JP6032778B1 - 絶縁油の採油方法及び分析方法 - Google Patents

絶縁油の採油方法及び分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6032778B1
JP6032778B1 JP2016182479A JP2016182479A JP6032778B1 JP 6032778 B1 JP6032778 B1 JP 6032778B1 JP 2016182479 A JP2016182479 A JP 2016182479A JP 2016182479 A JP2016182479 A JP 2016182479A JP 6032778 B1 JP6032778 B1 JP 6032778B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
insulating
insulating oil
centrifuge
analysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016182479A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018047390A (ja
Inventor
鈴木 栄
栄 鈴木
勇人 小山
勇人 小山
由美子 佐藤
由美子 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Densetsu Service Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Densetsu Service Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Densetsu Service Co Ltd filed Critical Tokyo Densetsu Service Co Ltd
Priority to JP2016182479A priority Critical patent/JP6032778B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6032778B1 publication Critical patent/JP6032778B1/ja
Publication of JP2018047390A publication Critical patent/JP2018047390A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器からでも、迅速、安全、高精度で絶縁油を採取することが可能な絶縁油の採油方法及び分析方法を提供する。【解決手段】油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、遠心用容器の内壁に付着した絶縁油を採取する採油方法、及び、油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料と液体吸着材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、油浸絶縁材料から分離した絶縁油を液体吸着材料に吸着させ、さらに液体吸着材料から絶縁油を採取する採油方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、油封入電気機器から絶縁油を採取する絶縁油の採油方法及び分析方法に関する。
油封入電気機器では、所望の電気特性を確保するため、一定期間使用した絶縁油について特性試験や性状分析等を行い、劣化度を把握することが行われている。絶縁油が劣化している場合は、新しい絶縁油(新油)と交換して油封入電気機器を継続使用する。そのため、性状分析の際に、過去に絶縁油として用いられたことがあるポリ塩化ビフェニル(PCB)等が検出されることがある。
ちなみに、PCBは、その毒性により1972年に製造等が中止され、平成37年までに使用の全廃がストックホルム条約で定められており、事業者が電気機器を処分する際は、産業廃棄物処理業者にPCB混入可能性の有無について通知する必要がある。このとき、機器毎に測定した絶縁油中のPCB濃度が、処理の目標基準である0.5mg/kg以下であるときは、当該廃電気機器はPCB廃棄物に該当しないものとして扱われる。
現行では、トランスやケーブル等の油封入電気機器には、JIS及び旧JISで規定された鉱油等の絶縁油が封入されているが、長期間使用されたOFケーブル(Oil Filled Cable)等においては、採油場所であるコネクタを開けて採油を試みるも、絶縁油が枯渇し、流れ落ちる絶縁油を確保できないことがある。
OFケーブルの絶縁紙に含まれるPCBの分析方法としては、ソックスレー抽出法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ケーブルを廃棄等する際に絶縁紙中のPCBを検査するため、絶縁油を含浸した絶縁紙による被覆がなされたケーブル断面からインクリメントボアラー(生長錘)を用いてケーブルの外部保護被覆を破壊せずに絶縁紙を抜き取り、絶縁紙に含まれるPCBをn−ヘキサン等の有機溶剤にて、温度150〜200℃で抽出した後、抽出液をガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)等の分析機器で測定する方法が記載されている。溶剤抽出に際しては、加圧下で行うことにより、絶縁紙に含まれるPCBを効率よく抽出し溶剤に溶解させることができることが記載されている。
しかし、ソックスレー抽出法は、抽出時間が長い、多量の抽出溶剤を必要とする等、迅速性、安全面で課題があり、しかもPCBを含む抽出溶剤の廃棄処理にともなう問題点も抱えている。また、絶縁油中のPCBを直接分析していないため、分析精度面でも課題がある。
その点、油封入電気機器の構成部材である油浸絶縁材料、即ち絶縁油が浸透している材料から直接、絶縁油を採取することができれば、迅速性、安全性と言った課題を解決し得るものの、上記したように、採油場所であるコネクタを開けて採油を試みた際に、絶縁油が枯渇し、流れ落ちる絶縁油を確保できないことがある。
電力ケーブル内から絶縁紙を取り出す方法として、特許文献2には、スパイラル管と導線束を引き抜いた電力ケーブルの一端からその内部に向けて、絶縁紙を長手方向に切断する切断刃を備えた除去装置を挿入し、これを進退移動させる方法が記載されている。しかし、この方法は、不要となり放棄された電力ケーブルを撤去する際に、電力ケーブル内面から絶縁紙を迅速かつ確実に離脱除去する方法を提案したものであり、絶縁紙を絶縁油分析に用いることの記載はない。
特許文献3には、PCB含有絶縁油が浸透されている絶縁紙が積層状態で用いられている機器解体物を、ローラプレス機を用いて加圧することにより、解体物の内部に浸透されているPCB含有絶縁油を解体物の一端側から他端側に押し出して除去する方法が記載されている。これにより、解体物の内部に浸透されている絶縁油の量を減量させることができ、洗浄処理や真空加熱処理等の処理時間を短縮させることができる。しかし、絶縁紙を絶縁油分析に用いることの記載はない。
一方、特許文献4には、タービン油のオイルタンク内のオイルを、紙の積層間隙に通過させて不純物をブラウン運動等により紙の表面に付着させて除去するようにした清浄装置が記載されている。しかし、清浄装置は、油類を廃油として排出することを無くし廃棄物の発生を最小限にするため、紙を用いて、油類に混入してくる不純物(水分)を連続的に除去することを目的としたものである。
特許文献5には、家庭から出る生ごみ、廃食品、廃食材を含む混合廃棄物を破砕し、固形分を除去した後、廃油を糖化液中に遊離させて澱粉を糖化して水溶性にした後、3相式遠心分離装置にて、油分、水溶液分、固形分の3相に分離し、エタノールを製造する方法が記載されている。しかし、遠心分離装置は、油分、水溶液分、固形分の分離に使用されており、遠心分離装置の油封入電気機器への利用及び絶縁油の分析には言及していない。
特開2004−349038号公報(特許請求の範囲、[0030]〜[0036]等) 特開2006−50781号公報(請求項1、[0011]〜[0012]等) 特開2008−43826号公報(請求項5〜10、[0012]等) 特開平11−293275号公報(特許請求の範囲、[0004]等) 特開2013−176758号公報(特許請求の範囲、[図1]〜[図3]等)
本発明は、前記の現状に鑑みてなされたものであり、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器からでも、迅速、安全、高精度で絶縁油を採取することが可能な絶縁油の採油方法及び分析方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者等は鋭意検討を行った結果、油封入電気機器の構成部材である油浸絶縁材料を遠心分離機にかけることにより、絶縁油を迅速かつ安全に、しかも溶剤による抽出操作を行わずに直接確保できるため、従来より高精度の分析が可能になることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、遠心用容器の内壁に付着した絶縁油を採取することを特徴とする採油方法。
(2)油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料と液体吸着材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、油浸絶縁材料から分離した絶縁油を液体吸着材料に吸着させ、さらに液体吸着材料から絶縁油を採取することを特徴とする採油方法。
(3)液体吸着材料が、繊維の塊、紙片、布片、不織布片、高分子多孔質体及びそれらの組合せから選択される前記(2)に記載の採油方法。
(4)遠心分離機が、卓上型遠心分離機である前記(1)〜(3)いずれかに記載の採油方法。
(5)遠心用容器が、ガラス製またはプラスチック製である前記(1)〜(4)いずれかに記載の採油方法。
(6)油封入電気機器が、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器である前記(1)〜(5)いずれかに記載の採油方法。
(7)前記(1)〜(6)いずれかに記載の採油方法により絶縁油を採取し、採取した絶縁油をPCB分析、ガス分析、定性分析または特性試験に供することを特徴とする分析方法。
本発明によれば、トランスやOFケーブル等の油封入電気機器に封入されている絶縁油を、当該絶縁油が枯渇した状態にある場合でも、油封入電気機器の構成部材である絶縁紙等の油浸絶縁材料から絶縁油を確保できる。溶剤による抽出操作が不要で、採取した絶縁油を直接分析できるため分析精度が向上する。
有機溶剤を使用せず遠心力だけで物理的に絶縁油を採取できるため安全性が高く、迅速性にも優れている。また、遠心力による分離操作で採取できるため、溶剤抽出の際に生じやすいヘキサンの混入や、超音波及び抽出液の蒸留分離による絶縁油の熱分解を防止することができ、その後の分析に影響を与えないので安定した分析値が得られる。
遠心分離操作で使用した遠心用容器、絶縁油(液体)吸着用材料、絶縁油採取用ミニシリンジ、ピンセット等の各種試験器具は、使い捨て可能である。そのため、PCB分析等において洗浄再利用した分析器具を使用することによって生じ得る他試料からの汚染の心配が無く、それによるデータのバラツキ等の問題を解消できる。従来のヘキサン抽出法に比較し絶縁油採取時間を大幅に短縮できる。
本発明の一実施形態に係る採油方法の手順を示すフローチャートである。
図1は、本発明の絶縁油を採取する採油方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示すように、対象となる油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから油浸絶縁材料を取り出す。油封入機器としては、OFケーブル、トランス等が挙げられる。
本発明の絶縁油採油方法は、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器及び絶縁油が枯渇状態にない油封入電気機器のいずれに対しても適用することができ、とりわけ、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器に対して有効である。
なお、本明細書において、“絶縁油が枯渇状態にある”とは、電気機器の構成部材に吸着され自由に移動できる液体(絶縁油)を確保できない状態にあることを言い、無加熱状態において、重力や電気機器の内外圧力でも絶縁油が落下または排出されない状態が該当する。例えばOFケーブルやトランスでは、採油コネクタ等の採油場所を開放状態にする、あるいは、当該機器を天地反転して静置しても、絶縁油が1滴も流れおちない状態、または、さらにポンプやタンク、万力などを用いた電気機器内外の圧力をもってしても絶縁油が1滴も流れ落ちない状態をいうが、電気機器全体の絶縁油が皆無であることを意味するものではない。またここでいう1滴とは絶縁油分析が必要とする最小量である。
上記の油浸絶縁材料とは、絶縁油が封入されている油封入電気機器の構成部材のうち、絶縁油が浸透している部材を言い、絶縁紙の他、布テープ、プレスボード、編組線、より線導体などの繊維状の材料等が該当する。
油封入電気機器からの油浸絶縁材料を取り出し方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、マンホール内にある残置OFケーブルの一部を切り出してそこから油浸絶縁材料を取り出す、あるいは、トランスを開放して油浸絶縁材料を取り出す場合等において、絶縁紙またはその周辺部材(布テープ等)の一部をカッター等を用いて切断解体し、ピンセット等を用いて絶縁紙等を必要量取り出す方法等が挙げられる。
本発明では、取り出した油浸絶縁材料を蓋つきの遠心用容器(遠沈管等)に入れて容器を密閉した後、油浸絶縁材料を格納した遠心用容器を遠心分離機にかけて、絶縁油を分離採取する。遠心分離条件は、通常の遠心分離操作に準ずればよく、回転数は約3,000〜5,000rpm、時間は約3〜10分間程度が好ましい。回転数及び時間は、絶縁油の分離状況に応じて適宜変更することができるが、分析精度を高める観点からは、回転数及び回転時間を統一することが好ましい。
遠心用容器の容量は任意であり、油浸絶縁材料の大きさ(即ち、分析に必要な絶縁油量)に応じて選択すればよい。遠心用容器は、ガラス製またはプラスチック製等を使用することができるが、コスト、作業性、廃棄容易性等の観点より、プラスチック製(ポリエチレン製、ポリプロピレン製等)が好ましい。
遠心分離機としては、極微量絶縁油の採取が容易であることや、経済性の観点より、卓上式遠心分離機が好ましい。型式は特に限定されず、汎用機、マイクロロータ兼用高速機等を用いることができる。
<極微量絶縁油の採油>
極微量絶縁油を採取する際は、遠心分離操作によって油浸絶縁材料から分離し、遠心用容器の内壁に付着した絶縁油を、綿棒等の先端に付着させて採取する方法が好ましい。これにより、0.1mL以下の極微量の絶縁油を確保できる。
このようにして採取した絶縁油は、綿棒等に浸み込ませた状態のままで、フーリエ変換赤外分光計(FT−IR)を用いる赤外線吸収スペクトルの測定等の定性分析に供することができる。
<微量ないし少量絶縁油の採油>
微量ないし少量絶縁油を採取する際は、遠心分離操作を行う際に、油浸絶縁材料と液体吸着材料を同じ遠心用容器に入れ、遠心分離操作によって油浸絶縁材料から分離した絶縁油を液体吸着材料に吸着させる方法が好ましい。液体吸着材料としては、絶縁油を吸着可能な材料であれば、大きさや材質は特に限定されず、例えば、綿、麻、ウール等の繊維の塊、濾紙等の紙片、織物や編物の布片、不織布片、海綿、スポンジ、発泡樹脂等の高分子多孔質体及びそれらの組合せから選択されるもの等を用いることができる。その中でも、コスト、入手容易性、絶縁油の浸み込み易さ、取り出し易さ等の点より、綿球が好ましい。綿球は、薬局等で市販されているものを用いることができる。
綿球等を遠心用容器の底部に配置しておくことで、絶縁紙等から分離した絶縁油を容易に綿球等に移行、吸着させることができる。綿球等への移行、吸着の程度は、綿球等の着色具合の変化で容易に確認できる。分離させた絶縁油が綿球等の一部に吸着している状態が好ましい。
次いで、液体吸着材料から吸着した絶縁油を採取する。採取方法は、吸着した絶縁油を分離できる方法であれば特に限定されず、例えば、液体吸着材料を捩じる、押し潰す等の方法が挙げられる。中でも、絶縁油を吸着した綿球をミニシリンジ等の押出し可能な容器に入れ、綿球を押し潰して採油する方法は、絶縁油を安全かつ確実に確保できる点で好ましい。この方法によれば、1回の操作で、0.1mL〜3mLの絶縁油を確保できる。所望の絶縁油量は分析種類によって異なるため、より多量(〜50mL)の絶縁油を要する場合は、遠心分離操作から採油までの一連の操作を複数回実施すればよい。
上記採油方法によれば、短時間かつ簡便に絶縁油を採取することができるだけでなく、各操作で使用した器具(ピンセット、遠心用容器、ミニシリンジ、液体吸着材料)を使い捨てにすることができる。万一、絶縁油に0.5mg/kgを超えるPCBが含まれている場合でも、PCB廃棄物として処理すればよいので、ガラス器具を洗浄再利用する方法に比べて、他試料からの汚染の恐れが無く、高精度のデータを入手できる。
以上の採油方法により採取した絶縁油について、PCB分析、ガス分析、定性分析または特性試験を実施する。PCB分析では、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)等を用いて、油中のPCB濃度を測定する。ガス分析では、ガスクロマトグラフィー等を用いて、油中の可燃性ガス、溶存ガスの濃度を測定する。特性試験では、水分量、誘電正接、酸価などを測定し、測定値が基準値を満たしているか否かを判断する。また、その他性状試験ではICP(誘導結合プラズマ)を用いた油中金属濃度を測定する。
上記の絶縁油の採油方法は、簡単な装置・操作での採取を可能としており、ヘキサン等の有機溶剤を使用しないため安全であり、有機溶剤の分留操作が不要であるため他成分の混入や熱分解のおそれがなく、フラスコ等に再利用品を用いないため汚染の心配がないことと相俟って、迅速かつ簡便であり、分析を繰り返し実施しても分析値の振れが極めて小さいことから、油封入電気機器の絶縁油の採油方法として有用である。また、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器からの絶縁油の採取方法として、極めて有用である。採取した絶縁油をPCB分析、ガス分析または特性試験に供することにより、溶剤抽出法により採取した絶縁油の替わりに、直接採取した絶縁油を使用するので、溶剤由来の不純物の混入、超音波照射や溶剤蒸留による絶縁油の熱分解と言った影響因子が存在しないため、高精度の分析を実現できる。
本発明の採油方法及び分析方法を個々の試料や装置等に適用するにあたっては、それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、実施すればよい。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
絶縁油が枯渇した状態にあるOFケーブルから絶縁紙を切り出し、約20×300mmの大きさに切断した。
ピンセット(AZONE ビオラモ(VDP−020)ABS樹脂製)を用いて、ポリプロピレン製遠沈管(AZONE ビオラモ(VIO−50R)50mL用(φ30×114mm))の底部に、綿球(ピップ製 φ10mm、綿100%)を1個配置し、その上に切断した絶縁紙を縦方向に入れ、蓋をして密閉した。
上記の遠沈管を卓上遠心分離機(久保田テーブルトップ遠心機4000)にセットし、3,500rpm×3分間、運転した結果、綿球の上部(全体の約1/4)が着色した。
絶縁油が吸着した綿球を、ミニシリンジ(AZONE 3mLディスポシリンジ)に入れ、ピストンにて綿球を押し潰すことで、綿球から絶縁油を押し出し、絶縁油約3mLを採取した。
遠心分離から絶縁油採取までの所要時間は約15分であった。
(実施例2)
絶縁油が枯渇した状態に無いOFケーブルから絶縁紙を切り出し、約20×300mmの大きさに切断した。
実施例1と同様の方法により、遠心分離法により絶縁油Aを採取した。また、同じOFケーブルから、コネクタを介して絶縁油Bを採取した。
絶縁油Aおよび絶縁油Bについて、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)を用いて、絶縁油中のPCB濃度を求めた。その結果、絶縁油AのPCB濃度は0.82ppm、絶縁油BのPCB濃度は0.83ppmであり、絶縁油Aと絶縁油BのGC−MSの波形も一致していた。
上記の結果より、本発明の採油方法を採用すれば、熱分解による絶縁油の変質やヘキサン等の他成分の混入が起きていないことが分かった。
(実施例3)
絶縁油が枯渇した状態にあるOFケーブルから取り出した絶縁紙を、約20×300mmの大きさに切断した。
ピンセット(AZONE ビオラモ(VDP−020)ABS樹脂製)を用いて、ポリプロピレン製遠沈管(AZONE ビオラモ(VIO−50R)50mL用(φ30×114mm))に、切断した絶縁紙を縦方向に入れ、蓋をして密閉した。
上記の遠沈管を卓上遠心分離機(久保田テーブルトップ遠心機4000)にセットし、3,500rpm×3分間、運転した。運転停止後、遠沈管の内壁に付着した絶縁油を綿棒の先端で採取した。
採取した絶縁油が吸着した綿棒を、フーリエ変換赤外分光計(FT−IR)を用いてATR法により分析した結果、絶縁油と認める特徴的なピークを確認することができた。
(比較例1)
絶縁油が枯渇した状態にあるOFケーブルから取り出した絶縁紙を、約100g切断し、ヘキサン100mLを入れた容器に切断した絶縁紙を入れ、超音波洗浄機にかけた後、絶縁油が溶出したヘキサン溶液をナスフラスコに移し替え、ヘキサン溶液をロータリーエバポレータにかけて絶縁油を加熱蒸留分離した。絶縁紙の裁断から絶縁油採取までの所要時間は、約80分であった。
この方法では、絶縁油にヘキサンが混ざり、超音波処理や分留操作による加温の影響で絶縁油が熱分解して変質する現象が見られた。また、分留操作では温度管理が重要となるが、温度管理を誤った場合にはヘキサンが残留することで絶縁油のみを確保できなくなることで、PCB濃度計算に誤りが生じる恐れがあった。
以上の結果から、遠心分離法による分離操作、または、遠心分離法と綿球等の液体吸着材料とを組み合せた分離操作により、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器からでも、絶縁油の採取、分析が可能であることを確認できた。
本発明は、各種油封入電気機器における絶縁油の採油方法及び分析方法として利用できる他、油封入電気機器で課題となっている絶縁油中のPCB濃度分析に対して有用である。よって、その実用的価値は高い。

Claims (7)

  1. 油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、遠心用容器の内壁に付着した絶縁油を採取することを特徴とする採油方法。
  2. 油封入電気機器の一部を切断解体し、そこから取り出した油浸絶縁材料と液体吸着材料を遠心用容器に入れ、次いでこれを遠心分離機にかけて、油浸絶縁材料から分離した絶縁油を液体吸着材料に吸着させ、さらに液体吸着材料から絶縁油を採取することを特徴とする採油方法。
  3. 液体吸着材料が、繊維の塊、紙片、布片、不織布片、高分子多孔質体及びそれらの組合せから選択される請求項2に記載の採油方法。
  4. 遠心分離機が、卓上型遠心分離機である請求項1〜3いずれかに記載の採油方法。
  5. 遠心用容器が、ガラス製またはプラスチック製である請求項1〜4いずれかに記載の採油方法。
  6. 油封入電気機器が、絶縁油が枯渇状態にある油封入電気機器である請求項1〜5いずれかに記載の採油方法。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の採油方法により絶縁油を採取し、採取した絶縁油をPCB分析、ガス分析、定性分析または特性試験に供することを特徴とする分析方法。
JP2016182479A 2016-09-20 2016-09-20 絶縁油の採油方法及び分析方法 Active JP6032778B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016182479A JP6032778B1 (ja) 2016-09-20 2016-09-20 絶縁油の採油方法及び分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016182479A JP6032778B1 (ja) 2016-09-20 2016-09-20 絶縁油の採油方法及び分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6032778B1 true JP6032778B1 (ja) 2016-11-30
JP2018047390A JP2018047390A (ja) 2018-03-29

Family

ID=57419861

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016182479A Active JP6032778B1 (ja) 2016-09-20 2016-09-20 絶縁油の採油方法及び分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6032778B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102420300B1 (ko) * 2021-04-30 2022-07-15 성기봉 휴대용 엑스선 촬영기기 제조방법 및 제조장치

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0513030U (ja) * 1991-07-26 1993-02-19 神栄株式会社 液体含浸コンデンサ
JP2001219153A (ja) * 2000-02-14 2001-08-14 Nippon Clean Oil Kk 電気機器からのpcb回収方法と装置
JP2002350371A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 有機ハロゲン化物計測装置
JP2004349038A (ja) * 2003-05-21 2004-12-09 Tokyo Electric Power Co Inc:The ケーブル絶縁紙取り出し方法、取り出し装置、ケーブル絶縁紙の検査方法
JP2008043826A (ja) * 2006-08-10 2008-02-28 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd Pcb汚染物処理装置ならびにpcb汚染物処理方法
JP2013094727A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 非鉄・金属類以外のpcb汚染物質の処理装置
JP2013103186A (ja) * 2011-11-15 2013-05-30 Toshio Konuma Pcb汚染電気機器の処理システム及び装置
JP2013176758A (ja) * 2007-10-12 2013-09-09 Nippon Steel & Sumikin Engineering Co Ltd エタノール及び油の回収・製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0513030U (ja) * 1991-07-26 1993-02-19 神栄株式会社 液体含浸コンデンサ
JP2001219153A (ja) * 2000-02-14 2001-08-14 Nippon Clean Oil Kk 電気機器からのpcb回収方法と装置
JP2002350371A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 有機ハロゲン化物計測装置
JP2004349038A (ja) * 2003-05-21 2004-12-09 Tokyo Electric Power Co Inc:The ケーブル絶縁紙取り出し方法、取り出し装置、ケーブル絶縁紙の検査方法
JP2008043826A (ja) * 2006-08-10 2008-02-28 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd Pcb汚染物処理装置ならびにpcb汚染物処理方法
JP2013176758A (ja) * 2007-10-12 2013-09-09 Nippon Steel & Sumikin Engineering Co Ltd エタノール及び油の回収・製造方法
JP2013094727A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 非鉄・金属類以外のpcb汚染物質の処理装置
JP2013103186A (ja) * 2011-11-15 2013-05-30 Toshio Konuma Pcb汚染電気機器の処理システム及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018047390A (ja) 2018-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rajaei et al. Supercritical fluid extraction of tea seed oil and its comparison with solvent extraction
De Jesus et al. Evaluation of waste biomasses and their biochars for removal of polycyclic aromatic hydrocarbons
Fulara et al. Methods for determination of polybrominated diphenyl ethers in environmental samples–review
JP6032778B1 (ja) 絶縁油の採油方法及び分析方法
Liu et al. One-step fabrication of superhydrophobic and superoleophilic cigarette filters for oil-water separation
TW201026383A (en) Purified preparation of oily liquid containing a poly biphenyl chloride group compound
Marchal et al. Determination of synthetic musk fragrances
CN203881722U (zh) 一种果蔬香气组分固相微萃取装置
Sun et al. Carbon aerogels derived from waste paper for pipette-tip solid-phase extraction of triazole fungicides in tomato, apple and pear
Lin et al. Kinetic migration of isothiazolinone biocides from paper packaging to Tenax and Porapak
CN108680687A (zh) 一种海产品中多氯联苯的检测方法
CN103760277A (zh) 脱气装置
Sun et al. Ultrasound‐assisted extraction and solid‐phase extraction as a cleanup procedure for organochlorinated pesticides and polychlorinated biphenyls determination in aquatic samples by gas chromatography with electron capture detection
CN106045817A (zh) 香料级苯甲醇的生产方法
JP2010169676A (ja) ポリ塩化ビフェニル類の定量方法
Schollaen et al. An improved guideline for rapid and precise sample preparation of tree-ring stable isotope analysis
CN104713962B (zh) 用于检测油脂制品中苯并(a)芘的前处理方法以及检测油脂制品中苯并(a)芘的方法
JP2009260283A (ja) Pcb汚染変圧器の洗浄方法及び洗浄装置
JP7134644B2 (ja) 油脂中のジアルキルケトンの定量方法
CN102721763B (zh) 一种高效液相色谱检测油脂中氯丙醇酯的方法
CN103962114A (zh) 导电聚合物涂层硅胶的制备方法及其在固相萃取中的应用
Belay Advanced analytical microextraction techniques and there applications: A review
CN104849370A (zh) 基于滤纸负载苄基咪唑固相微萃取膜富集分析植物油中酚类物质的方法
CN103901143A (zh) 一种用于少量生物血清中四溴双酚a分析的前处理方法
CN105136537A (zh) 玻璃纤维滤纸中采集的苯并(a)芘的前处理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160920

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20160920

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20161007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161019

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161020

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6032778

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250