JP6037920B2 - 加飾用途の成形物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂からなる透明な樹脂シートを備えた加飾用途の成形物およびその製造方法に関する。
従来、携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品として、塗装やメッキレスによる環境負荷の低減、さらには新たな意匠性を付与する観点などから、水圧転写、フィルムインサート成形、インモールド成形など、加飾成形により意匠性を付与された成形物が知られている。
このような成形物として、ポリプロピレンシートに印刷が施された成形体をインサート成形する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1に記載のものは、ポリプロピレンフィルムの一面に図柄層が真空成形などにより形成された後、得られた成形体が金型にセットされ、射出成形により所定の成形物が形成される構成が記載されている。
特許文献2に記載のものは、ポリプロピレンシートとポリオレフィンシートとの間に絵柄層を有した成形体が金型にセットされ、成形樹脂が射出成形されて一体化接着し成形物を得る構成が記載されている。
特開2000−141401号公報 特開2007−118597号公報
しかしながら、従来の特許文献1,2に記載のポリプロピレンシートに印刷が施された成形体では、複雑な形状に射出成形した際、ポリプロピレンシートが白化し、意匠性が損なわれるおそれがあり、複雑な形状の外装品には対応できない不都合がある。このことから、複雑形状となる外装品にも、ポリプロピレンシートを用いた加飾成形が望まれている。
本発明は、複雑な形状にインサート成形しても白化を生じず、良好な加飾を提供できる加飾用途の成形物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の加飾用途の成形物は、基材の少なくとも一部に成形体が設けられた加飾用途の成形物であって、前記成形体は、ポリプロピレン樹脂からなり、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを有する透明な樹脂シートが非平面状に成形されてなり、伸び率が150%以上に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して成形され、表面の少なくとも一部に印刷が施されていることを特徴とする。
この発明では、溶融樹脂を急冷して得られた樹脂シートを用いて非平面状に成形して基材の少なくとも一部に設けられるので、複雑な形状の成形物でも、成形体の樹脂シートが白化することを防止して優れた意匠性を付与できる。
そして、本発明では、前記樹脂シートは、表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて前記溶融樹脂が急冷されて成形された構成とすることが好ましい。
この発明では、表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールで溶融樹脂を急冷するので、複雑な形状に成形されても白化することを防止できる樹脂シートを容易に成形できる。
また、本発明の加飾用途の成形物は、前記樹脂シートは、平均球晶半径が4μm以下であること、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下であること、固体密度が0.896g/cm以下であること、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満であること、少なくとも片面の光沢が90%以上であることが好ましい
この発明では、平均球晶半径、平均球晶数、固定密度、溶解エンタルピー、光沢が上記所定値に成形された樹脂シートを用いて非平面状に成形するので、複雑な形状に成形しても、樹脂シートが白化することを防止して優れた意匠性を付与できる。
なお、ここで、平均球晶半径が4μmより大きいと、内部ヘイズが高くなり(透明性が低下して)好ましくない。より好ましくは、平均球晶半径3μm以下である。平均球晶半径は小さいほど好ましいが、下限値は特に限定されない。また、シート断面の平均球晶数が600個/mmより多いと、シートの軟化点温度が高くなり好ましくない。より好ましくは、平均球晶数400個/mm以下である。さらに、固体密度が0.896g/cmより大きいと、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高すぎて好ましくない。
そして、本発明では、前記樹脂シートの少なくとも一部が伸長成形された構成とすることが好ましい。
この発明では、樹脂シートの少なくとも一部を伸長することで、非平面状に成形する。このことにより、複雑な形状の部分的に伸長するような成形でも、樹脂シートが白化することを防止して優れた意匠性を付与できる。
なお、伸長成形は、全体を伸長する場合にかぎらず、一部分のみを伸長成形したり、伸長成形する部分を複数箇所設けたりする場合も含むものである。
また、本発明では、伸び率が150%以上に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して成形された構成とする。
この発明では、樹脂シートの少なくとも一箇所以上に伸び率が150%以上に成形された部位を設けて非平面状に成形、すなわち複雑な形状で部分的に伸び率150%以上に伸ばされる部位がある成形でも、白化を生じず、良好な加飾を提供することが期待できる。
さらに、本発明では、前記樹脂シートの成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)が1.5以上10以下である構成とすることができる。
この発明では、成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)を、非平面状に成形する変形量が大きくなる1.5以上10以下の複雑な形状に成形しても、白化を生じず、良好な加飾を提供することが期待できる。
そして、本発明では、前記樹脂シートの成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が0.8以下に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して成形された構成とすることができる。
この発明では、成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が、非平面状に成形される部位の変形による伸びが大きくなる0.8以下の複雑な形状に成形しても、白化を生じず、良好な加飾を提供することが期待できる。
また、本発明では、表面の少なくとも一部に印刷が施されている構成とする。
この発明では、表面の少なくとも一部に印刷を施した後に複雑な形状に形成されても、印刷が剥離したり割れたりすることなく、かつ樹脂シートの白化が生じることがなく、複雑な形状でも良好な加飾を提供することが期待でき、優れた意匠性を提供できる。
そして、本発明では、前記成形体は、インサート成形により基材の一部に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、インサート成形により基材の一部に本発明の成形体を設けることで、複雑な形状の基材を良好に加飾成形できる。
本発明の加飾用途の成形物の製造方法は、基材の少なくとも一部に成形体を設ける加飾用途の成形物の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂からなる溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷して透明な樹脂シートを製造する工程と、前記樹脂シートの少なくとも一部に印刷を施す工程と、前記樹脂シートの伸び率が150%以上に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して非平面状に成形する工程と、印刷が施され非平面状に成形された前記成形体を、前記基材の少なくとも一部に設ける工程と、を実施することを特徴とする。
この発明では、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用いる。そして、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂からなる溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、鏡面エンドレスベルトに鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷して透明な樹脂シートを製造する。得られた樹脂シートを非平面状に成して基材の少なくとも一部に設ける。このため、複雑な形状に樹脂シートが成形されても白化することを防止でき、複雑な形状の成形物でも外観を損なうことなく良好に加飾成形できる。
本発明の成形物の一実施形態に係る断面図。 前記成形物に設けられた成形体を構成する急冷透明ポリプロピレンシートを製造する製造装置の概略構成。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明の成形体を一部に備えた成形物をインサート成形する構成を例示するが、この限りではない。
[成形物の構成]
図1において、1は成形物で、この成形物1は、携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品に用いられる。成形物1は、インサート成形により、基材2の一部に成形体3が一体に設けられたものである。
基材2としては、例えば、インサート成形可能な熱可塑性樹脂が用いられる。
具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル重合体などが例示できるが、この限りではない。
なお、基材2には、ファイバーやタルクなどの無機フィラーが添加されたものでもよい。
成形体3は、図示しない樹脂シートが所定の形状に熱成形されたものである。
ここで、樹脂シートは、急冷透明ポリプロピレンシートからなるポリプロピレン層3Aと、このポリプロピレン層3Aの少なくとも一面の少なくとも一部に設けられた印刷層3Bとが順次積層された積層構造である。
ポリプロピレン層3Aは、詳細は後述するが、溶融するポリプロピレン樹脂を急冷してシート状に成形されたものである。
ここで、急冷としては、詳細は後述するが、例えば複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂からなる溶融樹脂を導入して急冷しシート状に成形する。
なお、ポリプロピレン樹脂としては、少なくともプロピレンを含む重合体で、ポリプロピレンの他、プロピレンとエチレンなどのオレフィンとの共重合体、あるいはポリプロピレンにポリエチレンなどのポリオレフィンや共重合体が混合された混合物としてもよい。特に、耐熱性、硬度の理由からポリプロピレンが好ましい。
また、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである。
なお、ポリプロピレン樹脂には、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤を配合してもよい。
そして、上記急冷の条件で成形されたポリプロピレン層3Aは、例えば平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを示す。
ここで、平均球晶半径は4μm以下、好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。
平均球晶半径が4μmより粗いと内部ヘイズが高くなり、透明性が低下して良好な意匠性を提供できなくなる。
なお、平均球晶半径は、例えば得られた樹脂シートの断面を偏光顕微鏡により観察することにより測定できる。
また、シート断面の平均球晶数は600個/mm以下、好ましくは400個/mm以下、特に好ましくは200個/mm以下である。
シート断面の平均球晶数が600個/mmより多くなると、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高すぎて好ましくない。
なお、平均球晶数は、例えば得られた樹脂シートの断面を偏光顕微鏡により観察することにより測定できる。
さらに、固体密度が0.896g/cm以下、好ましくは0.860g/cm以上0.893g/cm以下、特に好ましくは0.885g/cm以上0.890g/cm以下である。
固体密度が0.896g/cmより大きくなると、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高すぎて好ましくない。なお、0.860g/cm以下となるとシートの剛性が低すぎ、二次加工時の取り扱いが難しくなるおそれがあるため、0.860g/cm以上とすることが好ましい。
なお、固体密度は、JIS K7112に準拠した方法で測定できる。
示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、好ましくは55J/g以上80J/g以下、特に好ましくは60J/g以上75J/g以下である。
融解エンタルピーΔHが90J/g以上では熱成形の際にシートを軟化させにくくなるため複雑な形状に成形しにくくなるおそれがあるためである。なお、55J/g以下となると、例えば印刷時の乾燥など加熱処理する場合、シートが軟化して取り扱いが難しくなるおそれがあるため、55J/g以上とすることが好ましい。
なお、融解エンタルピーΔHは、例えば示差走査熱量計(DSC−7 パーティエルマージャパン(株)製)を用いて、以下の条件により測定した示差走査熱分析曲線において、最大吸熱ピークの面積より求めることができる。
・測定開始温度:50℃
・測定終了温度:220℃
・昇温温度:10℃/分
少なくとも片面、すなわち成形物1の表面に相当する面の光沢が90%以上、好ましくは95%以上170%以下、特に好ましくは120%以上160%以下である。
光沢が90%未満では、表面で光が反射するため透過せず、透明性が悪くなるおそれがあるためである。
なお、光沢は、例えば自動式測色色差計(AUD−CH−2型−45,60、スガ試験機株式会社製)を使用し、シートに光を入射角60度で照射し、同じく60度で反射光を受光したときの反射光束ψsを測定し、屈折率1.567のガラス表面からの反射光束ψ0sとの比により、下式(1)により求めた。
表面光沢度(Gs)=(ψs/ψ0s)*100 …(1)
最大吸熱ピークの低温側の発熱ピークが1J/g以上である。この発熱ピークはDSC測定時の加熱による、一部がスメチカ晶からα晶に転移する際の発熱で、上記所定の平均球晶半径、平均球晶数、固体密度、示差走査熱分析、表面の光沢の特性を持った急冷ポリプロピレンシート特有の現象である。
なお、発熱ピークは、例えば上記示差走査熱分析曲線において、最大吸熱ピークを与える温度よりも低温側に、発熱ピークが生じるか否かを確認することにより行った。
印刷層3Bは、急冷透明ポリプロピレンシートに印刷が施されることで、ポリプロピレン層3Aに隣接して設けられている。
印刷方法としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、スプレーコート法などの一般的な印刷方法が利用できる。その他、蒸着膜からなる金属蒸着や金属薄膜のラミネートなども利用できる。特に、スクリーン印刷法はインキの膜厚が厚くできるので、複雑な形状に成形した際にインキ割れが発生しにくいことから好ましい。
そして、所定の形状に成形された成形体3は、少なくとも一部分が伸長されて成形されている。
具体的には、大きく変形する部分は、伸び率が150%以上、好ましくは180%以上500%以下、特に200%以上400%以下となる複雑形状に形成されている。すなわち、少なくとも一部分が伸び率150%以上となる複雑形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがない。
ここで、伸び率が150%以下では変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。なお、伸び率が800%より大きくなると、透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Bに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるため、800%以下とすることが好ましい。
そして、白化は、例えば透明成型体の内側に塗料で黒色に着色し、透明成型体の外側から目視で評価できる。透明成型体が白化している場合は、黒色が白みかかって見えるが、白化していない場合は、黒色がクリアに見える。また、伸び率は、例えば熱成形時の加熱温度、金型の温度など熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
さらに、大きく伸長された部分では、急冷透明ポリプロピレンシートの成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が0.8以下、好ましくは0.01以上0.75以下、特に0.05以上0.7以下となる。すなわち、非平面状に成形される部位の変形による伸びが大きくなる膜厚比(B/A)が0.8以下の複雑な形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがない。
ここで、膜厚比(B/A)が0.8より大きい成形では部分的な変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。なお、膜厚比(B/A)が0.01より小さくなると、透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Bに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるため、0.01以下とすることが好ましい。
なお、膜厚比は、例えば熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
そして、非平面状に成形された成形体3は、急冷透明ポリプロピレンシートの成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合である表面積比(Y/X)が1.5以上10以下、好ましくは1.7以上5以下、特に2以上4以下である。すなわち、非平面状に成形される部位の変形量が多くなる表面積比(Y/X)が1.5以上10以下の複雑な形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがない。
ここで、表面積比が1.5より小さい成形では部分的な変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。一方、表面積比が5より大きい場合では透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Bに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるためである。
なお、表面積は、例えば、立方体や直方体などの場合はノギスにて成形品の深さと各辺の測定値から算出できる。曲線など測定値からの算出が難しい成形品の場合、非接触3次元デジタイザなどの3Dスキャナーで測定できる。また、表面積比は、例えば熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
[成形体の製造]
以下に、上記成形体を成形する動作を説明する。
成形体3を形成する急冷透明ポリプロピレンシートの成形は、図2に示す製造装置が利用できる。
製造装置は、押出機のTダイ12と、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15および第4冷却ロール16と、金属製エンドレスベルト17と、冷却水吹き付けノズル18と、水槽19と、吸水ロール20と、剥離ロール21とを備えて構成されている。
第1冷却ロール13、第2冷却ロール14および第3冷却ロール15は、金属製ロールであり、その内部には表面温度調節を可能にするために水冷式等の冷却手段(図示省略)が内蔵されている。
ここで、第1、第2冷却ロール13、14の表面には、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製の弾性材22が被覆されている。この弾性材22は、その硬度(JIS K6301Aに準拠した方法で測定)が60度以下、厚さが10mmのものである。
なお、第1、第2、第3冷却ロール13、14、15の少なくとも一つは、その回転軸が回転駆動手段(図示省略)と連結されている。
第4冷却ロール16は、表面粗さが1.0S以下の鏡面を有する金属製ロールであり、その内部には表面の温度調節を可能にするための水冷式等の冷却手段(図示省略)が内蔵されている。ここで、表面粗さが1.0Sより大きいと、得られる急冷透明ポリプロピレンシート11の光沢度が低くなり、透明性の低いシートとなる。
この第4冷却ロール16は、押し出されたポリプロピレンシートを金属製エンドレスベルト17を介して第1冷却ロール13との間に挟むように配置されている。
金属製エンドレスベルト17は、ステンレスなどからなり、その表面粗さが1.0S以下の鏡面を有するものである。この金属製エンドレスベルト17は、上述の第1〜第3冷却ロール13〜15に回動自在に巻装されている。
冷却水吹き付けノズル18は、第4冷却ロール16の下面側に設けられており、この冷却水吹き付けノズル18によって、金属製エンドレスベルト17の裏面に冷却水が吹き付けられることとなる。これにより、金属製エンドレスベルト17を急冷するとともに、第1、第4冷却ロール13、16により面状圧接された直後のポリプロピレンシートをも急冷している。
また、水槽19は、上面が開口した箱状に形成され、第4冷却ロール16の下面全体を覆うように設けられている。この水槽19により、吹き付けられた冷却水を回収するとともに、回収した水を水槽19の下面に形成された排水口19Aより排出する。
吸水ロール20は、第4冷却ロール16における第2冷却ロール14側の側面部に、金属製エンドレスベルト17に接するように設置されており、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した余分な冷却水を除去する作用をする。
剥離ロール21は、急冷透明ポリプロピレンシート11を金属製エンドレスベルト17および第2冷却ロール14にガイドして圧接するように配置されるとともに、冷却終了後の急冷透明ポリプロピレンシート11を金属製エンドレスベルト17から剥離する。
以上のように構成された製造装置を用いた急冷透明ポリプロピレンシート11の製造方法を説明する。
まず、押し出された溶融樹脂と直接接触し、これを冷却する金属製エンドレスベルト17および第4冷却ロール16の表面温度が露点以上、50℃以下、好ましくは30℃以下に保たれるように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温度制御を行う。
ここで、第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17の表面温度が露点以下では、表面に結露が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表面温度が50℃より高いと、得られる急冷透明ポリプロピレンシート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くなり、熱成形しにくいものとなる可能性がある。したがって、本実施形態では表面温度を14℃としている。
次に、押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(造核剤を含まない)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と、第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに、14℃で急冷する。
この際、第1冷却ロール13および第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形することとなる。
この弾性材22が弾性変形している部分、すなわち、第1冷却ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、急冷されたポリプロピレンシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、0.1MPa以上20MPa以下である。
上述のように圧接され、第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17間に挟まれたポリプロピレンシートは、続いて、第4冷却ロール16の略下半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16とに挟まれて面状圧接されるとともに、冷却水吹き付けノズル18による金属製エンドレスベルト17の裏面側への冷却水の吹き付けにより、さらに急冷される。この際の面圧は、0.01MPa以上0.5MPa以下であり、また、冷却水の温度は8℃である。
なお、吹き付けられた冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収された水は排水口19Aより排出される。
このように第4冷却ロール16で面状圧接および冷却された後、金属製エンドレスベルト17に密着したポリプロピレンシートは、金属製エンドレスベルト17の回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。ここで、剥離ロール21によりガイドされて第2冷却ロール14側に押圧されたポリプロピレンシートは、前述同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17により面状圧接され、再び30℃以下の温度で冷却される。
この際の面圧は、0.01MPa以上0.5MPa以下である。
なお、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール20により除去される。
第2冷却ロール14上で冷却されたポリプロピレンシートは、剥離ロール21により金属製エンドレスベルト17から剥離され、巻き取りロール(図示省略)により、所定の速度で巻き取られる。このようにして製造された急冷透明ポリプロピレンシート11は、平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピーク、かつ、厚さ50μm以上のものである。
そして、製造された急冷透明ポリプロピレンシート11は、例えば、スクリーン印刷の場合は、帝国インキ製造社製POS−911墨インキを、T−250メッシュ(ポリエステルメッシュ)を用いて印刷し、乾燥炉中で60℃、90分間乾燥することによって、表面の所定の位置に印刷層3Bが積層形成され、樹脂シートが形成される。
この後、樹脂シートは、例えば、赤外線ヒーターにてシートを表面温度145℃に加熱し、金型に真空および圧縮空気にて押し付けて冷却することで、所定の形状に熱成形され成形体3が製造される。
そして、製造された成形体3は、所定の金型に設置され、基材2の溶融樹脂を射出成形し、表面の一部に成形体3が設けられた成形物1がインサート成形される。射出成形時の樹脂温度、射出圧力、冷却などの条件は、成形体3の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、通常は、180℃以上250℃以下、圧力5MPa以上120MPa以下にて射出し、金型温度20℃以上90℃以下程度で冷却を行うことにより実施できる。
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、溶融ポリプロピレン樹脂を急冷して得られた急冷透明ポリプロピレンシート11からなる樹脂シートを用いて非平面状の成形体3を成形している。すなわち、急冷形成されることで、例えば平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークとなる急冷透明ポリプロピレンシート11を用いて成形された成形体3を一部に設けている。
このため、複雑な形状の成形体3でも、急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aが白化することがなく、優れた意匠性を有した成形体3が得られ、この成形体3を一部に有した成形物1に優れた意匠性を付与できる。
そして、上記実施形態では、成形体3の成形では、急冷透明ポリプロピレンシート11からなる樹脂シートの少なくとも一部を伸長することで、非平面状に成形している。
このため、非平面状の成形が複雑な形状で部分的に伸長するような成形でも、急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aが白化することがなく、優れた意匠性を付与できる。
また、上記実施形態では、成形体3の成形では、急冷透明ポリプロピレンシート11からなる樹脂シートの少なくとも一箇所以上に伸び率が150%以上となる部位がある複雑形状に成形している。
すなわち、複雑な形状で部分的に伸び率が150%以上に大きく伸ばされる部位がある成形でも、急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aが白化することがなく、良好な加飾を提供することが期待でき、優れた意匠性を付与できる。
また、上記実施形態では、成形体3の成形では、急冷透明ポリプロピレンシート11からなる樹脂シートの成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が0.8以下の条件となる部位がある複雑形状に成形している。
すなわち、非平面状に成形される部位の変形による伸びが大きくなる膜厚比(B/A)が0.8以下の複雑な形状に成形されても、急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aが白化することがなく、良好な加飾を提供することが期待でき、優れた意匠性を付与できる。
さらに、上記実施形態では、成形体3の成形では、急冷透明ポリプロピレンシート11からなる樹脂シートの成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)が1.5以上10以下の条件となる部位がある複雑形状に成形している。
すなわち、非平面状に成形される部位の変形量が多くなる表面積比(Y/X)が1.5以上10以下の複雑な形状に成形されても、急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aが白化することがなく、良好な加飾を提供することが期待でき、優れた意匠性を付与できる。
そして、上記実施形態では、成形体3に印刷層3Bを設けた構成としている。
このため、表面の少なくとも一部に印刷を施した後に複雑な形状に形成されても、印刷が剥離したり割れたりすることなく、かつ急冷透明ポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aの白化が生じることがなく、複雑な形状でも優れた意匠性を提供できる。
また、上記実施形態では、ポリプロピレン層3Aが白化することなく複雑な形状に形成された成形体3を一部に備えた成形物1とすることで、広い分野の外装品に優れた意匠性を提供でき、汎用性を向上できる。
そして、上記実施形態では、インサート成形により成形体3を一部に備えた成形物1を成形しているので、複雑な形状の外装品でも優れた意匠性を付与して容易に製造できる。
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、成形体がインサート成形された構成に限らず、例えば樹脂シートを射出成型樹脂の圧力にて形状附与するインモールド成形法や、あらかじめ作製された複雑な形状を持った成形品に被覆する方法や、また被覆後にシートを剥してインキのみを残す転写成形法など、成形体3を基材2の一部に備えることが可能な各種方法を利用できる。
また、成形体3は、成形物1の表面の一部に1つのみ設けた構成に限らず、複数の成形体3を設けてもよい。
そして、基材2として、インサート成形可能な熱可塑性樹脂を用いて説明したが、例えば紫外線硬化型アクリル樹脂などの光や紫外線、熱などで硬化する光硬化樹脂や、エポキシ樹脂などの重合開始剤により重合して硬化する樹脂など、各種材料を利用できる。
また、成形体3は、ポリプロピレン層3Aを構成する急冷透明ポリプロピレンシート11に印刷層3Bとなる印刷を施して樹脂シートを形成し、この樹脂シートを所定の形状に成形したものに限らず、急冷透明ポリプロピレンシート11を成形して得られた成形体に印刷を施して印刷層3Bを設けてもよい。
そして、樹脂シートから成形体3に成形する方法としては、赤外線ヒーターにて加熱して金型とシートの空間を真空にして大気圧で金型に沿わせる真空成形や、真空成形の金型に沿わせる際に圧縮空気で押す真空圧空成形方法などを利用してもよい。特に、真空圧空成形が複雑な形状に成形しやすいので好ましい。
そして、前記実施形態では、成形物1として、2層の成形体3が設けられた3層構造を例示したが、印刷が施されていない2層構造や4層以上の多層構造とすることができる。すなわち、例えば以下に示す層構成としてもよい。
(A)ポリプロピレン層(急冷透明ポリプロピレンシート11)3A/基材2
(B)ポリプロピレン層3A/印刷層3B/基材2
(C)印刷層3B/ポリプロピレン層3A/基材2
(D)ポリプロピレン層3A/印刷層3B/ポリプロピレン層3A/基材2
(E)印刷層3B/ポリプロピレン層3A/印刷層3B/基材2
(F)ポリプロピレン層3A/印刷層3B/金属薄膜層/基材2
などの構造を挙げることができる。
ここで、(B)の層構成では、表面側に位置するポリプロピレン層3Aにより、印刷層3Bが保護された状態となり、印刷層3Bによる良好な意匠性を長期間安定して提供できる。(C)の構成では、印刷層3Bが例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な印刷層3Bを形成できる。(E)の層構成では、印刷層3Bを複数設けることで、高い意匠性を提供できる。(F)の層構成では、アルミニウム層などの反射特性を有する金属薄膜層を設けることで、高い意匠性を提供できる。さらに、上記層構成中に他の層を設けてもよい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
[実施例1]
下記に示すように、急冷透明ポリプロピレンシート11を図2に示す製造装置を用いて以下の条件で製造した。
押出機の直径:90mm
Tダイ12の幅:800mm
ポリプロピレン(PP):商品名 プライムポリプロE−103WA 株式会社プライムポリマー製(メルトフローインデックス3g/10min、ホモポリプロピレン)
急冷透明ポリプロピレンシート11の引き取り速度:10m/min
第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17の表面温度:14℃
冷却水温度:8℃
冷却水吹き付け量:200リットル/min
[実施例2]
ポリプロピレンとして、ランダムポリプロピレン(商品名 プライムポリプロ F−744NP 株式会社プライムポリマー製)を使用した以外は、実施例1と同様にして急冷透明ポリプロピレンシート11を得た。
[実施例3]
実施例1のホモポリプロピレンに石油樹脂を3wt%添加したものを使用した以外は、実施例1と同様にして急冷透明ポリプロピレンシート11を得た。
[比較例1]
実施例1のホモポリプロピレンに造核剤としてゲルオールMD(新日本理化学株式会社製)を0.3%添加したものを使用し、Tダイ押出機により押し出したメルトウェブの冷却ロール接触面とは逆側の面にエアを吹き付けて冷却して(エアナイフ法)製膜し、ポリプロピレンシートを得た。
[比較例2]
実施例1のホモポリプロピレンに比較例1の造核剤を0.3%添加したものを使用し、実施例1と同様の方法で製膜し、ポリプロピレンシートを得た。
[比較例3]
実施例1のホモポリプロピレンを使用し、Tダイ押出機の押し出し量を制限してTダイからのメルトウェブが透明な状態になるまで応力を緩和し、この状態で押し出したメルトウェブを水槽を通して冷却し(水冷法)、得られたポリプロピレンシートにさらにアニール処理を施した。
[試験例]
以上の実施例1〜3および比較例1〜で得られた異なる急冷条件のポリプロピレンの厚み、平均球晶半径、単位断面積当たりの球晶数、DSC発熱ピークの有無、融解エンタルピー、表面光沢度、引張弾性率について測定し、結果を表1に示す。
そして、赤外線ヒーターにて樹脂シートを表面温度145℃に加熱し、成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)が2.42である金型に真空および圧縮空気にて押し付けて冷却することで熱成形した。伸び率は、あらかじめ印刷した1mm角の方眼模様の成形後の長さを測定して算出した。成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)は、マイクロメーターに成形後の厚みを測定して算出した。白化は透明成型体の内側に塗料で黒色に着色し、透明成型体の外側から目視で評価した。白化の評価は、黒色がクリアに見えるものを○、黒色が白みかかって見えるものを×とした。その結果を表1に示す。
Figure 0006037920
表1に示すように、本発明で得られたポリプロピレンシートは、成形後の白化を防止できるため、複雑な形状でも白化による意匠性が低下せず、優れた加飾成形体を得ることができる。
本発明の成形物は、複雑な形状でも優れた加飾成形が可能なもので、例えば、携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品として広く利用することができるものである。
1……成形物
2……基材
3……成形体
3A…成形体としても機能するポリプロピレン層
3B…印刷層
11……樹脂シートとしても機能する急冷透明ポリプロピレンシート
13、14、15、16…冷却ロール
17……エンドレスベルト

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも一部に成形体が設けられた加飾用途の成形物であって、
    前記成形体は、ポリプロピレン樹脂からなり、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを有する透明な樹脂シートが非平面状に成形されてなり、
    伸び率が150%以上に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して成形され、
    表面の少なくとも一部に印刷が施されてい
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  2. 請求項1に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートは、平均球晶半径が4μm以下である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートは、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートは、固体密度が0.896g/cm 以下である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートは、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートは、少なくとも片面の光沢が90%以上である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートの少なくとも一部が伸長成形された
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  8. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートの成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)が1.5以上10以下である
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  9. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記樹脂シートの成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が0.8以下に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して成形された
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  10. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の加飾用途の成形物であって、
    前記成形体は、インサート成形により基材の一部に設けられた
    ことを特徴とする加飾用途の成形物。
  11. 基材の少なくとも一部に成形体を設ける加飾用途の成形物の製造方法であって、
    複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、
    前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂からなる溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷して透明な樹脂シートを製造する工程と、
    前記樹脂シートの少なくとも一部に印刷を施す工程と、
    前記樹脂シートの伸び率が150%以上に成形された部位を少なくとも一箇所以上有して非平面状に成形する工程と、
    印刷が施され非平面状に成形された前記成形体を、前記基材の少なくとも一部に設ける工程と、を実施する
    ことを特徴とする加飾用途の成形物の製造方法。
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