JP6040253B2 - 3d湾曲光素子を含む集積化されたモノリシック光ベンチ、及びその作製方法 - Google Patents

3d湾曲光素子を含む集積化されたモノリシック光ベンチ、及びその作製方法 Download PDF

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Description

(発明の技術分野)
本発明は、概して光ベンチシステムに関し、特に、基板上に微細加工されたモノリシック光ベンチシステムの製作に関する。
(関連特許の相互参照)
本米国実用特許出願は、以下に示す米国仮特許出願について、米国特許法35USC§119(e)による優先権を主張するものである。当該米国仮特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、あらゆる目的に関し本米国実用特許出願の一部を構成する。
1.米国仮出願番号61/549,353、発明の名称「3D湾曲光素子を含む集積化されたモノリシック光ベンチ、及びその作製方法」(代理人整理番号第BASS01−00012)、2011年10月20日出願、係属中。
(関連技術の説明)
微小電気機械システム(MEMS、Micro Electro-Mechanical Systems)とは、微細加工技術(microfabrication technology)を用いて共通のシリコン基板上に作製された機械要素、センサ、アクチュエータ、及び電気回路の集積をいう。例えば、マイクロエレクトロニクス(微細電子回路)は、通常、集積回路(IC、integrated circuit)プロセスを用いて作製されるが、微小電気機械素子(micromechanical components)は、これと同等な微細加工プロセス(複数)(micromachining processes)を用いて作製される。これらの微細加工プロセスでは、シリコンウェハを部分的にエッチング除去したり、機械素子及び電気機械素子を形成するための複数の新たな構成層(structural layers)の付加が行われて、機械要素(mechanical components)や電気機械要素(electromechanical components)が形成される。MEMSデバイスは、安価で、バッチ生産が可能であり、標準的なマイクロエレクトロニクスとの親和性(compatibility)を有することから、分光測定(spectroscopy)、形状測定(profilometry)、環境センシング(environmental sensing)、屈折率測定(又は材料認識(material recognition))、及びその他のセンサ応用の用途において魅力的な候補である。また、MEMSデバイスは形状が小さいことから、携帯可能な可搬型のデバイスにそれらMEMSデバイスを容易に組み込むことができる。
光学用途(複数)においては、MEMS技術は、光ベンチシステムに組み込まれ、MEMSアクチュエータによる一つ又は複数の光学素子の移動制御を可能にする。これらの用途には、干渉計、分光計、チューナブル光共振器、ファイバ結合器、光スイッチ、可変光ビーム成形器、光マイクロスキャナ、可変光減衰器、チューナブルレーザ、並びに、センサ及び通信の両分野におけるその他の多くの用途が含まれる。
従来のシリコン・オン・インシュレータ(Silicon On Insulator、SOI)基板の光ベンチでは、当該基板の表面に対し垂直な方向に平坦な光素子を形成する。そのような光素子は、入射光ビームを反射し、屈折させ、又は回折させることができるが、これらの光素子は、通常、光ビームを集光したりコリメートしたりすることはできない。その結果、従来の光ベンチシステムには、結合効率が低く、伝搬損失が大きく、及び又は光ベンチ内で許容される光ビームの伝搬距離が制限される、といった不利益がある。これらの欠点は、そのようなシステムの、全体としての光学的性能を制限してしまう。
近年では、コリメーション機能を持つ光ベンチシステムが提案されている。この光ベンチシステムは、垂直方向にフラットなミラー(複数)を、張力で動作する機械移動メカニズムに取り付けて、N×Nの光MEMSスイッチを構成したものであり、レンズ加工された光ファイバを用いることにより光ビーム・コリメーションの機能を備える。しかしながら、そのようなレンズ加工された光ファイバは、高価であり、光学的な作動距離(working distance)も限られる。
シリンドリカル・ミラー(面内方向(in-plane direction)に湾曲し、面外方向(out-of-plane direction)に平坦なミラー)をリニアMEMSアクチュエータに取り付けて上記面内方向にビームを集光することにより、可変光減衰器を構成したり、MEMSチューナブルレーザの結合効率を増加させることも提案されている。上記面外方向に光ビームを集光させるために、HFを用いて細く加工した光ファイバを挿入し、これをロッド型シリンドリカルレンズとして機能させている。しかしながら、このファイバの追加により、光ベンチはモノリシックではなくなり、標準的なファイバの円形断面半径のため集光性能も限られている。さらに、単一の面ではなく2つの異なる面を利用するため、付加的な反射損失が発生すると共に、3D成形性能が低下する。
近年では、他の3D集光性光素子も知られている。この光素子は、基板に対して±45°に傾いて形成され互いに90度の回転角度を持つ2つの円筒面で構成された屈折エレメント(refractive elements)を利用したものである。このエレメントは、レジストをパターンニングするための、基板に対して−45°及び+45°の角度で傾いたコリメートされたX線ビームによるリソグラフィを用いて、エッチングされる。しかしながら、これらのミラーは、円筒形状であり、特殊なアライメントを用いた特殊なリソグラフィを必要とする。したがって、この場合も、動作が屈折構成に限られると共に性能も限定されたものとなる。
近年では、作製後に更なるアセンブリ工程を必要とする3Dマイクロ光ベンチシステム(複数)も知られている。回転アセンブリ(rotational assembly)を用いて、チップの表面上を伝搬する自由空間ビームを処理するマイクロ光サブシステムが作製されている。このサブシステムでは、作製後の光エレメントが90度回転され、ラッチ機構によりその側面部分が支持される。これらのシステムでは、光軸の確定性(the definition of the optical axis)は、機械エレメントの精度と安定性に支配される。さらに、光軸は基板上方に存在するので、光源挿入のための溝をモノリシック集積することはできず、光学要素(光コンポーネント、optical components)を面内方向又は面外方向へ移動させるMEMSアクチュエータの集積は困難となる。
近年では、ハイブリッド集積された3D光ベンチも知られている。SOIウェハ上にポリマーレンズ、ポリシリコンのMUMP(複数)、及び単結晶シリコンのHARM構造を集積することにより作製された、面内ポリマーレンズ、肉厚ファイバホルダ、及び電熱アクチュエータ(electrothermal actuator)により駆動される機械シャッタを備えるマイクロデバイスの実証が行われている。集光素子その他の光コンポーネントを含む光ベンチ上で、光コンポーネントを接続し及び位置調整するための機械実装システムも提案されている。しかしながら、このハイブリッド集積は、モノリシック集積されたシステムのバッチ製造にとっては障害となる。
ガラスやシリコン等の異なる表面上で、3D湾曲を持つ光素子形状をバッチ作製する試みが行われている。しかしながら、既知のほとんどの方法は、表面上に位置する光学素子を作製するものであり、マイクロ光ベンチにおける面内光ビームの操作を可能とするものではない。報告されている3D凹面構造は、通常、面外の光ビームを反射するフォトニック結晶ミラー(photonic crystal mirrors)として作用し、面内光ビームを集光したりコリメートしたりすることはできず、ウェハ基板上への光源の挿入を可能とするものでもない。
したがって、必要とされているのは、面内光ビームの操作を行うことができ、かつ、光源を集積することのできる、3D湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチシステムである。また、必要とされているのは、3D湾曲光素子、及びMEMSアクチュエータにより駆動することのできる一つ又は複数の可動光素子の両者を含んだ、モノリシック光ベンチシステムである。
(発明の概要)
本発明の実施形態は、基板と、当該基板にエッチングされた3次元湾曲光素子とを含むモノリシック光ベンチのような光システムであって、当該光システムの光軸が上記基板内にあって当該基板の平面に対し平行である光システムを提供する。一の実施形態では、さらに、可動光素子が基板内にエッチングされ、当該可動光素子に微小電気機械システム(MEMS、Micro-Electro-Mechanical Systems)アクチュエータが結合される。
一の実施形態では、3次元湾曲光素子は、可動光素子である。例えば、3次元湾曲光素子は、MEMSアクチュエータに結合されて、基板に対し面内を動くよう構成されて基板面に対し平行に伝搬する光ビームの伝搬距離を調整したり、基板に対し面外を動くように構成されて光軸の位置を調整することができる。
他の例示的な実施形態では、本光システムは、基板上に形成された平坦な素子を更に備え、当該平坦素子は、光軸に対して垂直な平坦面を有する。この実施形態では、平坦素子及び又は3次元湾曲光素子は、可動光素子であるものとすることができる。また、3次元湾曲光素子は、第1のエッチングマスクを用いて作製することができ、平坦素子は、第2のエッチングマスクを用いて作製することができる。そして、3次元湾曲光素子は、平坦素子の作製中には、第2のエッチングマスク下の陰領域(shadow region)内で保護されるものとすることができる。
更に他の実施形態では、基板は、ハンドル層(handle layer)と、デバイス層(device layer)と、当該ハンドル層とデバイス層との間のエッチストップ層と、を含む。一の例示的な実施形態では、3次元湾曲光素子は、デバイス層及びハンドル層の一方についての時間制御された複数回のエッチングステップを用いて作製され、当該時間制御された複数回のエッチングステップは、少なくとも1回の異方性エッチングステップと、少なくとも1回の表面保護ステップ(surface-protection step)と、少なくとも1回の等方性エッチングステップを含み、エッチングステップのエッチング深さは、3次元湾曲光素子についての目標とする面形状(surface profile)に関連する。この実施形態では、3次元湾曲光素子の曲率半径は、マスク開口のサイズとエッチングパラメータに基づくものとなり得る。
他の例示的な実施形態では、3次元湾曲光素子の凹面は、小さなマスク開口を介してデバイス層及びハンドル層の一方のエッチングを行う異方性エッチングステップ中に、エッチングパラメータを連続的に変化させることで作製される。この実施形態では、3次元湾曲光素子の曲率半径は、マスク開口のサイズとエッチングパラメータに基づく。
本発明の実施形態は、さらに、基板上に光システムを作製するための方法を提供する。本方法では、3次元湾曲光素子は、光システムの光軸が基板内に配され且つ当該基板の平面に平行となるように、当該基板においてエッチングされる。
(図面の簡単な説明)
本発明は、下記の添付図面に関連して示された以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解され得る:
図1は、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えた例示的な集積モノリシック光ベンチ(integrated monolithic optical bench)を示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図2A−2Mは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図3A及び3Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子の例示的な湾曲面を示す図である。 図3A及び3Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子の例示的な湾曲面を示す図である。 図4は、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源の挿入を容易にする例示的なモノリシック光ベンチを示す図である。 図5A−5Dは、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源の挿入を容易にするモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図5A−5Dは、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源の挿入を容易にするモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図5A−5Dは、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源の挿入を容易にするモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図5A−5Dは、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源の挿入を容易にするモノリシック光ベンチを作製するための例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図6A−6Lは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図7A−7Pは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を備えたモノリシック光ベンチを作製するための、更に他の例示的なプロセスステップを示す図である。 図8A及び8Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子と、光ファイバ光源を受けるためのファイバ溝と、を備えた、他の例示的な集積光ベンチを示す図である。 図8A及び8Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子と、光ファイバ光源を受けるためのファイバ溝と、を備えた、他の例示的な集積光ベンチを示す図である。 図9A及び9Bは、本発明の実施形態に従う、劈開したファイバ(劈開ファイバ、cleaved fiber)と共に用いるための3次元湾曲光素子を備えた、他の例示的なモノリシック光ベンチを示す図である。 図9A及び9Bは、本発明の実施形態に従う、劈開したファイバ(劈開ファイバ、cleaved fiber)と共に用いるための3次元湾曲光素子を備えた、他の例示的なモノリシック光ベンチを示す図である。 図10は、本発明の実施形態に従う、3次元屈折光素子(three-dimensional refractive optical element)を用いる例示的な縮小されたモノリシック光ベンチを示す図である。 図11は、本発明の実施形態に従う、複数のエッチストップ層を用いて作製された3次元湾曲光素子を備える他の例示的な集積モノリシック光ベンチを示す図である。 図12は、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、種々の縦方向位置における例示的な横方向エッチング深さを示す図である。 図13は、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的な多段階エッチングプロセスを示す図である。 図14A−14Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的なエッチングステップを示す図である。 図14A−14Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的なエッチングステップを示す図である。 図14A−14Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的なエッチングステップを示す図である。 図14A−14Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的なエッチングステップを示す図である。 図14A−14Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的なエッチングステップを示す図である。 図15A及び15Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な平滑化(スムージング)ステップを示す図である。 図15A及び15Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な平滑化(スムージング)ステップを示す図である。 図16は、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子の例示的な作製シミュレーションを示す図である。 図17は、本発明の実施形態に従う、図16に示す3次元湾曲光素子の例示的な作製シミュレーションの拡大図である。 図18A及び18Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な異方性エッチングステップを示す図である。 図18A及び18Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な異方性エッチングステップを示す図である。 図19A及び19Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的な、リソグラフィとエッチングのステップを示す図である。 図19A及び19Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的な、リソグラフィとエッチングのステップを示す図である。 図20A及び20Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、他の例示的な、リソグラフィとエッチングのステップを示す図である。 図20A及び20Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、他の例示的な、リソグラフィとエッチングのステップを示す図である。 図21A−21Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図21A−21Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図21A−21Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図21A−21Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図22A−22Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための他の例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図22A−22Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための他の例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図22A−22Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための他の例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図22A−22Dは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための他の例示的な等方性エッチングステップを示す図である。 図23A及び23Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的な、リソグラフィ及び等方性エッチングのステップを示す図である。 図23A及び23Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的な、リソグラフィ及び等方性エッチングのステップを示す図である。 図24A及び24Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、他の例示的な、リソグラフィ及び等方性エッチングのステップを示す図である。 図24A及び24Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、他の例示的な、リソグラフィ及び等方性エッチングのステップを示す図である。 図25A及び25Bは、本発明の実施形態に従う、種々の3次元湾曲光素子を作製するための、種々のリソグラフィ及びエッチングのステップを示す図である。 図25A及び25Bは、本発明の実施形態に従う、種々の3次元湾曲光素子を作製するための、種々のリソグラフィ及びエッチングのステップを示す図である。 図26A−26Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図26A−26Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図26A−26Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図26A−26Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図26A−26Eは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図27A及び27Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子と一つ又は複数の平坦素子の両者を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図27A及び27Bは、本発明の実施形態に従う、3次元湾曲光素子と一つ又は複数の平坦素子の両者を作製するための、例示的なボッシュプロセス(Bosch process)によるエッチングステップを示す図である。 図28は、本発明の実施形態に従う、ボッシュ・エッチングプロセスを用いて作製された3次元湾曲光素子の例示的な曲率半径を示す図である。 図29は、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源に結合された例示的な3次元湾曲光素子を示す図である。 図30は、本発明の実施形態に従う、図29における光ファイバ光源と3次元湾曲光素子との間の結合効率の、例示的な測定結果を示す図である。 図31は、本発明の実施形態に従う、光ファイバ光源に結合された他の例示的な3次元湾曲光素子を示す図である。 図32は、本発明の実施形態に従う、図31における光ファイバ光源と3次元湾曲光素子との間の距離に基づくビーム直径の、例示的な測定結果を示す図である。
(図面の詳細な説明)
本発明の実施形態に従い、一つ又は複数の3次元(3D)湾曲光素子を含む集積されたモノリシック光ベンチシステムなどの光システムは、基板又はSOIウェハ(以下では、これらを総称して「基板」という)上に微細加工され得る。光システムは、さらに、一つ又は複数の平坦素子と、一つ又は複数の微細電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、を含むものとすることができる。3次元湾曲光素子は、反射構成又は屈折構成の、単一湾曲型(singly-curved)の光素子又は面内方向及び面外方向に二重湾曲(doubly-curved)した光素子とすることができる。さらに、本発明の実施形態は、基板面及び基板に対し垂直な面の双方において制御された曲率を持つ3次元湾曲光素子を作製するための手法を提供する。結果として、本光システムは、基板に平行に伝搬する面内光ビームを、3D集光、コリメーション、及びビーム変換(beam transformation)機能により操作することができる。また、本光システムの特徴サイズ(feature size)は、数ミクロンから数百ミクロンの範囲とすることができ、このため、本光システムは、光ファイバ、LED、及び半導体レーザとの親和性が良い。このような光システムは、自由空間伝搬損失及び結合損失が大きな意味を持つ種々の用途において、大きな性能向上をもたらす。これらの用途には、干渉計、分光計、チューナブル光キャビティ、ファイバカプラ、光スイッチ、可変光ビーム成形器、光マイクロスキャナ、可変光減衰器、チューナブルレーザ、並びに、センサ分野及び通信分野の双方におけるその他の多くの用途が含まれる。
図1を参照すると、本発明の実施形態に従う例示的なモノリシック光ベンチシステム100が示されている。モノリシック光ベンチシステム100は、3次元湾曲光素子110、可動光素子120、及びMEMSアクチュエータ130を含む。MEMSアクチュエータ130は、例えば、櫛歯アクチュエータ(comb drive actuator)、平行平板アクチュエータ(parallel plate actuator)、又はその他のタイプのアクチュエータのような、静電アクチュエータとすることができる。可動光素子120は、MEMSアクチュエータ130に結合されており、MEMSアクチュエータが動くことにより可動光素子120の位置に変位が発生する。モノリシック光ベンチシステム100の表面には一つ又は複数のパッド150を形成するものとすることができ、これにより他のコンポーネントに対してモノリシック光ベンチシステム100を電気的に接続することができる。
図1に示す光ベンチシステム100は、シリコン(Si)又は他のタイプの基板(例えば、プラスチック、ガラス等)などの、基板200上に形成されている。基板200は、ハンドル層210、エッチストップ層又は犠牲層(例えば、埋め込み酸化物(buried oxide 、BOX)層)220、及びデバイス層230を備える。一の例示的な実施形態では、ハンドル層210は、デバイス層230の数倍の厚さを持つ。図1に示すように、3次元湾曲光素子110、可動光素子120、及びMEMSアクチュエータ130は、デバイス層230内に形成されている。しかしながら、他の実施形態では、一つ又は複数の3次元湾曲光素子110と、可動光素子120と、MEMSアクチュエータ130とを、ハンドル層210内に形成したり、デバイス層230とハンドル層210の両者に及ぶ部分に形成するものとすることもできる。他の実施形態では、モノリシック光ベンチシステム100の光素子110及び120は、モノリシック光ベンチシステム100の光軸140が基板200の面と平行であって且つ基板200内に存在するように形成される。
したがって、ここでは、“3次元湾曲光素子”とは、基板200の面に垂直な少なくとも一つの面であって凹面形状又は凸面形状となるように反射構成又は屈折構成に湾曲した面を持つ光素子をいう。したがって、3次元湾曲光素子は、基板の平面に平行に(例えば光軸140に沿って)伝搬する面内光ビームを操作して、3D集光、コリメーション、光ビーム変換の一つ又は複数を行うことができる。例えば、3次元湾曲光素子110は、光ビームの伝搬方向に対し垂直なx方向及びy方向の両者における光の回折を制御する球面ミラー、又は球面レンズ若しくは楕円面レンズとすることができる。
可動光素子120は、基板200の面に対して垂直な面が平坦になっている平坦素子として図示されている。しかしながら、他の実施形態では、可動光素子120は、3次元湾曲光素子とすることもできる。さらに、光ベンチシステム100内に他の平坦素子が含まれていても良い。そのような平坦素子は、光学素子、機械素子、及び又は電気素子であるものとすることができる。平坦素子の一つの例は、MEMSアクチュエータ130である。平坦素子の他の例には、反射モード又は屈折モードで作用する光学的な平坦面が含まれる。
湾曲面は、描画されたマスクレイアウトとホトリソグラフィにより生成される面内の曲線と、面外方向(例えば、基板200の面に垂直な方向)に所望の形状(プロファイル)を生成する多段階エッチングプロセスとを組み合わせることにより生成される。一の実施形態では、図13に関連して詳細に後述するように、多段階エッチングは、所望の凹形状又は凸形状と所望の曲面(curvature)に従い、予め計算された態様にプログラムされる。基板200内で3次元湾曲光素子110をエッチングすることにより、モノリシック光ベンチ100の光軸140は、基板200内に存在するものとなり、上記リソグラフィとエッチングのステップにより規定されたものとなる。
図2A―2Mに、モノリシック光ベンチシステムを作製するための例示的なプロセスステップを示す。図2Aにおいて、本プロセスは、ハンドル層210、BOX層(エッチストップ層)220、及びデバイス層230を備える基板200から開始する。図2B−2Cでは、第1のエッチングマスク240が堆積されてパターン形成され、図2D−2Eでは、第2のエッチングマスクが堆積されてパターン形成される。第1のエッチングマスク240は、平坦面及び湾曲面の双方のエッチング部分のための開口を有し、第2のエッチングマスク250は、湾曲面部分のための開口のみを有する。3次元湾曲光素子の凹型湾曲面260は、図2Fにおいてエッチングされ、これによりダミー層275の、対向する側の凹型湾曲面270も形成される。
光学面は任意選択で平滑化され、図2Gにおいて第2のエッチングマスクが除去される。第1と第2のエッチングマスク240及び250は、平滑化ステップと親和性を持つように選択すべき点に留意する。また、湾曲面260は第1のエッチングマスク240の下の陰領域(shadow region)にあり、また後続のエッチングステップは異方性であって湾曲面260には影響を与えないので、コーティング層により湾曲面260がさらにエッチングされるのを防止することは任意選択である点にも留意する。図2Hにおいて、第1のエッチングマスク240を用い、例えば深堀反応性イオンエッチング(Deep Reactive Ion Etching、DRIE)により、平坦面のエッチングを行う。平坦面としては、例えば、MEMSアクチュエータ130及び又は光学的な平坦面がある。図2Iにおいて第1のエッチングマスク240が除去され、図2Jにおいてエッチストップ層220が選択的に除去されて可動構造の拘束が解放される。
図2Kに示すように、スパッタリングその他のメタライゼーション手法を用い、シャドウマスク280を介して湾曲面260上にメタル層290を堆積させることができる。同じステップにおいて、湾曲面260と共に電気接続用のパッド150をメタライズするか、又は図2Lに示すように異なるステップにおいてパッド150をメタライズすることができる。最後に、図2Mにおいて、光ファイバ又は他の光源(即ち、LED又は半導体レーザ)を挿入し、3次元湾曲光素子110を含む光ベンチシステム100を完成させる。図2Mに示すように、3次元湾曲光素子110は、一つの凹形湾曲面を備え、MEMSアクチュエータ130により動くことができる。
湾曲面については種々の変形が存在する。例えば、図3Aに示すように、ダミー壁275の一部のみを除去し、2つの(凹型)光学面260及び270を残して3次元光キャビティ110を形成するものとしても良い。他の例では、図3Bに示すように、使用する作製プロセスに依存して、3次元湾曲光素子110の湾曲面260が凸形状を持つものとすることができる。任意の数の湾曲面及び平坦面を組み合わせて、他の構成のモノリシック光ベンチ100を構成することもできる。
一の実施形態では、小径クラッド・ファイバ(reduced-cladding-diameter fiber)が用いられて、ファイバ光軸と湾曲素子の光軸との整合が行われるものとすることができる。しかしながら、デバイス層230の深さが、ファイバ光軸と3次元湾曲光素子の中心軸との位置合わせを行うには不十分であることに起因して、大径のファイバを用いる場合には光ファイバの挿入が問題となる場合がある。したがって、基板200のハンドル層210の一部を、3次元湾曲光素子110の形成の前又は後にエッチングしてもよい。
一の例示的な実施形態では、図4に示すように、ウェハボンディング(wafer bonding)を行う前にまずハンドル層210を所定の位置でエッチングすることができる。その後、図2A−2Mに示したように作製プロセスを完了させることができる。他の例示的な実施形態では、図5A−5Dに示すように、基板200のハンドル層210を、平坦面のエッチングを行う際にエッチングすることができる。例えば、図5Aに示すように、ファイバ挿入位置のダミー面を、湾曲面260の形成時にエッチングする。図5Bにおいてエッチストップ層を異方性エッチングし、図5Cにおいて第2のエッチングマスク250を除去する。図5Dにおいて平坦面を異方性エッチングし、同時に、ハンドル層210をファイバ挿入用にエッチングする。エッチングは、平坦面の深さがエッチストップ層220に達した後、ハンドル層210内に向かってファイバ挿入用の所望の深さに達するまで行うことができる点に留意する。
湾曲光学面260は、誘電体材料の多層膜をコーティングしてブラッグ反射器(Bragg reflector)として機能させたり、無反射コーティングを施してレンズとして機能させることができる。図6A−6Lは、湾曲光学面をコートし、(もしあれば)平坦光学面をメタライズする、他のプロセスフローを示す図である。等方性エッチングにより光学面のスムージング(平滑化)を行う実施形態では、第2のエッチングマスク250は、例えばアルミニウム(Al)とすることができ、同時にパッド150のメタライゼーション用として用いることができる。すなわち、図6A及び6Bに示すように、第1のエッチングマスク240を、基板200のデバイス層230上に堆積し又は成長させる。図6Cにおいて第1のエッチングマスク240がパターン形成され、図6Dにおいてメタル(即ち、Al)が第2のエッチングマスク250として堆積される。第2のエッチングマスク250は、図6Eにおいてパターン形成され、パッド位置がフォトレジスト又は何らかの保護材料255により保護される。
図6Fにおいて、湾曲光学面262及び264が、第2のエッチングマスク250を介してデバイス層230内でエッチングされる。図6Gにおいて、湾曲光学面262及び264が平滑化され、第2のエッチングマスク250が除去される。そして、図6Hにおいて湾曲光学面262及び264がコーティング材料265によりコーティングされる。例えば、コーティング材料265は、単層の無反射コーティング材料、又は多層の誘電体材料とすることができる。パッド位置が保護されているので、一の実施形態では、上記平滑化は、例えばHNA(フッ化水素酸、硝酸、及び酢酸の混合液)を用いて、ドライ又はウェットの化学エッチングにより行うことができる。他の実施形態では、第2のエッチングマスク250は平滑化の後に除去され、湾曲光学面が多層コーティングされる。コーティング265は共形的(conformal)でありどの場所にも堆積するので、図6Hにおいては異方性エッチングも行って、コーティング265を他の表面から除去する。コーティング除去のためのエッチングの際には、湾曲面262及び264のコーティング265を、例えば第1のエッチングマスク240の陰領域の下で、保護するものとすることができる。
平坦面のエッチングは、図6Iにおいて、第1のエッチングマスク240を用いて、例えばDRIEにより行われる。図6Jにおいて第1のエッチングマスク240が除去され、図6Kにおいてデバイス層230の下のエッチストップ層220を選択的に除去することにより、可動部分の拘束が解放される。一つ又は複数の平坦面がミラー120である実施形態では、図6Kに示すように、平坦ミラーの表面のメタライゼーション290を、シャドウマスク280を介して行うものとすることができる。
図7A―7Pは、MEMSアクチュエーションのための平坦素子と共に3次元湾曲光素子をモノリシックに作製するための他の方法を示す図である。この方法では、光素子は基板200のハンドル層210上でエッチングされ、電気素子及び機械素子が当該基板のデバイス層230上に形成される。例えば、図7A及び7Bに示すように、第1のエッチングマスク310が基板200のハンドル層210上に堆積され、第2のエッチングマスク320が基板200のデバイス層230上に堆積される。図7Cにおいて、第1のエッチングマスク310が基板200のハンドル層210上でパターン形成され、図7D−7Eにおいて第3のエッチングマスク330が基板200のハンドル層210上に堆積されてパターン形成される。第1のエッチングマスク310は平坦面と湾曲面の双方のエッチング位置に開口を有し、第3のエッチングマスク330は湾曲面の場所にのみ開口を有する。3次元湾曲光素子の湾曲面266及び268は、図7Fにおいてエッチングされる。
湾曲光学面266及び268は、図7Gにおいてコーティング材料340によりコーティングされる。例えば、湾曲光学面266及び269には、誘電体材料による多層コート、無反射コート、又はシャドウマスクを介したスパッタリングによるメタライズを行うことができる。第3のエッチングマスク330は図7Hにおいて除去され、図7Iにおいて平坦面のエッチングが行われて、ファイバ溝と共に光ベンチシステムの他の平坦素子が形成され、可動部分の拘束解除の準備が整う。一の実施形態では、可動部分は、デバイス層230内のMEMSアクチュエータに取り付けられた、ハンドル層210から形成された部分(複数)で構成されている。
デバイス層230は、図7Jにおいてエッチングのための準備が行われ、図7Kにおいてデバイス層230のための第2のエッチングマスク320のパターン形成が行われる。図7Lにおいて、金属パッド150を生成するためメタル層350が堆積され、図7Mにおいてメタル層350を除去する前に、フォトレジスト又は他の任意の保護材料355によりパッド位置が保護される。金属パッド150を覆う保護材料355は、図7Nにおいて除去される。平坦な電気素子及び機械素子についてのDRIEと第2のエッチングマスク320の除去は、図7Oにおいて行われる。
図7Pにおいて、エッチストップ層220を選択的に除去することにより可動部分の拘束が解放される。例えば、MEMSアクチュエータ130は、デバイス層230において解放され、ハンドル層210の3次元湾曲光素子110Aの動きを制御できるようになる。このような動きは、図7Pに示すような面内の動き、又は面外の動きであるものとすることができる。また、3次元湾曲光学素子110Bなどの、ハンドル層210における他の光学素子は、図7Pに示すように固定されているか、又は面内若しくは面外の方向へ移動可能であり得る。単一のダイ内において生じた僅かなプロセスの変動が、光素子の各光軸に、垂直(面外)方向における僅かな配置ずれを生じさせ得るため、一つ又は複数の光素子の面外可動部が必要となり得る。配置は、光学素子をそれぞれの垂直移動メカニズムに取り付けることにより、作製後に微調整するものとすることができる。この移動は、例えば基板200のBOX層220のギャップを利用するか又はその他の方法を利用して、この目的のために作製された垂直方向のMEMS櫛歯アクチュエータにより、行うものとすることができる。
センシングやアクチュエーション用のMEMS(電気的及び機械的)コンポーネントとして機能する湾曲面及び又は平坦面と3次元湾曲光素子及び又は平坦光学素子とが併存するモノリシック光ベンチを実現する処理ステップについては、多くの変形が存在するものと理解すべきである。
図8A及び8Bに示すように、3次元湾曲光素子の軸に対する光ファイバ軸の調整を容易にするため、3次元ファイバ溝を、湾曲面の形成と実質的に同時にエッチングすることができる。図8Aに示すように、ファイバ300の位置調整が簡単かつ精度よく行えるような所望のファイバ溝高さh1がそのエッチング時間において実現されるように、湾曲面エッチングマスク330の幅w1及びw2を選択することができる。3次元溝は、図8A及び8Bに示すように、湾曲面をエッチングする間に完全に形成することもできるし、又は部分的に形成した後、平坦面エッチングの際に完成させるものとすることもできる。
図9A及び9Bは、全体としてレンズ付きファイバ(lensed fiber)を構成する3次元湾曲光素子110と劈開光ファイバ300とを備えた、例示的なモノリシック光ベンチを示す図である。3次元湾曲光素子110は、図9Aに示すように屈折構成とすることもできるし、図9Bに示すように反射構成とすることもできる。また、種々のコーティング材料400を用いて、レンズ付きファイバの挿入損失を最小化することができる。レンズ付きファイバは、スタンドアローンの光ベンチとすることもできるし、より大きな光ベンチシステムの一部とすることもできる。
図10に示すように、3次元湾曲光素子110が屈折構成を有する実施形態では、光ベンチシステム100(3次元湾曲光素子110を備える)は、キャッピング材料410によりキャップされる(覆われる)ものとすることができ、これにより、光ファイバ300を支持するファイバ溝を光ベンチシステム100から分離し、かつ光ベンチシステム100を外部環境から分離することができる。キャッピング材料410は、例えば金属材料若しくは誘電体材料、又は光ベンチシステム100を封止(seal)するのに用いることのできる他の任意の材料とすることができる。
図11は、作製誤差の影響を受けることなく光軸深さを規定することのできる、他の例示的な多段階エッチングプロセスを示す図である。図11では、基板200は、2つの埋め込み酸化物(Buried Oxide、BOX)層220及び235と、2つのデバイス層230A及び230Bを備える。第1のBOX層235は、3次元湾曲光素子110の面外湾曲面形状を作製するのに用いる異方性エッチングステップのためのエッチストップ層として用いられる。すなわち、上部デバイス層230Bの高さ(厚さt)は、基板の上面から測定した光軸の深さと同じであり、底部デバイス層230Aの高さ(厚さt)は、tと同じか、又はtよりも大きい。第2のBOX層220は、何らかの可動部分の拘束を解放するために用いる犠牲層として用いられる。例えば、3次元湾曲光素子110及び又は一つ又は複数の平坦光学素子120が可動である場合、犠牲層220が除去されて、これらの素子110及び120の拘束が解放されるものとすることができる。
一の実施形態では、犠牲層のエッチングは、可動部分の下に基板の穴が生成されている場合には、ハンドル層210から行うことができる。この実施形態では、基板200上に複数の3次元湾曲光素子110が作製される場合には、そのそれぞれは、反応性イオンエッチングに伴うプロセス変動にかかわらず、実質的に同じ光軸を有するものとなる。光ファイバ300又は他の光源が基板200上に集積され、光源の光軸を3次元湾曲光素子110の光軸に合わせなければならない実施形態においては、デバイス層230A及び230Bの厚さ(t及びt)は、その調整を行えるように選択される。BOX層220及び235の厚さが十分小さい場合には、当該BOX層の厚さは無視することができる。
上述したいずれの実施形態においても、3次元湾曲光素子は、多段階エッチング手法を用いてエッチングされる。一の実施形態では、多段階エッチング手法には、面外方向(基板面に対し垂直な方向)に所望の湾曲面形状を生成するための、等方性エッチング及び異方性エッチングの両方が含まれ、二次元マスクのレイアウトとリソグラフィが、面内方向(基板面に対し平行な方向)における断面を制御する。
図12は、3次元湾曲光素子を作成するため複数回の時間制御された等方性エッチング及び異方性エッチングのステップを利用する、例示的な多段階エッチング手法を示す図である。図12に示すように、等方性エッチングを用いて所与の深さに横(x−y)方向のエッチングが行われ、必要であれば異方性エッチングを用いて、等方性エッチングの一の垂直位置から他の垂直位置まで、エッチング深さ(z)が拡大される。図12には、種々の横方向エッチングのアンダーカット深さ(x−yエッチング量)が、dlat−1、dlat−2、及びdlat−3で示されている。一の実施形態では、パッシベーション(側面保護)を用いて、既に横方向にエッチングされた部分が更にエッチングされるのを防ぎ、これにより複数回の等方性エッチングのステップ間で干渉が発生するのを防止する。
図13に、多段階の等方性エッチング及び異方性エッチングを行うための例示的なプロセス500を示す。510において、目標とする3次元湾曲光素子の湾曲面形状に基づき、エッチング時間が算出され、等方性エッチング時間配列及び異方性エッチング時間配列に入力される。例えば、エッチング時間の算出には、次のようなパラメータを用いることができる:面形状のタイプ(凹面、凸面など)、曲率半径R、直径(湾曲部分の高さ)φ、等方性エッチング速度riso、異方性エッチング速度raniso、及び最小エッチングピッチp。エッチング速度riso及びranisoは、その手法についてのキャリブレーションにより定めることができる。また、これらのエッチング速度は、マスク開口のサイズが十分に大きくない場合には、アスペクト比に依存し得る。この場合、エッチング速度は、深さを独立変数とする入力配列である。最小エッチングピッチpは、エッチングの際に異方性エッチングのステップを必要とするか否かを決定付ける。或る場合、例えば凸形状の頂点(vertex)近傍では、横方向エッチングは殆どゼロであり、異方性エッチングが適用されないのであれば、少量の等方性エッチングのステップを多数回にわたって何度も行うことが必要となり得る。
以下では、横方向エッチング深さ(アンダーカット)をdlat、垂直エッチング深さをdver、全深さをhで示す。横方向エッチング深さの算出に用いられる式は、形状(プロファイル)のタイプに依存する。凸面形状の場合には、横方向エッチング深さは次式で与えられる:
Figure 0006040253

一方、凹面形状の場合は、横方向エッチング深さは次式で与えられる:
Figure 0006040253
入力パラメータと上述の式に基づき、エッチング時間を次のように求めることができる:
Figure 0006040253
等方性エッチング時間と異方性エッチング時間とが算出されると、等方性エッチング時間配列(複数)と異方性エッチング時間配列(複数)には、次のような情報が格納され得る:算出された各等方性エッチング時間についての等方性エッチング時間配列tiso=dlat/riso;算出された各異方性エッチング時間についての異方性エッチング時間配列taniso=dver/raniso
520において、iを1に設定して、等方性エッチング時間配列に従い、時間tiso(i)にわたって等方性エッチングが実行される。530において、エッチング時間配列の最後に達したか否かが判断される。達したときは、540において、湾曲面の平滑化が行われ、本プロセスは終了する。達していないときは、550において、iを1に設定して、異方性エッチング時間配列に従い、時間taniso(i)にわたって異方性エッチングが実行される。560において、エッチング面は、等方性エッチングが更に行われないように保護され、520において、iをi+1に設定して処理が繰り返される。最初のエッチングステップは、目的とする形状(プロファイル)に依存して、等方性エッチング又は異方性エッチングのいずれでもよい点に留意する。さらに、等方性エッチング時間又は異方性エッチング時間をゼロに設定して、同じタイプのエッチングステップが続けて実行されるようにすることができる。
図14A−14Eに示すように、凸形の目標面形状600(図14Aに図示)の場合には、最初のエッチングステップは等方性エッチング605である(図14Bに図示)。図14Bからわかるように、等方性エッチングの際には横方向のエッチングと垂直方向のエッチングの両方が発生し、エッチング時間は、目標形状600に必要な横方向エッチングが達成されるように調整される。等方性エッチングの際に発生する垂直方向エッチングは、自動的にそのエッチングを基板200内部に向かってより深く進行させる。しかしながら、その深さ方向の進行が十分でなければ、次の横方向エッチングステップを行うのに必要な深さに達するように、図14Cに示す如く異方性エッチング610が実行される。次に、図14Dに示すように、エッチングされた面は、何らかのタイプの保護材料615を用いて、等方性エッチングが更に進行しないように保護される。表面保護層は、次に続くエッチングステップを妨げないように、エッチングされた面の底部分からは除去されなければならないものと理解すべきである。図14Eに示すように、追加の等方性エッチング620が実行されるものとすることができ、所望の目標形状600が達成されるように、更なる異方性エッチングと等方性エッチングとが実行されるものとすることができる。
シリコン基板の場合、異方性エッチングは、例えば、集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)、レーザエッチング若しくはレーザアシスト・エッチング、RIE、DRIE,又は選択性ウェットエッチングを用いて行うことができる。等方性エッチングは、ドライエッチング(例えば、XeFによるもの、又は等方性エッチング条件用に最適化されたRIE若しくはDRIEによるもの)、又はウェットエッチング(例えば、HNAを用いるもの、又は電気機械エッチング若しくは選択性ウェットエッチングを用いるもの)とすることができる。パッシベーション層(保護材料615)は、例えば、フォトレジスト(PR)、C等のポリマー、成長若しくは堆積されたSiO若しくはSiN、又はその他の、シリコンに対し良好なエッチング選択性を有する材料とすることができる。ガラス基板又はパイレックス基板(Pyrex substrates)の場合、異方性エッチングは、例えば、FIB、レーザエッチング若しくはレーザアシスト・エッチング、RIE、DRIE、又はサンドブラスト(sand blasting)を用いて行うことができる。等方性エッチングは、例えばHFを用いて行うことができる。パッシベーション層は、例えば、PR、ポリマー、堆積されたSiN、又はその他の、ガラスに対し良好なエッチング選択性を有する材料とすることができる。
一の例示的な実施形態では、エッチングマスク250としてSiOを備える、シリコン基板200が用いられる。エッチングは、誘導結合型プラズマエッチング装置(inductively coupled plasma etcher)内で実行される。異方性エッチングはSFガス及びCガスによるボッシュプロセス(Bosch process)DRIEを用いて実行され、一方、等方性エッチングは、基板バイアス(RIE電源)をオフに切り替えて、ICP電源をSFガスとのみ反応させることで行われる。この実施形態では、パッシベーション層615はCポリマーである。
図15A及び15Bに示すように、結果として作製される面625は、図15Aに示すように粗い状態であり得る。したがって、図15Bに示すように、表面平滑化(スムージング)ステップを実行して、目標プロファイル600に実質的に相当する十分な品質を持つ平滑化された面630を得るものとすることができる。例えば、例示的な実施形態では、湾曲面は、SFによる等方性ドライエッチング及び又はHNAによるウェット化学エッチングにより平滑化することができる。
図16は、作製された面625及び目標プロファイル600の数値例であり、図17は、頂点部分の周辺を拡大した図である。図16及び17の例では、目標プロファイル600は、曲率半径R=100μm、直径(高さ)φ=150μmの凸形状である。エッチングマスク250のエッジ部640が、横方向位置0に対応するものとして示されており、基板200に隣接するエッチングマスク250の底部が、垂直方向位置0に対応するものとして示されている。また、図16には、いくつかの最初の等方性エッチングステップが、i=1、i=2、i=3、及びi=4により示されており、これらは、全体としてエッチングマスク250下の陰領域645を構成している。作製された面625の分解能及び精度は、事実上の制御された最小エッチング深さとその精度に依存する。エッチング条件は、等方性エッチングステップ中における横方向エッチングと垂直方向エッチングの比を制御するように最適化されるものとすることができる。この条件も、結果として得られる形状(プロファイル)に影響する。
図18A及び18Bから判るように、湾曲面形成の前又は後に、プレエッチング又はポストエッチングを実行することもできる。例えば、図18Aに示すように、エッチストップ層220に到達させるため、湾曲面形成の後に異方性エッチングを実行することができる。他の例では、図18Bに示すように、光軸140の高さを調整するため、湾曲面形成の前に、異方性エッチングを実行するものとすることができる。
図19A及び19B、図20A及び20Bでは、マスクレイアウト360上の湾曲描画とパターンニングのためのリソグラフィ技術を組み合わせることにより、当該湾曲描画が、基板上面上(例えば、デバイス層230の面上)のエッチングマスク250に転写されている。湾曲描画は、パターンニング後においてエッチングマスク250の開口部に対応することとなる一つ又は複数の領域を含んでいる。上述の多段階エッチングプロセスを用いてエッチングマスク250の開口部を介してz方向に湾曲面を画定すると、所望の光軸140を持つ3次元湾曲光素子110が生成される。
図21A−21Dを参照すると、他の多段階エッチングの実施形態では、1回の主たる長時間の等方性エッチングステップを用いて、図21C及び21Dに示すように、対応する曲率半径を持つ凹面が形成され得る。この長時間の等方性エッチングステップは、図21A及び21Bに示すように、光軸深さ140を設定するための異方性又は等方性のエッチングステップの後に行うものとすることができる。また、保護層700を、溝部の底部分からはその保護を除去した状態で、エッチング面に適用するものとすることができる。また、ポスト異方性エッチングを実行して、図21Dに示すように、凹面キャビティ110を分割することもできる。分割された部分は、さらに、拘束が解除されてMEMSアクチュエータにより駆動されるものとすることができる。図21Cにおける等方性エッチングステップのエッチング条件は、作製される光学面の形状(プロファイル)と曲率半径を決定付ける。基板200の上面(例えば、デバイス層230の上面)から測った光軸の位置は、次式により定められる:
Figure 0006040253
ここに、rstep1は、最初のエッチングステップ(異方性、等方性、又はこれらの複合)のエッチング速度であり、tstep1は、当該最初のエッチングステップの持続時間である。面内における曲率半径Rxyは描画されたレイアウトから定めることができ、一方、面外方向における曲率半径Rは、時間により制御され、次式の如く等方性エッチングステップにおけるエッチング速度と持続時間から定まる:
Figure 0006040253
エッチストップ層220を備えた基板を用いるため、面外方向における曲率半径Rは、基板厚さによっては制限されず、例えば、数100ミクロンとなり得る。
図22A−22Dは、長時間の等方性エッチングステップから得られる凹形形状(プロファイル)が1mmオーダの曲率半径となる実施形態を示している。この実施形態では、側面保護材料700は、機械的に安定であって、開口部においてエッチングマスク250と繋がっていなければならない。例えば、等方性エッチングをドライエッチング手法により行う場合には、熱成長SiOを、エッチングマスク250及びSi基板200の保護材料700として用いることができる。
図23A及び23B、並びに図24A及び24Bは、得られる凹形状を制御すべく等方性エッチング条件が最適化される種々の実施形態を示している。最適化は、例えば、等方性エッチングの際に異方性要素(異方性成分、anisotropic component)を付加することで行うことができる。図23A及び24Aにおいて、マスクレイアウト360は同一である。しかしながら、図23B及び24Bにおいて得られる凹形状は異なっている。図23Bでは、円形断面の3次元湾曲光素子110が生成されるようにエッチング条件が選択されているのに対し、図24Bでは、楕円断面の3次元湾曲光素子110が得られるようにエッチング条件が選択されている。
図25A及び25Bは、マスクレイアウト360の異なる開口サイズ(d、d、d)により異なる形状の3次元湾曲光素子(110A、110B、110C)を得る実施形態を示している。各3次元湾曲素子は、異なる曲率半径(R、R、R)の凹面形状を有するが、その光軸140は、異方性エッチングにより決定された同じ深さに維持されている。これらの実施形態では、等方性エッチングの際のラグ効果(lag effect)が最大となり、且つ異方性エッチングの際のラグ効果が最小となるように、エッチング条件を調整するものとすることができる。一般に、マスクレイアウト360上の種々の描画図形と共にラグ効果を利用することで、基板(すなわちデバイス層230)内に埋め込まれた複雑な3次元形状を生成することができる。
図26A−26Eを参照すると、他の多段階エッチングの実施形態では、連続的な異方性エッチングを、エッチングスロープの連続的な制御と共に用いることができる。この実施形態では、エッチング条件は、z方向(面外)に沿って必要とされる湾曲面を構築する目的のため連続的に変更され、一方、レイアウト描画図は、x−y平面における断面プロファイルを制御する。
一の例示的な実施形態では、ボッシュプロセス(Bosch process)を用いてSi基板の異方性エッチングが行われる。ボッシュプロセスにおけるエッチングパラメータは、マスク開口が小さく、例えば100μmより小さいか、望ましくは50μmより小さいときに、エッチングプロファイルの傾斜を変化させるのに有効である。この実施形態では、エッチング条件に依存して、垂直、正、又は負のプロファイルを実現することができる。これらのプロファイルを組み合わせることにより、図26A−26Cに示すように、より一般的なプロファイル(形状)を得ることができる。例えば、凹形状は、図26Aに示すように、まず外側に向かうテーパ状に異方性エッチングを行い、続いて図26Bに示すように垂直方向に異方性エッチングを行った後、図26Cに示すように、内側に向かうテーパ状に異方性エッチングを行うことで生成され得る。簡単のため3つの調整ステップのみを示しているが、許容可能な精度で目標プロファイルを生成するためには、より多くの調整ステップが必要となり得るものと理解すべきである。図26D及び26Eは、エッチストップ層220までの連続的な異方性エッチングを行うことと、エッチング面のスムージングを行って3次元湾曲光素子110を生成することを示している。
マスク開口が小さくないと、エッチングパラメータを調整してもエッチング部のテーパ形状は変化しない。したがって、図27A及び27Bに示すように、同じエッチングマスク250上に小さな開口部と大きな開口部とを持たせることにより、湾曲面と平坦面の両方を作製することができる。図27Aでは、ダミー壁(dummy wall)275を用いることで、小さな開口部により所望の曲面プロファイルの位置でエッチング傾斜を制御できるようにしている。その後、図27Bに示すように、ダミー壁275が除去されると、3次元湾曲光素子110が現れる。例えば、一の例示的な実施形態では、ダミー壁275は、2つのエッチングマスクを用いて異方性エッチングの方法により除去することができる。他の例示的な実施形態では、当該除去は、ウェット又はドライの等方性エッチングにより行われ得る。さらに他の例示的な実施形態では、ダミー壁275は、光ベンチシステムの何らかの可動部分の拘束を解放する際に、同時に除去され得る。さらに他の例示的な実施形態では、酸化及び酸化物エッチングを用いて、ダミー壁275がエッチングされ得る。
図28から判るように、異なるサイズの開口と図26A−26Eに示す手法とにより、互いに同様のプロファイル形状を持ちつつ異なる曲率半径を有する3次元湾曲光素子110A、110B、及び110Cを作製することができる。
図29及び図30を参照すると、レーザ光源300とMEMSミラー(例えば、MEMSアクチュエータ130に結合されたミラー110)との間の結合効率は、チューナブルレーザ光源やファブリペロー・フィルタなどの多くの用途において重要である。作製された凹形の非球面3次元ミラー110とSM光ファイバ300との間の、波長1.55μmにおける結合効率を測定し、従来の平坦ミラーと比較した。光ファイバ300内へ戻って結合するパワーを、方向性結合器を介して測定した。その結果を図30に示す。図示のように、間隔260μmでの平坦ミラーの結合効率は15%未満であるのに対し、3次元湾曲ミラー110の結合効率は約45%であった。3次元ミラーの面内方向及び面外方向における曲率半径は、それぞれ、350μm及び250μmである。3次元ミラーの作製を最適化して曲率半径を一致させれば、より高い結合効率を得ることができる。
図31及び図32を参照すると、MEMS光システムに用いるSMファイバ出力のコリメーションは、通常は、ファイバ先端にレンズを作製することにより、すなわちレンズ付きファイバを作製することにより行われる。本発明の実施形態によれば、MEMSアクチュエータ130に結合された3次元湾曲光素子110を用いることにより、図31に示すように、反射構成又は屈折構成のいずれかを用いたモノリシック光ベンチシステム自体により、SMファイバ300出力のコリメーションを行うことができる。
例えば、波長675nmで動作するSMファイバ300からの出力は、作製された3次元ミラー110を用いてコリメートされる。円形断面を持つ出力ビームを得るため、図31に示すように、ミラー110への入射角は50°に調整された。作製されたミラーの面内方向及び面外方向の曲率半径は、それぞれ325μm及び135μmであり、次式が成り立つ:
Figure 0006040253
3次元ミラー110からの出力ビームは、ミラー110から既知の距離だけ離れたスクリーン800に投影された。この距離を変化させて、スクリーン上のビームスポット直径を測定した。測定された平坦ミラーからの(コリメートされていない)出力と、測定された3次元非球面ミラー110からの(コリメートされた)出力との比較を、図32に示す。図示のように、3次元ミラー110からの出力は、その発散角が、平坦ミラーからの出力よりも約4倍小さい。
当業者により理解されるように、本発明に示す革新的概念は、種々の用途にわたって修正し及び改変することが可能である。したがって、特許付与される主題の範囲は、記載した特定の例示的な教示のいずれかに限定されるものではなく、以下に示す特許請求の範囲によって規定される。

Claims (34)

  1. 光システムであって、
    基板と、
    前記基板エッチングすることにより当該基板内に形成された、第1の光ビームを受けるよう光学的に結合され且つ第2の光ビームを生成するよう動作可能な3次元湾曲光素子と、
    を備え、
    前記第1の光ビームの光軸、前記3次元湾曲光素子の中心軸、及び前記第2の光ビームの光軸は、前記エッチングを行う前の前記基板の表面位置より下に存在し、且つ前記基板の平面に対し平行である、
    光システム。
  2. 前記基板にエッチングされた可動光素子と、
    前記可動光素子に結合された微細電気機械システム(MEMS)アクチュエータと、
    を更に備える、
    請求項1に記載の光システム。
  3. 3次元湾曲光素子は、前記可動光素子である、
    請求項2に記載の光システム。
  4. 前記MEMSアクチュエータは、前記3次元湾曲光素子が、前記基板に関し面内に移動して当該基板の平面に平行に伝搬する光ビームの伝搬距離を調整し、又は前記基板に関し面外に移動して前記中心軸の位置を調整するよう構成され得るように、当該3次元湾曲光素子と結合されている、
    請求項3に記載の光システム。
  5. 前記MEMSアクチュエータは、静電櫛歯形アクチュエータである、
    請求項2に記載の光システム。
  6. 前記基板をエッチングすることにより当該基板内に形成された平坦素子であって、前記基板の平面に対し垂直な平坦面を備える平坦素子を更に備える、
    請求項2に記載の光システム。
  7. 前記平坦素子は、光素子、電気素子、又は機械素子である、
    請求項6に記載の光システム。
  8. 前記平坦素子及び前記3次元湾曲光素子の少なくとも一方が可動光素子である、
    請求項6に記載の光システム。
  9. 前記3次元湾曲光素子は、球面ミラー、又は球面レンズ若しくは楕円レンズの一方である、
    請求項1に記載の光システム。
  10. 前記3次元湾曲光素子は、凹形プロファイル又は凸形プロファイルを持つ、
    請求項1に記載の光システム。
  11. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備える、
    請求項1に記載の光システム。
  12. 前記3次元湾曲光素子の中心軸と一致するように調整された光ファイバを更に備える、
    請求項1に記載の光システム。
  13. 前記3次元湾曲光素子の中心軸と一致するように調整された光源を更に備え、
    前記3次元湾曲光素子と前記光源とは、全体としてレンズ付きファイバとして機能する、
    請求項1に記載の光システム。
  14. 前記3次元湾曲光素子は、屈折光素子であり、
    前記3次元湾曲光素子の中心軸と一致するように調整された光源と、
    外部環境及び前記光源から前記光ベンチシステムが隔離されるように、前記光ベンチシステムを封止するキャッピング層と、
    を更に備える、
    請求項1に記載の光システム。
  15. 前記光システムは、集積されたモノリシック光ベンチシステムである、
    請求項1に記載の光システム。
  16. モノリシック光ベンチを作製する方法であって、
    基板を準備するステップと、
    前記基板をエッチングすることにより3次元湾曲光素子を前記基板内に形成するステップであって、前記3次元湾曲光素子の中心軸と、前記3次元湾曲光素子に入射し及び生成されるそれぞれの光ビームの光軸とが、前記エッチングを行う前の前記基板の表面位置より下に存在し且つ前記基板の平面に対し平行となるように、前記3次元湾曲光素子を形成するステップと、
    を備える、
    方法。
  17. 前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、描画マスクとリソグラフィ手法から生成される面内の湾曲形状と、多段階エッチング手法から生成される面外の湾曲形状とを組み合わせることを含む、
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、前記デバイス層及び前記ハンドル層の一方における複数の時間制御されたエッチングステップを用いることを含み、
    前記複数の時間制御されたエッチングステップは、少なくとも一つの異方性エッチングステップと、少なくとも一つの表面保護ステップと、少なくとも一つの等方性エッチングステップと、を含み、
    前記複数の時間制御されたエッチングステップのそれぞれの、それぞれ対応するエッチング深さは、前記3次元湾曲光素子についての目標とする湾曲プロファイルに関連している、
    請求項16に記載の方法。
  19. 前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、前記等方性エッチングステップの際に異方性エッチング要素を付加することを含む、
    請求項18に記載の方法。
  20. 前記3次元湾曲光素子の曲率半径は、少なくとも部分的には、マスク開口のサイズとエッチングパラメータとに基づいている、
    請求項18に記載の方法。
  21. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、前記デバイス層及び前記ハンドル層の一方における複数の時間制御されたエッチングステップを用いることを含み、
    前記複数の時間制御されたエッチングステップは、少なくとも二つの等方性エッチングステップと、少なくとも一つの表面保護ステップと、を含み、
    前記複数の時間制御されたエッチングステップのそれぞれの、それぞれ対応するエッチング深さは、前記3次元湾曲光素子についての目標とする湾曲プロファイルに関連している、
    請求項16に記載の方法。
  22. 前記3次元湾曲光素子は、第1のエッチングマスクを用いて作製され、
    第2のエッチングマスクを用いて、前記基板の平面に対し垂直な平坦面を備える平坦素子を作製するステップを、更に含み、
    前記3次元湾曲光素子は、前記平坦素子の作製中においては、前記第2のエッチングマスク下の陰領域内で保護される、
    請求項16に記載の方法。
  23. 前記犠牲層は、前記3次元湾曲光素子の作製後の前記第2のエッチングマスクを用いた異方性エッチングによる前記平坦素子の作製を可能とする、エッチストップ層である、
    請求項22に記載の方法。
  24. 前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、前記第2のエッチングマスクを用いた前記平坦素子の作製時に除去されることとなるダミー壁を生成する、
    請求項22に記載の方法。
  25. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記3次元湾曲光素子は前記ハンドル層内に作製され、前記平坦素子は前記デバイス層内に作製される、
    請求項22に記載の方法。
  26. 前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、前記3次元光素子のエッチングされた湾曲面を後処理することを含む、
    請求項16に記載の方法。
  27. 前記後処理することには、単層コーティング、多層コーティング、表面平滑化、及び酸化のうちの少なくとも一つが含まれる、
    請求項26に記載の方法。
  28. 前記3次元湾曲光素子の中心軸と一致するように調整された光源を支持するための溝部を前記基板にエッチングするステップを更に備える、
    請求項16に記載の方法。
  29. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記溝部をエッチングするステップは、さらに、前記ハンドル層及び前記デバイス層の両者をエッチングすることにより前記溝部を作製することを含む、
    請求項28に記載の方法。
  30. 前記溝部は、前記3次元湾曲光素子の作製の際に作製される3次元ファイバ溝である、
    請求項28に記載の方法。
  31. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、100マイクロメータ未満のマスク開口を介した前記デバイス層及び前記ハンドル層の一方におけるエッチングを行う異方性エッチングステップの際にエッチングパラメータを連続的に変更することにより、前記3次元湾曲光システムの凹形面を作製することを含む、
    請求項16に記載の方法。
  32. 前記3次元湾曲光素子の曲率半径は、前記マスク開口のサイズと前記エッチングパラメータとに基づいている、
    請求項31に記載の方法。
  33. 前記凹形面のための前記マスク開口よりも大きなサイズの付加的なマスク開口を介した前記異方性エッチングステップの際に平坦面を作製するステップ、を更に備える、
    請求項31に記載の方法。
  34. 前記基板は、ハンドル層と、デバイス層と、前記ハンドル層と前記デバイス層の間の犠牲層と、を備え、
    前記デバイス層は、第1のデバイス層と第2のデバイス層とを含み、
    前記犠牲層は、第1の犠牲層と第2の犠牲層を含み、
    前記第1の犠牲層は、前記第1のデバイス層及び前記第2のデバイス層と分離しており、
    前記第2の犠牲層は、前記第2のデバイス層と隣接して形成されており、
    前記3次元湾曲光素子をエッチングするステップは、さらに、前記第1のデバイス層を異方性エッチングすることと、前記第1のデバイス層及び前記第2のデバイス層を等方性エッチングすることと、を含み、
    前記光軸は、前記第1の犠牲層により定まる、
    請求項16に記載の方法。
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