JP6039412B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真画像形成装置(電子写真装置)では、感光体表面を帯電する方法として、感光体表面に帯電部材を接触させて帯電処理を行う接触帯電方式が用いられている。
かかる帯電方式に用いる帯電部材の電気抵抗を調整する方法として、以下の方法がある。即ち、帯電部材中の弾性体層を形成する材料として、絶縁性ゴムにカーボンブラック等の導電性フィラーを分散させたゴム組成物を用いる方法;弾性体層を形成する材料として、イオン導電性ゴムを含むゴム組成物を用いる方法。前者の方法では、導電性フィラーの分散状態によって電気抵抗のばらつきが生じる場合がある。しかし、後者の方法では、ゴム自身が導電性を有するために、導電性フィラーの添加量が少なくて済む、もしくは添加しなくても済む。そのため、前述した電気抵抗のばらつきは発生しにくく、所望の電気抵抗に調整し易いという利点を有する。イオン導電性ゴムの中でも、エピクロルヒドリンユニットを有するゴムは、帯電部材の電気抵抗を低下させることができるため好んで用いられる。なお、エピクロルヒドリンユニットを有するゴムとしては、例えばEO(エチレンオキサイド)−ECO(エピクロルヒドリン)−AGE(アリルグリシジルエーテル)3元共重合体を挙げることができる。
この弾性体層上には、感光体汚染や耐摩耗性といった観点から、表面層、あるいは表面処理層を設ける場合が多い。特許文献1には、EO−ECO共重合体からなるゴムを弾性体層として用い、この弾性体層をイソシアネート含有シロキサン化合物で含浸処理し、表面処理層を設けたローラが開示されている。
しかしながら、エピクロルヒドリンユニットを有するゴムは吸水性が高く、且つ、構造内に塩素原子を有している。このゴムを弾性体層に用いた帯電部材を高温高湿環境に長期に亘り放置した場合、弾性体層中の塩化物イオンが水と共に表面処理層に移行する場合があり、この塩化物イオンによってシロキサン結合が切断されて、表面処理層の強度が低下する場合があった。このような帯電部材を画像形成装置に組み付けて画像を出力すると、使用に伴い帯電部材に傷が発生することがあり、その結果として、縦方向に線状のムラが生じた電子写真画像が形成されることがあった。
このような塩化物イオンをトラップする手段として、特許文献2には、ハイドロタルサイトのような受酸効果を有する化合物を帯電部材の導電性ゴム層に含有させる技術が開示されている。
特開平10−45953号公報 特開2008−256908号公報
しかしながら、電子写真装置の高画質化、高寿命化に伴い、特許文献2記載の技術は線状の画像の抑制手段としては十分でない場合があった。
本発明の目的は、高温高湿環境に長期に亘り放置した後の帯電部材を用いて画像を出力した場合においても、表面層の強度の低下に依る線状の画像の発生を抑制できる帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
本発明の帯電部材は、導電性基体、弾性体層、および表面層をこの順に有する帯電部材であって、該弾性体層は、エピクロルヒドリンユニットを有するゴムを含有し、該表面層は、分子構造中に、下記式1に示すユニットと、下記式2および式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットとを有するシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
Figure 0006039412
式1、式2および式3中のR〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上12以下のアリール基、下記式4−1に示す基、または、下記式4−2に示す基を表し、ZおよびZは、各々独立に下記式5に示す構造を表す。
Figure 0006039412
式4−1および式4−2中、R70およびR71は各々独立に、メチル基、またはエチル基を表し、mおよびtは各々独立に、0以上3以下の整数を表し、sは1以上7以下の整数を表す。
Figure 0006039412
式5中のRおよびRは、各々独立に、炭素数1以上13以下のアルキル基、炭素数1以上13以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上13以下のアリール基、上記式4−1に示す基または上記式4−2に示す基を表し、nおよびkは、各々独立に3以上13以下の整数を表し、Xは、OH、HSiO、またはHCOを表す。
また本発明は、前記の帯電部材が被帯電部材と一体化され、電子写真装置に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジである。更に本発明は、前記のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有する電子写真装置である。
本発明によれば、高温高湿環境に長期に亘り放置した後の帯電部材を用いて画像を出力した場合においても、表面層の強度の低下に依る線状の画像の発生を抑制できる帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供できる。
本発明の帯電部材の一例の概略断面図である。 本発明の電子写真装置の一実施形態の概略断面図である。 本発明のプロセスカートリッジの一実施形態の概略断面図である。
本発明の帯電部材は、導電性基体を有し、この導電性基体上に弾性体層を有し、この弾性体層上に表面層を有する。上記弾性体層はエピクロルヒドリンユニット(ECOユニット)を有するゴムを含有する。そして、上記表面層は、分子構造中に、上述した式1に示すユニット(単位)と、式2および式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットとを有するシロキサン化合物を含有する。このような帯電部材を用いることにより、前述した線状の画像の発生を抑制できる理由について、本発明者らは以下のように考察している。
エピクロルヒドリンユニットを有するゴムは、分子構造中に、エピクロルヒドリンユニット、即ち、塩素原子及びアルキレンオキサイドユニットを有するため、吸水性が高いという特徴を有する。このエピクロルヒドリンユニットを有するゴムを用いて弾性体層を形成し、その後表面層を形成した帯電部材を高温高湿環境に長期に放置した場合、弾性層中で塩化物イオンが生成して水と共に表面層へ移行することがある。この塩化物イオンは水中で電離して強酸性を示すため、シロキサン結合を有する化合物が表面層に含有されている場合、この塩化物イオンの移行により、シロキサン結合が切断されて、表面層の強度が低下してしまう。この強度が低下した帯電部材を画像形成装置に組み込んで画像を出力すると、使用に伴い帯電部材に傷が発生し、画像縦方向に線状の画像が発生すると考えられる。
本発明者らは、分子構造中に、上述した式1に示すユニットと、式2及び式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットとを有するシロキサン化合物を表面層に用いることで、このような現象の発生を抑制できることを見出した。すなわち、式5に示す構造、より具体的には、特定の対イオン(X)を持つ4級アンモニウム基を分子構造中に有するシロキサン化合物を用いることで、上記現象の発生を抑制できることを見出した。
その理由としては、以下の2つが考えられる。
まず第1には、4級アンモニウム基の対イオンを特定のイオンとしたことである。具体的には、式5に示す4級アンモニウム基の対イオンとしての選択性が、塩化物イオン(塩素イオン)より低いイオンである、水酸基イオン(OH)、ケイ酸水素イオン(HSiO )、炭酸水素イオン(HCO )を対イオンとして用いたことである。4級アンモニウム基の対イオンをこの3種類のイオンのいずれかとすることで、表面層に移行してきたエピクロルヒドリンユニット由来の塩素イオンをトラップできる。なお、この塩化物イオンとイオン交換された、上記シロキサン化合物由来のOH、HSiO 、HCO が、帯電部材に特に影響を与えることはない。
第2には、上記の特定の対イオンを有する4級アンモニウム基を、単に表面層内に含有させたのではなく、シロキサン化合物の分子構造内に配したことである。すなわち、シロキサン結合と4級アンモニウム基との分子レベルでのハイブリッド化がなされていることである。これら2つの理由により、表面層中のシロキサン結合の切断が抑制され、線状の画像が抑制できるのである。
(帯電部材)
本発明の帯電部材は、導電性基体と、弾性体層と、表面層とをこの順に有する。また、本発明に係る帯電部材は、電子写真装置に用いる電子写真用帯電部材として使用することができる。図1に、本発明の帯電部材の一例として、ローラ形状の帯電部材(帯電ローラ)の概略断面図を示す。この帯電ローラは、導電性基体1の外周面に、弾性体層2を有し、弾性体層2の外周面に表面層3を有する。なお、導電性基体と弾性体層との間には、他の層(例えば、接着層)を有することもできる。また、帯電部材の形状は、適宜選択することができ、例えば、ローラ形状やベルト形状とすることができる。
・帯電ローラ
以下、本発明に係る帯電部材として、導電性基体、弾性体層及び表面層からなる帯電ローラを例にとって説明する。本発明に係る帯電ローラは、感光体の帯電を良好なものとする観点から、23℃、50%RH(相対湿度)環境中において、電気抵抗が1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることが好ましい。
本発明に係る帯電ローラは、表面の十点平均粗さRz(μm)が1≦Rz≦30であることが好ましく、表面の凹凸平均間隔Sm(μm)が15≦Sm≦200であることが好ましい。帯電ローラの表面粗さRz、凹凸平均間隔Smをこの範囲とすることにより、帯電ローラと感光体との接触状態をより安定にすることができる。表面の十点平均粗さRz及び表面の凹凸平均間隔Smの測定法について下記に示す。
これらのパラメータは、JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。Rzについては、まず帯電ローラ(弾性体層及び表面層を有する部分)において、無作為に6箇所を選ぶ。そして、各箇所の表面粗さを測定し、得られた測定値の平均値を帯電ローラのRzとする。Smについては、まず、帯電ローラ(弾性体層及び表面層を有する部分)において、無作為に6箇所を選ぶ。そして、各箇所において10点の凹凸間隔を測定し、その10点の測定値の平均をその箇所の凹凸間隔とする。次に、この6箇所の凹凸間隔の平均値を算出し、この平均値を帯電ローラのSmとする。尚、具体的な測定条件は以下の通りである。
カットオフ値 0.8mm
フィルタ ガウス
予備長さ カットオフ×2
レベリング 直線(全域)
評価長さ 8mm。
帯電ローラの表面硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で40°以上90°以下が好ましく、より好ましくは40°以上80°以下である。マイクロ硬度が40°以上90°以下であれば、感光体との安定した当接状態を容易に得ることができ、安定した放電を容易に行うことができる。尚、測定条件としては、以下の通りである。
装置名:マイクロ硬度計(商品名:アスカーマイクロゴム硬度計MD−1型、高分子計器株式会社製)、
測定環境:23℃、50%RH環境、この環境に帯電ローラを24時間以上放置してから測定を行う、
測定モード:10Nピークホールドモード。
(導電性基体)
本発明の帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設ける弾性体層を支持する機能を有する。一般に、導電性とは、電子またはイオンにより、電流を流すことができる性質をいう。本発明に用いる導電性基体において、導電性の好ましい数値範囲は、帯電部材が必要な電流を容易に得ることができるという観点から、電気抵抗として、1×1010Ω以下である。この範囲を示す代表的な材質としては、例えば鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属及びそれらの合金が挙げられる。これらの表面に、導電性を損なわない範囲で耐食性付与の為にメッキ処理を行ってもよい。金属及びそれらの合金以外の材質としては、樹脂製の基体の表面を金属で被覆し導電性を出しているものや、導電性樹脂組成物も使用可能である。また、導電性基体の形状は、帯電部材の形状に応じて適宜選択することができる。
(弾性体層)
一般に、弾性とは、外力の作用を受けると変形するが外力を取り去ったときに元に戻る性質をいう。しかしながら、本発明に用いる弾性体層の弾性とは、弾性限度内においてある程度の変形が可能である性質をいう。本発明に用いる弾性体層における弾性の好ましい数値範囲は、感光体との安定した当接状態を容易に得ることができるという観点から、弾性率として、1MPa以上、100MPa以下である。
弾性率の測定方法を下記に示す。測定サンプルとしては、弾性体層材料を1cm四方のシート状に成型してもよいし、ローラ形状の弾性体層ローラとしてもよい。いずれのサンプルにおいても、下記に記載した測定装置を使用して、サンプル表面を直接測定する。
測定位置は、例えば、ローラ形状であれば、弾性体層の軸方向中央部および弾性体層の軸方向中央部と弾性体層の軸方向両端部との中点の3ヶ所、周方向については、上記箇所から120°毎の3ヶ所の、合計9カ所である。また、シート形状であれば、任意の9か所である。上記9箇所の平均値を、弾性体層の弾性率とする。
測定条件は、300mNの荷重で、測定子を1μm/10sの速度で押し込んで行う。また、測定サンプルの表面は、前述した十点平均表面粗さRzjis(μm)で6μm以下に調整し、弾性率を測定することが好ましい。
装置名:表面硬度測定装置(商品名:フィッシャースコープH100V、フィッシャーインストルメンツ社製)、
測定環境:23℃、50%RH環境、この環境にシートまたはローラを24時間以上放置してから測定を行う。
本発明の帯電部材に用いられる弾性体層は、エピクロルヒドリンユニットを有するゴム(エピクロルヒドリンゴム)を含有している。なお、弾性体層中のエピクロルヒドリンゴムの含有割合は、所望の電気抵抗に調整するという観点から40質量%以上、弾性層加工性の観点から90質量%以下とすることが好ましい。弾性体層中のエピクロルヒドリンゴムの含有割合は、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)、1H−NMR、13C−NMRにより特定することができる。
また、このエピクロルヒドリンゴム中のエピクロルヒドリンユニットの含有割合は、所望の電気抵抗に調整するという観点から10質量%以上、70質量%以下とすることが好ましい。エピクロルヒドリンゴム中のエピクロルヒドリンユニットの含有割合は、1H−NMR、13C−NMRにより特定することができる。
なお、エピクロルヒドリンユニットとは、エピクロルヒドリンによって形成される、エピクロルヒドリン由来のユニットを意味し、例えば、以下の式Iに示すユニットであることができる。
Figure 0006039412
また、上記エピクロルヒドリンゴムは、エピクロルヒドリン(ECO)ユニットの他に、エチレンオキサイド(EO)ユニットや、アリルグリシジルエーテル(AGE)ユニットを有することができる。ECOユニットを有するゴムとしては、例えば、ECO単独重合体、ECO−EO共重合体、ECO−AGE共重合体及びECO−EO−AGE三元共重合体が挙げられる。この中でも、導電性の観点から、ECO−EO−AGE三元共重合体が特に好適に用いられる。
また、弾性体層は、エピクロルヒドリンゴム以外の他のゴムを含有することもできる。他のゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム;スチレン・ブタジエン・スチレン−ブロックコポリマー、スチレン・エチレンブチレン・スチレン−ブロックコポリマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。この他にも、弾性体層には、必要に応じ可塑剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、分散剤といった配合剤を添加してもよい。
また、体積抵抗率を調整するために、弾性体層にイオン導電剤を添加してもよい。イオン導電剤としては、過塩素酸リチウム等の無機イオン物質、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩等が挙げられる。
導電性基体上に設けられる弾性体層は、上記の原料(エピクロルヒドリンゴムや他のゴム、各配合剤等)を密閉型ミキサーで混合後、押し出し成形、射出成形、及び圧縮成形等の公知の成形方法を用いることにより形成できる。なお、弾性体層の作製後に表面を研磨して形状を整えてもよい。
弾性体層の体積抵抗率は、所望の電気抵抗に調整するという観点から、23℃、50%RHにおいて1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下の範囲が好ましい。体積抵抗率の測定条件としては、以下の通りである。
試料:弾性体層に使用する材料を厚さ1mmのシートに成(12/26出願依頼)形し、両面に金属を蒸着し電極を形成した測定用サンプル。
装置:微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)。
印加電圧:直流200V。
算出方法:30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して体積抵抗率とする。
弾性層の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で30°以上80°以下が好ましく、より好ましくは40°以上70°以下である。弾性層の硬度が30°以上80°以下であれば、前述した帯電部材のマイクロ硬度に容易に調整することができ、感光体との安定した当接状態を容易に得ることができる。尚、測定条件としては、前述の通りである。
弾性体層の厚みとしては、上記マイクロ硬度に調整するという観点から0.5mm以上、5mm以下とすることが好ましい。
(表面層)
表面層は、分子構造中に、下記式1に示すユニットと、下記式2及び式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットとを有するシロキサン化合物(4級アンモニウム基含有シロキサン化合物)を含有する。4級アンモニウム基含有シロキサン化合物は、これらのユニットを有する高分子化合物(ポリマー)であることができる。また、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物は、分子構造中に、式1に示すユニットを複数、並びに、式2及び式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットを複数有することができる。さらに、これらのユニットは、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物中に繰り返し単位として含有されることができる。なお、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物の分子構造内には、式3で示される単位を有することが好ましい。式3で示される構造は3次元架橋構造を示すものであり、表面層の強度が式3を有しない場合と比較して向上する。このため、線状の画像の発生を、式3を有しない場合と比較してより抑制することができる。
表面層中の4級アンモニウム基含有シロキサン化合物の含有割合は、前述した耐摩耗性の観点から2質量%以上、100質量%以下とすることが好ましい。表面層中の4級アンモニウム基含有シロキサン化合物の含有割合は、FT−IR、13C−NMR、17O−NMR、H−NMRにより特定することができる。また、表面層には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を添加(含有)することができ、これらの樹脂をバインダーとして用いてもよい。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂としては、アミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。さらに、表面層には、導電剤や充填剤等の配合剤を含有することもできる。導電剤としては、例えば、カーボンブラックや金属酸化物に代表される電子導電剤を挙げることができる。
また、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物中の式1に示すユニットの含有割合は、前述した耐摩耗性の観点から2質量%以上、前記線状画像をより確実に抑制する観点から80質量%以下とすることが好ましい。さらに、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物中の式2及び式3にそれぞれ示すユニットの合計含有割合は、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物の安定性の観点から2質量%以上、80質量%以下とすることが好ましい。4級アンモニウム基含有シロキサン化合物中のこれらのユニットの含有割合は、29Si−NMR,13C−NMR、17O−NMR、H−NMR、FT-IRにより特定することができる。
Figure 0006039412
式1、式2および式3中のR、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上12以下のアリール基、下記式4−1に示す基、または、下記式4−2に示す基を表す。なお、このアリール基の炭素数6〜12には、置換基であるメチル基もしくはエチル基の炭素数が含まれる。また、ZおよびZは、各々独立に下記式5に示す構造を表す。
Figure 0006039412
式4−1および式4−2中、R70およびR71は各々独立に、メチル基、またはエチル基を表し、mおよびtは各々独立に、0以上3以下の整数を表し、sは1以上7以下の整数を表す。
Figure 0006039412
式5中のRおよびRは、各々独立に、炭素数1以上13以下のアルキル基、炭素数1以上13以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上13以下のアリール基、上記式4−1に示す基、または、上記式4−2に示す基を表す。なお、このアリール基の炭素数6〜13には、置換基であるメチル基もしくはエチル基の炭素数が含まれる。また、nおよびkは、各々独立に3以上13以下の整数を表す。
は、上述した通り4級アンモニウム基の対イオンであり、この4級アンモニウム基の対イオンとしての選択性が塩素イオンより低いイオンである。具体的には、Xは、水酸基イオン(OH)、ケイ酸水素イオン(HSiO )、または炭酸水素イオン(HCO )を表す。この中でも、Xは、この4級アンモニウム基の対イオンとしての選択性が低い、即ち、対イオンとして用いた際に塩素イオントラップ能力が高くなる対イオンを用いることが好ましい。即ち、炭酸水素イオンよりもケイ酸水素イオンが好ましく、ケイ酸水素イオンよりも水酸基イオンが更に好ましい。対イオンをこのように選ぶことで、シロキサン結合の切断を一層抑制することができる。
シロキサン化合物は、分子構造中にシロキサン結合を有する。表面層中のシロキサン結合の量については、帯電部材の表面層を、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて直接分析することにより定量化できる。波数1030cm−1に現れる吸収ピークがシロキサン結合の特性ピークであり、このピーク面積を求めることで、表面層中のシロキサン結合含有量を算出することができる。更に、帯電部材の高温高湿環境放置前後のこのシロキサン結合由来のピーク面積比(高温高湿環境放置後のピーク面積/高温高湿環境放置前のピーク面積)を計算することで、高温高湿環境放置前後でのシロキサン結合の切断の度合いを定量化することができる。高温高湿環境放置前後のピーク面積比の数値が大きければ大きい程、即ち1に近ければ近い程、表面層中のシロキサン結合の切断が進行していないことを示す。尚、測定条件は以下の通りである。
装置:FT−IR(商品名:FT−IR8300、島津製作所製)
測定モード:減衰全反射法(ATR法)
プリズム:ゲルマニウムプリズム
測定波数:600cm−1から4000cm−1
積算回数:32。
本発明に用いる4級アンモニウム基含有シロキサン化合物の数平均分子量については、特に限定はされないが、1000以上200000以下が好ましい。分子量をこの範囲とすることで、後述する表面層形成用塗料の流動性を適正なものに容易にすることができる。また、本発明に用いる4級アンモニウム基含有シロキサン化合物は、例えば、水素化ケイ素基(HSi−)を有するシロキサン化合物と、1分子中に2つ以上の不飽和炭化水素基を有する4級アンモニウム基含有化合物とを、触媒を用いてヒドロシリル化させ重合することにより得ることができる。この水素化ケイ素基を有するシロキサン化合物としては、例えば以下の式6に示す両末端水素変性シリコーンオイルや、式7に示す側鎖水素変性シリコーンオイルが挙げられる。
Figure 0006039412
式6及び式7において、pおよびrは各々独立して0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表す。これらp、q、rの上限値については特に限定はされないが、未反応成分を少なくする観点から、いずれも100以下であることが好ましい。
1分子中に2つ以上の不飽和炭化水素基を有する4級アンモニウム基含有化合物のうち、2つの不飽和炭化水素基を有する化合物の一例としては、例えば以下の式8に示すジビニル4級アンモニウム塩が挙げられる。
Figure 0006039412
一方、1分子中に1つの不飽和炭化水素基しか有さないモノビニル4級アンモニウム塩と、水素化ケイ素基を有するシロキサン化合物とを、触媒を用いてヒドロシリル化させて得られた重合物(シロキサン化合物)は、シロキサン結合の切断という課題に対して有効でないことがわかった。この理由については、4級アンモニウム基が、結合中に固定化されていないため、即ち、4級アンモニウム塩の自由度が高いために、重合により得られたシロキサン化合物の安定性が十分でなく、そのために塩化物イオンのトラップ能力が発現され難くなっているものと推察する。
ヒドロシリル化に用いる触媒としては、パラジウム系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒等の公知の触媒が挙げられる。この中でも、反応を促進させる為に白金系触媒を用いることが好ましい。白金系触媒としては、塩化白金酸、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体等が挙げられる。これら白金系触媒は、必要に応じ添加の際に溶剤に希釈して用いてもよい。希釈用溶剤としては、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤等公知の溶剤を用いてよい。触媒の添加量としては、特に限定はされないが、重合に用いる水素化ケイ素基を有するシロキサン化合物100質量部に対し0.00001質量部以上1質量部以下が好ましい。
なお、式8に示す化合物中の4級アンモニウム基の対イオンは、塩素イオンであるため、本発明に用いる4級アンモニウム基含有シロキサン化合物を得るためには、イオン交換が必要となる。このように、シロキサン化合物内のシロキサン結合の構造近傍に配されている4級アンモニウム基の対イオンを、式5に示すような特定のイオンとするには、例えば、以下の方法を用いることができる。まず、イオン交換の為の交換液としては、水酸基イオンの導入には水酸化ナトリウム水溶液を、ケイ酸水素イオンの導入にはメタケイ酸水溶液を、炭酸水素イオンの導入には炭酸水溶液を用いる。具体的なイオン交換の方法としては、ヒドロシリル化を完了させたシロキサン化合物をビュレットに充填し、0.01〜1M(mol/l)の交換液を通液させる。あるいは、ヒドロシリル化を完了させたシロキサン化合物を容器に入れ、交換液を入れた後に撹拌、ろ過を繰り返す方法でもよい。交換液のPHが変化しなくなるまで通液、あるいは撹拌、ろ過を繰り返し、イオン交換を完了させる。イオン交換完了後は、シロキサン化合物を蒸留水で洗浄し、交換液を完全に除去する。これにより、式1のユニットと、式2及び3の少なくとも一方のユニットとを有する4級アンモニウム基含有シロキサン化合物を得ることができる。
表面層の体積抵抗率は、帯電ローラの電気抵抗を上述した範囲(1×10Ω以上、1×1010Ω以下)とする観点から、23℃、50%RH環境において1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率の測定条件としては、以下の通りである。
試料:帯電ローラ中の表面層を剥がし、5mm×5mm程度の短冊形に切り出し、両面に金属を蒸着して電極とした測定用サンプル。
装置、印加電圧、体積抵抗率算出方法:上述した弾性体層の場合の条件と同様。
表面層は、4級アンモニウム基含有シロキサン化合物と、溶剤とを含む塗料(必要に応じて他の樹脂や導電剤等を含む)を、スプレー塗布、ディッピング塗布等公知の方法により弾性体層上に塗工することにより形成できる。この際、塗料に用いる溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤等が挙げられる。
また、シロキサン化合物や導電剤を塗料中に分散させることもでき、その分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、スターミル等の公知の分散手段が挙げられる。
また、形成された表面層の膜厚については特に限定されないが、前述した所望の表面硬度に調整する観点、及び、耐摩耗性の観点から、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下である。
(電子写真装置)
本発明の電子写真装置(電子写真画像形成装置)は、後述する本発明のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有する。また、電子写真装置は、例えば、図2に示す構成とすることもできる。具体的には、図2に示す電子写真装置は、被帯電部材としての感光体、この感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、及び、トナー像を定着する定着装置を有している。
感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。感光体は図2に示す矢印の方向(時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電装置は、感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電部材(帯電ローラ)5を有する。この帯電ローラ5として、本発明の帯電部材を用いる。帯電ローラ5は、感光体の回転に従い回転する従動回転を行い、帯電用電源17から所定の直流電圧、若しくは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより、感光体を所定の電位に帯電する。感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、トナーを封入する役割を有するトナーシール(図3に示す符号15)、トナーを現像ローラに供給するトナー供給ローラ14、感光体4に近接又は接触して配設される現像ローラ6、現像ローラ6との摺擦によりトナーを帯電させる弾性規制ブレード13を有する。トナー供給ローラ14から供給されたトナーを、弾性規制ブレード13と現像ローラ6との摺擦により感光体帯電極性と同極性に帯電させる。このトナーを、現像用電源16により現像ローラに電荷を与えることで、反転現像を行い、静電潜像をトナー像に可視化現像する。転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。転写用電源18から転写ローラ8に電荷を与えることにより、感光体からトナー像を普通紙などの印刷メディア7(印刷メディアは、搬送部材を有する給紙システム(不図示)により搬送される。)に転写する。転写後、帯電前露光装置12により感光体の除電を行う。クリーニング装置は、クリーニングブレード10、及び回収容器を有し、転写した後、感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着装置9は、加熱されたローラ等で構成され、転写されたトナー像を印刷メディアに定着し、機外に排出する。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の帯電部材が少なくとも被帯電部材(例えば感光体)と一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジである。このプロセスカートリッジの一例を図3に示す。図3に示すプロセスカートリッジでは、感光体、帯電装置、現像装置、及びクリーニング装置が一体化されており、電子写真装置に着脱可能に設計されている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(製造例1)
まず、撹拌機と温度計を備えた反応容器にキシレン800質量部と、下記式8で示される化合物31.5質量部と、下記式9で示される化合物87.4質量部と、下記式10で示される化合物56.2質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.88質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体1を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約17500であった。
次に、作製したシロキサン化合物前駆体1中の4級アンモニウム基の塩化物イオン(Cl)を、水酸化物イオン(OH)にイオン交換した。交換方法としては、ビュレットに作製したシロキサン化合物前駆体1を充填させ、0.1MNaOH水溶液を滴下した。NaOH水溶液が通液前後でPHが変化しなくなるまで通液させ、イオン交換を完了させた。その後、蒸留水を通液させ洗浄を行った。このようにして、シロキサン化合物1を得た。得られたシロキサン化合物1をNMRにより分析したところ、下記式11〜式13にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。また、前述したポリスチレン換算数平均分子量は約17500であった。即ち、イオン交換前後の数平均分子量に変化はなかった。以後のいずれの製造例においても、イオン交換後の数平均分子量は、イオン交換前の数平均分子量と比較し、変化はなかった。以後の製造例においては、イオン交換前の数平均分子量のみを記載する。
Figure 0006039412
(製造例2)
製造例1と同様の反応容器にキシレン1000質量部と、下記式14で示される化合物114質量部と、下記式15で示される化合物38質量部と、下記式16で示される化合物25質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.88質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体2を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約35000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物2を得た。得られたシロキサン化合物2をNMRにより分析したところ、下記式17〜式19にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例3)
製造例1と同様の反応容器にキシレン1000質量部と、下記式20で示される化合物159質量部と、下記式21で示される化合物40質量部と、下記式22で示される化合物29質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.23質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体3を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約29000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物3を得た。得られたシロキサン化合物3をNMRにより分析したところ、下記式23〜式25にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例4)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式26で示される化合物28質量部と、上述した式10で示される化合物106質量部と、下記式27で示される化合物23質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.08質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体4を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約6300であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物4を得た。得られたシロキサン化合物4をNMRにより分析したところ、下記式28〜式31にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例5)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式32で示される化合物136質量部と、下記式33で示される化合物26質量部と、下記式34で示される化合物32.5質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.97質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体5を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約58000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物5を得た。得られたシロキサン化合物5をNMRにより分析したところ、下記式35〜式38にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
Figure 0006039412
(製造例6)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式39で示される化合物91質量部と、下記式40で示される化合物51質量部と、下記式41で示される化合物43質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.92質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体6を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約11000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物6を得た。得られたシロキサン化合物6をNMRにより分析したところ、下記式42〜式45にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例7)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物43.7質量部と、上述した式10で示される化合物28質量部と、下記式46で示される化合物50質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.50質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体7を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約20000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物7を得た。得られたシロキサン化合物7をNMRにより分析したところ、上述した式11、及び下記式47〜式48にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例8)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物43.7質量部と、上述した式10で示される化合物28質量部と、下記式49で示される化合物36質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.05質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体8を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約6500であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物8を得た。得られたシロキサン化合物8をNMRにより分析したところ、上述した式11、及び下記式50〜式51にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例9)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物43.7質量部と、上述した式10で示される化合物28質量部と、下記式52で示される化合物26質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.49質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体9を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約19500であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物9を得た。得られたシロキサン化合物9をNMRにより分析したところ、上述した式11、及び下記式53〜式54にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例10)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物43.7質量部と、上述した式10で示される化合物28質量部と、下記式55で示される化合物33質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.10質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体10を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約10500であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物10を得た。得られたシロキサン化合物10をNMRにより分析したところ、上述した式11、及び下記式56〜式57にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例11)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式8で示される化合物5質量部と、下記式58で示される化合物120質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.62質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体11を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約31200であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物11を得た。得られたシロキサン化合物11をNMRにより分析したところ、下記式59及び式60にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例12)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式8で示される化合物5質量部と、下記式61で示される化合物118質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.61質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体12を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約30500であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物12を得た。得られたシロキサン化合物12をNMRにより分析したところ、下記式62及び式63にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例13)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物44質量部と、下記式64で示される化合物17.7質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.03質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体13を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約3700であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物13を得た。得られたシロキサン化合物13をNMRにより分析したところ、上述した式11、下記式65及び式66にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例14)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式8で示される化合物9質量部と、下記式67で示される化合物68質量部と、下記式68で示される化合物32質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.11質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体14を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約19000であった。次に、製造例1と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物14を得た。得られたシロキサン化合物14をNMRにより分析したところ、下記式69、式70及び式71にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例15)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式72で示される化合物28質量部と、下記式73で示される化合物29質量部と、上述した式64で示される化合物47質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.10質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体15を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約19000であった。次に、作製したシロキサン化合物前駆体15中の4級アンモニウム基の塩化物イオンを、メタケイ酸水素イオンにイオン交換した。交換方法としては、ビュレットに作製したシロキサン化合物前駆体15を充填させ、0.1MのHSiO水溶液を滴下した。HSiO水溶液が通液前後でPHが変化しなくなるまで通液させ、イオン交換を完了させた。その後、蒸留水を通液させ洗浄を行った。このようにして、シロキサン化合物15を得た。得られたシロキサン化合物15をNMRにより分析したところ、上記式11、下記式74〜式77にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例16)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式78で示される化合物85質量部と、式79で示される化合物20質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.65質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体16を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約32300であった。次に、製造例15と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物16を得た。得られたシロキサン化合物16をNMRにより分析したところ、上述した式28、及び下記式80にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例17)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式79で示される化合物10質量部と、下記式81で示される化合物61質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.07質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体17を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約7100であった。次に、製造例15と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物17を得た。得られたシロキサン化合物17をNMRにより分析したところ、上述した式11、及び下記式82にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例18)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式10で示される化合物22.5質量部と、上述した式78で示される化合物84.5質量部と、下記式83で示される化合物46質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.08質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体18を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約11500であった。次に、作製したシロキサン化合物前駆体18中の4級アンモニウム基の塩化物イオンを、炭酸水素イオンにイオン交換した。交換方法としては、ビュレットに作製したシロキサン化合物前駆体18を充填させ、0.1MのHCO水溶液を滴下した。HCiO水溶液が通液前後でPHが変化しなくなるまで通液させ、イオン交換を完了させた。その後、蒸留水を通液させ洗浄を行った。このようにして、シロキサン化合物18を得た。得られたシロキサン化合物18をNMRにより分析したところ、上述した式11、式28、下記式84、式85及び式86にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例19)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式87で示される化合物を97質量部と、下記式88で示される化合物28.8質量部と、下記式89で示される化合物26質量部と、下記式90で示される化合物46質量部とを投入した。
Figure 0006039412
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.20質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体19を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約29600であった。次に、製造例18と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物19を得た。得られたシロキサン化合物19をNMRにより分析したところ、下記式91〜式95にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
Figure 0006039412
(製造例20)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、下記式96で示される化合物40.5質量部と、下記式97で示される化合物3.1質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.04質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体20を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約26100であった。次に、製造例18と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物20を得た。得られたシロキサン化合物20をNMRにより分析したところ、下記式98〜式100にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(製造例21)
製造例1と同様の反応容器にキシレン800質量部と、上述した式9で示される化合物43.7質量部と、上述した式10で示される化合物28質量部と、下記式101で示される化合物32質量部とを投入した。
Figure 0006039412
続いて、反応容器内を撹拌しながら40℃まで加熱した。加熱後、反応容器中に、1質量%塩化白金酸イソプロパノール溶液を0.38質量部添加し、さらに1時間撹拌した。その後、蒸留によりキシレンを除去し、シロキサン化合物前駆体21を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を分析したところ、ポリスチレン換算数平均分子量は約20700であった。次に、製造例18と同様の方法でイオン交換を行い、シロキサン化合物21を得た。得られたシロキサン化合物21をNMRにより分析したところ、上述した式11、下記式102及び式103にそれぞれ示す構造をいずれも有していた。
Figure 0006039412
(実施例1)
(帯電ローラA1の作製)
まず、直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、カーボンブラックを4質量%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
次に、弾性体層を作製した。弾性体層の作製手順としては、以下の通りである。弾性体層用のコンパウンドは、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記表1に示す材料を10分間混練し調製した。
Figure 0006039412
混練後、更に以下の表2に示す材料を追加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性体層用コンパウンドを得た。
Figure 0006039412
上記導電性基体とともに、弾性体層用コンパウンドをクロスヘッド付き押出成型機にて押し出し、外径が約8.8mmのローラ形状になるように成型した。次いで、電気オーブンを用いて160℃で1時間加熱し、加硫及び接着剤の硬化を行った。ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを228mmとした後、外径が8.5mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行い、弾性体層が形成された弾性ローラを得た。なお、この弾性ローラのクラウン量(中央部と、中央部から90mm離れた位置の外径の差)は120μmであった。
続いて、表面層を作製した。表面層の作製手順としては以下の通りである。表面層形成用の塗料は、下記表3に示す材料をペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散して作製した。
Figure 0006039412
上記表面層形成用塗料を、上記弾性ローラに1回ディッピング塗布した。ここで、ディッピング条件は以下の通りである。但し、ローラを引き上げる間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
・浸漬時間:9秒;
・ディッピング塗布引き上げ速度:初期速度20mm/s、最終速度2mm/s
塗布後、室温にて30分風乾し、更に90℃で1時間風乾することで、弾性体層上に表面層が形成された帯電ローラA1を得た。
(高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験)
作製した帯電ローラA1について、FT−IR測定を上述の方法で行い、表面層におけるシロキサン結合由来のピーク面積を測定した。その後、帯電ローラA1を40℃、95%RH環境に1ヶ月間放置し、その後23℃、50RH%環境に24時間放置した。放置後の帯電ローラA1について同様にFT−IR測定を行った。測定後、高温高湿環境放置前後のシロキサン結合由来のピーク面積比(高温高湿環境放置後のピーク面積/高温高湿環境放置前のピーク面積)を計算した。帯電ローラA1のピーク面積比は、0.985であった。すなわち、高温高湿環境放置後においてシロキサン結合の切断はほぼ認められないことがわかった。
次に、耐久試験を行った。耐久試験は以下の手順にて行った。
評価環境:23℃、50RH%
電子写真装置:カラーレーザージェットプリンター(商品名:CP4525dn、日本HP株式会社製)
プロセスカートリッジ:上記プリンター用のプロセスカートリッジ(ブラック用)
プロセスカートリッジに組み込んだ帯電ローラ:高温高湿環境放置後の帯電ローラA1
耐久試験時の通紙画像:印字濃度1%のE文字画像
通紙枚数:25000枚
評価用画像:ハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)
評価用画像のサンプリング間隔:1枚目、5000枚目、以降25000枚まで5000枚間隔。
評価用画像は目視にて観察し、下記基準にて評価した。結果を表5に示す。
3:線状の画像は認められない。
2:線状の画像が認められる。
1:線状の画像が目立つ。
帯電ローラA1については、全てのサンプリング画像で、評価結果は3であった。
(実施例2〜9、11〜21)
表面層に使用するシロキサン化合物を、表5に示すように変更した以外は実施例1と同様にして帯電ローラA2〜A9、A11〜A21を作製した。作製した帯電ローラA2〜A9、A11〜A21の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(実施例10)
弾性体層用のコンパウンドに用いるエピクロルヒドリンゴム1をエピクロルヒドリンゴム2(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー株式会社製)に変更し、表面層に使用するシロキサン化合物を、表5に示すように変更した。これら以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラA10を得た。作製した帯電ローラA10の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(実施例22)
弾性体層用のコンパウンドに用いるエピクロルヒドリンゴム1:100質量部を、エピクロルヒドリンゴム1:75質量部、及びアクリロニトリルブタジエンゴム(商品名:N230SV、JSR株式会社製)25質量部に変更した。それ以外は実施例20と同様にして、帯電ローラA22を得た。作製した帯電ローラA22の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(実施例23)
弾性体層用のコンパウンドに用いるエピクロルヒドリンゴム1:100質量部を、エピクロルヒドリンゴム1:50質量部、及び実施例22に用いたアクリロニトリルブタジエンゴム50質量部に変更した。それ以外は実施例20と同様にして、帯電ローラA23を得た。作製した帯電ローラA23の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして弾性ローラを作製した。次に、弾性体層上に表面層を作製した。表面層の作製手順としては、以下の通りである。表面層形成用の塗料としては、下記表4に示す材料をペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散して作製した。
Figure 0006039412
上記表面層形成用塗料を、弾性体層が形成されたローラに1回ディッピング塗布した。ここで、ディッピング条件は以下の通りである。尚、ローラを引き上げる間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
・浸漬時間:9秒
・ディッピング塗布引き上げ速度:初期速度20mm/s、最終速度2mm/s。
表面層形成用塗料を弾性体層の外周面に塗布後、室温にて30分風乾し、更に120℃で1時間硬化させ、帯電ローラA24を得た。作製した帯電ローラA24の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
帯電ローラA24のシロキサン結合由来のピーク面積比は、0.328であった。すなわち、高温高湿環境放置後においてシロキサン結合の切断が進んでいることがわかった。
(比較例2)
比較例1において、表面層形成材料として更にハイドロタルサイト(商品名:DHT−4A、協和化学工業株式会社製)1質量部を添加したこと以外は、比較例1と同様にして帯電ローラA25を作製した。作製した帯電ローラA25の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。帯電ローラA25のピーク面積比は、0.394であった。すなわち、高温高湿環境放置後においてシロキサン結合の切断が進んでいることがわかった。
(比較例3)
比較例1において、弾性体層の形成材料として4級アンモニウム塩(商品名:アデカサイザーLV70、株式会社ADEKA製)2質量部を添加したこと以外は、比較例1と同様にして、帯電ローラA26を得た。作製した帯電ローラA26の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。帯電ローラA26の測定結果は、0.374であった。すなわち、高温高湿環境放置後においてシロキサン結合の切断が進んでいることがわかった。
(比較例4)
比較例1において、ジメチルイソシアネートシランに代えてシロキサン化合物21を使用したこと以外は、比較例1と同様にして帯電ローラA27を得た。作製した帯電ローラA27の高温高湿環境放置前後の物性測定、及び耐久試験を実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。帯電ローラA27の測定結果は、0.411であった。すなわち、高温高湿環境放置後においてシロキサン結合の切断が進んでいることがわかった。
Figure 0006039412
上記表5に示すように、本発明の帯電ローラは、線状の画像の発生が抑制され、電子写真装置、プロセスカートリッジに組み込んで好ましいものである。
1 導電性基体
2 弾性体層
3 表面層
4 感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
6 現像ローラ
7 印刷メディア
8 転写ローラ
9 定着装置
10 クリーニングブレード
11 潜像形成装置
12 帯電前露光装置
13 弾性規制ブレード
14 トナー供給ローラ
15 トナーシール
16 現像用電源
17 帯電用電源
18 転写用電源

Claims (3)

  1. 導電性基体、弾性体層、および表面層をこの順に有する帯電部材であって、
    該弾性体層は、エピクロルヒドリンユニットを有するゴムを含有し、
    該表面層は、分子構造中に、
    下記式1に示すユニットと、
    下記式2および式3にそれぞれ示すユニットのうちの少なくとも一方のユニットとを有するシロキサン化合物を含有することを特徴とする帯電部材:
    Figure 0006039412
    (式1、式2および式3中のR、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上12以下のアリール基、下記式4−1に示す基、または下記式4−2に示す基を表し、ZおよびZは、各々独立に下記式5に示す構造を表す)、
    Figure 0006039412
    (式4−1および式4−2中、R70およびR71は各々独立に、メチル基、またはエチル基を表し、mおよびtは各々独立に、0以上3以下の整数を表し、sは1以上7以下の整数を表す)、
    Figure 0006039412
    (式5中のRおよびRは、各々独立に、炭素数1以上13以下のアルキル基、炭素数1以上13以下のアルコキシ基、置換基としてメチル基もしくはエチル基を有しても良い炭素数6以上13以下のアリール基、上記式4−1に示す基または上記式4−2に示す基を表し、nおよびkは、各々独立に3以上13以下の整数を表し、Xは、OH、HSiO、またはHCOを表す)。
  2. 請求項1に記載の帯電部材が被帯電部材と一体化され、電子写真装置に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジ。
  3. 請求項2に記載のプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有する電子写真装置。
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