JP4575864B2 - 収納容器およびその架台 - Google Patents
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Description
また、収納容器は、重量が非常に重いため、従来、その搬送は、放射性物質貯蔵施設の天井に設けられたクレーン等の設備を用いて行っていた。しかし、クレーン等の設備を用いた放射線物質貯蔵施設では、収納容器の吊り下げ高さを確保する必要があるため、建屋が大型化し易く、搬送コストおよび貯蔵コストの増大要因となっていた。
そこで、収納容器の搬送にエアパレットを用いることが検討されている(特許文献2参照)。
しかしながら、収納容器用架台に所定の強度をもたせようとすると、架台自体を分厚く形成せざるをえず、その結果として重量が増大してしまい、搬送には適さなくなる。また、収納容器用架台の軽量化を図るためには、架台自体の厚みを薄く形成することが挙げられるが、所定の強度が確保され難い。
特に、エアパレットを用いた搬送を行う場合、収納容器用架台には、エアパレットが装着される空間部を形成する必要があり、このような空間部が存在することによって架台自体の強度が低下するおそれがあった。
図1に示すように、本実施形態の収納容器用架台1は、収納容器Cが搭載される架台基部10と、この架台基部10の下部に設けられた固定用の脚部20とを備え、架台基部10の収納容器Cが搭載される部位(搭載部位)10Aと貯蔵場所等の床面Gとの間に空間部10Cが形成される構成となっている。そして、収納容器用架台1は、搭載部位10Aの周辺部10Bに、この周辺部10Bを床面G方向へ向けて押し付けつつ、床面Gへ固定させる押圧固定部材としての押圧用ボルト30(ボルト)を有している。
ここで、本実施形態で例に挙げた収納容器Cは、炭素鋼等よりなる金属製の容器(金属キャスク)であり、内部には、使用済燃料集合体や放射性廃棄物等の発熱体が図示しないバスケット等に支持された状態で多数収納されている。なお、収納容器Cとしては、金属キャスクに限られることはなく、コンクリートキャスク、キャニスタ等が挙げられる。
図1に示すように、本実施形態では、架台基部10の周部の下部にこのような脚部20を設けることにより、架台基部10の下方に、搬送用のエアパレットPが挿入される空間部10Cを形成している。換言すれば、脚部20は、このような空間部10Cを形成するための高さを備えている。なお、架台基部10の下方に空間部10Cが形成されることにより、このようなエアパレットPの挿入(例えば、符号X側から挿入)が可能になる他、架台基部10の底部が貯蔵場所の床面Gに接触しなくなるので、収納容器Cからの熱が架台基部10を通じて床面Gに直接伝わることが回避され、熱によって床面Gが劣化することが防止される。このことは、収納容器Cの長期間にわたる安定した貯蔵に寄与する。なお、本実施形態で使用されるエアパレットPとは、その底部に設けられた気体吹出口から空気等のガスを吹き出すことにより、床面Gとの間に薄い空気層を形成し、収納容器Cを搭載した収納容器用架台1を移動させる際の摩擦力を大幅に低減することができる装置である。これにより、通常のクレーン等を用いた搬送システムよりも少ない駆動力で収納容器Cを収納容器用架台1ごと搬送することができる。
なお、脚部20の設置位置、個数は、搭載される収納容器Cの重量、想定される地震時等の外力の大きさ、収納される発熱体の温度特性に基づく床面Gへの伝熱等を考慮して、適宜決定される。
縦孔31には、図5に示すように、仕切部としての円筒状の仕切部材32が取り付けられている。仕切部材32は、例えば、フッ素樹脂化合物、グラスファイバー等の断熱材からなり、円筒部32aとフランジ部32bとを有する。円筒部32aは、縦孔31の内壁全体を覆う長さを有しており、縦孔31に取り付けられた状態で、下端部が架台基部10の下面11よりも下方へ突出するようになっている。また、フランジ部32bは、縦孔31の孔縁およびその周辺を覆う大きさを有しており、縦孔31の孔縁およびその周辺に対して、押圧用ボルト30の頭部30aが直接接触するのを防止する役割を成している。
また、仕切部材32の円筒部32aの内壁と押圧用ボルト30との間に形成される間隙S(空間)も、架台基部10と押圧用ボルト30との間を熱的に遮断する仕切部として機能する。
はじめに、収納容器用架台1を用いた搬送、貯蔵を行う前準備として、収納容器Cを収納容器用架台1に縦置き状態に搭載して固定する(S1)。収納容器用架台1への収納容器Cの搭載にあたっては、図示しない放射性物質貯蔵施設内の天井クレーン等を用いることができる。架台基部10に対する収納容器Cの固定は、架台基部10に設けられた固定具2に対して収納容器CのトラニオンC1(図1参照)を固定することにより行われ、これによって、エアパレットPによる搬送の準備が整えられる。
図7(a)に示すように、貯蔵後、地震時や、他物の衝突その他の外力F1が収納容器用架台1に作用すると、架台基部10上で収納容器Cが、左右方向に振れる現象を生じる。すると、図7(b)(c)に示すように、架台基部10の搭載部位10Aと周辺部10Bとの境界部位10Dおよび周辺部10Bにおける境界部位10Dの近傍において、架台基部10を上下方向に撓ませる力F2,F3(F2≒F3)がそれぞれ作用する。これは、また、架台基部10の搭載部位10A側は、収納容器Cの底部の硬さに依存して変形し難くなっているからであり、加えて、架台基部10の搭載部位10Aの下方には、空間部10Cが形成されていて、脚部20のような支持構造物がないため、搭載部位10Aを外れた側となる境界部位10Dからその近傍の部位に力が作用するからである。つまり、収納容器Cが非常に硬い物体であるため、外力F1により架台基部10に生じる変形状態は、限定されたものとなる。なお、図7(b)(c)では、模式的に境界部位10Dに力F2,F3を表した。
本実施形態では、境界部位10Dの近傍(周辺部10B)に、押圧用ボルト30が設けられており、押圧用ボルト30によって、この境界部位10Dの近傍が空間部10Cを隔てて床面G方向へ押し付けられる状態に床面Gに固定されているので、例えば、図7(b)に示すように、境界部位10Dおよびこの近傍を上方向に撓ませる力F2、つまり、境界部位10Dおよびこの近傍を浮き上がらせて変形させようとする力F2は、押圧用ボルト30によって低減されることとなり、架台基部10の変形(境界部位10Dおよびこの近傍における浮き上がり)が阻止される。なお、このように、押圧用ボルト30によって、境界部位10Dおよびこの近傍を上方向に撓ませる力F2が低減されることとなるので、結果として、収納容器Cの反対側における境界部位10Dおよびこの近傍を下方向に撓ませる力F3も低減されることとなり、外力F1の作用により架台基部10上で収納容器Cが左右方向に振られる現象を抑制することができる。これにより、貯蔵後、地震時等や、他物の衝突その他の外力F1が収納容器用架台1に作用した場合にも、収納容器Cを安定した状態で支持することができる。
ここで、押圧用ボルト30を用いずに架台基部10の変形を低減する手法としては、架台基部10の板厚を厚くする手法、架台基部10の下方に形成される空間部10Cに脚部20のような支持構造物を配置する手法が考えられる。しかし、前者の手法では板厚を厚くする分、コストがかかるという難点がある。また、後者の手法ではエアパレットPが挿入される空間部10Cに予め支持構造物を設置することはできず、仮に、後から空間部10Cの開口を通じて支持構造物を設置しようとしても、作業スペース上極めて困難であるため、事実上不可能であり採用できない。これに対して、本実施形態では、押圧用ボルト30を架台基部10の上面側から縦孔31(図4参照)に挿入して、床面Gに固定するという極めて簡単な作業により、収納容器用架台1の安定的な固定を低コストで実現することができ、有用である。
(1)本実施形態では、架台基部10の収納容器Cが搭載される搭載部位10Aの周辺部10Bに、周辺部10Bを床面G方向へ押し付け、周辺部10Bを空間部10Cを隔てて床面Gへ固定させる押圧用ボルト30を有するので、周辺部10Bが押圧用ボルト30により床面G方向へ押し付けられる状態に床面Gへ固定されることとなる。これにより、収納容器Cの貯蔵後に、例えば、地震時等による外力が架台基部10に対して作用するような事態が生じたとしても、押圧用ボルト30が、架台基部10の搭載部位10Aの周辺部10Bを床面G方向へ押し付ける状態に固定し、収納容器Cの振れに伴う周辺部10Bの浮き上がりを抑えて、架台基部10の変形を抑制する。したがって、本実施形態の収納容器用架台1によれば、架台基部10と脚部20とを備え、架台基部10における収納容器Cが搭載される搭載部位10Aの下方に空間部10Cが形成されるという簡単な構造であるにもかかわらず、押圧用ボルト30によって所定の強度をもたせることができ、地震時等に作用する外力にも十分耐えることができる。
(2)架台基部10の収納容器Cが搭載される搭載部位10Aの下方に空間部10Cが形成されているので、この空間部10CをエアパレットPの装着部として利用することができ、エアパレットPによる搬送を好適に行うことができる。したがって、搬送コストを低減することが可能である。
(3)架台基部10と押圧用ボルト30との間を熱的に遮断する仕切部材32を備えているので、収納容器Cからの熱が架台基部10から押圧用ボルト30を介して貯蔵場所の床面Gに伝わるのを防止することができ、貯蔵場所の床面Gが加熱するのを回避することができる。
(4)押圧用ボルト30は、周辺部10Bにおいて、収納容器Cが搭載される搭載部位10Aに最も近く、かつ床面Gへの固定操作が可能な位置(図7(b)(c)で示した境界部位10Dの近傍となる位置)で、床面Gへ固定されるので、架台基部10の搭載部位10Aと周辺部10Bとの左右の境界部位10Dおよびこの近傍に生じる、架台基部10を浮き上がらせる方向の力(図7(b)(c)において符号F2を付して示した力)を低減することができ、この部分における架台基部10の変形を阻止することができる。
特に、架台基部10が平面視で四角形状となっており、その対角線上では、搭載部位10Aと周辺部10Bとの境界部位10Dから架台基部10の対角に設けられた脚部20まで距離が長く、他の部分に比べて外力により変形しやすくなっているため、対角線上において、押圧用ボルト30を搭載部位10Aに最も近く、かつ床面Gへの固定操作が可能な位置(境界部位10Dの近傍の位置)に設けることで、この部分における変形を効果的に阻止することができる。
(5)押圧用ボルト30は、床面Gへ計4個固定されるので、架台基部10の安定性が向上し、複数方向から外力が作用した場合にも、架台基部10が変形するのを好適に阻止することができる。
(6)収納容器Cは縦置きの円柱状を呈しており、押圧用ボルト30は収納容器Cの中心軸Oに対し点対称となる位置で床面Gへそれぞれ固定されるので、地震時等の水平方向の外力にも好適に耐えることができる。
(7)押圧用ボルト30は、架台基部10に貫通する状態に設けられた縦孔31に収納容器Cが搭載される側から挿通され、床面Gに設けられた螺合穴G3に螺合されるようになっているので、取り付けが簡単であり、架台基部10に対して簡単な取付操作により強度をもたせることができる。また、このような押圧用ボルト30によって、架台基部10に簡単に強度をもたせることができるので、経済性に優れている。
(8)押圧用ボルト30は、縦孔31の孔壁に間隙をもって挿通可能であるので、架台基部10を床面Gに設置する際に、押圧用ボルト30と螺合穴G3との間に、仮に、位置ずれが生じたような場合にも、押圧用ボルト30を縦孔31の径方向に移動調節して螺合穴G3に押圧用ボルト30を合わせて螺合させることが可能になる。これにより、架台基部10等には高い寸法精度が要求されなくなり、各部の作成が容易になる。
(9)架台基部10は平面視で四角形状を呈しており、収納容器Cは、架台基部10の対角線上に設けられた固定具2で架台基部10に固定されるので、架台基部10の角部にあたる周辺部10Bのなかでは比較的広い部位において、収納容器Cの固定を行うことができ、固定作業が行い易い。
(10)押圧用ボルト30は、架台基部10の対角線上で床面Gに固定されるので、架台基部10の角部にあたる周辺部10Bのなかでは比較的広い部位における変形を好適に阻止することができる。
また、図9(a)に示すように、仕切部材32は、縦孔31の孔縁およびその周辺を覆う大きさのリング状に形成してもよく、さらに、図9(b)に示すように、収納容器C(不図示)からの伝熱を考慮しなくてもよい場合には、仕切部材32を設けずに、押圧用ボルト30の頭部30aが直接に縦孔31の孔縁に接触するように構成してもよい。
さらに、前記実施形態では、押圧用ボルト30を計4個設けたが、これに限られることはなく、5個以上設けてもよいし、3個以下としてもよい。また、想定される外力の入力方向が特定される場合や押圧用ボルト30に代わる固定点を収納容器用架台1が備えている場合等には、収納容器Cの振れを効果的に抑制できる位置にのみ押圧用ボルト30を設ける構成としてもよい。
2 固定具
10 架台基部
10A 搭載部位
10B 周辺部
10C 空間部
10D 境界部位
11 下面
20 脚部
21 ボルト孔
22 固定用ボルト
30 押圧用ボルト(押圧固定部材)
31 縦孔
32 仕切部材
C 収納容器
G 床面
O 中心軸
P エアパレット
S 間隙
Claims (11)
- 放射性の発熱体が収納された円柱状の収納容器と、
この収納容器を、中心軸が鉛直方向となる縦置き状態で搭載可能な架台基部と、この架台基部の下部に設けられた固定用の脚部とを備え、少なくとも前記架台基部の前記収納容器が搭載される部位と貯蔵場所の床面との間に空間部が形成される架台と、
からなる収納容器およびその架台であって、
前記架台基部の前記収納容器が搭載される部位の周辺部となる、前記収納容器の下端外周となる部位に、この部位を前記床面方向へ向けて押し付け、前記空間部を隔てて当該部位を前記床面へ固定させる押圧固定部材を有することを特徴とする収納容器およびその架台。 - 前記押圧固定部材は、前記周辺部において、前記収納容器が搭載される部位に最も近く、かつ前記床面への固定操作が可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の収納容器およびその架台。
- 前記押圧固定部材は、前記周辺部において、複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納容器およびその架台。
- 前記押圧固定部材は、前記周辺部において、前記収納容器の中心軸に対し点対称となる位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の収納容器およびその架台。
- 前記押圧固定部材は、前記架台基部に貫通する状態に設けられた縦孔に前記収納容器が搭載される側から挿通され、前記床面に設けられた螺合穴に螺合可能なボルトであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の収納容器およびその架台。
- 前記押圧固定部材は、前記縦孔の孔壁に間隙をもって挿通可能であることを特徴とする請求項5に記載の収納容器およびその架台。
- 前記架台基部と前記押圧固定部材との間を熱的に遮断する仕切部を備えて構成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の収納容器およびその架台。
- 前記仕切部は断熱材からなることを特徴とする請求項7に記載の収納容器およびその架台。
- 前記架台基部は平面視で四角形状を呈しており、前記収納容器は、前記架台基部の対角線上に設けられた固定具で前記架台基部に固定されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の収納容器およびその架台。
- 前記架台基部は平面視で四角形状を呈しており、前記押圧固定部材は、前記架台基部の対角線上で前記床面に固定されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の収納容器およびその架台。
- 前記空間部にはエアパレットが装着可能であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の収納容器およびその架台。
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