以下、本発明の一実施形態を図1〜図44に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つの画像形成ユニット(2034a、2034b、2034c、2034d)、中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245、温湿度センサ(図示省略)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えば、パソコン(PC))及び公衆回線を介した情報機器(例えば、ファクシミリ装置(FAX))との双方向の通信を制御する。そして、通信制御装置2080は、受信した情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換回路などを有している(図2参照)。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置及び情報機器からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置及び情報機器からの画像情報を光走査装置2010に送る。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
感光体ドラム2030aと画像形成ユニット2034aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bと画像形成ユニット2034bは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cと画像形成ユニット2034cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dと画像形成ユニット2034dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各画像形成ユニットは、一例として図3に示されるように、対応する感光体ドラムの周囲に設けられた、帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、及び感光体クリーニングユニットを有している。
ここでは、帯電ユニットとして、接触帯電方式の帯電ローラが用いられている。該帯電ローラは、感光体ドラムに接触して電圧を印加することにより感光体ドラムの表面を一様に帯電する。なお、帯電ユニットには、非接触のスコロトロンチャージャなどの非接触帯電方式のものも用いることができる。
現像ユニットでは、磁性キャリアと非磁性トナーとからなる2成分現像剤が使用されている。この現像ユニットは、現像ケース内に設けられた攪拌部と現像部とに大別できる。
攪拌部では、2成分現像剤が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての現像スリーブ上に供給される。この攪拌部は平行な2本のスクリューを有しており、該2本のスクリューの間には、両端部で互いが連通するように仕切るために仕切り板が設けられている。また、現像ケースには現像ユニット内の現像剤のトナー濃度を検出するためのTCセンサが取り付けられている。2成分現像剤のキャリアは磁性体、トナーは非磁性体であるため、TCセンサとしては透磁率方式のものが用いられており、現像ユニット内のトナー濃度は、現像剤の透磁率、つまり単位体積あたりの現像剤の磁気抵抗に現れる。なお、現像剤として、1成分現像剤を使用することもできる。
現像部では、現像スリーブに付着した現像剤のうちのトナーが感光体ドラムに転移される。この現像部は、現像ケースの開口を通して感光体ドラムと対向する現像スリーブ、及び該現像スリーブに先端が接近するように配置されたドクターブレードを有している。また、現像スリーブ内には不図示のマグネットが固定配置されている。
そこで、現像ユニットでは、現像剤が2本のスクリューで攪拌されながら搬送循環され、現像スリーブに供給される。現像スリーブに供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げられて保持される。現像スリーブで汲み上げられた現像剤は、現像スリーブの回転に伴って搬送され、ドクターブレードにより適正な量に規制される。なお、余分な現像剤は攪拌部に戻される。
このようにして感光体ドラムと対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブに印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体ドラム上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体ドラム上の静電潜像部分に転移し、感光体ドラム上の静電潜像を顕像化する。
現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブから離れ、攪拌部に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部内のトナー濃度が薄くなると、それをTCセンサが検出し、その検出結果に基づいて攪拌部にトナーカートリッジ(図示省略)からトナーが補給される。
また、1次転写ユニットは、対応する感光体ドラムにおける中間転写ベルト2040を介して対向する位置に設けられている。
ここでは、1次転写ユニットとして、1次転写ローラが用いられている。該1次転写ローラは、中間転写ベルト2040を挟んで感光体ドラムに押し当てるようにして設置されている。なお、1次転写ユニットとして、ローラ状のもの以外に、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどが用いられても良い。
感光体クリーニングユニットは、先端が感光体ドラムに押し当てられるように配置されているクリーニングブレード(例えばポリウレタンゴム製)、及び感光体ドラムに接触して配置されている導電性のファーブラシを有している。このファーブラシには不図示の金属製の電界ローラからバイアス電圧が印加されており、その電界ローラには不図示のスクレーバの先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレードやファーブラシによって感光体ドラムから除去されたトナーは、感光体クリーニングユニットの内部に収容され、不図示の廃トナー回収ユニットにて回収される。
図1に戻り、光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光で、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した静電潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された静電潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ユニットの方向に移動し、該現像ユニットによって顕像化される。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って中間転写ベルト2040の方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、中間転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここでカラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここでトナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
反射型光学センサ2245は、中間転写ベルト2040の近傍に配置されている。この反射型光学センサ2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図4〜図7に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をX軸方向、光偏向器2104の回転軸方向をZ軸方向として説明する。
また、以下では、便宜上、各光学部材において、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと走査レンズ2105bと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと走査レンズ2105cと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに静電潜像を形成するための光学部材である。
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光の光路上に配置され、該光を略平行光とする。
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光を整形する。
各シリンドリカルレンズは、対応する開口板の開口部を通過した光を、光偏向器2104の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。
各光源と光偏向器2104との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏向反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光及びシリンドリカルレンズ2204dからの光がそれぞれ偏向され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光及びシリンドリカルレンズ2204cからの光がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。
各感光体ドラム上の光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に移動する。各感光体ドラムにおける光スポットの移動方向が、「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が、「副走査方向」である。各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
また、光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
次に、前記反射型光学センサ2245について説明する。ここでは、一例として図8に示されるように、xyz3次元直交座標系において、中間転写ベルト2040のベルト面に直交する方向をz軸方向とし、主方向をy軸方向とする。また、中間転写ベルト2040の移動方向、すなわち、副方向を+x方向とする。そして、反射型光学センサ2245は、中間転写ベルト2040の+z側に配置されているものとする。また、反射型光学センサ2245は、y軸方向に関して、中間転写ベルト2040の中央位置y0に対向する位置に配置されているものとする(図9参照)。すなわち、反射型光学センサ2245は、有効画像領域内に対応する位置に配置されている。
反射型光学センサ2245は、一例として図10に示されるように、発光部10、照明用レンズ11、2つの受光用レンズ(12、13)、及び2つの受光部(14、15)などを備えている。
発光部10には、LEDやLD(レーザーダイオード)を用いることができる。ここでは、一例として図11に示されるように、発光部10からの光は、yz平面に正射影したときに、z軸に対して傾斜した方向に射出される。
照明用レンズ11は、発光部10から射出された光を中間転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
以下では、便宜上、照明用レンズ11を通過した光を「検出用光」ともいう。また、検出用光によって中間転写ベルト2040の表面位置に形成される光スポットを「検出用光スポット」ともいう。
反射型光学センサ2245から中間転写ベルト2040の表面までの距離は5mmである。また、検出用光スポットの大きさ(直径)は、約1.5mmである。
また、ここでは、中間転写ベルト2040の表面は滑らかであり、中間転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射される。
受光用レンズ12は、一例として図12及び図13に示されるように、発光部10から射出され、中間転写ベルト2040の表面、あるいは中間転写ベルト2040上のトナーパターンで正反射された光の光路上に配置されている。なお、以下では、正反射された光を「正反射光」と略述する。
すなわち、受光用レンズ12は、正反射光を集光する。
受光部14は、受光用レンズ12で集光された正反射光を受光する。
受光用レンズ13は、一例として図13に示されるように、発光部10から射出され、中間転写ベルト2040上のトナーパターンで拡散反射された光の光路上に配置されている。なお、以下では、拡散反射された光を「拡散反射光」と略述する。
すなわち、受光用レンズ13は、拡散反射光を集光する。
受光部15は、受光用レンズ13で集光された拡散反射光を受光する。
ここでは、照明用レンズ11と2つの受光用レンズ(12、13)は、一体成型品である。
各受光部には、PTr(フォトトランジスタ)、あるいはPD(フォトダイオード)を用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
各レンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に関して正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向に関するパワーと副方向に関するパワーとが互いに異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
ここでは、一例として、各レンズは球面レンズである。なお、各レンズの素材として、光学ガラスや樹脂等を用いることができる。
そして、照明用レンズ11は、入射側の光学面は集光パワーを有し、射出側の光学面は集光パワーを有していない。
本実施形態では、照明用レンズ11は、レンズ径(直径)が1.490mm、入射側の光学面の曲率半径が2.800mm、レンズ厚が0.801mmである。
また、各受光用レンズは、射出側の光学面は集光パワーを有し、入射側の光学面は集光パワーを有していない。
ところで、中間転写ベルト2040は、xy面に平行な表面が、反射型光学センサ2245に対して、z軸方向に関して距離dz(ここでは、5mm)だけ離れた位置をx軸方向に移動するように設定されているが、実際には、反射型光学センサ2245と中間転写ベルト2040の表面との関係は、常に一定であるとは限らない。以下では、中間転写ベルト2040の表面を「被検面」ともいう。
例えば、図14(A)及び図14(B)に示されるように、中間転写ベルト2040に、いわゆる「ばたつき」が生じると、図15(A)及び図15(B)に示されるように、被検面は、xy面に対して傾斜し、反射型光学センサ2245と中間転写ベルト2040の表面との関係が、予定している関係からずれることとなる。
ここで、x軸に平行な軸まわりの被検面のxy面に対する傾斜角を「スキュー角」といい、該スキュー角をθbと表記する。
図16(A)及び図16(B)には、受光用レンズ12の形状が示されている。なお、図16(B)は、図16(A)のA−A断面図である。この受光用レンズ12は、+y側及び−y側にそれぞれ端面を有している。そして、各端面は、xz面に対して光軸側に傾斜している。ここでは、+y側端面における傾斜角をαと表記し、−y側端面における傾斜角をβと表記する。
また、図17(A)及び図17(B)には、比較例としての受光用レンズ12Aの形状が示されている。なお、図17(B)は、図17(A)のA−A断面図である。この受光用レンズ12Aは、+y側及び−y側にそれぞれ端面を有している。そして、各端面は、xz面に対して平行である。
図18には、受光用レンズ12の形状と受光用レンズ12Aの形状とを比較したものが示されている。
図19には、受光用レンズ12において、傾斜角αと傾斜角βを等しくし、傾斜角α及び傾斜角βが15°、30°、45°、60°のときの、受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係、及び受光用レンズ12に代えて受光用レンズ12Aを用いた場合の受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係が示されている。なお、各受光量は、受光用レンズ12Aが用いられ、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量を1.000として規格化されている。図20は、図19をグラフ化したものである。
スキュー角θbが0.0°のとき、受光用レンズ12が用いられた場合の受光部14の受光量は、受光用レンズ12Aが用いられた場合の受光部14の受光量よりも少なくなっている。これは、受光用レンズ12Aを介して受光部14に向かう光のビーム径d1(図21(A)参照)よりも、受光用レンズ12Aを介して受光部14に向かう光のビーム径d2(図21(B)参照)が小さいためと考えられる。
図22は、各傾斜角について、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量をいずれも1.000として図19を書き換えたものである。また、図22には、受光部14の受光量の最大値と最小値の差(以下では、便宜上、「最大幅」ともいう)が付加されている。受光用レンズ12において、傾斜角α及び傾斜角βが15°、30°、45°のときは、受光用レンズ12Aを用いた場合よりも上記最大幅が小さい。特に、傾斜角α及び傾斜角βが30°のときは、最大幅が最も小さい。すなわち、スキュー角の影響が小さい。なお、図23は、図22をグラフ化したものである。
受光用レンズ12Aを用いた場合の受光部14の受光量は、スキュー角θbが−1.0°のときには、スキュー角θbが0.0°のときよりもわずかに減少している(図24(A)参照)が、スキュー角θbが+1.0°のときには、端面に入射した光は全反射され、スキュー角θbが0.0°のときよりも大きく減少している(図24(B)参照)。
一方、傾斜角α及び傾斜角βが30°の受光用レンズ12を用いた場合の受光部14の受光量は、スキュー角θbが−1.0°のときには、スキュー角θbが0.0°のときよりもわずかに減少しており(図25(A)参照)、スキュー角θbが+1.0°のときも、スキュー角θbが0.0°のときよりもわずかに減少している(図25(B)参照)。
本実施形態では、受光用レンズ12は、x軸方向に関する寸法(長さ)が1.490mm、y軸方向に関する寸法(長さ)が1.170mm、光学的パワーを有する光学面の曲率半径が2.300mm、レンズ厚が1.100mmである。また、受光用レンズ12の傾斜角α及び傾斜角βは30°である。すなわち、本実施形態では、受光用レンズ12の形状を、スキュー角θbが変動しても、受光部14での受光量の変動が小さい形状としている。
また、受光用レンズ13は、x軸方向に関する寸法(長さ)が2.700mm、y軸方向に関する寸法(長さ)が2.000mm、光学的パワーを有する光学面の曲率半径が2.500mm、レンズ厚が1.200mmである。
次に、反射型光学センサ2245の検出対象物であるテストパターンとしてのトナーパターンについて説明する。
このトナーパターンは、一例として図26に示されるように、5つのパターン(DP1、DP2、DP3、DP4、PP)を有している。
DP1〜DP4は、いずれも濃度検出用パターンであり、PPは、位置ずれ検出用パターンである。
濃度検出用パターンDP1はブラックトナーで形成され、濃度検出用パターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、濃度検出用パターンDP3はシアントナーで形成され、濃度検出用パターンDP4はイエロートナーで形成される。なお、濃度検出用パターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「濃度検出用パターンDP」ともいう。
濃度検出用パターンDPは、一例として図27に示されるように、4個の四角形状のパターン(p1〜p4、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。4個の矩形パターンは、x軸方向に沿って等間隔で一列に並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー濃度の階調が互いに異なっている。ここでは、トナー濃度の低い矩形パターンから、p1、p2、p3、p4とする。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp4のトナー濃度が最も高い。そして、矩形パターンp4は、最大のトナー付着量で作成されたいわゆるベタパターンである。
そして、一例として、各矩形パターンのy軸方向に関する長さw1を約15mm、x軸方向の長さw2を約25mmとしている。また、x軸方向に関して、隣接する2つの矩形パターンの中心間距離w3は約30mmである。
4つの濃度検出用パターンDP1〜DP4は、x軸方向に沿って一列に並んでおり、検出用光によって照明される位置に形成されるように設定されている。なお、以下では、便宜上、4つの濃度検出用パターンDP1〜DP4の列を「DPパターン列」ともいう。
位置ずれ検出用パターンPPは、一例として図28に示されるように、x軸方向に沿って一列に並ぶ8個のライン状パターン(LPK1、LPK2、LPM1、LPM2、LPC1、LPC2、LPY1、LPY2)を有している。
ライン状パターンLPK1及びLPK2は、ブラックトナーで形成され、ライン状パターンLPM1及びLPM2は、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1及びLPC2は、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPY1及びLPY2は、イエロートナーで形成される。ここでは、各ライン状パターンは、トナー濃度としていわゆるベタ濃度で形成される。
ライン状パターンLPK1、LPM1、LPC1及びLPY1は、長手方向がy軸方向に平行であり、ライン状パターンLPK2、LPM2、LPC2及びLPY2は、長手方向がy軸方向に対して傾斜している。ここでは、傾斜角を45°としている。
なお、以下では、長手方向がy軸方向に平行なライン状パターンを「平行ライン状パターン」ともいい、長手方向がy軸方向に対して傾斜しているライン状パターンを「傾斜ライン状パターン」ともいう。
各平行ライン状パターンは、長手方向の長さw4を8.0mm、短手方向の長さw5を1.0mmとしている。また、x軸方向に関して隣接する2つの平行ライン状パターンの中心間距離w6を3.5mmとしている。
また、各傾斜ライン状パターンは、各平行ライン状パターンを45°傾斜させたものである。
本実施形態では、位置ずれ検出用パターンPPは、DPパターン列の−x側に形成されるように設定されている(図26参照)。
次に、画像プロセス制御のために、反射型光学センサ2245を用いて行われる濃度検出処理及び位置ずれ検出処理について図29を用いて説明する。本実施形態では、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090によって行われる。図29のフローチャートは、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理の際に、プリンタ制御装置2090によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、以下では、濃度検出処理と位置ずれ検出処理とを合わせて「検出処理」ともいう。
(1)最初のステップS301では、画像プロセス制御の要求があるか否かを判断する。ここでは、画像プロセス制御フラグがセットされていれば、ここでの判断は肯定され、画像プロセス制御フラグがセットされていなければ、ここでの判断は否定される。
画像プロセス制御フラグは、電源投入直後では、(a)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(b)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(c)装置内の相対湿度が50%以上変化しているときなどにセットされ、印刷時では、(d)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(e)現像スリーブの回転回数が所定の回数に達したとき、(f)中間転写ベルト2040の走行距離が所定の距離に達したときなどにセットされる。
ステップS301での判断が否定されると、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理はいずれも行われない。一方、ステップS301での判断が肯定されると、画像プロセス制御フラグをリセットし、ステップS321に移行する。ここでは、ユーザから連続する複数枚の画像の形成が要求され、該複数枚の画像におけるm番目の画像が形成された後で、(m+1)番目の画像が形成される前のタイミングで画像プロセス制御フラグがセットされたものとする。
(2)このステップS321では、中間転写ベルト2040を検出用光で照明し、各受光部の出力を取得する。
ここでは、中間転写ベルト2040における反射ムラの影響を避けるため、所定のサンプリング時間(例えば2ms)で、所定の回数(例えば10回)だけサンプリングし、各受光部の出力を取得する。
(3)次のステップS323では、トナーパターンの作成を走査制御装置に指示する。
これにより、走査制御装置は、感光体ドラム2030aに濃度検出用パターンDP1の静電潜像、感光体ドラム2030bに濃度検出用パターンDP2の静電潜像、感光体ドラム2030cに濃度検出用パターンDP3の静電潜像、感光体ドラム2030dに濃度検出用パターンDP4の静電潜像を形成する。
さらに、走査制御装置は、感光体ドラム2030aに位置ずれ検出用パターンPPのライン状パターンLPK1、LPK2の各静電潜像、感光体ドラム2030bに位置ずれ検出用パターンPPのライン状パターンLPM1、LPM2の各静電潜像、感光体ドラム2030cに位置ずれ検出用パターンPPのライン状パターンLPC1、LPC2の各静電潜像、感光体ドラム2030dに位置ずれ検出用パターンPPのライン状パターンLPY1、LPY2の各静電潜像を形成する。
そして、各静電潜像は対応する現像ユニットで顕像化され、それぞれ所定のタイミングで中間転写ベルト2040に転写される。これによって、中間転写ベルト2040上におけるm番目の画像に続いて、トナーパターンが形成される(図30参照)。
なお、トナーパターンを形成するために必要な作像条件などはプリンタ制御装置2090のROMに予め格納されている。また、該ROMには、反射型光学センサの出力をトナー濃度に変換するための濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)も予め格納されている。
(4)次のステップS325では、中間転写ベルト2040上のトナーパターンを検出用光で照明し、受光部14及び受光部15の出力を取得する。
ここでは、プリンタ制御装置2090は、トナーパターンが反射型光学センサ2245に対向する位置に到達する少し前のタイミングで、発光部10を点灯させる。検出用光スポットは、中間転写ベルト2040が副方向に移動するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、各色の各階調の矩形パターンを順次照明する(図31参照)。そして、プリンタ制御装置2090は、受光部14の出力信号及び受光部15の出力信号を時間的に追跡する。
このとき、矩形パターンにおける濃度ムラの影響を避けるため、矩形パターンをx軸方向に関して互いに長さが等しい所定の個数(例えば40個)の領域に分割し、該分割された各領域でデータのサンプリングができるサンプリング時間(例えば2ms)を設定し、矩形パターン毎に上記所定の個数(例えば40個)のデータを取得する。
図32には、受光部14の出力信号の時間変化が示されている。図33は、図32に照射対象物を記載したものである。なお、矩形パターン以外のタイミングでの照射対象物は、中間転写ベルト2040である。図33に示されるように、受光部14の出力信号は、照射対象物が中間転写ベルト2040のときは出力レベルが高く、照射対象物が矩形パターンのときは出力レベルが低い。
図34には、受光部15の出力信号の時間変化が示されている。図35は、図34に照射対象物を記載したものである。なお、矩形パターン以外のタイミングでの照射対象物は、中間転写ベルト2040である。図35に示されるように、受光部15の出力信号は、照射対象物が中間転写ベルト2040のときは出力レベルが低く、ブラックトナー以外のカラートナーで形成された矩形パターンが照射対象物のときは出力レベルが高い。
検出用光スポットは、DPパターン列における全ての矩形パターンの照明が終了すると、続いて、位置ずれ検出用パターンPPを照明する(図36参照)。
図37には、受光部14の出力信号の時間変化が示されている。図38は、図37に照射対象物を記載したものである。なお、ラインパターン以外のタイミングでの照射対象物は、中間転写ベルト2040である。図38に示されるように、受光部14の出力信号は、照射対象物が中間転写ベルト2040のときは出力レベルが高く、照射対象物がラインパターンのときは出力レベルが低い。
なお、各受光部の出力は、各受光部での受光量にそれぞれ対応しているため、以下では、便宜上、受光部の出力を「受光量」ともいう。また、各受光部の出力の時間変化を「出力波形」ともいう。
(5)次のステップS327では、DPパターン列における各矩形パターンのトナー濃度を算出する。
(5−1)上記ステップS321で取得された各受光部の出力の平均値を求める。以下では、ここで得られた受光部14の出力の平均値を「Vsg_spe」と表記し、受光部15の出力の平均値を「Vsg_dif」と表記する。
(5−2)矩形パターン毎に、上記ステップS325で取得された各受光部の出力の平均値を求める。なお、サンプリングされたデータのばらつきが大きいときは、例えば、値の大きいものから10個、及び値の小さいものから10個を取り除き、残りのデータの平均値を求めても良い。
以下では、便宜上、照射対象物が濃度検出用パターンDPn(n=1、2、3、4)の矩形パターンpm(m=1、2、3、4)のときの受光部14の出力の平均値を、「Vsp[DPn_pm]_spe」と表記する。
同様に、照射対象物が濃度検出用パターンDPn(n=1、2、3、4)の矩形パターンpm(m=1、2、3、4)のときの受光部15の出力の平均値を、「Vsp[DPn_pm]_dif」と表記する。
(5−3)照射対象物が濃度検出用パターンDP2、DP3、DP4のときの受光部14の感度補正係数K2を求める。
ここでは、先ず、矩形パターン毎に、次の(1)式を用いて、係数B[DPn_pm]を算出する。
B[DPn_pm]=Vsp[DPn_pm]_spe/Vsp[DPn_pm]_dif ……(1)
そして、算出された係数B[DPn_pm]のなかで最も小さい値を、受光部14の感度補正係数K2とする。
(5−4)照射対象物が濃度検出用パターンDP2、DP3、DP4のときの正反射光の受光量を求める。
ここでは、矩形パターン毎に、次の(2)式を用いて、正反射光の受光量K[DPn_pm]を算出する。
K[DPn_pm]=(Vsp[DPn_pm]_spe − K2×Vsp[DPn_pm]_dif)/(K2×Vsp[DPn_pm]_dif) ……(2)
(5−5)照射対象物が濃度検出用パターンDP2、DP3、DP4のときの拡散反射光の受光量を求める。
ここでは、矩形パターン毎に、次の(3)式を用いて、拡散反射光の受光量Vsp[DPn_pm]_dif’を算出する。
Vsp[DPn_pm]_dif’=Vsp[DPn_pm]_dif − Vsg_dif×K[DPn_pm] ……(3)
(5−6)受光部15のゲイン調整係数K5を求める。
ここでは、先ず、横軸をK[DPn_pm]、縦軸(Y軸)をVsp[DPn_pm]_dif’としたときの、K[DPn_pm]とVsp[DPn_pm]_dif’との関係を表す2次近似式を最小二乗法を用いて求める。
そして、上記2次近似式における2乗の項の係数をα、1乗の項の係数をβ、Y切片をγとする。
次に、次の(4)式を用いて、ゲイン調整係数K5を算出する。
K5=1.63/(α×0.152+β×0.15+γ) ……(4)
なお、上記(4)式における定数(ここでは、1.63及び0.15)は、装置固有の値であり、予め実験などにより決定されている。
(5−7)正規化を行う。
ここでは、次の(5)式を用いて、正規化値R[DPn_pm]を算出する。
R[DPn_pm]=K5×Vsp[DPn_pm]_dif’ ……(5)
この時点で、反射型光学センサ2245の特性誤差や取り付け位置の誤差、及び中間転写ベルト105における反射特性のばらつきはほぼキャンセルされる。
(5−8)プリンタ制御装置2090のROMに予め格納されている濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)を用いて、矩形パターン毎に、正規化値R[DPn_pm]からトナー付着量MA[DPn_pm]を求める。図39には、マゼンタトナーの濃度変換LUTが示されている。
(5−9)照射対象物が濃度検出用パターンDP1のときの正規化値を求める。
ブラックトナーの場合の正規化値は、下地の中間転写ベルト2040からの正反射光の受光量とブラックトナーの光吸収特性のみで決定されるので、ここでは、次の(6)式を用いて、正規化値R[DP1_pm]を算出する。
R[DP1_pm]=Vsp[DP1_pm]_spe/Vsg_spe ……(6)
(5−10)プリンタ制御装置2090のROMに予め格納されている濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)(図40参照)を用いて、矩形パターン毎に、正規化値R[DP1_pm]からトナー付着量MA[DP1_pm]を求める。
(6)次のステップS329では、位置ずれ検出用パターンPPにおけるライン状パターンの位置ずれ量を算出する。
(6−1)閾値電圧を求める。
ここでは、次の(7)式を用いて、トナーの色毎に閾値電圧Vthを算出する。ここでの単位はボルトである。また、照射対象物がライン状パターンのときの受光部14の出力をVpとし、照射対象物が中間転写ベルト2040のみのときの受光部14の出力をVbとする。
Vth=Vp+(Vb−Vp)×0.5 ……(7)
(6−2)各ライン状パターンの計算上の検出時間を求める。
ここでは、図41に示されるように、ライン状パターン毎に、受光部14の出力波形における立ち下がり時、及び立ち上がり時に、受光部14の出力が閾値電圧Vthと一致するタイミング(図41では×印で示されている)を求め、該2つのタイミングの中間を検出時間とする。なお、検出時間を求める方法はこれに限定されるものではない。
(6−3)一例として図42に模式図的に示されるように、受光部14の出力波形における、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPM1の検出時間までの時間Tkm1、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPC1の検出時間までの時間Tkc1、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPY1の検出時間までの時間Tky1を求める。
また、受光部14の出力波形における、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPM2の検出時間までの時間Tkm2、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPC2の検出時間までの時間Tkc2、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPY2の検出時間までの時間Tky2を求める。
(6−4)時間Tkm1、時間Tkc1、及び時間Tky1と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔTm1、ΔTc1、ΔTy1とする)をそれぞれ求める。該時間差が許容範囲内であれば、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対するx軸方向に関する位置関係は適正であると判断する。一方、該時間差が許容範囲内でなければ、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対するx軸方向に関する位置関係にずれがあると判断する。この場合には、プリンタ制御装置2090は、該時間差から上記位置関係のずれ量(ずれ量ΔS1とする)を求め、該ずれ量ΔS1を走査制御装置に通知する。
(6−5)時間Tkm2、時間Tkc2、及び時間Tky2と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔTm2、ΔTc2、ΔTy2とする)をそれぞれ求める。該時間差が許容範囲内であれば、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対するy軸方向に関する位置関係は適正であると判断する。一方、該時間差が許容範囲内でなければ、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対するy軸方向に関する位置関係にずれがあると判断する。この場合には、プリンタ制御装置2090は、該時間差から上記位置関係のずれ量(ずれ量ΔS2とする)を求め、該ずれ量ΔS2を走査制御装置に通知する。
一例として、時間差ΔTm1が許容範囲内でない場合が模式図的に図43(A)に示されている。また、時間差ΔTm2が許容範囲内でない場合が模式図的に図43(B)に示されている。この場合には、プリンタ制御装置2090は、次の(8)式を用いて、ブラックのトナー画像に対するマゼンタのトナー画像のy軸方向に関する位置ずれ量ΔS2を求める。ここで、Vは中間転写ベルト2040の副方向への移動速度である。
ΔS2=V・ΔTm2・cot45° ……(8)
(7)次のステップS331では、画像プロセス制御を実施する。
ここでは、上記トナー濃度の算出工程において得られたトナー濃度から、トナーの色毎に、トナー濃度のずれ量を求める。そして、トナー濃度のずれ量が許容限を超えている場合には、トナー濃度が狙いのトナー濃度となるように、或いは、トナー濃度のずれ量が許容限内となるように制御する。
例えば、トナー濃度のずれ量に応じて、対応する画像形成ステーションにおいて、現像ポテンシャル制御、及び階調制御などを行う。
現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を確保するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。すなわち、濃度検出用パターンから得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より、現像γ(現像ポテンシャルを横軸、トナー濃度を縦軸としたときの傾き)と現像開始電圧Vk(現像ポテンシャルを横軸(x軸)、トナー濃度を縦軸としたときのx切片)を求める。そして、次の(9)式を用いて、所望の画像濃度を確保するために必要な現像ポテンシャルを決定し、これに基づいて、作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定している。
必要な現像ポテンシャル[−kV]=所望の画像濃度(トナー濃度)[mg/cm2]/現像γ[(mg/cm2)/(−kV)]+現像開始電圧Vk[−kV] ……(9)
トナーの帯電量と現像ポテンシャルとが一定であれば、現像γはほぼ維持されるが、温度や湿度の変化がある環境ではトナーの帯電量の変化が避けられず、中間調領域の階調性が変化してしまう。それを補正するために階調制御が行われる。階調制御も現像ポテンシャル制御と同等の濃度検出用パターンを用いることができる。
また、階調制御では、得られた階調性と目標とする階調性との偏差がなくなるように階調補正用LUT(ルック・アップ・テーブル)が適宜変更される。具体的には、その都度、新しい階調補正用LUTに書き換える方法や、予め用意した複数の階調補正用LUTから最適なものを選択する方法などがある。
また、上記位置ずれ量の算出工程において、ブラックのトナー画像に対するx軸方向に関する位置関係にずれがあると、該ずれ量がほぼ0となるように、例えば、対応する感光体ドラムに対する画像の書き込みタイミングを変更する。
また、上記位置ずれ量の算出工程において、ブラックのトナー画像に対するy軸方向に関する位置関係にずれがあると、該ずれ量がほぼ0となるように、例えば、対応する感光体ドラムに画像を書き込む際の画素クロックの位相を調整する。
ところで、中間転写ベルト2040に「ばたつき」があるときに、従来の反射型光学センサを用いた場合の、正反射光用の受光部の出力波形の一例が、図44に示されている。このときは、上記Vsgを精度良く求めることができないため、正規化値に誤差が生じる。また、このとき、拡散光用の受光部に正反射光が入射するおそれがあった。その結果、トナー濃度の検出精度が劣化するおそれがあった。
また、この場合、照射対象物が位置ずれ検出用パターンのときには、各検出時間が変動し、検出された位置ずれ量に誤差が生じるという不都合があった。
しかしながら、本実施形態における反射型光学センサ2245は、中間転写ベルト2040に「ばたつき」があっても、上記Vsgを精度良く求めることができるとともに、受光部15に正反射光が入射するおそれがないため、トナー濃度の検出精度が劣化するおそれはない。
また、本実施形態における反射型光学センサ2245は、中間転写ベルト2040に「ばたつき」があっても、各検出時間の変動が小さいため、位置ずれ量に誤差が生じるおそれはない。
以上説明したように、本実施形態に係る反射型光学センサ2245は、発光部10、照明用レンズ11、2つの受光用レンズ(12、13)、及び2つの受光部(14、15)などを備えている。
受光用レンズ12は、発光部10から射出され、+x方向に移動している中間転写ベルト2040の表面、あるいは中間転写ベルト2040上のトナーパターンで正反射された光の光路上に配置されている。受光部14は、受光用レンズ12で集光された光を受光する。
受光用レンズ13は、発光部10から射出され、中間転写ベルト2040上のトナーパターンで拡散反射された光の光路上に配置されている。受光部15は、受光用レンズ13で集光された光を受光する。
受光用レンズ12は、+y側及び−y側にそれぞれ端面を有している。そして、各端面はいずれもxz面に対して光軸側に傾斜しており、+y側端面における傾斜角を30°とし、−y側端面における傾斜角を30°としている。
この場合は、検出処理の際に、中間転写ベルト2040に「ばたつき」があっても、トナー濃度及び位置ずれ量をいずれも精度良く求めることができる。
その結果、プリンタ制御装置2090は、高品質の画像を安定して形成することができる。
なお、傾斜角α及び傾斜角βの値は、上記実施形態に限定されるものではない。要するに、両端面がxz面に対して光軸側に傾斜していれば良い。
上記実施形態では、受光用レンズ12における傾斜角αと傾斜角βが等しい場合について説明したが、これに限定されるものではない。
図45には、受光用レンズ12において、傾斜角αを30°に固定し、傾斜角βを0°、15°、30°、45°、60°としたときの、受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係、及び受光用レンズ12に代えて前記受光用レンズ12Aを用いた場合の受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係が示されている。なお、各受光量は、受光用レンズ12Aが用いられ、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量を1.000として規格化されている。図46は、図45をグラフ化したものである。
図47は、各傾斜角について、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量をいずれも1.000として図45を書き換えたものである。また、図47には、受光部14の受光量の最大値と最小値の差(最大幅)が付加されている。傾斜角βが45°のときに、上記最大幅が最も小さい。すなわち、スキュー角の影響が最も小さい。なお、図48は、図47をグラフ化したものである。
図49(A)及び図49(B)には、α=30°、β=45°の受光用レンズ12が示されている。なお、図49(B)は、図49(A)のA−A断面図である。この場合は、上記実施形態の受光用レンズ12を用いたときよりも、最大幅を小さくすることができる。すなわち、更にスキュー角に強くすることが可能である。
図50には、受光用レンズ12において、傾斜角βを30°に固定し、傾斜角αを0°、15°、30°、45°、60°としたときの、受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係、及び受光用レンズ12に代えて前記受光用レンズ12Aを用いた場合の受光部14の受光量とスキュー角θbとの関係が示されている。なお、受光部14の受光量は、受光用レンズ12Aが用いられ、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量を1.000として規格化されている。図51は、図50をグラフ化したものである。
図52は、各傾斜角について、スキュー角θbが0.0°のときの受光部14の受光量をいずれも1.000として図51を書き換えたものである。また、図52には、受光部14の受光量の最大値と最小値の差(最大幅)が付加されている。傾斜角αが45°のときに、上記最大幅が最も小さい。すなわち、スキュー角の影響が最も小さい。なお、図53は、図52をグラフ化したものである。
図54(A)及び図54(B)には、α=45°、β=30°の受光用レンズ12が示されている。なお、図54(B)は、図54(A)のA−A断面図である。この場合は、α=30°、β=45°の受光用レンズ12を用いたときよりも、最大幅を小さくすることができる。すなわち、更にスキュー角に強くすることが可能である。
また、上記実施形態において、反射型光学センサ2245に処理装置を設け、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理におけるプリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、該処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理におけるプリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態におけるトナーパターンは一例であり、大きさ(寸法)、形状、個数などがこれに限定されるものではない。
例えば、各濃度検出用パターン(DP1〜DP4)がそれぞれ5個の矩形パターン(p1〜p5)から構成されていても良い。この場合は、矩形パターンp5をベタパターンとしても良い。
また、上記実施形態において、一例として図55に示されるように、反射型光学センサ2245がローラ上の中間転写ベルト2040を被検面とする位置に配置されていても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245がy軸方向に関して有効画像領域の中央に対応する位置に設けられる場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、反射型光学センサ2245がy軸方向に関して有効画像領域外に対応する位置に設けられても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が1つ設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、反射型光学センサ2245が複数設けられても良い。この場合は、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理での検出精度を更に高めることができる。
一例として図56には、前記反射型光学センサ2245と同等の2つの反射型光学センサ(2245a、2245b)がy軸方向に関して有効画像領域外に対応する位置に設けられている場合が示されている。
また、上記実施形態において、1つの紙間となる部分に4つの濃度検出用パターンDP1〜DP4の全てが形成されなくても良い。
例えば、中間転写ベルト2040上におけるm番目の画像と(m+1)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP1が形成され、中間転写ベルト2040上における(m+1)番目の画像と(m+2)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP2が形成され、中間転写ベルト2040上における(m+2)番目の画像と(m+3)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP3が形成され、中間転写ベルト2040上における(m+3)番目の画像と(m+4)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP4と位置ずれ検出用パターンPPが形成されても良い。
また、例えば、中間転写ベルト2040上におけるm番目の画像と(m+1)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP1の一部が形成され、中間転写ベルト2040上における(m+1)番目の画像と(m+2)番目の画像との間の紙間となる部分に濃度検出用パターンDP1の残りが形成されても良い。
また、上記実施形態では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5色あるいは6色のトナーが用いられる場合であっても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が、中間転写ベルト2040上のトナーパターンを検出対象とする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出対象としても良い。なお、感光体ドラムの表面は、中間転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、反射型光学センサ2245の検出対象としても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。