップS77)、あるいは本発明の対象外なので詳細は割愛するが出発した当該列車をB駅に引き戻す"退行運転"という取扱いをしなければ、閉そくが解錠されない。
このように列車が実際に出発してから閉そくが確定されるので、進路の試設定によってむやみに閉そくが確定してしまうといった不都合な事態が回避される。
それから(ステップS73→S74)、列車が最終の軌道回路B21T(なお、B駅では内方第1軌道回路と最終軌道回路とが同じ軌道回路B21T)を進出して、軌道回路B21Tが列車非在線状態(確定扛上状態)になり、その状態が120秒(確認用所定時間)継続したら仮想軌道回路<B6RT>に列車が進入したと判定して、仮想軌道回路<B6RT>の状態を列車非在線状態から列車在線状態へ遷移させる(ステップS74)。
その後、列車が区間<B6RT>を進行してC駅に接近し、それによって下り場内信号機C1RあるいはC2R(C1RかC2Rかは列車運行情報や列車ダイヤにより決まる)の設定トリガーが入力され、場内信号機C1RあるいはC2Rが進行を指示する信号を現示したことを確認する(ステップS75)。
そして、列車がC駅の内方第1軌道回路C11Tを進出したら、その時に、仮想軌道回路<B6RT>を列車が進出したと判定してB駅〜C駅間の下り閉そくを解錠する(ステップS76)。具体的には、仮想軌道回路<B6RT>の状態を列車在線状態から列車非在線状態に戻し、仮想軌道回路<B6RT>を下り出発信号機B6Rが使用していないというフラグ等を隣駅間B駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ47に設定することにより、B駅〜C駅間の下り閉そくが解錠され、この区間の運転方向は、下り及び上りのどちらの方向にも閉そくが確定していない状態となる。さらに、列車がC駅のホームトラックC2RTに完全に進入したら場内信号機C2Rを復位(定常位置や定常状態に復帰)する(ステップS77)。こうして、列車がB駅からC駅へ安全に進むことができるとともに、独占使用の済んだ区間<B6RT>が他の信号機に解放されるので、C駅の上り出発信号機C3LあるいはC4Lの設定が可能になる。
上述したC駅異常時の処理のうち近駅(B駅,D駅)間の論理処理を詳述すると(図6ステップS80,図8参照)、仮想軌道回路<延長B6RT>に関して出発信号機B6Rと競合する信号機D3Lを排他制御するために、仮想軌道回路<延長B6RT>を出発信号機B6Rが使用しているというフラグ等を近駅間B駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ48に設定し(ステップS81)、それから、出発信号機B6Rが進行を指示する信号を現示し(ステップS82)、列車が内方第1軌道回路B21Tを進出したら、その時にB駅〜D駅間の運転方向として下り閉そくを最終確定する(ステップS83)。
それから、列車がB駅の最終の軌道回路B21Tを進出して、軌道回路B21Tが列車非在線状態(確定扛上状態)になり、その状態が120秒(確認用所定時間)継続したら仮想軌道回路<延長B6RT>に列車が進入したと判定して、仮想軌道回路<延長B6RT>の状態を列車非在線状態から列車在線状態へ遷移させる(ステップS84)。
その後、列車が続き区間<B6RT>〜<C6RT>を走行してD駅に接近し、それによって下り場内信号機D1Rの設定トリガーが入力され、場内信号機D1Rが進行を指示する信号を現示したことを確認する(ステップS85)。
そして、列車がD駅の内方第1軌道回路D11Tを進出したら、その時に、仮想軌道回路<延長B6RT>を列車が進出したと判定してB駅〜D駅間の下り閉そくを解錠する(ステップS86)。具体的には、仮想軌道回路<延長B6RT>の状態を列車在線状態から列車非在線状態に戻し、仮想軌道回路<延長B6RT>を出発信号機B6Rが使用していないというフラグ等を近駅間B駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ48に設定し、B駅〜D駅間の下り閉そくを解錠し、この区間の運転方向は、下り及び上りのどちらの方向にも閉そくが確定していない状態となる。さらに、列車がD駅のホームトラックD1RTに完全に進入したら場内信号機D1Rを復位(定常位置や定常状態に復帰)する(ステップS87)。こうして、続き区間<B6RT>〜<C6RT>が恰も一つの単線区間として取り扱われて、列車がB駅からD駅へ安全に進むことができるとともに、独占使用の済んだ続き区間<B6RT>〜<C6RT>が他の信号機に解放されるので、D駅の上り出発信号機D3Lの設定が可能になる。
以上、例示路線に基づいて具体例を述べてきたが、演繹すると、統合連動装置10は次のようなものであると言える。すなわち、連動論理の適用対象として、個々の連動駅を指定しておくだけでなく、ある連動駅の隣接駅を予め指定しておく。それも、正に隣に位置する隣駅(次駅)だけでなく、更にその先に位置する駅すなわち隣の隣に位置する近駅(次々駅)も指定しておく。しかも、その際、中間駅を挟んで隣り合う単線区間については、競合する出発信号機の相手として次駅の反対方向の出発信号機や次々駅の反対方向の出発信号機といった複数の候補を連動表にて規定しておき、中間駅での現場装置の異常の有無に応じて何れか一方を選択し、その選択した出発信号機間で排他制御(定位鎖錠)するようになっている。
そして、出発駅の出発信号機と競合する到着駅の出発信号機は、次駅(隣駅)の現場装置が正常な通常時には、次駅(隣駅)の反対方向の出発信号機になるが、次駅(隣駅)の現場装置が異常になったときには、異常である旨の運転取扱い者の入力の確認の後、競合する出発信号機を次々駅(近駅)の反対方向の出発信号機になる。また、異常のある次駅(中間駅)には傍線状態の機能を持たせて、次駅を傍線駅として取り扱う。このように、正常時には出発駅から次の到着駅(次駅,隣駅)までだった閉そく区間が、中間駅の現場装置が異常の場合には、出発駅から次の次の到着駅(次々駅,近駅)まで変更(延長)されるようにしたことにより、縮退しながらも線区の運行が確保できるので、末端駅や主要駅は別にして、多くの駅について、現場制御端末の冗長化が必須ではなくなり、低コスト化が図れる。
また、連動論理の処理に必要な列車追跡機能が、軌道回路が設けられている区間では標準的手法で具体化されている。すなわち、進路が構成された状態(進路鎖錠がかかった状態)で、列車の移動に伴う連続する軌道回路の動作(扛上)/落下の順序性、前の変化からの変化時隔(時間間隔)を監視することにより、軌道回路の動作(扛上)/落下の変化の正当性を判断して、この判断に合格した確定扛上の条件のみを解錠条件や仮想軌道回路への進入(在線)条件・進出(非在線)条件とし、進路が構成されない状態での扛上や落下は、不正扛上や不正落下とする。これに対し、軌道回路が設けられていない区間ではそのような標準的手法が使えず面倒であったが、統合連動装置10にあっては、上述のように論理上の軌道回路である仮想軌道回路を導入したことにより、軌道回路の無い特殊自動閉そく区間についても上述の標準的手法で閉そく論理を処理することができるようになっている。
また、仮想軌道回路として隣駅間の個別区間用仮想軌道回路に加えて近駅間の延長仮想軌道回路も使えるようにしたことにより、正常時には出発駅から次の到着駅(次駅,隣駅)までだった閉そく区間を、中間駅の現場装置が異常になったときに、出発駅から次の次の到着駅(次々駅,近駅)まで延長変更するのも、簡便かつ的確に行うことができるものとなっている。さらに、仮想軌道回路の在線(列車進入)は、出発駅の出発進路の最終軌道回路の確定扛上が120秒の確認用所定時間に亘って継続したことで決まり、仮想軌道回路の非在線(列車進出)は、到着駅の場内進路の内方第1軌道回路が確定扛上したことで決まるようにしたことにより、仮想軌道回路の在線(進入)/非在線(進出)の判断も、簡便かつ的確に行えるものとなっている。
また、特殊自動閉そく区間の閉そく構成機能については、各出発信号機の到着点を中間駅での異常有無に応じて個別区間用仮想軌道回路と延長仮想軌道回路とのうち何れか一方として、その軌道回路をどちらの出発信号機が先に使用しているかを相互にチェックすることにより競合相手の出発信号機を排他制御(定位鎖錠)するとともに、連動駅間の閉そく即ちすなわち運転方向の確定条件(時期)は、出発信号機の進行を指示する信号により列車が出発し、出発信号機の内方第1軌道回路の確定扛上としたことにより、出発信号機のいわゆる空引きや軌道回路の不正短絡によって不用意に閉そくが確定するのを回避するものとなっている。
さらに、出発信号機の復位(定常位置や定常状態への復帰)の条件(時期)は、閉そく対象が個別区間用仮想軌道回路であれ延長仮想軌道回路であれ仮想軌道回路への列車進入条件(時期)と同じく、該当する出発進路の最終軌道回路の確定扛上が120秒の確認用所定時間に亘って継続したときになる。また、同仮想軌道回路(個別区間用仮想軌道回路または延長仮想軌道回路)からの列車進出条件は、到着駅の場内信号機の内方第1軌道回路が確定扛上状態になったときとなり、その時点で閉そくが解錠される。
この実施例1の統合連動システム(統合連動装置10と伝送路4と制御端末6)について、緊急時の動作等を説明する。
ホームから乗客が線路に転落したときなどの緊急時には、ホーム等に設置されている非常停止ボタンが操作される。そうすると、緊急停止信号制御機能を具備した制御端末6が設置されている駅では、非常停止ボタンの操作に応じて制御端末6が自ら信号機を制御するので、短時間で信号機が停止信号を現示するため、伝送路4の通信速度の高低によらず、速やかに安全が確保される。また、緊急停止信号制御機能を未装備の制御端末6が設置されている駅では、非常停止ボタンの操作情報が制御端末6から伝送路4を介して統合連動装置10に送られ、それに応じた信号機への指令が統合連動装置10から伝送路4を介して制御端末6に送られ、それから制御端末6が信号機を制御するため、伝送に掛かる時間は遅れるが、信号機が停止信号を現示するので、この場合も、安全が確保される。
また、ホームや引き込み線などに停車・留置させた車両が逸走して、転てつ機を含む軌道回路に逸走車両が侵入すると、その軌道回路によって逸走車両が検知され、その列車在線情報が制御端末6に送られてくる。そうすると、緊急てっ査鎖錠機能を具備した制御端末6が設置されている駅では、その軌道回路情報を入力した制御端末6によって逸走車両の侵入が検知され、それに応じて制御端末6が自ら逸走車両侵入先の軌道回路に含まれている転てつ機を鎖錠するので、速やかに安全が確保される。また、緊急てっ査鎖錠機能を未装備の制御端末6が設置されている駅では、逸走車両の侵入を示す軌道回路情報が制御端末6から伝送路4を介して統合連動装置10に送られ、それに応じた転てつ機鎖錠の指令が統合連動装置10から伝送路4を介して制御端末6に送られ、それから制御端末6が転てつ機を鎖錠するため、伝送に掛かる時間は遅れるが、この場合も、安全が確保される。
[その他]
上記実施例では、中間駅の異常の有無に応じて隣駅間閉そく論理処理手段12及び隣駅間仮想軌道回路論理処理手段14の組と近駅間閉そく論理処理手段13及び近駅間仮想軌道回路論理処理手段15の組とが排他的に実行されるようになっていたが、これは必須でなく、例えば、両組の手段12〜15を仮に実行させてから、異常の有無に応じて何れか一方の実行結果を優先的に採用して以降の処理に反映させるようにしても良い。
統合連動装置10の機能を具現化するに際して、その機能を各手段11〜16に分担させる態様で上述したようにプログラムやデータを構成するのは一例であり、必要な機能が発揮できれば、他の構成のプログラム等で具現化しても良く、プログラマブルでないシステムLSI等で具現化しても良い。
上記実施例では、延長仮想軌道回路が中間駅を挟んで隣り合う二つの特殊自動閉そく区間に係る続き区間に対応したものだけであったが、延長仮想軌道回路は、それに限られる訳でなく、隣り合う二つの特殊自動閉そく区間を含んで三つ以上連続している区間に対応するものにまで拡張して追加するのも良い。
上記実施例では、仮想軌道回路<A6RT>,<B6RT>,<C6RT>,<延長A6RT>,<延長B6RT>,…の状態情報が統合連動装置10の内部で参照されるにとどまっていたが、それらの状態情報を統合連動装置10から自動進路制御装置2や表示制御盤3等へ随時送信して列車位置の把握や表示などに提供するようにしても良い。
上記実施例では、異常時処理において運転取扱い者の手動入力の確認が必須要件のようになっていたが、これは安全確保を重視したものであり、本発明に必須な訳ではない。
本発明の統合連動装置は、路線内の全区間が単線区間になっているものに適用が限られる訳でなく、単線区間と複線区間が混在しているものにも適用することができる。
2…自動進路制御装置(PRC)、3…表示制御盤、
4…伝送路(駅ループ)、6…制御端末(駅装置)、
10…統合連動装置、
11…各駅個別連動論理処理手段、
12…隣駅間閉そく論理処理手段、
13…近駅間閉そく論理処理手段、
14…隣駅間仮想軌道回路論理処理手段、
15…近駅間仮想軌道回路論理処理手段、
16…隣駅近駅切替手段、
21…A駅部分連動図、22…B駅部分連動図、
23…C駅部分連動図、24…D駅部分連動図、
31…隣駅間A駅〜B駅の仮想軌道回路の定義データ、
32…隣駅間B駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ、
33…隣駅間C駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ、
34…近駅間A駅〜C駅の仮想軌道回路の定義データ、
35…近駅間B駅〜D駅の仮想軌道回路の定義データ、
41…A駅部分連動表、42…個別連動部分、
43…隣駅間閉そく部分、44…近駅間閉そく部分、
45…B駅部分連動表、46…個別連動部分、
47…隣駅間閉そく部分、48…近駅間閉そく部分、
51…C駅部分連動表、52…個別連動部分、
53…隣駅間閉そく部分、54…近駅間閉そく部分、
55…D駅部分連動表、56…個別連動部分、
57…隣駅間閉そく部分、58…近駅間閉そく部分

Claims (8)

  1. 鉄道の線区内の各駅の信号機と転てつ機と軌道回路の状態情報を取得して前記各駅毎の連動論理を集中処理することで前記各駅の信号機と転てつ機の動作を制御する統合連動装置において、
    前記線区内の複数の単線区間に係る閉そく論理を各区間毎に処理するようになっており、
    前記単線区間に係る閉そく論理を処理して閉そく構成を行う際には、前記単線区間に係る出発駅における前記単線区間側の出発信号機に進行を指示する信号を現示させることにより、前記単線区間に係る到着駅における前記単線区間側の出発信号機を排他制御して、前記出発駅から前記到着駅へ向かう方向を運転方向とする閉そく構成を行うようになっており、
    前記単線区間に係る閉そく論理を処理して閉そく解錠を行う際には、前記出発駅の前記出発信号機が進行を指示する信号を現示したことと,該出発信号機が進行を指示した進路上を列車が走行したことと,該進路における最終の軌道回路からの列車進出と,その後の確認用所定時間の経過と,前記到着駅における前記単線区間側の場内信号機が進行を指示する信号を現示したことと,該場内信号機が進行を指示した進路上を列車が走行したことと,該進路の最初の軌道回路である内方第1軌道回路からの列車進出とを検知してから、閉そく解錠を行うようになっており、
    前記到着駅の連動論理を処理して前記到着駅の前記出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御を止める際には、前記到着駅の到着線への列車到着と,前記到着駅の前記場内信号機の定常現示への復帰とを検知してから、前記到着駅の前記出発信号機に対する停止信号の現示継続の制御を止めるようになっている
    ことを特徴とする統合連動装置
  2. 前記単線区間のうち中間駅を挟んで隣り合うものに係る閉そく論理を処理するに際して前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには前記中間駅とその両側の単線区間とを一つの単線区間として取り扱うようになっていることを特徴とする請求項1記載の統合連動装置。
  3. 前記単線区間のうちその両側の駅には軌道回路が設けられているが駅間には軌道回路が設けられていない特殊自動閉そく区間に対応させた論理処理上の仮想軌道回路を具備していて、前記特殊自動閉そく区間の一端側の出発駅からの列車進出を以て前記仮想軌道回路への列車進入を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするとともに、前記特殊自動閉そく区間の他端側の到着駅への列車進入を以て前記仮想軌道回路からの列車進出を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車非在線状態にするようになっており、更に、前記特殊自動閉そく区間に係る閉そく論理を処理するに際して、前記特殊自動閉そく区間の両側の駅における前記特殊自動閉そく区間側の競合する出発信号機について前記仮想軌道回路を到着点とする使用を排他条件とすることにより、閉そく論理を処理するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された統合連動装置。
  4. 前記特殊自動閉そく区間が複数存在していることに対応して各区間毎に前記仮想軌道回路を具備するとともに、前記特殊自動閉そく区間のうち中間駅を挟んで隣り合う二つの単線区間である続き区間が存在していることに対応して前記続き区間に係る論理処理上の仮想軌道回路も具備していて、前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには、前記続き区間に属する複数の特殊自動閉そく区間それぞれに係る区間毎の前記仮想軌道回路の状態設定と閉そく論理の処理とに代えて又はそれに優先して、前記続き区間に係る前記仮想軌道回路の状態設定と前記続き区間および前記中間駅を一区間とする閉そく論理の処理とを行うようになっていることを特徴とする請求項3記載の統合連動装置。
  5. 前記仮想軌道回路への列車進入の認定は、前記出発駅において列車進行方向に存在する一連の軌道回路が順に列車走行対応の状態遷移を示し、更に最終の状態遷移から確認用所定時間が経過してから、行うようになっており、前記仮想軌道回路からの列車進出の認定は、前記到着駅における前記特殊自動閉そく区間側の場内信号機の最初の軌道回路である内方第1軌道回路が列車走行対応の状態遷移を示してから、行うようになっていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載された統合連動装置。
  6. 鉄道の線区内の各駅の信号機と転てつ機と軌道回路の状態情報を取得して前記各駅毎の連動論理を集中処理することで前記各駅の信号機と転てつ機の動作を制御する統合連動装置において、前記単線区間のうちその両側の駅には軌道回路が設けられているが駅間には軌道回路が設けられていない特殊自動閉そく区間に対応させた論理処理上の仮想軌道回路を具備していて、前記特殊自動閉そく区間の一端側の出発駅からの列車進出を以て前記仮想軌道回路への列車進入を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車在線状態にするとともに、前記特殊自動閉そく区間の他端側の到着駅への列車進入を以て前記仮想軌道回路からの列車進出を認定して前記仮想軌道回路の状態を列車非在線状態にするようになっていることを特徴とする統合連動装置。
  7. 前記特殊自動閉そく区間が複数存在していることに対応して各区間毎に前記仮想軌道回路を具備するとともに、前記特殊自動閉そく区間のうち中間駅を挟んで隣り合う続き区間が存在していることに対応して前記続き区間に係る論理処理上の仮想軌道回路も具備していて、前記中間駅の現場装置に異常が検知されたときには、前記続き区間に属する複数の特殊自動閉そく区間それぞれに係る区間毎の前記仮想軌道回路の状態設定と閉そく論理の処理とに代えて又はそれに優先して、前記続き区間に係る前記仮想軌道回路の状態設定を行うようになっていることを特徴とする請求項6記載の統合連動装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載された統合連動装置と、前記各駅に設置された複数の制御端末と、前記統合連動装置と前記制御端末との間の通信を担う伝送路とを備えた統合連動システムであって、前記制御端末が、設置先の駅に設けられている緊急停止用操作部材が操作されたことがその操作情報に基づいて検知されるとその操作情報を前記伝送路経由で前記統合連動装置に送信するとともに設置先の駅の信号機に停止信号を現示させることと、設置先の駅に設けられている転てつ機を含む軌道回路に逸走車両の侵入したことが該軌道回路の状態情報に基づいて検知されるとその状態情報を前記伝送路経由で前記統合連動装置に送信するとともに当該転てつ機を鎖錠することとのうち、何れか一方または双方のことを行うようになっていることを特徴とする統合連動システム。
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