JP6514473B2 - 積層体、成形体、成形物、および、成形物の製造方法 - Google Patents

積層体、成形体、成形物、および、成形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂を含有する層を備えた積層体、成形体、成形物、および、成形物の製造方法に関する。
従来、携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品として、塗装やメッキレスによる環境負荷の低減、さらには新たな意匠性を付与する観点などから、水圧転写、フィルムインサート成形、インモールド成形など、加飾成形により意匠性を付与された成形物が知られている。
このような成形物として、ポリプロピレンシートに印刷が施された成形体をインサート成形する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載のものは、ポリプロピレンシートにアクリルポリオール系樹脂からなる易接着層が積層され、この易接着層上に、印刷が施された積層体がインサート成形されたものである。
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、易接着性を付与することで、いわゆるブロッキングと称される現象が生じる。具体的には、シート状の積層体の巻き取り時や、巻き取られたシート状のフィルムの巻き戻しの際に、シート同士が接着し、良好に巻き取りや巻き戻しができず、外観が損なわれたり、易接着性が損なわれたりするおそれがある。
特許文献2に記載のものは、ポリエステルフィルムに、不活性無機粒子を含有するアクリル系樹脂を主成分とした被覆層を設け、ハンドリング性を向上させた積層フィルムである。
しかしながら、特許文献2に記載のものは、ポリエステルフィルムを用いているので、さらなる成形性および耐薬品性が望まれている。すなわち、異形物の表面を加飾成形する際に、印刷を損なうことなく表面に沿って積層フィルムを設けることができず、積層フィルムが白化してしまうなど、良好な加飾ができないおそれがある。また、耐薬品性の点から、加飾成形した物品の用途が限られてしまい、汎用性の向上が図れない。さらに、積層フィルムの帯電によってインキを弾いてしまうおそれがあり、利用できるインキが限られてしまい、汎用性の向上が図れない。
特許文献3に記載のものは、防曇層を設けた延伸ポリスチレンフィルムの非防曇層の面に、印刷適性を付与する活性化処理を施した包装フィルムである。活性化処理としては、コロナ放電処理の他にアクリル系樹脂を用いている。
しかしながら、特許文献3に記載のものは、延伸ポリスチレンフィルムを用いているので、印刷を損なわず、かつ白化することなく異形物の表面を加飾成形することが困難である。さらに、印刷適性の活性化のため、コロナ放電処理やアクリル系樹脂の層を設けているので、延伸ポリスチレンフィルムの帯電によってインキを弾いてしまうおそれは残っており、利用できるインキが限られ、汎用性の向上が図れない。
特開2007−307831号公報 特開平1−182041号公報 特開平6−171035号公報
従来の積層体では、印刷の損傷や白化などが生じることなく異形物の表面の加飾成形が困難であるとともに、インキを弾いてしまい、良好な印刷が得られない。
本発明は、このような点に鑑み、ブロッキングによる損傷を防止し、異形物でも良好に加飾成形できる積層体、成形体、成形物、および、成形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層体は、ポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン層(A)と、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン層(B)とを含む積層構造を有し、前記ポリウレタン層(B)は、無機粒子を含み、前記ポリウレタン層(B)における前記ポリプロピレン層(A)が設けられた側と反対側の面の少なくとも一部に、印刷が施され、又は、金属蒸着若しくは金属薄膜がラミネートされた、印刷層が隣接して設けられていることを特徴とする。
この発明では、ポリプロピレン層(A)に、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂および無機粒子を含むポリウレタン層(B)を有する積層構造としている。このことにより、得られた積層体を巻き取ったり巻き戻したりする際にブロッキングによるシワなどの損傷を防止でき、ブロッキングを防止する為の剥離シートなどを用いる必要がない。そして、複雑な形状に成形しても、成形時の伸長がポリウレタン層(B)で吸収され、例えばポリウレタン層(B)に設けられる印刷層に成形時の伸長が伝わりにくくなって、印刷層に亀裂が生じたり、剥離したりする不都合が生じることがない。さらに、複雑形状に成形しても、成形性に優れたポリプロピレン層(A)が白化せず、優れた意匠性を付与でき、耐薬品性により汎用性も向上できる。
そして、本発明の積層体は、前記無機粒子の平均粒径をD、前記ポリウレタン層の層厚さ寸法をdとした時、比(D/d)が0.55以上15.0以下であることが好ましい。
この発明では、比(D/d)が0.55以上15.0以下とすることで、ポリウレタン層(B)に設けられる印刷層の密着性が損なわれることなく、ブロッキングによる損傷を防止できる。
また、本発明の積層体は、前記比(D/d)が0.55以上1.1以下であることが好ましい。
この発明では、特に、複雑形状に成形しても印刷層の剥離などの損傷を防止できる。
さらに、本発明の積層体は、前記ポリウレタン層(B)は、界面活性剤を含むことが好ましい。
この発明では、界面活性剤により、ポリウレタン層(B)の表面とインキとの濡れ性が向上し、インキが弾いてしまい印刷不良が生じてしまう不都合を防止でき、各種インキを利用可能で、汎用性を向上できる。
また、本発明の積層体は、前記ポリウレタン層(B)は、スルホン酸塩を有するポリマーを含むことが好ましい。
この発明では、スルホン酸塩を有するポリマーにより導電性が付与され、ポリウレタン層(B)の表面が帯電しにくくなり、印刷不良を防止でき、各種インキを利用可能で、汎用性を向上できる。
本発明の成形体は、本発明の積層体が非平面状に成形されたことを特徴とする。
この発明では、本発明の積層体を非平面状に成形するので、例えば印刷層が設けられてから複雑な形状に成形されても、印刷が剥離したり割れたりすることなく、かつポリプロピレン層(A)の白化が生じることがなく、複雑な形状でも優れた意匠性を提供できる。
本発明の成形物は、本発明の成形体がインサート成形により基材の一部に設けられたことを特徴とする。
この発明では、複雑な形状に成形しても、例えば印刷層が設けられていても印刷層が剥離したり割れたりすることなく、かつポリプロピレン層(A)の白化が生じることがなく、複雑な形状の成形物でも良好に加飾成形でき、ポリプロピレン樹脂による優れた意匠性を提供できる。
本発明の成形物の製造方法は、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂を含有する溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷してポリプロピレンシートを製造する工程と、前記ポリプロピレンシートに、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂および無機粒子を含有するポリウレタン層を積層して積層体を成形する工程と、前記ポリウレタン層における前記ポリプロピレンシートと反対側の面の少なくとも一部に、印刷が施され、又は、金属蒸着若しくは金属薄膜がラミネートされた、印刷層を隣接して設ける工程と、前記積層体をインサート成形により基材の少なくとも一部に設ける工程と、を実施することを特徴とする。
この発明では、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用いる。そして、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂を含有する溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、鏡面エンドレスベルトに鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷して、透明なポリプロピレンシートが得られる。得られたポリプロピレンシートに、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂および無機粒子を含有するポリウレタン層を積層して積層体を成形する。得られた積層体をインサート成形により基材の少なくとも一部に設ける。このため、得られた積層体を巻き取ったり巻き戻したりする際にブロッキングによるシワなどの損傷を防止でき、ブロッキングを防止する為の剥離シートなどを用いる必要がない。そして、複雑な形状に積層体を成形しても、成形時の伸長がポリウレタン層で吸収され、例えばポリウレタン層に設けられる印刷層に成形時の伸長が伝わりにくくなって、印刷層に亀裂が生じたり、剥離したりする不都合が生じることがない。さらに、複雑形状に成形しても、ポリプロピレンシートが白化することを防止でき、複雑な形状の成形物でも外観を損なうことなく良好に加飾成形できる。
本発明の成形物の一実施形態に係る断面図。 前記成形物を構成するポリウレタン層の層厚と無機粒子の平均粒径との関係を示す説明図。 前記成形物に設けられた成形体を構成するポリプロピレンシートを製造する製造装置の概略構成。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明の成形体を一部に備えた成形物をインサート成形する構成を例示するが、この限りではない。
[成形物の構成]
図1において、1は成形体で、この成形体1は、インサート成形により、図示しない基材の一部に一体に設けられるものである。この成形体1が基材に設けられた成形物は、例えば携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品や内装品に用いられる。
ここで、成形物を構成する基材としては、例えば、インサート成形可能な熱可塑性樹脂が用いられる。
具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル重合体などが例示できるが、この限りではない。
なお、基材には、ファイバーやタルクなどの無機フィラーが添加されたものでもよい。
成形体1は、図示しない樹脂シートが所定の形状に熱成形されたものである。
ここで、樹脂シートは、透明なポリプロピレンシートからなるポリプロピレン層(A)としてのポリプロピレン層3Aと、このポリプロピレン層3Aの少なくとも一面に設けられたポリウレタン層(B)であるポリウレタン層3Bと、このポリウレタン層3Bにおけるポリプロピレン層3Aが設けられた面と反対側の面の少なくとも一部に設けられた印刷層3Cとが順次積層された積層構造である。なお、ポリプロピレン層3Aおよびポリウレタン層(B)により、本発明の積層体が構成される。
ポリプロピレン層3Aは、詳細は後述するが、溶融するポリプロピレン樹脂を急冷してシート状に成形されたものである。
ここで、急冷としては、詳細は後述するが、例えば複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂からなる溶融樹脂を導入して急冷しシート状に成形する。
なお、ポリプロピレン樹脂としては、少なくともプロピレンを含む重合体で、ポリプロピレンの他、プロピレンとエチレンなどのオレフィンとの共重合体、あるいはポリプロピレンにポリエチレンなどのポリオレフィンや共重合体が混合された混合物としてもよい。特に、耐熱性、硬度の理由からポリプロピレンが好ましい。
また、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである。
なお、ポリプロピレン樹脂には、必要に応じて、顔料、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤を配合してもよい。
そして、上記急冷の条件で成形されたポリプロピレン層3Aは、例えば平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークを示す。
ここで、平均球晶半径は4μm以下、好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。
平均球晶半径が4μmより粗いと内部ヘイズが高くなり、透明性が低下してより良好な意匠性を提供できなくなる。
なお、平均球晶半径は、例えば得られた樹脂シートの断面を偏光顕微鏡により観察することにより測定できる。また、内部ヘイズは、シート表面粗さの影響を除外してシート内部の透明性を測定するため、シート表面にシリコーンを塗布して、両面をガラス板で挟んだ状態でヘイズを測定する。このヘイズ値からガラスのみのヘイズ値を除算することで、内部ヘイズを測定できる。
また、シート断面の平均球晶数は600個/mm以下、好ましくは400個/mm以下、特に好ましくは200個/mm以下である。
シート断面の平均球晶数が600個/mmより多くなると、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高すぎて好ましくない。
なお、平均球晶数は、例えば得られた樹脂シートの断面を偏光顕微鏡により観察することにより測定できる。
さらに、固体密度が0.896g/cm以下、好ましくは0.860g/cm以上0.893g/cm以下、特に好ましくは0.885g/cm以上0.890g/cm以下である。
固体密度が0.896g/cmより大きくなると、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高すぎて好ましくない。なお、0.860g/cm以下となるとシートの剛性が低すぎ、二次加工時の取り扱いが難しくなるおそれがあるため、0.860g/cm以上とすることが好ましい。
なお、固体密度は、JIS K7112に準拠した方法で測定できる。
示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが、90J/g未満、好ましくは55J/g以上80J/g以下、特に好ましくは60J/g以上75J/g以下である。
融解エンタルピーΔHが90J/g以上では、熱成形の際にシートを軟化させにくくなるため、複雑な形状に成形しにくくなるおそれがあるためである。なお、55J/g以下となると、例えば印刷時の乾燥など加熱処理する場合、シートが軟化して取り扱いが難しくなるおそれがあるため、55J/g以上とすることが好ましい。
なお、融解エンタルピーΔHは、例えば示差走査熱量計(DSC−7 パーティエルマージャパン(株)製)を用いて、以下の条件により測定した示差走査熱分析曲線において、最大吸熱ピークの面積より求めることができる。
・測定開始温度:50℃
・測定終了温度:220℃
・昇温温度:10℃/分
少なくとも片面、すなわち成形物の表面に相当する面の光沢が90%以上、好ましくは95%以上170%以下、特に好ましくは120%以上160%以下である。
光沢が90%未満では、表面で光が反射するため透過せず、透明性が悪くなるおそれがあるためである。
なお、光沢は、例えば自動式測色色差計(AUD−CH−2型−45,60、スガ試験機株式会社製)を使用し、シートに光を入射角60度で照射し、同じく60度で反射光を受光したときの反射光束ψsを測定し、屈折率1.567のガラス表面からの反射光束ψ0sとの比により、下式(1)により求めた。
表面光沢度(Gs)=(ψs/ψ0s)*100 …(1)
最大吸熱ピークの低温側の発熱ピークが1J/g以上である。この発熱ピークはDSC測定時の加熱による、一部がスメチカ晶からα晶に転移する際の発熱で、上記所定の平均球晶半径、平均球晶数、固体密度、示差走査熱分析、表面の光沢の特性を持ったポリプロピレンシート特有の現象である。
なお、発熱ピークは、例えば上記示差走査熱分析曲線において、最大吸熱ピークを与える温度よりも低温側に、発熱ピークが生じるか否かを確認することにより行った。
ポリウレタン層3Bは、ジイソシアネート、高分子量ポリオールおよび鎖延長剤を反応させて得られ、高分子量ポリオールがポリエーテルポリオールもしくはポリカーボネートポリオールから選択されるポリウレタン樹脂と、無機粒子とを含有した構成である。
この発明では、上述の少なくともジイソシアネート、高分子量ポリオールおよび鎖延長剤を反応させたポリウレタン樹脂でポリウレタン層3Bを形成することで、当該樹脂シートが複雑な非平面状に成形されても、透明なポリプロピレン層3Aに追従して良好に層構成を形成でき、例えばポリウレタン層3Bに印刷層3Cが設けられていても、印刷層3Cにひび割れが生じたり剥離してしまったりする不都合を防止できる。
ポリウレタン層3Bに含有される無機粒子は、種類が特に限定されるものでないが、例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、マイカ、リン酸カルシウムを利用できる。特に、広く流通されて入手が容易であり、平均粒子径が制御された酸化珪素が好ましい。
無機粒子は、図2に示すように、平均粒径をD、ポリウレタン層3Bの層厚さ寸法をdとした時、比(D/d)が0.55以上15.0以下が好ましく、0.55以上1.1以下がより好ましい。
ここで、比(D/d)が0.55より小さい値となると、ポリウレタン層3Bの層厚さ寸法dに対して、無機粒子31の平均粒子径Dが小さ過ぎて、いわゆるブロッキング、具体的にはシート状の積層体をロール状に巻き取ったり巻き戻したりする際に、積層体同士が接着し、シワなどの損傷を生じるおそれがある。一方、比(D/d)が15.0より大きい値となると、ポリウレタン層3Bの層厚さ寸法dに対して、無機粒子31の平均粒子径Dが大き過ぎて、インキの密着性が低下し、印刷層3Cにひび割れが生じたり剥離してしまったりする不都合を生じるおそれがある。
なお、平均粒子径Dは、JIS Z8823−2に準拠した方法で測定できる。
また、無機粒子は、ポリウレタン層3Bを構成する組成物全量に対して0.5質量%以上15質量%以下で含有することが好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下、特に好ましくは3質量%以上7質量%以下である。
無機粒子が0.5質量%より少なくなると、ブロッキングによる損傷が生じるおそれがある。一方、15質量%より多くなると、無機粒子による可視光の散乱が増大し、透明性が低下する不都合を生じるおそれがある。
また、ポリウレタン層3Bは、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、ポリウレタン樹脂がアニオン性の場合、アニオン性もしくはノニオン性のものが用いられ、ポリウレタン樹脂がカチオン性の場合、カチオン性もしくはノニオン性のものが用いられる。
アニオン性の界面活性剤としては、例えば、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸アンモニウムなどのスチレンスルホン酸塩類;ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸アルミニウムなどのビニルスルホン酸塩類;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸カリウムなどのラウリルスルホン酸塩類;ステアリンスルホン酸ナトリウム、ステアリンスルホン酸カリウムなどのステアリンスルホン酸塩類;ラウリルベンゼンスルホン酸カリウムなどのラウリルベンゼンスルホン酸塩類、オレイルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイルベンゼンスルホン酸カリウムなどのオレイルベンゼンスルホン酸塩類;ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸カリウムなどのステアリルベンゼンスルホン酸塩類などが用いられる。
ノニオン性の界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類;アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム;ジオクチルスルホン酸ナトリウム;カプロン酸グリセリンエステル、ミリスチン酸グリセリンエステル、パルミチン酸グリセリンエステル、ステアリン酸グリセリンエステル、オレイン酸グリセリンエステル、ラウリン酸グリセリンエステルなどのグリセリン脂肪酸エステル類;ステアリン酸ジグリセリンエステル、オレイン酸ジグリセリンエステル、ステアリン酸テトラグリセリンエステルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;N,N−ジヒドロキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシプロピレンステアリルアミンなどのアルキルアミン類;ポリオキシエチレンステアアリルアマイド、ポリオキシプロピレンステアリルアマイドなどのアルキルアマイド類;カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアルアルコール、オレイルアルコールラウリルアルコールなどのアルコール類が用いられる。
カチオン性の界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート、トリブチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩類;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン類;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、オクタン酸アミドプロピルベタインなどの脂肪酸アミドベタイン類;ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルアミンオキサイド類が用いられる。
なお、界面活性剤としては、上記材料を1種類のみならず複数用いてもよい。
また、界面活性剤は、ポリウレタン層3Bを構成する組成物全量に対して0.03質量%以上1.0質量%以下で含有することが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以上0.3質量%以下である。
界面活性剤が0.03質量%より少なくなると、ポリウレタン層3Bの表面にブリードする界面活性剤が少なくなり、十分な静電気防止効果が得られにくくなる。一方、1.0質量%より多くなると、ポリウレタン層3Bの表面にブリードする界面活性剤が多くなりすぎ、表面の白化やインキ密着性を阻害する不都合を生じるおそれがある。
さらに、ポリウレタン層3Bは、スルホン酸塩を有するポリマーを含むことが好ましい。
スルホン酸塩を有するポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸リチウム、ポリビニルスルホン酸アンモニウム、ポリアクリルアミドスルホン酸、ポリアクリルアミドスルホン酸ナトリウム、ポリアクリルアミドスルホン酸リチウム、ポリアクリルアミドスルホン酸アンモニウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物などを1種、もしくは複数用いることができる。
そして、スルホン酸塩を有するポリマーは、ポリウレタン層3Bを構成する組成物全量に対して5質量%以上35質量%以下で含有することが好ましく、より好ましくは6質量%以上25質量%以下、特に好ましくは7質量%以上20質量%以下である。
スルホン酸塩を有するポリマーが5質量%より少なくなると、ポリウレタン層3Bに導電性が付与されてポリウレタン層(B)の表面で静電気が帯電しにくくなるという特性が得られなくなり、ポリウレタン層3Bの表面でインキを弾いてしまい、印刷不良が生じてしまうおそれがある。一方、35質量%より多くなると、スルホン酸塩を有するポリマーが、ポリウレタン層3Bとポリプロピレン層3Aの密着を阻害し、剥離してしまうおそれがある。
なお、界面活性剤とスルホン酸塩を有するポリマーとの併用は、極性がカチオンとアニオンとのように反対のものとならないようにすることで可能である。
そして、ポリウレタン層3Bは、表面固有抵抗が1.0×10Ω以上5.0×1013Ω、より好ましくは1.0×10Ω以上5.0×1012Ωである。
表面固有抵抗が1.0×10Ωより小さくなると、スルホン酸塩を有するポリマーの配合量が多くなるため、ポリウレタン層3Bとポリプロピレン層3Aの密着を阻害し、剥離してしまうおそれがある。一方、表面固有抵抗が5.0×1013Ωより大きくなると、ポリウレタン層3Bの表面でインキを弾いてしまい、印刷不良が生じてしまうおそれがある。
このため、ポリウレタン層3Bは、表面固有抵抗が1.0×10Ω以上5.0×1013Ωとなるように、界面活性剤やスルホン酸塩を有するポリマーを含有させることが好ましい。
なお、表面固有抵抗は、JIS K6911に準拠した方法で測定できる。
ポリウレタン層3Bの形成方法としては、例えば、あらかじめ無機粒子、さらには界面活性剤やスルホン酸塩を有するポリマーが適宜含有されたポリウレタン樹脂を、グラビアコーターやキスコーター、バーコーターなどで塗布し、80℃にて1分間乾燥することで、透明なポリプロピレンシートの一面にポリウレタン層3Bを積層形成する。
乾燥後のポリウレタン層3Bの厚さは、0.01μm以上3μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.08μm以上0.5μm以下である。厚さが0.01μmより薄いと十分なインキ密着性を得ることができないおそれがある。一方、ポリウレタン層3Bが3μmより厚いとべた付きが生じてブロッキングの原因となる恐れがあるので好ましくない。
そして、上記条件で積層されたポリウレタン層3Bは、引張破断伸度が150%以上900%以下、好ましくは200%以上850%以下、特に好ましくは300%以上750%以下である。
ポリウレタン層3Bの引張破断伸度が150%より低いと、熱成形時にポリプロピレン層3Aの伸びにポリウレタン層3Bが追従することができずクラックが入り、印刷層3Cにひび割れが生じたり、剥離したりするおそれがあるので好ましくない。なお、引張破断伸度が900%を超えると耐水性が悪化するため好ましくない。
なお、引張破断伸度は、JIS K7311に準拠した方法で、厚み150μmの試料にて測定することができる。
また、ポリウレタン層3Bの軟化温度は50℃以上180℃以下、好ましくは90℃以上170℃以下、特に好ましくは100℃以上165℃以下である。
ポリウレタン層3Bの軟化温度が50℃より低いと、常温でポリウレタン層3Bの強度が不足し、印刷層3Cのひび割れが生じたり剥離したりするおそれがあるので好ましくない。なお、軟化温度が180℃より大きいと、熱成形時に十分軟化しきれず、ポリウレタン層3Bにクラックが入り、印刷層3Cにひび割れが生じたり剥離したりして好ましくない。
なお、軟化温度は高化式フローテスターによる流動開始温度を測定した。
印刷層3Cは、ポリウレタン層3Bに隣接して設けられている。
印刷方法としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、スプレーコート法などの一般的な印刷方法が利用できる。その他、蒸着膜からなる金属蒸着や金属薄膜のラミネートなども利用できる。特に、スクリーン印刷法はインキの膜厚が厚くできるので、複雑な形状に成形した際にインキ割れが発生しにくいことから好ましい。
例えば、スクリーン印刷の場合、成形時の伸びに優れたインキが好ましく、十条ケミカル株式会社製のFM3107高濃度白やSIM3207高濃度白などが例示できるが、この限りではない。
そして、所定の形状に成形された成形体1は、少なくとも一部分が伸長されて成形されている。
具体的には、大きく変形する部分は、伸び率が150%以上、好ましくは180%以上500%以下、特に200%以上400%以下となる複雑形状に形成されている。すなわち、少なくとも一部分が伸び率150%以上となる複雑形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがなく、印刷層3Cに亀裂や剥離を回避することが期待できる。
ここで、伸び率が150%以下では変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。なお、伸び率が800%より大きくなると、透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Cに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるため、800%以下とすることが好ましい。
そして、白化は、例えば透明成形体の内側に塗料で黒色に着色し、透明成形体の外側から目視で評価できる。透明成形体が白化している場合は、黒色が白みかかって見えるが、白化していない場合は、黒色がクリアに見える。また、伸び率は、例えば熱成形時の加熱温度、金型の温度など熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
さらに、大きく伸長された部分では、ポリプロピレンシートの成形前の厚さ寸法Aに対して成形後の厚さ寸法Bの膜厚比(B/A)が0.8以下、好ましくは0.01以上0.75以下、特に0.05以上0.7以下となる。すなわち、非平面状に成形される部位の変形による伸びが大きくなる膜厚比(B/A)が0.8以下の複雑な形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがなく、印刷層3Cに亀裂や剥離を回避することが期待できる。
ここで、膜厚比(B/A)が0.8より大きい成形では部分的な変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。なお、膜厚比(B/A)が0.01より小さくなると、透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Cに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるため、0.01以下とすることが好ましい。
なお、膜厚比は、例えば熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
そして、非平面状に成形された成形体1は、ポリプロピレンシートの成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合である表面積比(Y/X)が1.5以上10以下、好ましくは1.7以上5以下、特に2以上4以下である。すなわち、非平面状に成形される部位の変形量が多くなる表面積比(Y/X)が1.5以上10以下の複雑な形状に成形されても、透明のポリプロピレン層3Aが白化することがなく、印刷層3Cに亀裂や剥離を回避することが期待できる。
ここで、表面積比が1.5より小さい成形では部分的な変形量が小さく他の材料でも白化は生じない範囲であり、要望のある複雑形状に対応できるものではない。一方、表面積比が5より大きい場合では透明のポリプロピレン層3Aに白化が生じたり、印刷層3Cに亀裂や剥離などを生じたりするおそれがあるためである。
なお、表面積は、例えば、立方体や直方体などの場合はノギスにて成形品の深さと各辺の測定値から算出できる。曲線など測定値からの算出が難しい成形品の場合、非接触3次元デジタイザなどの3Dスキャナーで測定できる。また、表面積比は、例えば熱成形時の条件や金型設計で制御できる。
[成形体の製造]
以下に、上記成形体を成形する動作を説明する。
成形体1を形成する透明なポリプロピレンシートの成形は、図3に示す製造装置が利用できる。
製造装置は、押出機のTダイ12と、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15および第4冷却ロール16と、金属製エンドレスベルト17と、冷却水吹き付けノズル18と、水槽19と、吸水ロール20と、剥離ロール21とを備えて構成されている。
第1冷却ロール13、第2冷却ロール14および第3冷却ロール15は、金属製ロールであり、その内部には表面温度調節を可能にするために水冷式などの冷却手段(図示省略)が内蔵されている。
ここで、第1、第2冷却ロール13、14の表面には、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製の弾性材22が被覆されている。この弾性材22は、その硬度(JIS K6301Aに準拠した方法で測定)が60度以下、厚さが10mmのものである。
なお、第1、第2、第3冷却ロール13、14、15の少なくとも一つは、その回転軸が回転駆動手段(図示省略)と連結されている。
第4冷却ロール16は、表面粗さが1.0S以下の鏡面を有する金属製ロールであり、その内部には表面の温度調節を可能にするための水冷式などの冷却手段(図示省略)が内蔵されている。ここで、表面粗さが1.0Sより大きいと、得られるポリプロピレンシート11の光沢度が低くなり、透明性の低いシートとなる。
この第4冷却ロール16は、押し出されたポリプロピレンシートを、金属製エンドレスベルト17を介して第1冷却ロール13との間に挟むように配置されている。
金属製エンドレスベルト17は、ステンレスなどからなり、その表面粗さが1.0S以下の鏡面を有するものである。この金属製エンドレスベルト17は、上述の第1〜第3冷却ロール13〜15に回動自在に巻装されている。
冷却水吹き付けノズル18は、第4冷却ロール16の下面側に設けられており、この冷却水吹き付けノズル18によって、金属製エンドレスベルト17の裏面に冷却水が吹き付けられることとなる。これにより、金属製エンドレスベルト17を急冷するとともに、第1、第4冷却ロール13、16により面状圧接された直後のポリプロピレンシートをも急冷している。
また、水槽19は、上面が開口した箱状に形成され、第4冷却ロール16の下面全体を覆うように設けられている。この水槽19により、吹き付けられた冷却水を回収するとともに、回収した水を水槽19の下面に形成された排水口19Aより排出する。
吸水ロール20は、第4冷却ロール16における第2冷却ロール14側の側面部に、金属製エンドレスベルト17に接するように設置されており、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した余分な冷却水を除去する作用をする。
剥離ロール21は、ポリプロピレンシート11を、金属製エンドレスベルト17および第2冷却ロール14にガイドして圧接するように配置されるとともに、冷却終了後のポリプロピレンシート11を金属製エンドレスベルト17から剥離する。
以上のように構成された製造装置を用いた急冷による透明なポリプロピレンシート11の製造方法を説明する。
まず、押し出された溶融樹脂と直接接触し、これを冷却する金属製エンドレスベルト17および第4冷却ロール16の表面温度が露点以上、50℃以下、好ましくは30℃以下に保たれるように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温度制御を行う。
ここで、第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17の表面温度が露点以下では、表面に結露が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表面温度が50℃より高いと、得られるポリプロピレンシート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くなり、熱成形しにくいものとなる可能性がある。したがって、本実施形態では表面温度を14℃としている。
次に、押出機のTダイ12より押し出された溶融樹脂(造核剤を含まない)を第1冷却ロール13上で金属製エンドレスベルト17と、第4冷却ロール16との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール13、16で圧接するとともに、14℃で急冷する。
この際、第1冷却ロール13および第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形することとなる。
この弾性材22が弾性変形している部分、すなわち、第1冷却ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、急冷されたポリプロピレンシート11は各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、0.1MPa以上20MPa以下である。
上述のように圧接され、第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17間に挟まれたポリプロピレンシート11は、続いて、第4冷却ロール16の略下半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17と第4冷却ロール16とに挟まれて面状圧接されるとともに、冷却水吹き付けノズル18による金属製エンドレスベルト17の裏面側への冷却水の吹き付けにより、さらに急冷される。この際の面圧は、0.01MPa以上0.5MPa以下であり、また、冷却水の温度は8℃である。
なお、吹き付けられた冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収された水は排水口19Aより排出される。
このように第4冷却ロール16で面状圧接および冷却された後、金属製エンドレスベルト17に密着したポリプロピレンシート11は、金属製エンドレスベルト17の回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。ここで、剥離ロール21によりガイドされて第2冷却ロール14側に押圧されたポリプロピレンシート11は、前述同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト17により面状圧接され、再び30℃以下の温度で冷却される。
この際の面圧は、0.01MPa以上0.5MPa以下である。
なお、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール20により除去される。
第2冷却ロール14上で冷却されたポリプロピレンシート11は、剥離ロール21により金属製エンドレスベルト17から剥離され、巻き取りロール(図示省略)により、所定の速度で巻き取られる。このようにして製造された透明なポリプロピレンシート11は、平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピーク、かつ、厚さ50μm以上のものである。
そして、製造された透明なポリプロピレンシート11は、例えば、あらかじめ無機粒子が含有、さらには界面活性剤やスルホン酸塩を有するポリマーが適宜含有されたポリウレタン樹脂を、グラビアコーターやキスコーター、バーコーターなどで塗布し、80℃にて1分間乾燥することで、ポリプロピレンシート11の一面にポリウレタン層3Bが積層形成される。
乾燥後のポリウレタン層3Bの厚さは、0.01μm以上3μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.08μm以上0.5μm以下である。厚さが0.01μmより薄いと十分なインキ密着性を得ることができないおそれがある。一方、ポリウレタン層3Bが3μmより厚いとべた付きが生じてブロッキングの原因となるおそれがあるので好ましくない。
さらに、ポリウレタン層3Bにおけるポリプロピレンシート11と反対側の面の所定の位置に、スクリーン印刷の場合は、T−250メッシュ(ポリエステルメッシュ)の版にてFM3107高濃度白を印刷し、60℃で60分間乾燥することで、印刷層3Cが積層形成され、樹脂シートが形成される。
この後、樹脂シートは、例えば、赤外線ヒーターにてシートを表面温度145℃に加熱し、金型に真空および圧縮空気にて押し付けて冷却することで、所定の形状に熱成形され、成形体1が製造される。
そして、製造された成形体1は、所定の金型に設置され、基材の溶融樹脂を射出成形し、表面の一部に成形体1が設けられた成形物がインサート成形される。射出成形時の樹脂温度、射出圧力、冷却などの条件は、成形体1の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、通常は、180℃以上250℃以下、圧力5MPa以上120MPa以下にて射出し、金型温度20℃以上90℃以下程度で冷却を行うことにより実施できる。
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、溶融樹脂を急冷して得られたポリプロピレン層3Aに、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下で、無機粒子を含有するポリウレタン樹脂のポリウレタン層3Bを有する積層構造としたシート状の積層体を用いて非平面状の成形体1を成形している。すなわち、急冷形成されることで、例えば平均球晶半径が4μm以下、シート断面の平均球晶数が600個/mm以下、固体密度が0.896g/cm以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピークのポリプロピレンシート11に、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂からなるポリウレタン層3Bを有する積層構造とした樹脂シートを用いて非平面状の成形体1を成形している。
このため、得られたシート状の積層体を巻き取ったり巻き戻したりする際にブロッキングによるシワなどの損傷を防止でき、ブロッキングを防止する為の剥離シートなどを用いる必要がない。したがって、剥離シートの利用によるコスト分を低減できる。そして、複雑な形状に樹脂シートを成形しても、成形時の伸長がポリウレタン層3Bで吸収され、印刷層3Cに成形時の伸長が伝わりにくくなって、印刷層3Cに亀裂が生じたり、剥離したりする不都合が生じることがない。さらに、複雑形状に成形しても、ポリプロピレン層3Aが白化することがなく、優れた意匠性を有した成形体1が得られ、この成形体1を一部に有した成形物に優れた意匠性を付与できる。
そして、上記実施形態では、比(D/d)が0.55以上15.0以下の無機粒子を用いている。
このため、ポリウレタン層3Bに設けられる印刷層3Cの密着性が損なわれることなく、ブロッキングによる損傷を防止できる。
また、上記実施形態では、ポリウレタン層3Bに界面活性剤を含有させることで、界面活性剤により、ポリウレタン層3Bの表面とインキとの濡れ性が向上し、インキが弾いてしまい印刷不良が生じてしまう不都合を防止でき、各種インキを利用可能となって、汎用性を向上できる。
さらに、上記実施形態では、ポリウレタン層3Bにスルホン酸塩を有するポリマーを含有させることで、スルホン酸塩を有するポリマーにより、ポリウレタン層3Bに導電性が付与され、ポリウレタン層3Bの表面に静電気が帯電しにくくなり、インキが弾いてしまい印刷不良が生じてしまう不都合を防止でき、各種インキを利用可能となって、汎用性を向上できる。
そして、上記実施形態では、少なくともジイソシアネート、高分子量ポリオールおよび鎖延長剤を反応させて得られ、高分子量ポリオールがポリエーテルポリオールもしくはポリカーボネートポリオールから選択される樹脂からポリウレタン層3Bを形成している。
このため、樹脂シートが複雑な非平面状に成形されても、ポリプロピレン層3Aの伸長に追従して良好に層構成を形成でき、印刷層3Cにひび割れが生じたり剥離してしまったりする不都合を防止でき、優れた意匠性を付与できる。
特に、ポリウレタン樹脂によりポリウレタン層3Bを形成することで、より印刷層3Cにひび割れが生じたり剥離してしまったりする不都合を防止でき、ポリウレタン層3Bの形成も塗布などの容易な方法を利用でき、容易にポリウレタン層3Bを形成できる。
また、上記実施形態では、成形体1に印刷層3Cを設けた構成としている。
このため、ポリウレタン層3Bに印刷を施して印刷層3Cを形成した後の樹脂シートが複雑な形状に形成されても、印刷層3Cが剥離したり割れたりすることなく、かつポリプロピレンシート11からなるポリプロピレン層3Aの白化が生じることがなく、複雑な形状でも優れた意匠性を提供できる。
また、上記実施形態では、ポリプロピレン層3Aが白化することなく複雑な形状に形成された成形体1を一部に備えた成形物とすることで、広い分野の外装品や内装品に優れた意匠性を提供でき、汎用性を向上できる。特に、耐薬品性のポリプロピレン層3Aを有しているので、使用条件が過酷となる外装品としても長期間安定して利用できる。
そして、上記実施形態では、インサート成形により成形体1を一部に備えた成形物を成形しているので、複雑な形状の外装品でも優れた意匠性を付与して容易に製造できる。
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、成形体がインサート成形された構成に限らず、例えば樹脂シートを射出成形樹脂の圧力にて形状附与するインモールド成形法や、あらかじめ作製された複雑な形状を持った成形品に被覆する方法や、また被覆後にシートを剥してインキのみを残す転写成形法など、成形体1を基材の一部に備えることが可能な各種方法を利用できる。
また、成形体1は、成形物の表面の一部に1つのみ設けた構成に限らず、複数の成形体1を設けてもよい。
そして、基材として、インサート成形可能な熱可塑性樹脂を用いて説明したが、例えば紫外線硬化型アクリル樹脂などの光や紫外線、熱などで硬化する光硬化樹脂や、エポキシ樹脂などの重合開始剤により重合して硬化する樹脂など、各種材料を利用できる。
また、成形体1は、ポリプロピレン層3Aを構成する透明なポリプロピレンシート11にポリウレタン層3B、さらには印刷層3Cを積層形成して樹脂シートを形成し、この樹脂シートを所定の形状に成形したものに限らず、ポリプロピレンシート11を成形して得られた成形体にポリウレタン層3Bおよび印刷層3Cを設けたり、ポリプロピレンシート11にポリウレタン層3Bを設けた樹脂シートを成形して得られた成形体に印刷層3Cを設けたりしてもよい。
そして、樹脂シートから成形体1に成形する方法としては、赤外線ヒーターにて加熱して金型とシートの空間を真空にして大気圧で金型に沿わせる真空成形や、真空成形の金型に沿わせる際に圧縮空気で押す真空圧空成形方法などを利用してもよい。特に、真空圧空成形が複雑な形状に成形しやすいので好ましい。
そして、前記実施形態では、成形物として、3層の成形体1が設けられた4層構造を例示したが、印刷が施されていない2層構造の成形体1や4層以上の多層構造の成形体1とすることができる。すなわち、例えば以下に示す層構成としてもよい。
(A)ポリプロピレン層(ポリプロピレンシート11)3A/ポリウレタン層3B/基材
(B)ポリプロピレン層3A/ポリウレタン層3B/印刷層3C/基材
(C)印刷層3C/ポリウレタン層3B/ポリプロピレン層3A/基材
(D)印刷層3C/ポリウレタン層3B/ポリプロピレン層3A/ポリウレタン層3B/印刷層3C/基材
(E)ポリプロピレン層3A/ポリウレタン層3B/印刷層3C/ポリプロピレン層3A/基材
(F)ポリプロピレン層3A/ポリウレタン層3B/印刷層3C/金属薄膜層/基材
などの構造を挙げることができる。
ここで、(B)の層構成では、表面側に位置するポリプロピレン層3Aにより、印刷層3Cが保護された状態となり、印刷層3Cによる良好な意匠性を長期間安定して提供できる。(C)の構成では、印刷層3Cが例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な印刷層3Cを形成できる。(D)の層構成では、印刷層3Cを複数設けることで、高い意匠性を提供できる。(F)の層構成では、アルミニウム層などの反射特性を有する金属薄膜層を設けることで、高い意匠性を提供できる。さらに、上記層構成中に他の層を設けてもよい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
[実施例1]
下記に示すように、ポリプロピレンシート11を図3に示す製造装置を用いて以下の条件で製造した。
押出機の直径:90mm
Tダイ12の幅:800mm
ポリプロピレン(PP):商品名 プライムポリプロE−103WA 株式会社プライムポリマー製(メルトフローインデックス3g/10min、ホモポリプロピレン)
ポリプロピレンシート11の引き取り速度:10m/min
第4冷却ロール16および金属製エンドレスベルト17の表面温度:14℃
冷却水温度:8℃
冷却水吹き付け量:200リットル/min
得られたポリプロピレンシート11の一面にコロナ処理を施した後、以下のポリウレタン樹脂材料を、比(D/d)が0.55となるようにバーコーターにて塗布(0.55g/m)し、80℃にて1分間乾燥してポリウレタン層3Bを積層形成し、シート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は550nmであった。
ポリウレタン樹脂材料:ポリウレタン樹脂(ポリエーテルポリオール 商品名ハイドランWLS−202 DIC株式会社製)97質量%+コロイダルシリカ(商品名スフェリカスラリー300J 日揮触媒化成株式会社製 平均粒子径300nm)3質量%
[実施例2]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料の塗布として、比(D/d)が15.00となる条件とした以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は20nmであった。
[実施例3]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料として、ポリウレタン樹脂90質量%+コロイダルシリカ10質量%としたものを用い、比(D/d)が3.00となる条件で塗布した以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は100nmであった。
[実施例4]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料のコロイダルシリカとして、平均粒子径140nm(商品名スフェリカスラリー140J 日揮触媒化成株式会社製)を用い、比(D/d)が1.00となる条件で塗布した以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は140nmであった。
[実施例5]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料として、ポリウレタン樹脂96.8質量%+コロイダルシリカ3質量%+界面活性剤(スチレンスルホン酸ナトリウム 商品名スピノマーNaSS 東ソー有機化学株式会社製)0.2質量%を用い、比(D/d)が1.07となる条件で塗布した以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は280nmであった。
[実施例6]
実施例5における界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル(商品名ポエムOL−200 理研ビタミン株式会社製)を用いた以外は、実施例5と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は280nmであった。
[実施例7]
実施例5におけるポリウレタン樹脂材料として、ポリウレタン樹脂87質量%+コロイダルシリカ3質量%+スルホン酸塩を有するポリマー(ポリスチレンスルホン酸アミン 商品名富士スタットYE908 富士ケミカル株式会社製)10質量%を用いた以外は、実施例5と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は280nmであった。
[実施例8]
実施例7におけるポリウレタン樹脂として、ポリカーボネートポリオール(商品名ハイドランWLS−213 DIC株式会社製)を用いた以外は、実施例7と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は280nmであった。
[実施例9]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料の塗布として、比(D/d)が0.10となる条件とした以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は3000nmであった。
[実施例10]
実施例1におけるポリウレタン樹脂材料の塗布として、比(D/d)が30.00となる条件とした以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は10nmであった。
[実施例11]
実施例4におけるポリウレタン樹脂材料の塗布として、比(D/d)が0.10となる条件とした以外は、実施例4と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は1400nmであった。
[実施例12]
実施例7におけるポリウレタン樹脂材料の塗布として、比(D/d)が0.31となる条件とした以外は、実施例7と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は980nmであった。
[比較例1]
実施例1のポリウレタン樹脂材料として、コロイダルシリカを用いずポリウレタン樹脂のみとした以外は、実施例1と同様にしてシート状の積層体を得た。なお、ポリウレタン層3Bの乾燥層厚は280nmであった。
[試験]
以上の実施例1〜12および比較例1で得られたポリプロピレンシート11の厚さ寸法、平均球晶半径、単位断面積当たりの球晶数(球晶密度)、DSC発熱ピークの有無、融解エンタルピー、内部ヘイズ、表面光沢度、引張弾性率、密度(固体密度)について測定した。また、得られたシート状の積層体について、耐ブロッキング性、帯電防止性、透明性について測定した。
なお、ポリプロピレンシートの引張弾性率は、JIS K7161に準拠した方法により測定できる。
また、耐ブロッキング性は、50℃中で荷重500g/12cmを加え、24時間後のブロッキング性を以下の評価基準で評価し、以下の評価基準で耐ブロッキング性を評価した。
ランク1:ブロッキングした面積が0%
ランク2:ブロッキングした面積が0%を超えて10%以下
ランク3:ブロッキングした面積が10%を超えて20%以下
ランク4:ブロッキングした面積が20%を超える
さらに、帯電防止性については、表面固有抵抗を測定した。
また、スクリーン印刷でT−250メッシュ(ポリエステルメッシュ)の版にて十条ケミカル株式会社製のFM3107高濃度白を印刷し、60℃で60分間乾燥することで、印刷層3Cを設け、印刷層3Cの亀裂の有無を目視により判別した。
○:剥離、亀裂なし
×:剥離もしくは亀裂あり
さらに、印刷層3Cに亀裂がない場合、セロハンテープによる1mm角の100マス碁盤目剥離試験を行い、印刷層3Cとポリウレタン層3Bの剥離が無いか評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006514473
表1に示すように、コロイダルシリカを含有させることで、ブロッキングの発生を防止できることが認められた。また、界面活性剤の添加により、帯電防止性を向上できることが認められ、インキの付着性が向上することが認められた。
本発明の成形物は、複雑な形状でも優れた加飾成形が可能なもので、例えば、携帯通信端末や家電製品、車両などの各種物品の外装品や内装品として広く利用することができるものである。
1……積層体としても機能する成形体
3A…ポリプロピレン層(A)であるポリプロピレン層
3B…ポリウレタン層(B)であるポリウレタン層
3C…印刷層

Claims (8)

  1. ポリプロピレン樹脂を含有するポリプロピレン層(A)と、
    引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン層(B)とを含む積層構造を有し、
    前記ポリウレタン層(B)は、無機粒子を含み、
    前記ポリウレタン層(B)における前記ポリプロピレン層(A)が設けられた側と反対側の面の少なくとも一部に、印刷が施され、又は、金属蒸着若しくは金属薄膜がラミネートされた、印刷層が隣接して設けられている
    ことを特徴とする積層体。
  2. 請求項1に記載の積層体であって、
    前記無機粒子の平均粒径をD、前記ポリウレタン層の層厚さ寸法をdとした時、
    比(D/d)が0.55以上15.0以下である
    ことを特徴とする積層体。
  3. 請求項2に記載の積層体であって、
    前記比(D/d)が0.55以上1.1以下である
    ことを特徴とする積層体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の積層体であって、
    前記ポリウレタン層(B)は、界面活性剤を含む
    ことを特徴とする積層体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の積層体であって、
    前記ポリウレタン層(B)は、スルホン酸塩を有するポリマーを含む
    ことを特徴とする積層体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の積層体が非平面状に成形された
    ことを特徴とする成形体。
  7. 請求項6に記載の成形体がインサート成形により基材の一部に設けられた
    ことを特徴とする成形物。
  8. 複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出してポリプロピレン樹脂を含有する溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることにより急冷してポリプロピレンシートを製造する工程と、
    前記ポリプロピレンシートに、引張破断伸度が150%以上900%以下かつ軟化温度50℃以上180℃以下のポリウレタン樹脂および無機粒子を含有するポリウレタン層を積層して積層体を成形する工程と、
    前記ポリウレタン層における前記ポリプロピレンシートと反対側の面の少なくとも一部に、印刷が施され、又は、金属蒸着若しくは金属薄膜がラミネートされた、印刷層を隣接して設ける工程と、
    前記積層体をインサート成形により基材の少なくとも一部に設ける工程と、を実施する
    ことを特徴とする成形物の製造方法。
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