JP6041399B2 - げっ歯類由来IgG抗体に結合性を有する核酸分子、結合剤、検出試薬および検出キット - Google Patents

げっ歯類由来IgG抗体に結合性を有する核酸分子、結合剤、検出試薬および検出キット Download PDF

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Description

本発明は、げっ歯類由来IgG抗体に結合性を有する核酸分子、結合剤、検出試薬および検出キットに関する。
抗原抗体反応は、特異性の高い反応であるため、特定のタンパク質等の検出等に応用されている。例えば、ELISA法は、酵素で標識化した抗体を、試料中の特定の抗原(タンパク質等)と反応させて複合体を形成し、さらにビーズ等に固定化した抗体で前記複合体を捕捉し、前記酵素に発色性基質を作用させることで、抗原(タンパク質等)を検出する方法である。さらに、抗体は、その特異性を利用して医薬としても使用されている(例えば、特許文献1参照)。
検出試薬用として、マウスおよびラット等のげっ歯類由来抗体が使用されている。げっ歯類由来抗体を用いた検出キットでは、げっ歯類由来抗体に特異的に結合する抗体が使用されている。しかし、抗体の製造は困難であり、かつ抗体の取り扱いが煩雑であるという問題がある。
特開2009−46494号公報
本発明は、製造および取り扱いが容易であり、かつ抗体と同等以上の結合性を有するげっ歯類由来IgG抗体に結合性を有する核酸分子を提供することを目的とする。
本発明の核酸分子は、げっ歯類由来IgG抗体に対し特異的結合性を有し、解離定数が、1μM以下であることを特徴とする。なお、濃度の単位Mとは、1mol/dmまたは1mol/Lに等しい。
本発明のげっ歯類由来IgG抗体に対する結合剤は、本発明の核酸分子を含むことを特徴とする。
本発明のげっ歯類由来IgG抗体の検出試薬は、本発明のげっ歯類由来IgG抗体に対する結合剤を含むことを特徴とする。
本発明のげっ歯類由来IgG抗体の検出キットは、本発明のげっ歯類由来IgG抗体の検出試薬を含むことを特徴とする。
本発明の核酸分子は、げっ歯類由来のIgG抗体と高い特異性で結合可能である。また、本発明の核酸分子は、抗体に比べ、製造および取り扱いが容易である。
図1は、各種アプタマーの予測2次構造を示す模式図である。 図2は、各種アプタマーの予測2次構造を示す模式図である。 図3は、各種アプタマーの予測2次構造を示す模式図である。 図4は、ノースウエスタンブロット法の結果を示す写真である。 図5は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図6は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図7は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図8は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図9は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図10は、BIACOREによる解析結果を示すグラフである。 図11は、アプタマーの安定性の解析結果を示す電気泳動写真である。 図12は、アプタマーの安定性の解析結果を示すグラフである。 図13は、アプタマーとマウス由来IgG抗体との結合の特異性の解析結果を示す電気泳動写真である。
(本発明の核酸分子)
前記本発明の核酸分子は、前述の通り、げっ歯類由来IgG抗体に対し特異的結合性を有し、解離定数が、1μM以下であることを特徴とする。前記解離定数は、好ましくは200nM以下、より好ましくは100nM以下、さらに好ましくは、10nM以下である。本発明において、げっ歯類とは、哺乳網ネズミ目(げっ歯目)のことをいう。げっ歯類としては、例えば、マウス、ラット等があげられる。本発明の核酸分子は、マウス由来IgGに前記解離定数で特異的に結合する核酸分子が好ましい。同様に、本発明の核酸分子は、ラット由来IgGに前記解離定数で特異的に結合する核酸分子が好ましい。
前記本発明の核酸分子は、例えば、一本鎖であってもよいし、二本鎖であってもよい。前記一本鎖としては、例えば、一本鎖RNAおよび一本鎖DNAがあげられ、前記二本鎖核酸としては、例えば、二本鎖RNAおよび二本鎖DNAがあげられる。本発明の核酸分子が、前記二本鎖の場合、例えば、使用に先立って、変性等により一本鎖にしてもよい。
前記本発明の核酸分子は、例えば、RNA分子でもよいし、DNA分子でもよいが、RNA分子であることが好ましい。また、前記本発明の核酸分子は、例えば、前述のように、DNAでもRNAでもよいが、前記核酸分子を構成するヌクレオチド残基としては、DNAの構成単位であるデオキシリボヌクレオチドと、RNAの構成単位であるリボヌクレオチドとの両方を含んでもよい。また、前記本発明の核酸分子には、ssDNA、ssRNA、dsDNA、dsRNA等、鎖の本数や、核酸が修飾されているか否か等に制約はない。
前記本発明の核酸分子は、前記ヌクレオチドにおける塩基が、例えば、アデニン(a)、シトシン(c)、グアニン(g)、チミン(t)およびウラシル(u)という天然塩基(非人工塩基)でもよいし、前記天然塩基(a、c、g、tまたはu)と同様の機能を有する、修飾塩基および改変塩基等の人工塩基であってもよい。前記同様の機能を有する人工塩基とは、例えば、グアニン(g)に代えて、シトシン(c)に結合可能な人工塩基、シトシン(c)に代えて、グアニン(g)に結合可能な人工塩基、アデニン(a)に代えて、チミン(t)またはウラシル(u)に結合可能な人工塩基、チミン(t)に代えて、アデニン(a)に結合可能な人工塩基、ウラシル(u)に代えて、アデニン(a)に結合可能な人工塩基等があげられる。前記修飾塩基としては、例えば、メチル化塩基、2’−フルオロウラシル、2’−アミノウラシル、2’−O−メチルウラシル、2−チオウラシル等があげられる。また、前記本発明の核酸分子は、例えば、PNA等のペプチド核酸、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acids)等を含んでもよい。
前記本発明の核酸分子は、例えば、一本鎖の核酸分子であり、かつ下記一般式(I)で表されていてもよい。
前記式(I)において、前記N、N、N、N、N、N、NおよびNは、ヌクレオチド残基を示し、前記n、n、n、n、n、n、nおよびnは、それぞれ前記ヌクレオチド残基N、N、N、N、N、N、NおよびNの数を示し、前記N、N、NおよびNは、それぞれループ構造形成可能であり、前記NおよびNは、相互に水素結合してステム構造形成可能であり、前記NおよびNは、相互に水素結合してステム構造形成可能である。
本発明において、「ループ構造形成可能」とは、例えば、実際にループ構造を形成すること、およびループ構造が形成されていなくても、条件によってはループ構造形成可能なことも含む。また、「ループ構造形成可能」であることは、例えば、実験的に確認した場合、コンピュータ等のシミュレーションで予測した場合の双方を含む。同様に、本発明において、「ステム構造形成可能」とは、例えば、実際にステム構造を形成すること、およびステム構造が形成されていなくても、条件によってはステム構造形成可能なことも含む。また、「ステム構造形成可能」であることは、例えば、実験的に確認した場合、コンピュータ等のシミュレーションで予測した場合の双方を含む。
前記式(I)において、前記一本鎖核酸全体のヌクレオチド残基の数は、特に制限されないが、例えば、7〜150残基の範囲であり、好ましくは、10〜100残基の範囲であり、より好ましくは、15〜60残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、0〜40残基の範囲であり、好ましくは、1〜25残基の範囲であり、より好ましくは、4〜10残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜40残基の範囲であり、好ましくは、2〜20残基の範囲であり、より好ましくは、2〜8残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜50残基の範囲であり、好ましくは、1〜30残基の範囲であり、より好ましくは、1〜15残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜40残基の範囲であり、好ましくは、1〜20残基の範囲であり、より好ましくは、1〜10残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜50残基の範囲であり、好ましくは、1〜30残基の範囲であり、より好ましくは、1〜15残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜40残基の範囲であり、好ましくは、1〜20残基の範囲であり、より好ましくは、1〜10残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜50残基の範囲であり、好ましくは、1〜30残基の範囲であり、より好ましくは、1〜10残基の範囲である。
前記Nのヌクレオチド残基数nは、特に制限されないが、例えば、1〜40残基の範囲であり、好ましくは、2〜20残基の範囲であり、より好ましくは、2〜8残基の範囲である。
以上のヌクレオチド残基数n、n、n、n、n、n、nおよびnは、特に制限されないが、以下の等式および不等式を満たすことが好ましい。
=n、n=n、(n+n)>n
前記式(I)で表わされる核酸分子は、DNA分子でもよいし、RNA分子でもよいが、RNA分子であることが好ましい。本発明の核酸分子がRNA分子である場合、RNA分解酵素耐性であることが好ましい。RNA分解酵素耐性にする手法は、特に制限されず、例えば、本発明のRNA核酸分子のヌクレオチド残基の一部をメチル化等で修飾する方法、前記ヌクレオチド残基の一部または全部をDNA化もしくはLNA化する方法等があげられる。
前記式(I)において、前記ヌクレオチド残基の一部(一本鎖核酸全体のヌクレオチド残基のうち一部のヌクレオチド残基)が、修飾化ヌクレオチド残基であることが好ましい。前記修飾化ヌクレオチド残基としては、例えば、メチル化ヌクレオチド残基であることが好ましい。前記ヌクレオチド残基における修飾部位は、例えば、リボース部位が好ましい。前記塩基がピリミジン塩基の場合、例えば、2’位、4’位が修飾されていることが好ましく、プリン塩基の場合、例えば、2’位、4’位が修飾されていることが好ましい。また、5’末端や3’末端に、数10kDaのPEG(ポリエチレングリコール)またはデオキシチミジンを結合させる方法等もあげられる。
前記式(I)において、前記一本鎖核酸全体のヌクレオチド残基の数は、特に制限されないが、例えば、7〜150残基の範囲であり、好ましくは、10〜100残基の範囲であり、より好ましくは、15〜60残基の範囲である。
前記式(I)において、前記修飾化ヌクレオチド残基の部位は、特に制限されないが、ステム構造形成可能な領域の末端であり、且つ、ループ構造形成可能な領域の末端であることが好ましい。具体例としては、前記式(I)において、例えば、Nの5’末端(Nの3’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)等があげられ、中でも、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)、Nの3’末端(Nの5’末端)等が好ましい。
前記式(I)において、前記ヌクレオチド残基の一部が、例えば、LNAおよびDNAの少なくとも一方であることが好ましい。中でも、前記式(I)で表わされる核酸分子が、前述のようにRNA分子の場合、前記ヌクレオチド残基の一部または全部が、例えば、LNAおよびDNAの少なくとも一方であることが好ましく、また、前記RNA分子は、LNAおよびDNAの両方を含んでもよい。
前記式(I)において、LNAヌクレオチドモノマーの数は、特に制限されないが、例えば、1〜150残基の範囲であり、好ましくは、1〜100残基の範囲であり、より好ましくは、1〜10残基の範囲である。
また、前記式(I)に含まれるLNAの長さは、特に制限されないが、例えば、1〜10残基の範囲であり、好ましくは2残基である。前記式(I)において、DNAを構成するデオキシリボヌクレオチドモノマーの数は、特に制限されないが、例えば、1〜150残基の範囲であり、好ましくは、1〜100残基の範囲であり、より好ましくは、1〜30残基の範囲である。また、前記(I)に含まれるDNAの長さは、特に制限されないが、例えば、1〜30残基の範囲であり、好ましくは、3〜10残基の範囲であり、より好ましくは、4残基の範囲である。
また、前記式(I)で表わされる核酸分子がRNA分子であって、DNAを含む場合、前記式(I)において、ステム構造形成可能な部位に、前記DNAを含むことが好ましい。具体的には、前記式(I)において、NおよびNの全部または一部に、DNAを含むことが好ましい。また、前記式(I)で表わされる核酸分子がRNA分子であって、LNAを含む場合も、同様に、前記式(I)において、ステム構造形成可能な部位に、前記LNAを含むことが好ましい。具体的には、前記式(I)において、NおよびNの全部または一部に、LNAを含むことが好ましい。
前記式(I)において、例えば、5’末端および3’末端の少なくとも一方にラベル化合物が結合していることが好ましく、5’末端に前記ラベル化合物が結合していることがより好ましい。
前記ラベル化合物は、特に制限されないが、例えば、ビオチン、アビジン、蛍光団、酵素、放射性同位元素、チオール基やアミノ基などの官能基、メチレンブルーなどの電子受容体やNADPHなどの電子供与体、有機化合物や無機化合物、ルテニウムなどの電気化学発光物質等があげられ、ビオチンであることが好ましい。前記蛍光団は、特に制限されないが、例えば、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ダンシルクロリドとその誘導体、ウンベリフェロン等があげられる。前記酵素は、特に制限されないが、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミラーゼ等があげられる。放射性同位元素は、特に制限されないが、例えば、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、リン(32P)、イオウ(35S)、金属類(例えば68Ga、67Ga、68Ge、54Mn、99Mo、99Tc、133Xe等)、トリチウム等があげられる。その他のラベルは、特に制限されないが、例えば、NADH−、FMNH2−、アクリジニウムエステル、ルミノール等の発光物質、ルシフェラーゼ、ルシフェリン等の生物発光物質、GFP等の生体蛍光蛋白質等があげられる。
前記本発明の核酸分子は、例えば、下記に示す配列からなる群から選択された少なくとも一つの配列からなることが好ましい。下記式において、dA、dG、dCおよびdT等の「dN」は、デオキシリボヌクレオチド残基を示し、および等の「」は、LNAヌクレオチド残基を示し、mCおよびmU等の「mN」は、メチル化リボヌクレオチド残基を示す。
配列番号1
dAdAdAdAdA-CGCUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAGCG-dT
配列番号2
dAdAdAdAdA-GCUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAGC-dT
配列番号3
dAdAdAdAdA-dGdCGCUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAGCdGdC
配列番号4
dAdAdAdAdA-dGdCdGdCUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAdGdCdGdC
配列番号5
dAdAdAdAdA-GCGCmUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAGCGC
配列番号6
dAdAdAdAdA-dGdCdGdCmUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAdGdCdGdC
配列番号7
dAdAdAdAdA-CGCmUGAAGAGAAGACGGAAGGAGACGAAGCG-dT
前記本発明の核酸分子において、例えば、前記マウスIgG抗体が、サブタイプ1のIgG抗体、サブタイプ2aのIgG抗体およびサブタイプ3のIgG抗体のうち少なくとも一つであることが好ましい。
本発明において、マウス由来のIgG抗体のサブタイプとしては、特に制約はなく、例えば、サブタイプ1、サブタイプ2aおよびサブタイプ3並びにこれらを任意に有する異なるサブタイプを有するIgG抗体を混合したものが挙げられる。
本発明の核酸分子は、いわゆるRNAプール等の核酸分子と、標的物質としてマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体とを用いて、核酸分子と標的物質とが特異的に結合して形成される核酸分子/標的物質複合体から、この複合体の形成に関与した核酸分子のみを選択する方法で製造することが可能である。このような方法としては、例えば、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)と称される方法や、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲル等の担体を用いて核酸分子/標的物質複合体を得た後にこの複合体の形成に関与した核酸分子のみを回収する方法等が挙げられる。
(SELEX法に準じた本発明の核酸分子の製造方法)
本発明の核酸分子は、SELEX法に従って、またこの方法に準じた方法で、RNAプールと標的物質とを反応させて得られるRNAプール−標的物質複合体を回収した後、この複合体から、この複合体の形成に関与したRNAプールのみを回収して、製造することが可能である。
RNAプールとは、A、G、CおよびUからなる群から選択された塩基、並びに、この塩基の置換体を20〜120個程度連結した領域(この領域を、以下、「ランダム領域」と称する。)を有する遺伝子配列を総称する遺伝子の混合物をいう。従って、RNAプールは、420〜4120(1012〜1072)種類の複数の遺伝子が含まれ、430〜460(1018〜1036)種類の遺伝子が含まれることが好ましい。塩基の置換体としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素等のハロゲンや、メチル、エチルおよびプロピル等のアルキル基等、適当に置換された塩基が挙げられる。
RNAプールは、ランダム領域を有する限り、その他の構造に制約はないが、本発明の核酸分子をSELEX法に準じて製造する場合、ランダム領域の5’末端および/又は3’末端には、後述のPCR等で利用するプライマー領域や、DNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域を有することが好ましい。例えば、ランダム領域は、5’末端側からT7プロモーター等のDNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域(以下、この領域を「RNAポリメラーゼ認識領域」と称する。)と、DNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を「5’末端側プライマー領域」と称する。)とを連結し、この5’末端側プライマー領域の3’末端にランダム領域を連結し、さらにこのランダム領域の3’末端側にDNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を、「3’末端側プライマー領域」と称する。)を連結した構造を有してもよい。また、RNAプールは、これらの領域の他に、標的物質への結合を補助する公知の領域を有してもよい。さらに、RNAプールは、ランダム領域の一部が各RNAプールにおいて同じ配列を有するものであってもよい。
ランダム領域は、RNAプールのランダム領域のUをTに置き換えた初期プールを鋳型として、PCR法に基づいて、遺伝子増幅した後、得た遺伝子産物と、T7ポリメラーゼ等のDNA依存性RNAポリメラーゼとを反応させて、調製されてもよい。また、初期プールに相補的な遺伝子を合成し、RNAポリメラーゼ認識領域と、5’末端側プライマー領域に相補的な配列とからなるプライマーを、初期プールにおいてこのプライマーと相補的な遺伝子にアニーリングさせて、PCR法に基づいて、調製されてもよい。
次に、このようにして合成したRNAプールと、標的物質であるげっ歯類由来のIgG抗体とを水素結合等の分子間力を介して結合させる。この結合方法としては、RNAプールと標的物質とを、標的物質の結合等の機能が保たれる緩衝液中で一定時間インキュベートする方法が挙げられる。このようにして、緩衝液中でRNAプール−標的物質複合体が形成される。
次に、このように形成されたRNAプール−標的物質複合体を回収する。緩衝液中には、この複合体の他、複合体の形成に関与しなかったRNAプールや標的物質が含まれるが、この複合体の回収方法としては、標的物質に結合性を有する核酸分子を回収することを目的として、緩衝液中に存在する複合体の形成に関与しなかったRNAプールを除去する方法により行えばよい。この方法としては、標的物質およびRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用する方法や、複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用する方法が挙げられる。
標的物質およびRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用した方法としては、例えば、ニトロセルロース等の標的物質に吸着性を有する膜を用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を有する緩衝液を濾過し、この膜上にRNAプール−標的物質複合体を吸着させ、その後、膜上に残存したRNAプール−標的物質複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを、例えばこの複合体におけるRNAプールと標的物質との結合を解除した後にRNAプールを回収する方法が挙げられる。
また、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用した方法としては、アガロースゲル等、RNAプールを通過させ得るがRNAプール−標的物質複合体を通過させ得ない程度のポアを有する担体を利用して、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとを電気的に分離し、この複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを回収する方法が挙げられる。
次に、このようにして得たRNAプール−標的物質複合体から回収した複合体の形成に関与したRNAプールを用いて、遺伝子増幅を行う。この遺伝子増幅の方法としては、RNAプールに含まれる5’末端側プライマー領域、3’末端側プライマー領域、RNAポリメラーゼ認識領域を利用する方法が挙げられる。例えば、複合体の形成に関与したRNAプールの3’末端側プライマー領域に相補的な遺伝子断片をプライマーとして用いて、トリ骨髄芽球症ウイルス由来リバーストランスクリプターゼ(AMV Reverse Transcriptase)等のRNA依存性DNAポリメラーゼを用いた逆転写反応に従ってcDNAを調製した後、このcDNAに含まれる5’末端側プライマー領域および3’末端側プライマー領域を利用して、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いたPCR反応を行い、得た遺伝子産物に含まれるRNAポリメラーゼ認識領域を利用し、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いて、in vitro転写反応を行って、RNAプールの遺伝子増幅を行ってもよい。
このように遺伝子増幅された複合体の形成に関与したRNAプールと、標的物質とを用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を形成する方法以下の各方法を繰り返し行い、最終的に、標的物質としてのマウスおよびラット等由来のIgG抗体に特異的に結合する核酸分子、つまり、げっ歯類(rodent)由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子を得ることができる。
(本発明における二次構造予測)
本発明の核酸分子は、上記の通りに得ることが出来るが、その塩基配列に基づいた二次構造予測の手法を用いた結果を参照して、得た核酸分子の一部を改変されたものであってもよい。この二次構造予測としては、核酸分子の二次構造の候補を探索し、この探索された二次構造候補のうち、エネルギー的に安定な二次構造を予測する方法であれば、特に制約はない。例えば、核酸分子の塩基配列を、ワトソン・クリック型等の塩基対を構成するステム領域と、このステム領域以外の塩基で構成されるループ構造等の一本鎖領域とに分割して得た二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測であってもよい。
この二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測について、説明する。まず、対象となる核酸分子の塩基配列のうち、ワトソン・クリック型等の塩基対を構成する塩基の候補と、この塩基対候補以外の一本鎖領域の候補とを探索する。探索された塩基対候補および一本鎖領域候補の全組合せのうち、塩基対候補を構成する塩基と一本鎖領域候補を構成する塩基とが重複する等、理論的に取り得ない組合せを除いて、二次構造候補を同定する。同定された二次構造候補のうち、二次構造候補のエネルギー関数を算出し、算出されたエネルギー関数が最小となる二次構造を探索する。この際、この二次構造候補のエネルギー関数の算出方法としては、二次構造候補を構成する個々のステム領域および一本鎖領域の自由エネルギーに基づいて、この二次構造候補における自由エネルギーを、二次構造候補のエネルギー関数とする方法であってもよい。このようにして、同定された二次構造候補のうち、エネルギー関数の最も小さい二次構造を、対象となる核酸分子の塩基配列の二次構造とする。
本発明の核酸分子は、このようにして得た二次構造の結果を参照して、二次構造のうちの特徴ある部位を構成する塩基の置換若しくは欠失によって、又は二次構造のうちの特徴ある部分への塩基の挿入等によって、改変されてもよい。例えば、上記の通り調製した核酸分子を親分子として、二次構造のステム領域および/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を置換してもよい。また、二次構造のステム領域および/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を欠失させてもよい。また、二次構造のステム領域および/又は一本鎖領域に、単数又は複数の塩基を挿入して、ステム長さおよび/又は一本鎖領域の長さを短縮/延長してもよい。
本発明の核酸分子は、この二次構造予測を用いて得た核酸分子の二次構造において、ステム長さ3以上のステム領域を、この核酸分子の末端に有することが好ましい。また、本発明の核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域の一本鎖領域側の末端の塩基に隣接する塩基が、アデニン以外の塩基であることが好ましい。また、本発明の核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基およびシトシン残基のみから構成されていることが好ましい。これらにより、げっ歯類(rodent)由来のIgG抗体への結合性がさらに向上する。
(本発明の核酸分子の用途等)
本発明の核酸分子は、上記の通り、マウス等のげっ歯類由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とするものである。従って、本発明の核酸分子の用途としては、マウス等のげっ歯類由来のIgG抗体への結合性を利用する用途であれば特に制約はなく、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、ELISA法(酵素免疫測定法;Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)の測定の対象物若しくはこの対象物を含む複合体の検出用として、ノースウエスタン法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、又はマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体若しくはこの抗体を利用した精製用として用いられてもよい。
例えば、本発明の核酸分子をSDS−PAGE法に用いる場合には、泳動されたタンパク質を検出するために用いられてもよく、泳動されたタンパク質を検出するのに用いられたマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
また、本発明の核酸分子をELISA法に用いる場合には、測定の対象となるマウス等のげっ歯類由来IgGを検出するのに用いられてもよく、また、測定の対象を検出するために用いられたマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
また、本発明の核酸分子をノースウエスタン法に用いる場合には、電気泳動の対象となるマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよく、また、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
また、本発明の核酸分子をマウス等のげっ歯類由来のIgGの精製に用いる場合、精製の対象となるマウス等のげっ歯類由来のIgG抗体を精製するのに適当な形態で利用すればよく、例えば、本発明の核酸分子を、アガロースや合成樹脂からなるビーズに結合して、使用してもよい。このようにビーズに結合する形態としては、精製に用いる担体(例えば、アガロースや、合成樹脂からなるビーズ)に結合性を有するように、ビオチン化等、種々の改変が挙げられる。従って、本発明の核酸分子は、ビオチン化等の種々の改変を受けたものであってもよい。
(本発明の核酸分子の応用例)
本発明の核酸分子の応用例としては、得た核酸分子を含有する試薬、この試薬を有するキット等、マウス等のげっ歯類由来のIgG抗体への結合性を利用したものが挙げられる。例えば、上記の本発明の核酸分子を含有する試薬を用いて、マウス等のげっ歯類由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットとしてもよい。このようなキットの測定対象物としては、溶液、懸濁液のような液体系であってもよく、培養細胞や組織切片等、固形物であってもよい。
また、本発明の検出キットにおいて、本発明の核酸分子以外の試薬としては、標的物質と核酸分子との結合を検出するために必要な物質を適宜選択すればよく、これは、検出キットに用いる核酸分子によって適宜選択すればよい。
例えば、本発明の検出キットは、SDS−PAGE法(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、電気泳動の対象となるタンパク質の検出に用いるマウス等のげっ歯類由来IgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウス等のげっ歯類由来IgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
また、本発明の検出キットは、ELISA法に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、測定の対象となるマウス等のげっ歯類由来IgGに結合性を有する核酸分子が挙げられる。
また、本発明の検出キットは、ノースウエスタン法に準じて行われるものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウス等のげっ歯類由来IgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウス等のげっ歯類由来IgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
つぎに、本発明の検出方法は、
試料中の検出対象物を抗原とし、前記検出対象物と抗体とを反応させて免疫沈降させる免疫沈降工程と、
前記免疫沈降物を変性させて前記試料の他の成分から分離する分離工程と、
前記分離工程で分離した免疫沈降物の前記抗原に抗体を反応させる第1反応工程と、
前記抗体反応工程の抗体に対し特異的に結合する結合剤を反応させる第2反応工程とを有し、
前記第2反応工程の前記結合剤として、前記本発明の結合剤を用いることを特徴とする。
本発明の核酸分子(特に、RNA分子)は、マウス等のげっ歯類由来IgGに特異的に結合し、変性したマウス等のげっ歯類由来IgGには特異性が低い。したがって、本発明の核酸分子(特に、RNA分子)を用いれば、例えば、SDS−PAGEの後、マウスIgGを用いたウエスタンブロット法で検出する場合、SDSで変性した抗体に結合すること少ないため、ノイズを押さえてクリアに検出対象物を検出可能である。したがって、本発明の検出方法において、前記分離工程が、SDS−PAGEであり、前記第1反応工程および前記第2反応工程がウエスタンブロット法であることが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は下記の実施例により制限されない。
以下の実施例で使用した、マウスIgG抗体に対するアプタマー(以下、「マウスIgGアプタマー」ともいう)のクローンを、下記表1に示す。下記表の「Modification」は、各配列の修飾を示す。具体的に、「5’−biotin」は、5’末端にビオチンが結合していること、「dA 5mer」は、5merのポリデオキシヌクレオチド残基、「stem LNA−2bp」および「stem LNA−4bp」は、ステム構造形成可能な領域に2bpまたは4bpのLNAを有すること、「stem DNA−2bp」および「stem DNA−4bp」は、ステム構造形成可能な領域に2bpまたは4bpのDNAを有すること、「+dT」は、3’末端にデオキシチミジン残基を有すること、「methylation 21C」、「methylation 31C」および「methylation 10U」は、それぞれ、21番目のC、31番目のC、または10番目のUが、メチル化されていることを示す。また、下記表の「Sequence」において、「dN」は、デオキシリボヌクレオチドを示し、「下線」は、LNAヌクレオチドモノマーを示し、「mN」は、塩基の2’位のメチル化(2’−O−methyl)を示す。また、これらのアプタマーについて、予想される二次構造を、図1〜3にそれぞれ示す。
[実施例1]
まず、前記マウスIgGアプタマーについて、マウス由来IgG抗体との結合性を、ノースウエスタンブロット法により評価した。アプタマーとしては、前述のMIG−m034、MIG−m041およびMIG−m042のアプタマーを使用した。なお、MIG−m041は、10番目のウラシル残基がメチル化され、且つ、ステム構造形成可能な領域に、4bpのDNAを有するアプタマーである。また、MIG−m042は、MIG−m034において、9番目のウラシル残基がメチル化され、且つ、ステム構造形成可能な領域に、2bpのLNAを有するアプタマーである。
ノースウエスタンブロット法は、まず、抗原として、50ng、100ngおよび200ngのFLAG-BAP Control Protein(SIGMA #P7582)をSDS−PAGE後、PVDF膜へ転写した。そして、前記PVDF膜の前記抗原に、一次抗体として1/1000に希釈したANTI-FLAG M2 Monoclonal Antibody(SIGMA #F3165 Lot#086K6012)を結合させ、さらに、前記各アプタマーをそれぞれ前記一次抗体に結合させた。そして、さらに、ペルオキシダーゼ標識化ストレプトアビジン(GEヘルスケア社製)と基質CPS−1(SIGMA社製)を添加して、前記基質を発光させ、フィルムへの感光を行った。なお、MIG−m034のアプタマー濃度は、20nMとし、MIG−m041およびMIG−m042のアプタマー濃度は、10nMとした。
これらの結果を図4に示す。図4は、ノースウエスタンブロット法の結果を示す写真である。図4において、(a)は、MIG−m034の結果、(b)は、MIG−m041の結果、(c)は、MIG−m042の結果をそれぞれ示し、各図において、レーンMは、ビオチン化分子量マーカー、レーン1は、200ngのFLAG−BAP、レーン2は、100ngのFLAG−BAP,レーン3は、50ngのFLAG−BAPを使用した結果である。図4に示すように、いずれのアプタマーを使用した場合も、抗原に特異的なシグナルが検出できた。中でも、MIG−m041およびMIG−m042は、アプタマー濃度を10nMの低濃度としたが、十分にシグナルが確認できた。
[実施例2]
前記マウスIgGアプタマーと、各種サブタイプのマウス由来IgG抗体との結合を解析した。前記アプタマーとして、前述のMIG−m034、MIG−m041およびMIG−m042のアプタマーを使用した。
前記結合の解析は、BIACORE 3000(GEヘルスケア社製)を用いて、その使用説明書にしたがって行った。また、前記BIACOREで測定したシグナル強度(RU:Resonance Unit)から、BIAevaluationソフトウェアを用いて1:1 Langmuir結合モデルで解析を行って、各アプタマーとマウスIgG抗体との解離定数を求めた。前記BIACOREの測定条件および手法等は、下記の文献の記載に従った。
(文献)
Yoshihito Yoshida*, Nobuya Sakai*, Hiromi Masuda,
Makio Furuichi, Fumiko Nishikawa, Satoshi Nishikawa,
Hiroshi Mizuno and Iwao Waga:
“Rabbit antibody detection with RNA aptamers”
Analytical Biochemistry, Vol. 375, pp. 217-222, (2008)
これらの結果を、図5〜7に示す。図5〜図7は、経時的なシグナル強度の変化を示すグラフである。図5は、サブタイプ1のマウスIgG抗体とアプタマーとの結合、図6は、サブタイプ2aのマウスIgGとアプタマーとの結合、図7は、サブタイプ3のマウスIgGとアプタマーとの結合を、それぞれ示し、各図ともに、上から、MIG−m034、MIG−m041およびMIG−m042を使用した結果である。また、各グラフにおいて、縦軸は、前記BIACOREで測定したシグナル強度(RU)を示し、横軸は、解析時間(秒)を示す。横軸において、100秒は、流速20μL/minで解析対象物をフローセルにインジェクション開始した時点であり、前記インジェクションを2分間(120秒間)継続し、その後、ランニングバッファーを3分間(180秒間)送液しアプタマーとIgGの相互作用を示すセンサグラムを得た。グローバルフィッティング解析を行い、正確なKd値を求めるために、ターゲット濃度の異なる条件下でセンサグラムを得た。6つの結果はそれぞれシグナルの強い順から順にアナライトの濃度が、100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nMおよび0nMのセンサグラムを示している。
また、下記表2に、各マウスIgGアプタマーについて、各サブタイプのマウスIgG抗体との解離定数を示す。
前記図5〜7および前記表2の結果から、いずれのアプタマーについても、各サブタイプのマウス由来IgGとの優れた結合性が示された。中でも、MIG−m034を修飾したMIG−m041およびMIG−m042は、マウス由来IgGに対して、より高い結合能を示し、特にIgG1に対しては、極めて特異的な結合を示すことが分かった。ステムのGC対がLNAであるMIG−m034をベースにステム領域をDNAに置換したMIG−m041および9位のウリジンをメチル化したMIG−m042の結合力はほぼ同等である。これらステム領域の塩基対およびその近傍にあるUはマウスIgGの結合に関与しないことが考えられる。
[実施例3]
アプタマーとして、MIG−m034、MIG−m035、MIG−m036、MIG−m037およびMIG−m040を用いた以外は、実施例2と同様に実験を行った。これらの結果を、図8〜10に示す。図8〜10は、経時的なシグナル強度の変化を示すグラフであり、それぞれ、サブタイプ1、サブタイプ2aおよびサブタイプ3のマウスIgGを用いた結果である。また、前記BIACOREの測定結果から求めた、前記各アプタマーと前記各サブタイプのマウスIgGとの解離定数を下記表に示す。下記表の結果から、これらのアプタマーは2次抗体試薬として非常に汎用性が高く、結合力に優れていることが確認された。また実施例1よりステム領域の塩基対およびその近傍にあるUはマウスIgGの結合に関与しないことが考えられたため、系統的な修飾塩基を持つクローンを作成し、Kd値を求めた。どのクローンに対してもマウス抗体のサブタイプに対して結合力はほぼ変わらないため、どのサブタイプに対しても、ステム領域は結合に関与しないことが考えられ、更に各サブタイプに対するアプタマーの結合様式は同じと考えられた。
[実施例4]
前記アプタマーを、FBS溶液に添加し、このサンプルを、室温(20℃)で添加後30分、1時間、2時間、4時間保持した。保持後の前記サンプルにRNaseインヒビター(RNAsecure;Ambion社製)を添加した2×Ureaサンプル溶液を等量加えて60°Cで10分間処理しヌクレアーゼの反応を止めた。前記サンプリングしたRNAを、15% 7M尿素ポリアクリルアミドゲル(1×TBE,140mm×70mm×1mmゲル板)に1レーンあたり10〜20ng添加し、200V定電圧で80〜90分間電気泳動を行った後、ゲルをSYBR Gold(Invitrogen社製)で染色しUVトランスイルミネーター上で撮影した。得られた画像データのうち、アプタマー全長のバンドをImageJ 1.37v(Abramoff,M.D.,Magelhaes,P.J.,Ram,S.J. "Image Processing with ImageJ" Biophotonics International, 11,7,36-42,2004.)を用いてデンシトメトリー解析を行い数値化し、各アプタマーの安定性を評価した。前記サンプルにおいて、前記アプタマーの終濃度は、10μMとし、前記FBSの終濃度は、1%とした。前記アプタマーとして、MIG−m034、MIG−m041およびMIG−m042を使用した。
これらの結果を、図11に示す。図11は、一定時間保持した後のアプタマーサンプルの電気泳動写真である。図11において、m034、m041およびm042は、それぞれ、前記アプタマーの種類を示す。また、各レーンは、Mが、RNAマーカー、1〜5は、それぞれ保持時間0時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間および4.0時間の結果を示す。前記保持時間は、FBS溶液へのアプタマーの添加時を0時間とした。
また、電気泳動の解析結果を定量化した結果を、図12に示す。図12は、電気泳動におけるバンドの強度の経時的変化を示すグラフである。縦軸は、relative intensity(%)を示し、横軸は、保持時間(hr)を示す。同図に示すように、1/100希釈FBS中での前記アプタマーの半減期は1〜2時間と算出された。以上の結果から、IgGとの結合に関与しない部位に修飾を施すことにより、アプタマーの半減期を延長できることが分かった。
[実施例5]
まず、前記MIG−m041アプタマーについて、マウス由来IgG抗体との結合の特異性を、ノースウエスタンブロット法により評価した。実験条件は、抗原として、抗FLAGマウスIgG(0.5μg)、抗FLAGマウスIgG(0.5μg)およびFLAG−BAPタンパク質(100ng)、並びに、FLAG−BAPタンパク質(100ng)を用い、アプタマーとして、20nMのMIG−m041を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
実施例5の比較例として、上記の抗原に対するウエスタンブロット法を行った。前記MIG−m041アプタマーに代えて、ビオチン化抗マウスIgGヤギ抗体(CHEMICON社製 AP124B)を用いた以外は、実施例5と同様にして、ブロッティングを行った。
実施例5および比較例1の結果を、図13に示す。同図(a)は、実施例5のノースウエスタンブロット法の結果を示す写真であり、同図(b)は、比較例1のウエスタンブロット法の結果を示す写真である。同図(a)および(b)において、レーンMは、ビオチン化分子量マーカー、レーン1は、抗FLAGマウスIgG(0.5μg)、レーン2は、抗FLAGマウスIgG(0.5μg)およびFLAG−BAPタンパク質(100ng)、レーン3は、FLAG−BAPタンパク質(100ng)を使用した結果である。同図(a)に示すように、前記MIG−m041アプタマーを使用した場合、目的タンパク質であるFLAG−BAPタンパク質のシグナルのみ検出された。一方、同図(b)に示すように、通常の二次抗体を用いたウエスタンブロット法の場合、抗FLAGマウスIgGが変性して生じた抗体重鎖および抗体軽鎖のシグナルが検出された。この結果から、このアプタマーは、ネイティブな形態のIgGにのみ結合し、変性したIgGには結合しないことが明らかになった。また、このアプタマーを免疫沈降後のサンプルのブロッティングに用いると、抗体重鎖および抗体軽鎖のバックグラウンドの無いきれいな結果が得られることが分かった。
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
本発明の核酸分子は、げっ歯類由来のIgG抗体を使用するあらゆる分野に適用でき、例えば、臨床検査、生化学検査など広い分野に適用可能である。

Claims (13)

  1. げっ歯類由来IgG抗体に対し特異的結合性を有し、解離定数が1μM以下である一本鎖の核酸分子であり、下記一般式(I)で表され、
    前記核酸分子は、ステム長さ3以上のステム領域を、前記核酸分子の末端に有し、
    前記ステム長さ3以上のステム領域において、5’末端側の鎖における3’末端の塩基の一本鎖領域側に隣接する塩基が、アデニン以外の塩基であり、かつ、
    前記ステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基およびシトシン残基のみから構成されていることを特徴とする核酸分子。
    前記式(I)において、前記N、N、N、N、N、N6、およびNは、ヌクレオチド残基を示し、各n、n、n、n、n、n6、およびnは、それぞれ前記ヌクレオチド残基N、N、N、N、N、N6、およびNの数を示し、
    前記N3、およびNは、それぞれループ構造であり、前記Nは、ループ構造形成可能であり、前記NおよびNは、相互に水素結合してステム構造を形成し、前記NおよびNは、相互に水素結合してステム構造を形成しており、
    前記式(I)において、
    前記一本鎖核酸全体のヌクレオチド残基の数は、15〜150残基の範囲であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、5残基であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、3〜40残基の範囲であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、10残基であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、3〜40残基の範囲であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、8残基であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、3〜40残基の範囲であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、1残基であり、
    前記Nのヌクレオチド残基数nは、3〜40残基の範囲であり、
    前記N のヌクレオチド配列は、5’側から3’側に向かってdAdAdAdAdAであり、
    前記N のヌクレオチド配列は、5’側から3’側に向かってGAAGAGAAGAであり、
    前記N のヌクレオチド配列は、5’側から3’側に向かってGAAGGAGAであり、
    前記N のヌクレオチドは、Aである。
  2. 前記式(I)において、前記ヌクレオチド残基の一部がメチル化ヌクレオチド残基であることを特徴とする請求項1記載の核酸分子。
  3. RNA分子であることを特徴とする請求項1又は2記載の核酸分子。
  4. 前記式(I)において、前記ヌクレオチド残基の一部がLNAおよびDNAの少なくとも一方であることを特徴とする請求項3記載の核酸分子。
  5. 前記式(I)において、5’末端にラベル化合物が結合していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸分子。
  6. 前記ラベル化合物が、ビオチンであることを特徴とする請求項5記載の核酸分子。
  7. 前記げっ歯類由来IgGが、マウス由来IgGであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸分子。
  8. 前記マウス由来IgG抗体が、サブタイプ1のIgG抗体、サブタイプ2aのIgG抗体およびサブタイプ3のIgG抗体のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項7記載の核酸分子。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の核酸分子を含むことを特徴とするげっ歯類由来IgG抗体に対する結合剤。
  10. 請求項9記載の結合剤を含むことを特徴とするげっ歯類IgG由来抗体の検出試薬。
  11. 請求項10記載の検出試薬を含むことを特徴とするげっ歯類由来IgG抗体の検出キット。
  12. 試料中の検出対象物を抗原とし、前記検出対象物と抗体とを反応させて免疫沈降させる免疫沈降工程と、
    前記免疫沈降物を変性させて前記試料の他の成分から分離する分離工程と、
    前記分離工程で分離した免疫沈降物の前記抗原に抗体を反応させる第1反応工程と、
    前記第1反応工程の抗体に対し特異的に結合する結合剤を反応させる第2反応工程とを有し、
    前記第2反応工程の前記結合剤として、請求項9記載の結合剤を用いることを特徴とする検出方法。
  13. 前記分離工程が、SDS−PAGEであり、前記第1反応工程および前記第2反応工程がウエスタンブロット法であることを特徴とする請求項12記載の検出方法。
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