JP6034627B2 - キャスクの耐震構造 - Google Patents
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Description
キャスクの搬送時に地震が発生した場合、架台を床面上に下ろした状態とするため、水平方向の地震力が大きくなった場合、ロッキング等の現象が生じ転倒に至らないよう対策を行い、耐震性を向上する必要がある。
以下、図を参照して、本発明に係るキャスク制振装置およびキャスクの耐震構造の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明のキャスク制振装置およびキャスクの耐震構造の一実施の形態を示す外観斜視図である。
使用済み核燃料が貯蔵されたキャスク1は、キャスク搬送用架台2にボルト等の締結部材(図示せず)により固定されている。キャスク1は、高さ4〜5m程度、直径3〜4m程度の円筒形状を有し、重量は百数十トンの重量を有する。
キャスク搬送用架台2は、矩形形状を有し、四隅に搬送装置のリフターを挿入するスペースを形成するための脚部3が不図示のボルト等により取り付けられている。
キャスク制振装置10は、リング状(枠状)の制振用容器11を備えている。制振用容器11は、内径がキャスク1の外形よりも大きく形成されたキャスク用開口部12を有しており、制振用容器11とキャスク1との間には隙間が形成されている。制振用容器11は、このように、キャスク1に遊嵌された状態で、何ら、固定部材により固定されることもなく、キャスク搬送用架台2上に載置されている。制振用容器11は、後述する如く、内部空間13(図4参照)を有し、内部空間13内には制振用重量物が収容されている。
キャスク制振装置10は、制振用容器11と、連結機構20と、封止栓31とを備える。
制振用容器11は、例えば、合成樹脂により形成され、平面視で半円形のリング形状の2つの分割枠体11a、11bを備えている。連結機構20は、2つの分割枠体11a、11bを連結するためのものであり、分割枠体11a、11bの両端部に設けられている。
但し、図4においては、図示の都合上、取入口14aと取出口14bとは、180°異なる位置に図示されている。
他方の分割枠体11bには、係合用突起22が一体成形されている。係合用突起22には、支持部21の反対側の側面に係合用凹部22aが形成されている。
分割枠体11aと11bとの連結は、シール部材27を介して分割枠体11a、11bの端面を対向させ、連結板24を反時計方向に回動し、シール部材27を圧縮しながら円筒体25を係合用突起22の係合用凹部22aに嵌入することにより、治工具を使用することなく容易に行うことができる。
但し、図4においては、図示の都合上、連結機構20は、180°異なる位置に図示されている。
使用済み核燃料が収容されたキャスク1をキャスク搬送用架台2に固定する。
図3に図示されるように、分割枠体11aと11bは、分離した状態で、キャスク搬送用架台2上において、キャスク1を中央にして、キャスク1の相対向する側方から、キャスク1を挟み込むように移動する。この状態では、取入・取出口14a、14bは封止栓31により封止されている。
制振用重量物は、内部空間13の全周に亘り、ほぼ、均一な深さに収容する。
図1および図4では、制振用重量物を、内部空間13内を略充満するほどの量で充填した状態を示している。
これにより、キャスク搬送用架台2へのキャスク制振装置10の装着が完了する。
次に、キャスク搬送用架台2からキャスク制振装置10を取り外す手順について説明する。
そして、連結機構20を操作して分割枠体11aと11bに連結を解除する。すなわち、連結板24を、図4における反時計方向に回動して、円筒体25を係合用突起22の係合用凹部22aから係脱することにより、分割枠体11aと11bの連結が解除され分離する。
キャスク搬送用架台2は、地盤に設置した固定用ブロック6に、ボルト等の締結部材7により固縛され、この状態で、貯蔵エリア内に貯蔵される。
この状態では、キャスク搬送用架台2には、キャスク制振装置10は装着されていない。
これに対し、本実施形態よれば、キャスク制振装置1を取り外すことができるので、ロッキング用のスペースを設ける必要がなくなり、貯蔵スペースを縮減することができる。
本発明のキャスク制振装置の実施形態2としての連結機構を説明するための断面図である。
実施形態1においては、連結機構20は、制振用容器11に一体的に設けられたクランプ機構として示した。
これに対して、図8に図示された連結機構20Aは、ボルト41、ナット42等の締結部材により構成するものである。
このように、連結機構20Aによる連結および分離を、治工具を用いて行うようにしてもよい。
図9は、本発明のキャスク制振装置の実施形態3を示す平面図である。
実施形態1においては、制振用容器11を、周方向において分割された複数の分割枠体11a、11bを連結して構成した構造で例示した。
図9に図示されたキャスク制振装置10Aは、周方向において分割されておらず、始端部45と終端部46とを1つずつ有する、平面視でほぼ全円周に亘る長さを有するリング状の制振用容器11Aを備えている。
つまり、制振用容器11Aは、円周方向に対してほぼ直交して交差する方向に、換言すれば、図9において、紙面に垂直な方向に設けられた始端部45と終端部46とを有する、ほぼ全円周のリング形状を有する。制振用容器11Aの中間部、厳密には、始端部45と終端部46のほぼ中央部には、蛇腹状の変形用領域47が形成されており、この変形用領域47を変形させることにより、制振用容器11Aは拡開する、換言すれば、始端部45と終端部46の距離が大きくなるように変形することが可能となっている。
(1)キャスク制振装置10、10Aは、キャスク1およびキャスク搬送用架台2とは独立して形成されており、キャスク1およびキャスク搬送用架台2に取り付けて耐震機能を付与したり、キャスク1およびキャスク搬送用架台2から取り外したりすることが可能である。このため、貯蔵状態のキャスク1から取り外して、次の搬送用に転用したり、既に運用がなされている中間貯蔵施設のキャスク搬送用架台2が取り付けられたキャスク1に自由に適用したりすることができ、運用性を向上することができる。
また、制振用容器11、11Aの内部空間13内には、キャスク制振装置10、10Aを装着した後、制振用重量物を入れることができる。つまり、制振用容器11、11Aを装着する前には、制振用容器11、11Aには制振用重量物が収容されていないため、その重量は軽い。特に、実施形態1、2の如く、制振用容器11が分割枠体11a、11bにより構成されている場合には、各分割枠体11a、11bの重量は軽い。
このため、本実施形態におけるキャスク制振装置10、10Aの装着作業は、キャスク制振装置10、10Aを装着する際に、キャスク制振装置10、10Aを上昇させるためのリフター等の昇降装置を用いることなく、人による作業により行うことが可能である。
つまり、このような制振用容器のキャスク用開口内に、キャスクを配置する場合には、キャスク制振装置10を、キャスク1よりも上方に上昇させて、キャスク1がキャスク用開口部12内となる位置に移動したうえ、キャスク用開口部12を下降させる作業を行う必要がある。しかし、キャスク1は、通常、4m程度以上の高さを有し、また、制振用重量物が充填されたキャスク制振装置の重量は重い。このため、人による作業は困難であり、リフター等の昇降装置が必要となる。
しかし、昇降装置を導入可能とすることは、キャスクの搬送作業を行う中間貯蔵施設のスペースを大型化することになる。
すなわち、キャスク制振装置の装着を人による作業で行うことが可能であることは、中間貯蔵施設の小型化を図ることができることを意味する。
2 キャスク搬送用架台
3 脚部
10、10A キャスク制振装置
11、11A 制振用容器
11a、11b 分割枠体
12 キャスク用開口部
13 内部空間
14a 取入口
14b 取出口
20、20A 連結機構
31 封止栓
Claims (7)
- 上面にキャスクが載置されるキャスク搬送用架台と、
前記キャスク搬送用架台の前記上面に載置され、前記キャスク搬送用架台に載置される前記キャスクのロッキングを抑制可能に、前記キャスクを遊嵌するキャスク用開口部を有する枠状の制振用容器と、
前記キャスク搬送用架台の下面に、該下面と地盤との間にリフタが挿入可能に設けられた複数の脚部と、を備え、
前記制振用容器は内部全周に亘り連通する内部空間と、前記内部空間内に、または前記内部空間から制振用重量物を出し入れする取入・取出口とを有し、前記キャスク用開口部内にキャスクが配置された状態で、前記キャスクの側方から前記キャスクの外周に配置可能な構造を有することを特徴とするキャスクの耐震構造。 - 請求項1に記載のキャスクの耐震構造において、さらに、連結機構を備え、前記制振用容器は、周方向において分割された複数の分割枠体を備え、前記各分割枠体が前記連結機構により外部から密封して連結されていることを特徴とするキャスクの耐震構造。
- 請求項2に記載のキャスクの耐震構造において、前記内部空間内への充填物の取入・取出口は、前記分割枠体の1つに設けられていることを特徴とするキャスクの耐震構造。
- 請求項1に記載のキャスクの耐震構造において、さらに、連結機構を備え、前記制振用容器は枠形状の周方向に交差する方向に設けられた始端部および終端部を有し、前記始端部と前記終端部とが前記連結機構により外部から密封して連結されていることを特徴とするキャスクの耐震構造。
- 請求項2乃至4のいずれか1項に記載のキャスクの耐震構造において、前記連結機構は、前記制振用容器に設けられていることを特徴とするキャスクの耐震構造。
- 請求項2乃至4のいずれか1項に記載のキャスクの耐震構造において、前記連結機構は、前記制振用容器に外部から取り付けられることを特徴とするキャスクの耐震構造。
- 請求項2乃至4のいずれか1項に記載のキャスクの耐震構造において、前記連結機構は、前記制振用容器に設けられた係止部に連結板を係合するクランプ機構であることを特徴とするキャスクの耐震構造。
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