JP6035896B2 - Fe基合金組成物 - Google Patents

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Description

この発明は軟磁性材料として用いられるFe基合金組成物に関する。
日本の磁性材料生産量は2000kt/年で、そのうち軟磁性材料は97%を占めている。
軟磁性材料の代表的な使用例としてリアクトルや柱状トランス等の変圧製品が挙げられるが、従来その磁心材料として用いられている珪素鋼(Fe-6.5Siの場合)は、高い飽和磁束密度(Bs=1.6(T))を有するものの、保磁力(Hc=119(A/m)(1.50(Oe)))が高く、軟磁気特性の点で不十分である。
珪素鋼等従来の一般的な結晶性の軟磁性材料の場合、飽和磁束密度と保磁力とはトレードオフの関係にあり、高い飽和磁束密度を保持しつつ保磁力を更に低くするといったことは難しい。
こうした中で、従来の結晶性の軟磁性材料に代わるものとしてナノ結晶軟磁性材料が近年注目されている。
ナノ結晶軟磁性材料は、ナノスケールの結晶粒をアモルファス母相中に分散させて成るもので、従来材では実現が困難な優れた軟磁気特性を示すことから、近年研究開発や実用化が進められている。
このナノ結晶軟磁性材料は、代表的にはロール急冷法等にて合金溶湯を急冷固化してアモルファス化し、その後これを結晶化温度以上に加熱し熱処理することで得られる。
ナノ結晶軟磁性材料は、アモルファス母相中にナノスケール(数十nm程度)の粒径の結晶粒を均一に分散析出したナノ組織構造を有し、そしてこのナノ構造が、優れた軟磁気特性を発現する上で重要な役割を果たしている。
従来のミクロンオーダー以上の結晶粒径Dを有する結晶質軟磁性材料では、Dが大きくなるほど比初透磁率μが増加するとともに図3に示しているように保磁力Hcが低下し、軟磁気特性が向上する。
ところがDがナノスケールまで減少したナノ結晶磁性材料では、従来の結晶質軟磁性材料とは異なる挙動を示すようになり、Dが小さくなるほどμが高くなるとともに同図に示すようにHcが低下し、軟磁気特性が向上する。
結晶サイズが大きく多磁区構造を持つ領域では、磁化過程が結晶内の磁壁移動によって決まり、従って結晶サイズが大きくなるに従って磁壁の数も多くなるのでHcが低下するが、結晶サイズが小さくなり単磁区構造に近づくと、磁化過程で磁壁の移動が無くなり、磁気異方性に打ち勝つような強い磁界によって磁化が反転する。このため結晶サイズ低下によりHcが上昇する。
ところが更にサイズが小さくなるとHcの低下が起こる。これは結晶サイズがナノサイズまで小さくなると、隣合う結晶の間に磁気的結合(交換結合)が生じ、粒子間の界面を通した交換結合(電子間に働く相互作用に起因する磁気モーメント間の磁気的結合)によって個々の結晶の磁気異方性が平均化されてゼロに近づくため、サイズが小さくなるに伴ってHcが低下するものと考えられている。
このようなナノ結晶軟磁性材料の一例が下記特許文献1に開示されている。
その一つの組成例として83.3Fe-4.0Si-8.0B-4.0P-0.7Cuが開示されており、この組成のFe基ナノ結晶軟磁性材料はBs≒1.8(T),Hc≒8.0(A/m)(0.1(Oe))で高い軟磁気特性を有している。
この特許文献1では、アモルファス形成元素としてCを含有させる点、及びその含有量は5%(原子%)以下とすべき点も開示している。
その理由は、C含有量が5%を超えると軟磁気特性を劣化させるからであるとしている。
しかしながら、Cの含有量を5%以下に少なくすれば、安価なCに比べて高価な他のアモルファス形成元素であるBの含有量を多くする必要があり、ナノ結晶軟磁性材料のコストが高くなってしまう。
特開2010−70852号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、低い保磁力を実現可能で高い軟磁気特性の得られるFe基合金組成物を安価に提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は、原子%でB:3.0〜6.0%,Si:1.3〜8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:5.0超〜12.0%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、下記式(1)に示すアモルファス化率Xが85%以上であることを特徴とする。
請求項のものは、原子%で、B:3.0〜6.0%,Si:1.3〜8.0%,P:4.0〜8.0%,Cu:0.3〜1.0%,C:5.0超〜12.0%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、アモルファス母相中にbcc-Feナノ結晶粒が分散したナノ組織構造を有することを特徴とする。
発明の作用・効果
本発明のFe基合金組成物は所定組成となるように原料を秤量し、溶解した合金溶湯を急冷することでアモルファス化する。詳しくはアモルファス相を主相とした合金組成物となる。
このFe基合金組成物は、アモルファス形成元素としてのCを5.0%を超えて多量に含有しているにも拘らず、後に明らかにされるように低い保磁力Hc及び1.6(T)を超える高い飽和磁束密度Bsを実現可能なFe基ナノ結晶合金を熱処理によって形成することができる。
一般に合金溶湯をアモルファス化させる際に以下の条件、即ち(a)合金成分が3元素以上の多元系である事、(b)主構成元素の原子半径が互いに12%以上異なる事、(c)主構成元素の混合エンタルピーが負である事、の条件を満たすことで良好に溶湯をアモルファス化できることが知られている。
CはBと原子半径が近く、アモルファス形成能に関してCはBと似たような働きをすることが期待できる。
そこで本発明者らは高価なBの含有量をできるだけ少なくすべく、安価なCの含有量を多くすることの可能性を追求したところ、Cを5.0%よりも多く含有させること、具体的には5.0%超から12.0%の範囲内とした場合においても、他の成分とのバランスを適正にすることでFe基合金組成物、詳しくは結晶化温度以上に加熱し熱処理して得た、アモルファス母相中にbcc-Feナノ結晶粒が分散したナノ組織構造を有するFe基ナノ結晶合金の軟磁気特性を良好に維持できること、またBの含有量を従来よりも減じても、Cの含有量を5.0%を超えて多く含有させることで合金溶湯の急冷時に良好にこれをアモルファス化できることを知得した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
合金溶湯を急冷してアモルファス化するに際し、含有Fe量を多くすると冷却時に結晶化し易くなってアモルファス化を良好に行うことが難しくなる。
但し溶湯冷却時の冷却速度を速めることによって、Feの多量含有による結晶化は抑制することができる。
特にロール急冷法による溶湯急冷では合金溶湯を超急冷でき、含有Fe量を多くしつつ冷却による結晶化を抑制できる。
而してFe含有量を多くすることで、Fe基ナノ結晶合金の飽和磁束密度Bsを効果的に高めることができる。
本発明の請求項1は、Fe基合金組成物をアモルファス状態とするに際し、その全体を実質的にアモルファス化したもの、即ち式(1)に示すアモルファス化率Xが85%以上である。
このようにしておくことで、その後の結晶化温度以上の加熱による熱処理によって得られるFe基ナノ結晶合金の軟磁気特性を効果的に高めることができる。
上記結晶化温度以上に加熱し、熱処理することによって得た請求項のFe基合金組成物、詳しくはアモルファス母相中にナノスケールのbcc-Fe結晶を分散させたナノ組織構造のFe基合金組成物(Fe基ナノ結晶合金)は、含有元素として高価なBを少なくし安価なCを多くしていることでコストを安価とすることができ、しかも低い保磁力Hc,1.6(T)以上の高い飽和磁束密度Bsを実現可能な、優れた軟磁気特性を有する。

次に本発明の各合金成分の添加及び添加量限定理由を以下に詳述する。
Fe
Feは磁性を担う主元素で、高い飽和磁束密度を確保する上では多い方が望ましい。但しFe量が多くなると合金溶湯の冷却時に結晶化し易くなってしまう。
本発明では、アモルファス形成のための他元素を除いた残量がFe含有量となる。但し高い飽和磁束密度を確保する上でFeの含有量は77〜84原子%が望ましく、80〜84原子%が更に望ましい。
B:3.0〜6.0原子%
Bはアモルファス形成元素で、他のアモルファス形成元素Si,Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。
またそれらの相互作用でアモルファス形成に寄与することから、各アモルファス形成元素の添加量に応じて特性が大きく左右される。但しBの含有量が3.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下するため、本発明ではBを3.0%以上含有させる。
本発明では、Bの含有量の上限を6.0%とする。その理由は以下の通りである。
本発明は、高価なBの含有量を可及的に少なくすることを一つの目的としている。Cの多量含有によって可能なBの少量化を追求した結果、B含有量を3.0〜6.0%に低減できることを確認した。
本発明では、そのためにCを5.0%以上含有させるようにしている。その条件の下でSi,B,Cの比率の最適化を求めたところ、B含有量が3.0〜6.0%でもアモルファス化率をほぼ100%まで高めることが可能であることを確認した。
そうした中でBの含有量を6.0%を超えて多量に含有しても特性が向上しないばかりか、コストアップを招いてしまう。
加えてBの含有量が6.0%を超えて多くなると、磁壁の移動を妨げるFeBやFeBといった磁気的にハードな化合物相が析出し易くなり、bcc-Fe固溶体を主相とする均一なナノ結晶相が得難くなる。本発明においてBの望ましい含有量は5.0%未満である。
Si:1.3〜8.0原子%
Siもまたアモルファス形成元素で、B,Cとの相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。またそれぞれの含有量に応じて特性を大きく変化させる。
本発明ではB,Cの含有量に応じてSiの含有量を少なくすることができる。但しSiは2.0%以上添加することでアモルファス形成能が改善されるため、2.0%以上含有させることが望ましい。
一方8%よりも多く含有させると飽和磁束密度とアモルファス形成能が低下し、軟磁気特性が劣化するため、上限を8.0%とする。

P:4.0〜8.0原子%
Pはアモルファス形成元素である。但し他のアモルファス形成元素との相互作用はあまり無く、P単独の添加量増量でアモルファス形成能を高めることができる。
PはまたCuと結合し易く、Cuとともにナノヘテロ構造を形成し、アモルファス相からbcc-Feナノ結晶を析出させるのに寄与する働きを有する。
本発明において、Pの下限を4.0%としている理由は、4.0%未満であるとアモルファス形成能が著しく低下することによる。
一方Pの上限を8.0%としているのは、8.0%を超えて多量に含有させると飽和磁束密度が低下し、軟磁気特性が劣化することによる。
Cu:0.3〜1.0原子%
Cuはアモルファス相からbcc-Feナノ結晶を析出させるのに寄与する必須元素である。
CuはPとともに結合してナノヘテロ構造のクラスターを形成してアモルファス中に微細に分散し析出する。
Cuクラスターが微細に分散していると、微細な粒径のbcc-Fe相を均一に発生分散させることができる。
Cuのクラスターが生じていないと、bcc-Fe結晶が突然生じて一気に粗大化してしまう。
この場合、Cuの含有量が0.3%未満であるとbcc-Fe相をナノ結晶化させる際の微細核の数密度が減り、bcc-Fe相が著しく粗大化してしまう。
一方1.0%を超えて多量に含有させると、Fe基ナノ結晶合金の前駆体となるアモルファス相が不均質になり、これによりFe基ナノ結晶合金の形成の際に均質なナノ結晶組織が得られなくなる。
C:5.0超〜12.0原子%
Cはアモルファス形成元素であり、Si,B等他のアモルファス形成元素との相互作用でそれらと協働してアモルファス形成に寄与する。またそれぞれの添加量に応じて特性が大きく変化する。
本発明において、Cを5.0%を超える量で含有させる理由は、アモルファス形成能を維持しつつ高価なBの添加量を効果的に減量するためには、Cを5.0%超含有させる必要があるからであり、またその上限を12.0%としているのは、それ以上Cを多く含有させるとアモルファス相からの結晶化温度が300℃を下回るようになるからである。
結晶化温度が300℃を下回る低い温度になると、結晶化のための最適温度の制御が難しくなり、そのことが結晶粒を粗大化させて磁気特性を低下させることに繋がる。
また結晶化温度が300℃を下回る低い温度になると、本発明の軟磁性合金の粉末を樹脂材と混合して射出成形し、リアクトル等のコア(磁心)を構成する際、樹脂材の溶融温度が約300℃のため、結晶化温度の低い軟磁性合金の粉末を投入すると、磁気特化が低下し、良質な射出成形コアを成形できない。
実施例における結晶化温度の測定結果を示した図である。 実施例に係るFe基ナノ結晶合金の透過型電子顕微鏡写真及びその一部を拡大して表した模式図である。 結晶粒径と保磁力との関係を表した図である。
請求項1の組成を有するアモルファス合金は様々な方法で製造することができる。
例えばスパッタリング法,真空蒸着法等の気相急冷法にて製造することもできる。但しこれらは大量生産には不向きであり、液体急冷法にて製造するのが好適である。
液体急冷法としては単ロール急冷法,双ロール急冷法等のロール急冷法やガスアトマイズ法,水アトマイズ法,遠心力アトマイズ法等のアトマイズ法を用いることが可能であるが、アモルファス化を良好に行う上で、より超急冷が可能なロール急冷法を好適に用いることができる。
単ロール急冷法等のロール急冷法では、原料を溶解して得た溶湯をノズルから噴出させて高速回転するCu製等のロール表面に接触凝固させ、アモルファス化させる。
凝固した合金はロールの回転方向に沿って飛行し、リボン状のアモルファス合金薄帯が得られる。
このようにして得られたアモルファス合金、即ちアモルファス相を主相としたFe基合金組成物を窒素,Ar等の不活性ガス中若しくは真空中で結晶化温度以上に加熱し、熱処理することで、アモルファス母相中にナノサイズの粒径のbcc-Fe結晶を析出させることができる。即ちFe基ナノ結晶合金を得ることができる。
尚、結晶化温度は合金の組成によって変化するため、熱処理に先立って予め結晶化温度を測定しておく。その結晶化温度の測定は熱流束示差走査熱量測定(熱流束DSC)にて行うことができる。
表1に示す組成の合金をアーク炉にて50g溶解し、次にこれを単ロール急冷法によって急冷し、アモルファス状態のFe基合金組成物を得た。
尚、単ロール急冷法による急冷は以下の条件にて行った。
雰囲気:Ar
ロール速度:25m/s (純Cuロール)
差圧:105kPa
ノズル径:0.4mm
流化量:50g
この単ロール急冷法による急冷によって生成したリボン状の薄帯は厚さが20〜30μm,幅が0.6〜0.8mm,長さが数十mであった。
このようにして得られた表1の発明例1〜発明例8,比較例1〜比較例6のアモルファス状態の薄帯に対し、XRDによりX線結晶構造解析を実施し、相の同定を行った。
具体的には、結晶化したFe又は化合物のピーク(Ic:結晶性散乱積分強度,Ia:非晶性散乱積分強度)を読み取り、そのピーク強度から結晶化率を割り出し、アモルファス化率を算出した。本実施例では、薄帯の、ロール面に接していた面と、接していない面の両方を測定し、その平均値をアモルファス化率として求めた。
結果が表1に示してある。
次に上記にて得られたアモルファス状態の薄帯を熱処理するのに先立って、最適の熱処理温度を求めるための結晶化温度の測定を行った。測定は熱流束示差走査熱量測定(熱流束DSC)にて行った。
図1に、発明例1についてのDSCによる測定結果が示してある。
このDSC測定では、測定試料と基準物質とで構成される試料部の温度を一定のプログラムに従って変化させながら、その測定試料と基準物質との温度差を温度の関数として測定する。その温度差は単位時間当たりの熱エネルギーの入力差に比例する。
結晶化が生じる(図1の結晶化開始温度Tgの部分)と発熱反応して熱が放出され、DSCによる測定曲線に山形のピーク(図1の発熱ピーク温度の部分)が表れる。
図1では390℃付近に低温側のピークが表れている。
以上のDSC測定を表1の発明例1〜発明例8及び比較例1〜比較例6のそれぞれについて行った。
そして低温側の発熱のピーク付近(発熱が始まってピークに到るまでの途中)を最高到達温度として、表1の発明例1〜発明例8及び比較例1〜比較例6の熱処理を行い、結晶化処理を行った。
その結晶化のための熱処理は、昇温速度10℃/min,最高到達温度での保持時間30minの条件で行った。
このようにして結晶化のための熱処理を行い、更に粉砕処理して粉末化させたものについて、TEM(透過型電子顕微鏡)による観察を行い、回折コントラスト,EDX分析によりbcc-Feナノ結晶の存在と残存アモルファス(アモルファス母相)の存在を確認した。残存アモルファスについては回折コントラストが見られないことで確認を行った。また。残存するアモルファスは、X線回折(XRD)でも確認を行った。
図2(ロ)に発明例1についての透過型電子顕微鏡写真を示した。
同図中(イ)は、透過型電子顕微鏡写真(ロ)中の丸い枠で囲んだ部分を拡大して模式図として表したものである。
図2(イ)中Sはbcc-Feナノ結晶(粒径数十nm程度)を表しており、またAは残存アモルファス金属相を示している。
結晶化のための熱処理を行ったもの即ちFe基ナノ結晶合金について飽和磁化密度(Bs)測定と保磁力Hc測定を行った。
ここで飽和磁束密度測定は、VSMにてフルループ(メジャーヒステリシスループ)を測定することにより求めた。
また保磁力Hc測定は、Hcメーターを使用し測定を行った(東北特殊鋼(株)社製の型式:K-HC1000を使用)。尚、本実施例においては、従来の珪素鋼の保磁力の半分よりも低い56(A/m)を目標値として設定した。
これらの結果が表1に併せて示してある。
尚、表1には熱処理を行ったときの熱処理温度も併せて示してある。
表1において、比較例1はB含有量が本発明の上限値よりも高い8.0%で、Cは含有されておらず、結晶化のための熱処理後のもの(Fe基ナノ結晶合金)はHcが目標値である56(A/m)以下を満たし、またBsが目標値である1.6(T)以上を満たし、軟磁気特性は良好であるものの、多量のBを含有することによりコストが高く、本発明の目的を達しないものである。
比較例2は、Cを所定量含有した上で(Cの含有量は本発明の下限値よりも低い)、B含有量が本発明の上限値を大きく超えて過剰であり、結果としてBs値が低く軟磁気特性が劣るのに加えて、コストも高くなってしまう。
比較例3は、逆にB含有量が本発明の下限を下回って不足しており、Hcが高い。
比較例4は、C含有量が本発明の上限値を超えて過剰であり、そのために結晶化温度が300℃を下回って低い。
このように結晶化温度が低いと、軟磁性粉末と熱可塑性樹脂との混合材を射出成形してコアを構成するといったことは実際上難しくなる。
比較例5及び比較例6は、B含有量が本発明の上限値を超えて多く、コストが高くなってしまう。
これに対し、発明例1〜発明例8ではCを5.0%超含有させることで、B含有量を6.0%以下、ここでは5.2%以下に抑えつつ熱処理したものはHc,Bsともに目標値を満たしており、良好な軟磁気特性を有している。
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

Claims (2)

  1. 原子%で
    B:3.0〜6.0%
    Si:1.3〜8.0%
    P:4.0〜8.0%
    Cu:0.3〜1.0%
    C:5.0超〜12.0%
    残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、
    下記式(1)に示すアモルファス化率Xが85%以上であるFe基合金組成物。
  2. 原子%で
    B:3.0〜6.0%
    Si:1.3〜8.0%
    P:4.0〜8.0%
    Cu:0.3〜1.0%
    C:5.0超〜12.0%
    残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、
    アモルファス母相中にbcc-Feナノ結晶粒が分散したナノ組織構造を有するFe基合金組成物。
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