以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 本明細書が開示する電動圧縮機では、突出部には、回転軸の端部を支持するすべり軸受が設けられていてもよい。ロータには、突出部側の端面に凹所が形成されていてもよい。そして、突出部の先端がロータの凹所内に位置していてもよい。このような構成では、回転軸を支持する軸受にすべり軸受が用いられるため、突出部が径方向に大型化することを抑制することができる。一方、すべり軸受と回転軸との接触圧を低下するためには、すべり軸受を軸方向に長くしなければならない場合がある。かかる場合であっても、すべり軸受が配設される突出部がロータと径方向にオーバーラップする。このため、ハウジングが軸方向に大型化することが抑制される。
(特徴2) 本明細書が開示する他の電動圧縮機では、突出部には回転軸の端部を支持する玉軸受が設けられていてもよい。この場合に、突出部とロータとが回転軸の径方向にオーバーラップしていなくてもよい。このような構成では、回転軸を支持する軸受に玉軸受が用いられるため、玉軸受が配設される突出部を軸方向に短くすることができる。したがって、ロータと突出部をオーバーラップさせなくても、ハウジングが軸方向に大型化することを抑制することができる。また、ロータと突出部とをオーバーラップさせるための構造をロータに設ける必要はない。
(特徴3) 本明細書が開示する電動圧縮機では、ハウジングは、有底筒状に形成されていてもよい。隔壁部は、ハウジングの開口部側からハウジング内に挿入されて位置決めされていてもよい。隔壁部の外周縁には、電動モータ側に突出するガイド片が形成されていてもよい。ハウジングの内壁面には、隔壁部を回転軸の軸方向に位置決めする当接面と、ガイド片を案内するガイド面が形成されていてもよい。ガイド片がガイド面に案内されることで、隔壁部が回転軸の径方向に位置決めされていてもよい。このような構成によると、ハウジングに隔壁部を挿入するだけで、ハウジングの当接面及びガイド面によって隔壁部が所望の位置に案内され、隔壁部をハウジングに対して位置決めすることができる。
実施例1の電動圧縮機10を図を用いて説明する。図1に示すように電動圧縮機10は、ハウジング12と、ハウジング12に回転可能に支持される回転軸40と、ハウジング12内に収容された電動モータ(31,34)及び圧縮機構22を備えている。回転軸40の一端側(図1の右端側)に電動モータ(31,34)が配置され、回転軸40の他端側に圧縮機構22が配置されている。すなわち、電動モータ(31,34)と圧縮機構22は、回転軸40に沿って配置されている。後述するように、電動モータ(31,34)が回転軸40を駆動すると、回転軸40によって圧縮機構22が駆動されるようになっている。
ハウジング12は、有底円筒状のモータハウジング16と、モータハウジング16内に取付けられるフロントハウジング18と、モータハウジング16の開口端(図1の左端)を閉じる吐出ハウジング20を備えている。
モータハウジング16は、金属材料(例えば、アルミニウム等)によって形成されている。モータハウジング16の側面には吸入ポート16aが形成されている。吸入ポート16aは、モータハウジング16の底壁(図1の右端)の近傍に位置している。モータハウジング16の底壁には、回転軸40の一端(図1の右端)を回転可能に支持するすべり軸受43が配設されている。モータハウジング16の内壁面には、当接面16cとガイド面16bが形成されている。当接面16cは、回転軸40と直交する方向(以下、径方向という。)と平行に形成されている。ガイド面16bは、回転軸40の軸方向(以下、単に軸方向という)と平行に形成されている。後述するように、当接面16cは、フロントハウジング18を軸方向に位置決めする。また、ガイド面16bは、フロントハウジング18を径方向に位置決めする。モータハウジング16は、請求項でいう「ハウジング」の一例である。なお、モータハウジング16の底壁にはカバー14が取付けられている。モータハウジング16とカバー14で形成される収容空間14aには、モータ駆動回路15aが収容されている。
フロントハウジング18は、金属材料(例えば、アルミニウム等)によって形成されており、モータハウジング16内に、回転軸40と直交する方向(径方向)に延在するように取付けられる。フロントハウジング18がモータハウジング16内に取付けられると、モータハウジング16内の空間が、電動モータ(31,34)を収容する空間(図1において、フロントハウジング18の右側の空間)と、圧縮機構22を収容する空間(図1において、フロントハウジング18の左側の空間)とに区画される。フロントハウジング18には、電動モータ(31,34)側に突出する突出部46が形成されている。突出部46には、回転軸40の他端(図1の左端)を回転可能に支持するすべり軸受45が配設されている。突出部46の詳細な構成については、後で詳述する。フロントハウジング18の圧縮機構22側の面には凹所44が形成されている。凹所44は、フロントハウジング18と圧縮機構22の間に位置し、後述するブッシュバランサ60が収容される。凹所44内の空間は背圧室として機能し、後述する圧縮機構22の旋回スクロール24が固定スクロール26から離間しないように旋回スクロール24を固定スクロール26に向かって押圧する機能を有する。また、フロントハウジング18の外周縁近傍には、ガイド片18aが形成されている。ガイド片18aは、周方向の複数個所に設けられている(図1では1つのみを図示)。ガイド片18aは、その先端の径がモータハウジング16のガイド面16bの径よりも小さく、その基端の径がガイド面16bの径と略同一となっている。このため、モータハウジング16の開口端からモータハウジング16内にフロントハウジング18を挿入すると、ガイド片18aがガイド面16bに当接し、フロントハウジング18を径方向に案内する。すなわち、モータハウジング16に対してフロントハウジング18を径方向の適切な位置に位置決めしなくても、モータハウジング16内にフロントハウジング18を挿入すると、ガイド片18aがガイド面16bに案内されることで、モータハウジング16に対してフロントハウジング18を径方向に位置決めすることができる。一方、フロントハウジング18の軸方向の位置決めは、フロントハウジング18がモータハウジング16の当接面16cに当接することで行われる。したがって、モータハウジング16の開口端からフロントハウジング18を挿入するだけで適切な位置に位置決めされるため、モータハウジング16に対するフロントハウジング18の取付けを容易に行うことができる。なお、フロントハウジング18は、請求項でいう「隔壁部」の一例である。
吐出ハウジング20は、有底円筒状に形成されており、金属材料(例えば、アルミニウム等)によって形成されている。吐出ハウジング20には、吐出ポート20aが形成されている。モータハウジング16に吐出ハウジング20が取付けられると、圧縮機構22と吐出ハウジング20の間に吐出室20bが形成される。吐出室20bは、吐出ポート20aを介して外部と連通している。
回転軸40は、ハウジング12内に収容されている。上述したように、回転軸40の一端は、モータハウジング12に設けられたすべり軸受43に回転可能に支持され、回転軸40の他端は、フロントハウジング18に設けられたすべり軸受45に回転可能に支持されている。回転軸40の他端面(図1の左端面)には偏心ピン42が設けられている。偏心ピン42は、回転軸40の回転軸から偏心した位置に設けられており、回転軸40の他端面から圧縮機構22側に向かって突出している。偏心ピン42には、ブッシュバランサ60が取付けられている。
電動モータ(31,34)は、モータハウジング16内の底壁側の空間(17a,17b)に収容されている。電動モータ(31,34)は、回転軸40に固定されるロータ34と、ロータ34の外周側に配置されるステータコア31を備えている。ステータコア31は、請求項でいう「ステータ」の一例である。電動モータ(31,34)がモータハウジング16の内壁面に固定されると、モータハウジング16内の底壁側の空間(17a,17b)は、空間17aと、空間17bに区画される。空間17aは、吸入ポート16aに連通し、空間17bよりもモータ駆動回路15aの近くに位置している。空間17bは、圧縮機構22を介して吐出ポート20aに連通し、圧縮機構22の近くに位置している。ステータコア31には、コイル線32が卷回されている。ステータコア31は、磁性鋼板から形成されたコアプレートを積層して構成されている。コイル線32は、ステータコア31に形成されたスロットに巻回されている。コイル線32がステータコア31に券回されると、コイル線32は、ステータコア31の端面から軸方向に突出する。すなわち、ステータコア31の両端面には、コイルエンド32a,32bが形成されている。
ロータ34は、回転軸40に固定されたロータコア(35a,35b)と、ロータコア(35a,35b)に埋め込まれた複数の永久磁石36を備えている。ロータコア(35a,35b)は、2種類のコアプレート35a,35bによって形成されている。コアプレート35aは、磁性鋼板によって形成されており、ロータ34の一端側(空間17a側)に配置されている。コアプレート35aの内周面は、回転軸40に固定されている。コアプレート35aには、軸方向に貫通する複数の貫通孔33aが形成されている。複数の貫通孔33aは、周方向に間隔を空けて配置されている。
コアプレート35bは、磁性鋼板によって形成されており、ロータ34の他端側(空間17b側)に配置されている。コアプレート35bは、リング状のプレートであり、その中央に貫通孔33bが形成されている。貫通孔33bの径は、回転軸40の径より大きく、コアプレート35aの貫通孔33aに対応した径となっている。このため、コアプレート35bは、コアプレート35aを介して回転軸40に固定されている。また、コアプレート35aの貫通孔33aと、コアプレート35bの貫通孔33bが回転軸40の軸方向に連通することによって、ロータコア(35a,35b)を貫通する流路39が形成されている。図より明らかなように、流路39は、空間17aと空間17bを連通している。また、コアプレート35bの中央に貫通孔33bを形成することで、ロータ34にフロントハウジング18の突出部46を収容するための凹部が形成されている。
ロータコア(35a,35b)の一端(空間17a側)には保持プレート37が設けられており、ロータコア(35a,35b)の他端(空間17b側)には保持プレート38が設けられている。保持プレート37,38によって、ロータコア(35a,35b)と永久磁石36が一体化されている。保持プレート37の中央には貫通孔37aが形成されている。貫通孔37aの径は、貫通孔33aの略中心に対応する径とされている。このため、保持プレート37は、コアプレート35aの貫通孔33aの一部を塞いでいる。保持プレート38の中央にも貫通孔38aが形成されている。貫通孔38aの径は、貫通孔33bの略中心に対応する径とされている。このため、保持プレート38は、コアプレート35bの貫通孔33bの一部を塞いでいる。
圧縮機構22は、モータハウジング16内の開口端側の空間(図1において、フロントハウジング18よりも左側の空間)に収容されている。圧縮機構22は、モータハウジング16に固定された固定スクロール26と、固定スクロール26に対向する旋回スクロール24を備えている。固定スクロール26と旋回スクロール24との間には、圧縮室22aが形成されている。圧縮室22aの容積は、旋回スクロール24の旋回に伴って変化する。圧縮室22aは、空間17bに連通すると共に、吐出室20bに連通している。旋回スクロール24には、すべり軸受28を介してブッシュバランサ60が取付けられている。上述したように、ブッシュバランサ60には、回転軸40の偏心ピン42が取付けられている。このため、回転軸40が回転すると、旋回スクロール24が旋回する。
なお、電動モータ(31,34)のコイル線32は、リード線15c、クラスタブロック54及び端子15bを介してモータ駆動回路15aに接続されている。クラスタブロック54は、ステータコア31の外周面に固定されている。
次に、フロントハウジング18の突出部46について説明する。突出部46は、圧縮機構22側から順に、径が最も大きい第1部分48と、第1部分48より径の小さな第2部分50と、第2部分50より径の小さな第3部分52を備えている。第1部分48には、上述した凹所44が形成されている。第2部分50及び第3部分52には、回転軸40を支持するすべり軸受45が設けられている。図1より明らかなように、第1部分48の径は、ステータコア31の外径より大きい。したがって、ステータコア31及びコイル線32と第1部分48は径方向にはオーバーラップしていない。一方、第2部分50の径は、ステータコア31に券回されたコイル線32のコイルエンド32aの内径より小さい。このため、第2部分50は、コイル線32のコイルエンド32aの内側に位置すると共に、コイル線32のコイルエンド32aと径方向にオーバーラップしている。また、第3部分52の径は、保持プレート38の貫通孔38aの径よりも小さく、かつ、コアプレート35bの貫通孔33bの径よりも小さい。このため、第3部分52は、コアプレート35bの貫通孔33b内に収容されている。すなわち、第3部分52とロータ34とは、径方向にオーバーラップしている。また、保持プレート38の貫通孔38aの内壁面と、フロントハウジング18の第3部分52の外周面との間の開口は、第2部分50のロータ34側の端面と対向している。すなわち、流路39の出口開口と第2部分50のロータ34側の端面とは対向し、第2部分50の対向する面は径方向に伸びている。上述したことから明らかなように、フロントハウジング18の突出部46は、コイル線32(コイルエンド32a及びスロットに券回された部分)と径方向にオーバーラップしており、また、ロータ34とも径方向にオーバーラップしており、ステータコア31に巻回されたコイル線32と回転軸40との間に形成される内周領域に突出部46が延在しているということができる。なお、フロントハウジング18の突出部46は、少なくともコイル線32のコイルエンド32aと径方向にオーバーラップしていればよい。
次に、上述した電動圧縮機10の動作について説明する。モータ駆動回路15aが電動モータ(31,34)に電力を供給すると、ロータ34及び回転軸40が一体となって回転を開始する。回転軸34が回転すると、その回転が偏心ピン42及びブッシュバランサ60を介して旋回スクロール24に伝達される。すると、旋回スクロール24が旋回し、旋回スクロール24と固定スクロール26の間の圧縮室22aの容積が変化する。圧縮室22aの容積変化に応じて、ハウジング12の外部から吸入ポート16aを通ってハウジング12内に冷媒が吸入される。
吸入ポート16aから吸入された冷媒は、モータハウジング16内の空間17aに流れ、コイル線32の一方のコイルエンド32bを冷却する。次いで、空間17a内の冷媒は、ロータ34に形成された流路39を通って、第2空間17bに流れる。すなわち、空間17a内の冷媒は、保持プレート37の貫通孔37aと回転軸40の隙間から流路39に流入し、流路39内を第2空間17bに向かって流れる。流路39内を流れる冷媒によって、ロータ34が冷却される。
次いで、流路39内を流れる冷媒は、保持プレート38の貫通孔38aとフロントハウジング18の第3部分52の隙間から第2空間17bに流出する。ここで、流路39の出口開口(すなわち、貫通孔38aと第3部分52の隙間)は、フロントハウジング18の突出部46の第2部分50と対向している。すなわち、第2部分50のロータ側の端面は、流路39の出口開口と対向し、径方向に伸びている。このため、流路39から流出した冷媒は、第2部分50のロータ側の端面に衝突し、その端面に沿って径方向に流れる。第2部分50の径方向外側にはコイル線32のコイルエンド32aが位置している。したがって、第2部分50によって径方向に流れる冷媒は、コイル線32の他方のコイルエンド32aに向かって流れ、他方のコイルエンド32aを冷却する。
第2空間17bに流入した冷媒は、圧縮機構22の圧縮室22aに吸入される。圧縮室22a内に吸入された冷媒は、旋回スクロール24の旋回に伴って圧縮される。圧縮室22a内で圧縮された冷媒は、吐出室20bに吐出され、吐出ポート20aよりハウジング12の外部に吐出される。
本実施例の電動圧縮機10では、ハウジング12内に吸入された冷媒を空間17a内に導くことでコイル線32の一方のコイルエンド32bが冷却される。また、空間17a内の冷媒がロータ34内の流路39を流れることで、ロータ34が冷却される。さらに、流路39から流出する冷媒をフロントハウジング18の突出部46で径方向に案内することで、コイル線32の他方のコイルエンド32aを効果的に冷却する。すなわち、フロントハウジング18に突出部46を形成しなくても、コイルエンド32aを冷却しうるが、コイルエンド32aの内周側には冷媒が流れ難い。本実施例では、フロントハウジング18に突出部46を形成することで、コイルエンド32a周りに冷媒の経路を形成し、コイルエンド32aの内周側も軸方向先端面も冷却することができる。これらによって、電動モータ(31,34)の冷却能力を向上することができる。なお、電動モータ(31,34)の冷却能力の向上は、モータハウジング16内において冷媒の流れを改善することによって実施される。したがって、電動モータ(31,34)と冷媒とが接触する面積を大きくする必要はなく、電動圧縮機10が大型化することを抑制することができる。
また、電動圧縮機10では、フロントハウジング18の突出部46がコイル線32と径方向にオーバーラップしている。このため、電動圧縮機10を軸方向に小型化することが可能となる。さらに、本実施例の電動圧縮機10では、回転軸40をすべり軸受45で支持する。すべり軸受45は径方向の寸法を小さくできるため、電動圧縮機10を径方向にも小型化することができる。なお、すべり軸受45を採用した場合、すべり軸受45と回転軸40との接触面積を確保するためには、すべり軸受45を軸方向に長くする必要がある。本実施例では、フロントハウジング18の突出部46をロータ34と径方向にオーバーラップさせて、すべり軸受45を配置するスペースを確保している。これによって、電動圧縮機10が軸方向に大型化することが抑制される。
なお、上述した実施例1では、フロントハウジング18の突出部46とロータ34とが径方向にオーバーラップしたが、フロントハウジングの突出部とロータとが径方向にオーバーラップしていなくてもよい。この場合でも、突出部とコイルエンドが径方向にオーバーラップすることで、電動圧縮機が軸方向に大きくなることを抑制することができる。
実施例2の電動圧縮機100を図2を用いて説明する。実施例2の電動圧縮機100は、実施例1の電動圧縮機10の一部を変更したものである。従って、ここでは実施例1の電動圧縮機10との相違点について説明する。なお、実施例1の電動圧縮機10と同一構成の部分については同一符号を用い、その詳細な説明を省略することとする。
図2に示すように、電動圧縮機100では、回転軸40の他端(圧縮機構22側の端部)が玉軸受59によって支持される。このため、フロントハウジング18aの突出部55の構成が実施例1と異なっている。すなわち、フロントハウジング18aの突出部55は、大径部57と、大径部57より径が小さく、かつ、玉軸受59が配設される小径部58を備えている。大径部57の径は、ステータコア31の内径よりも大きく、大径部57とステータコア31とは径方向にオーバーラップしていない。一方、小径部58の径は、コイル線32のコイルエンド32aより小さく、保持プレート38の貫通孔38aの内径よりも大きい。このため、小径部58は、コイル線32のコイルエンド32aとは径方向にオーバーラップする一方、ロータ34aとは径方向にオーバーラップしていない。すなわち、玉軸受59は、軸方向の長さを短くできるため、玉軸受59が設けられる小径部58の軸方向の長さを短くすることができる。その結果、フロントハウジング18aの突出部55をロータ34aに対して径方向にオーバーラップしなくてもよい。なお、フロントハウジング18aの突出部55とロータ34aとがオーバーラップしないため、ロータ34aにはフロントハウジング18aの突出部55を収容する凹部を設ける必要がない。このため、ロータ34aは、一種類のコアプレート35aで構成されている。
実施例2の電動圧縮機100でも、フロントハウジング18aの突出部55がコイル線32のコイルエンド32aと径方向にオーバ―ラップするため、電動圧縮機100が軸方向に大型化することが抑制される。また、ロータ34a内の流路39を流れる冷媒は、フロントハウジング18aの突出部55によって径方向に流れの向きを変える。これによって、コイル線32の冷却が促進され、電動モータ(31,34a)の冷却能力を向上することができる。
上述した実施例2では、フロントハウジング18aの突出部55とロータ34aとが径方向にオーバ―ラップしなかったが、これらの寸法によっては、両者を径方向にオーバーラップさせてもよい。
なお、上述した各実施例では、圧縮機構22にスクロール式の圧縮構造を利用したが、圧縮機構22の圧縮構造は、公知の他の構造(例えば、ベーン式圧縮構造、ピストン式圧縮構造)を用いてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。