JP2016089648A - 電動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータに軸方向に貫通して形成した冷媒流路に冷媒量を十分導入できる冷媒導入路を設け、流路圧損を低減して吸入効率、ひいては圧縮効率を向上し、更なる小型化に貢献し得る電動圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】吸入ポートからハウジング内に吸入した冷媒をモータの周りを通して圧縮機構側に流通させるようにした電動圧縮機において、モータのロータ16に減肉孔により軸方向に貫通する複数の冷媒流路35を設け、該ロータ16の両端面に配設されたバランスウェイト32中の圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、冷媒流路35に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、吸入ポート側の面に設けられた吸入側バランスウェイト32に、その外周面の開口部41から冷媒流路35へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面43,44により形成された冷媒導入路36を設けた。
【選択図】図2
【解決手段】吸入ポートからハウジング内に吸入した冷媒をモータの周りを通して圧縮機構側に流通させるようにした電動圧縮機において、モータのロータ16に減肉孔により軸方向に貫通する複数の冷媒流路35を設け、該ロータ16の両端面に配設されたバランスウェイト32中の圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、冷媒流路35に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、吸入ポート側の面に設けられた吸入側バランスウェイト32に、その外周面の開口部41から冷媒流路35へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面43,44により形成された冷媒導入路36を設けた。
【選択図】図2
Description
本発明は、ハウジング内にモータおよび圧縮機構を内蔵し、そのモータにより圧縮機構を駆動する電動圧縮機に関するものである。
ハウジング内にモータおよび圧縮機構を内蔵した電動圧縮機において、ハウジングの一端部側から低圧冷媒ガスを吸い込み、その低圧冷媒ガスをモータとハウジング間を通して圧縮機構側に流通させ、圧縮機構に吸入させることによって圧縮するようにしたものが知られている。このような構成の電動圧縮機では、モータ外周とハウジング内周間に冷媒流路を形成し、その冷媒流路を通して圧縮機構側へと冷媒を流通させている。
かかる電動圧縮機の場合、モータ径を維持したままで小型化しようとすると、モータの外周とハウジングの内周間の隙間を出来るだけ詰める必要があるが、あまり詰め過ぎると冷媒流路の面積が小さくなり、流路圧損が増大して吸入効率、ひいては圧縮効率が低下する等の問題が発生する。一方、モータステータの一部を切り欠いて冷媒流路を設定する場合もあるが、切り欠きを大きくすると、モータ効率に影響を及ぼすことなる。
そこで、特許文献1に示すように、モータのロータ(回転子)に、軸方向に貫通する複数の冷媒流路を形成し、その冷媒流路内を流れる冷媒量を十分確保すると同時に、冷媒中の油分を十分に分離するため、ロータの両端面に設けられている端板やバランスウェイトを利用し、端板の冷媒流路の入口および出口となる部分に対応して所要構成の冷媒導入路および冷媒導出路を加工したり、端板に加工した冷媒導入路および冷媒導出路をバランスウェイトで覆ったりしたものが提案されている。
しかしながら、打ち抜き成形した電磁鋼板を複数枚積層して構成される回転子鉄心の両端面に配設される端板は、一般に薄い板厚の非磁性材からなる板材を加工したものとされており、このため、十分な開口面積を持った冷媒導入路を加工することは難しく、流路圧損が大きくなり易い等の課題がある。
つまり、ロータに冷媒流路を構成する貫通孔を設けるとは云っても、モータ性能に影響を及ぼさない範囲での貫通孔とならざるを得ないため、無闇に開口面積を稼げるわけではなく、その貫通孔が出・入口部に設けられる冷媒導入路や冷媒導出路で絞られて圧損が増大することになれば、ロータに冷媒流路を設ける意味が失われることになり兼ねない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロータに軸方向に貫通する冷媒流路を形成したものにあって、その冷媒流路に冷媒量を十分導入できる冷媒導入路を設け、流路圧損を低減して吸入効率、ひいては圧縮効率を向上し、更なる小型化に貢献し得る電動圧縮機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の電動圧縮機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる電動圧縮機は、一端側に吸入ポート、他端側に吐出ポートが設けられた円筒状のハウジングと、前記ハウジング内の前記吸入ポート側に設けられたモータと、前記ハウジング内の前記吐出ポート側に設けられ、前記モータにより駆動される圧縮機構と、を備え、前記吸入ポートから前記ハウジング内に吸入した冷媒を前記モータの周りを通して前記圧縮機構側へと流通させるようにした電動圧縮機において、前記モータのロータに、減肉孔により軸方向に貫通する複数の冷媒流路を形成し、前記ロータの両端面に配設されたバランスウェイト中の前記圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、前記冷媒流路に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、前記吸入ポート側の面に設けられた吸入側のバランスウェイトに、その外周面の開口部から前記冷媒流路へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面により形成された冷媒導入路を設けたことを特徴とする。
すなわち、本発明にかかる電動圧縮機は、一端側に吸入ポート、他端側に吐出ポートが設けられた円筒状のハウジングと、前記ハウジング内の前記吸入ポート側に設けられたモータと、前記ハウジング内の前記吐出ポート側に設けられ、前記モータにより駆動される圧縮機構と、を備え、前記吸入ポートから前記ハウジング内に吸入した冷媒を前記モータの周りを通して前記圧縮機構側へと流通させるようにした電動圧縮機において、前記モータのロータに、減肉孔により軸方向に貫通する複数の冷媒流路を形成し、前記ロータの両端面に配設されたバランスウェイト中の前記圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、前記冷媒流路に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、前記吸入ポート側の面に設けられた吸入側のバランスウェイトに、その外周面の開口部から前記冷媒流路へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面により形成された冷媒導入路を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、ロータを軽量化するための減肉孔によって軸方向に貫通する複数の冷媒流路を形成し、そのロータの両端面に配設されたバランスウェイト中の圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、冷媒流路に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、吸入ポート側の面に設けられた吸入側のバランスウェイトに、その外周面の開口部から冷媒流路へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面により形成された冷媒導入路を設けているため、ロータの減肉孔を利用してロータを貫通し、吸入ポートから吸入した冷媒を圧縮機構側へと流通させる冷媒流路を形成したことにより、モータ外周とハウジング内周面との間に冷媒流路を形成することによるモータ径やハウジング径への影響を排除することができる。また、ロータの両端面に配設したバランスウェイトに冷媒導入路および冷媒導出路を設け、その吸入側バランスウェイトに外周面の開口部から冷媒流路へと冷媒を導く冷媒導入路を、回転方向に向うガイド壁面を設けて形成したことにより、バランスウェイトの肉厚を利用して、バランスウェイト周りの冷媒ガスを外周面の開口部からガイド壁面によってスムーズに冷媒流路へと導くことができる比較的開口面積の大きい冷媒導入路を設けることができる。従って、冷媒流路がモータ径やハウジング径に及ぼす影響を排除して電動圧縮機の更なる小型化を図ることができるとともに、冷媒導入路および冷媒導出路を含む冷媒流路での流路抵抗による圧損を低減し、吸入効率、ひいては圧縮効率を向上することができる。
さらに、本発明の電動圧縮機は、上記の電動圧縮機において、前記冷媒導入路のガイド壁面は、回転方向に向う滑らかな曲面壁とされていることを特徴とする。
本発明によれば、冷媒導入路のガイド壁面が、回転方向に向う滑らかな曲面壁とされているため、ロータの回転によりその周りの冷媒ガスを回転方向に向う滑らかな曲面壁に沿ってスムーズに冷媒流路へと導くことができる。従って、ロータに設けられた冷媒流路への冷媒導入部での流路圧損を低減し、吸入効率の低下を抑制することによって圧縮効率の向上を図ることができる。
さらに、本発明の電動圧縮機は、上述のいずれかの電動圧縮機において、前記吸入側バランスウェイトは、リング形状で所定範囲部分の肉厚が厚くされた形状のバランスウェイトとされていることを特徴とする。
本発明によれば、吸入側バランスウェイトが、リング形状で所定範囲部分の肉厚が厚くされた形状のバランスウェイトとされているため、ロータを貫通する周方向の複数の冷媒流路に対応して、比較的開口面積の大きい複数の冷媒導入路を周方向にそれぞれ一様に設けることができる。従って、冷媒導入路および冷媒流路での流路圧損を低減し、吸入効率の向上、ひいては圧縮効率の向上を図ることができる。
さらに、本発明の電動圧縮機は、上記の電動圧縮機において、前記冷媒導入路は、前記吸入側バランスウェイトにおける前記ロータの端面と接する側の端面を前記冷媒流路と対応する複数箇所で凹状に抉り取った切り欠きにより構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、冷媒導入路が、吸入側バランスウェイトにおけるロータの端面と接する側の端面を冷媒流路と対応する複数箇所で凹状に抉り取った切り欠きにより構成されているため、冷媒導入路を吸入側バランスウェイトの一端面を凹状に抉り取ることによって一体に成形することができる。従って、冷媒の円滑な導入を優先した形状の冷媒導入路としても、バランスウェイトに対して簡易に一体成形することにより、コストアップ要因とならないようにすることができる。
本発明によると、ロータの減肉孔を利用してロータを貫通し、吸入ポートから吸入した冷媒を圧縮機構側へと流通させる冷媒流路を形成したことにより、モータ外周とハウジング内周面との間に冷媒流路を形成することによるモータ径やハウジング径への影響を排除することができる。また、ロータの両端面に配設したバランスウェイトに冷媒導入路および冷媒導出路を設け、その吸入側バランスウェイトに外周面の開口部から冷媒流路へと冷媒を導く冷媒導入路を、回転方向に向うガイド壁面を設けて形成したことにより、バランスウェイトの肉厚を利用して、バランスウェイト周りの冷媒ガスを外周面の開口部からガイド壁面によってスムーズに冷媒流路へと導くことができる比較的開口面積の大きい冷媒導入路を設けることができるため、冷媒流路がモータ径やハウジング径に及ぼす影響を排除して電動圧縮機の更なる小型化を図ることができるとともに、冷媒導入路および冷媒導出路を含む冷媒流路での流路抵抗による圧損を低減し、吸入効率、ひいては圧縮効率を向上することができる。
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図が示され、図2には、そのモータのロータ端面の正面視図、図3には、図2のA−A断面相当図が示されている。
ここでの電動圧縮機1は、電動圧縮機1のハウジング2にモータ17を駆動するインバータ26が一体に組み込まれているインバータ一体型電動圧縮機1とされているが、本発明は、インバータ26を備えていない、あるいはインバータ26が別置きとされている電動圧縮機1にも同様に適用できることはもちろんである。
図1には、本発明の一実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図が示され、図2には、そのモータのロータ端面の正面視図、図3には、図2のA−A断面相当図が示されている。
ここでの電動圧縮機1は、電動圧縮機1のハウジング2にモータ17を駆動するインバータ26が一体に組み込まれているインバータ一体型電動圧縮機1とされているが、本発明は、インバータ26を備えていない、あるいはインバータ26が別置きとされている電動圧縮機1にも同様に適用できることはもちろんである。
インバータ一体型とされた電動圧縮機1は、円筒状のハウジング2を備え、その一端部が圧縮機側エンドハウジング3により密閉され、他端部がモータ側エンドハウジング4により密閉された構成とされている。なお、以下の説明において、ハウジング2は、圧縮機側エンドハウジング3およびモータ側エンドハウジングを含んでハウジング2と称している場合もある。
円筒状のハウジング2の一端部側には、一対の固定スクロール5および旋回スクロール6からなる公知のスクロール圧縮機構(圧縮機構)7が組み込まれており、この圧縮機構7により圧縮された高圧の冷媒ガスは、吐出口8および吐出弁9を介して吐出チャンバー10内に吐出され、圧縮機側エンドハウジング3に設けられている図示省略の吐出ポートを経て外部へと吐出されるようになっている。
また、スクロール圧縮機構7を構成する固定スクロール5は、圧縮機側エンドハウジング3にボルト11で固定され、旋回スクロール6は、スラスト軸受12にオルダムリンク13等の自転阻止手段を介して旋回可能に支持されている。この固定スクロール5および旋回スクロール6を公知の如く噛み合わせることにより圧縮室14を形成し、その圧縮室14を旋回スクロール6の公転旋回駆動によって外周側から中心側へと容積を減少させながら移動させることにより、圧縮動作を行わせる構成とされている。
円筒状のハウジング2の他端部側には、ステータ(固定子)15と、ロータ(回転子)16からなるモータ17が組み込まれており、そのロータ16に駆動軸18が一体に結合されている。駆動軸18は、ハウジング2内の中央部付近に設置された軸受20と、モータ側エンドハウジング4の内面に設けられた軸受21により回転自在に支持され、その一端に設けられたクランクピン19が、ドライブブッシュ22および旋回軸受23を介して旋回スクロール6に連結されることによって、旋回スクロール6、すなわちスクロール圧縮機構7が駆動可能とされている。
ハウジング2のモータ17が組み込まれている他端部側の端部には、冷凍サイクルからの低圧冷媒ガスを吸入するための吸入ポート(図示省略)が設けられており、モータ側エンドハウジング4とモータ17の一端間の空間部24に低圧冷媒ガスが吸入されるようになっている。この低圧冷媒ガスは、後述するモータ17周りの冷媒流路35を通って圧縮機構7側に流通され、圧縮機構7に吸い込まれて圧縮されるようになっている。
一方、モータ側エンドハウジング4の外面側には、インバータ収容部25が一体成形されており、その内部にモータ17を駆動するインバータ26が収容設置されている。このインバータ26は、外部のバッテリ等から給電される直流電力を所要周波数の三相交流電力に変換し、モータ側エンドハウジング4を貫通するハーメチック端子(図示省略)を介してモータ17に印加することにより、モータ17を駆動するものである。
インバータ26は、例えば、電力用半導体スイッチング素子であるIGBT等の複数個のパワートランジスタで構成されるスイッチング回路が実装されたパワー基板と、外部から入力される制御信号に基づいて、スイッチング回路、その他を制御するCPU等の低電圧で動作する素子で構成される制御通信回路が実装された制御基板と、ノイズ除去用のフィルタ回路を構成する平滑コンデンサおよびコイル等の電装部品とから構成されるものであり、それ自体は公知のもの故、ここでの詳細説明は省略する。
インバータ26によって駆動されるモータ17は、上記の如くステータ(固定子)15およびロータ(回転子)16を備えている。ステータ(固定子)15は、一般に環状に打抜き成形された電磁鋼板を所要枚数積層して構成される固定子鉄心27を備え、その内周側に設けられているティース部に対し、絶縁ボビン28を介してコイル巻線を集中巻きしたものとされている。一方、ロータ(回転子)16は、図2,3に示されるように、一般に環状に打ち抜き成形された磁性鋼板を複数枚積層して回転子鉄心29を形成し、その両端面に端板30,31およびバランスウェイト32,33を配設し、図示省略された複数本のカシメピンあるいはボルト・ナット等により一体に締結したものとされている。
ロータ16には、中心部に駆動軸18を結合する貫通孔34が設けられるとともに、外周部にモータ極数に対応した数の永久磁石(図示省略)が埋め込まれている。また、この永久磁石を埋め込む磁石埋め込み孔およびカシメピンあるいはボルト・ナット等の締結手段を通す貫通孔が設けられる以外に、ロータ16を軽量化するため、減肉孔を設けたものが知られている。
本実施形態では、上記の減肉孔を利用し、図2,3に示されるように、モータ側エンドハウジング4とモータ17の一端部間の空間部24に吸入された低圧冷媒ガスを圧縮機構7側に流通させる軸方向に貫通した複数(本実施形態では、4個)の冷媒流路35を設けたものとされている。なお、冷媒流路35を形成するに当り、モータ17の性能を確保するため、磁石およびカシメピン等の締結手段の配設が優先されることは勿論であり、減肉孔によって形成される冷媒流路35は、磁石およびカシメピン等を避けてロータ16の性能や回転バランスに影響を及ぼさない位置にバランスを取って配設されることは云うまでもない。
また、回転子鉄心29の両端面に積層して配設される端板30,31およびバランスウェイト32,33には、複数の冷媒流路35と対応する位置に冷媒導入路36および冷媒導出路37が設けられている。冷媒導出路37は、冷媒流路35と連通するように、端板31およびバランスウェイト33に設けられている貫通孔38,39によって構成されている。一方、冷媒導入路36は、回転体であるロータ16の周辺空間から冷媒ガスを取り込んで冷媒流路35に導き、十分な量を圧縮機構7側に流通させるためのものである。
そのため、冷媒導入路36は、空間部24側に面しているバランスウェイト(吸入側バランスウェイト)32を、リング形状であって半円部分32Aの肉厚を厚くした構成のバランスウェイト32となし、その吸入側バランスウェイト32の端板30に接する側の端面を凹状に抉り取った切り欠き40により、外周面に所要の開口面積を有する開口部41を有し、その開口部41から端板30の貫通孔42と連通する冷媒流路35に向って滑らかに湾曲する曲面壁からなるガイド壁面43,44によって形成された、ロータ16の回転方向Nに向う湾曲形状の冷媒導入路36とされている。
なお、空間部24側に面して配設されている吸入側バランスウェイト32をリング形状となし、その半円部分32Aの肉厚を厚くした構成としているが、肉厚を厚くしている半円部分32Aの大きさは、必ずしも半円部分32Aに限られるものではなく、バランサー機能を満たすべく、適宜範囲の大きさに設定すればよい。また、圧縮機構7側の端面に配設されているバランスウェイト33は、必ずしもリング形状とする必要はなく、本例の如く半円形状あるいは三日月形状としてもよいことは勿論である。
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記電動圧縮機1において、外部電源から供給された直流電力をインバータ26により所要周波数の三相交流電力に変換し、その三相交流電力をモータ17に印加することによって、モータ17が回転駆動され、圧縮機構7が駆動される。モータ17および圧縮機構7の駆動により、冷凍サイクル側から低圧冷媒ガスがハウジング2内の空間部24に吸い込まれ、その低圧冷媒ガスがモータ17のロータ16を軸方向に貫通する冷媒流路35等を経て圧縮機構7側へと流通され、圧縮機構7に吸入されることにより圧縮される。圧縮された高圧ガスは、吐出チャンバー10を経て外部へと吐出される。
上記電動圧縮機1において、外部電源から供給された直流電力をインバータ26により所要周波数の三相交流電力に変換し、その三相交流電力をモータ17に印加することによって、モータ17が回転駆動され、圧縮機構7が駆動される。モータ17および圧縮機構7の駆動により、冷凍サイクル側から低圧冷媒ガスがハウジング2内の空間部24に吸い込まれ、その低圧冷媒ガスがモータ17のロータ16を軸方向に貫通する冷媒流路35等を経て圧縮機構7側へと流通され、圧縮機構7に吸入されることにより圧縮される。圧縮された高圧ガスは、吐出チャンバー10を経て外部へと吐出される。
この間、空間部24に吸い込まれ、モータ側エンドハウジング4をヒートシンクとしてインバータ26を冷却した低圧冷媒ガスは、ロータ16に設けられている複数の冷媒流路35を通して圧縮機構7側に流通され、圧縮機構7に吸入されることになるが、冷媒流路35に対しては、空間部24内の低圧冷媒ガスがロータ16の端面に一体に締結された吸入側バランスウェイト32に設けられている冷媒導入路36を介して導入され、その冷媒がロータ16の他端面に一体に締結された端板31およびバランスウェイト33に設けられている冷媒導出路37を介して圧縮機構7側の吸入エリアへと導出される。
ここで、上記冷媒流路35は、ロータ16の減肉孔を利用してロータ16を軸方向に貫通し、吸入ポートから空間部24に吸入された冷媒を圧縮機構7側へと流通させるように形成されるため、モータ17の外周とハウジング2の内周面間に冷媒流路を形成する必要がなく、かかる冷媒流路を設けることによるモータ径やハウジング径への影響を排除することができる。従って、空間部24から圧縮機構7側への冷媒流路がモータ径やハウジング径に及ぼす影響を排除して電動圧縮機1の更なる小型化を図ることができる。
また、冷媒導入路36は、吸入ポートが開口されている空間部24側の面に配設された吸入側バランスウェイト32の端面を凹状に抉り取った切り欠き40により、外周面に所要面積を有する開口部41を有し、その開口部41から端板30の貫通孔42と連通する冷媒流路35に向って滑らかに湾曲する曲面壁からなるガイド壁面43,44によって形成された、ロータ16の回転方向Nに向う湾曲形状の冷媒導入路36とされている。このため、吸入側バランスウェイト32の肉厚を利用して、バランスウェイト32周りの冷媒ガスを外周面の開口部41からガイド壁面43,44によりスムーズに冷媒流路35へと導くことができる比較的開口面積の大きい冷媒導入路36とすることができる。
これによって、モータ17のロータ16中に、冷媒流路35を形成したとしても、冷媒導入路36および冷媒導出路37を含む冷媒流路35中での流路抵抗による圧損を可及的に小さくし、圧縮機1の吸入効率、ひいては圧縮効率を向上することができる。
また、冷媒導入路36のガイド壁面43,44が、回転方向に向う滑らかな曲面壁とされているため、ロータ16の回転によりその周りの冷媒ガスを回転方向に向う滑らかな曲面壁に沿ってスムーズに冷媒流路へと導くことができる。従って、ロータ16に設けられた冷媒流路35への冷媒導入部での流路圧損を低減し、圧縮機1の吸入効率の低下、ひいては圧縮効率の低下を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、吸入側バランスウェイト32が、リング形状で所定範囲部分の肉厚が厚くされた形状のバランスウェイト32とされている。このため、ロータ16を貫通する周方向の複数の冷媒流路35に対応して、比較的開口面積の大きい複数の冷媒導入路36を周方向にそれぞれ一様に設けることができ、これによっても、冷媒導入路36および冷媒流路35での流路圧損を低減し、吸入効率の低下を抑制することによって圧縮効率の向上を図ることができる。
また、上記冷媒導入路36は、吸入側バランスウェイト32のロータ16の端面と接する側の端面を冷媒流路35と対応する複数箇所で凹状に抉り取った切り欠き40により構成されている。このため、冷媒導入路36を吸入側バランスウェイト32の一端面を凹状に抉り取ることにより一体に成形することができ、従って、冷媒の円滑な導入を優先した形状の冷媒導入路36としても、吸入側バランスウェイト32に対して簡易に一体成形することにより、コストアップ要因とならないようにすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、吸入側バランスウェイト32をリング形状、バランスウェイト33を半円形状あるいは三日月形状としているが、双方をリング形状としてもよい。
また、バランスウェイト32,33をリング形状とし、その材料を適宜選択して非磁性材とすることにより、バランスウェイト32,33の一方または双方を端板30,31に兼用化し、端板30,31を省略した構成としてもよい。
更に、上記実施形態では、冷媒流路35を円形孔としているが、減肉孔として設けられる孔が非円形の場合、冷媒流路35を非円形孔としてもよいことは勿論である。
更に、上記実施形態では、冷媒流路35を円形孔としているが、減肉孔として設けられる孔が非円形の場合、冷媒流路35を非円形孔としてもよいことは勿論である。
1 電動圧縮機
2 ハウジング
7 スクロール圧縮機構(圧縮機構)
16 ロータ
17 モータ
32 バランスウェイト(吸入側バランスウェイト)
32A 半円部分
33 バランスウェイト
35 冷媒流路
36 冷媒導入路
37 冷媒導出路
40 切り欠き
41 開口部
43,44 ガイド壁面
N モータ回転方向
2 ハウジング
7 スクロール圧縮機構(圧縮機構)
16 ロータ
17 モータ
32 バランスウェイト(吸入側バランスウェイト)
32A 半円部分
33 バランスウェイト
35 冷媒流路
36 冷媒導入路
37 冷媒導出路
40 切り欠き
41 開口部
43,44 ガイド壁面
N モータ回転方向
Claims (4)
- 一端側に吸入ポート、他端側に吐出ポートが設けられた円筒状のハウジングと、
前記ハウジング内の前記吸入ポート側に設けられたモータと、
前記ハウジング内の前記吐出ポート側に設けられ、前記モータにより駆動される圧縮機構と、を備え、
前記吸入ポートから前記ハウジング内に吸入した冷媒を前記モータの周りを通して前記圧縮機構側へと流通させるようにした電動圧縮機において、
前記モータのロータに、減肉孔により軸方向に貫通する複数の冷媒流路を形成し、
前記ロータの両端面に配設されたバランスウェイト中の前記圧縮機構側の面に設けられたバランスウェイトに、前記冷媒流路に通ずる冷媒導出路を設けるとともに、前記吸入ポート側の面に設けられた吸入側のバランスウェイトに、その外周面の開口部から前記冷媒流路へと冷媒を導く、回転方向に向うガイド壁面により形成された冷媒導入路を設けたことを特徴とする電動圧縮機。 - 前記冷媒導入路のガイド壁面は、回転方向に向う滑らかな曲面壁とされていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
- 前記吸入側バランスウェイトは、リング形状で所定範囲部分の肉厚が厚くされた形状のバランスウェイトとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動圧縮機。
- 前記冷媒導入路は、前記吸入側バランスウェイトにおける前記ロータの端面と接する側の端面を前記冷媒流路と対応する複数箇所で凹状に抉り取った切り欠きにより構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014221583A JP2016089648A (ja) | 2014-10-30 | 2014-10-30 | 電動圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014221583A JP2016089648A (ja) | 2014-10-30 | 2014-10-30 | 電動圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=56015984
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2016089648A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024063236A1 (ko) * | 2022-09-21 | 2024-03-28 | 한온시스템 주식회사 | 전동 압축기 |
-
2014
- 2014-10-30 JP JP2014221583A patent/JP2016089648A/ja active Pending
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WO2024063236A1 (ko) * | 2022-09-21 | 2024-03-28 | 한온시스템 주식회사 | 전동 압축기 |
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