JP6032735B2 - Vegf結合性融合ペプチド - Google Patents
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図1に示したようにYT1のアミノ酸配列を有するペプチドからペプチドライブラリー(ΔPTA-6R-loop11-C ライブラリー)を作製した。ペプチドライブラリーの作製には、VEGF結合性ペプチドの高効率なスクリーニングが可能であるペプチド・ファージライブラリー法を用いた。
表1に示すプライマーセットを用いて表2に示す条件でPCRを行った。反応終了後、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて付属のマニュアルに従い、 PCR産物を精製した。
前記オーバーラップエクステンションPCRによって得られたDNA断片を鋳型とし、表3に示すプライマーを用いて表4に示す条件でPCRを行った。反応終了後、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて付属のマニュアルに従い、PCR産物を精製した。
表5の条件にて精製したPCR産物の制限酵素処理(37℃、4時間インキュベーション)を行い、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した。また、表6に示す条件でベクターの制限酵素処理(37℃、3時間インキュベーション)を行った。その後、0.9%アガロース電気泳動で分離後、目的のバンドを切り出し、QIAquick GEL Extraction Kit(QIAGEN)を用いて精製した。次に、予備実験により目的の遺伝子が大腸菌に形質転換されたことを確認した後、表7に示す条件にてライゲーション(16℃、一晩インキュベーション)を行い、DNAライブラリーが導入されたファージミドを作製した。作製したファージミドベクター(以下「pComb3d-lib」と称す。)をQIAquick PCR Purification Kitで精製した後、エレクトロポレーション法により形質転換を行った。エレクトロポレーションは、1.5μLのpComb3d-libと50μLのXL1-Blueエレクトロポレーションコンピテントセル(STRATAGENE)を混和し、氷冷していたキュベットに移し、エレクトロポレーション用パルサー(MicroPulser(BIO-RAD):キュベット幅0.1cm、電圧1.8kv)を用いて通電することにより行った。形質転換体の一部をLB/Amp、Tetプレートで培養した後、形質転換体に導入されたDNAの塩基配列を調べたところ、pComb3d-libに目的とするDNAが導入されていることが確認された。なお、塩基配列のシーケンシングには、Terminator v3.0 Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems)を用いた。
得られた形質転換体をSB培地で培養した後、15%グリセロールを含むLB培地に懸濁してライブラリーの大腸菌ストックとした。1.5mLの大腸菌ストックを100mLのSB/Amp、Tet培地に懸濁して37℃で4時間振とう培養した。100μlのヘルパーファージ(VCSM13 Interference-Resistant Helper Phage)を加え、37℃で30分間振とう培養した。その後、4℃、9,000gで20分間遠心し、菌体を回収した。回収した菌体を、SB/Amp、Tet、Kan培地で懸濁し、30℃で一晩振とう培養した。培養終了後、4℃、9,000gで20分間遠心し、上清を回収し、20μlのPEG/NaClを加えて氷上で1時間静置した。4℃、9,000gで遠心し沈殿を回収し、8 mLのPBSを加えて懸濁し、氷上で30分間静置した。その後、同様に遠心して上清を回収し、それに1.6mLのPEG/NaClを加えて氷上で20分間静置した。さらに、4℃、10,000gで30分間遠心して沈殿を回収し、沈殿を2mLのPBSに懸濁した。得られた溶液をファージライブラリー溶液とした。
バイオパンニングにより、ΔPTA-6R-loop11-Cライブラリーを用いて、ビオチン化したヒトVEGF165(Bio-VEGF)に結合するペプチドのスクリーニングを行った。
100μLのDynabeads(商標名) Streptavidinを1.5mLチューブに移し、マグネットスタンドを用いてビーズを沈殿させた。上清を捨てた後、200μLのPBSTを加え激しく懸濁し、同様にビーズを沈殿させ洗浄を行った。この操作を再び繰り返した後、ビーズに対する非特異的な結合を抑えるために、500μLのブロッキング緩衝液(SuperBlock Blocking Buffer、 Thermo Scientific)を加えて氷上で30分間静置した。ブロッキング緩衝液を除いたビーズに500μLのPBSを加えて4℃で保存した。使用時には、マグネットスタンドを用いてPBSTを除いた。
バイオパンニングによって選択されたファージのDNA配列を解析し、ファージが提示しているペプチドのアミノ酸配列を推定した。第3ラウンドから28クローン、第4ラウンドから12クローンを任意に選択した。
精製したファージミドについて、Terminator v3.0 Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Applied Biosystems)を用いて、表10に示すプライマーを用いて表11に示す条件でシーケンシングを行った。
バイオパンニングより得られたすべてのクローンについて、ファージELISAを行った。ストレプトアビジンを利用してBio-VEGFを固定化したプレート(SA-VEGFプレート)と抗E-tag抗体を固定化したプレート(anti-E-tagプレート)を用いた。各プレートに、バイオパンニングで得られたコロニーから調整したファージ溶液の50μLを加え、室温で2時間振とうした後、200μLのPBSTで10回洗浄した。5,000倍希釈したHRP/Anti-M13 monoclonal conjugate(Applied Biosystems)の50μLを加え、室温で40分間振とうした後、200μLのPBSTで5回洗浄した。ペルオキシダーゼ基質溶液50μLを加え、室温、遮光下で5分間静置し、発色させた。50μLの2N硫酸を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーを用いて490nmにおける吸光度を測定し、標的タンパク質への結合能を調べた。その結果を図6に示す。
ストレプトアビジンを炭酸緩衝液(pH 9.2)で20μg/mLに希釈し、固定化プレート(F8 POLYSORP UNFRA)に100μL/wellで分注した。4℃で一晩静置し、200μLのPBSTで5回洗浄し、400μL/wellのSuperBlock Blocking Buffer(Thermo Scientific)を加え、4℃で2時間静置した。その後、PBSTで同様に洗浄し、5μg/mLのBio-VEGFを50μL/well加え4℃で1時間静置した。
抗E-tag抗体を炭酸緩衝液(pH 9.2)で2μg/mLに希釈し、固定化プレートに100μL/wellで分注した。4℃で一晩静置し、200μLのPBSTで5回洗浄し、400μL/wellのSuperBlock Blocking Bufferを加え、4℃で2時間静置した。
Outputの単一なコロニーを3mLのLB/Amp、Tet培地に植菌し、37℃で数時間(OD600=0.3〜0.6)振とう培養した。5μmのヘルパーファージを加え、37℃で30分間静置して感染させた。その後、カナマイシンを終濃度70μg/mLとなるように加え、30℃で一晩振とう培養した。培養後、室温、3000 rpmで5分間遠心して菌体を沈殿させた。上清を15mLチューブに移して600μLのPEG/NaClを加え、氷上で1時間静置した。4℃、9000gで20分間遠心し、沈殿を1mLのPBSTに溶解してファージ溶液とした。
上記4種類のVEGF結合性ペプチドをもとにしてTrx融合ペプチド(Trx-36、41、42、49)を、pETシステムを利用して合成した。ホスト大腸菌にはBL21(DE3)Competent Cells(Novagen)を、ベクターにはpET32a(Novagen)を使用した。
各クローンのファージミドからペプチドをコードする遺伝子を表12に示すプライマーを用いて表13に示す条件でPCR法により増幅した。反応終了後、3%アガロース電気泳動で分離し、目的のバンドを切り出し、Gel Extraction Kit (QIAGEN)を用いて精製した。次いで、表14に示す条件にて制限酵素処理(37℃で3時間)した後、PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製してインサートを作製した。また、Trx融合タンパク質作製用ベクター(pET-32a(+))も表15に示す条件にて制限酵素処理(37℃で3時間)した後、PCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した。その後、表16に示す条件にてインサートとともにライゲーション反応を行い、Trx融合ペプチドの遺伝子が組み込まれたベクターpET-32a-pepを作製した。その制限酵素地図を図7に示す。
pET-32a-pepを使用してBL21 CodonPlus(DE)-RPを上記ヒートショック法と同様にして形質転換した。形質転換体の培養液を、200mLのTerrific broth/Ampに添加し、37℃でOD600=1.0 になるまで振とう培養した。その後、培地を18℃に冷却し、50μLのIPTGを加え、18℃で一晩振とう培養した。培養終了後、培養液を遠心(4℃、6000g、10分)して、1gの沈殿に対して10mLのPBSを加えて懸濁した。懸濁液を超音波破砕して、遠心分離(4℃、6000g、10分)した後、その上清を0.45?mフィルターを用いてろ過して、精製用サンプルを得た。
上記クローン36,41,42,49のVEGF結合性ペプチドに基づき、VEGF結合性の環状ペプチド(Pep-36,41,42,49)をFmoc固相合成法により化学合成した。これらの環状ペプチドはそれぞれ塩基配列20〜23に示されたアミノ酸配列を有し、N末端のシステインとC末端のシステインがS−S結合している。固相合成には自動ペプチド合成機(PSSM-8, SHIMADZU)を使用した。固相合成後,ペプチドの脱樹脂と脱保護を行い,ジエチルエーテルを加えて洗浄し,凍結乾燥した。粗ペプチドを0.1% TFA 水溶液に溶かし,逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で精製し,凍結乾燥した。次にジスルフィド結合形成のため,乾燥したペプチドを20%のジメチルスルホキシドに溶解させ,24時間室温で撹拌した。反応終了後,ペプチドをRP-HPLCで精製した。精製したペプチドをRP-HPLCで分析し, MALDI-TOF-MSにより分子量を確認したところ,純度95%で、ほぼ計算値どおりの分子量が確認された。また、円二色分散計(J-820, JASCO)を用いてCDスペクトルを測定したところ、208nmと222nmに負に極大を示す特徴的なスペクトルを観察し、ヘリックス−ループ−ヘリックス構造を保持していることが確認された。
Trx融合VEGF結合性ペプチドとVEGF結合性ペプチド(Trx非融合VEGF結合性ペプチド)について、VEGFに対する親和性をSPR(Biacore T200(Biacore))を用いて測定した。Amine Coupling Kit(BIACORE)を用いて,センサーチップ(CM5センサーチップ,BIACORE)にVEGFを固定化した。EDCとNHSの等量混合液を流速10μL/minで7分間添加し,センサーチップ上のカルボキシル基を活性化し,10mMの酢酸緩衝液(pH5.0)で10μg/mLに調製したVEGF溶液を流速10μL/minで7分間添加した。その後,エタノールアミンを流速10μL/minで7分間添加し,未反応のカルボキシル基と反応させた。同様に操作してエタノールアミンを固定化して、対照とした。反応はすべて25℃で行い,ランニングバッファーには,HBS-EP+ buffer(10 mM HEPES pH7.4, 150 mM NaCl, 3 mM EDTA, 0.005 % Surfactant P20)を用いた。
競合ELISAにより、Trx融合VEGF結合性ペプチドとTrx非融合VEGF結合性ペプチドの阻害活性を測定した。炭酸緩衝液(pH9.2)で0.5μg/mLになるように希釈したVEGFR-2を、各ウェルに50μLずつ分注し,4℃で一晩静置することによりVEGFR-2をPolysorpプレートに固定化した。固定化プレートを200μLのPBSTで3回洗浄して、1well当たり400μLのSuperBlock Blocking Bufferを加えて、4℃で2時間静置した。その後、PBSTで5回洗浄した。そして4nMのビオチン化したVEGFと各濃度のTrx融合ペプチド又はTrx非融合ペプチドを50μLずつ混合した溶液を加えて室温で1時間静置した。PBSTで5回洗浄した後、4000倍希釈したHRP標識ストレプトアビジンを100μL/wellで添加し、室温で30分静置した。PBSTで5回洗浄し、基質を100μL/wellで添加し,室温で遮光しながら10分間静置した。そして、2NH2SO4を50μL/wellで添加してプレートリーダーで吸光度(490nm)を測定した。得られた吸光度から、KaleidaGraph 4.0J(Synergy software)を用いて以下の数式1にフィッティングさせて、IC50算出した。その結果を表18にまとめた。
上記で得られたTrx非融合ペプチドとTrx融合ペプチドの細胞増殖抑制作用を調べた。正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Lonza,CC-2517)をプールし、これを内皮細胞添加因子セット-2(Lonza,CC-4176)(VEGFを含まない)と10%非働化正常ヒト血清を含む血管内皮基礎増殖培地EBM-2(Lonza,CC-3156)を用い、3,000細胞/ウェルとなるように0.1%ゼラチンコーティングした細胞培養用96穴マイクロプレートに播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩静置した。VEGF結合性ペプチド及びTrx融合VEGF結合性ペプチドは、50nM〜4μMの濃度範囲で段階希釈し、rhVEGF165(200pM)と室温で1時間プレインキュベートした。プレインキュベートした各ペプチドを、HUVECを加えた96穴マイクロプレートに添加し、37℃、5%CO2条件下の湿潤インキュベータ内で3日間培養した。各ペプチド濃度に対するHUVEC細胞の増殖反応を細胞増殖試薬WST-1(Roche,11644807001)によって検討した。培養したプレートにWST-1を10μl/wellで添加し、3時間後にModel 680 microplate reader(BIO-RAD)で波長450nmの吸光度を測定した。データは、four-parameter algorithmを用いて解析し、VEGF結合性ペプチド又はTrx融合VEGF結合性ペプチドの阻害曲線から、HUVECに対する50%阻害濃度(IC50)を算出した。その結果を表18にまとめた。
Claims (4)
- 配列番号16〜19に記載のアミノ酸配列からなるVEGF結合性融合ペプチド。
- 配列番号16〜19に記載のアミノ酸配列(ただし、VEGF結合性ペプチドに相当するアミノ酸配列を除く)において1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列からなるヒト血管内皮細胞増殖阻害性を示すVEGF結合性融合ペプチド。
- 有効量の請求項1又は2に記載のVEGF結合性融合ペプチドを含む医薬組成物。
- 抗がん用組成物、抗慢性関節リウマチ用組成物、抗糖尿病性網膜症用組成物、抗加齢黄班変性用組成物の何れかである請求項3に記載の医薬組成物。
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