以下、本発明の一実施形態を図1〜図81(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つの画像形成ユニット(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245、温湿度センサ(図示省略)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えば、パソコン(PC))及び公衆回線を介した情報機器(例えば、ファクシミリ装置(FAX))との双方向の通信を制御する。そして、通信制御装置2080は、受信した情報をプリンタ制御装置2090に通知する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換回路などを有している(図2参照)。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置及び情報機器からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置及び情報機器からの画像情報を光走査装置2010に送る。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
感光体ドラム2030aと画像形成ユニット2034aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bと画像形成ユニット2034bは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cと画像形成ユニット2034cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dと画像形成ユニット2034dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各画像形成ユニットは、一例として図3に示されるように、対応する感光体ドラムの周囲に設けられた、帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット及び感光体クリーニングユニットを有している。
ここでは、帯電ユニットとして、接触帯電方式の帯電ローラが用いられている。該帯電ローラは、感光体ドラムに接触して電圧を印加することにより感光体ドラムの表面を一様に帯電する。なお、帯電ユニットには、非接触のスコロトロンチャージャなどの非接触帯電方式のものも用いることができる。
現像ユニットでは、磁性キャリアと非磁性トナーとからなる2成分現像剤が使用されている。この現像ユニットは、現像ケース内に設けられた攪拌部と現像部とに大別できる。
攪拌部では、2成分現像剤が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての現像スリーブ上に供給される。この攪拌部は平行な2本のスクリューを有しており、該2本のスクリューの間には、両端部で互いが連通するように仕切るために仕切り板が設けられている。また、現像ケースには現像ユニット内の現像剤のトナー濃度を検出するためのTCセンサが取り付けられている。2成分現像剤のキャリアは磁性体、トナーは非磁性体であるため、TCセンサとしては透磁率方式のものが用いられており、現像ユニット内のトナー濃度は、現像剤の透磁率、つまり単位体積あたりの現像剤の磁気抵抗に現れる。なお、現像剤として、1成分現像剤を使用することもできる。
現像部では、現像スリーブに付着した現像剤のうちのトナーが感光体ドラムに転移される。この現像部は、現像ケースの開口を通して感光体ドラムと対向する現像スリーブ、及び該現像スリーブに先端が接近するように配置されたドクターブレードを有している。また、現像スリーブ内には不図示のマグネットが固定配置されている。
そこで、現像ユニットでは、現像剤が2本のスクリューで攪拌されながら搬送循環され、現像スリーブに供給される。現像スリーブに供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げられて保持される。現像スリーブで汲み上げられた現像剤は、現像スリーブの回転に伴って搬送され、ドクターブレードにより適正な量に規制される。なお、余分な現像剤は攪拌部に戻される。
このようにして感光体ドラムと対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブに印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体ドラム上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体ドラム上の静電潜像部分に転移し、感光体ドラム上の静電潜像を顕像化する。
現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブから離れ、攪拌部に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部内のトナー濃度が薄くなると、それをTCセンサが検出し、その検出結果に基づいて攪拌部にトナーが補給される。
また、1次転写ユニットは、対応する感光体ドラムにおける転写ベルト2040を介して対向する位置に設けられている。
ここでは、1次転写ユニットとして、1次転写ローラが用いられている。該1次転写ローラは、転写ベルト2040を挟んで感光体ドラムに押し当てるようにして設置されている。なお、1次転写ユニットとして、ローラ状のもの以外に、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどが用いられても良い。
感光体クリーニングユニットは、先端が感光体ドラムに押し当てられるように配置されているクリーニングブレード(例えばポリウレタンゴム製)、及び感光体ドラムに接触して配置されている導電性のファーブラシを有している。このファーブラシには不図示の金属製の電界ローラからバイアス電圧が印加されており、その電界ローラには不図示のスクレーバの先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレードやファーブラシによって感光体ドラムから除去されたトナーは、感光体クリーニングユニットの内部に収容され、不図示の廃トナー回収ユニットにて回収される。
図1に戻り、光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光で、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した静電潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された静電潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ユニットの方向に移動し、該現像ユニットによって顕像化される。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のトナー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
反射型光学センサ2245は、転写ベルト2040の近傍に配置されている。この反射型光学センサ2245については後述する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図4〜図7に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をX軸方向、光偏向器2104の回転軸方向をZ軸方向として説明する。
また、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと走査レンズ2105bと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと走査レンズ2105cと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに静電潜像を形成するための光学部材である。
光源2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに静電潜像を形成するための光学部材である。
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光の光路上に配置され、該光を略平行光とする。
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光を整形する。
各シリンドリカルレンズは、対応する開口板の開口部を通過した光を、光偏向器2104の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏向反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光及びシリンドリカルレンズ2204dからの光がそれぞれ偏向され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光及びシリンドリカルレンズ2204cからの光がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。
各感光体ドラム上の光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に移動する。各感光体ドラムにおける光スポットの移動方向が、「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が、「副走査方向」である。
ところで、光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。また、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる領域は「有効走査領域」、「画像形成領域」、あるいは「有効画像領域」などと呼ばれている。
次に、前記反射型光学センサ2245について説明する。ここでは、一例として図8に示されるように、xyz3次元直交座標系において、転写ベルト2040の移動方向、すなわち、副方向をx軸方向とし、主方向をy軸方向とする。そして、反射型光学センサ2245は、転写ベルト2040の+z側に配置されているものとする。また、反射型光学センサ2245は、y軸方向に関して、転写ベルト2040の中央位置y0に対向する位置に配置されているものとする(図9参照)。
反射型光学センサ2245は、一例として図10〜図13に示されるように、11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)を含む照明光学系、11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)を含む受光光学系、11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。
11個の発光部(E1〜E11)は、主方向に沿って等しい間隔(中心間距離)Leで配置されている。各発光部には、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。ここでは、一例として、Le=0.4mmとしている。この場合は、主方向に関して、発光部E1と発光部E11の中心間距離は4mm(Le×10)である。また、各発光部の主方向の大きさは約0.04mmである。さらに、各発光部から射出される光の波長は850nmである。なお、以下では、便宜上、点灯される発光部を「点灯発光部」ともいう。
11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)は、それぞれ11個の発光部(E1〜E11)に個別に対応している。
各照明用マイクロレンズは、対応する発光部から射出された光を転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。各照明用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。また、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の光射出面に直交する方向に平行である。
ここでは、説明をわかりやすくするため、各発光部から射出され対応する照明用マイクロレンズを通過した光のみが、検出用光(S1〜S11)として転写ベルト2040を照明するものとする(図14参照)。そして、各検出用光によって転写ベルト2040の表面に形成される光スポット(以下では、便宜上「検出用光スポット」ともいう)の中心は、副方向に関して、対応する発光部と受光部の中間付近にある。
各検出用光スポットの大きさ(直径)は、一例として、0.4mmである。この値は、上記間隔Leと等しい。なお、従来の検出用光スポットの大きさ(直径)は、通常、2〜3mm程度であった。
また、ここでは、転写ベルト2040の表面は滑らかであり、転写ベルト2040の表面に照射された検出用光のほとんどは正反射される。
11個の受光部(D1〜D11)は、それぞれ発光部(E1〜E11)に個別に対応している。各受光部は、対応する発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光の光路上に配置されている。そして、隣接する2つの受光部の主方向に関する中心間距離は、上記間隔Leと等しい。各受光部には、PD(フォトダイオード)を用いることができる。そして、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、それぞれ11個の受光部(D1〜D11)に個別に対応し、転写ベルト2040あるいは転写ベルト2040上のトナーパターンで反射された検出用光を集光する。この場合、各受光部の受光量を増加させることができる。すなわち、検出感度を向上させることができる。各受光用マイクロレンズでは、レンズ径、レンズの曲率半径、及びレンズ厚は同一である。
各マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に関して正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向に関するパワーと副方向に関するパワーとが互いに異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
ここでは、一例として、各マイクロレンズは球面レンズである。そして、各照明用マイクロレンズでは、入射側の光学面は集光パワーを有し、射出側の光学面は集光パワーを有していない。また、各受光用マイクロレンズでは、射出側の光学面は集光パワーを有し、入射側の光学面は集光パワーを有していない。
具体的には、各照明用マイクロレンズでは、レンズ径は0.415mm、レンズの曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.229mmである。各受光用マイクロレンズでは、レンズ径は0.712mm、レンズの曲率半径は0.380mm、レンズ厚は1.419mmである。
本実施形態では、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)と11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)は、一体化され、マイクロレンズアレイとなっている。これにより、各マイクロレンズを所定位置に組み付ける際の作業性を向上させることができる。また、複数のマイクロレンズにおけるレンズ面間の位置精度を高めることができる。各レンズ面は、フォトリソグラフィや射出成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成することができる。
なお、以下において、発光部を特定する必要がない場合には、「発光部Ei」と表記する。そして、発光部Eiに対応する照明用マイクロレンズを「照明用マイクロレンズLEi」と表記する。また、発光部Eiから射出され照明用マイクロレンズLEiを通過した光を、「検出用光Si」と表記する。また、発光部Eiに対応する受光部を「受光部Di」と表記する。さらに、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを「受光用マイクロレンズLDi」と表記する。
また、一例として図15に示されるように、各照明用マイクロレンズの光軸は、対応する各発光部の中心を通り該発光部の光射出面に直交する軸に対して受光系側にΔd(ここでは、0.035mm)ずれている。また、各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する各受光部の中心を通り該受光部の受光面に直交する軸に対して照射系側にΔd’(ここでは、0.020mm)ずれている。これにより、より多くの反射光を対応する受光部に導くことができる。
そして、副方向に関して、照明用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの中心間距離は0.445mm、発光部Eiと受光部Diの中心間距離は、0.500mmである。さらに、副方向に関して、発光部Eiから照明用マイクロレンズLEiまでの距離は、0.800mmであり、各マイクロレンズの−z側の面から転写ベルト2040表面までの距離は、5mmである。
ところで、カラープリンタ2000の出荷前に行われる各種調整工程では、反射型光学センサ2245に対して転写ベルト2040と同じ位置関係となるように、平面鏡及び互いに表面状態が異なる5種類の拡散反射板(拡散反射板A〜E)を対象物として配置し、反射型光学センサ2245の各発光部を個別に点灯させたときの、受光系の出力分布を求めている。そして、得られた受光系の出力分布は、それぞれ対象物と関連づけられて「基準出力分布データ」として、プリンタ制御装置2090のROMに格納される。
図16には、対象物が平面鏡であり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。該平面鏡は、正反射体である。
図17には、対象物が拡散反射板Aであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。
図18には、対象物が拡散反射板Bであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。
図19には、対象物が拡散反射板Cであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。
図20には、対象物が拡散反射板Dであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。
図21には、対象物が拡散反射板Eであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布が示されている。
なお、図16〜図21における縦軸は、最大値が1となるように規格化されている。
次に、反射型光学センサ2245の検出対象物であるテストパターンとしてのトナーパターンについて説明する。
トナーパターンは、一例として図22に示されるように、5種類のパターン(DP1、DP2、DP3、DP4、PP)を有している。DP1〜DP4は、いずれも濃度検出用パターンであり、PPは位置ずれ検出用パターンである。
濃度検出用パターンDP1はブラックトナーで形成され、濃度検出用パターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、濃度検出用パターンDP3はシアントナーで形成され、濃度検出用パターンDP4はイエロートナーで形成される。なお、濃度検出用パターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「濃度検出用パターンDP」ともいう。
濃度検出用パターンDPは、一例として図23に示されるように、5個の四角形状のパターン(p1〜p5、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。5個の矩形パターンは、副方向に沿って一列に並んでおり、それぞれ全体としてみたときにトナー濃度の階調が互いに異なっている。ここでは、トナー濃度の低い矩形パターンから、p1、p2、p3、p4、p5とする。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp5のトナー濃度が最も高い。そして、矩形パターンp5は、最大のトナー付着量で作成されたいわゆるベタパターンである。
ところで、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、アナログ的に異ならせる方法とデジタル的に異ならせる方法とがある。
トナー濃度の階調をアナログ的に異ならせる方法について以下に簡単に説明する。例えば、静電潜像の形成に用いられる半導体レーザの発光強度と現像バイアスは固定とし、半導体レーザの発光デューティ(Duty)を変化させることによって異なる濃度のパターン(以下、「アナログパターン」ともいう)を形成する場合を考える。
図24には、中間色1のアナログパターン、中間色2のアナログパターン、中間色3のアナログパターン、ベタのアナログパターンについて、感光体ドラム上の静電潜像のうち4ドット×4ドットの領域を切り出したときの、各ドットにおける半導体レーザの発光デューティ(Duty)が示されている。ここでは、中間色1<中間色2<中間色3<ベタ、の順でトナー濃度が高い。また、数値「0」は発光デューティ(Duty)が0(%)、数値「1」は発光デューティ(Duty)が25(%)、数値「2」は発光デューティ(Duty)が50(%)、数値「3」は発光デューティ(Duty)が75(%)、数値「4」は発光デューティ(Duty)が100(%)を意味している。そして、現像の際には、半導体レーザの発光強度、現像バイアス、発光デューティ(Duty)に応じた量のトナーが付着する。すなわち、トナーの付着量は、中間色1<中間色2<中間色3<ベタ、の関係になる。
このように、アナログパターンでは、いずれの濃度においてもその全領域にトナーが付着している。但し、発光デューティ(Duty)が極端に小さい場合や、半導体レーザの発光強度及び現像バイアスの値によっては、1ドットの領域にトナーが付着しない場合もあり得る。
一方、デジタル的に異ならせる方法では、トナーが付着している部分の面積とトナーが付着していない下地(ここでは、転写ベルト2040の表面)部分の面積の割合によってトナー濃度の階調を異ならせている。すなわち、いわゆるディザパターンとなる。ディザパターンによる中間色をルーペ等で拡大して観察すると図25(A)に示されるように、任意の領域において、トナーが存在する領域とトナーが存在しない領域とを明確に区別することができる。なお、この場合のベタパターンが図25(B)に示されている。そして、矩形パターンp1でのトナーの付着状態が図26(A)に示され、矩形パターンp3でのトナーの付着状態が図26(B)に示され、矩形パターンp5でのトナーの付着状態が図26(C)に示されている。
本実施形態では、一例として、トナー濃度の階調を異ならせる方法として、アナログ的に異ならせる方法を採用している。
ここでは、一例として、各矩形パターンの主方向の長さw1を1mm、副方向の長さw2を2mmとしている。すなわち、各矩形パターンの主方向の長さw1(=1mm)は、主方向に隣接する2つの発光部間の長さLe(=0.4mm)と検出用光スポットの大きさ(=0.45mm)の和よりも大きい。また、副方向に関して、隣接する2つの矩形パターンの中心間隔w3は3mmである。そこで、副方向に関する濃度検出用パターンDPの大きさ(4・w3+w2)は14mmとなる。
なお、従来の濃度検出用のテストパターンは、副方向に沿って1列に並ぶ複数のトナーパッチを含み、各トナーパッチは、主方向に関する長さが10mm程度、副方向に関する長さが15mm程度であった。
すなわち、本実施形態では、主方向及び副方向のいずれに関しても、濃度検出用パターンの大きさを従来よりも大幅に小さくすることができる。そして、濃度検出用パターンを作成するのに必要なトナー量を従来の1/100程度とすることができる。そこで、不寄与トナーの量を大幅に減少させることが可能となり、トナーカートリッジの交換時期を延長させることができる。
4つの濃度検出用パターンDP1〜DP4は、一例として図27に示されるように、転写ベルト2040の進行方向に沿って一列に並んでおり、発光部E6からの検出用光S6によって照明される位置に形成されるように設定されている。図28は、図27の一部を拡大した図である。なお、以下では、便宜上、4つの濃度検出用パターンDP1〜DP4の列を「DPパターン列」ともいう。
位置ずれ検出用パターンPPは、一例として図29に示されるように、主方向に沿って一列に並ぶ8個のライン状パターン(LPK1、LPK2、LPM1、LPM2、LPC1、LPC2、LPY1、LPY2)を有している。
ライン状パターンLPK1及びLPK2は、ブラックトナーで形成され、ライン状パターンLPM1及びLPM2は、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1及びLPC2は、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPY1及びLPY2は、イエロートナーで形成される。ここでは、各ライン状パターンは、トナー濃度としていわゆるベタ濃度で形成される。
ライン状パターンLPK1、LPM1、LPC1及びLPY1は、長手方向が主方向に平行であり、ライン状パターンLPK2、LPM2、LPC2及びLPY2は、長手方向が主方向に対して傾斜している。ここでは、傾斜角を45°としている。
なお、以下では、長手方向が主方向に平行なライン状パターンを「平行ライン状パターン」ともいい、長手方向が主方向に対して傾斜しているライン状パターンを「傾斜ライン状パターン」ともいう。
ここでは、各平行ライン状パターンは、長手方向の長さw4を1.0mm、短手方向の長さw5を0.5mmとしている。また、副方向に隣接する2つの平行ライン状パターンの中心間距離w6を1.5mmとしている。
また、各傾斜ライン状パターンは、主方向に関して、4つの角部のうち内側に位置する2つの角部間の距離w7を1.0mm、短手方向の長さを0.5mmとしている。そして、副方向に隣接する2つの傾斜ライン状パターンの中心間距離w8を1.5mmとしている。
なお、従来の位置ずれ検出用のテストパターンは、主方向に対して平行及び傾斜した複数のライン状パターンを含み、各ライン状パターンは、主方向に関する長さが8mm程度、副方向に関する長さが1mm程度であった。また、副方向に隣接する2つのライン状パターンの中心間距離は3.5mm程度であった。
本実施形態では、一例として図30に示されるように、発光部E6からの検出用光S6によって照明される位置に位置ずれ検出用パターンPPが形成されるように設定されている。すなわち、DPパターン列と位置ずれ検出用パターンPPは、副方向に沿って一列となるように形成される。ここでは、DPパターン列の後方に位置ずれ検出用パターンPPが位置するように設定されている。
次に、画像プロセス制御のために、反射型光学センサ2245を用いて行われる濃度検出処理及び位置ずれ検出処理について図31を用いて説明する。本実施形態では、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理は、プリンタ制御装置2090によって行われる。図31のフローチャートは、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理の際に、プリンタ制御装置2090によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、濃度検出処理と位置ずれ検出処理とを合わせて「検出処理」ともいう。
(1)最初のステップS301では、画像プロセス制御の要求があるか否かを判断する。ここでは、画像プロセス制御フラグがセットされていれば、ここでの判断は肯定され、画像プロセス制御フラグがセットされていなければ、ここでの判断は否定される。
画像プロセス制御フラグは、電源投入直後では、(a)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(b)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(c)装置内の相対湿度が50%以上変化しているときなどにセットされ、印刷時では、(d)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(e)現像スリーブの回転回数が所定の回数に達したとき、(f)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどにセットされる。
ステップS301での判断が否定されると、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理はいずれも行われない。一方、ステップS301での判断が肯定されると、画像プロセス制御フラグをリセットし、ステップS303に移行する。ここでは、ユーザから連続する複数枚の画像の形成が要求され、該複数枚の画像におけるm番目の画像が形成された後で、(m+1)番目の画像が形成される前のタイミングで画像プロセス制御フラグがセットされたものとする。
(2)このステップS303では、トナーパターンが形成される主方向の位置を知るためのダミーパターンDKDPの作成を走査制御装置に指示する。
ダミーパターンDKDPは、ベタ濃度のブラックトナーで形成される長方形状のパターンである。ダミーパターンDKDPの主方向の長さは1.0mm、副方向の長さは0.5mmである。なお、ダミーパターンの色、トナー濃度及び形状は、これに限定されるものではない。
ここでは、ダミーパターンDKDPは、主方向に関して、その中心位置がトナーパターンの中心位置と一致するように形成される。
そこで、走査制御装置は、感光体ドラム2030aにおける有効画像領域の中央にダミーパターンDKDPの静電潜像が形成されるように光源2200aを制御する。
そして、該静電潜像は対応する現像ユニットで顕像化され、所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。これによって、転写ベルト2040上にダミーパターンDKDPが形成される(図32参照)。なお、ダミーパターンDKDPを形成するために必要な作像条件などはプリンタ制御装置2090のROMに予め格納されている。
(3)次のステップS305では、主方向に関するダミーパターンの位置を求める。
ところで、反射型光学センサ2245に対するトナーパターンの主方向に関する位置は、トナーパターンの形成位置のずれや、転写ベルトの蛇行などによって、予定していた位置に対して異なることがある。そこで、トナーパターンの主方向に関する位置を予め取得しておくことが必要である。
ここでは、ダミーパターンDKDPは、検出用光S6によって照明される位置に形成されるように設定されている。図33には、ダミーパターンDKDPが設定通りに形成されている場合の検出用光S6の軌跡が示されている。
図34〜図36には、ダミーパターンDKDPが反射型光学センサ2245に対向する位置に移動してきたときの、受光部の出力の一例が示されている。図34には、発光部E6のみを点灯させたときの、受光部D6の出力(D6(dp)とする)が示され、図35には、発光部E7のみを点灯させたときの、受光部D7の出力(D7(dp)とする)が示され、図36には、発光部E5のみを点灯させたときの、受光部D5の出力(D5(dp)とする)が示されている。
なお、図34におけるD6(belt)は、検出用光S6が転写ベルトを照明したときの受光部D6の出力であり、図35におけるD7(belt)は、検出用光S7が転写ベルトを照明したときの受光部D7の出力であり、図36におけるD5(belt)は、検出用光S5が転写ベルトを照明したときの受光部D5の出力である。
そして、図34におけるΔD6は、D6(belt)とD6(dp)の差分であり、図35におけるΔD7は、D7(belt)とD7(dp)の差分であり、図36におけるΔD5は、D5(belt)とD5(dp)の差分である。
ここでは、ΔD6>ΔD7、ΔD6>ΔD5の関係がある。
この場合は、検出用光S6は、その全てがダミーパターンDKDPに照射され、ダミーパターンDKDPによって散乱又は吸収されるため、D6(dp)は、D6(belt)に比べて非常に小さい値になっていると考えられる。一方、検出用光S7は、転写ベルトとダミーパターンDKDPの両方に照射されたため、ダミーパターンDKDPによって散乱又は吸収される光が少なく、ΔD6>ΔD7となったと考えられる。同様に、検出用光S5は、転写ベルトとダミーパターンDKDPの両方に照射されたため、ダミーパターンDKDPによって散乱又は吸収される光が少なく、ΔD6>ΔD5となったと考えられる。
そこで、この場合は、一例として図37に示されるように、主方向に関して、ダミーパターンDKDPの中心は、発光部E6とほぼ同じ位置にあることが推定できる。なお、ここでは、D5(belt)≒D6(belt)≒D7(belt)であるため、D5(dp)とD6(dp)とD7(dp)の中でD6(dp)が最も小さいことから、上記推定をしても良い。ここでは、主方向に関して、ダミーパターンDKDPの中心とトナーパターンの中心とが一致するように設定されているため、主方向に関して、トナーパターンの中心は、発光部E6とほぼ同じ位置にあることが推定できる。
図38〜図41には、ダミーパターンDKDPが反射型光学センサ2245に対向する位置に移動してきたときの、受光部の出力の別の例が示されている。図38には、発光部E6のみを点灯させたときの、D6(dp)が示され、図39には、発光部E7のみを点灯させたときの、D7(dp)が示され、図40には、発光部E5のみを点灯させたときの、D5(dp)が示され、図41には、発光部E8のみを点灯させたときの、受光部D8の出力(D8(dp)とする)が示されている。
なお、図41におけるD8(belt)は、検出用光S8が転写ベルトを照明したときの受光部D8の出力であり、ΔD8は、D8(belt)とD8(dp)の差分である。
ここでは、ΔD6≒ΔD7>ΔD5≒ΔD8の関係がある。この場合は、一例として図42に示されるように、主方向に関して、ダミーパターンDKDPの中心は、発光部E6と発光部E7との中間位置にあることが推定できる。そこで、主方向に関して、トナーパターンの中心は、発光部E6と発光部E7との中間位置にあることが推定できる。
また、発光部E6を点灯させても、受光系の出力分布が転写ベルト2040を照明したときの受光系の出力分布と同じ場合には、なんらかの突発的な事象により、ダミーパターンDKDPは許容できる範囲内に存在していないと判断する。
(4)次のステップS307では、ダミーパターンDKDPの主方向に関する位置が正しいか否かを判断する。
ここでは、ダミーパターンDKDPが許容できる範囲内に存在していないと判断されると、ここでの判断は否定され、ステップS309に移行する。
(5)このステップS309では、許容できる範囲内に存在していないと判断されたダミーパターンDKDPの形成位置を修正し、上記ステップS303に戻る。
一方、上記ステップS307において、ダミーパターンDKDPが許容できる範囲内に存在していれば、ステップS307での判断は肯定され、ステップS311に移行する。
(6)このステップS311では、トナーパターンを照明する際の点灯発光部を決定する。ここでは、一部の発光部を点灯させる場合と全ての発光部を点灯させる場合とが考えられる。
一部の発光部を点灯させる場合は、上記ステップS305で推定されたトナーパターンの主方向に関する位置に基づいて、点灯発光部を決定することができる。
例えば、主方向に関して、トナーパターンの中心が、発光部E6とほぼ同じ位置にあると推定された場合には、点灯発光部として、発光部E6のみと決定することができる。なぜなら、発光部E5及びE7を点灯させても検出用光S5及びS7の一部はトナーパターンを照明しないため、光の利用効率が小さく、検出精度にほとんど影響しないからである。
なお、トナーパターンが副方向に移動しているときに、検出用光S6がトナーパターンから外れてしまうおそれがある場合は、余裕を見て発光部E6の両側の発光部E5及びE7も加えて、点灯発光部を発光部E5〜E7の3つと決定しても良い。カラープリンタ2000の特性(トナーパターンの形成位置ずれ状態、感光体ドラム及び転写ベルトの蛇行状態など)に応じて、余裕分を決定することができる。
また、例えば、主方向に関して、トナーパターンの中心が、発光部E6と発光部E7との中間位置にあると推定された場合、点灯発光部として、発光部E6と発光部E7の2つと決定することができる。なぜなら、発光部E5及びE8を点灯させても検出用光S5及びS8の一部はトナーパターンを照明しないため、光の利用効率が小さく、検出精度にほとんど影響しないからである。この場合、発光部毎に演算結果が得られるので、発光部E6及び発光部E7に対して得られた演算結果を平均化することにより、検出精度を高めることができる。
なお、トナーパターンが副方向に移動している際に、検出用光S6及びS7がトナーパターンから外れてしまうおそれがあるときは、余裕を見て発光部E6及びE7の両側の発光部E5と発光部E8も加えて、点灯発光部をE5〜E8の4つとしても良い。
また、発光部E6及び発光部E7のどちらか一方を選択し、該選択された発光部のみを点灯させても良い。
全ての発光部を点灯させる場合は、点灯させる発光部として発光部E1〜E11の11個と決定する。この場合には、トナーパターンの位置が主方向に若干(4mm以下)変化しても、トナーパターンが検出用光から外れてしまうおそれはない。
(7)次のステップS313では、トナーパターンを照明する際の点灯パターンを決定する。
点灯パターンとして、点灯発光部が複数のとき、それらを同時に点灯・消灯させる場合と、それらを順次、点灯・消灯させる場合とがある。
例えば、発光部Enと発光部Em(n≠m)を同時に点灯させて、検出用光Snと検出用光Smで1つの矩形パターンを照明する場合、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されると、それらを分離することはできない。しかしながら、発光部Enと発光部Emを、順次、点灯・消灯させて、検出用光Sn及び検出用光Smで個別に1つの矩形パターンを照明する場合、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されても、受光タイミングの違いによって、それらを分離することができる。
一方、検出用光Snによる反射光と、検出用光Smによる反射光が、同一の受光部で受光されなければ、発光部Enと発光部Emを同時に点灯させることが可能である。もちろん、このときでも、発光部Enと発光部Emを、順次、点灯・消灯させても良い。
ここでは、点灯対象の発光部の全てを1回点灯・消灯させるのに要する時間を「ライン周期」という。複数の発光部を同時に点灯・消灯させる場合は、複数の発光部を順次、点灯・消灯させる場合に比べて、ライン周期を短くできるという利点がある。
複数の検出用光による反射光が、同一の受光部で受光されるか否かは、点灯させる複数の発光部の位置関係、矩形パターンにおける拡散反射特性(反射光の角度分布)などに依存する。
例えば、点灯発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合、検出用光S6による反射光は、受光部D6と受光部D7で受光でき、検出用光S7による反射光も、受光部D6と受光部D7で受光できるレイアウトとなっている。そこで、発光部E6と発光部E7が同時に点灯されると、受光部D6及び受光部D7で受光された反射光を、検出用光S6による反射光と、検出用光S7による反射光とに分離することができない。この場合には、発光部E6と発光部E7を、順次(この場合は、交互に)点灯・消灯させる必要がある。
また、例えば、点灯発光部として発光部E5〜E8の4つが決定された場合、発光部E5、発光部E6、発光部E7、発光部E8、発光部E5、発光部E6、・・・の順に点灯・消灯させる。
(8)次のステップS315では、トナーパターンを照明する際の点灯モードを決定する。点灯モードとして、発光部を常時点灯させる場合と、パルス点灯させる場合とある。
例えば、点灯発光部として発光部E6の1つのみが決定された場合には、発光部を常時点灯させても良いし、パルス点灯させても良い。
一方、例えば、点灯発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合には、発光部E6と発光部E7は、順次(この場合は、交互に)点灯・消灯させる必要があり、各発光部はパルス点灯されることとなる。
このように、点灯対象の発光部が複数あり、それらを順次、点灯・消灯させる場合には、各発光部はパルス点灯される。一方、それ以外の場合には、各発光部は常時点灯及びパルス点灯の一方を選択することができる。
常時点灯は、発光部の点灯/消灯の回数を減らすことができ、駆動回路を簡素化できる利点がある。パルス点灯は、発光している時間を短くすることができ、発光部の劣化を抑え、長寿命化を図ることができる。また、発光部の温度上昇を抑えられるという利点がある。
なお、上記点灯発光部、上記点灯パターン、及び上記点灯モードの全てが選択可能であっても良いし、それらの少なくとも1つが、予め決定されていても良い。前者の場合は、駆動回路が複雑になってしまうが、様々な画像形成装置に対して種々の動作が可能となる。後者の場合、例えば、点灯パターンと点灯モードが予め決定されていれば、駆動回路を簡素化でき、低コスト化を図ることができる。この場合、点灯発光部に関しては、対象となるパターンの主方向の長さや、上記画像形成装置の性能に応じて適切に選択できるので、実用的である。
(9)次のステップS317では、出力を取得する受光部を決定する。出力を取得する受光部として、一部の受光部の出力を取得する場合と、全ての受光部の出力を取得する場合とがある。
一部の受光部の出力を取得する場合には、点灯発光部の決定結果に基づいて、出力を取得する受光部を決定することができる。
DPパターン列について説明する。例えば、点灯発光部として発光部E6の1つのみが決定された場合について説明する。
図43(A)には、検出用光S6が転写ベルトを照明したときの、各受光部の出力が示され、図43(B)には、検出用光S6がダミーパターンDKDPを照明したときの、各受光部の出力が示されている。この場合は、受光部D1〜D3及びD9〜D11は受光部の出力が0であるため、必要な受光部はD4〜D8の5つである。
また、点灯発光部として発光部がE6と発光部E7の2つが決定され、これらが順次、点灯・消灯される場合には、発光部E6に対して必要な受光部はD4〜D8であり、発光部E7に対して必要な受光部はD5〜D9であり、合わせて必要な受光部はD4〜D9の6つである。
ところで、不要な受光部の出力を取得しない場合は、データ量の削減、及び演算量の削減を図ることができる。
もちろん、点灯発光部として全ての発光部が決定された場合には、全ての受光部の出力が取得される。また、点灯発光部に関係なく、全ての受光部の出力を取得しても良い。
(10)次のステップS319では、受光部の出力を取得するタイミングを決定する。
例えば、点灯発光部として発光部E6の1つのみが決定され、常時点灯されている場合について説明する。この場合、出力を取得する受光部はD4〜D8の5つである。
図44には、発光部E6の点灯・消灯タイミング、及び受光部D4〜D8の出力のサンプリングタイミングが示されている。
なお、一例として図45に示されるように、1つの矩形パターンにつき複数回のサンプリングを行っても良い。この場合には、矩形パターン毎に複数の演算結果が得られるので、それらを平均化することにより、検出精度を高めることができる。
また、一例として図46に示されるように、各矩形パターンが、検出用光S6の照明領域を通過するタイミングに合わせて、発光部E6がパルス点灯されても良い。そして、この場合に、一例として図47に示されるように、点灯時間を、矩形パターンが検出用光S6の照明領域を通過する時間よりも短くしても良い。これにより、発光部の温度上昇を更に抑制することができる。また、この場合に、一例として図48に示されるように、1つの矩形パターンにつき複数回のサンプリングを行っても良い。
また、一例として図49及び図50に示されるように、1つの矩形パターンにつき、発光部の点灯・消灯を複数回行っても良い。そして、発光部の点灯・消灯毎にサンプリングを行っても良い。
次に、点灯発光部として発光部E6と発光部E7の2つが決定された場合について説明する。この場合、出力を取得する受光部はD4〜D9の6つである。
図51には、発光部E6の点灯・消灯タイミング、発光部E7の点灯・消灯タイミング、及び受光部D4〜D9の出力のサンプリングタイミングが示されている。この場合には、矩形パターン毎に4個の演算結果が得られるので、それらを平均化することにより、検出精度を高めることができる。
なお、一例として図52に示されるように、ライン周期を短くしても良い。この場合は、サンプリング回数を増やすことができ、検知精度を更に高めることができる。
ところで、受光部の出力を取得するタイミングは、画像形成装置が必要とする各矩形パターンに対するサンプリング回数が設定されれば、発光部に関する決定内容に合わせて、様々なタイミングの設定が可能である。
位置ずれ検出用パターンPPについて説明する。例えば、点灯させる発光部として発光部E6の1つのみが決定された場合について説明する。
図53には、発光部E6が常時点灯されているときに、受光部D6の出力のサンプリングが発光部E6の点灯に連動している場合が示されている。なお、受光部D6の出力の単位時間当たりのデータ点数は、受光部D6におけるサンプリングレートに依存する。
図54には、発光部E6がパルス点灯されているときの、受光部D6の出力をサンプリングするタイミングが示されている。発光部E6が点灯されるタイミングに合わせて常にサンプリングされている。
ところで、受光部の出力を取得するタイミングは、良好な位置ずれ検出を行うために画像形成装置が必要とする各ライン状パターンに対するサンプリング回数が設定されれば、発光部に関する決定内容に合わせて、様々なタイミングの設定が可能である。
(11)次のステップS323では、トナーパターンの作成を走査制御装置に指示する。
走査制御装置は、推定されたトナーパターンの位置に基づいて、感光体ドラム2030aに濃度検出用パターンDP1の静電潜像、感光体ドラム2030bに濃度検出用パターンDP2の静電潜像、感光体ドラム2030cに濃度検出用パターンDP3の静電潜像、感光体ドラム2030dに濃度検出用パターンDP4の静電潜像を形成する。
続いて、走査制御装置は、推定されたトナーパターンの位置に基づいて、感光体ドラム2030aにライン状パターンLPK1、LPK2の各静電潜像、感光体ドラム2030bにライン状パターンLPM1、LPM2の各静電潜像、感光体ドラム2030cにライン状パターンLPC1、LPC2の各静電潜像、感光体ドラム2030dにライン状パターンLPY1、LPY2の各静電潜像を形成する。
そして、各静電潜像は対応する現像ユニットで顕像化され、それぞれ所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。これによって、転写ベルト2040上におけるm番目の画像に続いて、トナーパターンが形成される(図55参照)。
なお、トナーパターンを形成するために必要な作像条件などはプリンタ制御装置2090のROMに予め格納されている。また、該ROMには、反射型光学センサの出力をトナー濃度に変換するための濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)も予め格納されている。
(12)次のステップS325では、トナーパターンを検出用光で照明し、各受光部の出力を取得する。なお、各受光部の出力は、各受光部での受光量にそれぞれ対応しているため、以下では、便宜上、受光部の出力を「受光量」ともいう。
(13)次のステップS327では、DPパターン列における各矩形パターンのトナー濃度を算出する。
矩形パターンの表面に照射された検出用光は、正反射及び拡散反射される。なお、以下では、便宜上、正反射した光を「正反射光」、拡散反射した光を「拡散反射光」ともいう。
ところで、発光部から射出された検出用光を幾何光学的に見て多数の光線の集合であるとし、図56(A)に示されるように、トナーの形状が真球であると仮定すると、トナーによる正反射光とは、図56(B)に示されるように、真球の表面(発光部側)の任意の1点で正反射した光線と考えることができる。
また、トナーによる拡散反射光とは、図56(C)に示されるように、トナー表面とトナー裏面とで屈折し、転写ベルトで反射され、トナー裏面とトナー表面で再度屈折して受光部に到達した光線である。また、図56(D)に示されるように、トナー表面で正反射した後に転写ベルトで反射されて受光部に到達した光線もトナーによる拡散反射光である。トナーによる正反射光は、トナーによる拡散反射光に比べて著しく少ない。
そこで、各受光部の受光量のうち、図56(B)に示される条件を満たす光線の受光量が、矩形パターンからの正反射光の受光量である。また、各受光部の受光量のうち、トナー表面で屈折し、1度でもトナー内部に侵入した光線、及びトナー表面で正反射した後に転写ベルトで反射された光線の受光量は、矩形パターンからの拡散反射光の受光量となる。なお、トナー表面で屈折した光線の中には、トナー内部で多重反射を起こすものも存在する。このような光線の反射光も、各受光部で受光されれば、矩形パターンからの拡散反射光の受光量となる。
このトナー濃度の算出処理を図57のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、点灯発光部が発光部E6のみとされたものとする。
(13−1)最初のステップS401では、プリンタ制御装置2090のROMに格納されている前記「基準出力分布データ」から、対象物が平面鏡であり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布を取り出す(図58参照)。
(13−2)次のステップS403では、プリンタ制御装置2090のROMに格納されている前記「基準出力分布データ」から、対象物が拡散反射板A〜Eであり、発光部E6のみを点灯させたときの、受光系の出力分布を取り出す(図59〜図63参照)。
(13−3)次のステップS405では、対象物が平面鏡のときの、各受光部の受光量(第1の基準受光量Ds1)、対象物が拡散反射板Aのときの、各受光部の受光量(第2の基準受光量Ds2)、及びそれぞれ0以上で1以下の係数αとβを用いて、矩形パターン毎に、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量をα×Ds1+β×Ds2で表し、該矩形パターンで反射された光を受光した受光部の受光量の実測値と、前記第1の基準受光量Ds1と、前記第2の基準受光量Ds2とから、前記係数αと係数βを算出する。
上記ステップS325で取得された受光系の受光量分布が図64〜図68に示されている。なお、各受光量分布は、対象物が平面鏡のときの受光部D6の受光量を「1」として規格化されている。また、D_ALLは、5個の受光部D4〜D8の受光量の和である。
図64には、検出用光S6が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp1を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量分布が示されている。
図65には、検出用光S6が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp2を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量分布が示されている。
図66には、検出用光S6が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp3を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量分布が示されている。
図67には、検出用光S6が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp4を照明したときの、受光部D4〜D8の受光量が示されている。
図68には、検出用光S6が濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp5を照明したときの受光部D4〜D8の受光量分布が示されている。
ここでは、一例として、濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp4の場合について説明する。
ここで、照射対象物が平面鏡のときの、受光部D1の受光量をD1B、受光部D2の受光量をD2B、受光部D3の受光量をD3B、受光部D4の受光量をD4B、受光部D5の受光量をD5Bとする。
また、照射対象物が拡散反射板のときの、受光部D1の受光量をD1p、受光部D2の受光量をD2p、受光部D3の受光量をD3p、受光部D4の受光量をD4p、受光部D5の受光量をD5pとする。
また、照射対象物が矩形パターンp4のときの、受光部D1の受光量をD1p4、受光部D2の受光量をD2p4、受光部D3の受光量をD3p4、受光部D4の受光量をD4p4、受光部D5の受光量をD5p4とする。
そして、D1p4’〜D5p4’を次の(1)〜(5)式で定義する。ここで、0≦k1≦1、0≦k2≦1である。
D1p4’=k1・D1B+k2・D1p ……(1)
D2p4’=k1・D2B+k2・D2p ……(2)
D3p4’=k1・D3B+k2・D3p ……(3)
D4p4’=k1・D4B+k2・D4p ……(4)
D5p4’=k1・D5B+k2・D5p ……(5)
次に、δD1〜δD5を次の(6)〜(10)式で定義する。
δD1=(D1p4−D1p4’)2÷D1p4 2 ……(6)
δD2=(D2p4−D2p4’)2÷D2p4 2 ……(7)
δD3=(D3p4−D3p4’)2÷D3p4 2 ……(8)
δD4=(D4p4−D4p4’)2÷D4p4 2 ……(9)
δD5=(D5p4−D5p4’)2÷D5p4 2 ……(10)
そして、次の(11)式で示されるδDの値が最小となるときのk1の値を係数α、k2の値を係数βとする。すなわち、重み付け最小二乗法を用いて係数α及び係数βを求める。
δD=δD1+δD2+δD3+δD4+δD5 ……(11)
ところで、一般的に平面鏡の反射率はトナーの反射率に比べて大きいため、仮に、上記(6)〜(10)式において、重みを付けないで、δDi=(Dip4−Dip4’)として最小二乗法を用いると、係数βが小さく抑えられてしまうという不都合がある。
なお、上記(6)〜(10)式における右辺の分母として、Dip4 2に代えて、Dip4 1/2あるいはDip4 3を用いても良い。
また、各照射対象物に、それぞれ複数の実測値がある場合は、平均値を用いて同様に係数α及び係数βを求めることができる。この場合について説明する。
ここで、照射対象物が平面鏡のときの、受光部D1の平均受光量をavD1B、受光部D2の平均受光量をavD2B、受光部D3の平均受光量をavD3B、受光部D4の平均受光量をavD4B、受光部D5の平均受光量をavD5Bとする。
また、照射対象物が拡散反射鏡のときの、受光部D1の平均受光量をavD1p、受光部D2の平均受光量をavD2p、受光部D3の平均受光量をavD3p、受光部D4の平均受光量をavD4p、受光部D5の平均受光量をavD5pとする。
また、照射対象物が矩形パターンp4のときの、受光部D1の平均受光量をavD1p4、受光部D2の平均受光量をavD2p4、受光部D3の平均受光量をavD3p4、受光部D4の平均受光量をavD4p4、受光部D5の平均受光量をavD5p4とする。そして、このときの各受光部の受光量の標準偏差の値をσDip4とする。
そして、avD1p4’〜avD5p4’を次の(12)〜(16)式で定義する。
avD1p4’=k1・avD1B+k2・avD1p ……(12)
avD2p4’=k1・avD2B+k2・avD2p ……(13)
avD3p4’=k1・avD3B+k2・avD3p ……(14)
avD4p4’=k1・avD4B+k2・avD4p ……(15)
avD5p4’=k1・avD5B+k2・avD5p ……(16)
次に、δavD1〜δavD5を次の(17)〜(21)式で定義する。
δavD1=(avD1p4−avD1p4’)2÷σDip4 2 ……(17)
δavD2=(avD2p4−avD2p4’)2÷σDip4 2 ……(18)
δavD3=(avD3p4−avD3p4’)2÷σDip4 2 ……(19)
δavD4=(avD4p4−avD4p4’)2÷σDip4 2 ……(20)
δavD5=(avD5p4−avD5p4’)2÷σDip4 2 ……(21)
そして、次の(22)式で示されるδavDの値が最小となるときのk1の値を係数α、k2の値を係数βとする。
δavD=δavD1+δavD2+δavD3+δavD4+δavD5 ……(22)
なお、上記(17)〜(21)式における右辺の分母として、上記σDip4 2に代えて、avDip4 2、avDip4 1/2あるいはavDip4 3を用いても良い。
このようにして得られた、矩形パターンp1〜p5における係数α及び係数βが図69に示されている。ここで、DP1_p1〜DP1_p5は、濃度検出用パターンDP1の矩形パターンp1〜p5を意味している。
(13−4)次のステップS407では、対象物が平面鏡のときの各受光部の受光量と、対象物が拡散反射板Bのときの各受光部の受光量を用いて、上記ステップS405と同様にして前記係数αと係数βを算出する。
(13−5)次のステップS409では、対象物が平面鏡のときの各受光部の受光量と、対象物が拡散反射板Cのときの各受光部の受光量を用いて、上記ステップS405と同様にして前記係数αと係数βを算出する。
(13−6)次のステップS411では、対象物が平面鏡のときの各受光部の受光量と、対象物が拡散反射板Dのときの各受光部の受光量を用いて、上記ステップS405と同様にして前記係数αと係数βを算出する。
(13−7)次のステップS413では、対象物が平面鏡のときの各受光部の受光量と、対象物が拡散反射板Eのときの各受光部の受光量を用いて、上記ステップS405と同様にして前記係数αと係数βを算出する。
(13−8)次のステップS415では、各拡散反射板について、算出された係数αと係数βを用いて、照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときの各受光部の受光量の計算値を求める(図70〜図73参照)。
(13−9)次のステップS417では、照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときの各受光部の受光量の計算値と実測値との差が最も小さい拡散反射板を特定する。具体的には、受光部毎に受光量の計算値と実測値との差を算出し、それらを2乗した値の加算値(2乗和)を複数の拡散反射板でそれぞれ求め、該2乗和が最も小さい拡散反射板を特定する。
(13−10)次のステップS419では、上記特定された拡散反射板での係数αと係数βを用いて、照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときの各受光部の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とに分離する。ここでは、α×Ds1が正反射光の受光量であり、β×Ds2が拡散反射光の受光量である。
濃度検出用パターン毎に、照射対象物が転写ベルトのときのD_ALL、及び照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときのD_ALLに、それぞれ係数αを掛けた値(「Dα」と表記する)と係数βを掛けた値(「Dβ」と表記する)を求める。
図74には、濃度検出用パターンDP1でのDα、すなわち、正反射光の受光量が示されている。これによると、Dαは、トナー濃度が高くなるにつれて減少しており、しかも、Dαとトナー濃度とは1対1で対応している。なお、図74では、最大値を1としている。
また、図75には、濃度検出用パターンDP1でのDβ、すなわち、拡散反射光の受光量が示されている。これによると、Dβは、トナー濃度が高くなるにつれて増加しており、しかも、Dβとトナー濃度とは1対1で対応している。なお、図75では、最大値を1としている。
(13−11)次のステップS421では、トナー濃度を求める。ここでは、プリンタ制御装置2090のROMに格納されている前記濃度変換LUT(ルック・アップ・テーブル)を参照し、各矩形パターンのDαあるいはDβの計算値から各矩形パターンのトナー濃度を求める。これによって、濃度検出処理を終了し、ステップS329に移行する。
(14)このステップS329では、位置ずれ検出用パターンPPを検出用光が照明したときの、反射型光学センサ2245の出力信号に基づいて、各ライン状パターンの位置ずれを求める。
一例として図76には、発光部E6が常時点灯されたときの、受光部D6の出力変化が示されている。また、一例として図77には、発光部E6がパルス点灯されたときの、受光部D6の出力変化が示されている。なお、図76及び図77における「転写ベルト」は、照明対象物が転写ベルトであることを意味し、「LPK1」〜「LPY2」は、照明対象物が「LPK1」〜「LPY2」であることを意味している。また、以下では、受光部の出力変化を「出力波形」ともいう。
図78を用いて、出力波形から各ライン状パターンの計算上の検出時間を求める方法について説明する。なお、ここでは、発光部の点灯が開始された時を基点としている。
先ず、ライン状パターンLPK1の検出時間を求める。
ライン状パターンLPK1における出力波形の立ち下がり直前(t1)での受光部D6の出力の任意の時間内における平均値と、出力波形の立ち上がり直後(t3)での受光部D6の出力の任意の時間内における平均値を求める。分かりやすいように、これらの平均値が共に等しい値を取ることとし、この値をD_Beltとする。
検出用光S6の全てがライン状パターンLPK1を照明したとき(t2)に、受光部D6の出力の任意の時間内における平均値を求め、この値をD_Bkとする。D_BeltとD_Bkの差分値を求める。この差分値をD_BBとする。
D_BkにD_BBの50%を加えた値となる時間を、出力波形の立ち下がり領域及び出力波形の立ち上がり領域で1つずつ(ta、tb)求める。2つの時間(ta、tb)の平均値を求める。この平均値に対応する時間が、ライン状パターンLPK1の検出時間となる。なお、このようにして、ライン状パターンの検出時間を求めることを、以下では、「50%のスレッシュレベルでパターンを検出する」ともいう。
ところで、受光部のサンプリング周波数によっては、受光部D6の単位時間あたりの出力のデータ点数が少なくなり、D_BkにD_BBの50%を加えた値となる時間が取得データの中に存在しない場合がある。この場合、所望のデータ点に最も近い2点のデータ点を線形補完することで仮想的に所望のデータ点(ここでは、D_BkにD_BBの50%を加えた値となる時間)を求める。
なお、ライン状パターンLPK1の検出時間を求める際に、受光部D6の出力が、D_BkにD_BBの50%を加えた値となる時間を求めたが、D_BBの50%に限定する必要はなく、例えば、D_BkにD_BBの40又は60%を加えた値となる時間を求めて、ライン状パターンLPK1の検出位置を求めてもよい。すなわち、上記スレッシュレベルを40又は60%としても良い。理想的な場合では、D_BkにD_BBの40%、50%、及び60%のいずれを加えて検出時間を求めても、結果はほとんどかわらない。
続いて、同様にして、他のライン状パターンの検出時間を求める。
上記説明では、発光部E6を常時点灯させた場合について説明したが、発光部E6をパルス発光させた際の受光部D6の出力波形を用いても、上記方法と同様な方法で検出時間を求めることができる(図79参照)。この場合、発光部のパルス周波数に同期して受光部の出力を取得しているため、パルス周波数によっては、受光部D6の単位時間あたりの出力のデータ点数が少なくなり、各スレッシュレベルに対応するデータ点が存在しない場合も考えられる。この場合も、所望のデータ点に最も近い2点のデータ点を線形補完することで仮想的に所望のデータ点を求めた後に、上記方法を適用すれば良い。
また、一般的には発光部のパルス周波数よりも、受光部のサンプリング周波数の方が高く設定できる。そこで、単位時間あたりの受光部D6の出力のデータ点数は、発光部E6を常時点灯させた場合の方が、発光部E6をパルス点灯させた場合に比べて多くなり、上記線形補完の精度も高くなる。その結果、位置ずれ検出精度も高くなる。なお、ライン状パターンの検出時間の算出方法は上記方法に限定されるものではない。
そして、一例として図80に模式図的に示されるように、受光部D6の出力波形における、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPM1の検出時間までの時間Tkm1、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPC1の検出時間までの時間Tkc1、ライン状パターンLPK1の検出時間からライン状パターンLPY1の検出時間までの時間Tky1を求める。
また、受光部D6の出力波形における、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPM2の検出時間までの時間Tkm2、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPC2の検出時間までの時間Tkc2、ライン状パターンLPK2の検出時間からライン状パターンLPY2の検出時間までの時間Tky2を求める。
そして、時間Tkm1、時間Tkc1、及び時間Tky1と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔTm1、ΔTc1、ΔTy1とする)をそれぞれ求める。時間差が許容範囲内であれば、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対する副方向の位置関係は適正であると判断する。一方、時間差が許容範囲内でなければ、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対する副方向の位置関係にずれがあると判断する。この場合には、プリンタ制御装置2090は、該時間差から上記位置関係のずれ量(ずれ量ΔS1とする)を求め、該ずれ量ΔS1を走査制御装置に通知する。
また、時間Tkm2、時間Tkc2、及び時間Tky2と、あらかじめ得られているそれらの基準時間との差(時間差ΔTm2、ΔTc2、ΔTy2とする)をそれぞれ求める。時間差が許容範囲内であれば、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対する主方向の位置関係は適正であると判断する。一方、時間差が許容範囲内でなければ、該色のトナー画像のブラックのトナー画像に対する主方向の位置関係にずれがあると判断する。この場合には、プリンタ制御装置2090は、該時間差から上記位置関係のずれ量(ずれ量ΔS2とする)を求め、該ずれ量ΔS2を走査制御装置に通知する。
一例として、時間差ΔTm1が許容範囲内でない場合が図81(A)に示されている。また、時間差ΔTm2が許容範囲内でない場合が図81(B)に示されている。この場合には、プリンタ制御装置2090は、次の(23)式を用いて、ブラックのトナー画像に対するマゼンタのトナー画像の主方向の位置ずれ量ΔS2を求める。ここで、Vは転写ベルト2040の副方向への移動速度である。
ΔS2=V・ΔTm2・cot45° ……(23)
これによって、位置ずれ検出処理を終了し、ステップS309に移行する。
(15)次のステップS331では、画像プロセス制御を実施する。
ここでは、上記濃度検出処理で得られたトナー濃度から、トナーの色毎に、トナー濃度のずれ量を求める。そして、トナー濃度のずれ量が許容限を超えている場合には、トナー濃度が狙いのトナー濃度となるように、或いは、トナー濃度のずれ量が許容限内となるように制御する。
例えば、トナー濃度のずれ量に応じて、対応する画像形成ステーションにおいて、現像ポテンシャル制御、及び階調制御などを行う。
現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を確保するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。すなわち、濃度検出用パターンから得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より、現像γ(現像ポテンシャルを横軸、トナー濃度を縦軸としたときの傾き)と現像開始電圧Vk(現像ポテンシャルを横軸(x軸)、トナー濃度を縦軸としたときのx切片)を求める。そして、次の(24)式を用いて、所望の画像濃度を確保するために必要な現像ポテンシャルを決定し、これに基づいて、作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定している。
必要な現像ポテンシャル[−kV]=所望の画像濃度(トナー濃度)[mg/cm2]/現像γ[(mg/cm2)/(−kV)]+現像開始電圧Vk[−kV] ……(24)
トナーの帯電量と現像ポテンシャルとが一定であれば、現像γはほぼ維持されるが、温度や湿度の変化がある環境ではトナーの帯電量の変化が避けられず、中間調領域の階調性が変化してしまう。それを補正するために階調制御が行われる。階調制御も現像ポテンシャル制御と同等の濃度検出用パターンを用いることができる。
光走査装置の光源が半導体レーザ(LD)の場合には、発光パワーを固定しておき、発光デューティを変化させることで、濃度検出用パターンの矩形パターン毎のトナー濃度を異ならせることができる。
階調制御では、得られた階調性と目標とする階調性との偏差がなくなるように階調補正用LUT(ルック・アップ・テーブル)が適宜変更される。具体的には、その都度、新しい階調補正用LUTに書き換える方法や、予め用意した複数の階調補正用LUTから最適なものを選択する方法などがある。
また、上記位置ずれ検出処理において、ブラックのトナー画像に対する副方向の位置関係にずれがあると、該ずれ量が0となるように、例えば、対応する感光体ドラムに対する画像の書き出しタイミングを変更する。
また、上記位置ずれ検出処理において、ブラックのトナー画像に対する主方向の位置関係にずれがあると、該ずれ量が0となるように、例えば、対応する感光体ドラムに画像を書き込む際の画素クロックの位相を調整する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るカラープリンタ2000では、反射型光学センサ2245によって、本発明の画像形成装置における反射型光学センサが構成されている。また、プリンタ制御装置2090によって、本発明の画像形成装置における処理装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000は、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つの画像形成ユニット(2034a、2034b、2034c、2034d)、光走査装置2010、転写ベルト2040、反射型光学センサ2245、及びプリンタ制御装置2090などを備えている。
反射型光学センサ2245は、11個の発光部(E1〜E11)を含む照射系、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)を含む照明光学系、11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)を含む受光光学系、11個の受光部(D1〜D11)を含む受光系などを備えている。そして、検出用光スポットの大きさ(直径)は、0.40mmであり、発光部の間隔Leと等しい。
プリンタ制御装置2090は、光走査装置2010及び4つの画像形成ステーションを介して、転写ベルト2040上にDPパターン列と位置ずれ検出用パターンPPとからなるトナーパターンを形成する。そして、各パターンの主方向に関する寸法は1mmである。
また、反射型光学センサ2245では、発光部Eiと受光部Diとの距離は0.5mm、主方向に関する発光部間の距離及び受光部間の距離は共に0.4mmである。従って、反射型光学センサ2245の主方向に関する大きさは5mm程度となる。そこで、従来の反射型光学センサを用いる場合に比べて、画像形成装置の大型化を抑制することができる。
また、トナーパターンの大きさを、従来よりも小さくすることができるため、従来よりも濃度検出及び位置ずれ検出に要する時間が短縮できる。また、不寄与トナーの消費量を従来よりも大幅に少なくすることができる。
さらに、本実施形態に係る反射型光学センサでは、発光部と受光部とが近接しているため、照明対象物への検出用光の入射角及び反射角を小さくすることができる。その結果、転写ベルトがトナーの影になってしまうファドーファクターや、転写ベルトのばたつき(反射型光学センサと転写ベルトの距離の変動)による検出誤差を低減することができる。
また、トナーパターンには、それよりも先に照射系から射出された光によって照明されるダミーパターンDKDPが付加されているため、トナーパターンの主方向に関する位置を予め把握しておくことができる。この場合は、検出精度の低下や、検出処理に要する時間の増大を抑制することができる。
プリンタ制御装置2090は、トナー濃度検出処理において、受光部毎に、正反射体である平面鏡で反射された光を受光したときの受光量である既知の第1の基準受光量Ds1、拡散反射体で反射された光を受光したときの受光量である既知の第2の基準受光量Ds2、及びそれぞれ0以上で1以下の係数αとβを用いて、矩形パターンで反射された光を受光したときの受光量をα×Ds1+β×Ds2で表し、該矩形パターンで反射された光を受光したときの受光量の実測値と前記第2の基準受光量Ds2とから前記係数βを算出し、該算出された係数βと該矩形パターンで反射された光を受光したときの受光量の実測値と前記第1の基準受光量Ds1とから前記係数αを算出する。
そして、プリンタ制御装置2090は、各拡散反射板について、算出された係数αと係数βを用いて、照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときの各受光部の受光量の計算値を求め、実測値との差が最も小さい拡散反射板を特定する。
さらに、プリンタ制御装置2090は、特定された拡散反射板での係数αと係数βを用いて、照射対象物が矩形パターンp1〜p5のときの各受光部の受光量を、正反射光の受光量(α×Ds1)と拡散反射光の受光量(β×Ds2)とに分離し、各矩形パターンのDαあるいはDβの計算値から各矩形パターンのトナー濃度を求める。
この場合は、従来よりも精度良くトナー濃度を求めることができる。
ところで、検出用光スポットの大きさ(スポット径)は、どれだけ小さいトナーパターンを読めるのかに関わってくる。仮に、スポット径が前記間隔Le(ここでは、0.40mm)よりも大きいと、副方向に関して間隔Leよりも大きなトナーパターンしか正確に検出できない。また、この場合、隣り合う2つの発光部から射出された光による光スポットは、中心間隔が間隔Leと等しいため、互いに一部が重なり合うこととなる。このように光スポットの一部が重なり合うとき、隣り合う任意の複数の発光部を同時に点灯させると、検出精度が低下する。
一方、仮に前記スポット径が間隔Leよりも小さいと、副方向に関して間隔Leよりも小さいトナーパターンでも、その大きさがスポット径相当であれば正確に検出できる。しかし、隣り合う2つの光スポットの中心間隔は間隔Leと等しいため、隣り合う発光部から射出された光による光スポットの縁と縁との間には、検出用光によって照明されない領域が生じる。検出用光によって照明されない領域に相当する大きさのトナーパターンや、該領域より小さなトナーパターンが該領域を通過すると、そのトナーパターンの位置検出はできない。また、トナーパターンにおけるトナー濃度は必ずしも一様ではないため、スポット径が小さくなればなるほど、受光部出力にバラツキが生じる。
本実施形態では、前記スポット径が間隔Leと等しいため、隣接する検出用光スポットが重なり合うことがなくなり、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理に際して、隣り合う任意の複数の発光部を同時に点灯させても検出精度の低下を抑制することができる。また、前記スポット径が大きいことによるトナーパターンの副方向に関する寸法の増大を防ぐことができる。更に、検出用光によって照明されない領域を生じることがないため、前記領域に相当する大きさのトナーパターンや、前記領域より小さなトナーパターンであっても、正確に検出することができる。
そこで、カラープリンタ2000によると、大型化及び作業効率を低下させることなく、画像品質を向上させることができる。
ところで、従来の反射型光学センサの多くは発光部を1つしか持たないため、主方向に関して複数個配置されたトナーパターンを検出するには、主方向に関するトナーパターンの個数分だけ、従来の反射型光学センサを主方向に並べなければならなかった。また、従来の反射型光学センサの中には発光部を2つ有するものもあるが、該2つの発光部を同時に点灯させても、反射型光学センサとトナーパターンとの距離を、該トナーパターンを検出するために定められている距離に設定すると、2つの発光部からの光スポットは1つのトナーパターン上で重なってしまう。従って、発光部を2つ持つ従来の反射型光学センサであっても、主方向に関するトナーパターンの個数分だけ、従来の反射型光学センサを主方向に並べなければならなかった。なお、従来の反射型光学センサは、主方向に関する寸法は3cm程度であった。
一方、本実施形態の反射型光学センサ2245では、主方向に関して複数個配置されたトナーパターンを1つの反射型光学センサで検出することができるため、低コスト化を図ることが可能となる。
なお、上記実施形態におけるトナーパターンは一例であり、大きさ(寸法)、形状、個数などがこれに限定されるものではない。例えば、各濃度検出用パターン(DP1〜DP4)がそれぞれ4個の矩形パターン(p1〜p4)から構成されていても良い(図82参照)。この場合は、濃度検出処理に要する時間を更に短縮することができる。なお、このとき、矩形パターンp4をベタパターンとしても良い。
また、上記実施形態では、拡散反射板の種類が5種類の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、拡散反射板の種類が10種類であっても良い。なお、当然ながら、拡散反射板の種類が多いほど検出精度が高くなり、検出に要する時間が長くなる。また、拡散反射板の種類が1種類であっても良い。
また、上記位置ずれ検出処理において、濃度検出処理と同様にして、照射対象物がライン状パターンのときの各受光部の受光量を正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とに分離し、正反射光の受光量(図83参照)からライン状パターンの検出時間を求めても良い。この場合は、検出時間を更に精度良く求めることができる。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が11個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、ライン状パターンの位置すれ量を算出する際に、2つの時間(ta、tb)の平均値を検出時間とする場合について説明したが、これに限らず、2つの時間(ta、tb)の一方を検出時間としても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出用パターンにおけるトナー濃度の階調をアナログ的に異ならせる場合について説明したが、これに限らず、デジタル的に異ならせても良い。この場合、中間色の矩形パターンは、トナー部分と下地部分とが混合された状態であるため、各受光部の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とにさらに精度良く分離することができる。
また、上記実施形態では、転写ベルトの表面が滑らかな場合について説明したが、これに限らず、転写ベルトの表面が滑らかでなくても良い。この場合であっても、上記実施形態と同様にして位置ずれを検出することができる。また、転写ベルトの表面の一部が滑らかであっても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出用パターンと位置ずれ検出用パターンとが連続して形成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、濃度検出用パターン及び位置ずれ検出用パターンが互いに異なるタイミングで形成されても良い。すなわち、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理が個別に行われても良い。
また、例えば、m番目のユーザ画像と(m+1)番目のユーザ画像との間に位置ずれ検出用パターンにおける平行ライン状パターンのみが形成され、(m+1)番目のユーザ画像と(m+2)番目のユーザ画像との間に位置ずれ検出用パターンにおける傾斜ライン状パターンのみが形成されても良い。
また、上記実施形態では、11個の照明用マイクロレンズ(LE1〜LE11)と11個の受光用マイクロレンズ(LD1〜LD11)が一体化されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、反射型光学センサ2245に処理装置を設け、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、該処理装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置が行っても良い。
また、上記実施形態において、前記ダミーパターンDKDPの作成は、上記検出処理を行う度に形成する必要はない。例えば、カラープリンタ2000の電源をオン(ON)した時に行われる最初の検出処理でのみダミーパターンDKDPを形成し、カラープリンタ2000の電源をオフ(OFF)するまでに行われる検出処理では、直前に行われた検出処理での情報に基づいて、トナーパターンの主方向の位置を推定しても良い。
例えば、プリンタ制御装置2090のRAMに保存されている前回のトナーパターンを照明したときの各受光部の出力情報から、今回はどの位置にくるかを推定することも可能である。具体的には、発光部Ei(i=1〜11)を発光させたときに、転写ベルト2040からの正反射光を受光したときの受光部Diの出力と、転写ベルト2040上のトナーパターンからの正反射光を受光したときの受光部Diの出力との差(出力差ΔDi)が最も大きい発光部に略対向する位置に、トナーパターンが存在すると推定しても良い。
また、受光部の出力情報を参照しなくても、前回の検出処理からの経過時間や環境条件(温度、湿度)の変化が小さい場合には、トナーパターンの位置は一般に大きく変化しないため、そのときと同じ位置であると推定できる。
なお、ダミーパターンが形成されない場合は、上記ステップS307の処理は行われない。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245がy軸方向に関して有効画像領域の中央に対応する位置に設けられる場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、反射型光学センサ2245がy軸方向に関して有効画像領域外に対応する位置に設けられても良い。この場合は、印刷ジョブを停止させることなく濃度検出処理及び位置ずれ検出処理を行うことができる。また、主方向に関する寸法が、従来の反射型光学センサでは3cm程度であるのに対し、上記実施形態の反射型光学センサ2245では5mm程度とすることが可能なため、従来の反射型光学センサを有する画像形成装置に比べて、転写ベルトの主方向の寸法を小さくでき、その結果として画像形成装置の小型化を図ることができる。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が1つ設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、反射型光学センサ2245が複数設けられても良い。この場合は、濃度検出処理及び位置ずれ検出処理での検出精度を更に高めることができる。
また、上記実施形態では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5色あるいは6色のトナーが用いられる場合であっても良い。
また、上記実施形態では、反射型光学センサ2245が、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。なお、感光体ドラムの表面は、転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、反射型光学センサ2245で検出しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。