JP6036646B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法、並びにスチレン系樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents
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Description
そこで、低密度化に伴う断熱性能の低下を防止するために、赤外線遮蔽能を有する黒鉛や金属粉などのフィラーを含有させたポリスチレン発泡体が開発されている(特許文献1及び2参照)。しかし、このようなポリスチレン発泡体は、耐熱温度が例えば70〜80℃で低く、耐熱性の観点からその用途範囲が限定されてしまう。
該発泡性スチレン系樹脂粒子の基材樹脂は、ポリスチレン樹脂を含むスチレン系重合体種粒子にスチレンを含浸及び重合してなり、
上記黒鉛の含有量が上記基材樹脂100質量部に対して0.1〜6質量部であり、
上記臭素系難燃剤の含有量が上記基材樹脂100質量部に対して1.2〜2.5質量部であり、
上記臭素系難燃剤として、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモ−2”−メチルプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンと、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンとを含むことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子にある。
上記ポリスチレン樹脂を含み、かつ上記黒鉛及び上記臭素系難燃剤を含む上記スチレン系重合体種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、
上記懸濁液に上記スチレンを添加し、該スチレンを上記スチレン系重合体種粒子に含浸及び重合させてスチレン系樹脂粒子を得る含浸重合工程と、
該含浸重合工程におけるスチレンの重合中及び/又は重合後に、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素からなる発泡剤を樹脂粒子中に含浸させる発泡剤含浸工程を含むことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法にある。
そのため、上記発泡性樹脂粒子の上述の優れた特性をいかして、上記発泡粒子成形体は、優れた断熱性を示すことができる。また、上記発泡粒子成形体は、その形状を良好にすることができる。
上記懸濁工程においては、ポリスチレン樹脂を含み、かつ黒鉛及び臭素系難燃剤を含む上記スチレン系重合体種粒子を水性媒体中に懸濁させる。これにより、懸濁液を得る。
また、上記含浸重合工程においては、上記懸濁液にスチレンを添加し、該スチレンを上記スチレン系重合体種粒子に含浸及び重合させる。これにより、スチレン系樹脂粒子を得ることができる。
また、上記発泡剤含浸工程においては、含浸重合工程におけるスチレンの重合中及び/又は重合後に、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素からなる発泡剤を樹脂粒子中に含浸させる。これにより、上記発泡性樹脂粒子を得ることができる。
上記発泡性樹脂粒子は、ポリスチレン樹脂を含むスチレン系重合体種粒子にスチレンを含浸及び重合してなり、黒鉛と発泡剤としての炭素数3〜6の脂肪族炭化水素とを含む。上記種粒子のスチレン系重合体としては、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることができる。この場合には、上記発泡性樹脂粒子は、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との複合樹脂を基材樹脂とする。以下、スチレン系重合体として、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いた場合について説明するが、ポリスチレン樹脂等の他のスチレン系重合体を用いた場合も同様である。
基材樹脂におけるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が少なすぎてポリスチレン樹脂の含有量が多すぎる場合には、耐熱性に優れた発泡粒子成形体が得られなくなる虞がある。一方、基材樹脂におけるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が多すぎてポリスチレン樹脂の含有量が少なすぎる場合には、上記発泡性樹脂粒子の発泡性が低下し、該発泡性樹脂粒子を目標の発泡倍率まで発泡させることが困難になる虞がある。かかる観点から、上記基材樹脂におけるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との質量比(但し、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体:ポリスチレン樹脂)は20:80〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましく、40:60〜65:35であることがさらに好ましい。
上記平均分散相径は、発泡性樹脂粒子の中心部(発泡性樹脂粒子を2等分する断面の中央部)の透過型電子顕微鏡写真から、写真上の全て(好ましくは100個以上)の分散相について、各分散相径(最長径)を計測し、これらを加重平均して算出することができる。平均分散相径の具体的な算出方法は後述の実施例において詳説する。
上記炭素数3〜6の脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン等から選択された一種または二種以上を用いることができる。
脂肪族炭化水素の含有量は、ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に発泡性樹脂粒子を溶解させ、ガスクロマトグラフィーにて求めることができる。
黒鉛の含有量が多すぎる場合には、気泡膜の形成に悪影響して発泡性が低下したり、発泡性樹脂粒子を用いて得られる発泡粒子成形体における粒子同士の融着性や表面外観が悪化したりする虞がある。一方、黒鉛の含有量が少なすぎる場合には、断熱性の向上効果が充分に得られなくなる虞がある。したがって、上記発泡性樹脂粒子における黒鉛の含有量は、上記基材樹脂100質量部に対して0.1〜6質量部であることが好ましい。黒鉛の含有量は、0.5〜5質量部であることがより好ましく、1〜4質量部であることがさらに好ましい。
また、高い断熱性向上効果が得られるという観点から、上記黒鉛の平均粒子径は、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。黒鉛粉の平均粒子径は、黒鉛の粉末を水中に分散させ、レーザー回折散乱法等により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱法によって得られる粒度分布における積算値50%での粒径をもって平均粒子径とすることができる。
この場合には、ポリスチレン系樹脂発泡粒子が本来有する融着性を維持し、成形時に予備発泡粒子同士が充分に融着しやすくなり、特に強度に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。また、表面外観に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
なお、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のガラス転移温度は、温度180℃に加熱したプレス機を用いて、発泡性樹脂粒子、またはその発泡粒子、またはその発泡粒子成形体からスチレン系樹脂のフィルムを作製し、このフィルムについて示差走査熱量分析(DSC)を実施することによって求められる。上記発泡性樹脂粒子においては、示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線において、通常、2ヶ所でベースラインのシフトが観察される。これらは、それぞれ低温側(例えば100℃付近)に観察されるポリスチレン樹脂に由来するガラス転移温度と、高温側(例えば120℃付近)に観察されるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に由来するガラス転移温度とを示す。そして、高温側に観察されるガラス転移温度をスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のガラス転移温度とする。
この場合には、上記発泡性樹脂粒子に難燃性を付与することができる。臭素系難燃剤の配合量が少なすぎる場合には、充分な難燃性が得られなくなる虞がある。一方、配合量が多くなるにつれて、上記発泡性樹脂粒子を発泡してなる予備発泡粒子の成形性が低下する傾向にあり、さらに得られる発泡粒子成形体の機械的物性が低下する傾向にある。かかる観点から、上記発泡性樹脂粒子においては、上記臭素系難燃剤の配合量が上記基材樹脂100質量部に対して上述のごとく0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
この場合には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との広い配合比にわたり、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を連続相としポリスチレン樹脂を分散相とする海島構造を示す発泡性樹脂粒子を得ることができる。かかる発泡性樹脂粒子は、上述のごとく発泡性に優れたものとなる。さらにこの場合には、粒子表面部における(メタ)アクリル酸成分単位の含有率が、粒子全体における(メタ)アクリル酸成分単位の含有率よりも低い発泡性樹脂粒子を容易に得ることができる。かかる発泡性樹脂粒子は、上述のごとく融着性に特に優れるため、該発泡性樹脂粒子を用いることにより、強度や表面外観に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
上記発泡性樹脂粒子は、懸濁工程と含浸重合工程と発泡剤含浸工程とを行うことにより製造することができる。
懸濁工程においては、まず、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を主成分とし、かつ黒鉛を含む種粒子を作製する。
種粒子に用いるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、公知の重合方法で得られたスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を使用できる。該スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体であるが、(メタ)アクリル酸またはスチレンと共重合し得る他のビニル化合物を分子内に含有するものであってもよい。そのようなビニル化合物としては、例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物がある。また、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがある。ビニル化合物としては、これらの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等から選択された一種または二種以上を用いることができる。基材樹脂のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に由来するガラス転移温度を上記範囲とするためには、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体として、ガラス転移温度が110〜135℃のものを用いることが好ましく、115〜130℃のものがより好ましい。
したがって、スチレン系重合体としてスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が用いられる場合には、上記種粒子は、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂とを溶融混練してなることが好ましく、上記種粒子中のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との質量比が99:1〜70:30(但し、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体:ポリスチレン樹脂である)であることが好ましい。上記種粒子中のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との質量比は、95:5〜75:25であることがより好ましい。さらに、上記のように、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体と、少量のポリスチレン樹脂とを溶融混練した種粒子を用いる場合には、種粒子中のポリスチレン樹脂の含有量(質量部)に対する懸濁液に添加するスチレンの添加量(質量部)の比を2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましい。即ち、種粒子中のポリスチレン樹脂の質量をMA(質量部)とし、懸濁液に添加するスチレンの添加量をMB(質量部)とすると、MB/MA≧2が好ましく、MB/MA≧3がより好ましい。
上記種粒子は、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤等の添加剤を含有することができる。
可塑剤としては、グリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート、グリセリンジアセトモノラウレート等の脂肪酸エステルを用いることができる。また、シクロヘキサン、流動パラフィン等の有機化合物を用いることもできる。
顔料、スリップ剤、帯電防止剤としては、市販品や公知品を用いることができる。
上記種粒子の微細化は、押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、水中カット方式等により行うことができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法により行うこともできる。
上記種粒子は、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子を用いることができる。また、懸濁剤として、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩を用いることもできる。さらに必要に応じて、界面活性剤を併用しても良い。なお、難水溶性無機塩を使用する場合は、アルキルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸二ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤を併用することが好ましい。
上記種粒子にスチレンを含浸させる際には、スチレンだけでなく、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等の芳香族ビニル化合物をスチレンと共に含浸させることもできる。芳香族ビニル化合物としては一種または二種以上を用いることができる。さらに必要に応じて、芳香族ビニル化合物と共重合が可能な(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのビニル化合物を併用することもできる。
なお、スチレン以外の上記単量体をスチレンと共に添加し、種粒子中でスチレンと共重合させた場合には、その共重合体をポリスチレン樹脂とする。この場合には、基材樹脂中におけるポリスチレン樹脂のガラス転移温度は110℃未満であることが好ましく、105℃以下がより好ましく、102℃以下がさらに好ましく、100℃以下がさらにより好ましい。スチレン以外の単量体の配合比は、上記ポリスチレン樹脂のガラス転移温度を満足する範囲で適宜設定することができる。スチレン以外の単量体の配合比は、好ましくは添加する単量体中に10質量%以下がよく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%、すなわちスチレンのみを用いることがよい。
なお、基材樹脂中のポリスチレン樹脂の質量比は、予め種粒子中に存在するポリスチレン樹脂の含有量と、スチレンの配合量と、必要に応じて添加されるその他の上記単量体の配合量とから求めることができる。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜120℃とすることが好ましい。
発泡剤の含浸は、スチレンの重合中または重合後に行うことができる。
具体的には、重合中の又は重合後の樹脂粒子を収容する容器内に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる。
表面被覆剤としては、例えばジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油、帯電防止剤などがある。上記表面被覆剤の添加量は、上記発泡性樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
上記発泡性樹脂粒子を加熱発泡させる方法としては、具体的には、水蒸気(スチーム)等の加熱媒体を発泡性樹脂粒子に供給する方法がある。これにより、発泡性樹脂粒子を発泡させて予備発泡粒子を得ることができる。なお、得られる予備発泡粒子の嵩密度は10〜100kg/m3、更に12〜30kg/m3であることが好ましい。
上記発泡粒子を周知の成形手段により型内成形することにより、発泡粒子成形体を得ることができる。なお、得られる発泡粒子成形体の密度は10〜100kg/m3であることが好ましく,12〜30kg/m3であることがより好ましい。
(実施例1)
(1)種粒子の作製
φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体(PSジャパン社製、G9001:ガラス転移温度121℃)87質量部と、黒鉛マスターバッチ(黒鉛粉の平均粒子径:約15μm、黒鉛濃度:40質量%、基材樹脂(ポリスチレン):残部)13質量部とを溶融混練した。そして、溶融樹脂を穴径1.4mmのダイスからストランド状に押し出した。押出物を直ちに水槽へ導入して冷却した後、切断して約0.8mg/個の円柱形状のペレット(種粒子)を作製した。このようにして種粒子を得た。
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水788g、ピロリン酸ナトリウム4.6g、硝酸マグネシウム11.4gを投入し、塩交換によりオートクレーブ内で懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムを合成した。次いで、この懸濁剤に、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム0.2g、電解質としての塩化ナトリウム6g及び硝酸ナトリウム3g、種粒子414gを投入した。このようにして、種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得た。
このようにして、発泡性樹脂粒子を得た。
上記のようにして得られた発泡性樹脂粒子500gを容積30Lの常圧バッチ発泡機内に投入し、この発泡機内にスチームを供給することにより、発泡性樹脂粒子を加熱し、発泡させ、嵩密度が約20kg/m3の予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を室温で1日間熟成した後、型物成形機(DABO社製のDSM−0705VS)の金型に充填した。そして、0.09MPa(ゲージ圧力)のスチームで金型内に充填した予備発泡粒子を15秒間加熱した。これにより、予備発泡粒子を金型内にて相互に融着させた。次いで、金型内を所定時間冷却した後、予備発泡粒子同士が相互に融着してなる発泡粒子成形体を金型から取り出した。
このようにして、発泡粒子成形体を得た。
本例の製造方法における、種粒子中の黒鉛量(質量%)及びPS量(質量%)、スチレン添加量、基材樹脂の組成(樹脂組成;質量部)、各種添加剤の配合割合等の製造条件を後述の表1に示す。なお、後述する実施例2〜11、比較例1〜5についても同様の製造条件を表1、表3に示す。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合を変え、さらに難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体78質量部と、黒鉛マスターバッチ13質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ9質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、その組成が、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモ−2”−メチルプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパン:23質量%、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパン:15質量%、基材樹脂(ポリスチレン):残部であるものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体74質量部と、黒鉛マスターバッチ15質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ11質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
次いで、懸濁剤を合成したオートクレーブ内に、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム0.2g、電解質としての塩化ナトリウム6gと硝酸ナトリウム3g、種粒子345gを投入した。このようにして、種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得た。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体78質量部と、黒鉛マスターバッチ13質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ9質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体61質量部と、黒鉛マスターバッチ21質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ18質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体87.5質量部と、黒鉛マスターバッチ7.5質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ5質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体69質量部と、黒鉛マスターバッチ18質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ13質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
次いで、懸濁剤を合成したオートクレーブ内に、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム0.2g、電解質としての塩化ナトリウム6gと硝酸ナトリウム3g、種粒子311gを投入した。このようにして、種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得た。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合をさらに変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体83.5質量部と、黒鉛マスターバッチ10質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ6.5質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合及び黒鉛の平均粒子径を変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体78質量部と、黒鉛マスターバッチ13質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ9質量部とを溶融混練した。本例においては、黒鉛マスターバッチとしては、黒鉛粉の平均粒子径:約5μm、黒鉛濃度:40質量%、基材樹脂(ポリスチレン):残部であるものを用いた。また、スチレン−メタクリル酸共重合体としては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは、スチレン−メタクリル酸共重合体の種類、種粒子とスチレンの配合を変え、難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体78質量部と、黒鉛マスターバッチ13質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ9質量部とを溶融混練した。本例においては、スチレン−メタクリル酸共重合体としては、DIC社製のリューレックスA−14(ガラス転移温度129℃)を用いた。また、黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、実施例1とは種粒子とスチレンの配合、黒鉛の平均粒子径、及び発泡剤の組成を変え、さらに難燃剤を添加して発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡粒子成形体を作製する例である。
具体的には、まず、φ30mm単軸押出機を用いて、温度210〜230℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体48.4質量部と、ポリスチレン樹脂4.6質量部、黒鉛マスターバッチ8質量部と、臭素系難燃剤マスターバッチ9質量部とを溶融混練した。スチレン−メタクリル酸共重合体としては、実施例1と同様のものを用い、ポリスチレン樹脂としては、PSジャパン社製の「679」(重量平均分子量18万)を用いた。本例においては、黒鉛マスターバッチとしては、黒鉛粉の平均粒子径:約5μm、黒鉛濃度:40質量%、基材樹脂(ポリスチレン):残部であるものを用いた。また、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。次いで、実施例1と同様に溶融樹脂をストランド状に押し出し、冷却した後、切断して円柱形状の種粒子を作製した。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
具体的には、まず、φ26mm同方向2軸押出機を用いて、温度200℃で、スチレン−メタクリル酸共重合体52質量部、ポリスチレン樹脂35質量部、黒鉛マスターバッチ7.5質量部、臭素系難燃剤マスターバッチ5.5質量部を溶融混練した。本例において、ポリスチレン樹脂としては、PSジャパン社製のポリスチレン「680」(重量平均分子量18万)を用いた。また、スチレン−メタクリル酸共重合体及び黒鉛マスターバッチとしては、実施例1と同様のものを用い、臭素系難燃剤マスターバッチとしては、実施例2と同様のものを用いた。
次いで、溶融樹脂を穴径1.5mmの小孔からストランド状に押し出し、直ちに水槽へ導入して冷却した後、切断して平均4mg/個の円柱形状の混合樹脂粒子を得た。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、比較例1とは異なる分子量のポリスチレン樹脂を用いて、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を連続相とし、ポリスチレン樹脂を分散相とする海島構造を示す混合樹脂を基材樹脂とする発泡性樹脂粒子を作製した例、すなわち、比較例1の発泡性樹脂粒子の海島構造が逆転した混合樹脂を基材樹脂とする発泡性樹脂粒子を作製した例である。
具体的には、ポリスチレン樹脂としてPSジャパン社製のポリスチレン「GX−154」(重量平均分子量27万)を用い、φ30mmの同方向2軸押出機により、200℃の温度で、溶融混練し、溶融樹脂を穴径1.0mmの小孔からストランド状に押し出し、直ちに水槽へ導入して冷却後、切断して平均1.5mg/個の円柱形状の混合樹脂粒子を作製した以外は、比較例1と同様にして混合樹脂粒子を得た。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
本例は、比較例2よりもスチレン−メタクリル酸共重合体の質量比の高い、スチレン−メタクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする発泡性樹脂粒子を作製した例である。
次いで、溶融樹脂を穴径1.0mmの小孔からストランド状に押し出し、直ちに水槽へ導入して冷却後、切断して平均1.5mg/個の円柱形状の混合樹脂粒子を作製した。そして、この混合樹脂粒子を用いた点を除いては、比較例2と同様にして発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡粒子成形体を得た。
本例は、複合樹脂粒子中のポリスチレンの質量比を非常に高くして発泡性樹脂粒子を作製する例である。
次いで、懸濁剤を合成したオートクレーブ内に、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム0.2g、電解質としての塩化ナトリウム6gと硝酸ナトリウム3g、種粒子173gを投入した。このようにして、種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得た。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
実施例1〜11においては、ポリスチレン樹脂を含むスチレン系重合体種粒子にスチレンを含浸重合して、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とポリスチレン樹脂とを基材樹脂とする発泡性樹脂粒子を作製した。これに対し、本例は、ポリスチレン樹脂を含まないスチレン系重合体種粒子にスチレンを含浸重合して、アクリロニトリル−スチレン共重合体とポリスチレン樹脂とを基材樹脂とする発泡性樹脂粒子を作製する例である。
また、この発泡性樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして予備発泡粒子を作製し、さらにこの予備発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。
また、各発泡粒子成形体について、成形品密度、加熱寸法変化率、燃焼性、酸素指数、熱伝導率を以下のようにして評価した。但し、良好な発泡粒子成形体の製造ができなかった比較例1〜4については、これらの評価を省略した。また、難燃剤を含有していない実施例1、実施例12については、燃焼性、酸素指数の評価を省略した。その結果を表2及び表3に示す。また、実施例2及び比較例1の発泡粒子成形体については、その外観をスキャナで画像データとして取り込み、その結果(デジタル写真)を図2及び図4にそれぞれ示す。
発泡性樹脂粒子をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、ガスクロマトグラフィーにて、添加した発泡剤の含有量を測定し、各成分の含有量を合計して求めた。ガスクロマトグラフによる発泡剤の定量は、具体的には以下の手順で行った。
まず、100mLのメスフラスコにシクロペンタノール約5gを小数点以下第3位まで精秤し(このときの重量をWiとする)、DMFを加えて全体を100mLとした。このDMF溶液をさらにDMFで100倍に希釈し内部標準溶液とした。次いで、測定対象となる発泡性樹脂粒子約1gを小数点以下第3位まで精秤し、このときの重量をWs(g)とした。精秤した発泡性樹脂粒子の試料を約18mLのDMFに溶解させ、溶解物に、内部標準溶液をホールピペットにて正確に2mL加えた。この溶液1μLをマイクロシリンジにて採集し、ガスクロマトグラフィーに導入し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムから各発泡剤成分及び内部標準のピーク面積を求め、下式(1)により各成分濃度を求めた。
各成分濃度(質量%)=[(Wi/10000)×2]×[An/Ai]×Fn÷Ws×100・・・(1)
ここで、
Wi:内部標準溶液を作成したときのシクロペンタノール重量(g)
Ws:DMFに溶解させた試料重量(g)
An:ガスクロマトグラフ測定時の各発泡剤成分のピーク面積
Ai:ガスクロマトグラフ測定時の内部標準物質のピーク面積
Fn:あらかじめ作成した検量線より求めた各発泡剤成分の補正係数
また、上記ガスクロマトグラフ分析の条件は以下の通りとした。
使用機器:(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−6AM
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
カラム材質:内径3mm、長さ5000mmのガラスカラム
カラム充填剤:[液相名]FFAP(遊離脂肪酸)、[液相含浸率]10質量%、[担体名]ガスクロマトグラフ用珪藻土Chomasorb W、[担体粒度]60/80メッシュ、[担体処理方法]AW−DMCS(水洗・焼成・酸処理・シラン処理)、[充填量]90mL
注入口温度:250℃
カラム温度:120℃
検出部温度:250℃
キャリヤーガス:N2、流量40ml/分
まず、温度180℃に加熱したプレス機を用いて、発泡性樹脂粒子またはその予備発泡粒子またはその発泡粒子成形体からスチレン系樹脂のフィルムを作製した。このフィルムから2〜4mgの試験片を切り出し、試験片について示差走査熱量(DSC)分析を行った。DSCの測定は、ティ・エイ・インスツルメント社製のDSC測定装置「Q1000型DSC」を用いて、JIS K 7121(1987年)に準拠して行なった。そして、昇温速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を求めた。そして、低温側に観察される、ポリスチレン樹脂に由来するガラス転移温度をTg1、高温側に観察される、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に由来するガラス転移温度をTg2とした。
発泡性樹脂粒子の基材樹脂の平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
具体的には、東ソー(株)製のHLC−8320GPC EcoSECを用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、THF流量:0.6ml/分、試料濃度:0.1wt%という測定条件で測定した。カラムとしては、TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK−GEL SuperHM−H×2本を直列に接続したカラムを用いた。即ち、発泡性樹脂粒子またはその発泡粒子またはその発泡粒子成形体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分子量を測定した。そして、測定値を標準ポリスチレンで校正して、数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量をそれぞれ求めた。
発泡性樹脂粒子の中心部付近を切り出し、エポキシ樹脂に包埋した。四酸化ルテニウムにより染色後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製した。この超薄切片をグリッドに載せ、発泡性樹脂粒子の断面部を透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM1010)により観察した。透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、加速電圧100kV、観察倍率10,000倍という条件で行った。そして、発泡性樹脂粒子を構成する基材樹脂のモルフォロジーを調べた。実施例2、比較例1の発泡性樹脂粒子の断面におけるTEM写真を図1、図3にそれぞれ示す。
また、TEM写真から平均分散相径を算出した。具体的には、TEM写真について、無作為に選択した100個の分散相の直径(各分散相の最長径)をそれぞれ計測し、計測値を加重平均することにより平均分散相径(μm)を求めた。なお、分散相の形状が例えば真円である場合には、その直径が分散相の最長径となり、分散相の形状が例えば楕円である場合には、その長径が分散相の最長径となる。
(メタ)アクリル酸成分単位の含有量の測定は、全反射吸収測定装置を用いて行った。全反射吸収測定としては、日本分光社製の赤外分光光度計「FT/IR-460plus」と、同社製の全反射吸収測定装置「ATR PRO 450−S型」を用いた。また、全反射吸収測定装置側の測定条件は、プリズム:ZnSe、入射角:45°とした。
具体的には、まず、全反射吸収測定装置のプリズムに予備発泡粒子を押し付けて予備発泡粒子の表面の赤外吸収スペクトルを測定した。次に、予備発泡粒子を温度180℃で熱プレスしてフィルムを作製し、全反射吸収測定装置を用いてこのフィルムの赤外吸収スペクトルを測定した。これにより、予備発泡粒子全体の赤外吸収スペクトルを測定した。次に、得られた赤外吸収スペクトルをATR補正した後、スチレン成分単位に由来する698cm-1の吸光度I698と(メタ)アクリル酸成分単位に由来する1700cm-1における吸光度I1700を測定し、これらの吸光度比(I1700/I698)を求めた。そして、あらかじめ作成した検量線を用いて、予備発泡粒子表面及び全体における(メタ)アクリル酸成分単位の含有量(質量%)を求めた。10個の予備発泡粒子について、同様に(メタ)アクリル酸成分単位の含有量を測定し、算術平均して、予備発泡粒子の表面及び全体における(メタ)アクリル酸成分単位の含有量(質量%)を求めた。また、予備発泡粒子の全体における(メタ)アクリル酸成分単位の含有量に対する予備発泡粒子の表面における(メタ)アクリル酸成分単位の含有量の割合(表皮/全体;百分率)を算出した。
即ち、まず、押出機を用いて、スチレン−メタクリル酸共重合体(PSジャパン社製の「G9001」)とポリスチレン樹脂(PSジャパン社製の「680」)を、100/0、75/25、50/50、25/75、0/100の重量比(スチレン−メタクリル酸共重合体/ポリスチレン樹脂)で、溶融混練してペレットを作製した。次いで、温度180℃に加熱したプレス機によりこのペレットをフィルム状に成形した。上述の全反射吸収測定装置を用いて、得られたフィルムの赤外吸収スペクトルを測定した。この赤外吸収スペクトルをATR補正した後、上述の方法と同様に、吸光度I698及びI1700を測定し、これらの吸光度比(I1700/I698を)を求めた。スチレン−メタクリル酸共重合体(PSジャパン社製の「G9001」)のメタクリル酸成分単位の含有量を元素分析により8.2質量%とし、(メタ)アクリル酸成分単位の含有量と吸光度比の検量線を作成した。
剃刀刃を用いて予備発泡粒子をその中心を通るように2つに切断し、蒸着処理後(Au−Pdターゲット)、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製、VE7800)により、予備発泡粒子の断面を撮影した(観察倍率30倍)。得られた電子顕微鏡写真において、予備発泡粒子の中心を通るように直線を引き、該直線の実際の長さ、及び直線上に存在する気泡数を計測し、予備発泡粒子の直径を気泡数で除して気泡径(μm)とした。10個の予備発泡粒子について同様に気泡径を計測し、算術平均により平均気泡径を求めた。
予備発泡粒子から作製した発泡粒子成形体の外観を目視にて観察し、下記の基準で判定した。
◎:成形体表面にボイド(発泡粒子間の間隙)が少なく平滑である場合。
○:成形体表面に多少のボイドが見られるが製品として問題ないレベルである場合。
×:成形することができない場合、又は成形体表面から内部まで発泡粒子間に大きな間隙が存在する成形体しか得られない場合。
発泡粒子成形体の外形寸法から体積を求め、次いで発泡粒子成形体の質量を測定し、該質量を体積で除することにより成形品密度を算出した。
発泡粒子成形体から50mm×50mm×25mmの板状の試験片を切り出し、この試験片を温度23℃で1日間以上静置した。その後、ノギスを用いて、試験片の縦、横の各部位の寸法を小数点第2位まで測定した。次いで、温度80℃、90℃、又は100℃の各温度に設定した強制循環式オーブン内に、寸法測定後の試験片を22時間(約1日間)保持した。その後、試験片をオーブンから取り出し、温度23℃で1日間静置した。次いで、加熱前と同じ箇所の寸法を測定し、縦と横それぞれの加熱寸法変化率を次の式(2)から算出し、その相加平均値を加熱寸法変化率とした。
加熱寸法変化率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)×100/加熱前の寸法・・・(2)
燃焼性の評価は、JIS A 9511(2006年)の燃焼試験(A法)に準拠して行った。具体的には、まず、発泡粒子成形体を温度40℃で3日間、室温で1日養生した。その後、発泡粒子成形体から200mm×25mm×10mmの直方体状の試験片を5つ切り出した。次いで、ろうそくを用いて、着火限界指示線および燃焼限界指示線まで試験片を着火させた後、ろうそくをすばやく試験片から後退させた。そして、ろうそくを後退させた瞬間から試験片の炎が消えるまでの時間(消炎時間)を計測した。
酸素指数の測定は、JIS K 7201−2(2007年)の試験方法に準拠して行った。測定にあたっては、発泡粒子成形体を温度40℃で3日間静置し、さらに室温で1日間養生した後、発泡粒子成形体から切り出した寸法150mm×10mm×10mmの試験片を15個作製し、これらの試験片について酸素指数を測定した。
JIS A 1412−2(1999年)に規定の熱流計法(HFM法)に準じて測定した。測定にあたっては、発泡粒子成形体を温度60℃で7日間静置し、さらに室温で1日間養生した後、発泡粒子成形体から切り出した寸法200mm×200mm×25mmの試験片を作製した。そして、この試験片を測定装置の加熱板と冷却熱板との間に挟み、試験片温度差20℃、試験辺平均温度23℃という条件で熱伝導率(W/m・K)の測定を行った。
また、表1及び表2より知られるごとく、実施例にかかる発泡性樹脂粒子に臭素系難燃剤を添加することにより、発泡粒子成形体に難燃性を付与することができた。
また、表3に示すごとく、アクリロニトリル−スチレン共重合体とポリスチレン樹脂を基材樹脂とする比較例4においては、発泡成形性が不十分であり、良好な発泡粒子成形体を得ることができなかった。なお、良好な発泡粒子成形体が得られなかったため、比較例4については、発泡粒子成形体の評価を省略した(表3参照)。
Claims (4)
- 黒鉛、臭素系難燃剤、及び発泡剤として炭素数3〜6の脂肪族炭化水素を含む発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
該発泡性スチレン系樹脂粒子の基材樹脂は、ポリスチレン樹脂を含むスチレン系重合体種粒子にスチレンを含浸及び重合してなり、
上記黒鉛の含有量が上記基材樹脂100質量部に対して0.1〜6質量部であり、
上記臭素系難燃剤の含有量が上記基材樹脂100質量部に対して1.2〜2.5質量部であり、
上記臭素系難燃剤として、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモ−2”−メチルプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンと、2,2−ビス[4’−(2”,3”−ジブロモプロポキシ)−3’,5’−ジブロモフェニル]プロパンとを含むことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。 - 請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子において、該発泡性スチレン系樹脂粒子は、上記脂肪族炭化水素を2〜15質量%含有することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱発泡させて得られる予備発泡粒子を型内にて相互に融着させて得られることを特徴とするスチレン系樹脂発泡粒子成形体。
- 請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法において、
上記ポリスチレン樹脂を含み、かつ上記黒鉛及び上記臭素系難燃剤を含む上記スチレン系重合体種粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、
上記懸濁液に上記スチレンを添加し、該スチレンを上記スチレン系重合体種粒子に含浸及び重合させてスチレン系樹脂粒子を得る含浸重合工程と、
該含浸重合工程におけるスチレンの重合中及び/又は重合後に、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素からなる発泡剤を樹脂粒子中に含浸させる発泡剤含浸工程を含むことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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