JP4394931B2 - ヒトインターロイキン4およびヒトインターロイキン13のアンタゴニストであるペプチド - Google Patents
ヒトインターロイキン4およびヒトインターロイキン13のアンタゴニストであるペプチド Download PDFInfo
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Lee, F.等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83, 2061, 1986. Noma, Y.等,Nature 319, 640, 1986. Plaut, M.等,Nature 339, 64, 1989. Izuhara, K.等,Int. J. Mol. Med. 3, 3-10, 1999. Le Gros, G.等,J. Exp. Med. 172, 921, 1990. Kopf, M.等,Nature 362, 245, 1993. Wang, H. Y.等,Immunity 4, 113, 1996. Zurawski, S. M.等,EMBO J. 12, 2663, 1993.
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AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKX1KLTX2LKAY
(式中、
X1は任意のアミノ酸残基であって、そしてX2はDまたはAである)
を有するペプチドを要旨とする。
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKX1KLTX2LKAY
(式中、
X1は任意のアミノ酸残基であって、そしてX2はDまたはAである)
を有するペプチドを含有する、ヒトインターロイキン−4およびヒトインターロイキン−13のアンタゴニストをも要旨とする。
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKX1KLTX2LKAY
(式中、
X1は任意のアミノ酸残基であって、そしてX2はDまたはAである)
を有するペプチドを含有する、アレルギー疾患を処置するのに有用な医薬組成物をも要旨とする。
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKX1KLTX2LKAY
(式中、X1は任意のアミノ酸残基であって、そしてX2はDまたはAである)
で表される(配列番号1)。上記のアミノ酸配列は、N末端側に14個のアミノ酸残基からなるヘリックス領域、7個のグリシンからなるループ領域((G7)と略す)およびC末端側に15個のアミノ酸残基からなるヘリックス領域からなる、総計36個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列である。式中、X1は任意のアミノ酸残基であり、このものは天然のアミノ酸残基(例えば、L−アミノ酸残基)、改変した非天然アミノ酸残基(例えば、D−アミノ酸残基)、並びに生物学的に遊離な形態もしくは組み合わさった形態で生成するが、通常タンパク質中では生成しないことが知られるアミノ酸(例えば、Roberts and Vellaccio, The Peptides, 5: 342-429 (1983)(これは、本明細書の一部を構成する)に開示されているアミノ酸)を含むが、天然のアミノ酸残基が好ましい。X1位のアミノ酸残基は、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、チロシン、トリプロファン、プロリンおよびバリンを含むが、セリンまたはアラニンが特に好ましい。また、X2はアスパラギン酸またはアラニンのいずれかであり、アラニンが特に好ましい。
(1)合成ペプチドの製造
本発明の合成ペプチドは、ペプチド合成の分野における当業者にとって通常知られる方法に従って製造することができる。特に、ペプチド合成における固相合成法(例えば、R. B. MerrifieldらによるJ. Am. Chem. Soc., 85, 2149 (1963)を参照)を用いて製造することができる。該合成は、オートペプチドシンセサイザ(Model 433A, Applied Biosystems製)を用いて行なう。合成の手順は、商業的なマニュアルにしたがって行なう。以下に、合成法を例示するが、該方法は例示するものであって、これらに限定されるものではない。
本発明で得る合成ペプチドの構造情報は、円二色性(以下、CDと略す)を測定することによって得る。測定は、円二色分散計を用いて行なう。測定は、当業者にとって知られる通常の方法に従って行なう。吸収領域および各波長での吸収強度を測定する。そして、経験則を用いて、得られるペプチドについて、α−ヘリックスなどに関する構造情報を得る。更に、得られるペプチドの構造と活性相関について考察する。
本発明で得る合成ペプチドとhIL−4Rαとの分子間相互作用の有無について調べる。hIL−4Rαについては、hIL−4Rαの膜外可溶性領域部であって商業的に入手可能なhIL−4sRを代わりに用いることができる。該hIL−4sRのアミノ酸配列は、hIL−4sRのアミノ酸配列の一部である26番目から232番目までの207個のアミノ酸残基である(配列番号2)。
本発明で得る合成ペプチドとhIL−4sRとの阻害作用の有無について調べる。測定は、酵素結合免疫吸着法(以下、ELISAと略す)を用いて行なう。ELISAとは、抗原または抗体を酸素で共有結合して標識し、抗体または抗原の存在を酵素活性を利用して検出する酵素免疫検定法のことをいう。本発明におけるELISAについて、以下に記載する。まず、hIL−4sR溶液を適当なバッファーを用いて調製する。次いで、このhIL−4sR溶液をマイクロプレートのウェルに固定化する。一方で、ある濃度のhIL−4溶液および適当な濃度の合成ペプチド溶液をそれぞれ、適当な緩衝液(例えば、ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液)を用いて調製する。上記のウェルに、該hIL−4溶液および該合成ペプチド溶液を同時に加えて反応させ、hIL−4sRと競合的に結合させる。次に、二次抗体として酵素標識化した抗hIL−4抗体を加えて、反応させ、結合させる。該二次抗体としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下、HRPと略す)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびガラクトシダーゼなどで標識化した抗グロブリン抗体が挙げられ、HRP標識の抗マウスIgGポリクローナル抗体が好ましい。最後に、酵素で分解されると発色する基質を加えて発色させ、発色の吸光度を測定する。得られた結果を、濃度0Mでの値に対するパーセント(コントロール比)で表わす。ここで、吸光度の減少は、合成ペプチドによってhIL−4が阻害されたことを意味する。
本発明はまた、本発明の合成ペプチドを活性成分として含有するアレルギー疾患(上記のアレルギー疾患を含む)を処置するための医薬組成物をも提供する。本発明の医薬組成物は、医薬製剤の分野においてよく知られる方法に従って、例えば通常の固体もしくは液体のビヒクルもしくは希釈剤、並びに所望の投与様式に適当な種類の医薬的な添加剤(例えば、担体、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、芳香剤など)を用いることによって製剤化することができる。減菌非毒性で医薬的に許容し得る該ビヒクルまたは希釈剤などを含有する用量単位製剤が許容され得る。
本発明の合成ペプチドの製造
ペプチドは、ペプチドシンセサイザー433A(Applied Biosystems, Sweden)を用い、固相法で合成した。試薬はすべてペプチド合成のグレードのものを用いた。合成は、保護基として9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)(Applied Biosystems製)基を、カップリング試薬としてO−ベンゾトリアゾール−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を、および樹脂としてアミド樹脂(例えば、リンクアミド樹脂)を用いて、オートペプチドシンセサイザによってC末端アミノ酸から順番に結合させて製造した。合成スケールは、各々のペプチドの1.0mmolを用いた。合成終了後、TFAを用いてFmoc基を樹脂からクリーベッジすることにより、ペプチドを該樹脂からクリーベッジし、凍結乾燥した後に蒸留水に溶解した。このものを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(日立、東京)を用いて分離精製した。該HPLCは、C18カラムを用いる逆相クロマトグラフィーで行ない、0.1%TFAを含む蒸留水(A)および20〜50%グラジエントのアセトニトリル(B)を用いて30分間かけて溶出した。次いで、分取したピークに含まれるペプチドの分子量を質量分析計(Voyager(登録商標) Elite, Perspective Biosystems, U.S.A.)で測定し、構造式から推定される分子量と合致する画分を集め、HPLCで純度を確認した。純度は、(B)の20〜50%グラジエント液および、(B)の35%アイソクラティック液について調べ、得られたペプチドが単一のピークであることを確認した。ペプチド1〜3の3種のペプチド(図1)を合成した。以下に、各ペプチドのHPLC法によるデータおよび質量分析法のデータを示す。
ペプチド1:
HPLC(リテンションタイム):約19.07分(溶出液:(B)の20〜50%グラジエント液)、
質量分析(M+H)+ 3553.51。
ペプチド2:
HPLC(リテンションタイム):約22.20分(溶出液:ペプチド1と同様)、
質量分析(M+H)+ 3510.95。
ペプチド3:
HPLC(リテンションタイム):約21.84分(溶出液:ペプチド1と同様)、
質量分析(M+H)+ 3535.21。
各合成ペプチドの円二色性を、円二色性分散計(J−720、日本分光、東京)を使用して測定した。サンプルは100mM NaClを含む10mM リン酸緩衝液(NaPi)(pH7.0)中、終濃度20μMとなるように容量250μLで調製した。測定はマニュアルに従って行なった。トリフルオロエタノール(TFE)(終濃度20%)添加条件下で、いずれのペプチドについても208nmと222nmでθ値が二層性に明瞭な負の極大を示すことから、これらのペプチドはα−へリックス構造をとることが可能であると示唆された(図2)。
表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いたBIAcoreシステムによる、本発明の合成ペプチドとhIL−4sRとの結合の測定は、BIAcore2000(Biacore AB, Sweden)を使用して行なった。まず、センサーチップCM5上の官能基:カルボキシル基をN−メチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・ハイドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の混合液を用いて洗浄することにより、活性化した。hIL−4sR溶液は、hIL−4sR(Genzyme/Teche, U. S. A.)を酢酸バッファー(pH 4.0)を用いて10μg/mlの濃度になるように調製した。次いで、該hIL−4sR溶液を、BIAcore2000に付属のマニュアルにしたがって、約10000結合量(RU)となるようにセンサーチップCM5のセルに固定化した。対照のセルは、何も固定化しなかった。次に、該チップ上の活性基であるカルボキシル基をエタノールアミンで洗浄することにより、ブロッキングした。各ペプチドは、ランニングバッファー(0.005% Tween20、0.15M NaClを含む0.01M HEPESバッファー(pH 7.4))を用いて適当な濃度に調製して用いた。モル数の算出には、275nmにおける吸光係数として標準試料による検量線から求めた1450値を用いて較正した。測定は、流速20μl/分、試料添加時間が2分間でマニュアルにしたがって行ない、各合成ペプチドの濃度を段階的に増大させて、各々の濃度における平衡時のシグナルを得た。得られた測定結果に基づいて、EXCELを用いて結合の時間経過を作図した。ペプチド1(50〜800μM)、ペプチド2(12.5〜100μM)、ペプチド3(50〜800μM)のいずれの場合も濃度に依存して、固定化したsRへの結合量の増加が見られた。いずれの濃度においても、結合は短時間で平衡状態に達し、ペプチド添加終了後は速やかに解離した。3種のペプチドの中ではペプチド2が最も低濃度で、sRへの結合が観察された。さらにBIAcoreで測定した、3種類の合成ペプチドのsRへの結合データをもとに、各ペプチドについてscatchard plot解析を行った。いずれの合成ペプチドにおいても相関係数0.9以上で結合量とbound/free比との間に負の直線性が見られ、各合成ペプチドがsRへ特異的に結合していることが示唆された(図3、4および5)。BIAcore2000に付属の解析ソフト(BIA evaluation)を使用し、各ペプチドがsRへ結合する場合の解離定数(KD)を、上記マニュアルに記載の低親和性結合の場合の解析方法を用いて算出した(図6)。各ペプチド間でのKD値を比較すると、ペプチド2ではペプチド1に比較してKD値が小さく、ペプチド3ではペプチド1とほぼ同程度のKD値が得られた。KD値の比較から、ペプチド2はペプチド1、3に比較して約10倍、結合が強いことが示された。なお、対照のシグナルはサンプル測定時のシグナルの較正に使用した。
本発明の合成ペプチドによるhIL−4とsRとの結合の阻害作用の測定は、ELISA法によって行なった。hIL−4sR(Genzyme/Teche, U. S. A.)をリン酸緩衝液(0.1M Na2HPO4,pH 9.0)を使用して1.0または1.2μg/mLになるように調製し、その50μLをマイクロプレートのウェルに添加して4℃で終夜、固相化した。さらに1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングを行なって測定用プレートとした。このウェルに、0.25μg/mLのhIL−4(0.2% BSAを含む0.067M リン酸緩衝液pH7.0(以下、PBSと略)から調製)(25μL)および適当な濃度に調製した合成ペプチド(25μL)を同時に添加して、室温で2時間、振盪しながらインキュベーションを行なった。0.05% Tween20を含むPBS(以下、PBSTと略)で洗浄後、0.2%BSAを含むPBSで2μg/mlの濃度に調製した抗IL−4モノクローナル抗体(R&D Systems, Inc., U.S.A.)(50μL)を添加し、室温で2時間、振盪しながらインキュベーションを行なった。PBSTで洗浄後、PBSTで500倍に希釈したHRP標識抗マウスIgGポリクローナル抗体(100μL)を添加し、振盪しながら室温で90分間インキュベーションを行なった。PBSTで洗浄後にHRP基質のO−フェニレンジアミン(100μL)を添加し、適当な時間静置した後に、反応停止液(50μL)を添加し、プレートリーダーで450nmにおける吸光度を測定した。結果は、濃度0Mでの値に対するパーセンテージ(コントロール比、%)で表した。合成ペプチド1および3は、終濃度100〜1000μMの間で、ペプチド2は終濃度1〜100μMの間で吸光度を減少させ、これら合成ペプチドがhIL−4とsRとの結合をhIL−4と競合的に阻害することが示された。更に、ペプチド2はペプチド1および3よりも低濃度で抑制し、阻害作用がより強い事が示された(図7)。
Claims (3)
- アミノ酸配列:
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTDLKAY、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTALKAY、および、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKAKLTDLKAY
からなる群から選ばれるペプチド。 - アミノ酸配列:
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTDLKAY、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTALKAY、および、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKAKLTDLKAY
からなる群から選ばれるペプチドを含有する、ヒトインターロイキン−4およびヒトインターロイキン−13のアンタゴニスト。 - アミノ酸配列:
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTDLKAY、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKSKLTALKAY、および、
AELAALEAELAALE−GGGGGGG−KLTQLKAKLTDLKAY
からなる群から選ばれるペプチドを含有する、アレルギー疾患を処置するのに有用な医薬組成物。
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