JP6037119B2 - マグネシウム合金の鋳造材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム合金の鋳造材の製造方法、その製造方法により製造されたマグネシウム合金の鋳造材、そのマグネシウム合金の鋳造材を塑性加工して得られるマグネシウム合金の展伸材、及びそのマグネシウム合金の展伸材にプレス成形してなるマグネシウム合金の成形品に関するものである。特に、成形性に優れるマグネシウム合金の鋳造材を製造できる製造方法に関するものである。
マグネシウム(以下、Mg)合金は、軽量で比強度が高いなどの優れた特性を有することから、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯用電気・電子機器類の筺体、航空機や自動車の部品などの各種の部材に利用されている。これらMg合金部材の素材となるMg合金の鋳造材は、例えば、双ロール法や双ベルト法といった連続鋳造法によって製造される。その連続鋳造法に使用する装置として、例えば、特許文献1に示すものがある。
特許文献1の連続鋳造装置は、Mg合金を溶解して溶湯とする溶解炉(坩堝)と、溶解炉からの溶湯を一時的に貯留する湯だめ(保持炉)と、溶解炉から湯だめに溶湯を輸送する移送樋と、湯だめから溶湯を鋳造ロールに供給する供給部とを具える。この溶解炉及び湯だめはカーボン(黒鉛)などの炭素系材料で形成されている。このような鋳造装置から得られたMg合金の鋳造材は、塑性加工を施すことでMg合金部材に加工される。
特開2011−45928号公報
上記のMg合金部材の生産性をより一層改善することが求められている。そのMg合金部材の生産性の改善策として、鋳造材の成形性の向上が挙げられる。鋳造材の成形性を向上させるには、微細で均一な鋳造組織とすればよいと考えられるが、微細で均一な鋳造組織を容易に得るための具体的な鋳造技術が提案されていない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、成形性に優れるMg合金の鋳造材を製造できるMg合金の鋳造材の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記製造方法により製造されるMg合金の鋳造材、この鋳造材を塑性加工してなるMg合金の展伸材、このMg合金の展伸材にプレス成形してなるMg合金の成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、Mg合金の鋳造材の製造方法について鋭意検討した。その結果、アルミニウム(以下、Al)を含有するMg合金の場合、その溶湯に含まれるAlが炭素材料の炭素(以下、C)と反応してAlからなる凝固核を形成することで、鋳造材の結晶粒径を小さく、かつ結晶粒径のばらつきを小さくでき、それにより成形性に優れた鋳造材を得られる、との知見を得た。また、結晶粒径の微細化及び均一化に寄与するその凝固核の形成には、Mg合金の溶湯とCとの接触時間と接触面積とが重要なパラメータである、との知見も得た。これら知見に基づいて本発明を以下に規定する。
本発明のMg合金の鋳造部材の製造方法は、添加元素としてAlを含有するMg合金を溶解して溶湯とする溶解工程と、溶湯を凝固させて鋳造材を製造する鋳造工程とを具える。さらに、鋳造工程までに溶湯と炭素材料とを接触させる接触工程を具える。そして、接触工程は、炭素材料に対する溶湯の接触面積(mm)をS、炭素材料と溶湯との接触時間(sec)をTとするとき、接触面積と接触時間との積S×Tが5.0×10(mm×sec)以上である。
本発明のMg合金の鋳造部材の製造方法は、溶湯を炭素材料と接触面積と接触時間との積が上記範囲を満たすように接触させることで、溶湯中のAlと炭素材料のCとを十分に反応させてAlとCからなる凝固核を効果的に形成できるので、微細で均一な(粒径のばらつきの小さい)結晶粒組織を有する鋳造材を製造できる。この鋳造材は、粗大な結晶粒径が少なく、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有しているため、その後の塑性加工によって割れが生じ難い。即ち、本発明の製造方法によれば、成形性に優れる鋳造材を製造できる。
本発明の製造方法の一形態として、溶湯と接触させる炭素材料の温度が600℃以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、溶湯中のAlと炭素材料のCとの反応を促進することができる。そのため、効果的に凝固核を形成でき、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有する鋳造材を製造できる。
本発明の製造方法の一形態として、溶湯と炭素材料との接触時間が10000sec以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、上記接触時間を10000sec以上とすることで、溶湯中のAlとCとが反応して凝固核を形成することができ、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有する鋳造材を製造できる。
本発明の製造方法の一形態として、さらに保持工程を具えることが挙げられる。この場合、溶解工程を炭素材料以外の材料で構成される溶解炉で施し、保持工程で、溶解炉からの溶湯を炭素材料で構成される保持炉で一時的に貯留する。そして、接触工程が、保持工程で施される。
上記の構成によれば、溶解炉を炭素材料以外の材料で、保持炉を炭素材料でそれぞれ構成することで、成形性に優れると共に、詳細は後述の実施の形態で説明するが、表面性状や内部性状にも優れるMg合金の鋳造材を製造できる。
本発明の製造方法の一形態として、Mg合金におけるAlの含有量が、1質量%以上12質量%以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、Alが上記の範囲含有することで、耐食性および機械的特性に優れるMg合金の鋳造材を製造できる。
本発明のMg合金部材の一形態として、Mg合金は、Alを8.3質量%以上9.5質量%以下、亜鉛(Zn)を0.5質量%以上1.5質量%以下含有することが挙げられる。
上記の構成によれば、さらに耐食性に優れると共に、機械的特性にも優れるMg合金の鋳造材を製造できる。
本発明のMg合金の鋳造材は、上記本発明のMg合金の鋳造材の製造方法により得られる。
本発明のMg合金の鋳造材は、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有するため、塑性加工によって割れなどが生じ難く成形性に優れる。製造時に溶湯を炭素材料に接触させることで、溶湯に含まれるAlと炭素材料のCとが反応して凝固核を形成されるからである。この鋳造材を塑性加工して得られた本発明のMg合金の展伸材、更にこの展伸材をプレス成形して得られた本発明のMg合金の成形品は、割れなどの欠陥が少なく、高品質である。
本発明のMg合金の鋳造材の製造方法は、成形性に優れるMg合金の鋳造材を製造できる。
本発明のMg合金の鋳造材は、成形性に優れる。
本発明のMg合金の展伸材や成形品は、高品質である。
実施形態で使用した双ロール式連続鋳造装置の概略構成図である。 試験例における接触面積×接触時間と平均結晶粒径との関係を示すグラフである。 試料No.1の鋳造材の断面を示す光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
《マグネシウム合金の鋳造材の製造方法》
本発明のMg合金の鋳造材の製造方法は、Mg合金を溶解して溶湯とする溶解工程と、溶湯を凝固させて鋳造材を製造する鋳造工程とを具える。この製造方法の主な特徴とするところは、鋳造工程までに溶湯と炭素材料とを接触させる接触工程を具え、さらに、その接触工程では、接触面積と接触時間との積が特定の値以上とする点にある。まず、製造する鋳造材の構成材料であるMg合金の組成を説明し、次に、本発明の製造方法を、図1に示す鋳造に使用する装置の一例に基づいて説明する。
〔マグネシウム合金〕
Mg合金の鋳造材を製造するにあたって、用意するMg合金は、添加元素として少なくともAlを含有し、残部がMg及び不可避的不純物で構成されるMg−Al系合金である。
Alの含有量は、1質量%以上とすることが好ましく3質量%以上、特に、5.5質量%以上、更には、7.3質量%以上とすると一層好ましい。Alの含有量が多いほど、製造時には湯流れがよく鋳造性に優れる。また、製造後の部材(鋳造材)としては、耐食性に優れる上に、強度、耐塑性変形性といった機械的特性にも優れる傾向にある。但し、Alの含有量が12質量%を超えると塑性加工性の低下を招くことから、上限は12質量%とする。Alの含有量は、11質量%以下、更に、10.5質量%以下が好ましく、特に8.3質量%〜9.5質量%が好ましい。
Mg合金には、Alの他、種々の添加元素を含有した種々の組成のものが挙げられる。具体的な添加元素としては、Zn、Mn、Si、Be、Ca、Sr、Y、Cu、Ag、Sn、Li、Zr、Ce、Ni、Au及び希土類元素(Y、Ceを除く)から選択された1種以上の元素が挙げられる。このような元素を含む場合、その含有量は、合計で0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。これら添加元素のうち、Si、Sn、Y、Ce、Ca、及び希土類元素(Y、Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素を合計0.001質量%以上、好ましくは合計0.1質量%以上5質量%以下含有すると、耐熱性、難燃性に優れる。希土類元素を含有する場合、その合計含有量は0.1質量%以上が好ましく、特に、Yを含有する場合、その含有量は0.5質量%以上が好ましい。不純物は、例えば、Feなどが挙げられる。
Mg−Al系合金のより具体的な組成は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg−Al−Zn系合金、Zn:0.2質量%〜1.5質量%)、AM系合金(Mg−Al−Mn系合金、Mn:0.05質量%〜0.5質量%)、AS系合金(Mg−Al−Si系合金、Si:0.3質量%〜4.0質量%)、Mg−Al−RE(希土類元素)系合金、AX系合金(Mg−Al−Ca系合金、Ca:0.2質量%〜6.0質量%)、AZX系合金(Mg−Al−Zn−Ca系合金、Zn:0.2質量%〜1.5質量%、Ca:0.1質量%〜4.0質量%)、AJ系合金(Mg−Al−Sr系合金、Sr:0.2質量%〜7.0質量%)などが挙げられる。特に、Alを8.3質量%〜9.5質量%、Znを0.5質量%〜1.5質量%含有するMg−Al系合金、代表的にはAZ91合金は、耐食性、機械的特性に優れて好ましい。
〔鋳造装置〕
続いて、図1を参照して可動鋳型に溶湯の自重を利用してMg合金の溶湯を供給するMg合金の双ロール式連続鋳造装置100を説明する。この装置100は、Mg合金を溶解して溶湯1とする溶解炉(坩堝)10と、溶解炉10からの溶湯1を一時的に貯留する保持炉12と、保持炉12から供給された溶湯1を凝固させて鋳造材2を形成する一対のロール14とを具える。この溶解炉10と保持炉12とは、溶解炉10から溶湯1を保持炉12に輸送する移送樋11で連結されている。保持炉12のロール14側には、保持炉12から溶湯1をロール14へ供給する注湯口13を具える供給部12dが連結され、供給部12dの注湯口13側がロール14に近接又は接触するように配置されている。溶解炉10、移送樋11、保持炉12、供給部12d、及び注湯口13には溶湯1の温度を調節できるようにそれぞれヒータ(図示略)を設けることができる。
このような連続鋳造装置100を用いて鋳造材を製造する。
本発明の製造方法では、溶湯1を凝固させて鋳造材2を形成するまでの間で溶湯1を炭素材料と接触させる。その際、炭素材料に対する溶湯1の接触面積(mm)をS、炭素材料と溶湯との接触時間(sec)をTとするとき、接触面積Sと接触時間Tとの積S×Tが5.0×10(mm×sec)以上となるように溶湯1と炭素材料とを接触させる。そうすれば、溶湯中のAlと炭素材料のCとが反応して凝固核を形成でき、微細で均一な(粒径のばらつきの小さい)結晶粒組織の鋳造材を製造できる。微細な結晶粒組織とは、平均結晶粒径が35μm以下のことを言う。この平均結晶粒径は、35μm以下、特に30μm以下が好ましい。
具体的には、連続鋳造装置100の溶湯1と接触する箇所を炭素材料で構成することが挙げられる。例えば、連続鋳造装置100のうち少なくとも、(1)溶解炉10と保持炉12の両方を炭素材料で構成、(2)溶解炉10を炭素材料、保持炉12を炭素材料以外の材料で構成、(3)溶解炉10を炭素材料以外の材料、保持炉12を炭素材料で構成とすることが挙げられる。中でも、上記(3)のように、溶解炉10を炭素材料以外の材料で構成し、保持炉12を炭素材料で構成することが好ましい。そうすれば、成形性に優れると共に、表面性状や内部性状にも優れるMg合金の鋳造材を製造できる。通常、溶解炉10では随時Mg合金を充填するので、その際に溶湯が酸化しないようにBe(ベリリウム)を添加することが多い。しかし、BeはCと反応し易く、溶解炉10を炭素材料で構成すると、BeがCと反応して溶湯中の金属Be量が減少し、酸化防止効果が得られ難くなる。一方、保持炉12を炭素材料で構成した場合、保持炉12で溶湯中のBeがCと反応しても、保持炉12は一般に密閉されていることが多く、溶解炉10ほど溶湯が大気と触れあうことがないため、酸化防止効果が低下しても問題が少ないからである。
例えば、溶解炉10と保持炉12の構成材料を上記(1)とする場合、溶解炉10及び保持炉12を炭素材料で構成しているため、溶湯1は、溶解炉10と保持炉12の両方で炭素材料と接触する。つまり、溶解炉10と保持炉12における溶湯との接触する領域を接触面積S、その時間を接触時間Tとし、その積S×Tが5.0×10(mm×sec)以上となるように溶湯と炭素材料とを接触させる。同様に、上記(2)とする場合、溶解炉10を炭素材料で構成しているため、溶解炉10における溶湯との接触する領域を接触面積S、その時間を接触時間Tとし、その積S×Tを5.0×10(mm×sec)以上とする。上記(3)とする場合、保持炉12を炭素材料で構成しているため、保持炉12における溶湯との接触する領域を接触面積S、その時間を接触時間Tとし、その積S×Tを5.0×10(mm×sec)以上とする。
なお、溶解炉10、移送樋11、保持炉12、供給部12d、及び注湯口13の全てを炭素材料で構成する場合、Mg合金が溶解炉10で溶解されてからロール14に接触するまで、溶湯は炭素材料で構成された部材と接触する。このとき溶湯と炭素材料との接触面積は、溶解炉10から注湯口13までの接触する表面積全面であるが、この場合は上記(1)の場合と同様とすればよい。これは、移送樋11や供給部12dでの溶湯の接触時間が短いため、接触時間として無視できる程度だからである。即ち、溶解炉10及び保持炉12において溶湯と炭素材料との接触面積をS、その接触時間をTとする。
上記接触時間Tは、10000sec以上であることが好ましい。この接触時間Tは、長ければ長いほど溶湯中のAlと炭素材料のCとが反応して効果的に凝固核を形成でき、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織の鋳造材を製造できる。この接触時間Tの上限は、特に限定されないが、製造作業の効率上、100000sec程度とすることが好ましい。
溶湯を炭素材料と接触させる際、炭素材料の温度を600℃以上とすることが好ましい。例えば、保持炉12を炭素材料で構成する場合、保持炉12の温度を600℃以上に加熱して溶湯1を貯留することが好ましい。そうすれば、溶湯中のAlと保持炉12を構成するCとが反応し易くなり、効果的に凝固核を形成することができ、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有する鋳造材を製造できる。この温度は、上限を800℃程度とする。
この炭素材料としては、例えば、炭素含有量の多い材料であることが好ましい。炭素含有量の多い材料とは、炭素の含有量が10質量%以上の材料を言う。この炭素含有量は、30質量%以上であることが好ましく、特に70質量%以上、更には90質量%以上が好ましい。具体的には、カーボン(黒鉛)などが挙げられる。一方、炭素材料以外の材料としては、例えば、溶湯中のAlと反応せず凝固核の形成に影響のない材料が挙げられる。具体的には、モリブデン、窒化硼素、銅、黄銅などの銅合金、鉄、及びステンレスなどが挙げられる。
《作用効果》
上述のMg合金の鋳造材の製造方法は、成形性に優れる鋳造材を製造できる。溶湯と炭素材料とをそれらの接触面積と接触時間との積が特定の範囲を満たすように接触させることで、溶湯中のAlと炭素材料のCとを十分に反応させて凝固核を効果的に形成できる上に、凝固核を均一に分散させることができるため、微細でかつ均一な結晶粒組織を有する鋳造材を製造できるからである。そのため、この鋳造材は、その後の塑性加工によって割れが生じ難い。
《試験例1》
以上説明した連続鋳造装置100を用いて、Mg合金の鋳造材を複数製造し、その鋳造材の分析および評価を行った。この例では、保持炉12はカーボンで構成した略円筒形(内径φ:約400mm)のものを使用する。
AZ91相当のMg合金(Al:8.3%〜9.5%、Zn:0.2%〜1.5%を含有(全て質量%))を用意し、これを溶解して溶湯1とした後、その溶湯1を注湯口13を介してロール14に供給して厚さ4mm、幅200mmの鋳造材(鋳造板)2の試料を製造した。この例では、溶湯1と炭素材料との接触時間(保持炉12での溶湯の貯留時間)を表1に示すように種々変更して試料1〜6の鋳造材をそれぞれ75kg製造した。各試料の接触時間は保持炉12で溶湯を保持する時間を調節することにより変更した。試料1,2では、保持炉12でMg合金を溶解し、溶解炉10を使用しなかった。試料3では、溶解炉10で溶解して溶湯1を一時的に貯留し、その溶湯1を、予め一定時間溶湯1を貯留している保持炉12へ移送した。即ち、接触時間及び接触面積は、溶解炉と保持炉の両方を平均して算出した値である。試料4〜6では、溶解炉10で溶解して溶湯1を一時的に貯留し、その溶湯1を保持炉12へ移送して、保持炉12では溶湯1を貯留せずそのまま注湯口13を介してロール14に供給した。即ち、接触時間及び接触面積は、保持炉12で一時的に接触している間のみの値である。各試料における溶湯1が炭素材料と接触する面積は表1に示す通りであり、いずれの試料も溶湯1kgあたりの炭素材料との接触面積は約7600mmであった。溶湯1と炭素材料との接触面積S、接触時間T、及びそれらの積S×Tを表1に示す。
[断面観察]
得られた鋳造材の平均結晶粒径を測定した。ここでは、「鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法 JIS G 0551(2005)」に定められた切断法によって求めた。具体的には、試験片を切断し、その切断面をバフ研磨(ダイヤモンド砥粒♯200)した後、エッチング処理を施して、光学顕微鏡の100倍視野にて組織観察を行って、ライン法にて平均結晶粒径を求めた。その測定結果を表1、及び図2に示す。また、試料No.1に対しては、光学顕微鏡の400倍視野にて結晶粒の観察を行った。その結果を図3に示す。
[曲げ試験による割れ数]
得られた各試料の鋳造材を圧延加工して、厚さ0.8mm、幅200mmの展伸材(圧延板)を製造し、この展伸材に対して曲げ試験を実施した。圧延加工は、鋳造材を400℃で24時間の溶体化処理をして冷却した後、これを250℃に加熱して温間で行った。また、圧延は、1パスあたりの圧下率を20%とし複数パス行った。曲げ試験は、上記展伸材を適当な長さに切断して複数の試験片を作製し、各試験片を250℃に加熱した状態でプレス成形して、各試験片を圧延方向に沿って直角に折り曲げた。ここでは、複数の試験片における圧延方向の長さの合計が1m以上となるように試験片の数と長さとを調整した。曲げ試験において、試験片の曲げ部の内側の曲げ半径Rを0.5mmとした。そして、各試験片の曲げ部の外側表面を圧延方向全長に亘って目視にて観察し、曲げ部に発生した割れ数を測定した。この例では、各試料について、それぞれ8個の試験片に対して曲げ試験を実施し、各試験片の割れ数(個)を測定してその平均値を求めた。これを試験片(圧延材)の圧延方向の長さを1mとした場合の割れ数(個/m)に換算することで評価を行った。その結果を表1に示す。
[結果]
表1や図2に示すように、接触時間が長くなるほど結晶粒径が小さくなっており、試料1及び2は、試料3〜6に比べて平均結晶粒径が小さかった。また、試料1及び2は、試料3〜6に比べて割れ数が少なかった。試料1の断面を観察した結果、図3の破線円に示すように、Alからなる凝固核3の形成が見られた。同図の破線円において黒点が凝固核3であり、それを中心にグレーのデンドライトが放射状に広がっているのが見て取れる。なお、表1や図2などには示していないが、接触時間が長くなるほど結晶粒径のばらつきが小さくなると考えられ、試料1及び2は、試料3〜6に比べて結晶粒径のばらつきが小さいと考えられる。
試料1は、溶湯と炭素材料との接触時間が長く、溶湯中のAlと炭素材料のCとが十分に反応したため、図3に示すAlからなる凝固核3を効果的に形成できたと考えられる。それに伴い、微細で粒径のばらつきの小さい結晶粒組織を有する鋳造材を製造でき、割れ数が試料3〜6に比べて極めて少なかったと考えられる。試料2も試料1と同様のことが言える。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能である。例えば、溶湯中に炭素材料からなる棒状部材などを直接浸漬して溶湯と炭素材料とを接触させることができる。また、溶解炉や保持炉の内周面を凸凹形状にして溶湯と炭素材料との接触面積を増やすこともできる。
本発明のMg合金の鋳造材の製造方法は、Mg合金の鋳造材の製造に利用できる。また、本発明のMg合金の鋳造材、展伸材、及び成形品は、Mg合金の部材に利用できる。
100 双ロール式連続鋳造装置
1 溶湯 2 鋳造材 3 凝固核
10 溶解炉 11 移送樋 12 保持炉 12d 供給部
13 注湯口 14 ロール

Claims (5)

  1. 添加元素としてアルミニウムを含有するマグネシウム合金を溶解して溶湯とする溶解工程と、前記溶湯を凝固させて鋳造材を製造する鋳造工程とを具えるマグネシウム合金の鋳造材の製造方法であって、
    前記鋳造工程までに前記溶湯と黒鉛とを接触させる接触工程を具え、
    前記溶解工程と前記接触工程とは、黒鉛で構成される密閉された保持炉で施され、
    前記接触工程は、前記黒鉛に対する溶湯の接触面積(mm)をS、当該黒鉛と溶湯との接触時間(sec)をTとするとき、前記接触面積と接触時間との積S×Tが5.0×10(mm×sec)以上とし、
    平均結晶粒径が35μm以下の鋳造材を得るマグネシウム合金の鋳造材の製造方法。
  2. 前記接触工程では、前記溶湯と接触させる前記黒鉛の温度が600℃以上である請求項1に記載のマグネシウム合金の鋳造材の製造方法。
  3. 前記接触時間Tが10000sec以上である請求項1または請求項2に記載のマグネシウム合金の鋳造材の製造方法。
  4. 前記マグネシウム合金における前記アルミニウムの含有量が、1質量%以上12質量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金の鋳造材の製造方法。
  5. 前記マグネシウム合金が、アルミニウムを8.3質量%以上9.5質量%以下、亜鉛を0.5質量%以上1.5質量%以下含有する請求項に記載のマグネシウム合金の鋳造材の製造方法。
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