JP6032539B2 - 熱反射材 - Google Patents

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本発明は、熱反射材に関する。更に詳しくは、本発明は、耐熱性に優れるとともに、優れた熱反射性を備える熱反射材に関する。
従来、各種施設や機器等で使用されている内燃機関、ボイラー、ガスタービン等において、高温に曝される耐熱部品の表面には、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)といわれる皮膜等が施されている。そして、この皮膜等によって耐熱性が付与されている。
このような皮膜の形成には、熱伝導率の低い材料が好ましく用いられている。具体的には、例えば、イットリア安定化ジルコニアを含む材料等が広く用いられている。そして、近年では、イットリア安定化ジルコニアよりも低い熱伝導率を与える材料も知られている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、LnNb1−xTa(0≦x≦1、LnはSc、Y及びランタノイドからなる群より選択される1種又は2種以上の原子)で表される化合物を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
また、特許文献2には、Ln1−x1.5+x(0.13≦x≦0.24、LnはSc、Y及びランタノイドからなる群より選択される1種又は2種以上の原子、MはTa又はNb)で表される化合物を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
更に、特許文献3には、Lnx+y−3xyTiTaZr(1−3x)(1−y)2+1.5xy−0.5y(0.05≦x≦0.25、0≦y≦0.15、Lnは、Y、Sm、Yb及びNdからなる群より選択される1種又は2種以上の原子)を主として含む遮熱コーティング用材料が開示されている。
特開2006−298695号公報 特開2009−221551号公報 特開2010−235415号公報
内燃機関等の高温の燃焼環境下においては、輻射熱による伝熱の寄与が非常に大きいにも関わらず、従来より、コーティング材の熱伝導性のみに着目した断熱設計がなされてきた。その結果として、高温の熱エネルギーの一部が、コーティング材中への伝熱により消費されるため、熱エネルギーの有効利用は必ずしも十分ではなく、優れた熱反射性を有する断熱材料が求められていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れるとともに、優れた熱反射性を備える熱反射材を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]ATi層とアルミナ系材料層とが各2層以上交互に積層された熱反射材であって、
前記ATi層におけるAは、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも1種であり、
基材上に配設される際、ATi層が最表面側に配され
燃焼雰囲気又は800℃以上の高温雰囲気で用いられることを特徴とする熱反射材。
[2]各ATi層の厚みは0.05〜0.5μmであり、且つ各アルミナ系材料層の厚みは0.05〜0.5μmである上記[1]に記載の熱反射材。
[3]前記アルミナ系材料層が、(a)アルミナに、希土類元素がドープされた酸化物からなる層、及び(b)アルミナに、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素がドープされた酸化物からなる層のうちのいずれかである上記[1]又は[2]に記載の熱反射材。
[4]前記アルミナ系材料層が、(a)アルミナに、希土類元素がドープされた酸化物からなる層、及び(b)アルミナに、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素がドープされた酸化物からなる層によって構成されており、
基材側となる前記アルミナ系材料層が、前記(a)の層によって構成され、
最表面側となる前記アルミナ系材料層が、前記(b)の層によって構成されており、
全ての前記アルミナ系材料層の厚みの合計を100%とした場合に、前記(a)の層の厚みの合計が20〜80%である上記[1]又は[2]に記載の熱反射材。
本発明の熱反射材は、ATi層と、アルミナ系材料層とが各2層以上交互に積層されており、基材上に配設される際、ATi層が最表面側に配される。そのため、優れた耐熱性が得られるとともに、高い熱反射性を発現させることができる。そして、従来の熱伝導性を考慮した断熱に加え、熱輻射を考慮した断熱を行うことができ、内燃機関等において発生する高温の熱エネルギーをより有効利用することができる。
また、各ATi層及び各アルミナ系材料層のそれぞれの厚みが特定の範囲である場合には、熱反射性を十分に発現させることができる。
熱反射材の模式的な説明図である。 SEM観察による実施例1の熱反射材の断面を説明する説明図である。 熱反射材における熱処理前後の各X線回折像を示すグラフである。 各材料における反射スペクトル測定結果を示すグラフである。 各材料における反射スペクトル測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱反射材は、ATi層とアルミナ系材料層とが各2層以上交互に積層されたものである。そして、基材上に配設される際、ATi層が最表面側に配される。
上記ATi層におけるAは、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも1種である。
尚、各ATi層を構成する複合酸化物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
熱反射材を構成するATi層の層数は、2層以上であり、好ましくは3〜20層、より好ましくは5〜15層である。尚、この層数が1層の場合には、十分な熱反射性を得ることができない。
また、ATi層の厚みは特に限定されず、使用時において曝される温度域に合わせて適宜調整される。熱反射材における各ATi層の厚みは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、例えば、各ATi層の厚みは、0.05〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4μm、更に好ましくは0.18〜0.25μmである。ATi層の厚みが、上述の範囲である場合、熱反射性を十分に発現させることができる。
上記アルミナ系材料層としては、アルミナからなる層、アルミナに他の元素がドープされたアルミナ系酸化物からなる層が挙げられる。なかでも、他の元素がドープされたアルミナ系酸化物からなる層(特に、アルミナに他の元素を粒界偏析させたアルミナ系酸化物からなる層)が好ましい。尚、各アルミナ系材料層を構成する酸化物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記他の元素がドープされたアルミナ系酸化物としては、例えば、(a)アルミナに、希土類元素がドープされた酸化物、(b)アルミナに、Hf及びZrからなる群のうちの少なくとも1種がドープされた酸化物等が挙げられる。
上記希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuが挙げられる。特に、Y、Sm、Eu、Tm及びLuからなる群のうちの少なくとも1種であることが好ましく、Lu及びYからなる群のうちの少なくとも1種であることがより好ましい。
熱反射材を構成するアルミナ系材料層の層数は、2層以上であり、好ましくは3〜20層、より好ましくは5〜15層である。尚、この層数が1層の場合には、十分な熱反射性を得ることができない。
本発明における熱反射材においては、アルミナ系材料層とATi層とが交互に積層され、且つ基材上に配設される際にはATi層が最表面側に配される。そのため、熱反射材の両面側がATi層からなる場合には、アルミナ系材料層の層数がATi層よりも1層少なくなる。また、一面側がATi層であり、他面側がアルミナ系材料層である場合には、両者の層数は同数となる。
また、アルミナ系材料層の厚みは特に限定されず、使用時において曝される温度域に合わせて適宜調整される。熱反射材における各アルミナ系材料層の厚みは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、例えば、各アルミナ系材料層の厚みは、0.05〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4μm、更に好ましくは0.25〜0.3μmである。アルミナ系材料層の厚みが、上述の範囲である場合、熱反射性を十分に発現させることができる。
本発明における熱反射材は、基材上に配設される際に、最表面側(即ち、基材側となる面の反対面側)にATi層が配されるように配設される。このように配設される場合、屈折率の低いアルミナ系材料層と、屈折率の高いATi層との屈折率差によって、十分な熱反射性を得ることができる。尚、基材側となる面は、ATi層であってもよいし、アルミナ系材料層であってもよい。
本発明の熱反射材が配設される上記基材としては、高温で用いられるために、その表面に耐熱部材の形成が必要とされる各種の基材が挙げられる。
基材の材質としては、炭化ケイ素繊維強化/炭化ケイ素系複合材料(炭化ケイ素材料を炭化ケイ素繊維により強化した複合材料等)や耐熱金属等を挙げることができる。
上記耐熱金属としては、ステンレス鋼等のFe基合金、ニッケル基合金、クロム基合金等を挙げることができる。ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。また、ニッケル基合金としては、インコネル600(登録商標)、インコネル718(登録商標)、インコロイ802(登録商標)等が挙げられる。更に、クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y)等が挙げられる。
具体的な基材としては、例えば、(1)各種プラント関係、(2)輸送機器関係、(3)その他の施設、設備、機器等が挙げられる。(1)各種プラント関係としては、各種製品の製造、エネルギー供給プラント等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の、800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。また、(2)輸送機器関係としては、自動車及び鉄道車両等の各種車両、船舶、航空機、宇宙機器等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の、800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。更に、(3)その他の施設、設備、機器としては、上記(1)、(2)以外の分野の各種施設、設備、機器等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。
特に、本発明の熱反射材によれば、内燃機関において高温の燃焼ガスに曝される部位、例えば、航空機エンジンやガスタービンシステムの燃焼器やタービンはもちろんのこと、自動車用エンジンのピストンヘッドやシリンダーの内壁等に応用することにより、「燃焼温度の高温化」と「システムの軽量化」(熱容量が大きく、重量の大きな断熱材を使用した冷却システム等の除去による軽量化)による一層の燃費向上が可能になる。
また、これらの部品表面(基材表面)の温度上昇を抑えることができるため、従来では適用困難であった耐熱性の低い金属部材等の使用も可能になる。更に、各種熱処理炉の内壁、太陽集光発電用蓄熱材の容器内壁等に応用することで、系内に投入される熱エネルギーを外部に逃さない効率的な昇温と保温が可能になる。
また、本発明の熱反射材は、各アルミナ系材料層が、(a)アルミナに、希土類元素を粒界偏析させた酸化物からなる層、及び(b)アルミナに、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を粒界偏析させた酸化物からなる層のうちのいずれかであるものとすることができる。
特に、本発明の熱反射材が基材に配設された場合においては、高温[腐食雰囲気(酸化雰囲気)]での使用時において、基材側ほど低酸素分圧となり、最表面側(腐食雰囲気側)ほど高酸素分圧となる。即ち、基材側はアルミナ系材料層での酸素(O)の拡散が主体となる領域(低酸素分圧側)となり、最表面側はアルミナ系材料層でのアルミニウム(Al)の拡散が主体となる領域(高酸素分圧側)となる。
そのため、熱反射材を構成する複数のアルミナ系材料層においては、基材側に近いアルミナ系材料層を、アルミナに希土類元素が粒界偏析した酸化物からなる層により構成し、最表面側に近いアルミナ系材料層を、アルミナにHf及びZrのうちの少なくとも一方の元素が粒界偏析した酸化物からなる層により構成することが好ましい。この場合、酸素の拡散及びアルミニウムの拡散を同時に抑制することができるため、熱反射材における酸素バリア性(耐酸化性)を飛躍的に向上させることができる。
また、上記構成の場合、アルミナに希土類元素が粒界偏析した酸化物からなる層と、アルミナにHf及びZrのうちの少なくとも一方の元素が粒界偏析した酸化物からなる層との割合は特に限定されない。具体的には、全てのアルミナ系材料層の厚みの合計を100%とした場合に、アルミナに希土類元素が粒界偏析した酸化物からなる層の厚みの合計が20〜80%であることが好ましく、より好ましくは30〜70%、更に好ましくは40〜60%である。
また、本発明の熱反射材を製造する方法は特に限定されない。
例えば、各種被膜形成法を用いて、基材上に、ATi層及びアルミナ系材料層を各2層以上交互に形成することにより、本発明の熱反射材を基材上に直接配設することができる。
上記被膜形成法としては、例えば、(1)熱蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング等の物理蒸着法、(2)熱化学蒸着、プラズマ化学蒸着、電子サイクロトロン共鳴源プラズマ化学蒸着等の化学蒸着法、(3)プラズマ溶射等の溶射法、(4)エアロゾルデポジション(AD)法、ゾルゲル法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
また、本発明の熱反射材は、所定の厚みに作製されたATi層となる第1焼成体、及び、所定の厚みに作製されたアルミナ系材料層となる第2焼成体を、それぞれ複数用意する。その後、第1焼成体及び第2焼成体を各2層以上交互に積層して接合する方法等により、ATi層及びアルミナ系材料層が各2層以上交互に積層された熱反射材を製造することもできる。
尚、上記各焼成体(第1焼成体及び第2焼成体)を接合する方法は特に限定されず、加圧成形等の従来の接合方法を用いることができる。
また、本発明の熱反射材の作用効果等を以下に説明する。
本発明の熱反射材では、優れた「熱反射性」を実現するために、高温において互いが反応せず、屈折率差の大きな耐熱性酸化物として、高屈折率のATi層と低屈折率のアルミナ系材料層からなる周期積層構造を用いている。ここで、アルミナ系材料を使用することで、周期積層構造体に優れた「酸素遮蔽性」を持たせることが可能になる。ATiは酸化物イオン伝導体であるため、この物質には「酸素遮蔽効果」は無い。
周期積層構造体を金属や非酸化物系セラミックス基板の上に付与する場合、この構造体には、厚さ方向に高温且つ急峻な酸素ポテンシャル勾配が形成されると共に、その反対方向にカチオンのポテンシャル勾配が形成される。その結果として、酸素が内方向に拡散し、カチオンが外方向に拡散する。具体的には、アルミナ系材料層中を酸素が内方向に粒界拡散し、カチオンが外方向に粒界拡散する。また、ATi層中を、主に酸素が内方向に拡散する。
アルミナ系材料層中のカチオンの外方向拡散により、アルミナ系材料層とATi層との界面構造が乱れ、光学的平面度が失われるため、屈折率差を利用した反射性能を発現することができなくなる。それを防止するためには、本出願人が既に特許出願している粒界修飾元素の最適配置(特願2012−129359参照)により層中の物質移動を極限まで抑制する構造の併用が有効である。即ち、Alの外方向拡散が主体である酸化雰囲気側の領域にIV族元素(Hf、Zr等)を粒界偏析させた酸化アルミニウム(アルミナ)層を、且つ、酸素の内方向拡散が主体である基材側の領域に希土類元素(Lu、Y等)を粒界偏析させたアルミナ層を配置することにより、酸素とAlの粒界拡散が同時に抑制され、酸素遮蔽性が飛躍的に改善されるだけでなく、優れた熱反射性を長時間持続することができる。
この積層配置を高温において安定にするためには、粒界偏析元素同士の反応(高速拡散経路の形成抑制)を止める必要がある。そのため、2種類の粒界偏析元素を有するアルミナ層を全てATi層で隔てることにより、熱反射機能の安定化のみならず、粒界偏析元素間の反応防止、即ち希土類元素(Lu、Y等)とIV族元素(Hf、Zr等)間の反応により生成する高速拡散経路(希土類元素固溶HfO、ZrO)の形成を防止することができる(図1参照)。
また、ATi層が最表面側に配されると更に高い熱反射性を発現し、従来の熱伝導性を考慮した断熱に加え、熱輻射を考慮した断熱を行うことができ、内燃機関等において発生する高温の熱エネルギーをより有効利用することができる。
加えて、各ATi層及び各アルミナ系材料層のそれぞれの厚みが特定の範囲である場合には、更に高い熱反射性を十分に発現させることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。
[1]熱反射材の作製(実施例1)
(1−1)基板
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TM−DAR」]を原料として用い、1500℃で5時間焼成することにより、アルミナ基板(直径28mm、厚み3mm)を作製した。
(1−2)アルミナ系材料層(Al層)の形成
エアロゾルデポジション(AD)法により、上記(1−1)で作製した基板上に、Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TM−DAR」]を用いて、膜厚が110nmとなるようにAl層を形成した(基板温度;25℃)。
尚、Al粉末は、前処理(大気下において、250℃で12時間加熱処理)したものを用いた。
(1−3)ATi層(YTi層)の形成
上記(1−2)で形成されたAl層上に、特開2011−246331号公報、及び「加藤大樹ら,日本セラミックス協会2011年年会講演予稿集(3G06),285」に準拠して、以下のように、ゾルゲル法により、膜厚が200nmとなるようにYTi層を形成した。
具体的には、まず、基板上に形成されたAl層上に、Y前駆体(0.768mol/L)及びTiO前駆体(1.66mol/L)を含むコーティング液(酸化物換算した固形分濃度;約10%)を用いてスピンコーティングを行った。尚、このスピンコーティングは、コーティング液を滴下した後、500rpmで5秒行い、次いで、3000rpmで30秒間行った。その後、500℃で5分間加熱した。
次いで、上記スピンコーティングと、上記加熱を3回繰り返した後、900℃で10分間焼成することによって、基板上に形成された1層のアルミナ系材料層上に、1層のYTi層が形成された基板を得た。
(1−4)熱反射材の作製
上記(1−3)で得られたアルミナ系材料層及びATi層を備える基板上に、上記(1−2)の方法に準拠したアルミナ系材料層の形成と、上記(1−3)の方法に準拠したATi層の形成を、この順序で9回ずつ繰り返し行った。そして、基板上に、アルミナ系材料層(合計10層)と、ATi層(合計10層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている熱反射材(実施例1)を作製した。
また、この実施例1の熱反射材(最終的な熱処理前)の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、厚みが200nm前後(150〜220nm)のATi層(YTi層)と、厚みが110nm前後(90〜130nm)のアルミナ系材料層(Al層)とが交互に積層した構造(アルミナ系材料層とATi層の総厚み;3110nm)となっていることが確認できた(図2参照)。
[2]熱反射材におけるアルミナ系材料層とATi層との反応性の確認
上記[1]で得られた実施例1の熱反射材を1400℃で1時間加熱処理し、加熱処理前後の熱反射材について、それぞれ、X線回折測定を行った。その結果を、図3に示す。
図3によれば、加熱処理前及び加熱処理後の両方において、AlとYTiのみが検出されており、アルミナ系材料層(Al層)とATi層(YTi層)とは1400℃の高温でも反応せず、安定に存在することが確認できた。
[3]熱反射材における最表面へのATi層の配置効果の確認
(3−1)試験片(実施例1)
上記[1]で得られた、基板上に、アルミナ系材料層(合計10層)と、ATi層(合計10層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている熱反射材を用いた。
(3−2)試験片の作製(比較例1)
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TM−DAR」]を原料として用い、1500℃で5時間焼成した。次いで、直径28mm、厚み3mmに加工することにより、アルミナ系材料層(Al層)1層のみで形成された試験片(比較例1)を作製した。
(3−3)試験片の作製(比較例2)
錯体重合法で作製したYTi粉末をホットプレス(1000℃×1時間、Ar中)した後、1750℃×10時間、酸素中でアニールした。次いで、直径20mm、厚み1mmに加工することにより、ATi層(YTi層)1層のみで形成された試験片(比較例2)を作製した。
(3−4)試験片の作製(比較例3)
上記[1]における上記(1−3)で得られたアルミナ系材料層及びATi層を備える基板上に、上記(1−2)の方法に準拠したアルミナ系材料層の形成と、上記(1−3)の方法に準拠したATi層の形成を、この順序で8回ずつ繰り返し行った。そして、最後に、上記(1−2)の方法に準拠したアルミナ系材料層の形成を行った。
このようにして、基板上に、アルミナ系材料層(合計10層)と、ATi層(合計9層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がアルミナ系材料層となっている試験片(比較例3)を作製した。
(3−5)反射スペクトルの測定及びその結果
各試験片における反射スペクトルを以下のように測定し、その結果を図4に示した。
<測定方法>
パーキンエルマー社製、紫外可視光分光器「Lambda 950」を用いて、反射スペクトルを測定した。尚、波長範囲は200〜2500nmとした。
図4によれば、アルミナ系材料層1層のみで形成された試験片(比較例1)、及びATi層1層のみで形成された試験片(比較例2)よりも、基材上に10層のアルミナ系材料層と10層のATi層が1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている試験片(実施例1の熱反射材)の方が高い熱反射性を備えていることが確認できた。
また、実施例1の熱反射材は、基板上に10層のアルミナ系材料層と、9層のATi層が1層ずつ交互に形成されており、最表面層がアルミナ系材料層となっている試験片(比較例3)よりも高い熱反射性を備えていることが確認できた。
更に、アルミナ系材料層1層のみで形成された比較例1と、ATi層1層のみで形成された比較例2を比較した場合に、比較例2の方が高い熱反射性を備えていることが確認できた。
以上のことから、最表面層をATi層とすることで、より高い熱反射性能が得られることが分かった。
[4]熱反射材におけるアルミナ系材料層及びATi層の層数による影響
(4−1)試験片(実施例1)
上記[1]で得られた、基板上に、アルミナ系材料層(合計10層)と、ATi層(合計10層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている熱反射材を用いた。
(4−2)試験片の作製(実施例2)
上記[1]における上記(1−3)で得られたアルミナ系材料層及びATi層を備える基板上に、上記(1−2)の方法に準拠したアルミナ系材料層の形成と、上記(1−3)の方法に準拠したATi層の形成を、この順序で4回ずつ繰り返し行った。そして、基板上に、アルミナ系材料層(合計5層)と、ATi層(合計5層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている熱反射材を作製した。
(4−3)試験片の作製(実施例3)
上記[1]における上記(1−3)で得られたアルミナ系材料層及びATi層を備える基板上に、上記(1−2)の方法に準拠したアルミナ系材料層の形成と、上記(1−3)の方法に準拠したATi層の形成を、この順序で2回ずつ繰り返し行った。そして、基板上に、アルミナ系材料層(合計3層)と、ATi層(合計3層)が、1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている熱反射材を作製した。
(4−4)試験片(比較例1)
上記[3]の(3−2)で得られた、アルミナ系材料層1層のみで形成された試験片を用いた。
(4−5)試験片(比較例2)
上記[3]の(3−3)で得られた、ATi層1層のみで形成された試験片を用いた。
(4−6)反射スペクトルの測定及びその結果
上記[3]の(3−5)と同様にして、各試験片における反射スペクトルを測定し、その結果を図5に示した。
図5によれば、アルミナ系材料層1層のみで形成された試験片(比較例1)、及びATi層1層のみで形成された試験片(比較例2)よりも、基材上に複数のアルミナ系材料層と、複数のATi層が1層ずつ交互に形成されており、最表面層がATi層となっている試験片(実施例1〜3の熱反射材)の方が高い熱反射性を備えていることが確認できた。
また、実施例1の試験片(アルミナ系材料層;10層、ATi層;10層)、実施例2の試験片(アルミナ系材料層;5層、ATi層;5層)、及び実施例3の試験片(アルミナ系材料層;3層、ATi層;3層)を比較した場合、各層の合計数が多いほど、熱反射性能が向上することが分かった。
本発明の熱反射材は、耐熱性に優れるとともに、優れた熱反射性を備えており、化学的にも安定しているため、各種プラント関係、輸送機器関係、その他の施設、設備、機器等における内燃機関、ボイラー、蒸気タービン、ガスタービン等の各種部位、部品の表面等、基材の形状に関係なく利用することができる。

Claims (4)

  1. Ti層とアルミナ系材料層とが各2層以上交互に積層された熱反射材であって、
    各ATi層におけるAは、Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも1種であり、
    基材上に配設される際、ATi層が最表面側に配され
    燃焼雰囲気又は800℃以上の高温雰囲気で用いられることを特徴とする熱反射材。
  2. 各ATi層の厚みは0.05〜0.5μmであり、且つ各アルミナ系材料層の厚みは0.05〜0.5μmである請求項1に記載の熱反射材。
  3. 前記アルミナ系材料層が、(a)アルミナに、希土類元素がドープされた酸化物からなる層、及び(b)アルミナに、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素がドープされた酸化物からなる層のうちのいずれかである請求項1又は2に記載の熱反射材。
  4. 前記アルミナ系材料層が、(a)アルミナに、希土類元素がドープされた酸化物からなる層、及び(b)アルミナに、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素がドープされた酸化物からなる層によって構成されており、
    基材側となる前記アルミナ系材料層が、前記(a)の層によって構成され、
    最表面側となる前記アルミナ系材料層が、前記(b)の層によって構成されており、
    全ての前記アルミナ系材料層の厚みの合計を100%とした場合に、前記(a)の層の厚みの合計が20〜80%である請求項1又は2に記載の熱反射材。
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