JP6033652B2 - 両面研削装置における静圧パッドの熱変形防止装置および両面研削装置 - Google Patents

両面研削装置における静圧パッドの熱変形防止装置および両面研削装置 Download PDF

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Description

この発明は、両面研削装置における静圧パッドの熱変形防止装置および両面研削装置に関し、さらに詳細には、半導体ウェーハ等の薄肉円板状工作物の表面および裏面の同時加工において、上記工作物の表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する一対の静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止技術に関する。
例えば、半導体ウェーハは、単結晶シリコンで作られた円柱状の半導体インゴットから薄くスライスして得られた後、その表裏面は、研削装置や研磨装置による仕上加工が施されて平滑面に仕上げられる。
半導体ウェーハ等の薄肉円板状工作物(以下、ワークと称する。)の研削または研磨加工においては、ワークを支持回転しながら、その表面および/または裏面を加工する方法がとられ、例えば、半導体ウェーハの表裏面を同時に研削加工する両面研削装置においては、ワークをワーク回転支持装置により回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により上記ワークの表裏両面を同時に研削加工する。
ところで、上記ワーク回転支持装置は、ワークを軸方向に位置決め支持する軸方向支持手段と、ワークを径方向に位置決めするとともに回転支持する径方向支持手段とを備えてなる。上記軸方向支持手段として、ワークの表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する一対の静圧パッドを備えた構成のものがあり、この種のワーク回転支持装置においては、ワークの表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持するため、静圧パッド表面とワーク表裏面との距離が非常に狭く設定されている。
このため、静圧パッドの熱変形は直ちにワークやワークを回転支持する上記径方向支持手段に干渉して、高精度な研削が困難となり、あるいは研削自体が不可能になってしまうという危険もある。このような現象は、特に、研削対象のワークが大口径になると、これを支持する静圧パッドも大口径になり、その熱変形量も大きくなって、より顕著に現われる傾向にある。このように静圧パッドの熱変形の主要因となる研削熱の管理制御は、構造上非常に複雑で、早期に解決すべき大きな課題の一つであった。
この点に関して、例えば、特許文献1または2に開示されるように、研削装置における研削液の飛散による熱伝導を防止することにより、装置構成部の熱変形を防止する技術が開発され提案されているが、上記静圧パッドという特殊構造には有効に適用できる技術ではなく、さらなる改良が要望されていた。
特開昭63−207549号公報 特開2000−354964号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、半導体ウェーハ等の薄肉円板状ワークの表面および裏面の同時加工において、ワークの表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する静圧パッドの熱変形を有効に抑制することができる熱変形防止装置を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、上記熱変形防止装置を構成装置として備え、半導体ウェーハ等の薄肉円板状ワークの表裏面を同時に高効率でかつ高精度に研削加工することができる両面研削装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の両面研削装置の熱変形防止装置は、薄肉円板状工作物をワーク回転支持部により回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により上記工作物の表裏両面を同時に研削加工する両面研削装置において、上記工作物の表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する上記ワーク回転支持部の一対の静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止装置であって、上記静圧パッドにおける上記砥石車との境界部位に、静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止手段として、上記砥石車の研削部から飛散するクーラントが上記静圧パッドの裏面側へ流入するのを遮断防止する構造を備えていることを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される
)上記熱変形防止手段は、上記砥石車の外周部位を覆うように上記静圧パッドの砥石車挿通部内周に取付け固定されている遮熱板の形態とされている。
)上記遮熱板は、上記静圧パッドの砥石車挿通部における表裏方向の取付け範囲は、上記静圧パッドの表面からわずかに後退した位置から、少なくとも上記静圧パッドの裏面よりも後方へ突出して、研削時における上記砥石車の後端を覆う位置まで延びて設けられている。
)上記遮熱板は、金属よりも熱伝導率の低い材料から形成されている。
本発明の薄肉円板状ワークの両面研削装置は、薄肉円板状ワークを回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により上記ワークの表裏面を同時に研削加工する装置であって、端面の研削面同士が対向するように配された一対の砥石車と、上記ワークを、上記一対の砥石車の研削面間においてワークの表裏面がこれら両研削面に対向する状態で、支持回転するワーク回転支持手段とを備えてなり、このワーク回転支持手段は、上記ワークを軸方向に位置決め支持する軸方向支持手段と、ワークを径方向に位置決めするとともに回転支持する径方向支持手段とを備え、上記軸方向支持手段は、上記ワークの表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する一対の静圧パッドを備えるとともに、上記熱変形防止装置を備えてなることを特徴とする。
本発明の静圧パッドの熱変形防止技術は、本発明者による両面研削装置の静圧パッドという特定技術についての種々の試験研究の成果として生まれた。すなわち、本発明者は、研削装置における静圧パッドの静圧流体が機械温度に追従するように温度調節されて供給されるなど、静圧パッドの熱変形に影響する構造上の特性を考慮しつつ、ワークを研削する際に発生する研削熱がどのように静圧パッドの熱変形に関与するかについて、後述する種々の研究・実験を繰り返した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、左右に配置した一対の静圧パッド間に、薄肉円板状ワークを回転支持して、このワークの表裏両面を高速回転する一対の砥石車で同時研削する場合に、研削時に研削部で発生する研削熱は、砥石車の砥石軸内部中央を介して研削部に供給される研削水(クーラント)やワークなどに伝達されるところ、これら研削熱によって暖められた研削水は、ワークの回転により上記一対の静圧パッド間に運ばれるとともに、砥石車の回転により飛散して上記静圧パッド裏面側に流れ込む傾向がある。
そして、本発明者による種々の試験研究の結果、これら研削水によって上記静圧パッド間つまり表面側と裏面側に伝達された研削熱が、静圧パッドの表面側と裏面側で温度差を生じさせ、これが原因で、上記静圧パッドがワーク側へ反って、ワークやこのワークを径方向に支持するキャリアと干渉することが判明した。本発明者は、これら試験研究によって得られた知見に基づいてさらに試験研究を行い、その成果として本発明を完成させた。
しかして、本発明の熱変形防止装置によれば、薄肉円板状ワークを、静圧パッドを備えるワーク回転支持部により回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により上記ワークの表裏両面を同時に研削加工する両面研削装置において、上記静圧パッドにおける上記砥石車との境界部位に、静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止手段が設けられているから、薄肉円板状ワークの表面および裏面の同時加工において、ワークの表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持するワーク回転支持部における静圧パッドの熱変形を有効に抑制することができる。
すなわち、本発明においては、上記静圧パッドにおける上記砥石車との境界部位、具体的には、静圧パッドの砥石車挿通部に、上記熱変形防止手段が設けられることで、静圧パッドの表面側と裏面側で温度差を生じさせていた研削水の研削部位から静圧パッドの表裏面側特に裏面側への流入が有効に抑制ないしは防止される。
この結果、静圧パッドの熱変形によるワーク側への反りが可及的に減少して、静圧パッドとワークや上記キャリアとの干渉が有効に防止され、これにより、ワークの研削が出来なくなるなどの問題発生が有効に防止され得る。
本発明の実施形態1である横軸両頭平面研削盤の主要部の構成を一部仮想線で示す側面図である。 同じく同平面研削盤の主要部の構成を図1のII-II線に沿った一部断面で示す正面図である。 同平面研削盤の熱変形防止装置を備えない時の研削水による静圧パッドに対する影響について調べるための試験装置の条件を示す模式図である。 同試験装置における静圧パッドの研削水による影響を示す模式図である。 同じく同静圧パッドの研削水による影響を示すグラフである。 同平面研削盤の熱変形防止装置を備えない時のワークの時計回り回転による静圧パッドに対する影響を調べるための試験結果を示すための図であって、図6(a)は試験装置の条件(静圧パッドとワーク回転方向の関係)を示す模式図、図6(b)は同試験装置における静圧パッドのワークの時計回り回転による影響を示すグラフである。 同じく同平面研削盤の熱変形防止装置を備えない時のワークの反時計回り回転による静圧パッドに対する影響を調べるための試験結果を示すための図であって、図7(a)は試験装置の条件(静圧パッドとワーク回転方向の関係)を示す模式図、図7(b)は同試験装置における静圧パッドのワークの反時計回り回転による影響を示すグラフである。 同静圧パッドの研削水とワーク回転方向による影響を調べた試験結果から、これら両者の複合的な静圧パッドへの影響を説明するための模式図であり、図8(a)は砥石車がワークに接触する前の静圧パッドの状態、図8(b)は砥石車がワークに接触中の静圧パッドの図3のB−B線に沿った装置後側下部の状態、図8(c)は砥石車がワークに接触中の静圧パッドの図3のC−C線に沿った装置前側下部の状態をそれぞれ示す。 同平面研削盤の熱変形防止装置を備えない場合における、実際の研削時における静圧パッドのパッド間距離の変化を示すグラフであり、図9(a)は全体のグラフ、図9(b)は図9(a)における点線枠内を拡大して示すグラフである。 同平面研削盤の熱変形防止装置を備える場合における、実際の研削時の静圧パッドのパッド間距離の変化を示すグラフである。 同平面研削盤の熱変形防止装置を備える場合における、研削時の静圧パッドの反り低減状態を調べるための試験条件を示す模式図である。 同熱変形防止装置を備える場合の試験結果から、静圧パッドの反り低減状態を説明するための模式図で、図12(a)は砥石車がワークに接触する前の静圧パッドの状態、図12(b)は砥石車がワークに接触中の静圧パッドの図11のB−B線に沿った装置後側下部の状態、図12(c)は砥石車がワークに接触した時の図11におけるC−C線に沿った静圧パッド装置前側下部の状態をそれぞれ示す。 本発明の実施形態2である横軸両頭平面研削盤の主要部の構成を一部仮想線で示す側面図である。 同平面研削盤の研削対象ワークである半導体ウェーハを示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
実施形態1
本発明に係る両面研削装置が図1および図2に示されており、この研削装置は、具体的には薄肉円板状のワークWである図14に示すような半導体ウェーハの表裏面を同時に研削するもので、一対の砥石車1、2の砥石軸3、4が水平に対向して回転支持される横軸両頭平面研削盤である。
本実施形態の加工対象である半導体ウェーハWは、厚さが0.5〜2.0mm程度の薄肉円板状のもので、製造工程中におけるウェーハの結晶方位を合わせるため、その円形外周縁に切欠部としてのノッチWnが設けられている。本実施形態においては、このノッチWnを有効に利用して研削加工を行う構成とされている。
この研削盤は、図1および図2に示すように、研削加工部の主要構成である左右一対の砥石車1、2およびワーク回転支持装置(ワーク回転支持部)5などの基本構成を備えてなり、ワーク回転支持装置5の主要構成部として、本発明の特徴構成である熱変形防止装置6が含まれている。
砥石車1、2は具体的にはカップ型砥石車であって、その周縁部先端面1a、2aが円環状の研削面とされている。これら砥石車1、2は、その研削面1a、2a同士がほぼ平行な状態で対向するように配されて、これら両研削面1a、2a間の研削位置において、後述するように、ワークWがワーク回転支持装置5により回転支持される構成とされている。
具体的には、砥石車1、2は、砥石軸3、4の先端部に、取外し可能に取付け固定されている。これら砥石軸3、4は、図示しない砥石台の内部に装置された駆動モータ7、8に駆動連結されるとともに、同じく上記砥石台の内部に装置された砥石切込み装置(図示省略)により、その軸線方向つまり切込み方向X、Yへそれぞれ切込み動作される構造とされている。また、砥石軸3、4の内部中央には、クーラント(研削水)を砥石車1、2の研削部つまり研削面1a、2a部位に供給するためのクーラント供給路9がそれぞれ全長にわたり貫通して設けられており、その先端9aが砥石車1、2の先端に臨んで開口されるとともに、具体的には図示しないが、その後端がクーラント供給源に連通可能とされている。
ワーク回転支持装置5は、ワークWを支持回転するワーク回転支持手段として機能するもので、一対の砥石車1、2の研削面1a、2a間において、ワークWを、その表裏面Wa、Wbが上記両研削面1a、2aに対向する鉛直状態で支持回転する構成とされている。
このワーク回転支持装置5は、ワークWを軸方向に位置決め支持する軸方向支持手段10と、ワークWを径方向に位置決めするとともに回転支持する径方向支持手段11とを備えてなり、上記軸方向支持手段10は、その主要構成部として上記熱変形防止装置6を備える。
上記軸方向支持手段10は、ワークWの表裏面Wa、Wbを静圧流体により非接触状態で位置決め支持する静圧支持装置の形態とされており、その主要構成部として、対向状に設けられた左右一対の静圧パッド15、16と上記熱変形防止装置6を備えてなる。
一対の静圧パッド15、16は、図1および図2に示すように、鉛直状態で所定の間隔をもって平行に対向配置された厚円盤の形態とされ、構成材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、セラミックス等か採用され、本実施形態においてはセラミックスが使用されている。これら一対の静圧パッド15、16は、その下部位に砥石車1、2との干渉をさけるための切欠17を砥石車挿通部としてそれぞれ備えるとともに、その対向支持面となる表面つまりパッド表面15a、16aには、具体的には図示しないが、静圧溝が所定のパターン形状をもってそれぞれ形成されている。これら静圧溝は、その底部に複数設けられた複数の流体供給孔を介して、図示しない静圧流体供給源に接続されている。
また、上記砥石車挿通部17は、図1に示すように、砥石車1、2の外径よりも若干大きな径寸法を有する円弧状の内径輪郭を有し、この部位に後に詳述する上記熱変形防止装置6が設けられている。
そして、上記静圧流体供給源から供給される水などの圧力流体は、研削加工中、上記静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aに設けられた静圧溝の複数の流体供給孔(図示省略)から常時噴出供給されて、ワークWの表裏面Wa、Wbを、両砥石車1、2の研削面1a、2a間のほぼ軸方向中心位置に非接触状態で静圧保持する。噴出される圧力流体としては、図示の実施形態においては圧力水(いわゆるパッド水)が使用されている。
上記静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aから常時噴出供給されるパッド水は、機械温度に追従するよう温度調節されるとともに、静圧支持するワークWの表裏面Wa、Wbと上記パッド表面15a、16aの微小隙間を自重により下方へ流下して排出される。
上記径方向支持手段11は、ワークWを径方向に位置決めしつつ回転駆動する回転駆動装置の形態とされており、その主要構成部として、ワークWを嵌合支持するキャリア装置20と、このキャリア装置20を支持回転させる回転装置21とを備えている。
回転装置21は、図1に示すように、複数(図示の実施形態では4つ)の支持ローラ23、23、…が上記キャリア装置20のキャリアリング25の外周面25aを回転可能に支持するとともに、リング駆動ギア24が上記キャリアリング25に一体的に嵌合固定されるキャリア押え27の内歯27aに噛み合う構成とされ、上記リング駆動ギア24が、図外の回転駆動源に駆動連結されている。
そして、この回転駆動源によるリング駆動ギア24の駆動回転により、ワークWを嵌合支持するキャリア装置20が、支持ローラ23、23、…により規定される回転中心まわりに回転動作されて、ワークWが径方向に位置決めされた状態で支持回転される。
上記キャリア装置20は、ワークWを嵌合支持するもので、図1および図2に示すように、上記キャリアリング25、キャリア本体26およびキャリア押え27を主要部として構成されている。
キャリアリング25は、キャリア装置20の本体リングとして機能する部位で、図1に示すような円環状のリング部材の形態とされて、外周面25aが円筒面に形成されている。そして、キャリアリング25は、上述したように、回転駆動部である回転装置21の4つの支持ローラ23、23、…により外周面25aが回転可能に位置決め支持されている。
また、キャリアリング25の内径側には、円環状の取付溝25bが全周にわたって連続して設けられており、この取付溝25bに、上記キャリア本体26の外周縁部位が嵌合されて、円環状のキャリア押え27により取外し交換可能に挟持状に取付固定される構造とされている。
また、キャリア押え27は、図1に示すような円環状のリング部材からなる内歯車の形態とされて、内周に上記内歯27aが形成されてなる。そして、上記キャリアリング25の取付溝25bにキャリア押え27が一体的に嵌合固定された状態において、上述したように、回転駆動部である回転装置21の4つの支持ローラ23、23、…によりキャリアリング25の外周面25aが回転可能に支持されるとともに、上記キャリア押え27の内歯27aに回転装置21のリング駆動ギア24が噛み合う構成とされている。
キャリア本体26は、ワークWを嵌合支持する部位で、具体的には、図1に示すような薄肉円環状の板材の形態とされ、その円形内周縁26aがワークWの円形外周全体(全周)を近接囲繞する構造とされている。すなわち、上記円形内周縁26aは研削対象となるワークWの外径寸法より若干大きな内径寸法を有して、ワークWの外周縁との間に所定の隙間が形成されるように構成され、これにより、ワークWがキャリア本体26に遊嵌状に嵌合支持される。
また、キャリア本体26の円形内周縁26aの所定の部位には、図1に示すように、ワークWの円形外周縁に設けられた切欠部であるノッチWnに係合するノッチトリガー28が設けられている。このノッチトリガー28の尖端係合部28aは、ワークWがキャリア本体26の円形内周縁26a内に遊嵌状に嵌合支持された状態において、ワークWのノッチWnにキャリア装置20の回転方向に係合し、これにより、ワークWは、上記キャリア本体26に遊嵌状に嵌合支持されるとともに、ノッチトリガー28を介してキャリア本体26と一体的に回転される。
そして、上記ワーク回転支持装置5において、径方向支持手段11のキャリア装置20により嵌合支持されたワークWの表裏面Wa、Wbが、軸方向支持手段10の静圧パッド15、16により非接触状態で静圧保持されて、両静圧パッド15、16間の中心位置(加工位置)に位置決め支持されながら、上記キャリア装置20が支持ローラ23、23、…により規定される回転中心まわりに回転動作されて、ワークWが径方向に位置決めされた状態で支持回転される。
次に、本発明の特徴構成である上記熱変形防止装置6の構成について詳述する。
熱変形防止装置6は、上記ワーク回転支持装置5の一対の静圧パッド15、16の熱変形を抑制するものであって、上記静圧パッド15、16における上記砥石車1、2との境界部位に、静圧パッド15、16の熱変形を抑制する熱変形防止手段としての遮熱板30が設けられてなる。
図示の実施形態の熱変形防止装置6においては、静圧パッド15、16における砥石車挿通部17の部位に上記遮熱板30が設けられてなる。
この遮熱板30は、具体的には、上記砥石車挿通部17の円筒状内周に沿って設けられた遮熱板の形態とされ、以下に説明する種々の試験研究の結果に従って、砥石車1、2の研削部から飛散するクーラントが上記静圧パッド15、16の裏面側へ流入するのを遮断防止する構造とされている。
すなわち、本実施形態のような、静圧パッド15、16を備えたワーク回転支持装置5によりワークWを回転支持する構成とされた横軸両頭平面研削盤においては、高速回転する一対の砥石車1、2で上記ワークWの表裏両面Wa、Wbを同時研削すると、研削時に研削部で発生する研削熱は、砥石車1、2の砥石軸3、4内部中央のクーラント供給路9、9を介して研削部である研削面1a、2a部位に供給される研削水やワークWなどに伝達されるところ、これら研削熱によって暖められた研削水は、ワークWの回転により上記一対の静圧パッド15、16間に運ばれるとともに、砥石車1、2の回転により飛散して上記静圧パッド15、16の裏面つまりパッド裏面15b、16b側にも流れ込むことになる。
一方、ワークWは左右一対の静圧パッド15、16間に供給されるパッド水(静圧流体)によって、左右静圧パッド15、16の表面つまりパッド表面15a、16aから非接触で保持されているところ、上記パッド水は、機械温度に追従するよう温度調節されて上記パッド表面15a、16aから常時噴出供給されており、ワークWと静圧パッド15、16との微小隙間から常時排出されている。その排出されたパッド水は、重力によって下方へ落下している。
したがって、ワークWを研削する際に発生する研削熱は、(i)砥石軸3、4の内部中央のクーラント供給路9、9から供給された研削水に伝達され、高速回転している砥石車1、2から静圧パッド15、16の砥石車挿通部17、17内周などに飛散して落下し、一部は静圧パッド15、16の裏面15b、16bなどに伝って排出されるものと、(ii)ワークWに伝達されるもの、および(iii)砥石車1、2に伝達されるものとに大きく分かれる。
これら(i)〜(iii)の3つの研削熱の伝達経路のうち、静圧パッド15、16の熱変形に影響するものとして(i)および(ii)のものが挙げられ、その影響について以下の試験を行った。
以下の試験を行うに際して、図3(a)に示すように、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a部位に、両静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a間の距離(パッド間距離)を測定するための距離センサ40を3つ、つまり、装置前側の下端部近傍位置の距離センサ40F、装置中央部の上部位置の距離測定センサ40Cおよび装置後側の下端部近傍位置の距離測定センサ40Rを設置した。
また、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a部位の温度を測定するための温度センサ45を2つ、つまり、装置前側の静圧パッド下方位置の温度センサ45Fおよび装置後側の静圧パッド下方位置の温度センサ45Rを設置した。これら温度センサ45F、Rは静圧パッド15、16間から落下するパッド水の水温から静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aの温度を間接的に測定した。
なお、図3(b)は、上記研削熱による静圧パッド15、16の熱変形による反りのメカニズムを示すもので、図示のように、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aの温度がパッド裏面15b、16bよりも低くなると、パッド裏面15b、16b側が熱膨張する一方、パッド表面15a、16a側が熱収縮する形となって、静圧パッド15、16はパッド表面15a、16a側に反ることとなる。パッド表面15a、16aの温度とパッド裏面15b、16bの温度が上記と逆の場合は、静圧パッド15、16の反りは図示のものと逆になる。
(1)試験1−上記(i)の研削水による影響について:
この試験は、上記熱変形防止装置6を備えない横軸両頭平面研削盤において、擬似的に研削熱の代替として、砥石軸3、4中央のクーラント供給路9から約50℃の温水を研削水として供給し、静圧パッド15、l6から噴出供給されるパッド水には機械温度に調整された水を用いて、ワークWをワーク回転支持装置5により回転停止状態で支持するとともに、高速回転する一対の砥石車1、2を上記ワークWの表裏両面Wa、Wbに近づけた時の、砥石車1、2の回転により飛散する研削水による静圧パッド15、16の影響を調べた。
試験1の結果が図4および図5に示されており、この試験結果から、砥石車1、2の回転と同時に、静圧パッド15、16の下部間の隙間が装置前後両位置において狭くなっていき(図4(b)参照)、また砥石車1、2の回転を停止すると共に上記隙間が回転接触前の基の状態(図4(a)の状態)に戻っている(図4(c)参照)ことが分かり、砥石車1、2の回転により飛散した温水(研削水)が静圧パッド15、16の下部をワークW側へ反らせていることが判明した。
(2)試験2−上記(ii)のワークWの回転による影響について:
この試験は、試験1と同様に、熱変形防止装置6を備えない横軸両頭平面研削盤を用いたワークWの実加工において、ワークWの回転方向を時計回り(CW)(図6(a))と反時計回り(CCW)(図7(a))に変えた時の、ワークWの回転による静圧パッド15、16の影響を調べた。
試験2の結果が図6(b)および図7(b)に示されており、この試験結果から、ワークWの回転方向を時計回り(CW)(図6(a))と反時計回り(CCW)(図7(a))に変えた時に、静圧パッド15、16の装置前後側の下方位置の温度センサ45F、45Rによる測定結果(温度変化)が入れ替わり、これに対応して静圧パッド15、16の下部間距離の変化傾向も装置前後側で入れ替わることが分かり(図6(b)および図7(b))、ワークWが回転する方向に、暖められた研削水が運ばれていることが判明した。以上から、研削熱は、ワークWやワーク表面Wa、Wbに付着する水により、ワークWの回転と共に左右の静圧パッド15、16間に持ち込まれて、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aを暖めて、熱膨張を引き起こすことが判明した。
以上の2つの試験1、2の結果から、静圧パッド15、16の下部におけるパッド表面15a、16aとパッド裏面15b、16bの温度分布が装置前後側で異なり、静圧パッド15、16の装置前後側の反る方向がそれぞれ異なることが判明した。
すなわち、ワークWの回転方向が通常運転の時計回り(CW)の場合(図6(a)参照)を例にとると、図8を参照して、砥石車1,2とワークWが接触して研削熱が発生した場合の静圧パッド15、16の下部の反り状態は、砥石車1、2のワークWに対する接触がない基本状態(加工前の初期状態)、つまり、図8(a)に示すように静圧パッド15、16の装置後側および装置前側のいずれも反りのない状態に対して、静圧パッド15、16の装置後側の反る方向は、図8(b)に示すようにワークWと反対側へ反り、静圧パッド15、16の装置前側の反る方向は、図8(c)に示すようにワークW側へ反る。
このような現象は、静圧パッド15、16の装置後側は、ワークWの回転により持ち込まれる研削熱により、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aの温度がパッド裏面15b、16bよりも高くなって、パッド表面15a、16a側が熱膨張し、パッド裏面15b、16b側が熱収縮する形となるため、静圧パッド15、16間距離は広がり(図8(b))、ワークWの静圧保持は不安定にはなるが、キャリア装置20を挟むことなく、ワークWに対する研削は最後まで完了できるため許容できる。一方、静圧パッド15、16の装置前側のパッド表面15a、16aは、温度制御されたパッド水の影響で、パッド裏面15b、16bよりも温度が低くなるため、パッド裏面15b、16b側が熱膨張し、パッド表面15a、16a側が熱収縮する形(図3(b)の状態)となってワークW側に反り、静圧パッド15、16間距離が狭くなることで(図8(c))、キャリア装置20のキャリアリング25やワークWの挟み込みが発生して、最悪の場合、ワークWの回転は停止し、ワークWや機械へのダメージが深刻な問題となることが判明した。
以上の試験結果から得られた知見に基づいてさらに試験研究を行い、その結果を踏まえて得られた上記遮熱板(熱変形防止手段)30の具体的な配置構成等について以下に説明する。
上記遮熱板30は、上記砥石車1、2の研削部から飛散する研削水(クーラント)が一対の静圧パッド15、16のパッド裏面15b、16b側へ流入するのを遮断防止する構造とされている。
具体的には、遮熱板30は、研削中に静圧パッド15、16のパッド裏面15b、16b側に回り込む研削水を遮断することで、パッド裏面15b、16bの温度変化をできる限り小さくして、静圧パッド15、16に反りが生じないようにするため、図1に示すように、静圧パッド15、16に設けられた砥石車挿通部17内周を覆うように、換言すれば、上記砥石車1、2の外周部位を覆うように、静圧パッド15、16の砥石車挿通部17内周に取付ボルト等の固定手段(図示省略)によって取付け固定されている。
また、遮熱板30は、上記静圧パッド15、16の砥石車挿通部17における表裏方向の取付け範囲は、図2に示すように、上記静圧パッド15、16の表面からわずかに後退した位置から、少なくとも上記静圧パッド15、16の裏面よりも後方へ突出して、研削時における上記砥石車1、2の後端を覆う位置まで延びて設けられている。
つまり、遮熱板30は、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a側においては研削時にワークWが存在するため、パッド表面15a、16aよりも少し後ろへ下がった位置からパッド裏面15b、16bに向けて延び、パッド裏面15b、16bよりも後方へ飛び出すような配置構成とされている。
ここに、遮熱板30の先端縁がパッド表面15a、16aよりも少し後ろへ下がった位置に設定されているのは、パッド表面15a、16aと面一に設定されるのが理想であるところ、現実的には、静圧パッド15、16とワークWとの隙間が狭いことから、遮熱板30の取付け作業時に誤って、遮熱板30の先端縁がパッド表面15a、16aから前方へ飛び出す危険を防止することを考慮したものである。また、遮熱板30の後端縁がパッド裏面15b、16bよりも後方へ飛び出すように設定されているのは、研削熱によって温められた研削水がパッド裏面15b、16bに回り込むことを防ぐためである。
上記遮熱板30は、金属よりも熱伝導率の低い材料から形成されている。具体的には、遮熱板30の材質は、砥石車挿通部17内周に沿わすことのできる柔軟さを持つものであれば、どのような材質でも構わないが、金属よりも熱伝導率が低く、断熱効果の期待できるFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等の樹脂材料あるいはゴム材料などが、安価で柔軟性と強度を兼ね備えており、好適に採用される。また、金属でも比較的熱伝導率が低いものであれば採用可能であり、この場合は、金属製遮熱板材の静圧パッド15、16側に、熱伝導率の低い板材を積層状に挟み込むことにより遮熱板30を構成する。本実施形態の遮熱板30の構成材料は、理想材としてFRPが採用されている。
続いて、以上のような構成とされた遮熱板30を備える熱変形防止装置6による静圧パッド15、16の熱変形抑制効果を調べるために行った試験結果について説明する。
この試験は、本実施形態の横軸両頭平面研削盤において、熱変形防止装置6の取付け前後でそれぞれワークWの研削を行った。その試験結果が図9および図10にそれぞれ示されている。
この試験結果から、熱変形防止装置6の取付け前の研削では、静圧パッド15、16の装置前側のパッド間距離が狭くなり過ぎたため、ワークWのノッチ部Wnに嵌合して一体に回転駆動させているキャリア装置20を左右の静圧パッド15、16で挟んでしまい、キャリア装置20がロックして、リング駆動ギア24の歯が全て破損する結果となった。静圧パッド15、16によりキャリア装置20を挟み込んだ様子は、図9(a)、(b)において、距離センサ40Fによる静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a間距離の測定結果から、パッド表面15a、16a間の距離変化が途中急に一定となっていることから推測できる。この時点で静圧パッド15、16とキャリア装置20は接触し、位置変化しなくなったと考えられる。
一方、熱変形防止装置6の取付け後は、最後までワークWを研削することができており、図10に示すように、距離センサ40F、Cによる静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a間距離の測定結果において、パッド表面15a、16a間距離の変化量が熱変形防止装置6の取付け前の約半分であることが分かる。
また、図9(b)に示す推測値(静圧パッド15、16がキャリア装置20との干渉なく自由に反り続けた場合の推測値)まで考慮すると、熱変形防止装置6の取付け後の静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a間距離の変化量は、熱変形防止装置6の取付け前の1/4に抑えることが出来ていると予測される。つまり、距離センサ40Fにより測定されるパッド表面15a、16a間距離の変化量は、前述した挟み込み現象により実測できていないが、図9(b)に示すようにグラフを延長させて繋げると約―160μmまで変化していたと予想される。一方、パッド表面15a、16a間距離が広くなる距離センサ40Rの測定結果においては、パッド表面15a、16a間距離の変化量は約2/3に抑えることが出来ていることが分かる。
しかして、以上のように構成された両頭平面研削盤においては、ワーク回転支持装置5(軸方向支持手段10、径方向支持手段11)が、ワークWを研削位置に回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車1、2がその砥石軸3、4方向へ予め設定された切込み量だけそれぞれ切り込まれて、これら両砥石車1、2の研削面1a、2aにより上記ワークWの表裏面Wa、Wbが同時に研削加工される。
この場合、研削時に研削部で発生する研削熱は、砥石車1、2の砥石軸3、4内部中央のクーラント供給路9、9を介して上記研削部に供給される研削水(クーラント)やワークWなどに伝達されるところ、これら研削熱によって暖められた研削水は、ワークWの回転により上記ワーク回転支持装置5の一対の静圧パッド15、16間に運ばれるとともに、砥石車1、2の回転により飛散して上記静圧パッド15、16のパッド裏面15b、16b側に流れ込む傾向がある。
これら研削水によって上記静圧パッド15、16間つまりパッド表面15a、16a側とパッド裏面15b、16b側に伝達された研削熱は、これらパッド表面15a、16a側とパッド裏面15b、16b側で温度差を生じさせ、これが原因で、静圧パッド15、16がワークW側へ反って、ワークWやこのワークWを径方向に支持する軸方向支持手段のキャリア装置20と干渉することになる。
しかしながら、本実施形態の熱変形防止装置6によれば、上記静圧パッド15、16における砥石車1、2との境界部位に、静圧パッド15、16の熱変形を抑制する熱変形防止装置6が設けられているから、ワークWの表裏面Wa、Wbの同時加工における静圧パッド15、16の熱変形を有効に抑制することができる。
すなわち、本実施形態においては、上記静圧パッド15、16における上記砥石車1、2との境界部位、具体的には、静圧パッド15、16の砥石車挿通部17に、熱変形防止手段としての遮熱板30が設けられることで、静圧パッド15、16のパッド表裏面で温度差を生じさせていた研削水の研削部位から静圧パッド15、16の表裏面側、特に裏面側への流入が有効に抑制ないしは防止される結果、静圧パッド15、16の熱変形によるワークW側への反りを最小限に抑えることができる。
この作用効果を確認するため、本実施形態の熱変形防止装置6を備えた横軸両頭平面研削盤を用いてワークWの実加工を行った時の、静圧パッド15、16の熱変形について確認する試験を行った。
この試験を行うに際して、前述の試験1、2と同様に、図11に示すように、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16aの部位に、両静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a間の距離(パッド間距離)を測定するための3つの距離センサ40F、40Cおよび40Rを設置するとともに、静圧パッド15、16のパッド表面15a、16a部位の温度を測定するための2つの温度センサ45Fおよび45Rを静圧パッド下方位置に設置した。
試験の結果、図12に示すように、静圧パッド15、16の熱変形によるワークW側への反りが可及的に減少して(図12(b)および(c))、静圧パッド15、16とワークWやワーク回転支持装置5のキャリア装置20との干渉が有効に防止され、これにより、ワークWの研削が出来なくなるなどの問題発生が有効に防止され得ることが判明した。
実施形態2
本実施形態は図13に示されており、静圧パッド15、16の形状に応じて、遮熱板30の構成が改変されたものである。
すなわち、本実施形態の静圧パッド15、16に設けられた砥石車挿通部17は、図13に示すように、砥石車1、2の上半部分に対応した部位が砥石車1、2の外径よりも若干大きな径寸法を有する円弧状の内径輪郭を有するとともに、砥石車1、2の下半部分に対応した部位が砥石車1、2の外周円接線方向下方へ延びる直線状の輪郭をする構成とされている。
これに対応して、この部位に設けられる熱変形防止装置6の遮熱板30は、上記砥石車挿通部17の内周全長に沿うとともに、その両端部30a、30aが、砥石車挿通部17の両端17a、17aからさらに垂直下方へ直線状に延びて、砥石車1、2の下方まで覆う構成とされている。
しかして、このように構成された熱変形防止装置6においては、砥石車1、2の装置前後側の外周部が、遮熱板30により静圧パッド15、16から完全に遮断被覆されることになり、静圧パッド15、16の下端部位への研削水の飛散が完全に防止され得る。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々の設計変更が可能である。
例えば、図示の実施形態は、図14に示すような半導体ウェーハの表裏面を同時研削する両頭平面研削盤に本発明を適用したものであるが、研削対象となるワークWとしては、これ以外の薄肉円板状ワークも含まれる。
さらに、熱変形防止装置6の具体的な構成は、同様な作用効果を発揮得る限り図示以外の他の構成も採用可能である。
例えば、図示の実施形態においては、熱変形防止手段として、静圧パッド15、16の砥石車挿通部内周に沿って設けられた遮熱板30の形態とされているが、同様の作用効果を発揮し得る他の構成部材も採用し得る。
また、図示の実施形態の遮熱板30は基本的に金属以外の材料から形成されているが、研削水の研削部位から静圧パッド15、16の裏面側への流入が有効に抑制ないしは防止される構造であれば、鉄板から成る遮熱板30でも、静圧パッド15、16のパッド表裏面での温度差を小さく抑える効果が得られることが試験的に判明している。
さらに、実施形態1の遮熱板30は、図1に示すように静圧パッド15、16の砥石車挿通部17内周全長のみを覆う構成とされているが、その両端からさらに二点鎖線で示すように垂直下方へ延びる耳部30a、30aを設けてもよく、このような構成とすることにより、実施形態2の場合と同様に、砥石車1、2の装置前後側の外周部が静圧パッド15、16から完全に遮断被覆されて、静圧パッド15、16の下端部位への研削水の飛散が完全に防止される効果がある。
W ワーク(半導体ウェーハ)
Wn ワークのノッチ(切欠部)
Wa ワークの表面
Wb ワークの裏面
1、2 砥石車
1a、2a 砥石車の研削面
3、4 砥石軸
5 ワーク回転支持装置(ワーク回転支持手段)
6 熱変形防止装置
7 クーラント供給路
10 軸方向支持手段
11 径方向支持手段
15、16 静圧パッド
15a、16a パッド表面
15b、16b パッド裏面
17 静圧パッドの砥石車挿通部
20 キャリア装置
30 遮熱板(熱変形防止手段)
30a 遮熱板の耳部

Claims (5)

  1. 薄肉円板状工作物をワーク回転支持部により回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により前記工作物の表裏両面を同時に研削加工する両面研削装置において、前記工作物の表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する前記ワーク回転支持部の一対の静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止装置であって、
    前記静圧パッドにおける前記砥石車との境界部位に、静圧パッドの熱変形を抑制する熱変形防止手段として、前記砥石車の研削部から飛散するクーラントが前記静圧パッドの裏面側へ流入するのを遮断防止する構造を備えている
    ことを特徴とする両面研削装置の熱変形防止装置。
  2. 前記熱変形防止手段は、前記砥石車の外周部位を覆うように前記静圧パッドの砥石車挿通部内周に取付け固定されている遮熱板の形態とされている
    ことを特徴とする請求項に記載の両面研削装置の熱変形防止装置。
  3. 前記遮熱板は、前記静圧パッドの砥石車挿通部における表裏方向の取付け範囲が、前記静圧パッドの表面からわずかに後退した位置から、少なくとも前記静圧パッドの裏面よりも後方へ突出して、研削時における前記砥石車の後端を覆う位置まで延びて設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の両面研削装置の熱変形防止装置。
  4. 前記遮熱板は、金属よりも熱伝導率の低い材料から形成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の両面研削装置の熱変形防止装置。
  5. 薄肉円板状工作物を回転支持するとともに、高速回転する一対の砥石車をその砥石軸方向へ切り込んで、これら両砥石車端面の研削面により前記工作物の表裏面を同時に研削加工する装置であって、
    端面の研削面同士が対向するように配された一対の砥石車と、
    前記工作物を、前記一対の砥石車の研削面間において工作物の表裏面がこれら両研削面に対向する状態で、支持回転するワーク回転支持手段とを備えてなり、
    このワーク回転支持手段は、前記工作物を軸方向に位置決め支持する軸方向支持手段と、工作物を径方向に位置決めするとともに回転支持する径方向支持手段とを備え、
    前記軸方向支持手段は、前記工作物の表裏両面を静圧流体により非接触状態で支持する一対の静圧パッドを備えるとともに、請求項1からのいずれか一つに記載の熱変形防止装置を備えてなる
    ことを特徴とする薄肉円板状工作物の両面研削装置。
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